(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
シリンダと、前記シリンダ内を往復移動するプランジャと、前記シリンダ及び前記プランジャによって区画される加圧室と、フィードポンプによって燃料タンクから汲み出された低圧燃料を前記加圧室に供給する低圧燃料通路と、前記加圧室で加圧された高圧燃料が吐出される高圧燃料通路と、前記シリンダを挟んだ前記加圧室の反対側に設けられた副室と、前記副室と前記低圧燃料通路とを連通する連通路と、を有する高圧ポンプを備える内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関の機関回転速度を取得する回転速度取得部と、
前記加圧室で加圧された高圧燃料の圧力を取得する圧力取得部と、
前記高圧ポンプの内部の燃料温度を算出する燃温算出部と、
を備えており、
前記燃温算出部にて前記燃料温度を算出するパラメータとして前記機関回転速度と前記高圧燃料の圧力とを含んでおり、
前記燃温算出部は、前記機関回転速度が高いときほど算出される前記燃料温度が高くなるように同燃料温度を算出するとともに、前記高圧燃料の圧力が高いときほど前記加圧室から前記副室に漏れる燃料の熱量が多くなるように同熱量を算出することによって前記高圧燃料の圧力が高いときほど算出される前記燃料温度が高くなるように同燃料温度を算出する
ことを特徴とする内燃機関の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、内燃機関の制御装置の一実施形態を、
図1〜
図5を参照して説明する。
<内燃機関の燃料系の構成>
図1に示すように、本実施形態の制御装置が適用される車載用の内燃機関1の燃料系は、燃料タンク10内に設置された電動式のフィードポンプ12や、内燃機関1のシリンダヘッドカバーに設置された高圧ポンプ18などを備えている。
【0021】
フィードポンプ12を駆動する電力は、内燃機関1のクランクシャフトによって駆動されるオルタネータによって発電されている。フィードポンプ12には、燃料タンク10から汲み出した燃料が吐出される低圧燃料配管11が接続されており、低圧燃料配管11におけるフィードポンプ12の燃料吐出口との接続部分には、燃料の逆流を防止する逆止弁13が設けられている。また、低圧燃料配管11における逆止弁13の下流側の部分には、燃料を濾過するフィルタ14が設けられている。
【0022】
さらに、燃料タンク10内には、リリーフ弁16が設けられてもいる。リリーフ弁16は、低圧燃料配管11内の燃圧が規定のリリーフ圧を上回ったときに開弁して、低圧燃料配管11内の燃料を燃料タンク10にリリーフする。
【0023】
低圧燃料配管11は、燃料タンク10の外で2つの通路に分岐され、分岐された通路の一方は低圧側デリバリパイプ17に、もう一方は高圧ポンプ18に設けられた低圧燃料通路44にそれぞれ接続されている。低圧側デリバリパイプ17には、内燃機関1の各気筒の吸気ポートにそれぞれ設置された、気筒別のポート噴射用の低圧燃料噴射弁19がそれぞれ接続されている。また、低圧側デリバリパイプ17には、その内部の燃圧である低圧側燃圧Pfを検出する低圧側燃圧センサ20が取り付けられている。なお、低圧側燃圧Pfは、高圧ポンプ18に設けられた低圧燃料通路44内の低圧燃料の圧力と同一である。
【0024】
一方、高圧ポンプ18の低圧燃料通路44の途中には、燃料室21が設けられており、この燃料室21の内部には燃圧脈動を減衰させるためのパルセーションダンパ23が設置されている。この燃料室21は、高圧ポンプ18においてフィードポンプ12から吐出された低圧燃料が流れる低圧燃料通路44の一部を構成している。
【0025】
さらに、高圧ポンプ18は、シリンダ40と、内燃機関1のカムシャフト25に設けられたカム26の回転に応じてシリンダ40内を往復移動するプランジャ27と、シリンダ40及びプランジャ27によって区画される加圧室22とを備えている。
【0026】
プランジャ27の末端にはカム26に当接しながら回転するカムフォロワ43が設けられており、カムフォロワ43とカム26との接触面には、オイルジェット50から内燃機関1の潤滑油が供給されている。
【0027】
また、高圧ポンプ18の内部であってシリンダ40を挟んだ加圧室22の反対側には、連通路42を介して燃料室21に接続された副室41が設けられており、プランジャ27の往復移動に伴う燃料室21と副室41との間の燃料移動が連通路42を介して行われる。また、この副室41には、プランジャ27とシリンダ40との隙間を介して加圧室22から漏れ出た燃料が流入し、その漏れ出た燃料は連通路42を介して燃料室21に戻される。
【0028】
燃料室21と加圧室22とは、電磁スピル弁24を介して接続されている。電磁スピル弁24は、通電に応じて閉弁する常開式の弁で、開弁時には、燃料室21と加圧室22とを連通し、閉弁時には、それらの連通を遮断する。
【0029】
さらに加圧室22には、高圧ポンプ18内に設けられてチェック弁28を有する高圧燃料通路45が接続されており、この高圧燃料通路45は高圧側デリバリパイプ30に接続されている。また、上記高圧燃料通路45には、上記チェック弁28を迂回するリターン燃料通路46が接続されており、リターン燃料通路46の途中にはリリーフ弁29が設けられている。
【0030】
チェック弁28は、加圧室22内の燃圧が高圧側デリバリパイプ30内の燃圧よりも規定の吐出開始圧以上に高くなったときに開弁して、加圧室22から高圧側デリバリパイプ30への燃料吐出を許容する。リリーフ弁29は、高圧側デリバリパイプ30内の燃圧が加圧室22内の燃圧よりも規定のリリーフ開始圧以上に高くなったときに開弁して、高圧側デリバリパイプ30から加圧室22への燃料のリリーフを許容する。
【0031】
高圧側デリバリパイプ30には、内燃機関1の各気筒にそれぞれ設置された、気筒別の筒内噴射用の高圧燃料噴射弁31がそれぞれ接続されている。また、高圧側デリバリパイプ30には、その内部の燃圧である高圧側燃圧Pmを検出する高圧側燃圧センサ32が取り付けられている。なお、高圧側燃圧Pmは、加圧室22で加圧された高圧燃料の圧力と同じである。
【0032】
高圧ポンプ18の加圧動作は、以下のようにして行われる。なお、以下の説明では、カム26によるプランジャ27の往復動における、加圧室22の容積を拡大する方向への移動をプランジャ27の下降と記載し、加圧室22の容積を縮小する方向への移動をプランジャ27の上昇と記載する。
【0033】
電磁スピル弁24が開弁した状態でプランジャ27が下降すると、加圧室22の容積が拡大し、低圧燃料配管11を通じてフィードポンプ12から燃料室21に送られた燃料がその容積の拡大に応じて加圧室22内に吸引される。プランジャ27が下降から上昇に転じると、加圧室22の容積が次第に縮小するようになる。このとき、電磁スピル弁24が開弁したままであると、加圧室22に吸引された燃料が燃料室21に押し戻される。こうしたプランジャ27の上昇中に、電磁スピル弁24への通電を開始して同電磁スピル弁24を閉弁すると、加圧室22が密閉され、その内部の燃圧がプランジャ27の上昇に応じて上昇するようになる。そして、加圧室22内の燃圧が、高圧側デリバリパイプ30内の燃圧よりも吐出開始圧以上に高くなるまで上昇すると、チェック弁28が開いて、加圧室22内の燃料が高圧側デリバリパイプ30に吐出される。
【0034】
こうした高圧ポンプ18における高圧側デリバリパイプ30への高圧燃料の吐出量は、プランジャ27の上昇期間における電磁スピル弁24の通電開始時期を変更することによって調整される。
【0035】
また、プランジャ27が下降すると、燃料室21から加圧室22へと燃料が吸入される一方で、副室41からは連通路42を介して燃料室21に燃料が送られる。また、プランジャ27が上昇すると、加圧室22から燃料室21に燃料が押し戻される一方で、燃料室21からは連通路42を介して副室41に燃料が送られる。このように連通路42を介して燃料室21と副室41との間では燃料移動が行われるため、プランジャ27が往復移動しても、燃料室21や低圧燃料配管11内における圧力脈動の発生は抑えられる。
【0036】
こうした燃料系を有する内燃機関1は、電子制御ユニット33により制御されている。電子制御ユニット33は、機関制御のための各種演算処理を行う中央演算処理装置、制御用のプログラムやデータが予め記憶された読出専用メモリ、中央演算処理装置の演算結果やセンサの検出結果などを一時的に記憶する読み書き可能メモリを備える制御装置である。そして、電子制御ユニット33は、高圧ポンプ18内の燃料温度を算出する燃温算出部33Aや、フィードポンプ12の作動を制御するフィード圧制御部33B、高圧ポンプ18の作動を制御する制御部などを備えている。また、電子制御ユニット33は、高圧側燃圧センサ32の検出値を読み込むことによって加圧室22で加圧された高圧燃料の圧力(高圧側燃圧Pm)を取得する第1圧力取得部33Cや、低圧側燃圧センサ20の検出値を読み込むことによって低圧燃料通路44内の低圧燃料の圧力(低圧側燃圧Pf)を取得する第2圧力取得部33Dを備えている。また、電子制御ユニット33は、内燃機関1のクランクシャフトの回転位相を検出するクランク角センサ34の検出値を読み込むことにより、内燃機関1の機関回転速度NEを取得する回転速度取得部33Eも備えている。
【0037】
さらに、電子制御ユニット33には、上述の低圧側燃圧センサ20、高圧側燃圧センサ32、及びクランク角センサ34に加え、エアフロメータ35、アクセルペダルセンサ36、吸気温センサ37、水温センサ38、油温センサ39などの各種センサの検出信号も入力されている。なお、エアフロメータ35は、内燃機関1の吸入空気量GAを検出する。また、アクセルペダルセンサ36は、運転者のアクセルペダルの踏み込み量ACCPを検出する。また、吸気温センサ37は内燃機関1に吸入される吸気の温度である吸気温度THAを検出し、水温センサ38は内燃機関1の冷却水の温度である冷却水温THWを検出し、油温センサは内燃機関1の潤滑油の温度である油温THOを検出する。
【0038】
そして、電子制御ユニット33は、それらセンサの検出結果に基づき、高圧ポンプ18に設けられた電磁スピル弁24の通電開始時期を制御して同高圧ポンプ18の作動制御を行う。また、電子制御ユニット33は、それらセンサの検出結果に基づき、フィードポンプ12の作動制御を行う。また、電子制御ユニット33は、低圧燃料噴射弁19や高圧燃料噴射弁31の通電制御を通じて内燃機関1の燃料噴射制御も行う。なお、電子制御ユニット33は、エアフロメータ35及びアクセルペダルセンサ36の検出結果から機関負荷KLを演算して求めている。
【0039】
<燃料の噴き分け>
電子制御ユニット33は、低圧燃料噴射弁19及び高圧燃料噴射弁31による燃料の噴き分けを実施して噴射態様を変化させる。例えば、低回転低負荷領域では低圧燃料噴射弁19によるポート噴射のみを行い、中負荷中回転領域では低圧燃料噴射弁19及び高圧燃料噴射弁31の双方を用いたポート噴射及び筒内噴射を行う。そして、高負荷高回転領域では高圧燃料噴射弁31による筒内噴射のみを行う。こうした燃料の噴き分けは、機関運転状態に基づいて設定される燃料噴射量Qのうちで低圧燃料噴射弁19から噴射させる燃料量の割合を示すポート噴射割合Rpを種々変更することにより実行される。
【0040】
ポート噴射割合Rpは、機関負荷KLや機関回転速度NE等の機関運転状態に基づき「0≦Rp≦1」の範囲内で可変設定され、燃料噴射量Qに対してポート噴射割合Rpを乗算した結果得られる燃料量が低圧燃料噴射弁19の燃料噴射量として設定される。一方、「1」からポート噴射割合Rpを減じた値が、燃料噴射量Qのうちで高圧燃料噴射弁31から噴射させる燃料量の割合を示す筒内噴射割合Rdとして算出される(Rd=1−Rp)。そして、燃料噴射量Qに対して筒内噴射割合Rdを乗算した結果得られる燃料量が高圧燃料噴射弁31の燃料噴射量として設定される。
【0041】
<高圧ポンプ18のベーパロック>
上述したような噴き分けなどにより、高圧燃料噴射弁31による燃料噴射が停止されて、高圧ポンプ18の加圧動作の頻度が低減されると、高圧ポンプ18の燃料はほとんど入れ替わらなくなる。高圧ポンプ18は、内燃機関1の運転中に高温となるカム室内に設置されているため、燃料の入れ替わりがないと、高圧ポンプ18内の燃料が高温化してベーパが発生することがある。
【0042】
高圧ポンプ18内の燃料にベーパが発生すると、電磁スピル弁24を閉弁した状態でプランジャ27が上昇しても、ベーパが圧縮されるだけで、液体の燃料はほとんど加圧されなくなる。そのため、高圧ポンプ18が加圧動作を行っても、燃料の加圧が行われなくなる、いわゆるベーパロックの状態となり、高圧側デリバリパイプ30への燃料供給が滞るようになってしまう。
【0043】
ここで、
図2に示すように、高圧ポンプ18内の燃料温度が高くなるほど、ベーパの発生を抑えるために必要な最低燃圧PFLは高くなっていくため、高圧ポンプ18内の燃料温度が高いときほどフィードポンプ12から吐出される低圧燃料の燃圧、つまりフィード圧が高くなるようにすれば、上述したベーパロックの発生を抑えることができる。
【0044】
そこで、電子制御ユニット33は、下記のフィード圧制御を通じて、そうした高圧ポンプ18のベーパロックに対処している。以下、こうしたベーパロックの解消にかかる制御の詳細を説明する。
【0045】
<フィードポンプ12のフィード圧制御>
電子制御ユニット33のフィード圧制御部33Bは、高圧ポンプ18内の燃料温度(以下、燃温という)Tfが高いときほどフィードポンプ12のフィード圧が高くなるようにフィードポンプ12の作動を制御する。
【0046】
具体的には、電子制御ユニット33は、上記燃温算出部33Aにて上記燃温Tfを算出することにより、同燃温Tfを推定する。そして、電子制御ユニット33のフィード圧制御部33Bは、算出された燃温Tfに基づいてフィードポンプ12の目標フィード圧FPを設定する。そして、フィード圧制御部33Bは、上記低圧側燃圧Pfと目標フィード圧FPとの偏差に基づき、それらの偏差が縮小するようにフィードポンプ12の吐出圧を制御する。
【0047】
先の
図2に示すように、電子制御ユニット33のフィード圧制御部33Bは、燃温Tfが所定の第1燃温Tf1よりも低い場合には、第1燃温Tf1での上記最低燃圧PFLよりもやや高い燃圧である第1燃圧P1を上記目標フィード圧FPに設定する。また、燃温Tfが、上記第1燃温Tf1以上であって且つ上記第1燃温Tf1よりも高い温度に設定された第2燃温Tf2未満の場合には、第2燃温Tf2での最低燃圧PFLよりもやや高い燃圧である第2燃圧P2を上記目標フィード圧FPに設定する。そして、燃温Tfが上記第2燃温Tf2以上の場合には、第2燃圧P2よりも所定圧だけ高い第3燃圧P3を上記目標フィード圧FPに設定する。なお、上記第1燃圧P1、上記第2燃圧P2、及び上記第3燃圧P3は、予めの実験等によって最適な値が予め設定されている。
【0048】
こうしたフィード圧制御の実行により、燃温Tfが高くなるについてフィードポンプ12のフィード圧は段階的に高められていき、こうしたフィード圧の増大によって高圧ポンプ18内の燃料の圧力も高められていくため、高圧ポンプ18内の燃温Tfが高くなっても、ベーパロックの発生は抑えられる。
【0049】
<燃温Tfの算出>
電子制御ユニット33の上記燃温算出部33Aは、上記フィード圧制御を行うために上記燃温Tfを所定周期毎(例えば数ms毎)に算出して推定する。ここで、燃温Tfの推定精度が低い場合には、以下のような不都合が生じるおそれがある。
【0050】
例えば、推定した燃温Tfが実際の燃温よりも高い場合には、実際の燃温が上記第1燃温Tf1や上記第2燃温Tf2に達する前にフィード圧の増大が行われてしまうため、フィードポンプ12の消費電力の不要な増加を招いてしまい、ひいては発電負荷の増大による内燃機関1の燃費の悪化を招く結果となる。また、推定した燃温Tfが実際の燃温よりも低い場合には、実際の燃温が上記第1燃温Tf1や上記第2燃温Tf2に達していてもフィード圧の増大が行われない可能性があり、この場合には、高圧ポンプ18のベーパロックを適切に抑えられないおそれがある。
【0051】
そこで、電子制御ユニット33の上記燃温算出部33Aは、下記のように高圧ポンプ18での熱授受から燃温Tfを算出することにより、燃温Tfの推定精度を高めるようにしている。
【0052】
まず、高圧ポンプ18のカムフォロワ43には、オイルジェット50から潤滑油が供給されているため、潤滑油から高圧ポンプ18には受熱による熱伝達が起きて高圧ポンプ18の温度は上昇する。この受熱による熱伝達量を熱伝達量Qo[J/s]とする。
【0053】
また、高圧ポンプ18から周囲の空気には放熱による熱伝達が起きて高圧ポンプ18の温度が低下する。この放熱による熱伝達量を熱伝達量[J/s]Qaとする。
また、高圧ポンプ18に流入した燃料によって高圧ポンプ18は冷却されるため、高圧ポンプ18の温度が低下する。こうした高圧ポンプ18内に流入する燃料の熱量と高圧ポンプ18内から流出した燃料の熱量との差を熱量差Qf[J/s]とする。
【0054】
また、高圧ポンプ18からは熱が発生するため、このときの単位時間当たりの発熱量を発熱量Qhp[J/s]とする。
そして、高圧ポンプ18内に存在する燃料の温度は高圧ポンプ18の温度とほぼ等しくなることから、高圧ポンプ18での熱授受は、上記の各熱伝達量、熱量差、発熱量、及び燃温Tf等を使った次式(1)に示すモデル式で表すことができる。
【0055】
Qo+Qa+Qf+Qhp=Mhp・Chp・(Tf−Tfold) …(1)
Mhp:高圧ポンプの質量[g]
Chp:高圧ポンプの比熱[J/g・K]
Tf:現在の高圧ポンプ内の燃温[K]
Tfold:前回推定された高圧ポンプ内の燃温[K]
潤滑油から高圧ポンプ18に伝わる熱伝達量Qoは、次式(2)で表すことができる。なお、式(2)から分かるように、潤滑油の温度が燃料温度よりも高いときには、熱伝達量Qoは正の値になる。
【0056】
Qo=Koil・Sp1・(THO−Tfold) …(2)
Koil: 潤滑油と高圧ポンプとの間の熱伝達係数[J/m2・K・s]
Sp1:潤滑油と高圧ポンプとが接触する部分の表面積[m2]
THO:油温[K]
高圧ポンプ18から周囲の空気に伝わる熱伝達量Qaは、次式(3)で表すことができる。
【0057】
Qa=Kair・Sp2・(Tahp−Tfold) …(3)
Kair:高圧ポンプと空気との間の熱伝達係数[J/m2・K・s]
Sp2:高圧ポンプと空気とが接触する部分の表面積[m2]
Tahp:雰囲気温度(高圧ポンプ周りの空気の温度)[K]
なお、式(3)から分かるように、燃料温度が雰囲気温度Tahpよりも高いときには、熱伝達量Qaは負の値になる。また、内燃機関1が搭載された車両が走行しているときには、高圧ポンプ18の周囲に存在する空気の流速が車速に変化に合わせて変化する。そのため、高圧ポンプ18と空気との間の熱伝達係数Kairは、車速に応じて変化させることが好ましい。
【0058】
ここで、雰囲気温度Tahpは、次式(4)に基づき、吸気温度THA及び冷却水温THWを利用して推定可能なことを本発明者は確認しているため、上記式(3)に次式(4)を代入すると、式(3)は次式(5)になる。なお、式(4)の重み付け係数Khpの値については、雰囲気温度Tahpが実際の温度に近づくように適合試験等を行い、その結果から得られた適合値が設定されている。
【0059】
Tahp=(1−Khp)・THA+Khp・THW …(4)
Khp:重み付け係数
THA:吸気温度[K]
THW:冷却水温[K]
Qa=Kair・Sp2・{((1−Khp)・THA+Khp・THW)−Tfold} …(5)
上記熱量差Qfは、高圧ポンプ18に流入する燃料の温度Tfinと前回推定された高圧ポンプ18内の燃料の温度(燃温Tfold)との差、及び高圧ポンプ18に流入する燃料の流量Fhpに相関するため、次式(6)で表すことができる。
【0060】
Qf=Cfu・(Tfin−Tfold)・Fhp …(6)
Cfu:燃料の定圧比熱[J/g・K]
Tfin:高圧ポンプに流入する燃料の温度[K]
Fhp: 高圧ポンプに流入する燃料の流量[g/s]
(*高圧燃料噴射弁の単位時間(秒)当たりの燃料噴射量[g/s]で代用)
なお、通常は、前回推定された高圧ポンプ18内の燃温Tfold、つまり高圧ポンプ18から流出した燃料の温度よりも、高圧ポンプ18に対して新たに流入してくる燃料の温度Tfinの方が低い。そのため、式(6)から分かるように、熱量差Qfは基本的に負の値になる。
【0061】
ここで、高圧ポンプに流入する燃料の流量は、高圧燃料噴射弁31の燃料噴射量と相関しており、燃料噴射量が増大すると高圧ポンプ18に流入する燃料の流量は増大する。そこで、そうした高圧ポンプ18に流入する燃料の流量Fhpを示すパラメータとして、単位時間当たりの高圧燃料噴射弁31の燃料噴射量を利用している。なお、高圧ポンプに流入する燃料の温度Tfinは、燃料配管における燃料の熱授受をモデル化した式を構築し、その構築した式を使って推定することができる。また、高圧ポンプに流入する燃料の温度Tfinは、温度センサを使って実際に検出することも可能である。ここで、本発明者は、高圧ポンプに流入する燃料の温度Tfinが吸気温度THAと相関していることを、実験を通じて確認している。そこで、本実施形態では、高圧ポンプに流入する燃料の温度Tfinとして、簡易的に吸気温度THAを代用するようにしており、式(6)の「Tfin」を「THA」に置き換えると、式(6)は次式(7)になる。
【0062】
Qf=Cfu・(THA−Tfold)・Fhp …(7)
THA:吸気温度[K]
Fhp: 高圧ポンプに流入する燃料の流量[g/s]
(*高圧燃料噴射弁の単位時間(秒)当たりの燃料噴射量[g/s]で代用)
高圧ポンプ18での発熱量Qhpは、次のようにして求めることができる。
【0063】
まず、プランジャ27がシリンダ40内を往復移動するときには、プランジャ27とシリンダ40とが摺動することによって摩擦熱が発生する。また、プランジャ27の往復速度は機関回転速度NEに依存し、機関回転速度NEが高くなるほど摩擦熱の発生量は多くなる。そのため、この摩擦熱による単位時間当たりの発熱量を発熱量Qhp1[J/s]とすると、発熱量Qhp1は、次式(8)で表すことができる。
【0064】
Qhp1=Kh・NE^Kn …(8)
Kh:適合係数
NE:機関回転速度[r.p.m]
Kn:適合係数(例えば「1」など)
上記式(8)の適合係数Kh、Knの各値については、式(8)から求められる発熱量Qhp1が実際の発熱量に近づくように適合試験等を行い、その結果から得られた適合値が設定されている。
【0065】
他方、
図3に、高圧ポンプの加圧室で加圧された高圧燃料を燃料タンク内に戻すリターン配管を備える燃料系において、高圧燃料の圧力を種々変化させるとともに、リターン配管を介して燃料タンク内に排出されたリターン燃料の温度を計測した実験結果を示す。なお、この実験で使用した燃料系は、上記実施形態の内燃機関1の燃料系とは異なるものであるが、後述する燃料の圧力低下に伴う同燃料の温度上昇については、本実施形態の燃料系でもあっても同様に起きる。
【0066】
この実験で使用した燃料系の加圧室で加圧された高圧燃料がリターン配管に排出されると、高圧状態にあった燃料の圧力は低下する。ここで、同
図3に示すように、加圧室で加圧された高圧燃料の圧力が高いときほど、リターン配管に排出されたリターン燃料の温度は高くなる傾向があることを本発明者は確認している。つまり、
図4に示すように、リターン燃料の圧力低下量PDが大きいほど、リターン燃料の温度上昇量は大きくなる傾向があることを本発明者は確認している。
【0067】
ここで、上記高圧ポンプ18から加圧された燃料が吐出されるときには、プランジャ27とシリンダ40との間の隙間を介して加圧室22から副室41へと少量の燃料が漏れるのであるが、このようにして加圧室22から副室41に燃料が漏れると、その漏れ燃料の圧力は低下するため、そうした漏れ燃料においても上述した温度上昇は起きる。また、そうした漏れ燃料の温度上昇量は、加圧室22から副室41に漏れる燃料の量が多いほど大きくなる。
【0068】
温度の上昇した漏れ燃料が燃料室21に戻されると、高圧ポンプ18内において加圧される前の燃料の温度が上昇する。このように高圧ポンプ18では、上述した漏れ燃料の温度上昇も起こるため、こうした温度上昇量を示す漏れ燃料の単位時間当たりの熱量を熱量Qhp2[J/s]とすると、熱量Qhp2は、次式(9)で表すことができる。
【0069】
Qhp2=Kr1・LK …(9)
Kr1:適合係数
LK:加圧室22から副室41に漏れる単位時間当たりの漏れ燃料量[g/s]
上記式(9)の適合係数Kr1の値は、プランジャ27とシリンダ40との間の隙間における高圧ポンプ18と漏れ燃料との間の熱伝達係数や、同隙間における漏れ燃料と高圧ポンプ18との接触面積等を反映させた値であって、式(9)から求められる熱量Qhp2が実際の熱量に近づくように適合試験等を行い、その結果から得られた適合値を設定する。また、高圧側燃圧Pmと低圧側燃圧Pfとの差が大きく、上述した燃料の圧力低下量PDが大きいときほど、漏れ燃料量LKは多くなり、漏れ燃料量LKが多いときほど熱量Qhp2は多くなるため、上記式(9)では、そうした圧力低下量PDに相関する漏れ燃料量LK及び適合係数Kr1を使って熱量Qhp2を算出する。
【0070】
また、上記漏れ燃料量LKは、高圧側燃圧Pmと低圧側燃圧Pfとの差圧、並びにプランジャ27とシリンダ40との間の隙間における漏れ燃料の通過面積Sに比例し、燃料の動粘度νに反比例するため、次式(10)で表すことができる。
【0071】
LK=Kr2・{(Pm−Pf)^(1/2)}・S・(1/ν) …(10)
Kr2:適合係数
Pm:高圧側燃圧[MPa]
Pf:低圧側燃圧[MPa]
S:漏れ燃料の通過面積[cm2]
ν:動粘度
なお、
図5に示すように、燃料温度が高くなるほど動粘度νは小さくなる。そのため、推定された燃温Tfが高いときほど動粘度νは小さい値となるように燃温Tfに基づいて可変設定することが好ましい。また、上記式(10)の適合係数Kr2の値については、式(10)から求められる漏れ燃料量LKが実際の量に近づくように適合試験等を行い、その結果から得られた適合値を設定する。また、上記式(10)からわかるように、高圧側燃圧Pmが高いほど、あるいは低圧側燃圧Pfが低いほど、算出される漏れ燃料量LKは多くなるため、漏れ燃料量LKは高圧側燃圧Pmや低圧側燃圧Pfの関数となっている。
【0072】
そして、上記式(9)に上記式(10)を代入することにより、熱量Qhp2は、次式(11)で表すことができる。
Qhp2=Kr1・Kr2・{(Pm−Pf)^(1/2)}・S・(1/ν) …(11)
Kr1:適合係数
Kr2:適合係数
Pm:高圧側燃圧[MPa]
Pf:低圧側燃圧[MPa]
S:漏れ燃料の通過面積[cm2]
ν:動粘度
そして、高圧ポンプ18の発熱量Qhpは、次式(12)で表すことができる。
【0073】
Qhp=Qhp1+Qhp2 …(12)
Qhp1:発熱量[J/s]
Qhp2:熱量[J/s]
ここで、上記式(8)に示されるように、発熱量Qhp1は機関回転速度NEに相関する関数になっている。また、上記式(9)及び上記式(10)に示されるように、熱量Qhp2は、高圧側燃圧Pmに相関する関数になっている。
【0074】
そこで、高圧ポンプ18の吐出圧を設定可能な最大吐出圧PMAXに高めるとともに、内燃機関1の機関回転速度NEを許容最高回転速度NEMAXにまで上昇させた状態での高圧ポンプ18での単位時間当たりの発熱量を予めの実験等を通じて計測しておき、その計測値を、高圧ポンプ18で発生する単位時間当たりの最大熱量PpfMAXとして設定する。そして、最大吐出圧PMAXに対する現状の高圧側燃圧Pmの比率(Pm/PMAX)と、許容最高回転速度NEMAXに対する現状の機関回転速度NEの比率(NE/NEMAX)とを算出し、それら各比率を上記最大熱量PpfMAXに乗算する。
【0075】
こうした算出を行うことにより、現状の高圧側燃圧Pm及び現状の機関回転速度NEにおける発熱量Qhpを簡易的に求めることができる。なお、こうした算出を行う際には、その算出式に予め設定された適合係数を組み込むことにより、発熱量Qhpの算出値を実際の発熱量により一層近づけることができる。そこで、本実施形態では、上記式(8)〜上記式(12)を使った高圧ポンプ18での発熱量Qhpの算出に代えて、次式(13)から発熱量Qhpを求めている。
【0076】
Qhp=Kpfhp1・PpfMAX・(Pm/PMAX)^Kp・(NE/NEMAX)^Kn …(式13)
Kpfhp1:適合係数
PpfMAX:最大吐出圧PMAX及び許容最高回転速度NEMAXにおいて
高圧ポンプで発生する単位時間当たりの最大熱量[J/s]
Pm:高圧側燃圧[MPa]
PMAX:高圧ポンプの最大吐出圧[MPa]
Kp:適合係数(例えば「1」など)
NE:機関回転速度[r.p.m]
NEMAX:内燃機関の許容最高回転速度[r.p.m]
Kn:適合係数(例えば「1」など)
なお、上記適合係数Kpfhp1、Kp、Knの各値については、式(13)から求められる発熱量Qhpが実際の発熱量に近づくように適合試験等を行い、その結果から得られた適合値がそれぞれ設定されている。
【0077】
そして、上記式(1)に上記式(2)、上記式(5)、上記式(7)、上記式(13)を代入する。また、適合係数Kohp、Kahp、Kfhp、Kpfhpを、「Kohp=(Koil・Sp1)/(Mhp・Chp)」、「Kahp=(Kair・Sp2)/(Mhp・Chp)」、「Kfhp=Cfu/(Mhp・Chp)」、「Kpfhp=Kpfhp1/(Mhp・Chp)」と定義する。そうすることで、式(1)は次式(14)に変形することができる。
【0078】
Tf=(1−Kahp−Kfhp・Fhp−Kohp)・Tfold+Kahp・Khp・THW+Kohp・THO+Kahp・(1−Khp)・THA+{Kpfhp・PpfMAX・(Pm/PMAX)^Kp・(NE/NEMAX)^Kn}+Kfhp・Fhp・THA …(14)
この式(14)を用いて、電子制御ユニット33の上記燃温算出部33Aは燃温Tfを推定する。すなわち、前回の推定周期で推定された高圧ポンプ18内の燃温Tfoldと、今回の推定周期において取得した各種変数パラメータ、すなわち冷却水温THW、油温THO、吸気温度THA、高圧側燃圧Pm、機関回転速度NE、及び高圧ポンプ18に流入する燃料の流量Fhpを上記式(14)に代入して、今回の推定周期における燃温Tf(現在の高圧ポンプ18内の燃温Tf)を算出する。
【0079】
なお、上記燃温算出部33Aは、機関始動時に取得した冷却水温THW及び油温THO及び吸気温度THAのうちでもっと高い温度を、機関始動時における燃温Tfの初期値として設定する。
【0080】
次に、このように構成される本実施形態の作用、並びにその効果について説明する。
機関回転速度NEが高くなると、プランジャ27とシリンダ40とが摺動することによって発生する摩擦熱が多くなるため、高圧ポンプ18内の燃料温度は高くなる。そこで、本実施形態では、上記式(14)を使うことにより、機関回転速度NEが高いときほど算出される燃温Tfが高くなるようにしている。
【0081】
また、上述したように、高圧ポンプ18において加圧された燃料が吐出されるときには、加圧室22から副室41に漏れ出た燃料の温度が上昇する。また、そうした漏れ燃料の温度上昇量は高圧側燃圧Pmが高いときほど多くなる。そこで、本実施形態では、高圧ポンプ18内の燃温Tfを推定するときには、上述した機関回転速度NEに依存する熱量に加えて、さらに高圧側燃圧Pmに基づいてそうした漏れ燃料の熱量を算出している。より具体的には、上記式(14)を使うことにより、高圧側燃圧Pmの圧力が高いときほど加圧室22から副室41に漏れる燃料の熱量が多くなるようにその熱量を算出し、これにより加圧室22で加圧された高圧燃料の圧力(高圧側燃圧Pm)が高いときほど、算出される燃温Tfが高くなるようにしている。このように、本実施形態では、燃温Tfの算出に際して、従って、燃温Tfの推定精度をより一層高めることができる。
【0082】
そして、このようにして燃温Tfの推定精度が向上するために、上述したフィード圧制御の実行に際しては、より実際の燃料温度に合わせてフィード圧の変更を行うことができるようになり、その結果、フィード圧不足による高圧ポンプ18でのベーパロックの発生を抑えたり、フィード圧の増大による燃費の悪化を抑えたりすることができる。
【0083】
また、内燃機関1の運転を停止してから十分に時間が経過した後に機関始動が行われるとき、いわゆる冷間始動時には、機関始動時における冷却水温THW及び油温THO及び吸気温度THA及び高圧ポンプ18内の燃料温度がともに同じ温度になっている。そこで、機関始動時に取得した冷却水温THW及び油温THO及び吸気温度THAのうちでもっと高い温度を、機関始動時における燃温Tfの初期値として設定するようにしており、これにより燃温Tfの初期値を簡易な態様で精度よく設定することができる。
【0084】
一方、内燃機関1の運転を停止してからあまり時間が経過していない状態で機関始動が行われるとき、いわゆるデッドソークからの機関始動時には、機関始動時における冷却水温THW及び油温THO及び吸気温度THAの全てが高圧ポンプ18内の燃料温度よりも高い温度となっていることを本発明者は確認している。従って、機関始動時に取得した冷却水温THW及び油温THO及び吸気温度THAのうちでもっと高い温度を、機関始動時における燃温Tfの初期値として設定するようにしている上記実施形態によれば、デッドソークからの機関始動時において、燃温Tfの初期値は実際の燃料温度よりも高い温度に設定される。このようにして燃温Tfの初期値が実際の燃料温度よりも高い温度に設定されると、実際の燃料温度が上記第1燃温Tf1や上記第2燃温Tf2に達する前に、フィード圧の増大が行われるようになるため、機関運転に対して悪影響を与える上記ベーパロックの発生を少なくとも抑えることができる。
【0085】
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施することもできる。
・高圧ポンプ18での発熱量Qhpを上記式(13)から求めるようにした。この他、上記式(13)に代えて、上記式(8)〜上記式(12)を使って発熱量Qhpを求めるようにしてもよい。この変形例の場合には、上記発熱量Qhp1及び上記熱量Qhp2が互いに独立してそれぞれ求められる。また、熱量Qhp2の算出に際しては実際の燃料の圧力低下量(Pm−Pf)に基づいて漏れ燃料の熱量が求められる。そのため、式(13)による簡易的な発熱量Qhpの算出に比べて発熱量Qhpの精度をより高めることができる。
【0086】
・高圧ポンプ18に流入する燃料の温度Tfinを吸気温度THAで代用した。この他、燃料配管での燃料の熱授受をモデル化した式を構築し、その構築した式を使って高圧ポンプ18に流入する燃料の温度Tfinを推定することにより、同温度Tfinの精度を高めるようにしてもよい。また、温度センサを使って実際に高圧ポンプ18に流入する燃料の温度Tfinを検出してもよい。なお、これら変形例の場合には、熱量差Qfの算出式が上記式(7)ではなく、上記式(6)になる。そのため、上記式(14)に示した「Kfhp・Fhp・THA」の数式は、「Kfhp・Fhp・Tfin」に変わることになる。
【0087】
・フィードポンプ12のフィード圧制御では、フィード圧を3段階に変更するようにしたが、2段階に変更したり、4段階以上に変更したりしてもよい。また、燃温Tfの上昇に合わせてフィード圧を連続的に増大させるようにしてもよい。
【0088】
・連通路42は燃料室21に接続されていたが、そうした連通路42を燃料室21以外の低圧燃料通路44に接続してもよい。