(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0010】
図1に示す熱交換器100は、例えば、エンジン(図示省略)に過給される吸気を冷却液(媒体)によって冷却する水冷式チャージエアクーラとして用いられる。
【0011】
熱交換器100は、流入ポート3a及び流出ポート3bを有する第1カバー部材3と第2カバー部材4とが取り付けられる筒状の本体部5と、本体部5の両端の開口部5a,5b(
図7等参照)に枠体40を介してそれぞれ接続される一対のダクト6,7と、本体部5の内部に収容される熱交換部としてのコア2(
図2等参照)と、を備える。
【0012】
ダクト6,7には、エンジンの吸気管(図示省略)が接続される。エンジンの運転時に、吸気は、吸気管を通じて一方のダクト6から本体部5を介してコア2に流入する。コア2を流通する吸気は、コア2の内部を流通する冷却液に放熱して冷却される。こうして熱交換器100で冷却された吸気は、他方のダクト7から吸気管を通じてエンジンに吸入される。
【0013】
コア2に接続する流入ポート3a及び流出ポート3bには、冷却液が循環する配管(図示省略)が接続される。エンジンの運転時に、ポンプ(図示省略)から配管を通じて送られる冷却液は、流入ポート3aを通じてコア2の内部に流入する。コア2の内部を流通して熱交換した冷却液は、流出ポート3bから流出する。こうして熱交換器100から流出した冷却液は、配管を通じて放熱器(図示省略)に導かれ、放熱器で外気に放熱した後に、ポンプに吸い込まれて循環するようになっている。
【0014】
次に、コア2について説明する。コア2は、外部を流通する第1の流体としての吸気と内部を流通する第2の流体としての冷却液との間で熱交換を行う。
【0015】
図2に示すように、コア2は、流路形成部としての複数のチューブ9と、各チューブ9の間に介装されるフィン8と、を備える。フィン8とチューブ9とは交互に積層され、フィン8とチューブ9との間に吸気が流れる流路が形成される。本実施形態の熱交換器100では、チューブ9は、吸気の流れ方向に対して直交するように設けられる。コア2がフィン8を備えることにより、チューブ9の外表面と吸気との接触面積を大きくすることができる。なお、コア2は、チューブ9のみが空間を介して積層される構成であれば、フィン8を備えていなくてもよい。
【0016】
以下、各図面において互いに直交するX、Y、Zの3軸を設定して説明する。なお、コア2において、吸気がフィン8とチューブ9との間の流路を流れる流れ方向を「X軸方向」または「第2方向」と呼び、チューブ9の延びる流路幅方向を「Y軸方向」または「第1方向」と呼び、チューブ9が積層される積層方向を「Z軸方向」と呼ぶ。
【0017】
チューブ9は、流路幅方向(Y軸方向)に開口し、流路方向(X軸方向)に延びる扁平筒状の部材によって構成される。チューブ9は、熱伝導性の良い金属材料によって形成される。なお、チューブ9の形状は、例えば、断面円形のパイプや、2つのプレート間に流路が形成された構成等、どのようなものであってもよい。
【0018】
本体部5は、コア2を収容する筒部5cと、筒部5cの両端に設けられ吸気が流通する開口部5a,5bと、を有する(
図7等参照)。筒部5cは、一対の第1プレートとしてのプレート20a,20bと、一対の第2プレートとしてのプレート30a,30bと、を組み合わせることで構成される。
【0019】
プレート20a,20bは、矩形状のアルミニウムなどの金属板によって形成される。なお、プレート20a,20bは、同一の形状であるので、以下では、プレート20aのみについて説明し、プレート20bについての説明は省略する。
【0020】
図2及び
図3に示すように、プレート20aは、第1ベース部としての平板状のベース部21と、ベース部21のX軸方向の端部から延びる第1縁部27と、第1縁部27から折り曲げられるようにして形成され、第1側面としての側面22a,22bを有する第1側面部28と、Y軸方向において、第1縁部27と並ぶようにプレート20aのY軸方向の第1端部としての端部25a,25bに連続して設けられ、後述するプレート30a,30bの凹部34に入り込んでX軸方向(第2方向)におけるプレート20aとプレート30a,30bとの位置決めを行う位置決め部26と、を備える。側面22a,22bは、X軸方向の両端部に形成され、それぞれ開口部5a,5bの外縁の一部を形成する。
【0021】
位置決め部26は、プレート20aのY軸方向の端部25a,25bの両端、すなわち、プレート20aの四隅に形成される。位置決め部26は、X軸方向において第1側面部28よりも内方に設けられる。位置決め部26は、具体的には、以下のようにして形成される。
【0022】
まず、平板状のプレート(プレート20a)のX軸方向の端部の両端部付近において、せん断加工などによってX軸方向に所定の長さの切り込みC(
図3及び
図11参照)を入れる。そして、切り込みCによって切り離された部分をそれぞれZ軸方向に折り曲げることで、Y軸方向に並ぶようにして位置決め部26と第1側面部28とが形成される。なお、X軸方向の両端に位置する位置決め部26の間の距離は、側面22a及び側面22b間の距離より短くなるように形成される。より詳細には、位置決め部26は、プレート20a,20bのY軸方向の端部25a,25bを凹部34に組み付けたときに、プレート20a,20bの側面22a,22bとプレート30a,30bの後述する側面32a,32bが同一平面上に位置するように、つまり、プレート30a,30bの厚み分だけ短くなるようにして形成される。位置決め部26のZ軸方向の端面の位置は、端部を切断するなどして第1側面部28のZ軸方向の端面の位置とほぼ等しくなるように形成される。
【0023】
また、切り込みCの幅、具体的には、第1縁部27のY軸方向(第1方向)における第1端面27Aと、第1端面27Aと対向する位置決め部26の第2端面26Aと、の間隔G(
図12参照)は、0にすることが好ましい。これにより、ろう付けの際に溶融したろう材が切り込みC(第1端面27Aと第2端面2Aとの間の隙間)を通って内部に流れ落ちてしまうことを防止し、プレート20a,20bの第1縁部27とプレート30a,30bとの接合部B(
図12参照)に溶融したろう材を留まらせることができる。なお、間隔Gが0.5mm以下であれば、ろう材の粘性や表面張力によってろう材を接合部Bに留まらせることができる。
【0024】
第1側面部28には、吸気の流れ方向(X軸方向)に向かって延在する爪部23と、爪部23に連続して設けられ枠体40に沿って折り曲げられることで枠体40を開口部5a,5bに圧接する圧接部24と、が設けられる(
図3参照)。圧接部24は側面22a、22bと対向するテーパ面24aを有する。側面22a,22bから圧接部24のテーパ面24aまでの距離は、枠体40の板厚よりも短くなるように形成される。爪部23及び圧接部24の具体的な作用については後述する。
【0025】
プレート30a,30bは、略矩形状のアルミニウムなどの金属板によって形成される。なお、プレート30a,30bは、プレート30aに後述する隔壁部36が設けられる点を除いて同一の形状であるので、以下では、プレート30aのみについて説明し、プレート30bについての説明は省略する。
【0026】
プレート30aは、第2ベース部としての平板状のベース部31と、ベース部31の外縁部から突出し、ベース部31とともに凹部34を形成する立接部31Aと、それぞれ開口部5a,5bの外縁の一部を形成する第2側面としての側面32a,32bと、
図2におけるZ軸方向の両端部に形成される第3側面としての側面33a,33bと、各チューブ9の端部が挿入される複数の貫通孔35と、を備える。側面32a,32b及び側面33a,33bは、それぞれ立接部31Aの側面である。
【0027】
プレート30aの立接部31A(側面32a,32b及び側面33a,33b)は、ベース部31の外縁部を折り曲げるようにして形成される。側面32a,32bは、開口部5a,5b側の端面を構成する。
【0028】
プレート30aは、側面32a,32bに形成されX軸方向に向かって延在する爪部38と、爪部38に連続して設けられ枠体40に沿って折り曲げられることで枠体40を開口部5a,5bに圧接する圧接部39と、をさらに備える。凹部34には、プレート20a,20bとプレート30a,30bとを組み合わせたときに、プレート20a,20bのY軸方向の端部25a,25bが入り込む(
図11参照)。圧接部39は側面32a、32bと対向するテーパ面39aを有する。側面32a,32bから圧接部39のテーパ面39aまでの距離は、枠体40の板厚よりも短くなるように形成される。爪部38と圧接部39は、プレート20a,20bの爪部23と圧接部24(
図3参照)と同一形状に形成される。
【0029】
プレート30aには、ベース部31に対向するように第1カバー部材3が取り付けられ、プレート30bには、ベース部31に対向するように第2カバー部材4が取り付けられる。
【0030】
第1カバー部材3及び第2カバー部材4は、アルミニウムなどの金属板によって形成される。第1カバー部材3及び第2カバー部材4は、Z軸方向の両端部に間隔をおいて設けられる係止部としての複数の係止爪3c,4cを備える。第1カバー部材3及び第2カバー部材4は、係止爪3c,4cをプレート20a,20bの端部25a,25bとプレート30a,30bの立接部31Aとの重複部に形成された段差に係止する、具体的には、プレート30a,30bの立接部31Aに設けられた切欠部37に係止することで取り付けられる。
【0031】
第1カバー部材3がプレート30aに取り付けられることによって、第1カバー部材3の凹部3dとプレート30aのベース部31との間に、冷却液が滞留する空間S(
図8及び
図9等参照)が形成される。また、第2カバー部材4がプレート30bに取り付けられることによって、第2カバー部材4の凹部4aとプレート30bのベース部31との間に、冷却液が滞留する空間S3が形成される。このように、第1カバー部材3及び第2カバー部材4は、プレート30a,30bに取り付けられることによってタンク部として機能する。
【0032】
プレート30aは、空間S内を流入ポート3aと連通する空間S1と流出ポート3bと連通する空間S2とに仕切る隔壁部36をさらに備える。これにより、流入ポート3aから流入した冷却液は、空間S1及びチューブ9を通じて空間S3に流入し、さらに、チューブ9及び空間S2を通じて、流出ポート3bから流出する。
【0033】
枠体40は、板状の金属部材によって形成され、略矩形の環状をした枠部41を備える。枠部41は、本体部5の開口部5a,5b(プレート20a,20b及びプレート30a,30bの側面22a,22b,32a,32b)に当接する環状の当接面41aを有する(
図5等参照)。
【0034】
枠体40は、枠部41の外周端から突出する複数の外側係合部42をさらに備える。
図2等に示すように、外側係合部42は、枠部41の内周側に収まるダクト6,7の外面に対峙するように突出し、所定の間隔をもって並ぶ。外側係合部42は、加締められる(折り曲げられる)ことで、枠体40と枠部41に組み付けられたダクト6,7とをカシメ結合する。
【0035】
上述したフィン8、プレート20a,20b、プレート30a,30b、第1カバー部材3、第2カバー部材4、及び枠体40の各部材は、アルミニウムなどの金属板をプレス成形することによって形成される。また、チューブ9もアルミニウムなどの金属によって形成される。これらの各部材は、接合面にろう材及びフラックスが塗布されたクラッド材が用いられる。
【0036】
次に、熱交換器100の組み立て工程について説明する。
【0037】
まず、プレート20a,20bの間に、フィン8及びチューブ9を交互に積層する(
図6参照)。
【0038】
続いて、プレート20a、チューブ9、フィン8及びプレート20bが積層された積層体60をプレート30a,30bに組み付ける。具体的には、積層体60の両端に位置するプレート20a,20bの端部25a,25bをそれぞれプレート30a,30bの凹部34に挿入するようにして、積層体60とプレート30a,30bとを組み付ける(
図7及び
図4参照)。このとき、第1側面部28のY軸方向における端面28a,28b(
図3、
図4及び
図11参照)が、凹部34の開口側の立接部31Aの端面31Bに当接するまで、プレート20a,20bの端部25a,25bをそれぞれプレート30a,30bの凹部34に挿入する。また、このとき、プレート30a,30bに設けられた貫通孔35に各チューブ9の端部を挿入する。これにより、中間組立体50が形成される(
図7参照)。
【0039】
このとき、位置決め部26も凹部34に入り込むので、位置決め部26によって、プレート20a,20bとプレート30a,30bとのX軸方向の位置ずれ、具体的には、開口部5a、5bを構成するプレート20a,20bの側面22a,22bとプレート30a,30bの側面32a,32bとの間の位置ずれ(段差の発生)を防止できる。これにより、開口部5a,5bと枠体40との間に隙間が生じることを防止できるので、この箇所のろう付け不良や流体漏れを防止できる。
【0040】
積層体60をプレート30a,30bに組み付けるときには、積層体60を積層方向に圧縮した状態、つまり、プレート30a,30bの間に交互に積層されたフィン8及びチューブ9が挟みこまれた状態で、プレート30a,30bの凹部34に挿入する。このように組み付けることで、チューブ9やフィン8の弾性力によって積層体60とプレート30a,30bとが組み付けられた状態に維持できる。
【0041】
次に、中間組立体50に第1カバー部材3及び第2カバー部材4を取り付ける。具体的には、第1カバー部材3及び第2カバー部材4の係止爪3c,4cをプレート30a,30bの立接部31Aに設けられた切欠部37に係止する。これにより、中間組立体51が形成される(
図8参照)。なお、本実施形態では、係止爪3c,4cを切欠部37に係止する構成を例に説明しているが、切欠部37を設けなくてもよい。この場合、係止爪3c,4cをプレート20a,20bの端部25a,25bとプレート30a,30bの立接部31Aとの重複部に形成された段差に係止する。
【0042】
続いて、中間組立体51に枠体40を取り付ける。具体的には、本体部5の両端の開口部5a,5b(側面22a,22b,32a,32b)に当接するように枠体40を載置する。この状態で、爪部23,38の先端部分(圧接部24)を枠体40に沿って、かつ、先端側が開口部5a,5bの外方に向かうようにして折り曲げる(
図10参照)。爪部23,38の先端部分(圧接部24,39)が開口部5a,5bの外方に向かうようにして折り曲げられると、圧接部24,39のテーパ面24a,39aが枠体40に当接する。
【0043】
この状態からさらに圧接部24,39を折り曲げると、テーパ面24a,39aによるくさび効果により、枠体40は、開口部5a,5b(側面22a,22b,32a,32b)に圧接される。このように枠体40が圧接されることで、側面22a,22b,32a,32bは、互いに同一平面上に位置するようになる。これにより、中間組立体52が形成される(
図9参照)。
【0044】
爪部23,38及び圧接部24,39を備えていない場合には、枠体40を接合する際に、バンドや治具などを用いて枠体40を本体部5の開口部5a,5bに取り付けた状態に保持する必要がある。このため、バンドや治具などの取り付け、取り外しの作業を行う必要があり、組立性が悪化してしまう。
【0045】
そこで、本実施形態の熱交換器100では、爪部23,38及び圧接部24,39と、を設けている。これにより、枠体40を開口部5a,5bに当接するように載置した状態で圧接部24,39を枠体40に沿って折り曲げることにより、バンドや治具などを用いなくても、枠体40を開口部5a,5bに圧接した状態に保持できる。よって、熱交換器100の組立性が向上する。
【0046】
このようにして組み立てられた中間組立体52は、図示しない加熱炉に搬入され、加熱処理が行われる。これにより、中間組立体52における各部材間のろう材が溶融して、各部材どうしがろう付けされる。
【0047】
プレート20a,30bの第1縁部27から第1側面部28にわたる折り曲げ部の曲率半径と、プレート30a,30bの角部Dの曲率半径とが異なるため、
図11に示す領域Rに隙間が生じやすい。そして、上述の加熱処理時に、溶融したろう材が領域Rの隙間及び切り込みCを通って本体部5の内部に流れ落ちてしまい、この隙間をろう付けによって塞ぐことができないおそれがある。このように隙間を防ぐことができないと、熱交換器100の内部からの流体が漏れてしまうおそれがある。
【0048】
そこで、本実施形態の熱交換器100では、第1縁部27の第1端面27Aと位置決め部26の第2端面26Aとの間隔Gを0.5mm以下になるように形成する。これにより、溶融したろう材は表面張力によって接合部Bに留まることができるので、ろう付けを確実に行うことができる。なお、間隔Gが小さければ小さいほど、溶融したろう材がより一層接合部Bに留まることができる。さらに、間隔Gが0(ゼロ)、つまり隙間がなければ、溶融したろう材が接合部Bに確実に留まることができる。
【0049】
また、位置決め部26の第2端面26Aとの間隔Gを0.5mm以下になるように形成することにより、第1側面部28の端面28a,28bが、プレート30a,30bに当接していなくても、溶融したろう材を接合部Bに留まらせることができるので、ろう付け不良を確実に回避できる。
【0050】
その後、ろう付けされた中間組立体52にダクト6,7が取り付けられる。具体的には、枠体40の枠部41にダクト6,7を組み付けた状態で、外側係合部42を開口部5a,5bの内方に向かって折り曲げる。これにより、枠体40とダクト6,7とがカシメ結合され、熱交換器100が完成する。
【0051】
このように構成された熱交換器100では、ダクト6から流入した吸気は、筒部5cとチューブ9との間の空間、あるいは隣り合うチューブ9の間の空間を流通する間に、チューブ9の外表面に接触することにより、チューブ9の内部を流通する冷却液との間で熱交換が行われる。つまり、ダクト6から流入した高温の吸気は、熱交換部(コア2)によって冷却された後、ダクト7から排出され、図示しないエンジンに供給される。一方、流入ポート3aから流入した冷却液は、チューブ9において吸気との間で熱交換を行い、吸気の熱を吸収した後、流出ポート3bから排出される。流出ポート3bから排出された冷却液は、図示しないラジエータなどの冷却装置によって冷却された後、再び、流入ポート3aに流入する。
【0052】
以上のように構成された本実施形態の熱交換器100によれば、以下の効果を奏する。
【0053】
熱交換器100では、筒部5cは、開口部5a,5bの外縁の一部を形成する第1側面(側面22a,22b)を有する矩形の第1プレート(プレート20a,20b)と、開口部5a,5bの外縁の一部を形成する第2側面(32a,32b)と第1プレート(プレート20a,20b)の第1方向(Y軸方向)の第1端部(端部25a,25b)が入り込む凹部34とを有する矩形の第2プレート(プレート30a,30b)と、を有する。また、第1プレート(プレート20a,20b)は、平板状のベース部21と、ベース部21の第1方向(Y軸方向)と直交する第2方向(X軸方向)の端部から延びる第1縁部27と、第1縁部27から折り曲げられるようにして形成され第1側面(側面22a,22b)を有する第1側面部28と、第1方向(Y軸方向)において、第1縁部27と並ぶように第1端部(端部25a,25b)に連続して設けられ、凹部34に入り込んで第2方向(X軸方向)における第1プレート(プレート20a,20b)と第2プレート(プレート30a,30b)との位置決めを行う位置決め部26と、を有する。
【0054】
矩形の第1プレート(プレート20a,20b)と矩形の第2プレート(プレート30a,30b)とを組み合わせて本体部5を形成しているので、U字状のプレートを用いた場合に比べて、簡単な構造とすることができ、生産性が向上する。また、熱交換器100では、従来のようなサイドプレートを用いていないので、部品点数を少なくできる。
【0055】
さらに、U字状のプレートどうしの端部を突き合わせる構成では、U字状のプレートの先端部の位置精度が求められ、加工性が良好とは言えなかった。これに対し、熱交換器100では、矩形のプレートどうしを組みわせ、第1プレート(プレート20a,20b)の第1端部(端部25a,25b)が凹部34に入り込む構成である。このため、U字状のプレートどうしの端部を突き合わせる構成に比べて、プレートの加工精度を必要としないので、加工を簡単にできる。よって、生産性が向上する。
【0056】
また、位置決め部26が、凹部34に入り込んで第2方向(X軸方向)における第1プレート(プレート20a,20b)と第2プレート(プレート30a,30b)との位置決めを行うので、プレートどうしの位置ずれを防止することができる。
【0057】
熱交換器100では、位置決め部26は、第2方向(X軸方向)において第1側面部28よりも内方に設けられる。また、位置決め部26は、凹部34に入り込んだときに、第1プレート(プレート20a,20b)の第1縁部27と第2プレート(プレート30a,30b)との間を接合するろう材を第1プレート(プレート20a,20b)の第1縁部27と第2プレート(プレート30a,30b)との接合部Bに留まらせる。
【0058】
位置決め部26は、凹部34に入り込んで第2方向(X軸方向)における第1プレート(プレート20a,20b)と第2プレート(プレート30a,30b)との位置決めを行うとともに、第1プレート(プレート20a,20b)の第1縁部27と第2プレート(プレート30a,30b)との間を接合するろう材を第1プレート(プレート20a,20b)の第1縁部27と第2プレート(プレート30a,30b)との接合部Bに留まらせる。これにより、プレートどうしの位置ずれを防止するとともに、ろう付け不良を抑制することができる。
【0059】
熱交換器100では、第1縁部27の第1方向における第1端面27Aと、第1端面27Aと対向する位置決め部26の第2端面26Aと、の間隔は、0.5mm以下である。
【0060】
第1端面27Aと第2端面26Aとの間隔が0.5mm以下であれば、ろう材の粘性や表面張力によって、溶融したろう材が、第1端面27Aと第2端面26Aとの間を通って内部に流れおちてしまうことを防止でき、第1プレート(プレート20a,20b)の第1縁部27と第2プレート(プレート30a,30b)との接合部Bに溶融したろう材を留まらせることができる。また、第1端面27Aと第2端面26Aとの間隔が0.5mm以下までとすることにより、加工上の寸法誤差をある程度許容できる。
【0061】
熱交換器100では、第1端面27Aと第2端面26Aとの間には、隙間が形成されていない。
【0062】
この構成では、第1端面27Aと第2端面26Aとの間隔は0である。これにより、溶融したろう材が、第1端面27Aと第2端面26Aとの間を通って内部に流れおちてしまうことを確実に防止でき、第1プレート(プレート20a,20b)の第1縁部27と第2プレート(プレート30a,30b)との接合部Bに溶融したろう材を留まらせることができる。
【0063】
熱交換器100では、流路形成部は、一対の第1プレート(プレート20a,20b)の間でフィン8と交互に積層され、フィン8との接合面にろう材が塗布された複数のチューブ9を有し、第1プレート(プレート20a,20b)、チューブ9、及びフィン8が積層された積層体60は、積層方向に圧縮された状態で、第2プレート(プレート30a,30b)の凹部34に入り込んでいる。
【0064】
積層体60を第2プレート(プレート30a,30b)に組み付けるときには、積層体60を積層方向に圧縮した状態で、第2プレート(プレート30a,30b)の凹部34に挿入する。このように組み付けることで、チューブ9やフィン8の弾性力によって積層体60と第2プレート(プレート30a,30b)とを組み付けた状態に維持できる。また、このように仮組みすることで、ろう付け後(ろう材が溶融した後)でも、各部材の位置が保持されるので、各部の位置決め精度が向上する。
【0065】
熱交換器100は、筒部5cに取り付けられ、冷却液をチューブ9へ導くための流入ポート3aと冷却液をチューブ9から排出するための流出ポート3bとを有する第1カバー部材3をさらに備え、筒部5cは、プレート20a,20bとプレート30a,30bとの重複部に形成された段差をさらに有し、タンク部は、重複部に設けられた段差に係止される係止爪3cを有する。
【0066】
この構成によれば、第1カバー部材3は、プレート20a,20bの端部25a,25bとプレート30a,30bの立接部31Aとの重複部に形成された段差に係止爪3cを係止するだけで、第1カバー部材3を筒部5cに取り付けた状態に保持することができる。よって、熱交換器100の生産性が向上する。
【0067】
熱交換器100では、筒部5cは、開口部5a,5b側の端面から吸気の流れ方向に延在する爪部23,38と、爪部23,38に設けられ、枠体40に沿って折り曲げられることで枠体40を開口部5a,5bに圧接する圧接部24,39と、を有する。
【0068】
この構成によれば、バンドや治具などを用いなくても、圧接部24,39が枠体40に沿って折り曲げられることで枠体40を開口部5a,5bに圧接した状態に保持することができるので、生産性が向上する。また、枠体40が開口部5a,5bに圧接されるので、開口部5a,5bに枠体40を取り付けたときに、開口部5a,5bと枠体40の当接面41aとの間に隙間ができることを防止できる。これにより、本体部5内を流通する吸気が漏れることを防止できる。
【0069】
また、熱交換器100では、圧接部24,39は、枠体40に対向するテーパ面24a,39aを有し、枠体40は、テーパ面24a,39aが当接することで開口部5a,5bに圧接される。
【0070】
この構成によれば、テーパ面24a,39aによるくさび効果により、枠体40を開口部5a,5bに大きな力で圧接することができる。これにより、本体部5内を流通する吸気の漏れを確実に防止できる。
【0071】
熱交換器100では、枠体40は、板状の部材によって形成され、筒部5cの開口部5a,5b側の端面から圧接部24,39までの距離は、枠体40の板厚よりも短く設定される。
【0072】
この構成によれば、圧接部24,39によって枠体40を筒部5cの開口部5a,5b側の端面に確実に圧接することができる。
【0073】
熱交換器100では、筒部5cは、開口部5a,5bの外縁の一部を形成する第1側面(側面22a,22b)を有する矩形の第1プレート(プレート20a,20b)と、開口部5a,5bの外縁の一部を形成する第2側面(32a,32b)と第1プレート(プレート20a,20b)の第1方向(Y軸方向)の第1端部(端部25a,25b)が入り込む凹部34とを有する矩形の第2プレート(プレート30a,30b)と、を有する。また、第1プレート(プレート20a,20b)は、平板状のベース部21と、ベース部21の第1方向(Y軸方向)と直交する第2方向(X軸方向)の端部から延びる第1縁部27と、第1縁部27から折り曲げられるようにして形成され第1側面(側面22a,22b)を有する第1側面部28と、を有する。第2プレート(プレート30a,30b)は、平板状のベース部31と、ベース部31から突出して設けられ、ベース部31とともに凹部34を形成する立接部31Aと、を有する。第1プレート(プレート20a,20b)の第1端部(端部25a,25b)が第2プレート(プレート30a,30b)の凹部34に入り込んだときに、第1側面部28の第1方向(Y軸方向)における端面が、立接部31Aの凹部34の開口側の端面31Bに当接する。
【0074】
この構成では、矩形の第1プレート(プレート20a,20b)と矩形の第2プレート(プレート30a,30b)とを組み合わせて本体部5を形成しているので、U字状のプレートを用いた場合に比べて、簡単な構造とすることができ、生産性が向上する。また、熱交換器100では、従来のようなサイドプレートを用いていないので、部品点数を少なくできる。
【0075】
さらに、第1端部(端部25a,25b)が第2プレート(プレート30a,30b)の凹部34に入り込んだときに、第1側面部28の第1方向(Y軸方向)における端面28a,28bが、凹部34の開口側の立接部31Aの端面31Bに当接するので、プレートどうしの位置決めを容易にすることができる。
【0076】
また、U字状のプレートどうしの端部を突き合わせる構成では、U字状のプレートの先端部の位置精度が求められ、加工性が良好とは言えなかった。これに対し、熱交換器100では、矩形のプレートどうしを組みわせ、第1プレート(プレート20a,20b)の第1端部(端部25a,25b)が凹部34に入り込む構成である。このため、U字状のプレートどうしの端部を突き合わせる構成に比べて、プレートの加工精度を必要としないので、加工を簡単にできる。よって、生産性が向上する。
【0077】
熱交換器100では、第1プレート(プレート20a,20b)の第1側面(22a,22b)と、第2プレート(プレート30a,30b)の第2側面(32a,32b)とは、同一平面上に設けられる。
【0078】
第1側面(22a,22b)と第2側面(32a,32b)とが同一平面上に設けられることにより、枠体40を取り付けた時に、枠体40との間から流体が漏れることを確実に防止できる。
【0079】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0080】
上記実施形態では、プレート20a,20bの端部25a,25bがプレート30a,30bの凹部34に入り込む構成を例に説明したが、プレート30a,30bの端部が、プレート20a,20bに形成された凹部に入り込むように構成してもよい。この場合、プレート20a,20bが第2プレートに相当し、プレート30a,30bが第1プレートに相当する。
【0081】
また、上記実施形態では、熱交換器100が車両に搭載されるチャージエアクーラに用いられる場合を例に説明したが、これに限らず、車両以外に使用される熱交換器にも適用できる。
【0082】
上記実施形態では、平板状のプレート(プレート20a)に切り込みCを入れた後に、切り込みCによって切り離された部分をそれぞれZ軸方向に折り曲げることで、位置決め部26と第1縁部27とを形成する場合を例に説明した。これに代えて、平板状のプレート(プレート20a)をZ軸方向に折り曲げて第1側面部28を形成した後、せん断加工によって第1側面部28と位置決め部26とを切り離し、位置決め部26を形成するようにしてもよい。
【0083】
本願は、2017年5月23日に日本国特許庁に出願された特願2017−102067、2017年5月23日に日本国特許庁に出願された特願2017−102069、及び2018年3月30日に日本国特許庁に出願された特願2018−69139に基づく優先権を主張し、この出願の全ての内容は参照により本明細書に組み込まれる。