特許第6545975号(P6545975)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6545975
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】車輌用灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 41/148 20180101AFI20190705BHJP
   F21S 41/30 20180101ALI20190705BHJP
   F21S 41/40 20180101ALI20190705BHJP
   F21S 43/14 20180101ALI20190705BHJP
   F21S 43/30 20180101ALI20190705BHJP
   F21S 45/47 20180101ALI20190705BHJP
   F21W 102/19 20180101ALN20190705BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20190705BHJP
【FI】
   F21S41/148
   F21S41/30
   F21S41/40
   F21S43/14
   F21S43/30
   F21S45/47
   F21W102:19
   F21Y115:10
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-34117(P2015-34117)
(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公開番号】特開2016-157568(P2016-157568A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2018年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100116942
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 雅信
(74)【代理人】
【識別番号】100167704
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 裕人
(74)【代理人】
【識別番号】100114122
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 伸夫
(74)【代理人】
【識別番号】100086841
【弁理士】
【氏名又は名称】脇 篤夫
(72)【発明者】
【氏名】小杉 一貴
(72)【発明者】
【氏名】山本 薫
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−195152(JP,A)
【文献】 特開2014−107025(JP,A)
【文献】 特開2014−007106(JP,A)
【文献】 特開2014−107015(JP,A)
【文献】 特開2011−023169(JP,A)
【文献】 特開2013−030283(JP,A)
【文献】 特開2013−197022(JP,A)
【文献】 特開2008−226788(JP,A)
【文献】 特開2010−160925(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/148
F21S 41/30
F21S 41/40
F21S 43/14
F21S 43/30
F21S 45/47
F21W 102/19
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、
前記光源から出射される光を反射する反射面を有するリフレクターと、
前記反射面の前側に位置された前方面に向かう光の少なくとも一部を遮蔽する遮光部を有するシェードとを備え、
前記シェードには、前記光源から出射されて外部へ向かう光の一部が透過される透過孔が形成され
前記遮光部と前記透過孔が同一平面上に位置された
車輌用灯具。
【請求項2】
前記遮光部が前記光源と前記前方面を結ぶ領域に位置された
請求項1に記載の車輌用灯具。
【請求項3】
前記前方面が微小な凹凸形状に形成された
請求項1又は請求項2に記載の車輌用灯具。
【請求項4】
前記光源が配置される配置部材が設けられ、
前記シェードが前記配置部材に取り付けられ、
前記透過孔と前記遮光部が前後に位置された
請求項1、請求項2又は請求項3に記載の車輌用灯具。
【請求項5】
開口を有するランプボデイと前記開口を閉塞するカバーとによって構成された灯具外筐が設けられ、
前記灯具外筐の内部には前記光源からの光の出射時に発生する熱を放出するヒートシンクが設けられ、
前記ヒートシンクの一部が前記カバーの内面に対向して位置された
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4に記載の車輌用灯具。
【請求項6】
前記光源は半導体発光素子であり、発光部の輝度が30cd/mm2以上にされた
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4又は請求項5に記載の車輌用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を反射するリフレクターを有する車輌用灯具についての技術分野に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0002】
【特許文献1】実公平6−50881号公報
【背景技術】
【0003】
車輌用灯具には、例えば、カバーとランプハウジングによって構成された灯具外筐の内部に光源とリフレクターが配置され、光源から出射された光の一部がリフレクターで反射されて外部へ向けて照射されるタイプがある。
【0004】
このような車輌用灯具には、リフレクターに機能の異なる第1の面と第2の面が形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。第1の面は、例えば、光源から出射される光を反射して配光パターンを形成するための配光形成面として形成され、第2の面は、例えば、配光パターンの形成に寄与しない非配光形成面として形成されている。
【0005】
光源から出射された光は一部が第1の面で反射されて配光パターンを形成する光として外部へ向けて照射される。光源から出射された光の別の一部は第2の面にも向かい、第2の面に入射される。
【0006】
このようなタイプの車輌用灯具にあっては、第2の面に入射された光が反射されて対向車輌や先行車輌に対する幻惑光になることを防止する手段が必要であり、特許文献1に記載された車輌用灯具においては、第2の面にローレット加工等による乱反射溝が形成されている。光源から出射され第2の面に入射された光は乱反射溝によって乱反射されるため、幻惑光が生じ難くされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような第2の面に乱反射溝が形成された場合に、乱反射溝で乱反射された光の反射方向によっては乱反射された光が対向車輌や先行車輌の存在する方向へ向かう可能性もあり、幻惑光の発生を十分に抑制することができないおそれがある。
【0008】
一方、車輌用灯具においては、外部へ向けて照射される光の良好な照射状態を確保して視認性の向上及び安全性の向上を図る必要もある。
【0009】
そこで、本発明車輌用灯具は、上記した問題点を克服し、幻惑光の発生を十分に抑制すると共に外部へ向けて照射される光の良好な照射状態を確保することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1に、本発明に係る車輌用灯具は、光源と、前記光源から出射される光を反射する反射面を有するリフレクターと、前記反射面の前側に位置された前方面に向かう光の少なくとも一部を遮蔽する遮光部を有するシェードとを備え、前記シェードには、前記光源から出射されて外部へ向かう光の一部が透過される透過孔が形成され、前記遮光部と前記透過孔が同一平面上に位置されたものである。
【0011】
これにより、前方面に向かう光の少なくとも一部が遮光部によって遮蔽されると共に光の一部が透過孔を透過されて外部へ向かう。
【0012】
第2に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記遮光部が前記光源と前記前方面を結ぶ領域に位置されることが望ましい。
【0013】
これにより、前方面に向かう光を最も効率的に遮蔽することが可能になる。
【0014】
第3に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記前方面が微小な凹凸形状に形成されることが望ましい。
第4に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記光源が配置される配置部材が設けられ、前記シェードが前記配置部材に取り付けられ、前記透過孔と前記遮光部が前後に位置されることが望ましい。
【0015】
これにより、前方面に入射された光が凹凸形状によって拡散される。そして、シェードにともに必要な構成とされる透過孔と遮光部が近付いて位置されてシェードが最小限の大きさになる。
【0016】
第5に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、開口を有するランプボデイと前記開口を閉塞するカバーとによって構成された灯具外筐が設けられ、前記灯具外筐の内部には前記光源からの光の出射時に発生する熱を放出するヒートシンクが設けられ、前記ヒートシンクの一部が前記カバーの内面に対向して位置されることが望ましい。
【0017】
これにより、配置部材から放出される熱がカバーに伝達され、カバーの表面に付着される雪や氷を溶融することが可能になる。
【0018】
第6に、上記した本発明に係る車輌用灯具においては、前記光源は半導体発光素子であり、発光部の輝度が30cd/mm2以上にされることが望ましい。
【0019】
これにより、光源が良好な配光パターンを形成するために十分な輝度を有する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、前方面に向かう光の少なくとも一部が遮光部によって遮蔽されると共に光の一部が透過孔を透過されて外部へ向かうため、遮光部によって幻惑光の発生を十分に抑制することができると共に光が透過孔を透過されることにより外部へ向けて照射される光の良好な照射状態を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図2乃至図5と共に本発明の実施の形態を示すものであり、本図は、車輌用灯具の縦断面図である。
図2】カバーを取り外した状態で示す車輌用灯具の正面図である。
図3】配置部材の斜視図である。
図4】シェードの斜視図である。
図5】エクステンションに前方面が形成された例を示す車輌用灯具の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下に、本発明車輌用灯具を実施するための形態について添付図面を参照して説明する。
【0023】
以下に示した実施の形態は、本発明車輌用灯具をヘッドランプに適用したものである。尚、本発明の適用範囲はヘッドランプに限られることはなく、クリアランスランプ、テールランプ、ターンシグナルランプ、ストップランプ、デイタイムランニングランプ、コーナーリングランプ、ハザードランプ、ポジションランプ、バックランプ、フォグランプ等又はこれらの組み合わせであるコンビネーションランプ等の各種の車輌用灯具に広く適用することができる。
【0024】
車輌用灯具1は、それぞれ車体の前端部における左右両端部に取り付けられて配置されている。
【0025】
車輌用灯具1はランプハウジング2とカバー3を備えている(図1参照)。ランプハウジング2とカバー3によって灯具外筐4が構成され、灯具外筐4の内部空間が灯室5として形成されている。
【0026】
ランプハウジング2はアルミニウム等の熱伝導性の高い金属材料によって形成され、前端に開口2aを有している。ランプハウジング2は開口2aがカバー3によって閉塞されている。ランプハウジング2の後端寄りの位置における上端部には取付面部2bが設けられ、取付面部2bは左右に延び前後方向を向く形状に形成されている。ランプハウジング2の後端部には前後に貫通された通孔2cが形成され、ランプハウジング2には通孔2cを閉塞するバックカバー6が取り付けられている。
【0027】
灯室5にはリフレクター7と配置部材8が配置されている(図1及び図2参照)。
【0028】
リフレクター7は前方及び上方に開口する凹状にされた機能面部9と機能面部9の外周縁から外側に張り出された閉塞面部10とが一体に形成されて成る。
【0029】
機能面部9には、下端部における前端部を除く部分に反射面9aが形成され、反射面9aの前縁に連続する位置に前方面9bが形成されている。反射面9aは、例えば、配光パターンを形成するための配光形成面として形成され、前方面9bは、例えば、配光パターンの形成に寄与しない非配光形成面として形成されている。前方面9bは上方を向きローレット加工等による微小な凹凸形状に形成されている。従って、前方面9bに入射された光は凹凸形状によって拡散される。
【0030】
閉塞面部10は機能面部9の上縁を除く部分から外側に張り出され前後方向を向く状態にされている。リフレクター7が灯室5に配置された状態においては、閉塞面部10によって閉塞面部10の後側の部分が閉塞される。
【0031】
配置部材8はアルミニウム等の熱伝導性の高い金属材料によって形成され、熱を伝達し放出するヒートシンクとして設けられている。配置部材8は配置部11とフィン形成部12と被取付面部13を有している(図1及び図3参照)。
【0032】
配置部11は前端の左右方向における長さが後端の左右方向における長さより長くされ後方に行くに従って左右方向における幅が大きくなる形状に形成されている。配置部11の左右方向における中央部の上面側には第1のフィン11a、11a、・・・が設けられ、第1のフィン11a、11a、・・・は前後に延び左右に並んで位置されている。配置部11の下面には下方に突出された図示しない二つの位置決めピンが左右に離隔して設けられている。配置部11は左右両端部を除く部分が左右両端部に対して下方に突出された突状部11bとして設けられている。突状部11bには下方に開口されたネジ穴11cが形成されている。
【0033】
フィン形成部12は配置部11の前端に連続して設けられ、左右に延びる形状に形成されている。フィン形成部12の前面側には左右に並ぶ第2のフィン12a、12a、・・・が設けられている。フィン形成部12には第1のフィン11a、11a、・・・の前端が連続されている。フィン形成部12は第2のフィン12a、12a、・・・がカバー3の内面に対向して位置されている。
【0034】
被取付面部13は配置部11の後端に連続して設けられ、左右に延び前後方向を向く板状に形成されている。被取付面部13の後面は接触面13aとして形成されている。被取付面部13には第1のフィン11a、11a、・・・の後端が連続されている。
【0035】
配置部材8はリフレクター7の上端部にネジ止め等によって取り付けられると共に被取付面部13がランプハウジング2の取付面部2bにネジ止め等によって取り付けられている。配置部材8がランプハウジング2に取り付けられた状態においては、被取付面部13の接触面13aが取付面部2bの前面に面接触された状態にされている。
【0036】
尚、被取付面部13の接触面13aと取付面部2bの前面との間には熱伝導性を有するグリスや接着剤等が塗布され、接触面13aと取付面部2bの前面とがこれらのグリスや接着剤等を介して接触されていることが望ましい。接触面13aと取付面部2bの前面とがグリスや接着剤等を介して接触されることにより、接触面13aと取付面部2bの前面との良好な接触状態が確保される。
【0037】
配置部材8の配置部11の下面には基板14が取り付けられ、基板14の下面には光源15が搭載されている。光源15としては、例えば、指向性を有する半導体発光素子である発光ダイオード(LED)が用いられている。
【0038】
配置部材8の配置部11の下面にはシェード16が取り付けられている(図1及び図2参照)。シェード16は被取付板部17と連結板部18と遮蔽板部19とが一体に形成されて成る(図4参照)。
【0039】
被取付板部17は上下方向を向き、左右方向における中央部にネジ挿通孔17aを有し、ネジ挿通孔17aの左右にそれぞれ位置決め孔17b、17bを有している。
【0040】
連結板部18は被取付板部17の左右方向における中央部の後縁から下方に突出されている。
【0041】
遮蔽板部19は連結板部18の下縁から後方に突出され、上下に貫通された透過孔19aを有している。遮蔽板部19の先端部は遮光部19bとして設けられ、透過孔19aと遮光部19bが前後に位置されている。遮光部19bは光源15とリフレクター7の前方面9bを結ぶ領域に位置されている(図1参照)。
【0042】
シェード16は被取付板部17の位置決め孔にそれぞれ配置部材8の位置決めピンが挿入されて配置部材8に位置決めされている。シェード16はネジ挿通孔17aに挿通されネジ穴11cに螺合された取付ネジ100によって配置部11に取り付けられている。シェード16が配置部11に取り付けられた状態においては、遮蔽板部19が配置部11から下方に離隔して位置され、遮光部19bが光源15の真下より稍前側に位置される。
【0043】
上記のように構成された車輌用灯具1において、光源15から光が出射されると、出射された光の一部がシェード16の外周側を通ってリフレクター7の反射面9aに向かい、反射面9aで反射されカバー3を透過されて外部へ向けて照射され所定の配光パターンが形成される(図1の光A、B、C参照)。配光パターンは、例えば、ロービームとしての配光パターンである。
【0044】
また、光源15から出射された光の別の一部はシェード16の遮蔽板部19、特に、遮光部19bによって遮蔽される。このとき遮光部19bは、上記したように、光源15とリフレクター7の前方面9bを結ぶ領域に位置されているため、光源15から出射された光は、遮光部19bによって遮蔽されることにより前方面9bに入射されない。即ち、光源15から出射された光は図1に示す範囲Hには達しないようにされている。
【0045】
このように、車輌用灯具1にあっては、前方面9bがリフレクター7の前端部に形成され、遮光部19bが光源15と前方面9bを結ぶ領域に位置されているため、前方面9bに向かう光を最も効率的に遮蔽して対向車輌や先行車輌に対する幻惑光の発生を効率的に抑制することができる。
【0046】
光源15から出射された光にはシェード16の透過孔19aを透過される光(直射光)が存在する。透過孔19aを透過された光は、前方面9bの前側を通ってカバー3を透過されて前斜め下方に向かい、路面における自車輌の直ぐ前側の領域に照射される(図1の光D、E参照)。従って、自車輌の運転者における良好な視認性が確保される。
【0047】
尚、光源15からの光の出射時には、前方面9bに迷光等として光が入射される可能性があるが、入射された光は微小な凹凸形状に形成された前方面9bで拡散される。従って、前方面9bに迷光等として光が入射された場合においても、対向車輌や先行車輌に対する幻惑光が発生し難く、幻惑光の発生を抑制することができる。
【0048】
上記した光源15からの光の出射時には、光源15の駆動に伴う熱が発生する。発生した熱は光源15と基板14からヒートシンクとして機能する配置部材8に伝達され、配置部材8からランプハウジング2に伝達される。ランプハウジング2はアルミニウム等の熱伝導性の高い金属材料によって形成されており、ランプハウジング2の全体から放熱が行われ高い放熱性が確保される。
【0049】
また、このとき配置部材8からも熱が放出され、特に、第1のフィン11a、11a、・・・と第2のフィン12a、12a、・・・からの放熱が行われる。第1のフィン11a、11a、・・・から放出された熱は灯室5に存在する空気を介してカバー3に伝達される。
【0050】
このように車輌用灯具1にあっては、ヒートシンクとして機能する配置部材8の一部がカバー3の内面に対向して位置されているため、配置部材8から放出される熱がカバー3に伝達され、カバー3の表面に付着される雪や氷の溶融に寄与する。
【0051】
また、配置部材8のフィン形成部12は車輌用灯具1の正面からカバー3を介して視認される部分とされており、フィン形成部12が視認されたときには第1のフィン11a、11a、・・・が装飾として認識される。従って、フィン形成部12がカバー3の内面に対向して位置されていることにより、車輌用灯具1のデザイン性の向上を図ることが可能である。
【0052】
また、同様に、正面から車輌用灯具1が視認されたときには前方面9bの視認も可能な状態にあり、前方面9bの微小な凹凸形状が装飾として認識され、前方面9bが微小な凹凸形状に形成されていることにより車輌用灯具1のデザイン性の一層の向上を図ることが可能である。
【0053】
以上に記載した通り、車輌用灯具1にあっては、光源として設けられた光源15と、反射面9aと前方面9bを有するリフレクター9と、前方面9bに向かう光の少なくとも一部を遮蔽する遮光部19bを有するシェード16とを備え、シェード16には、車輌用灯具1の外部へ向かう光の一部が透過される透過孔19aが形成されている。
【0054】
従って、前方面9bに向かう光が遮光部19bによって遮蔽されると共に光の一部が透過孔19aを透過されて外部へ向かうため、遮光部19bによって幻惑光の発生を十分に抑制することができると共に光が透過孔19aを透過されることにより外部へ向けて照射される光の良好な照射状態を確保することができる。
【0055】
また、光源15が配置される配置部材8が設けられ、シェード16が配置部材8に取り付けられ、透過孔19aと遮光部19bが前後に位置されている。
【0056】
従って、シェード16にともに必要な構成とされる透過孔19aと遮光部19bが近付いて位置されてシェード16が最小限の大きさになり、シェード16の小型化による車輌用灯具1の小型化を図ることができる。
【0057】
尚、車輌用灯具1にあっては、光源15は発光部の輝度が30cd/mm以上にされており、良好な配光パターンを形成するために十分な輝度を有している。
【0058】
従って、遮光部19bによって幻惑光の発生を防止した上で適正な明るさの配光パターンを形成することができる。また、光源15から出射される光が高い輝度を有しているため、複数の光源を用いる必要がなく単一の光源15を用いて車輌用灯具1を構成することが可能であり、部品点数の削減及び製造コストの低減を図った上で良好な配光パターンを形成することが可能な車輌用灯具1を構成することができる。
【0059】
尚、シェード16を有さない従来の構成において、光源をハロゲンランプからハロゲンランプより指向性の高い半導体発光素子(光源15)に変更した場合には、幻惑光の発生を十分に抑制することができない。従って、本発明のように、半導体発光素子である光源15と幻惑光の発生を防止するためのシェード16とを用いる構成は、良好な配光パターンを形成した上で幻惑光の発生を十分に抑制する点において、特に有用な構成である。
【0060】
上記には、シェード16の遮光部19bによって前方面9bの全体に光が入射されない例を示したが、例えば、シェード16の遮光部19bによって前方面9bの一部に光が入射されない構成にすることも可能である。
【0061】
また、上記には、リフレクター7に前方面9bが形成された例を示したが、例えば、リフレクター7には前方面9bが形成されず、リフレクター7の下端部における前側にエクステンション20が配置され、エクステンション20に前方面20aが形成されていてもよい(図5参照)。
【0062】
エクステンション20は上面が前方面20aとして形成され、前方面20aは、例えば、ローレット加工等による微小な凹凸形状に形成されている。従って、前方面20aに入射された光は凹凸形状によって拡散される。
【0063】
エクステンション20に前方面20aが形成された構成の場合には、シェード16の遮光部19bが光源15と前方面20aを結ぶ領域に位置されており、光源15から出射された光は、遮光部19bによって遮蔽されることにより前方面20aに入射されない。即ち、光源15から出射された光は図5に示す範囲Hには達しないようにされている。
【0064】
このようなエクステンション20に前方面20aが形成された構成においても、遮光部19bによって幻惑光の発生を十分に抑制することができると共に光が透過孔19aを透過されることにより外部へ向けて照射される光の良好な照射状態を確保することができる。
【符号の説明】
【0065】
1…車輌用灯具、2…ランプハウジング、3…カバー、4…灯具外筐、7…リフレクター、8…配置部材、9a…反射面、9b…前方面、15…光源、16…シェード、19a…透過孔、19b…遮光部、20a…前方面
図1
図2
図3
図4
図5