【実施例】
【0054】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明の技術的範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の%は特段の表記が無い限り重量%を意味し、評価は下記の方法で行った。
【0055】
(1)有機純度
HPLC装置としてWaters社製Separations Module 2690、検出器としてWaters社製Dual λ Absorbance Detector 2487(UV−264nm)、カラムとして東ソー(株)製TSKgel ODS−120T 2.0mm×150mm(5μm)を用い、溶離液に蒸留水とアセトニトリルとの混合液を用いて、カラム温度40℃で0→12min:アセトニトリル50%、12→17min:アセトニトリル50→80%、17→27min:アセトニトリル80%、27→34min:アセトニトリル80→100%、34→60min:100%のグラジエントプログラムにて測定した。測定は、ペンタエリスリトールジホスホネート50±0.5mgをアセトニトリル25mlに溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、測定した。純度は面積%として算出した。
【0056】
(2)水溶解度
20℃に調温された蒸留水100gに、ペンタエリスリトールジホスホネートを少量ずつ添加し、添加ごとに1分間撹拌した後に目視にて溶解を確認した。溶解が確認された最大の添加量を水への溶解度とした。
【0057】
(3)全含有ハロゲン成分
JIS K 7229に準拠し測定した。
【0058】
(4)全揮発性有機物含有量
HPLC装置としてWaters社製Separations Module 2690、検出器としてWaters社製Dual λ Absorbance Detector 2487(UV−264nm)および示差屈折検出器、カラムとして東ソー(株)製TSKgel ODS−120T 2.0mm×150mm(5μm)を用い、溶離液に蒸留水とアセトニトリルとの混合液を用いて、カラム温度40℃で0→12min:アセトニトリル50%、12→17min:アセトニトリル50→80%、17→27min:アセトニトリル80%、27→34min:アセトニトリル80→100%、34→60min:100%のグラジエントプログラムにて測定した。測定は、ペンタエリスリトールジホスホネート50±0.5mgをアセトニトリル25mlに溶解させた後、孔径0.2μmのPTFEフィルターでろ過し、測定した。製造時に使用した揮発性有機物の検量線をあらかじめ作成し、ペンタエリスリトールジホスホネート中の揮発性有機物の残存量を求めた。
【0059】
(5)ΔpH値
pH測定装置(株式会社堀場製作所製 HORIBA pH METER D−52)を使用し、次に示す方法により測定した。測定に使用する蒸留水99gに1gの分散剤(フェノール型非イオン界面活性剤)を加え撹拌し、得られた水溶液のpHを測定した(測定値をpH1とする)。当該水溶液にペンタエリスリトールジホスホネートを1g加え1分間撹拌した後に、ペンタエリスリトールジホスホネートを濾過した。得られた濾液のpHを測定した(測定値をpH2とする)。ΔpH値は下記式(I)により算出した。
ΔpH値=|pH1−pH2| …(I)
【0060】
(6)体積基準メジアン径および最大粒径
日機装株式会社製マイクロトラックHRAを用い測定した。測定条件は、粒子透過性:透過、粒子形状:非球形、粒子屈折率:1.60、溶媒屈折率:1.33とした。
【0061】
(7)防炎性
FMVSS−302に準拠し、防炎性の評価を行った。評価に当たっては、FMVSS−302に規定される、標線を越えてからの燃焼距離、標線を越えてからの燃焼時間、標線を越えてからの燃焼速度をそれぞれ3回測定した。不燃は標線以下で自己消火、遅燃は標線を越えて60秒以内かつ5cm以内で自己消火したことを示す。なお、燃焼速度が10cm/分を越えるものは不合格である。
【0062】
(8)難燃性
米国UL規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に準じて評価を行った。どの試験片も炎を取り去った後の燃焼が10秒以内で消火し、且つ、滴下物が無い又は滴下物が綿着火をおこさないものがV−0、燃焼が30秒以内で消火し、且つ、滴下物が綿着火をおこすものがV−2であり、この評価基準以下のものをnotVとした。
【0063】
(9)チョーキング試験
実施例及び比較例で作製したシート布から適宜の大きさの試験片を切り出し、その樹脂加工面を爪で引っ掻いて白化の度合いを観察した。評価基準は以下の通り。
○:ほとんど白化しない
△:白化するが粉落ち少ない
×:白化し、粉落ち多い
【0064】
(10)外観評価
目視にて観察し、以下の評価基準に従い、評価を行った。
○:凝集物が無い、または良好な色相・外観
△:凝集物が少ない、または中程度の色相・外観
×:凝集物が多い、または色相・外観が悪い
【0065】
調製例1
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(式(2)記載の化合物、FR−1)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジベンジロキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン22.55g(0.055モル)、ベンジルブロマイド19.01g(0.11モル)およびキシレン33.54g(0.32モル)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、還流温度(約130℃)で4時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン20mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン20mLでリパルプ洗浄を2回実施した。得られた粗精製物とメタノール40mLをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約4時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール20mLで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10
2Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶20.60g(0.050モル)を得た。生成物は質量スペクトル分析、
1H、
31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析で2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイドであることを確認した。得られた白色鱗片状結晶を粉砕機(フロイントターボ社製ターボミル)にて粉砕した。
本文記載の方法で測定した有機純度は99.5%、融点は256℃、20℃における水溶解度は0.01g/100g水、全含有ハロゲン成分は100ppm、全揮発性有機物含有量は200ppm、ΔpHは0.5、体積基準メジアン径は18μm、最大粒径は150μmであった。
【0066】
調製例2
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイド(式(3)記載の化合物、FR−2)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン5180.7g(61.0モル)を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×10
2Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。得られた固体は
1H、
31P核磁気共鳴スペクトル分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
【0067】
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にて1−フェニルエチルブロマイド2204.06g(11.91モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約4時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10
2Paで19時間乾燥し、白色の鱗片状結晶1845.9g(4.23モル)を得た。生成物は質量スペクトル分析、
1H、
31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析で2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイドであることを確認した。得られた白色鱗片状結晶を粉砕機(フロイントターボ社製ターボミル)にて粉砕した。
本文記載の方法で測定した有機純度は99.0%、20℃における水溶解度は0.01g/100g水、全含有ハロゲン成分は150ppm、全揮発性有機物含有量は220ppm、ΔpHは0.6、体積基準メジアン径は20μm、最大粒径は160μmであった。
【0068】
調製例3
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド(式(4)記載の化合物、FR−3)の調製
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器にペンタエリスリトール816.9g(6.0モル)、ピリジン19.0g(0.24モル)、トルエン2250.4g(24.4モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に三塩化リン1651.8g(12.0モル)を該滴下ロートを用い添加し、添加終了後、60℃にて加熱攪拌を行った。反応後、室温まで冷却し、得られた反応物に塩化メチレン5180.7g(61.0モル)を添加し、氷冷しながらターシャリーブタノール889.4g(12.0モル)および塩化メチレン150.2g(1.77モル)を滴下した。得られた結晶をトルエンおよび塩化メチレンにて洗浄しろ過した。得られたろ取物を80℃、1.33×10
2Paで12時間乾燥し、白色の固体1341.1g(5.88モル)を得た。
1H、
31P核磁気共鳴スペクトル分析により2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイドである事を確認した。
【0069】
温度計、コンデンサー、滴下ロートを備えた反応容器に得られた2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジヒドロ−3,9−ジオキサイド1341.0g(5.88モル)、DMF6534.2g(89.39モル)を仕込み、攪拌した。該反応容器に氷冷下ナトリウムメトキシド648.7g(12.01モル)を添加した。氷冷にて2時間攪拌した後に、室温にて5時間攪拌を行った。さらにDMFを留去した後に、DMF2613.7g(35.76モル)を添加し、該反応混合物に氷冷にて(2−ブロモエチル)ベンゼン2183.8g(11.8モル)滴下した。氷冷下3時間攪拌した後、DMFを留去し、水8Lを加え、析出した固体を濾取、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約4時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10
2Paで19時間乾燥し、白色鱗片状結晶1924.4g(4.41モル)を得た。生成物は質量スペクトル分析、
1H、
31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析で2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイドであることを確認した。得られた白色鱗片状結晶を粉砕機(フロイントターボ社製ターボミル)にて粉砕した。
本文記載の方法で測定した有機純度は99.1%、融点は249℃、20℃における水溶解度は0.01g/100g水、全含有ハロゲン成分は120ppm、全揮発性有機物含有量は250ppm、ΔpHは0.3、体積基準メジアン径は22μm、最大粒径は140μmであった。
【0070】
調製例4
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド(式(5)記載の化合物、FR−4)の調製
攪拌装置、攪拌翼、還流冷却管、温度計を備えた10リットル三つ口フラスコに、ジフェニルメチルホスホン酸ジクロリドを2058.5g(7.22モル)とペンタエリスリトール468.3g(3.44モル)、ピリジン1169.4g(14.8モル)、クロロホルム8200gを仕込み、窒素気流下、60℃まで加熱し、6時間攪拌させた。反応終了後、クロロホルムを塩化メチレンで置換し、当該反応混合物にに蒸留水6Lを加え攪拌し、白色粉末を析出させた。これを吸引濾過により濾取し、水2Lで2回洗浄した。得られた粗精製物とメタノール4Lをコンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に入れ、約4時間還流した。室温まで冷却後、結晶をろ過により分離し、メタノール2Lで洗浄した後、得られたろ取物を120℃、1.33×10
2Paで19時間乾燥し、白色鱗片状結晶1156.2g(2.06モル)を得た。生成物は質量スペクトル分析、
1H、
31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析で2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイドであることを確認した。得られた白色鱗片状結晶を粉砕機(フロイントターボ社製ターボミル)にて粉砕した。
本文記載の方法で測定した有機純度は98.9%、20℃における水溶解度は0.01g/100g水、全含有ハロゲン成分は200ppm、全揮発性有機物含有量は250ppm、ΔpHは0.7、体積基準メジアン径は25μm、最大粒径は180μmであった。
【0071】
調製例5
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(式(2)記載の化合物、FR−5)の調製
粉砕機による粉砕をしなかった以外は、調製例1記載の調製方法にて2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイドの合成を行った。
本文記載の方法で測定した有機純度は99.5%、融点は256℃、20℃における水溶解度は0.01g/100g水、全含有ハロゲン成分は100ppm、全揮発性有機物含有量は200ppm、ΔpHは0.5、体積基準メジアン径は40μm、最大粒径は300μmであった。
【0072】
調製例6
2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド(式(2)記載の化合物、FR−6)の調製
攪拌機、温度計、コンデンサーを有する反応容器に、3,9−ジベンジロキシ−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン22.55g(0.055モル)、ベンジルブロマイド19.01g(0.11モル)およびキシレン33.54g(0.32モル)を充填し、室温下攪拌しながら、乾燥窒素をフローさせた。次いでオイルバスで加熱を開始し、還流温度(約130℃)で4時間加熱、攪拌した。加熱終了後、室温まで放冷し、キシレン20mLを加え、さらに30分攪拌した。析出した結晶をろ過により分離し、キシレン20mLで1回洗浄し、白色結晶をろ取した。120℃、1.33×10
2Paで24時間乾燥し、白色の結晶21.22g(0.052モル)を得た。生成物は質量スペクトル分析、
1H、
31P核磁気共鳴スペクトル分析および元素分析で2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイドであることを確認した。得られた白色結晶を粉砕機(フロイントターボ社製ターボミル)にて粉砕した。
本文記載の方法で測定した有機純度は97.0%、融点は253℃、20℃における水溶解度は0.01g/100g水、全含有ハロゲン成分は1300ppm、全揮発性有機物含有量は1100ppm、ΔpHは1.3、体積基準メジアン径は21μm、最大粒径は140μmであった。
【0073】
実施例で用いる有機リン系化合物は、下記のものを使用した。
(i)調製例1で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{式(2)のリン系化合物(以下FR−1と称する)}を用いた。
(ii)調製例2で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジα−メチルベンジル−3,9−ジオキサイド{式(3)のリン系化合物(以下FR−2と称する)}を用いた。
(iii)調製例3で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジ(2−フェニルエチル)−3,9−ジオキサイド{式(4)のリン系化合物(以下FR−3と称する)}を用いた。
(iv)調製例4で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン,3,9−ビス(ジフェニルメチル)−3,9−ジオキサイド{式(5)のリン系化合物(以下FR−4と称する)}を用いた。
(v)調製例5で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{式(2)のリン系化合物(以下FR−5と称する)}を用いた。
(vi)調製例6で合成した2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン,3,9−ジベンジル−3,9−ジオキサイド{式(2)のリン系化合物(以下FR−6と称する)}を用いた。
(vii)市販のリン酸エステル系難燃剤(大八化学工業株式会社製PX−200、以下PX−200と称する)を用いた。
【0074】
[実施例1〜4および比較例1、2]<繊維用防炎加工剤での評価>
自動車内装用カーシート布を以下の加工液でコーティング処理した後、防炎性および諸物性に関して試験した。
(試布):ポリエステル100%織物カーシート布(目付300g/m
2)を使用した。
(加工剤):固形分45%のポリアクリル酸エステルエマルジョン100部に非イオン界面活性材1.5部、ポリアクリル酸系増粘剤1部及び25%アンモニア水0.5部を加え、攪拌しながら上記有機リン系化合物(FR−1〜FR−6)を30部加えた。得られた加工剤を25℃にて24時間静置し、下記判定基準に基づき保存安定性の評価を行った。
○:目視判定により、凝集や沈殿が見られない。
×:目視判定により、凝集や沈殿が見られる。
(処理方法):上記方法にて調製した加工剤をドクターナイフ方式でコーティングした(調製後3時間以内の加工剤を使用した)。加工剤の固形分付着量は100g/m
2とした。乾燥はプレドライが80℃で5分間、キュアリングは150℃で1分間とした。
(試験結果):安定性、防炎性、チョーキング試験、外観評価の結果について下記表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】
[実施例5〜8および比較例3、4]<エポキシ樹脂での評価>
フェノールノボラック型エポキシ樹脂EPICLON N−770(大日本インキ工業(株)製、エポキシ当量190g/eq)100重量部、ジシアンジアミド5.5重量部、有機リン系化合物(FR−1〜FR−6)30重量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール0.1部に、メチルエチルケトンを加え、不揮発分濃度50重量%となるようにワニスを調製した。この樹脂ワニスを用いて、ガラスクロス(厚さ0.18mm、日東紡績(株)製)100部にワニス固形分で80部含浸させて、150℃の乾燥機炉で4分乾燥させ、樹脂含有量44.4%のプリプレグを作製した。得られたプリプレグ8枚を重ね、その上下に厚さ35μmの電解銅箔を重ねて、圧力3.9×10
6Pa、温度170℃で120分加熱加圧成形を行い、厚さ1.6mmの両面銅張り積層板を得た。得られた積層板について、難燃性を測定した。一方、上記調製の樹脂ワニスをガラス板上に塗布し、室温/1時間乾燥させた後、乾燥炉にて、80℃1時間、150℃1時間、170℃2時間乾燥させた。得られた樹脂について、外観評価を実施した。評価結果を表2に示した。
【0077】
【表2】
【0078】
[実施例9〜14および比較例5〜8]<耐衝撃性ポリスチレン樹脂での評価>
市販の耐衝撃性ポリスチレン(PSジャパン株式会社製HIPS H9152)100重量部に対して、有機リン系化合物(FR−1〜FR−6、PX−200)を表3記載の組成で添加し、タンブラーにて配合し、15mmφ二軸押出機(テクノベル製、KZW15)を用いて、シリンダー温度200℃にてペレット化し、得られたペレットを70℃の熱風乾燥機にて4時間乾燥を行った。該ペレットを射出成形機((株)日本製鋼所製、JSW J75EIII)を用いて、シリンダー温度210℃、金型温度40℃にて厚み1.6mmのUL−94燃焼試験片および厚み2mmの見本板を成形した。得られた成形板を用いて難燃性、外観評価を実施した結果を表3に示した。
【0079】
【表3】