(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546175
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】麦芽ベース飲料を供給する方法および麦芽ベース飲料を供給するための装置
(51)【国際特許分類】
C12C 5/02 20060101AFI20190705BHJP
B67D 1/04 20060101ALI20190705BHJP
C12G 3/06 20060101ALI20190705BHJP
A23L 2/00 20060101ALN20190705BHJP
【FI】
C12C5/02
B67D1/04 C
C12G3/06
!A23L2/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-541073(P2016-541073)
(86)(22)【出願日】2014年12月19日
(65)【公表番号】特表2017-507646(P2017-507646A)
(43)【公表日】2017年3月23日
(86)【国際出願番号】EP2014078823
(87)【国際公開番号】WO2015097095
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2017年12月11日
(31)【優先権主張番号】13199705.8
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】506385140
【氏名又は名称】アンハイザー−ブッシュ・インベヴ・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】Anheuser−Busch InBev S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100169904
【弁理士】
【氏名又は名称】村井 康司
(74)【代理人】
【識別番号】100139549
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 泉
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル ペイルスマン
(72)【発明者】
【氏名】ステイン ヴァンデキャルクホーヴ
【審査官】
川口 裕美子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03386261(US,A)
【文献】
仏国特許出願公開第02618308(FR,A1)
【文献】
英国特許出願公開第02340415(GB,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12C 1/00−13/00
B67D 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
消費できる状態、およびオントレードまたはオフトレード環境で使用できる状態の容器内に麦芽ベース飲料を供給する方法であって、
−ビール濃縮物又は非炭酸ビール濃縮物の液体を二酸化炭素および/または窒素と混合することによって、供給中に、前記供給される飲料の第1の成分を構成するステップと、
−前記第1の成分を少なくとも希釈剤である第2の飲料成分に加え、前記供給される飲料を形成するステップと
を含み、
前記二酸化炭素および/または窒素に香りが付けられることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記二酸化炭素および/または窒素が、
−発酵したホップ風味、
−果実風味、
−ハーブ風味、
−香辛料風味、
−菓子風味
のうちの1つまたは複数を含む風味によって香りが付けられることを特徴とする、請求項1に記載の麦芽ベース飲料を供給する方法。
【請求項3】
前記容器が、グラス、缶または瓶であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の麦芽ベース飲料を供給する方法。
【請求項4】
麦芽ベース飲料を供給する方法であって、
−希釈剤を供給するステップと、
−ビール濃縮物又は非炭酸ビール濃縮物の液体を供給するステップと、
−香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素のソースを設けるステップと、
−前記香り付き二酸化炭素または香り付き窒素を案内することによって、前記ビール濃縮物又は非炭酸ビール濃縮物を処理し、前記飲料の第1の成分を形成するステップと、
−希釈剤である第2の飲料成分を供給するステップと、
−前記希釈剤および処理されたビール濃縮物又は非炭酸ビール濃縮物を容器内に供給し、それによって、消費できる状態の飲料を得るステップと を含む、方法。
【請求項5】
前記方法が、
−液体飲料を容器内に供給し、前記飲料の第2の成分を供給するステップと、
−続いて前記飲料の第1の成分である泡の輪を前記液体飲料の上に加えるステップであって、前記泡の輪が、その発泡中に、香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素をビール濃縮物又は非炭酸ビール濃縮物と混合することによって生成されるステップと
を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいづれか一項に記載の麦芽ベース飲料を供給する方法。
【請求項6】
消費できる状態、およびオントレードまたはオフトレード環境で使用できる状態の容器内に麦芽ベース飲料を供給するための装置であって、少なくとも、
−香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素のソースと、
−液体のソースと、
−当該前記ソースから供給された香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素を、ビール濃縮物又は非炭酸ビール濃縮物のソースから供給されたビール濃縮物又は非炭酸ビール濃縮物と混合して、第1の飲料成分にするための第1の混合手段と、
−第2の飲料成分のソースと、
−前記第1の飲料成分を前記第2の飲料成分に加え、供給される麦芽ベース飲料を形成するための供給手段とを備えることを特徴とする、装置。
【請求項7】
前記装置が、
−風味のソースと、
−二酸化炭素および/または窒素のソースと、
−前記風味のソースと前記二酸化炭素および/または窒素のソースとから供給された前記風味と前記二酸化炭素および/または窒素とを混合するための第2の混合手段と
を備え、
前記混合手段の出力が、香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素のソースを形成する ことを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の混合手段が、泡である第1の飲料成分を形成するようなものであることを特徴とする、請求項6または7に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、続いて第2の飲料成分を供給するための手段を備えることを特徴とする、請求項8に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、麦芽ベース飲料を供給する方法に関する。
【0002】
麦芽ベース飲料は、例えばビールであり得るが、本発明によれば、麦芽ベース成分、および任意の他の飲料または飲料液体を含む混合物も、麦芽ベース飲料であり得る。
【0003】
より詳細には、本発明は、消費できる状態、およびオントレードまたはオフトレード環境で使用できる状態の容器内に麦芽ベース飲料を供給する方法に関する。
【0004】
オントレード環境とは、バー、パブ、クラブ、レストランなど、供給される飲料がすぐに消費される任意の環境と理解される。
【0005】
このようなオントレード環境で使用される容器は、典型的にはグラスまたは栓のない瓶である。
【0006】
オフトレード環境とは、例えば、スーパーマーケット、小さな商店、小売業者、卸売業者など、供給される飲料が直接的な消費に利用可能であるが、その場所では消費されない任意の場所と理解される。
【0007】
このようなオフトレード環境で使用される容器は、典型的には栓をした瓶、缶、箱、ポリ袋などである。
【背景技術】
【0008】
最先端技術によれば、麦芽ベース飲料を供給するための多くの方法が存在する。
【0009】
麦芽ベース飲料を供給するためのこれら既知の方法のいくつかでは、麦芽ベース飲料は、濃縮された状態で、言いかえれば、濃縮物として貯蔵される。
【0010】
このような濃縮物は、典型的には元の麦芽ベース飲料中の水分含量を減少させることによって得られる。
【0011】
これによって、濃縮物は、非常に濃縮された状態ではあるが、飲料の味にとって重要な麦芽ベース飲料の成分を依然として含む。
【0012】
これらの既知の方法では、濃縮物は、飲料を供給するのに必要となるまで貯蔵される。
【0013】
麦芽ベース飲料を供給する時に、濃縮物が希釈され、通常の味を有するおいしく飲める麦芽ベース飲料を再びもどす。
【0014】
濃縮物は通常、非炭酸濃縮物か炭酸濃縮物かに応じて、それぞれ炭酸水または非炭酸水と混合することによって希釈される。
【0015】
元の麦芽ベース飲料の代わりに濃縮物を使用する第1の利点は、その体積が大幅に低減され、その結果、濃縮物が使用されない場合に貯蔵すべき体積と比較して、濃縮物を貯蔵するのに必要な空間がはるかに小さいことである。
【0016】
さらに、濃縮物の希釈に必要な水は通常、麦芽ベース飲料を供給する場所にある蛇口から入手可能である。
【0017】
供給場所で麦芽ベース飲料をもどすさらにより重要な利点は、輸送コストが極めて削減されることである。
【0018】
実際に、濃縮物のみを、麦芽ベース飲料を供給場所まで輸送する必要がある場合、完全な非濃縮飲料を前記場所まで輸送すべきであった場合と比較して、輸送する必要がある体積、ひいては重量は、はるかにより小さい。
【0019】
しかしながら、供給場所で麦芽ベース飲料をもどす大きな欠点は、多くの場合、最終飲料の味が、元の麦芽ベース飲料の味と非常に異なることである。
【0020】
この味の違いの理由の1つは、元の麦芽ベース飲料を濃縮する工程にある。
【0021】
濃縮工程中に、元の麦芽ベース飲料の温度がしばしば上げられ、これが、もどした麦芽ベース飲料の最終的な味に有害となる場合がある。
【0022】
元の飲料ともどした飲料とのこの味の違いの別の理由は、多くの場合、醸造所で使用される水が、パブまたは家庭で使用される水よりはるかに高い品質を有することである。
【0023】
麦芽ベース飲料を供給するこれらの既知の方法における別の欠点は、もどした麦芽ベース飲料の味が、しばしば場所によって異なることである。
【0024】
最終飲料の味における場所によるこのばらつきの理由の1つは、使用される希釈剤、通常水が、場所によって異なることである。
【0025】
多くの場合、麦芽ベース飲料を供給する時、飲料の上に泡、またはいわゆるビールの泡がのっていることが好まれる。
【0026】
麦芽ベース飲料を供給するための既知の方法で得られるこの泡の構成および味は、多くの場合、外部温度、または、泡形成に影響を及ぼすが、既知の方法での供給中に完全には考慮されない他の因子によって異なる。
【0027】
結果として、麦芽ベース飲料を供給するための既知の方法では、最終的に供給される生成物の品質および味はしばしば、かなりまちまちで、制御するのが非常に難しい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0028】
したがって、本発明の目的は、麦芽ベース飲料を供給するための既知の方法における上記欠点または場合によっては他の言及していない欠点のうちの1つまたは複数を克服することである。
【0029】
特に本発明の目的は、飲料の味、ならびに/または最終的に供給される飲料上の泡の味および構成の制御を向上させるための技術を含む、麦芽ベース飲料を供給するための方法を提供することである。
【0030】
本発明のさらなる目的は、供給する最終飲料の味を良くする可能性を高めた、麦芽ベース飲料を供給する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
この目的のために、本発明は、消費できる状態、およびオントレードまたはオフトレード環境で使用できる状態の容器内に麦芽ベース飲料を供給する方法であって、
−液体を二酸化炭素および/または窒素と混合することによって、供給中に、供給される飲料の第1の成分を構成するステップと、
−第1の成分を少なくとも第2の成分に加え、供給される飲料を形成するステップと
を含み、
前記二酸化炭素および/または窒素に香りが付けられることをさらに特徴とする方法を提案する。
【0032】
本発明によるこのような方法の大きな利点は、香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素を使用することにより、供給される麦芽ベース飲料またはその一部の最終的な味または構成を、二酸化炭素もしくは窒素中に対応する風味を供給することによって、または、香り付き二酸化炭素および/もしくは香り付き窒素中への風味の添加量を適合させることによって、容易に適合させ得ることである。
【0033】
最終的に供給される飲料の味または構成をこのように適合させることは、例えば、供給場所に存在する条件の機能を適合させることになり得、これらの条件とは無関係な一定の品質および味を有する供給される飲料の供給を可能にする。
【0034】
他方では、最終飲料の味または構成の修正は、例えば、飲料成分の貯蔵による、または飲料成分の濃縮物への処理などによる新鮮な味の低下を補償するものとして意図され得る。
【0035】
さらに別の場合では、最終的に供給される飲料の味または構成の修正は単に、消費者の感覚を高めるためのものである。
【0036】
本発明の好ましい方法によれば、二酸化炭素および/または窒素は、
−発酵したホップ風味、
−果実風味、
−ハーブ風味、
−香辛料風味、
−菓子風味
のうちの1つまたは複数を含む風味によって香りが付けられる。
【0037】
上記風味またはさらに他の風味を用いて、あらゆる種類の新たな味を最終的に供給される飲料に加えることができ、衣装店を満足させる幅広い新たな可能性をもたらすことは明らかである。
【0038】
麦芽ベース飲料を供給する本発明による方法の好ましい実施形態は、
−希釈剤である液体を供給するステップと、
−香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素のソースを設けるステップと、
−香り付き二酸化炭素または香り付き窒素を前記希釈剤に通して案内することによって、前記希釈剤を処理し、飲料の第1の成分を形成するステップと、
−麦芽ベース飲料濃縮物である第2の成分を供給するステップと、
−処理された希釈剤および麦芽ベース飲料濃縮物を容器内に供給し、それによって、消費できる状態の飲料を得るステップと
を含む。
【0039】
本発明による方法のこの好ましい実施形態により、濃縮物に基づく麦芽ベース飲料をもどすことが可能となり、既存の同様の供給方法から知られている最終飲料の味および品質の低下などの欠点は、二酸化炭素または窒素に風味を加えることで効率的に克服される。
【0040】
麦芽ベース飲料をもどすために使用される水質は、例えば、風味付き二酸化炭素または風味付き窒素を使用することによって向上させることができる。
【0041】
実際に、二酸化炭素または窒素中の1つまたは複数の風味は、ビール濃縮物などの麦芽ベース飲料濃縮物に水を加える前に、水をその炭酸化中に調整するための一種の手段内に供給する。
【0042】
結果として、醸造所で使用される水と、パブまたは家庭で使用される水との水質の電位差を、例えば、二酸化炭素または窒素中の対応する風味のタイプおよび/または風味濃度を選択することによって、補償することができる。
【0043】
本発明による方法のさらに別の実施形態は、
−液体飲料を容器内に供給し、飲料の第2の成分を供給するステップと、
−続いて飲料の第1の成分である泡の輪を前記液体飲料の上に加えるステップであって、前記泡の輪が、その発泡中に、香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素を液体と混合することによって生成されるステップと
を含む。
【0044】
本発明による方法のこの好ましい実施形態は、特別な味または匂いを有する泡の輪を有する麦芽ベース飲料を供給する点で特に興味深く、供給される飲料を初めて見た時の客が感じる興奮を高める。
【0045】
本発明はまた、消費できる状態、およびオントレードまたはオフトレード環境で使用できる状態の容器内に麦芽ベース飲料を供給するための装置に関する。
【0046】
本発明によるこのような装置は、少なくとも、
−香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素のソースと、
−液体のソースと、
−当該ソースから供給された香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素を、液体ソースから供給された液体と混合して、第1の飲料成分にするための第1の混合手段と、
−第2の飲料成分のソースと、
−第1の飲料成分を第2の飲料成分に加え、供給される麦芽ベース飲料を形成するための供給手段と
を備える。
【0047】
このような装置を用いて、これまでに説明した本発明の方法を実行することができるため、本装置は、本発明の方法に関して説明したものと同じ利点を有することは明らかである。
【0048】
本発明の特性をより良好に示す意図で、いかなる限定的な特徴もない例として、麦芽ベース飲料を供給するための本発明による方法および装置のいくつかの実施形態について、添付図面を参照しながら以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【
図1】本発明による装置の第1の実施形態における概略図である。
【
図2】
図1に示す装置をわずかに改造したバージョンを示す。
【
図3】
図1に示す装置をわずかに改造したバージョンを示す。
【
図4】本発明による装置の第4の実施形態における概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1に示す、本発明による装置1の第1の実施形態は、消費できる状態、およびオントレードまたはオフトレード環境で使用できる状態の容器3内に麦芽ベース飲料2を供給するためのものである。
【0051】
容器3は、この場合、グラス3であるが、オントレードまたはオフトレード環境で使用されるのに適した任意の種類の容器であり得るであろう。
【0052】
麦芽ベース飲料2は、典型的にはビール2であるが、例えば、清涼飲料またはジュースなどと混合されたビールなどの、麦芽ベース成分を含む任意の飲料であり得る。
【0053】
装置1はまず、香り付き二酸化炭素、または香り付き窒素、またはそれらの混合物のソース4を備える。
【0054】
このソース4は、
図1では容器またはボンベ5として示すが、タンクまたはCO
2もしくはN
2のユーティリティラインなどであり得る。
【0055】
図1の場合には、容器5は、1つまたは複数の風味7と混合されている二酸化炭素および/または窒素6で充填される。
【0056】
これらの風味7は、任意のタイプのものであり得、例えば、発酵したホップ風味、果実風味(例えば、リンゴ、イチゴ、サクランボ、パイナップル、マンゴー、クランベリー、ライム、オレンジ、ラズベリー)、香辛料風味(例えば、シナモン、カルダモン、胡椒、アニス)、または菓子風味(例えば、チョコレート、コーヒー、茶、タンニン、バブルガム)などであり得る。
【0057】
二酸化炭素および/または窒素6中の風味7の添加量または濃度は、必要に応じて適合させることができ、その目的のために、添加手段を設けることができるであろう(図示せず)。
【0058】
二酸化炭素および/または窒素6は、圧力下で液化され、したがって、ボンベまたは容器5内で少なくとも部分的に液化状態8である。
【0059】
容器5には、香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素6をレギュレータセット10を通して放出するための出口9が設けられる。
【0060】
香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素6が容器5から引き出されると、圧力が降下し、気体状の香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素6が形成される。
【0061】
この気体状の香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素6中の風味7は、気体状態で存在する場合や、エアロゾルを形成する二酸化炭素−窒素ガス6中に浮遊する小液滴または微細固体粒子であり得る場合がある。
【0062】
装置1にはさらに、液体12のソース11が設けられる。
【0063】
このソース11は、
図1では水12を供給するための供給ライン11として示すが、液体12を供給するのに適した任意の種類のソースであり得る。
【0064】
液体12は、典型的には非炭酸水などの希釈剤であるが、ビールもしくはビール濃縮物、好ましくは非炭酸ビールもしくは非炭酸ビール濃縮物、または、ジュース、強いアルコール、茶などの任意の他の飲料成分であり得る。
【0065】
装置1にはまた、容器5から供給された香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素を、ソースまたは液体ライン11から供給された液体12と混合して、第1の飲料成分15を形成するための、樽14の形をした第1の混合手段13が設けられる。
【0066】
樽14の上部には、香り付き二酸化炭素および/または窒素がそれを通って樽14に供給される供給ライン17によって、レギュレータセット10および容器5に連結される入口16が設けられる。
【0067】
他方では、樽14にはまた、その底部近くに、液体12を樽14に供給するための入口18が設けられる。
【0068】
さらに、出口19が、樽14の上部に設けられる。
【0069】
この出口19には、浸漬チューブ20が設けられ、浸漬チューブ20が第1の飲料成分15中に垂れ下がり、これを通って樽14内に形成された第1の飲料成分15が、香り付き二酸化炭素および/または窒素6〜7によって与えられる圧力下で放出される。
【0070】
香り付き二酸化炭素およびまたは窒素6〜7は、液体12と混合するために、液体12の中を強制的に通過させることができ、または、混合は拡散のみによって起こり得る。
【0071】
第1の飲料成分15は、本実施形態では炭酸液体15であり、炭酸化に使用される二酸化炭素およびまたは窒素6は、1つまたは複数の風味7で香りが付けられる。
【0072】
液体12に、すなわちこの場合、水12に別の味を与えることとは別に、香り付き二酸化炭素または窒素6〜7はまた、例えば、形成された第1の成分を細菌がない状態で保持するために、より医学的な目的を有し得る。
【0073】
その目的のために、二酸化炭素および/または窒素6は、殺菌剤で香りを付けることができる。
【0074】
装置1にはさらに、第2の飲料成分22を供給するためのソース21が設けられる。
【0075】
このソース21は、
図1の場合、第2の飲料成分22を含む加圧小樽23である。
【0076】
第2の飲料成分22は、典型的には非炭酸ビールまたは非炭酸ビール濃縮物であるが、同様に希釈剤、または任意の他のタイプの飲料液体であり得る。
【0077】
小樽23は、第2の飲料成分22がそれから放出され得る浸漬チューブ25が設けられた出口24を有する。
【0078】
最後に、装置1はまた、第1の飲料成分15を第2の飲料成分22に加え、供給される麦芽ベース飲料2を形成するための供給手段26を備える。
【0079】
この供給手段26は、
図1の場合、混合チャンバ27によって形成され、混合チャンバ27内では、第1の飲料成分15および第2の飲料成分22が、タップライン28を通してグラス3内に供給される前に混合される。
【0080】
第1の飲料成分15は、樽14の出口19に設けられた出口ライン29によって混合チャンバ26に供給され、第2の飲料成分22は、ソース21の出口24に設けられた供給ライン30を通して混合チャンバ26に供給される。
【0081】
本発明による装置1のこの第1の実施形態は、本発明による方法を適用することによって、麦芽ベース飲料2を供給するのに実用性がある。
【0082】
実際に、液体希釈剤12は、供給ライン11から供給され、香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素6〜7を液体12に通して案内することによって、容器5から供給される香り付き二酸化炭素および/または香り付き窒素6〜7と樽14内で混合される。
【0083】
その結果、この場合、特定の風味7で香りが付けられた炭酸水15である第1の飲料成分15が形成される。
【0084】
ソース21から、第2の飲料成分22、すなわちこの場合、麦芽ベース濃縮物22が混合チャンバ27に供給され、第2の飲料成分22は、消費できる状態の容器3内にタップライン28を通して供給される麦芽ベース飲料2をもどすための第1の成分または炭酸水15に加えられる。
【0085】
説明した場合には、第1の飲料成分15は、特定の風味7によって調整される炭酸水と見なすことができ、炭酸水15の品質を高め、結果として、最終的に供給される飲料2の品質および味を向上させることは明らかである。
【0086】
図2は、本発明による装置1の第2の実施形態を示し、第2の実施形態は、容器5内の二酸化炭素および/または窒素6が風味7と予混合されていない点で第1の実施形態と異なる。
【0087】
その代わりに、風味7のソース31、すなわちこの場合、加圧気体状風味7の容器31が、第2の混合手段32と同様に設けられ、この場合、第2の混合手段32は3方弁32によって実現され、3方弁32を通って、ソース4から供給された二酸化炭素および/または窒素6が、風味ソース31から供給ライン33を通って供給された風味7によって混合される。
【0088】
本実施形態では、二酸化炭素および/または窒素中の風味の濃度を容易に適合させ得ること、ならびに、例えば、容器31が空である時、または別の種類の風味7を供給する必要がある時に、別の容器と容易に取り替え得ることが明らかである。
【0089】
容器3は、
図2の場合には瓶3、例えば、店で販売できる状態の、典型的には家で消費されるビール瓶3である。
【0090】
図3は、本発明による装置1の第3の実施形態を示し、第3の実施形態では、それぞれが異なる風味7を含む複数の風味容器31または風味ソース31を装置1に設けることによって、装置1が多少拡張される。
【0091】
この第3の実施形態の装置1にはさらに、毎回別個の供給ライン34によって、すべての風味ソース31に連結される選択機34が設けられる。
【0092】
選択機34は、混合手段32内の二酸化炭素および/または窒素と混合される風味ソース31を設定することができる。
【0093】
本実施形態によって、飲料2が供給されるごとに、複数の風味7を含む、または単一の様々な風味7もしくは風味7の固有の混合物を含む、タップライン28を通して供給される飲料2を生成することができ、風味7は、例えば消費者によって選択される。
【0094】
図4は、本発明による装置1のさらに別の実施形態を示す。
【0095】
図1でのような香り付き二酸化炭素および/または窒素6〜7を含む容器5が設けられる。
【0096】
他方では、供給ライン11はこの場合、混合によって香り付き二酸化炭素および/または窒素6〜7で炭酸化するための非炭酸ビール12を樽14に供給している。
【0097】
混合手段13は、本実施形態では樽14だけでなく、出口ライン29に設けられた発泡チャンバ36も備え、泡37である第1の飲料成分22を形成する。
【0098】
したがって、この泡37は、風味7で風味が付けられた炭酸ビールからなる。
【0099】
図4の装置はさらに、続いて第2の飲料成分22、および第1の飲料成分15または泡37を供給するための手段38、この場合、3方弁39を備える。
【0100】
第2の飲料成分22は、この場合、麦芽ベース飲料22であり、麦芽ベース飲料22はこの場合、さらに混合することなく、グラス3内に直接供給される。
【0101】
その後、第1の飲料成分15、または泡37が加えられ、第2の飲料成分22上に泡の輪37が形成される。
【0102】
これによって、
図4に明示するように、層状の飲料2が得られる。
【0103】
本発明は、例として説明し、図面に示した本発明による麦芽ベース飲料を供給するための装置1および麦芽ベース飲料を供給する本発明による方法に決して限定されず、本発明によるこのような装置1およびこのような方法は、本発明の範囲から逸脱することなく、あらゆる種類の変形例で実現することができる。