特許第6545935号(P6545935)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545935
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
   D06F 25/00 20060101AFI20190705BHJP
   D06F 58/02 20060101ALI20190705BHJP
   D06F 58/28 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   D06F25/00 A
   D06F58/02 F
   D06F58/28 C
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2014-144964(P2014-144964)
(22)【出願日】2014年7月15日
(65)【公開番号】特開2016-19654(P2016-19654A)
(43)【公開日】2016年2月4日
【審査請求日】2017年7月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 勉
【審査官】 粟倉 裕二
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−105209(JP,A)
【文献】 特開2013−226185(JP,A)
【文献】 特開2013−179953(JP,A)
【文献】 特開2004−236965(JP,A)
【文献】 特開昭57−145699(JP,A)
【文献】 特開2010−075588(JP,A)
【文献】 特開2009−213633(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 25/00
D06F 58/00−58/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温風入口および温風出口を有し内部に乾燥対象の衣類を収容する乾燥室と、
この乾燥室の外側において前記温風入口および温風出口に接続して設けられた循環風路と、
前記乾燥室内の空気を前記循環風路を通して循環させる送風機と、
圧縮機、凝縮器、冷媒の流量を制御する絞り装置、蒸発器を順に接続して冷凍サイクルを構成し、このうち前記凝縮器および蒸発器を前記循環風路中に配設して構成されるヒートポンプと、を備え、
前記蒸発器は、前記凝縮器の上流側に配置され、
前記温風出口から前記循環風路に出た循環空気を前記蒸発器により冷却除湿し、その後、前記循環風路を流れる循環空気を前記凝縮器により加熱して前記温風入口から前記乾燥室内に供給する構成の衣類乾燥機において、
前記循環風路にあって前記温風出口と前記凝縮器との間でかつ前記温風出口と前記蒸発器との間に当該循環風路内を流れる循環空気の一部を循環風路外へ排出する第1の排気口及び第2の排気口を設け前記循環風路外の空気を循環風路内へ吸入する吸気口を設けるとともに、前記循環風路を閉鎖しない状態で前記第2の排気口を開閉する開閉手段を設けた衣類乾燥機。
【請求項2】
温風入口および温風出口を有し内部に乾燥対象の衣類を収容する乾燥室と、
この乾燥室の外側において前記温風入口および温風出口に接続して設けられた循環風路と、
前記乾燥室内の空気を前記循環風路を通して循環させる送風機と、
圧縮機、凝縮器、冷媒の流量を制御する絞り装置、蒸発器を順に接続して冷凍サイクルを構成し、このうち前記凝縮器および蒸発器を前記循環風路中に配設して構成されるヒートポンプと、を備え、
前記蒸発器は、前記凝縮器の上流側に配置され、
前記温風出口から前記循環風路に出た循環空気を前記蒸発器により冷却除湿し、その後、前記循環風路を流れる循環空気を前記凝縮器により加熱して前記温風入口から前記乾燥室内に供給する構成の衣類乾燥機において、
前記循環風路にあって前記温風出口と前記凝縮器との間でかつ前記温風出口と前記蒸発器との間に当該循環風路内を流れる循環空気の一部を循環風路外へ排出する第1の排気口及び第2の排気口を設け、前記循環風路外の空気を循環風路内へ吸入する吸気口を設けるとともに、その第2の排気口を開閉する開閉手段を設け、
前記循環風路には前記温風出口の下流側に位置させてリントフィルタが配設され、
前記第2の排気口は、前記リントフィルタより下流側に存している、
衣類乾燥機。
【請求項3】
前記第2の排気口の開口面積は、前記第1の排気口の開口面積より大きく設定されている請求項1又は2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記乾燥室および前記循環風路は筐体内に配置され、
前記第2の排気口には、当該第2の排気口から排出される空気を前記筐体外へ導く排気ダクトが接続されている請求項1から3のいずれか一項記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
前記排気ダクトは、前記筐体を構成する壁と接触して配置されている請求項4記載の衣類乾燥機。
【請求項6】
前記開閉手段は、衣類の乾燥行程中に前記第2の排気口を所定時間断続的に開閉動作する請求項1から5のいずれか一項記載の衣類乾燥機。
【請求項7】
前記開閉手段は、前記凝縮器の温度が所定温度に達したら断続的な開閉動作を開始する請求項1から6のいずれか一項記載の衣類乾燥機。
【請求項8】
前記開閉手段は、前記凝縮器から前記乾燥室の前記温風入口までの間の温度が所定温度に達したら断続的な開閉動作を開始する請求項1から6のいずれか一項記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、衣類乾燥機としては、衣類の洗濯から乾燥まで自動的に行うことができるドラム式の洗濯乾燥機が普及している。このドラム式の洗濯乾燥機においては、乾燥用の加熱源に電気ヒータを用いるヒータ式と、冷凍サイクルの凝縮器による放熱と蒸発器による冷却除湿を利用したヒートポンプ式とがある。
【0003】
ヒートポンプ式のものでは、圧縮機、凝縮器、絞り装置、蒸発器をサイクル接続した冷凍サイクルを備えていて、このうちの凝縮器と蒸発器を、衣類を収容する乾燥室に接続した循環風路内に配設している。また、循環風路には、乾燥室内の空気を循環風路を通して循環させる送風機が配設されている。冷凍サイクルが運転されると、圧縮機から吐出された冷媒は高温高圧の状態で凝縮器に入り、その後、絞り装置を介して低温低圧となって蒸発器に入り再び圧縮機に戻るという循環を繰り返す。そして、循環風路を通る空気が凝縮器で加熱され温風化されて乾燥室に入り、乾燥室内の衣類を温める。衣類から湿気を奪った空気が循環風路へ出て蒸発器により冷却除湿される。これを繰り返すことで乾燥が進行する。このような構成のものでは、凝縮器で温風を生成し、蒸発器で除湿を行うため、衣類の乾燥を効果的に行うことができる。このため、ヒートポンプ式のものでは、ヒータ方式に比べ、温度レベルが低くて乾燥ができるため衣類の傷みが少なく、また、大幅な電気代の低減と乾燥時間の短縮を可能とする利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−92329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような特徴を有するヒートポンプ方式ではあるが、更なる運転効率の向上が求められている。
そこで、圧縮機の負荷を軽減できて、更なる運転効率の向上を図ることが可能な衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の衣類乾燥機は、温風入口および温風出口を有し内部に乾燥対象の衣類を収容する乾燥室と、この乾燥室の外側において温風入口および温風出口に接続して設けられた循環風路と、乾燥室内の空気を循環風路を通して循環させる送風機と、圧縮機、凝縮器、冷媒の流量を制御する絞り装置、蒸発器を順に接続して冷凍サイクルを構成し、このうち凝縮器および蒸発器を循環風路中に配設して構成されるヒートポンプと、を備える。蒸発器は、凝縮器の上流側に配置される。この衣類乾燥機は、前記温風出口から前記循環風路に出た循環空気を前記蒸発器により冷却除湿し、その後、循環風路を流れる循環空気を凝縮器により加熱して温風入口から乾燥室内に供給する構成である。前記循環風路にあって前記温風出口と前記凝縮器との間でかつ前記温風出口と前記蒸発器との間に当該循環風路内を流れる循環空気の一部を循環風路外へ排出する第1の排気口及び第2の排気口を設け前記循環風路外の空気を循環風路内へ吸入する吸気口を設ける。さらに、前記循環風路を閉鎖しない状態で前記第2の排気口を開閉する開閉手段を設けた。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態による洗濯乾燥機(衣類乾燥機)の循環風路およびヒートポンプの概略構成を模式的に示す図
図2】洗濯乾燥機を背面側から見た概略的な破断背面図
図3図2中X3−X3線に沿う概略的な破断右側面図
図4】乾燥行程における凝縮器の温度変化と除湿水量の変化を概略的に示す図
図5】乾燥行程の途中で第2の排気口を開閉制御した場合における凝縮器と蒸発器の温度変化を示す図
図6】比較例を示すもので、乾燥行程の途中で第2の排気口を開閉制御しない場合における凝縮器と蒸発器の温度変化を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、ドラム式の洗濯乾燥機に適用した一実施形態について図面を参照して説明する。図2および図3に示すように、洗濯乾燥機の筐体1は矩形の箱状をなしていて、前面1a(図3において左側)が前下がりにやや傾斜している。その前面1aには、図示はしないが洗濯物出入口が形成されているとともに、その洗濯物出入口を開閉する扉2が設けられている。筐体1の内部には、水槽3が配設されている。この水槽3は、軸方向が前後方向(図3において左右方向)に向く横軸形で、後面が閉塞された円筒状をなしていて、図示しないサスペンションを介して前上がりの傾斜状態に配設されている。この水槽3は、乾燥室としても機能する。この水槽3の前面開口部は、べローズ4を介して前記洗濯物出入口に接続されている。
【0009】
水槽3内には、回転槽であるドラム5が回転可能に収容されている。このドラム5も、水槽3と同様に軸方向が前後方向を向く横軸形で、後面が閉塞された円筒状をなしていて、前上がりの傾斜状態に配設されている。このドラム5の周壁部および背面部には、通水および通風が可能な孔6が多数形成されている。このドラム5の周壁部の内面には、図示はしないが、洗濯物を持ち上げて撹拌するためのバッフルが設けられている。このドラム5の前面開口部は水槽3の前面開口部とともに洗濯物出入口に連通している。このドラム5内には、洗濯物出入口を通して衣類(洗濯物)が出し入れ可能に収容される。
【0010】
水槽3の背面部には、ドラム5を回転させるモータ7が配設されている。このモータ7は、例えばアウターロータ形のDCブラシレスモータからなり、ドラム5をダイレクトに回転駆動する構成となっている。ドラム5は、洗濯時には洗濯槽として、脱水時には脱水槽として、そして乾燥時には乾燥槽として機能する。
【0011】
水槽3には、背面部の上部に温風入口8が形成され、周壁部の前部の上部に温風出口9が形成されている。水槽3の外側には、筐体1内に位置させて循環風路10が設けられている。この循環風路10は、乾燥室として機能する水槽3の温風入口8と温風出口9との間を接続し、水槽3内の空気を循環させるためのものである。この循環風路10は、一端部が温風入口8に接続された乾燥室入口ダクト11と、一端部が温風出口9にフィルタケース12を介して接続された乾燥室出口ダクト13と、これら乾燥室入口ダクト11と乾燥室出口ダクト13間に設けられた乾燥ユニット用ダクト14と、送風機15のファンケーシング16と、を備えている。
【0012】
送風機15は、ファンケーシング16と、このファンケーシング16内に設けられた送風羽根17と、この送風羽根17を回転駆動するファンモータ18を備えている。ファンケーシング16は吸入口16aと吐出口16bを有していて、吸入口16aが乾燥ユニット用ダクト14の端部に接続され、吐出口16bが乾燥室入口ダクト11の下端部に接続されている。乾燥ユニット用ダクト14および送風機15は、筐体1内の下部後部において水槽3の下方に位置させて配置されている。前記フィルタケース12内にはリントフィルタ20が着脱可能に設けられている。このリントフィルタ20は、温風出口9からフィルタケース12側に出た空気に含まれたリントを捕獲する。
【0013】
乾燥室出口ダクト13の他端部は、後方から下方へ延び、筐体1内の下部において乾燥ユニット用ダクト14の一端部に接続されている。乾燥ユニット用ダクト14内には、加熱手段として機能する凝縮器21と、除湿手段として機能する蒸発器22が配設されている。このうち凝縮器21は、蒸発器22と送風機15との間に配置され、蒸発器22は、凝縮器21の上流側となる乾燥室出口ダクト13寄りに配置されている。これら凝縮器21および蒸発器22は、ヒートポンプ23の一部を構成する。
【0014】
ヒートポンプ23は、図1に示すように、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機24と、圧縮機24から吐出された高温高圧の冷媒を放熱して凝縮する凝縮器21と、凝縮器21を通過した冷媒の流量を制御する絞り装置25と、この絞り装置25を通過した冷媒を蒸発させて吸熱する蒸発器22を配管26によりサイクル接続して冷凍サイクルを構成している。このヒートポンプ23において、圧縮機24の出口付近には吐出用温度センサ27が設けられ、凝縮器21には凝縮器用温度センサ28が設けられ、蒸発器22の入口付近には蒸発器入口用温度センサ29が設けられ、圧縮機24の入口付近には蒸発器出口用温度センサ30が設けられている。また、循環風路10において、温風入口8付近には乾燥室入口用温度センサ31が設けられ、温風出口9付近には乾燥室出口用温度センサ32が設けられている。
【0015】
乾燥ユニット用ダクト14には、蒸発器22で除湿した除湿水を貯留するドレンタンク33(図2参照)が設けられているとともに、このドレンタンク33内に貯留された除湿水を機外へ排出するためのドレンポンプ34(図3参照)が設けられている。また、図1および図2において、乾燥ユニット用ダクト14の上部には、蒸発器22の上流側近傍に位置させて開口部からなる第1の排気口36が設けられ、蒸発器22と凝縮器21との間に位置させて開口部からなる吸気口37が設けられている。
【0016】
そして、乾燥室出口ダクト13の上部の側部には、リントフィルタ20の下流側に位置させて開口部からなる第2の排気口38が設けられているとともに、この第2の排気口38に連通する排気ダクト39が設けられている。排気ダクト39には、第2の排気口38を開閉する開閉手段を構成するダンパ装置40が設けられている。このダンパ装置40は、第2の排気口38を開閉するダンパ板41と、このダンパ板41を回動させるダンパモータ42により構成されている。ダンパモータ42は、例えばパルスモータにより構成されている。
【0017】
排気ダクト39は、一端部39aが第2の排気口38を介して乾燥室出口ダクト13内に連通し、他端部39bが上方へ立ち上がるように一旦屈曲した状態で側方へ向けて延びていて、その他端部39bの上面が、筐体1の天井壁1bの内面に下方から接触した状態となっている。排気ダクト39の他端部39bの上面には、開口部からなる通気口43が複数個形成され、また、筐体1の天井壁1bには、それら通気口43に対応する部位に当該通気口43に連通する通気口44が複数個形成されている。
【0018】
ここで、第2の排気口38の開口面積S2は、前記第1の排気口36の開口面積S1より大に設定している(S2>S1)。具体的には、第1の排気口36の開口面積S1は、2mm×200mm=400mmであり、第2の排気口38の開口面積S2は、20mm×50mm=1000mmである。また、排気ダクト39における通気口43の合計の開口面積、および筐体1の天井壁1bにおける通気口44の合計の開口面積は、第2の排気口38の開口面積S2よりも大きく設定している。
【0019】
筐体1の前面1aの上部には、図示はしないが操作パネルが設けられている。この操作パネルには、操作部や表示部が設けられている。筐体1内の前部の下部には、制御手段を構成する制御装置45(図3参照)が設けられている。この制御装置45は、マイクロコンピュータを主体に構成されていて、洗濯乾燥機の動作全般を制御する機能を備えている。なお、この洗濯乾燥機には、図示はしないが、洗濯する際に水槽3内へ給水する給水手段や、水槽3内の水を機外へ排出する排水手段が設けられている。
【0020】
上記構成において、ドラム5内に収容された衣類(洗濯物)を乾燥させる乾燥行程について説明する。乾燥行程では、モータ7によりドラム5を低速回転で正逆両方向に回転させるとともに、ヒートポンプ23の圧縮機24、および送風機15を通電駆動させることでスタートする。この乾燥行程がスタートするときには、第2の排気口38は、ダンパ装置40のダンパ板41により閉鎖状態としておく。
【0021】
このうち、ドラム5を低速回転で正逆両方向に回転させることで、ドラム5内の洗濯物が撹拌される。また、送風機15が通電駆動され、その送風作用により、乾燥室である水槽3内の空気が、図1図3の実線矢印で示すように循環風路10を通して循環される。さらに、圧縮機24の運転に伴い、循環風路10を通る空気が凝縮器21により加熱されて温風化され、その温風が温風入口8から水槽3内、ひいてはドラム5内に供給され、ドラム5内の衣類が温風と接触して温められる。衣類を温めて水分を奪った温風は、温風出口9からフィルタケース12、乾燥室出口ダクト13を通り、乾燥ユニット用ダクト14側へ流れる。このとき、フィルタケース12を通る空気に含まれたリントは、リントフィルタ20にて捕獲される。
【0022】
そして、乾燥ユニット用ダクト14側へ流れた温風は、蒸発器22を通過する過程で冷却されて除湿される。除湿された温風は、再び凝縮器21を通過する際に加熱される。これを繰り返すことで、ドラム5内の衣類の乾燥が進行する。蒸発器22で除湿された除湿水は、ドレンタンク33に貯留される。ドレンタンク33に貯留された除湿水は、一定時間ごとにドレンポンプ34により機外へ排出される。
【0023】
この乾燥行程中、第1の排気口36から一定量の循環空気が循環風路10外へ排出され、同量の空気が吸気口37から循環風路10内へ導入される(図1および図2の点線矢印参照)。この吸排気量は循環風路10中の圧力バランスにより決定され、常時吸排気を行うことで安定した運転が可能となる。この安定運転中、蒸発器22による除湿水量は凝縮器21の温度上昇に伴い増加し、その後低下傾向を示す。図4には、凝縮器21の温度と除湿水量の関係が示されている。
【0024】
圧縮機24の負荷量(吐出圧力)は、除湿水量と同様の傾向を示し、凝縮器21の温度が制御温度(安定域)に達した付近で最大となり、その後除湿水量の低下に伴い(乾燥の進行に伴い)徐々に減少して行くことになる。
【0025】
そこで、本実施形態においては、制御装置45は、乾燥行程が進行してドラム5内の空気が高温高湿状態で、凝縮器21の温度(凝縮器用温度センサ28の検知温度)が所定温度、例えば62℃に達したことを検知したら、圧縮機24の負荷量が最大付近に達したと判断し、ダンパ装置40のダンパモータ42を駆動して第2の排気口38を所定時間断続的に開閉させる制御を開始する(図5の時間t1参照)。第2の排気口38の開閉制御としては、例えば1分開/10分サイクル(10分に1分間開放させるサイクル)で行う。
【0026】
ここで、ダンパ板41を、図1図2において二点鎖線で示す位置に回動させ、第2の排気口38を開放させると、循環風路10を流れる高温高湿の循環空気の一部が第2の排気口38から排気ダクト39を通り、通気口43,44から筐体1外(機外)へ排出される(図1図2の二点鎖線の矢印参照)。このように第2の排気口38を開放させることで、循環風路10から循環風路外へ排出される循環空気の量が増えるとともに、その分吸気口37から循環風路10内へ吸入される吸気量も増えるようになる。乾燥運転において、この第2の排気口38の開閉制御を行う期間は、例えば時間制御とし、第2の排気口38を閉鎖した状態でその制御を終わる。図5において、第2の排気口38を開放させることに伴い、凝縮器21の温度および蒸発器22の温度がやや低下し、第2の排気口38を閉鎖することに伴い、凝縮器21の温度および蒸発器22の温度はやや上昇するように変化する。
【0027】
このように、ドラム5内の空気が高温高湿状態で、圧縮機24の負荷量が最大付近に達したと判断したところで、第2の排気口38を断続的に開閉制御することで、冷凍サイクル運転が不安定となる乾燥負荷の大幅な増減が抑えられ、断続的に除湿負荷量を減少させることができる。
【0028】
ちなみに、第2の排気口38の開閉制御を行わない場合には、図6に比較例として示すように、凝縮器21の温度は70℃以上まで上昇してしまい、圧縮機24の回転数を強制的に下げるか、停止させる制御が必要となる。圧縮機24の回転数を強制的に下げるか、停止させると、冷凍サイクルの運転が不安定となり、乾燥時間も長くなり、その分消費電力量も増加し、効率が低下することになる。
【0029】
この点、本実施形態によれば、上記したような制御を行うことで、冷凍サイクル運転が不安定となる乾燥負荷の大幅な増減が抑えられ、断続的に除湿負荷量を減少させることができる。これにより、圧縮機24の負荷を軽減でき、安定した冷凍サイクルの運転が可能となり、乾燥時間が長くなることを防止でき、ひいては消費電力量の増加も抑えることが可能となり、一層効率的な運転が可能となる。
【0030】
上記した実施形態によれば、次のような作用効果を得ることができる。
乾燥行程中、循環風路10に設けた第1の排気口36および吸気口37により、循環空気の吸排気を常時行い、乾燥負荷増大時に、循環風路10に設けた第2の排気口38をダンパ装置40により開放して吸排気量を増加させることで、圧縮機24の負荷軽減を図ることができる。これにより、乾燥負荷増大時の圧縮機24の負荷を軽減でき、乾燥時間が長くなることを防止でき、ひいては消費電力量の増加も抑えることが可能となり、一層効率的な運転が可能となる。
【0031】
第2の排気口38の開口面積S2は、第1の排気口36の開口面積S1より大きく設定している。これにより、第2の排気口38を開放して高湿空気を循環風路10から循環風路外へ排出する際に、常時開放している第1の排気口36と吸気口37の圧力バランスの変動により、第2の排気口38の閉鎖時の吸排気量よりも多くの吸排気量が得られる。これにより、第1の排気口36からの排出量に影響されることなく、確実に乾燥負荷の低減効果が得られる。
【0032】
循環風路10には温風出口9の下流側に位置させてリントフィルタ20が配設され、第2の排気口38は、リントフィルタ20より下流側に存している。これにより、第2の排気口38を開放して循環風路10内の空気を風路外へ排出する際に、リントを捕獲した後の空気を風路外へ排出することになるので、リントが循環風路10の外へ飛散することを防止できる。
【0033】
第2の排気口38には、当該第2の排気口38から排出される空気を筐体1外へ導く排気ダクト39が接続されている。これによれば、第2の排気口38から排出される高温高湿の空気を、確実に筐体1の外部へ排出させることができ、排出した高温高湿空気を再度吸入することを防止できる。
【0034】
排気ダクト39は、筐体1を構成する天井壁1bと接触して配置されているので、排気ダクト39を通る高温高湿の空気は、筐体1の天井壁1bとの間で熱交換が行われ易くなり、通気口43,44から排出される空気の温度および湿度を低下させることが可能となる。これにより、洗濯乾燥機の設置場所周囲の環境を不快にすることを抑制することが可能となる。
【0035】
ダンパ装置40は、乾燥行程中に第2の排気口38を所定時間断続的に開閉動作する。これにより、第2の排気口38を閉鎖した状態で、循環風路10を通る循環空気の高湿度化が増し、圧縮機24の負荷量が増大した時に第2の排気口38を開放することで、高湿空気を効果的に放出することができる。
【0036】
ダンパ装置40は、凝縮器21の温度が所定温度、例えば62℃に達したら第2の排気口38の断続的な開閉動作を開始する。これにより、循環空気の高湿度化が増し、圧縮機24の負荷量が増大した時に、効果的なタイミングで高湿空気を放出させることができる。
【0037】
この場合、圧縮機24の負荷が増大していることを検知する手段としては、凝縮器21の温度に代えて、凝縮器21から乾燥室である水槽3の温風入口8までの間の温度、例えば乾燥室入口用温度センサ31の検知温度が57℃に達したら、ダンパ装置40による第2の排気口38の断続的な開閉動作を開始させるようにしてもよい。これによっても、上記と同様な作用効果を得ることができる。
【0038】
(その他の実施形態)
実施形態では洗濯から乾燥まで行うことができる洗濯乾燥機を例示したが、洗濯機能がない衣類乾燥機であってもよい。
洗濯乾燥機としても、ドラム式の洗濯乾燥機に限られず、水槽および回転槽の軸方向が上下方向を向いた縦軸形の洗濯乾燥機にも適用できる。
【0039】
以上説明したように、本実施形態の衣類乾燥機によれば、乾燥行程中、循環風路に設けた第1の排気口および吸気口により、循環空気の吸排気を常時行い、乾燥負荷増大時に、循環風路に設けた第2の排気口をダンパ装置により開放して吸排気量を増加させることで、圧縮機の負荷軽減を図ることができる。これにより、乾燥負荷増大時の圧縮機の負荷を軽減でき、乾燥時間が長くなることを防止でき、ひいては消費電力量の増加も抑えることが可能となり、一層効率的な運転が可能となる。
【0040】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
図面中、1は筐体、1bは天井壁(壁)、3は水槽(乾燥室)、8は温風入口、9は温風出口、10は循環風路、15は送風機、20はリントフィルタ、21は凝縮器、22は蒸発器、23はヒートポンプ、24は圧縮機、25は絞り装置、28は凝縮器用温度センサ、31は乾燥室入口用温度センサ、36は第1の排気口、37は吸気口、38は第2の排気口、39は排気ダクト、40はダンパ装置(開閉手段)、41はダンパ板、42はダンパモータ、43,44は通気口、45は制御装置(制御手段)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5
図6