(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546021
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】発泡粒子充填装置
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20190705BHJP
B29C 44/00 20060101ALN20190705BHJP
【FI】
B65G65/40 B
!B29C44/00 G
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-132472(P2015-132472)
(22)【出願日】2015年7月1日
(65)【公開番号】特開2017-13963(P2017-13963A)
(43)【公開日】2017年1月19日
【審査請求日】2018年4月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】503280400
【氏名又は名称】ジェイ・エス・ピー・モールディング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094547
【弁理士】
【氏名又は名称】岩根 正敏
(72)【発明者】
【氏名】広田 守
(72)【発明者】
【氏名】山中 雅士
(72)【発明者】
【氏名】大貫 貴正
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆二
【審査官】
土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】
特開平11−139491(JP,A)
【文献】
特開2004−255723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 65/40
B29C 44/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホッパー装置と送給管路と充填機とを備える発泡粒子充填装置であって、前記ホッパー装置が送給管路を介して充填機と接続され、前記充填機が成形型の充填口に接続されており、前記充填機は、前記送給管路を通じてホッパー装置内の発泡粒子を吸引して成形型のキャビティ内に発泡粒子を供給、充填し、充填後には送給管路内の発泡粒子をブローバックによりホッパー装置内に戻す発泡粒子充填装置であり、
上記ホッパー装置は、発泡粒子が供給される供給口が上部に、発泡粒子が排出される排出口が下部に設けられ、前記排出口に発泡粒子の上記送給管路が接続されるホッパー装置であり、前記ホッパー装置内において上下方向に開口し、上記排出口の内径以上の内径を有する管部材が設けられており、前記管部材の下端が前記排出口の上方において該排出口との間に発泡粒子が流通する間隙を設けた位置にて開口し、前記管部材の上端が発泡粒子の貯留高さ以上の位置にて開口していることを特徴とする、発泡粒子充填装置。
【請求項2】
上記管部材の内径は、上記排出口の内径の1.05〜1.7倍であることを特徴とする、請求項1に記載の発泡粒子充填装置。
【請求項3】
上記管部材の下端開口と上記排出口との間隙は、5〜50mmであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の発泡粒子充填装置。
【請求項4】
上記管部材は円管部材であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡粒子充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発泡粒子を成形型のキャビティ内に供給、充填する、ホッパー装置及び発泡粒子充填装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、成形型のキャビティ内に発泡粒子を充填し、加熱媒体を用いて発泡粒子同士を融着一体化させることにより、発泡粒子成形体を得る装置において、発泡粒子を成形型のキャビティ内に供給、充填する、発泡粒子充填装置が用いられている。
例えば、特許文献1〜3には、発泡粒子が供給される供給口が上部に、発泡粒子が排出される排出口が下部に設けられ、前記排出口に発泡粒子の送給管路が接続されるホッパー装置、前記ホッパー装置と前記送給管路と更に充填機を備えた発泡粒子充填装置が一般的に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−46623号公報
【特許文献2】特開平5−77331号公報
【特許文献3】特開平8−174551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、発泡粒子成形体の製造に際しては、発泡粒子を金型内に充填する際に使用されるホッパー装置や充填装置が原因となり、発泡粒子の充填不良や、成形体の成形不良が発生する場合がある。
例えば、ホッパー装置内の発泡粒子を吸引して成形型のキャビティ内に発泡粒子を供給、充填する操作がスムースに行われない場合には、発泡粒子の充填不良やサイクルタイムの長期化の原因となるおそれがある。
また、成形金型のキャビティ内への発泡粒子の供給、充填後、充填機や送給管路内等に残存する発泡粒子をホッパー装置内へ戻す操作(以下、ブローバックということがある)が、完全に行われない場合には、残った発泡粒子の存在によって充填機のピストンが閉まりきらず、発泡粒子の充填口部分の成形体表面に突起が形成されてしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上述した背景技術が有する課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、ホッパー装置内の発泡粒子を円滑に成形型のキャビティ内に供給、充填することができるとともに、充填後においては、送給管路内の発泡粒子をブローバックによりホッパー装置内へ確実に戻すことができ、発泡粒子の充填性や型内成形性を向上させることができる、
発泡粒子充填装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、発泡粒子を円滑に成形型のキャビティ内に供給するためには、発泡粒子とともに適量の空気を吸引して流動し易い状態で発泡粒子を搬送することが必要であること、また、充填後において送給管路内等の発泡粒子をブローバックによりホッパー装置内へ確実に戻すためには、送給管路が接続されたホッパー装置の排出口付近に発泡粒子が多量に溜まっていないことが必要であるとの知見を得、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、次の(1)〜(4)に記載した
発泡粒子充填装置とした。
(1)
ホッパー装置と送給管路と充填機とを備える発泡粒子充填装置であって、前記ホッパー装置が送給管路を介して充填機と接続され、前記充填機が成形型の充填口に接続されており、前記充填機は、前記送給管路を通じてホッパー装置内の発泡粒子を吸引して成形型のキャビティ内に発泡粒子を供給、充填し、充填後には送給管路内の発泡粒子をブローバックによりホッパー装置内に戻す発泡粒子充填装置であり、
上記ホッパー装置は、発泡粒子が供給される供給口が上部に、発泡粒子が排出される排出口が下部に設けられ、前記排出口に発泡粒子の
上記送給管路が接続されるホッパー装置であ
り、前記ホッパー装置内において上下方向に開口し、
上記排出口の内径以上の内径を有する管部材が設けられており、前記
管部材の下端が前記排出口
の上方において該排出口との間に発泡粒子が流通する間隙を設けた位置にて開口し、前記
管部材の上端が発泡粒子の貯留高さ以上の位置にて開口していることを特徴とする、
発泡粒子充填装置。
(2)
上記管部材の内径は、上記排出口の内径の1.05〜1.7倍であることを特徴とする、上記(1)に記載の
発泡粒子充填装置。
(3)
上記管部材の下端開口と上記排出口との間隙は、5〜50mmであることを特徴とする、上記(
1)又は(2)に記載の
発泡粒子充填装置。
(4)上記管部材は円管部材であることを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の発泡粒子充填装置。
【発明の効果】
【0007】
上記した本発明に係る
発泡粒子充填装置によれば、ホッパー装置内において上下方向に開口した
管部材が設けられており、前記
管部材の下端が排出口との間に発泡粒子が流通する間隙を設けた位置にて開口し、前記
管部材の上端が貯留されている発泡粒子の貯留高さ以上の位置にて開口しているので、充填時においては、発泡粒子とともに排出口の上方に配置された
管部材を介して空気が吸引されて、流動し易い状態で発泡粒子が搬送されることとなり、成形型のキャビティ内の細部にまで発泡粒子を良好に充填できるものとなり、また、充填後においては、ホッパー装置内に配置された
管部材の存在により、ホッパー装置へのブローバックの流れが良好に形成され、ブローバックにより、ホッパー装置内へ確実に発泡粒子を戻すことができるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】発泡粒子成形体を製造する装置の全体を概念的に示した側面図である。
【
図2】充填機の一例を概念的に示した縦断側面図である。
【
図3】本発明に係るホッパー装置の一実施形態を概念的に示した縦断側面図である。
【
図4】
図3に示したホッパー装置の一部切欠き正面図である。
【
図5】気体流通路の下端と排出口の位置関係を例示した、部分縦断側面図である。
【
図6】気体流通路の下端と排出口の位置関係を例示した、別の部分縦断側面図である。
【
図7】本発明に係るホッパー装置及び発泡粒子充填装置の作用を説明するための概念的な縦断側面図(発泡粒子充填時)である。
【
図8】本発明に係るホッパー装置及び発泡粒子充填装置の作用を説明するための概念的な縦断側面図(ブローバック時)である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るホッパー装置及び発泡粒子充填装置の一実施形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0010】
図1は、発泡粒子成形体を製造する装置の全体を概念的に示した側面図であり、該図において、成形型10は、固定型11と移動型12とからなり、これらの固定型11と移動型12の対向面間に、キャビティ13が形成されている。14,15は、固定型11と移動型12のそれぞれの背後に形成された加熱室である。この成形型10には、充填機20が取り付けられており、ホッパー装置30内に収容されている発泡粒子を送給管路40を介して該充填機20に導き、この充填機20から、上記成形型10のキャビティ13内に発泡粒子が供給、充填される。
【0011】
発泡粒子としては、熱可塑性樹脂からなることが好ましく、具体的には、ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、スチレン改質ポリオレフィンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ブタジエン変性ポリスチレン(耐衝撃性ポリスチレン)、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体などのスチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂等の樹脂により形成された発泡粒子が好ましい。
なお、発泡粒子は、公知の方法で製造されたもの、例えば、樹脂粒子に発泡剤を含浸させた後、加熱によって発泡された粒子や、押出発泡法で製造された粒子が挙げられる。
【0012】
図2は、充填機の構成を概念的に示した図である。この充填機20は、その筒状になった本体21の先端側を移動型12を外側から貫通させてこの本体21の内部空間22を、成形型10のキャビティ13の充填口16に接続した状態で取り付けられている。この本体21の内部空間22は、発泡粒子の流路として利用されるとともに、本体21の基端側に設けられたシリンダー23により移動するピストン24の摺動空間としても利用される。25は、本体21の内部空間22の基端側に連通させて本体21に一体的に設けた発泡粒子の流入部で、この流入部25の開口端には、送給管路40が接続され、ホッパー装置30内と連通されている。また、本体21の基端部には、該本体21を貫通させて内部空間22に連通する空気流入部26が形成され、この空気流入部26には、図示しない圧縮空気供給手段が接続されている。なお、充填機20と成形型の充填口16とは、図に示すように直接接続されていてもよく、また、ホースや配管を介して接続されていてもよい。
【0013】
図3及び
図4は、本発明に係るホッパー装置を示している。このホッパー装置30は、上部の蓋に発泡粒子の供給口31が設けられており、外部からホッパー装置30内へ発泡粒子が送り込まれ、レベル計32によって、一定量の発泡粒子をホッパー装置30内に貯留するように構成されている。ホッパー装置30の底面には、複数の発泡粒子の排出口33が形成されている。この排出口33の下方には、該排出口33に合致する貫通孔34が穿設されたシャッター35が駆動装置36にてスライド自在に設けられている。そして、シャッター35をスライドさせることによって、ホッパー装置30内に貯留された発泡粒子の排出口33からの流出を遮断可能にしている。シャッター35の下方には、接続口37が突設され、該接続口37には、発泡粒子の送給管路40が接続され、その送給管路40の他端には、上記した充填機20が接続されている。なお、ホッパー装置には、
図4に示すように、排出口と気体流通路を複数設けることができる。
【0014】
ホッパー装置30内には、上下方向に開口した気体流通路39が設けられており、この気体流通路39の下端が前記排出口33との間に発泡粒子が流通する間隙を設けた位置にて開口し、この気体流通路39の上端が発泡粒子の貯留高さ以上の位置にて開口している。この気体流通路39は、図示した実施形態においては、各排出口33の上方において、上下方向に開口し、連通した管部材により構成されている。
【0015】
なお、気体流通路を円管部材39により構成した場合、この円管部材39は、排出口33の上方において同心状に正しく配置されているとともに、その内径は、排出口33の内径以上に形成されていることが、該円管部材39が気体流通路として十分に機能する上で好ましい。かかる観点及び設置スペースの観点から、配設する円管部材39の内径は、排出口33の内径の1〜2倍であることが好ましく、1.05〜1.7倍であることが更に好ましく、1.1〜1.5倍であることが特に好ましい。
また、円管部材39の下端開口と排出口33との間隙は、発泡粒子が良好に通過できる間隙であることが必要であるとともに、気体流通路として十分に機能させる観点から、5〜50mmの間隙であることが好ましく、10〜45mmの間隙であることが更に好ましく、15〜40mmの間隙であることが特に好ましい。なお、上記の間隙が形成されていれば、円管部材39の下端は排出口33の下方にあってもよく(
図5参照)、排出口33の上方に配置されていてもよい(
図6参照)が、排出口33の上方に円管部材39の下端が配置されていることが好ましい。
円管部材39の上端開口は、該円管部材39に、ホッパー装置30内に貯留されている発泡粒子が入り込まないように、該円管部材39の開口部に発泡粒子が被らない高さである、発泡粒子の貯留高さ以上の位置に配置されていることが必要である。また、ホッパー装置30への発泡粒子の供給口31からの発泡粒子の直接流入を避けるため、円管部材39の上端開口の上方に邪魔板を設ける、或いは、供給口31にダクトを設置し、該ダクトの開口を円管部材39の上端開口より下方とする等の方策を採ることが好ましい。
【0016】
上記したように構成された装置を用い、発泡粒子成形体を製造する工程、及びその際の各装置の作用・効果を、次に説明する。
先ず、ホッパー装置30内に供給口31から発泡粒子を送り込み、レベル計32にて貯留量を感知しながらその送り込み量を制御し、ホッパー装置30内に一定量の発泡粒子が貯留させている状態とする。
続いて、固定型11と移動型12とからなる一対の成形型10を型閉めし、充填機20のシリンダー23を作動させて、ピストン24の位置を、
図2に示すように本体21の内部空間22の基端側に後退させる。また、ホッパー装置30のシャッター35を駆動装置36にてスライドさせ、発泡粒子の排出口33を開口させる。
【0017】
上記の状態で、充填機20の空気流入部26から圧縮空気を供給する。供給された圧縮空気は、本体21の内部空間22から充填口16を通じて成形型10のキャビティ13内に流入し、キャビティ13を画成する固定型11と移動型12の板面に設けられた図示しない細孔又はスリットを通じて、その背後の加熱室14,15から外部に流出する。このとき、充填機20の本体21の内部空間22の発泡粒子の流入部25付近は、負圧状態となって、流入部25側からホッパー装置30内に入れた発泡粒子が吸引される。この際、
図7に示したようにホッパー装置30内に貯留された発泡粒子とともに、ホッパー装置30の排出口33の近傍において開口する気体流通路39を介して空気も吸引されるため、発泡粒子が空気と共に流動し易い状態で搬送されることとなり、成形型10のキャビティ13内に発泡粒子が良好に充填される。また、気体流通路39は、前記気体流通路の上端が貯留されている発泡粒子の貯留高さ以上の位置にて開口しているので、ホッパー装置内に貯留されている発泡粒子の影響を受けずに、効率的に空気を吸気して排出口部分や送給管路に空気を送り込むことが可能となる。なお、気体流通路39が存在しない場合には、ホッパー装置30の排出口33部分で発泡粒子が閉塞したり、搬送時に送給管路40等が閉塞又は脈動する状態となり、発泡粒子の充填不良やサイクルタイムの長期化の原因となるおそれがある。
【0018】
そして、成形型10のキャビティ13内に発泡粒子が充填され、充填機20の先端まで発泡粒子が詰められると、圧縮空気の行き場がなくなり、ブローバック現象が発生し、流入部25を介してホッパー装置30側に圧縮空気が逆流するようになる。この逆流した圧縮空気の流れは、充填機20の内部空間22、流入部25、そして送給管路40内に残存した発泡粒子をホッパー装置30内に戻す。この際、ホッパー装置30内においては、
図8に示したように、ホッパー装置30の排出口33の近傍に開口する気体流通路39の存在により、ホッパー装置30へのブローバック気流の流れが良好に形成され、ホッパー装置30に戻された発泡粒子は、気体流通路39を通って上方に送られ、上端開口からホッパー装置30内に噴出され、送給管路40等に残存した発泡粒子は、ブローバックによりホッパー装置30内へ確実に戻される。なお、気体流通路39が存在しない場合には、ホッパー装置30の排出口33部分で発泡粒子が閉塞し、発泡粒子が送給管路40内、充填機20の内部空間22内等に取り残され、取り残された発泡粒子が次のサイクルの成形に際して、充填口部分の成形体表面に突起が形成されてしまう等の影響を及ぼすおそれがある。このため、ブローバックの圧力を強くしたり、ブローバックの時間を長くしたりする必要がある。
【0019】
次に、充填機20のシリンダー23を作動させ、ピストン24を前進させてキャビティ13の充填口16を閉止するとともに、ホッパー装置30のシャッター35を駆動装置36にてスライドさせ、発泡粒子の排出口33を閉口させる。
そして、キャビティ13を画成する固定型11と移動型12の背後の加熱室14,15に蒸気管から蒸気を供給し、キャビティ13内に充填した発泡粒子を熱溶着させて一体に成形する。その後、加熱室14,15内に水管及び/又は空気管から水及び/又は空気を供給し、成形品を冷却する。次に、成形型10を型開きし、成形品を離型ピンで押出して取り出すことにより、発泡粒子成形体の製造が完了する。なお、前記送給管路40に発泡粒子が取り残されている場合には、取り残された発泡粒子が発泡粒子成形体の充填口部分の突起の原因となるおそれがある。
【0020】
以上から、上記したホッパー装置及び発泡粒子充填装置によれば、ホッパー装置30内に、下端が排出口33との間に発泡粒子が流通する間隙を設けて開口し、上端が貯留されている発泡粒子の貯留高さ以上の位置に開口する、気体流通路39を配設したので、充填機20のホッパー装置30内の発泡粒子を吸引するに際して、発泡粒子とともに排出口33の近傍に開口する気体流通路39を介して空気も吸引されるため、発泡粒子が空気とともに流動し易い状態で搬送されることとなり、成形型10のキャビティ13内の細部にまで発泡粒子を良好に充填できる。したがって、原料の充填不良や、成形サイクルの長期化などが生じ難いものとなる。
【0021】
また、充填後においては、ホッパー装置30の排出口33の近傍に開口する気体流通路39の存在により、ホッパー装置30へのブローバック気流の流れが良好に形成され、充填機20の内部空間22や送給管路40内等に残存する発泡粒子を、ブローバックによりホッパー装置30内へ確実に戻すことができるので、充填機20のピストン24による充填口16の閉鎖が良好にできる。したがって、充填機20の内部空間22などに残った発泡粒子がピストン24により押し込まれた際に生じる、充填口部分の発泡粒子成形体表面の突起が形成され難いものとなる。さらに、上記したように発泡粒子を成形型10のキャビティ13内に供給、充填する操作、及び送給管路40内等に残存する発泡粒子をブローバックによりホッパー装置30内へ戻す操作が良好に行われることから、これらの操作の時間を短縮することができ、成形サイクルを短くすることが可能となる。
【0022】
以上、本発明に係る発泡粒子充填装置の実施形態を説明したが、本発明は、何ら既述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形、変更が可能であることは当然である。
例えば、上記実施形態において示した充填機20の構成は、一例を示したに過ぎず、ホッパー装置内の発泡粒子を吸引して成形型のキャビティ内に発泡粒子を供給、充填し、充填後には発泡粒子をブローバックによりホッパー装置内に戻す機構を有する充填機であれば、種々の構成の充填機が、本発明においては採用することができる。
また、上記実施形態においては、ホッパー装置30内に配置する気体流通路として、円管部材39をそれぞれの排出口33の上方に上下方向に配置したものを説明したが、気体流通路を構成する管部材は、角管や楕円管などの部材であってもよく、また複数個、例えば隣り合う2、3個の排出口の上方に、共用する管部材を1本気体流通路として配置したものとしてもよい。なお、本明細書においては、管部材の開口端の形状が、円形の場合には直径の長さを、多角形の場合には対角線の最大長さを、楕円形の場合には長径の長さを、内径の長さとする。
さらには、気体流通路は、発泡粒子が流入する穴径或いは網目より小さい穴ものであれば、パンチングメタル、金網等で形成されたものとしてもよい。また、排出口の形状も同様に角型形状や楕円形状であってもよいが、管部材39が円形状である場合には、排出口も円形であることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明に係るホッパー装置及び発泡粒子充填装置は、ホッパー装置内の発泡粒子を円滑に成形型のキャビティ内に供給、充填することができるとともに、充填後においては、送給管路内の発泡粒子をブローバックによりホッパー装置内へ確実に戻すことのできるものであるため、発泡粒子成形体の製造に際して用いる、ホッパー装置及び原料充填装置として、広く適用可能である。
【符号の説明】
【0024】
10 成形型
11 固定型
12 移動型
13 キャビティ
14,15 加熱室
16 充填口
20 充填機
21 本体
22 内部空間
23 シリンダー
24 ピストン
25 発泡粒子流入部
26 空気流入部
30 ホッパー装置
31 発泡粒子供給口
32 レベル計
33 発泡粒子排出口
34 貫通孔
35 シャッター
36 駆動装置
37 接続口
38 通気窓
39 円管部材(気体流通路)
40 送給管路