特許第6546022号(P6546022)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546022
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】通帳取扱装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/00 20190101AFI20190705BHJP
【FI】
   G07D11/00 391A
【請求項の数】8
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-137494(P2015-137494)
(22)【出願日】2015年7月9日
(65)【公開番号】特開2017-21504(P2017-21504A)
(43)【公開日】2017年1月26日
【審査請求日】2018年2月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】504373093
【氏名又は名称】日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司
(74)【代理人】
【識別番号】100129218
【弁理士】
【氏名又は名称】百本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】近藤 久貴
(72)【発明者】
【氏名】田辺 真三
【審査官】 井出 和水
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−081470(JP,A)
【文献】 実開平05−082961(JP,U)
【文献】 特開平04−078988(JP,A)
【文献】 特開平09−050553(JP,A)
【文献】 特開昭62−050995(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0127790(US,A1)
【文献】 特開2013−186582(JP,A)
【文献】 特開2003−151006(JP,A)
【文献】 特開平10−279091(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 11/00 − G07D 13/00
G09F 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冊子状の通帳を収容する収容体と、
前記収容体において前記通帳の一方の平面に対向する壁面に設けられており、前記一方の平面に接触しつつ前記通帳を前記一方の平面に沿った方向に送り出す送り出し部材と、
前記収容体の通帳を前記送り出し部材とは反対側の他方の平面から付勢する押圧部材と、を備え、
前記押圧部材には、
前記冊子状の通帳の開口端側の両角部を支持する複数の支持部が形成されている
ことを特徴とする通帳取扱装置。
【請求項2】
前記壁面には、
前記通帳における前記他方の平面が前記押圧部材によって付勢されている状態において、前記送り出し部材が前記壁面の開口部から突出することにより前記方の平面と前記壁面との間に形成された隙間を埋めるように前記一方の平面に接する補助部材が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の通帳取扱装置。
【請求項3】
前記送り出し部材は、前記壁面の上下方向において、前記補助部材の間に位置し、かつ、前記補助部材と交互に位置するように、複数設けられているとともに、
前記壁面には、前記複数の送り出し部材に対応する位置に矩形状の開口部がそれぞれ形成されており、前記複数の送り出し部材の一部が前記それぞれの開口部から露出している
ことを特徴とする請求項2に記載の通帳取扱装置。
【請求項4】
前記補助部材は、前記壁面に、前記複数の送り出し部材のうちの各送り出し部材を挟んで両側に複数設けられており、
前記壁面には、前記複数の送り出し部材のうちの少なくとも一方の送り出し部材を挟んで両側に前記複数の送り出し部材が設けられている
ことを特徴とする請求項3に記載の通帳取扱装置。
【請求項5】
前記押圧部材には、
前記複数の支持部の間に切り欠き部が形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の通帳取扱装置。
【請求項6】
記切り欠き部、前記冊子状の通帳を把持して前記収容体に補充する際に補充者の手の指が前記押圧部材により妨げられないように形成されている
ことを特徴とする請求項5に記載の通帳取扱装置。
【請求項7】
前記押圧部材は、その下辺端部が前記冊子状の通帳の下辺端部よりも下側に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の通帳取扱装置。
【請求項8】
前記押圧部材に固定された部材であって、前記壁面に向けて押すことにより前記押圧部材を前記壁面に近づけたり、前記壁面から遠ざけることにより前記押圧部材を前記壁面から引き離すための手がけを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の通帳取扱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現金自動預払機などにおいて通帳を取り扱う通帳取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばATM(Automated Tellers Machine)のような金融機関システムに採用されている自動取引装置は、装置取扱者によって挿入された通帳にこれ以上記帳できる欄がなくなると、スタッカーから新しい通帳を取り出して発行する機能を備えているものが存在している(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−140239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなスタッカーには常時新しい通帳が収容されているが、このスタッカー内に収容されている通帳が紙などの材質である場合、温度、湿度の変化や時間の経過に応じて通帳の角部が変形してしまうことがある。このような変形が生じると、スタッカーから送り出されて搬送路において通帳の角部が折れてしまったりジャムが発生するおそれがあった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、温度、湿度の変化や時間の経過によっても通帳の角部が変形することを抑制できる通帳取扱装置を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明においては、冊子状の通帳を収容する収容体と、前記収容体において前記通帳の一方の平面に対向する壁面に設けられており、前記一方の平面に接触しつつ前記通帳を前記一方の平面に沿った方向に送り出す送り出し部材と、前記収容体の通帳を前記送り出し部材とは反対側の他方の平面から付勢する押圧部材と、を備える通帳取扱装置において、前記押圧部材には、前記冊子状の通帳の開口端側の両角部を支持する複数の支持部が形成されているようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、温度、湿度の変化や時間の経過によって通帳の角部が変形しにくくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態による通帳取扱装置の構成を示すブロック図である。
図2】通帳繰出部の上面図である。
図3】通帳繰出部のスタッカーの正面図である。
図4】通帳繰出部のスタッカーを正面左上側から見た斜視図である。
図5】通帳繰出部のスタッカーを正面右上側から見た右斜視図である。
図6】(a)通帳繰出部のスタッカーの左側面図であり、(b)通帳繰出部のスタッカーの右側面図である。
図7】押板の他の形状を示す通帳繰出部のスタッカーの左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。なお、本実施形態では、銀行システムなどの金融機関システムに採用されるATM(Automated Tellers Machine)として、新規の通帳を発行することができる通帳繰出部を備える通帳取扱装置について説明する。通帳取扱装置は、金融機関システムにおける上位制御装置と各種情報をやりとりする。
【0010】
(1)本実施形態による通帳取扱装置の構成
図1は、本実施形態による通帳取扱装置100の構成の一例を示す。通帳取扱装置100は、装置取扱者によって冊子状の通帳1が挿入される挿入口2と、この挿入口2に挿入される通帳1を搬送する搬送手段3と、通帳1に設けられた磁気ストライプに書き込まれる装置取扱者の取引情報を読み取り又は書き込む記録部4と、通帳1の印字済み行数やページ数を読み取る光学センサ5と、通帳1に装置取扱者の取引内容の印字を行う印字部6と、通帳1のページめくりを行うページ替え部7と、通帳取扱装置100の全体の制御を行う制御部8と、駆動手段9と、複数種類の新規の通帳を収容して発行することができる2つの通帳繰出部10a,10bと、装置取扱者の通帳1に記入可能な欄がなくなったとき一時的に待避する待避路11と、を備えている。
【0011】
搬送手段3は、搬送方向の上流側から下流側までに亘って所定間隔ごとに上下一対のローラが設けられ、通帳1を上下一対のローラにより挟持すると共に、上下一対のローラの回転により搬送方向の上流側から下流側までに亘る搬送路において通帳1を往復させて搬送することができる。
【0012】
駆動手段9は、搬送モータ、駆動機構、及び接続切機構を備え、搬送モータの出力を、駆動機構を介して、搬送手段3の複数の上下一対のローラの回転として伝達することができる。駆動手段9は、待避路11へ搬送された通帳1を、接続機構を介して、搬送手段3から切り離して待避路11に待避する状態としたり、待避路11に待避する通帳1を、接続機構を介して、搬送手段3に接続して再び搬送する状態としたりすることができる。
【0013】
2つの通帳繰出部10a,10bのうち、通帳繰出部10aには、A種の新規の通帳とB種の新規の通帳とがそれぞれ複数収容されていると共に、通帳繰出部10bには、C種の新規の通帳とD種の新規の通帳とがそれぞれ複数収容されている。
【0014】
制御部8は、搬送手段3、記録部4、光学センサ5、印字部6、ページ替え部7、駆動手段9、2つの通帳繰出部10a,10bと電気的に接続されていると共に、金融機関システムにおける上位制御装置と電気的に接続されている。
【0015】
(2)本実施形態による通帳取扱装置の動作
ここで、本実施形態による通帳取扱装置100の動作について説明する。まず、装置取扱者が通帳1を開いた状態で挿入口2から挿入すると、通帳1が搬送手段3における搬送方向の上流側に搬送されて上下一対のローラにより挟持される状態となる。このような状態となると、制御部8は、駆動手段9の搬送モータを駆動開始して搬送手段3の上下一対のローラを回転することにより通帳1を挿入口2から通帳取扱装置100内に取り込んで搬送方向の下流側に向かって通帳1を搬送開始する。
【0016】
制御部8は、通帳1を記録部4まで搬送すると、通帳1の磁気ストライプから装置取扱者の取引情報を記録部4により読み出し、この読み出した装置取扱者の取引情報に基づいて、金融機関システムにおける上位制御装置と各種情報をやりとりする。
【0017】
制御部8は、通帳1をページ替え部7まで搬送すると、駆動手段9の搬送モータを駆動停止して通帳1を搬送手段3の上下一対のローラで挟持して固定した状態とする。制御部8は、通帳1の表紙ページをページ替え部7でページめくりすると、光学センサ5からの検出信号に基づいて、通帳1の印字済み行数やページ数を読み取り、印字することができるページとなるまでページ替え部7でページめくりする。制御部8は、金融機関システムにおける上位制御装置とやりとりした各種情報に基づいて、装置取扱者の取引内容の印字を印字部6で行うと共に、ページに印字する印字行がなくなると、ページ替え部7でページめくりして装置取扱者の取引内容の印字を印字部6で継続する。
【0018】
続いて、制御部8は、印字部6による印字を完了すると、駆動手段9の搬送モータを駆動開始して搬送手段3の上下一対のローラを回転して搬送方向の上流側に向かって通帳1を搬送開始する。
【0019】
制御部8は、通帳1を記録部4まで搬送すると、通帳1の磁気ストライプに装置取扱者の取引情報の記録を記録部4で書き込み、搬送手段3の上流側から挿入口2に搬出して駆動手段9の搬送モータを駆動停止する。これにより、挿入口2から搬出される通帳1を装置取扱者に返却する状態とする。
【0020】
なお、制御部8は、金融機関システムにおける上位制御装置とやりとりした各種情報に基づいて、装置取扱者の取引内容の印字を印字部6で行ってページに印字する印字行がなくなると、ページ替え部7でページめくりして装置取扱者の取引内容の印字を印字部6で継続している場合に通帳1が満記となったときには駆動手段9の搬送モータを駆動開始して搬送手段3の上下一対のローラを回転して搬送方向の下流側に向かって通帳1を搬送開始して待避路11へ搬送する。制御部8は、駆動手段9の接続切機構に備える電気的駆動源(例えばモータやソレノイド)を制御して待避路11へ搬送された通帳1を、接続機構を介して、搬送手段3から切り離して待避路11に待避する状態とする。
【0021】
待避路11に通帳1が待避されると、制御部8は、2つの通帳繰出部10a,10bに収容されている複数種類の新規の通帳のうち、待避路11へ搬送された通帳1と対応する種類の新規の通帳を2つの通帳繰出部10a,10bを制御して閉じた状態で搬送手段3に繰り出す。制御部8は、駆動手段9の搬送モータを駆動開始して搬送手段3の上下一対のローラを回転して新規の通帳の表紙ページを印字部6に向かって搬送開始する。制御部8は、新規の通帳の表紙ページを印字部6により印字開始する位置まで搬送すると、駆動手段9の搬送モータを駆動停止して搬送手段3の上下一対のローラで挟持して固定した状態とする。制御部8は、記録部4により読み出した装置取扱者の取引情報に基づいて、装置取扱者の名前や支店名を印字部6で行い、ページ替え部7で表紙ページをページめくりして装置取扱者の取引内容の印字を印字部6で継続する。
【0022】
続いて、制御部8は、印字部6による印字を完了すると、駆動手段9の搬送モータを駆動開始して搬送手段3の上下一対のローラを回転して搬送方向の上流側に向かって新規の通帳を搬送開始し、新規の通帳を記録部4まで搬送すると、新規の通帳の磁気ストライプに装置取扱者の取引情報の記録を記録部4で書き込み、搬送手段3の上流側から挿入口2へ搬出して駆動手段9の搬送モータを駆動停止する。これにより、挿入口2から搬出される新規の通帳を装置取扱者に返却する状態とする。
【0023】
装置取扱者が挿入口2から新規の通帳を取り出すと、制御部8は、駆動手段9の接続切機構に備える電気的駆動源を制御して待避路11に待避する通帳1を、接続機構を介して、搬送手段3に接続して再び搬送する状態とする。制御部8は、駆動手段9の搬送モータを駆動開始して搬送手段3の上下一対のローラを回転して搬送方向の上流側に向かって通帳1を搬送開始する。この制御部8は、通帳1を記録部4まで搬送すると、通帳1の磁気ストライプに装置取扱者の取引情報の記録を記録部4で書き込み、搬送手段3の上流側から挿入口2へ搬出する。さらに制御部8は、駆動手段9の搬送モータを駆動停止する。これにより、挿入口2から搬出される通帳1を装置取扱者に返却する状態とする。
【0024】
(3)本実施形態による通帳繰出部の構成
続いて、2つの通帳繰出部10a,10bの構成の一例について説明する。2つの通帳繰出部10a,10bはほぼ同一の構成であるため、通帳繰出部10aについて説明する。
【0025】
図2は、通帳繰出部10aの上面図であり、図3は、通帳繰出部10aのスタッカーSの正面図である。図4は、通帳繰出部10aのスタッカーSを正面左上側から見た斜視図であり、図5は、通帳繰出部10aのスタッカーSを正面右上側から見た右斜視図である。
【0026】
通帳繰出部10aは、複数種類の新規の通帳を収容する収容体としてのスタッカーSが着脱自在に装着されている。スタッカーSは、所定距離寸法離間して配置される壁面13a,13bにより、A種の新規の通帳20を複数収容するスタッカーSAと、B種の新規の通帳21を複数収容するスタッカーSBとから構成されている。壁面13a,13bは、略U字状に折り曲げて形成される薄肉板がそれぞれ開口端側を塞ぐように合わせて配置されることにより薄肉板の平らな後面によりそれぞれ構成されている。また略U字状に折り曲げて形成される薄肉板がそれぞれ開口端側を塞ぐように合わせて配置されることにより内部空間が形成されている。
【0027】
A種の新規の通帳20を複数収容するスタッカーSAは、A種の新規の通帳20の綴じ目側が通帳繰出部10aの底板側となる向きとなるように(A種の新規の通帳20の開口端側が通帳繰出部10aの底板側と反対側の向きとなるように)、壁面13aからA種の新規の通帳20を一冊ずつ順番に整列した状態で配置されている。スタッカーSAは、壁面13aから最も遠い最後尾のA種の新規の通帳20に対してバネによる復元力が板状の押板12aを介して付与されることにより押板12aによる押圧が壁面13aに向かって付与される状態となっている。
【0028】
B種の新規の通帳21を複数収容するスタッカーSBは、B種の新規の通帳21の綴じ目側が通帳繰出部10aの底板側となる向きとなるように(A種の新規の通帳20の開口端側が通帳繰出部10aの底板側と反対側の向きとなるように)、壁面13bからB種の新規の通帳21を一冊ずつ順番に整列した状態で配置されている。スタッカーSBは、壁面13bから最も遠い最後尾のB種の新規の通帳21に対してバネによる復元力が板状の押板12bを介して付与されることにより押板12bによる押圧が壁面13bに向かって付与される状態となっている。
【0029】
所定距離寸法離間して配置される壁面13a,13bより形成される内部空間には、スタッカーSAに複数収容されるA種の新規の通帳20を通帳繰出部10aの底板に形成される繰出溝に繰り出す上側ローラ14aaと下側ローラ14abと、スタッカーSA用繰出モータと、スタッカーSA用繰出モータの出力を上側ローラ14aaと下側ローラ14abとの回転として伝達するスタッカーSA用駆動機構とを備える。この内部空間にはさらに、スタッカーSBに複数収容されるB種の新規の通帳21を通帳繰出部10aの底板に形成される繰出溝に繰り出す上側ローラ14baと下側ローラ14bbと、スタッカーSB用繰出モータと、スタッカーSB用繰出モータの出力を上側ローラ14baと下側ローラ14bbとの回転として伝達するスタッカーSB用駆動機構とを備えている。
【0030】
壁面13aには、上側ローラ14aaと下側ローラ14abとに対応する位置に矩形状の開口部がそれぞれ形成され、上側ローラ14aaのローラ面の一部と下側ローラ14abのローラ面の一部とがそれぞれの開口部から露出している状態となっている。また壁面13aには、上側ローラ14aaのローラ面の一部が露出する開口部の上方に矩形状を有する上側フラットバー18aaが設けられている。この壁面13aには、上側ローラ14aaのローラ面の一部が露出する開口部と、下側ローラ14abのローラ面の一部が露出する開口部との間に矩形状を有する中央側フラットバー18abが設けられ、下側ローラ14abのローラ面の一部が露出する開口部の下方に矩形状を有する下側フラットバー18acが設けられている。このように、A種の新規の通帳20と壁面13aとの間に形成される隙間を塞ぐことができる上側フラットバー18aa、中央側フラットバー18ab、及び下側フラットバー18acがそれぞれ設けられている。
【0031】
A種の新規の通帳20が当接する上側フラットバー18aaの面と、A種の新規の通帳20が当接する中央側フラットバー18abの面と、A種の新規の通帳20が当接する下側フラットバー18acの面とは、同一平面上となるように、上側フラットバー18aa、中央側フラットバー18ab、及び下側フラットバー18acの厚みがそれぞれ形成されている。さらにこれらの面が各開口部から一部が露出する上側ローラ14aaのローラ面と下側ローラ14abのローラ面と比べて壁面13a側に対して低く(例えば数ミリ低く)なるように、上側フラットバー18aa、中央側フラットバー18ab、及び下側フラットバー18acの厚みがそれぞれ形成されている。
【0032】
これにより、スタッカーSAに複数収容されるA種の新規の通帳20は、最後尾のA種の新規の通帳20に対してバネによる復元力が板状の押板12aを介して付与されることにより押板12aによる押圧が壁面13aに向かって付与される状態となっているため、先頭のA種の新規の通帳20は、上側ローラ14aaのローラ面と下側ローラ14abのローラ面とによる面圧を確実に得ることができるようになっている。制御部8は、スタッカーSA用繰出モータを駆動開始して上側ローラ14aaと下側ローラ14abとを回転することにより、先頭のA種の新規の通帳20の綴じ目側から通帳繰出部10aの底板に形成される繰出溝に向かって送り出して繰出溝からA種の新規の通帳20を閉じた状態で確実に搬送手段3に繰り出すことができる。
【0033】
また先頭のA種の新規の通帳20の壁面13a側に対向する面は、その開口端側の上側全体が上側フラットバー18aaの面と当接して面圧が付与されていると共に、先頭のA種の新規の通帳20の壁面13a側と反対側の面は、後続の複数のA種の新規通帳20により全体が当接して面圧が付与されている。このため、温度、湿度の変化、時間の経過に伴って先頭のA種の新規の通帳20の両角部の形状が変形することを防止することができることにより、例えば案内板(ガイド)等の繋ぎ目で引っ掛かって繰り出しや搬送の際に先頭のA種の新規の通帳20の角部折れやジャムが発生することを抑制することができる。
【0034】
更に先頭のA種の新規の通帳20の壁面13a側に対向する面は、その開口端側の上部全体が上側フラットバー18aaの面と当接して面圧が付与されているほかに、その中央全体が中央側フラットバー18abの面と当接して面圧が付与され、その綴じ目側全体が下側フラットバー18acの面と当接して面圧が付与されていると共に、先頭のA種の新規の通帳20の壁面13a側と反対側の面は、後続の複数のA種の新規通帳20により全体が当接して面圧が付与されているため、温度、湿度の変化、時間の経過に伴って先頭のA種の新規の通帳20の反りを防止することができる。
【0035】
壁面13bには、壁面13aと同様に、上側ローラ14baと下側ローラ14bbとに対応する位置に矩形状の開口部がそれぞれ形成され、上側ローラ14baのローラ面の一部と下側ローラ14bbのローラ面の一部とがそれぞれの開口部から露出している状態となっている。また壁面13bには、壁面13aと同様に、上側ローラ14baのローラ面の一部が露出する開口部の上方に矩形状を有する上側フラットバー18baが設けられ、上側ローラ14baのローラ面の一部が露出する開口部と、下側ローラ14bbのローラ面の一部が露出する開口部との間に矩形状を有する中央側フラットバー18bbが設けられ、下側ローラ14bbのローラ面の一部が露出する開口部の下方に矩形状を有する下側フラットバー18bcが設けられている。このように、B種の新規の通帳21と壁面13bとの間に形成される隙間を塞ぐことができる上側フラットバー18ba、中央側フラットバー18bb、及び下側フラットバー18bcがそれぞれ設けられている。
【0036】
B種の新規の通帳21が当接する上側フラットバー18baの面と、B種の新規の通帳21が当接する中央側フラットバー18bbの面と、B種の新規の通帳21が当接する下側フラットバー18bcの面とは、同一平面上となるように、これらの面が、各開口部から一部が露出する上側ローラ14baのローラ面と下側ローラ14bbのローラ面と比べて壁面13b側に対して低く(例えば数ミリ低く)なるように、上側フラットバー18ba、中央側フラットバー18bb、及び下側フラットバー18bcの厚みがそれぞれ形成されている。
【0037】
これにより、スタッカーSBに複数収容されるB種の新規の通帳21は、最後尾のB種の新規の通帳21に対してバネによる復元力が板状の押板12bを介して付与されることにより押板12bによる押圧が壁面13bに向かって付与される状態となっているため、先頭のB種の新規の通帳21は、上側ローラ14baのローラ面と下側ローラ14bbのローラ面とによる面圧を確実に得ることができるようになっている。制御部8は、スタッカーSB用繰出モータを駆動開始して上側ローラ14baと下側ローラ14bbとを回転することにより先頭のB種の新規の通帳21の綴じ目側から通帳繰出部10aの底板に形成される繰出溝に向かって送り出して繰出溝からB種の新規の通帳21を閉じた状態で確実に搬送手段3に繰り出すことができる。
【0038】
また先頭のB種の新規の通帳21の壁面13b側に対向する面は、その開口端側の上側全体が上側フラットバー18baの面と当接して面圧が付与されていると共に、先頭のB種の新規の通帳21の壁面13b側と反対側の面は、後続の複数のB種の新規通帳21により全体が当接して面圧が付与されている。このため、温度、湿度の変化、時間の経過に伴って先頭のB種の新規の通帳21の両角部の形状が変形することを抑制できることにより、例えば案内板(ガイド)等の繋ぎ目で引っ掛かって繰り出しや搬送の際に先頭のB種の新規の通帳21の角部折れやジャムが発生することを抑制することができる。
【0039】
更に先頭のB種の新規の通帳21の壁面13b側に対向する面は、その開口端側の上部全体が上側フラットバー18baの面と当接して面圧が付与されているほかに、その中央全体が中央側フラットバー18bbの面と当接して面圧が付与され、その綴じ目側全体が下側フラットバー18bcの面と当接して面圧が付与されていると共に、先頭のB種の新規の通帳21の壁面13a側と反対側の面は、後続の複数のB種の新規通帳21により全体が当接して面圧が付与されている。このため、温度、湿度の変化、時間の経過に伴って先頭のB種の新規の通帳21の反りを防止することができる。
【0040】
(4)本実施形態による押板の形状
次に、スタッカーSAの押板12aとスタッカーSBの押板12bとの構成について説明する。スタッカーSAとスタッカーSBとは、同一の構成であるため、ここでは、スタッカーSAの押板12aについて説明する。なお、スタッカーSBに関する内容や押板12bの各種構成部材については、スタッカーSAに関する内容や押板12aの各種構成部材に付与した符号に続けて括弧書きで示す。図6(a)は、通帳繰出部10aのスタッカーSの左側面図であり、図6(b)は、通帳繰出部10aのスタッカーSの右側面図である。
【0041】
押板12a(12b)は、A種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の外形と比べて小さい矩形状の本体12aa(12ba)の上側両角部に、A種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の開口端側の上側両角部を覆うように反り防止部12ab,12ab(12bb,12bb)を設けて、全体としてY字形状の板状に形成されている。押板12a(12b)がA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)に対して押圧を付与する状態において、押板12a(12b)の本体12aa(12ba)の上辺の中点と下辺の中点とを通る中心線は、A種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の上辺の中点と下辺の中点とを通る中心線と同一直線上に並ぶと共に、押板12a(12b)の本体12aa(12ba)の下辺がA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の下辺より下方に位置する配置となる。
【0042】
このような配置により、押板12a(12b)の本体12aa(12ba)の左辺とA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の左辺との間に左側空間が形成され、押板12a(12b)の本体12aa(12ba)の上辺とA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の上辺との間に上側空間が形成され、押板12a(12b)の本体12aa(12ba)の右辺とA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の右辺との間に右側空間が形成されることとなる。左側空間、上側空間、及び右側空間は、補充者がA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)を補充する際に、補充者の指が入る大きさに形成されていると共に、左側空間と右側空間とは同一の大きさを有すると共に、上側空間は、左側空間、右側空間と比べて大きい空間として形成されている。
【0043】
また押板12a(12b)の本体12aa(12ba)の下辺がA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の下辺より下方に位置するように配置されているため、押板12a(12b)の本体12aa(12ba)の下側全体でA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の綴じ目側を押圧することができる。これにより、A種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の綴じ目による膨らみ量を抑制することができることでA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の姿勢を押板12a(12b)や壁面13a(13b)に対して過度に傾くことを防止することができるため、A種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)を正しい姿勢に維持しながら整列することができる。
【0044】
また反り防止部12ab,12ab(12bb,12bb)は、A種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の上側両角部を当接して押圧を付与することができるため、温度、湿度の変化、時間の経過に伴ってA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の両角部の形状が変形することを防止することができることにより、例えば案内板(ガイド)等の繋ぎ目で引っ掛かって繰り出しや搬送の際にA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の角部折れやジャム等が生じることを抑制することができる。
【0045】
また押板12a(12b)は、反り防止部12ab,12ab(12bb,12bb)が形成されることにより、その上辺中央に切欠部12ac(12bc)が形成される。この切欠部12ac(12bc)は、スタッカーSA(SB)に補充者がA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)を補充する際に、補充者の指が少なくとも4本分が入る大きさとなるように形成されている。これにより、補充者がA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)を補充する際に、補充者の少なくとも4本の指が反り防止部12ab,12ab(12bb,12bb)に妨げられず補充し易くなる。また補充者の指が押板12a(12b)と補充したA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)とにより挟まれることを防止することができると共に、補充者の指が押板12a(12b)に引っかかり難くすることで補充者の指の怪我を防止することもできる。
【0046】
また左側空間、及び右側空間は、補充者がA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)を補充する際に、補充者の指が入る大きさに形成されていると共に、左側空間と右側空間とは同一の大きさを有しているため、スタッカーSA(SB)に補充したA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)の姿勢を矯正する際に利用することができる。
【0047】
また押板12a(12b)は、壁面13a(13b)との空間を広げて補充者がスタッカーSA(スタッカーSB)にA種の新規通帳20(B種の新規の通帳21)を補充する場合において、押板12a(12b)を壁面13a(13b)と反対側に向かって引き出し易くするために、円柱形状を有する取手12ad(12bd)が押板12a(12b)のA種の新規の通帳20(B種の新規の通帳21)と当接して押圧を付与する面と反対側の面に形成されていると共に、取手12ad(12bd)に対して矩形状を有する板状の手掛け12ae(12be)が形成されている。補充者が押板12a(12b)を引き出す際に、手掛け12ae(12be)に補充者の手を引っ掛けることで容易に押板12a(12b)を引き出すことができる。
【0048】
(5)効果
以上のように本実施形態による通帳取扱装置100は、スタッカーSAに収容されるA種の新規の通帳20を送り出し部材の一例としてのローラ14aa,14abにより繰り出す通帳繰出部10aを備え、通帳繰出部10aは、スタッカーSAに収容されるA種の新規の通帳20に対して押圧を付与する押圧部材の一例としての押板12aがローラ14aa,14abが配置されるスタッカーSAの壁面13aと対向するように設けられ、押板12aは、スタッカーSAに収容されるA種の新規の通帳20の開口端側の両角部を支持する支持部の一例としての反り防止部12ab,12abが形成されている。これにより、A種の新規の通帳20の開口端側の両角部に対して反り防止部12ab,12abにより付勢することができる。したがって、温度、湿度の変化や時間の経過によって通帳の開口端側の各角部が変形することを防止することができる。
【0049】
一方、壁面13aには、押板12aによりスタッカーSAに収容されるA種の新規の通帳が壁面13aに押圧されてそのA種の新規の通帳20とローラ14aa,14abとが当接した状態において、そのA種の新規の通帳20と壁面13aとの間に形成される隙間を塞ぐことができる補助部材としての上側フラットバー18aa、中央側フラットバー18ab、及び下側フラットバー18acが設けられている。これにより、温度、湿度の変化、時間の経過に伴ってA種の新規の通帳20の反りを防止することができる。
【0050】
さらに押板12aには、スタッカーSAに収容されるA種の新規の通帳20の開口端側の両角部を支持する反り防止部12ab,12abの間が切り欠かれた形状でなる切欠部12acが形成されている。これにより、スタッカーSAに補充者がA種の新規の通帳20を補充する際に、補充者が指を挟むことなく補充し易くなる。
【0051】
さらに本実施形態による通帳取扱装置100は、この押板12aに固定された部材であって、壁面13aに向けて押すことにより押板12aを壁面13aに近づけたり、この壁面13aから遠ざけることによりこの押板12aを壁面13aから引き離すための手がけ手掛け12aeが設けられている。これにより、補充者が通帳1を補充するために押板12aをスライドさせようとした場合に、補充者の手を手掛け12aeに接触させて動かすことにより容易に押板12aを引き出して通帳1を挿入することができるばかりでなく、その逆の場合に容易に通帳1を取り出すこともできる。
【0052】
(6)他の実施形態
なお、上述した実施形態においては、矩形状を有する押板12aの本体12aaの上側両角部に、A種の新規の通帳20の開口端側の上側両角部を覆うように反り防止部12ab,12abを設けて、全体としてY字形状の板状に押板12aが形成されていたが、他の形状としてもよい。
【0053】
図7は、押板12aの他の形状を示す通帳繰出部10aのスタッカーSの左側面図である。例えば、図7(a)に示すように、A種の新規の通帳20の開口端側の上側両角部を覆うように、矩形状の反り防止部12ab,12abを本体12aaの上側両角部に設けて全体として略Y字形状の板状に押板12aが形成されるようにしてもよい。この場合、本体12aaの上方に矩形状の切欠部12acが形成されることとなる。
【0054】
一方、図7(b)に示すように、A種の新規の通帳20の左辺全体と右辺全体とをそれぞれ覆うように、矩形状の反り防止部12ab,12abを本体12aaの下側において接続することにより全体として英字Eを90度左方向へ回転した形状の板状に押板12aが形成されるようにしてもよい。
【0055】
この場合、本体12aaの上方にU字状の切欠部12acが形成されることとなる。このように押板12aとして、図7(a)及び図(b)に示した形状を採用した場合においても、温度、湿度の変化や時間の経過によってA種の新規の通帳20の両角部の形状が変形することを抑制することができる。なお、図7(a)及び図(b)に示した切欠部12acは、スタッカーSAに補充者がA種の新規の通帳20を補充する際に、補充者の指が少なくとも4本分が入る大きさとなるように形成されている。
【0056】
また図7(a)及び図7(b)に示した形状の押板12aにおいても、円柱形状を有する取手12adがA種の新規の通帳20と当接して押圧を付与する面と反対側の面に形成されていると共に、取手12ad(12bd)に対して矩形状を有する板状の手掛け12aeが形成されている。
【符号の説明】
【0057】
1…通帳、2…挿入口、3…搬送手段、4…記録部、5…光学センサ、6…印字部、7…ページ替え部、8…制御部、9…駆動手段、10a…通帳繰出部、10b…通常繰出部、11…退避路、12a…押板、12ab…反り防止部、12ae…手掛け、12b…押板、12bb…反り防止部、12be…手掛け、13a…壁面、13b…壁面、14aa…ローラ、14ab…ローラ、14ba…ローラ、14bb…ローラ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7