(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記無菌手術用トレイが、前記再利用可能な非無菌モジュールを封じ込める前記凹部を形成するために選択的に相互に結合可能である少なくとも2つの部品を含む、請求項1または2に記載の手術用装置。
前記1つまたは複数のインターフェースがさらに、前記再利用可能な非無菌モジュールのモータから、前記無菌手術用トレイに接続された流体ポンプへ回転運動を伝達するための機械的結合部、および前記再利用可能な非無菌モジュールの光源から前記無菌手術器具へ光を伝送するための光伝送結合部のうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の手術用装置。
前記1つまたは複数のインターフェースがさらに、前記非無菌モジュールから前記無菌手術用トレイへ電力を送るための電気伝導性結合部を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の手術用装置。
前記再利用可能な非無菌モジュールの前記1つまたは複数の機能が、機械的動力を提供すること、電力を提供すること、電子的処理または制御を提供すること、レーザ源を提供すること、光源を提供すること、および情報を表示することのうちの少なくとも1つを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の手術用装置。
【発明を実施するための形態】
【0022】
いくつかの実施形態、例および説明が以下に開示されているが、当業者であれば、本明細書に記載されている発明は特定的に開示されている実施形態、例および説明を超えて拡大し、本発明の他の使用法およびその明らかな修正形態および均等物を含むことを理解するであろう。本発明の実施形態は添付の図面を参照して記載され、図面中、全体を通して、同様の番号は類似の要素を指す。本明細書に提示される記載で使用される用語は、本発明の特定的な特別の実施形態の詳細な記載と併せて使用されているに過ぎないため、限定的にも制限的にも解釈されることを意図しない。加えて、本発明の実施形態はいくつかの新規の特徴を含むことができ、1つの特徴がその所望の特性に全責任を負うこともなければ、記載されている本明細書中の本発明を実行するために不可欠ということもない。
【0023】
いくつかの実施形態は、手術部位に隣接してまたはすぐ近くに(例えば目を手術する間、患者の頭部に隣接してまたはその周りに)位置付けられる手術用トレイまたはコンソールを含む。トレイは手術部位の骨格に適応するようにU字形、L字形に成形されるか、または他の方法で湾曲または角度を付けられ得る。いくつかの実施形態は、一時的、半永久的または永久的な手段を介して患者のストレッチャー、患者のヘッドレスト、外科医のアームレストまたは外科用顕微鏡に取り付けられるか、固定されるか、または装着される手術用トレイを含む。いくつかの実施形態は、ストレッチャー、アームレストまたは他の固定具に確実に取り付けられた別個の永久的または半永久的ベースユニットを含み、その結果、トレイをベースに確実に配置することまたは位置付けることができるようになっている。いくつかの実施形態では、ベースは外科医のアームレストに取って代わり、またはアームレストに取り付けられ、従って外科医の腕および手を支えるための強度を備えて設計される。他の実施形態では、トレイ自体が、確実な取付けを可能にする例えばクリップ、ストラップ、クランプまたは他の特徴部を用いて、固定具(アームレスト、ストレッチャー、顕微鏡等)に直接取り付けられる。
【0024】
モジュール式またはハイブリッド式手術用トレイ
いくつかの実施形態では、モジュール式またはハイブリッド式手術装置またはトレイは、1つまたは複数の再利用可能な構成要素と、1つまたは複数の使い捨て構成要素(いくつかの実施形態では単回使用後に廃棄することができるか、またはいくつかの実施形態では制限された使用回数の後で廃棄することができる)とを含み、それぞれの少なくとも一部は無菌作業部位内またはそのすぐ近くに含まれる。例えば、1つまたは複数の使い捨て構成要素は、無菌作業部位内に存在するように構成された無菌構成要素を含み得、1つまたは複数の再利用可能な構成要素は、無菌作業部位のすぐ近くに残り続ける間、少なくとも部分的に、使い捨て無菌構成要素内に包含されるか、使い捨て無菌構成要素内に封じ込められるか、または(例えば無菌ドレープを使用して)無菌作業部位から隔絶されるように構成され得る。
【0025】
典型的な使用のシナリオにおいて、1つまたは複数の再利用可能な構成要素は必ずしも無菌であると見なされず、その一方で1つまたは複数の使い捨て部分は外科的処置の間に使用するために無菌パッケージにおいて提供される。非無菌の再利用可能な部分は、システムの無菌部分と併せて1つまたは複数の機能を提供するが、1つまたは複数の理由のため、再利用可能な部分は単回使用、すなわち使い捨てであるように設計されない。例えば、再利用可能な部分は、単回使用後に廃棄するには高価過ぎるか、大き過ぎるか、価値があり過ぎるか、無駄が多過ぎるか、または危険過ぎると考えられるまたは考えられる可能性がある構成要素を含み得る。使い捨て型および再利用可能の両方の態様を一体化するハイブリッド式手術用トレイシステムにはいくつかの恩恵があり、それらにはコスト削減、低減された環境への影響、およびより高い販売利益が含まれるがそれらに限定されない。
【0026】
使い捨て部分は、いくつかの実施形態では、使用中に汚染されるか、単回使用後に磨滅されるか、または延長した使用もしくは複数回の使用に適していないシステムの構成要素を含み得る。これらの構成要素は(非限定的に)流体チューブライン、流体コネクタを含む流体構成要素、止水栓、逆止弁、フィルタ、ポンプまたはその一部(例えばポンプチューブ、ぜん動ポンプロータおよびローラ、および/またはそれらに類するもの)、圧力および流れセンサ、および/またはそれらに類するもの;目または他の手術部位に挿入される器具(または取外し可能な針などの器具の一部);無菌ドレープ、バッグ、シェルまたは他のカバー;トレイ、筐体、作業表面、器具保持具、および/または手術トレイの他の構造的要素を含み得る。いくつかの実施形態では、使い捨て部分はまた、電子部品、電気相互接続部分、および/またはバッテリを含み得る。いくつかの実施形態では、使い捨て部分は光学構成要素を含み得、それにはファイバ、ファイバ束、光パイプ、LED、レンズおよび/またはそれらに類するものが含まれるがそれらに限定されない。
【0027】
再利用可能な部分は、いくつかの実施形態では、(いくつかの実施形態ではハイブリッド式/モジュール式手術装置の設計によって)外科的処置の間に汚染されない、または使用後に殺菌あるいは除染可能な構成要素を含み得る。これらの構成要素は(非限定的に)電子部品、ディスプレイ、電源、バッテリ、ポンプまたはその一部(例えばモータおよび/またはギヤアセンブリ)、レーザ、光源、光学構成要素、コンプレッサ、ガス源、筐体、作業表面、器具保持器、手術用トレイの他の構造的要素、および/またはそれらに類するものを含み得る。
【0028】
本開示に記載されるような「多数回使用型」手術用トレイシステム(例えば使い捨て型および再利用可能な構成要素の両方を含むハイブリッド式またはモジュール式システム)に関連する大きい課題は、システムの設計および使用法が、適切な無菌処置および汚染危険性配慮を忠実に守ることを確実にすることである。特に、トレイの無菌使い捨て部分と非無菌の再利用可能な部分との間のインターフェース要件には課題がある。最先端手術システムの多くの現在の状況において、再利用可能な手術アセンブリは無菌領域および手術部位から距離を取って配置されることになり、延長された長さのインターフェース(例えば電気ケーブル、光ファイバ、空気圧/流体チューブ、および/またはそれらに類するもの)が無菌および非無菌バリヤと交差し、再利用可能なアセンブリを使い捨てアセンブリ(例えば手術用手持ち器具)に接続する。しかしながら本開示の実施形態は、無菌作業領域内またはそのすぐ近くに非無菌の再利用可能な部分と無菌使い捨て部分との両方を含む。
【0029】
この機能的インターフェースを達成するための1つの技法は、ドレープまたはカバーであり、それらドレープまたはカバーは、無菌使い捨て部分と非無菌の再利用可能な部分との間の無菌バリヤが維持されるようにドレープまたはカバーを介して1つまたは複数の種類のインターフェース(例えば電気的、機械的、光学的、流体的および/またはそれらの類似形態)を可能にする。この機能的なドレープ技法の例は、
図3A〜3Cを参照して以下により詳細に記載されている。
【0030】
外科手術室の設定における標準的な無菌慣行を忠実に守りながら無菌作業領域内またはそのすぐ近くで無菌および非無菌構成要素(すなわち使い捨て型および再利用可能な構成要素)のこの機能的なインターフェースを達成するための他の技法が、同じく本明細書に開示されている。いくつかの実施形態では、システムの無菌使い捨て部分(単独でまたは1つもしくは複数の他の使い捨て型もしくは再利用可能な部分と組み合わせて)は、外科的処置の間、無菌バリヤが常に維持されるように1つの非無菌の再利用可能な部分(または複数の非無菌部分)を囲む、覆うか、または保護するか、または隔絶する無菌の無菌容器として機能する。これは、いくつかの実施形態では、よりコストの掛かる、すなわち顧客に応じて設計されるドレープの必要性がないという点で、およびいくつかの実施形態では、無菌ドレープを通していずれかのものを貫通させる、刺す、または通過させる必要性がないという点でドレープ解決策に好適であり得る。なぜなら、いくつかの実施形態では、無菌使い捨て部分は非無菌の再利用可能な部分を囲むか中に入れ、2つ以上の部分間の必要な機能的なインターフェースを直接作り出すことができるからである。いくつかの実施形態では、しかしながら、両方の概念を組み合わせること、すなわち、機能的なインターフェース面を有するドレープと、非無菌構成要素を少なくとも部分的に隔絶する無菌構成要素との両方を利用することが望ましい場合がある。
【0031】
非無菌構成要素を無菌作業領域から隔絶する無菌構成要素の例示的な使用のシナリオにおいて、無菌移動手順が多数回使用型手術用トレイを開梱し設置するために使用される。「手洗い消毒」し適切に手術衣を着用した(従って汚染されていない)外科医が無菌作業領域内に存在し、助手(無菌であると見なされない)は無菌作業領域の外に存在するであろう。助手は無菌梱包されたトレイ(使い捨て部分)を開封し外科医に渡し、この際、助手は無菌トレイ自体には触れることなく外側パッケージ(無菌であると見なされない)に触れるのみであろう。外科医はパッケージの外側に触れることなく使い捨てトレイをパッケージから取り出すであろう。単回使用トレイ実施形態(それによりトレイ全体は外科的処置後に処分され、従って使い捨て部分と再利用可能な部分との間のインターフェースは必要ない)において、トレイはこのとき患者の近くに設置され、手術が開始されるであろう。多数回使用型またはハイブリッド式実施形態において、外科医は、助手が非無菌の再利用可能なモジュールを中に配置するであろう無菌トレイの一部である無菌筐体を開封するか、または他の方法でそれへのアクセスを可能にするであろう。本明細書に開示される様々な実施形態、例えば以下でさらに詳細に記載される
図12A〜12C、13A〜13Cおよび14A〜14Cは、非無菌の再利用可能なモジュールを挿入するための無菌筐体またはキャビティを含むそのような多数回使用型またはハイブリッド式手術用トレイを説明する。
【0032】
いくつかの実施形態では、手術用トレイの使い捨て部分の寸法を低減するために(これは例えば全体コストおよびごみの削減に役立ち得る)、使い捨て部分は、再利用可能なモジュール(機能的要素を包含する)を包含するために(例えば完全または部分的に封じ込めるために)十分に大きくなるように設計され得るが、再利用可能なモジュールとの機能的なインターフェースを必要としないトレイの他の構造的または支持側面は、再利用できるように、例えば外科的処置前に布で覆われるように設計可能である。使い捨て部分はまた、いくつかの実施形態では、比較的薄いプラスチックまたは同様の材料(例えば射出成形または真空成形が低コストおよび薄いプラスチック特徴部にとって好ましい選択肢である)を含み得るが、この際、追加的な構造的支持が再利用可能な部分によって提供され、その再利用可能な部分の上にそれは配置または結合される)。使い捨て部分はいくつかの実施形態では(標準的なドレープの必要性を低減または排除する)ドレープまたは無菌バリヤとして機能し得、またはいくつかの実施形態では、使い捨て部分が再利用可能な部分上に配置される前に標準的な無菌ドレープが再利用可能な部分上で使用され得る。
【0033】
特定の実施形態はまた、手持ち器具を再利用可能な構成要素と使い捨て構成要素とに分割する。例えば、内部照明装置器具または目に挿入される他の器具(例えば、
図8Aに示される器具)の針はハンドピースの残部から切り離すことができ、それにより汚染された部分(例えば針)を処分できる一方で、ハンドピースの残部(これは例えばコストまたは他の考えにより処分することが望ましくない可能性がある)を拭くまたは他の方法で殺菌する、あるいは処置の間汚染を回避するために「袋詰めする」または布掛けすることができる。同様に手持ち器具の硝子体または組織カッター、軟質先端型押出し器具または水晶体除去装置の針および吸引流体構成要素はいくつかの実施形態では新しい無菌構成要素と交換するためにハンドピースの残部から切り離されるように構成され得る。同様に、ジアテルミー針アセンブリは、使い捨て部分を再利用可能な要素から分離するためにハンドピースの残部から切り離されるように構成され得る。
【0034】
機能的インターフェース
本明細書に開示される手術システムの様々な実施形態は、使い捨ておよび/または無菌構成要素を再利用可能および/または非無菌構成要素と機能的に結合するための1つまたは複数の機能的インターフェースを含む。そのような機能的インターフェースは例えば再利用可能および/または非無菌構成要素が電力、光、流体、電子的通信および/または様々な他の機能を使い捨ておよび/または無菌構成要素に提供することを可能にし得、使い捨ておよび/または無菌構成要素が1つまたは複数の手術機能を実行することを可能にし得る。無菌構成要素と非無菌構成要素との間で利用され得る機能的接続またはインターフェースのいくつかの例が、本明細書中に開示されている。例えば、
図2A〜2Kは、以下にさらに記載するように、様々な機械的回転結合を示す。そのような結合は例えば再利用可能なモータまたはギヤボックスが使い捨てポンプヘッドと結合することを可能にし得る。
図3A〜3Cは特注の手術用ドレープ内の様々な機能的インターフェースを示す。示されている概念はまた、いくつかの実施形態では、無菌構成要素と非無菌構成要素との間の直接的な機能的接続においても利用され得る。
図4Cは例えば電力および/または電子的通信を伝送するために電気的インターフェースを利用する実施形態を含む様々な実施形態で利用され得る電気的な機能的インターフェースの例を示す。
図4Cに示される実施形態は電力および/または電子的通信用の経路を提供するために相手方電気伝導性接点を使用する例を示す。いくつかの実施形態では、しかしながら、電力および/または通信は非接触式または非電気式手段を介して伝送される。例えば、電力はいくつかの実施形態では無線および/または誘導結合を使用して伝送され得る。通信はいくつかの実施形態では光学結合および/またはそれに類する方法を介して、無線式に伝送され得る。いくつかの実施形態では機能的インターフェースは、システムの使用者が、再利用可能な構成要素の電子ディスプレイ、光および/またはそれらに類するものを見ることを可能にする透明な(または少なくとも部分的に透明な)窓、開口、または無菌構成要素の一部(例えば
図4Eに示される開口408)を含み得る。いくつかの実施形態では、電気的な機能的インターフェースは、伝導性コネクタ、誘導インターフェースおよび/またはそれらに類するものを含む。いくつかの実施形態では、光学的な機能的インターフェースは、再利用可能な構成要素から使い捨て構成要素への光の伝達を可能にする光管構成要素および/またはそれに類するものを含む。いくつかの実施形態では、機能的インターフェースは、流体を再利用可能な構成要素からまたは再利用可能な構成要素へ送ることを可能にする流体コネクタを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、無菌使い捨てトレイ(またはトレイの構成要素)と非無菌の再利用可能な構成要素またはモジュールとの間のインターフェースは、電気的、機械的、光学的、流体的、および/またはそれらに類する形態内の1つまたは複数であることができる。電気的な機能的インターフェースは、いくつかの実施形態では、単一または複数導体のコネクタ(例えば
図4Cに示されるようなもの)、ばねまたはばね接触、「ゴールドフィンガ(gold finger)」コネクタ、エッジコネクタおよび/またはそれらに類するものを含み得る。電気的インターフェースはまた、いくつかの実施形態では、誘導性または無線リンクを介して達成され得る。電気的インターフェースはまた、いくつかの実施形態では、単一または多数導体ケーブルまたはコード、ジャック、プラグおよび/またはそれらに類するものを含み得る。電気的インターフェース(または他の種類の機能的インターフェース)はいくつかの実施形態では、使い捨てトレイ(またはその構成要素)上の電気接点および再利用可能なモジュール上の電気接点がトレイおよび/またはモジュール上の機械的特徴部によって整列されるように設計され得る。再利用可能なモジュールはまた、いくつかの実施形態では、有線または無線インターフェースを介して、フットペダルなどの外部に位置する構成要素、外部に位置する電源、または別個の手術用コンソールと接続し得る。
【0036】
機械的な機能的インターフェースはいくつかの実施形態では再利用可能なモータ(例えば
図18に示されるようなぜん動ポンプロータ、ローラおよびチューブを含む)と使い捨てポンプヘッドとの間の結合または再利用可能なポンプヘッドと使い捨てぜん動チューブ(ここでは例えば外科医または他の使用者は再利用可能なポンプヘッドの上に単回使用または有限使用のぜん動チューブを伸張または他の方法で導入するであろう)との間の結合を含み得る。機械的なインターフェースはまた、いくつかの実施形態では、例えば手持ち器具などの非隣接システムを作動するためにベルト、チェーン、伝達コイル、トルクコイル、ロータリケーブルおよび/またはそれらに類するものに接続されたモータまたは他のアクチュエータを含み得る。いくつかの実施形態では、モータまたはアクチュエータとその相手方構成要素との間のインターフェースは、スプライン結合、スパイダー結合、シャフト結合等などの機械的連結または結合であり得る。ロータリ機械的結合のいくつかの例が以下に記載されるように
図2A〜2Kに示されている。
【0037】
光学的な機能的インターフェースは、いくつかの実施形態では、再利用可能な光源と使い捨てファイバ、ファイバ束、光管および/または他の導波路との間の結合を含み得る。光源はいくつかの実施形態では内部照明、処置レーザ(例えば532nmまたは1064nmの光凝固)、またはイメージングレーザ(例えば光コヒーレンス断層撮影法)用の、LED(いくつかの実施形態ではRGBまたは白)または白色ランプであり得る。インターフェースはいくつかの実施形態ではレンズ、ミラー、ファイバ、ファイバ束、プリズム、光管および導波路および/または再利用可能な部分からシステムの使い捨て部分への光の案内かつ結合を補助する他の光学素子を含み得る。
【0038】
流体的な機能的インターフェースはいくつかの実施形態では使い捨て柔軟性チューブと再利用可能なセンサ(例えば圧力センサ、流れセンサ、流体センサおよび/またはそれらに類するもの)との間のインターフェースまたは使い捨て柔軟性チューブとコンプレッサ、圧縮ガス、加圧液体、ポンプおよび/またはそれらに類するものなどの空気圧源または流体源との間のインターフェースを含み得る。インターフェースはいくつかの実施形態では、再利用可能な構成要素と使い捨て構成要素とが結合、組合せまたは互いに所望の位置に配置される場合に嵌合される流体コネクタを含み得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、無菌使い捨てトレイ(またはその構成要素)は、例えば再利用可能モジュールに一体化された1つまたは複数のディスプレイを使用者が見ることを可能にするために透明または部分的透明材料を含む光学的な機能的インターフェースを含み得る。いくつかの実施形態では、無菌使い捨てトレイ(またはその構成要素)は、使用者が無菌使い捨てトレイを介して再利用可能なモジュール上に配置されたボタンを起動することを可能にするように構成された、薄い、柔軟性の、または曲げやすいあるいは順応性の材料を含み得る。いくつかの実施形態では、無菌使い捨てトレイは、薄い真空成形されたプラスチックおよび/またはそれらに類するものを含み得る。いくつかの実施形態では、透明材料の一部は、着色、染色または他の方法で不透明にされ得、その結果、材料の一部(光学的インターフェース部など)のみが使用中に透明のまま残る。
【0040】
本明細書に開示される機能的インターフェースはいずれも、再利用可能な構成要素が使い捨て構成要素に結合される(または使い捨て構成要素に対する所望の位置に配置される)とき、所望の位置または構成に自動的に係合または配置されるように構成または配置され得る。あるいは、1つまたは複数の機能的インターフェースは、再利用可能な構成要素が使い捨て構成要素に結合される前または後、使用者によって手動で係合されるように構成され得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、再利用可能な部分および/または使い捨て部分は、それら部分のおよび/またはそれらの機能的インターフェースの嵌合または相互接続を補助するために、それら自体の整列、位置合わせまたは位置付けを補助する特徴部を含み得る。例えば、1つまたは複数の部分は、電気的接触または相互接続、機械的相互接続(例えば再利用可能モータシャフトと使い捨てぜん動ポンプロータ、カムおよび/またはそれらに類するものとの間の、または再利用可能ポンプモータおよびローラと使い捨てぜん動チューブとの間の)、空気圧的または流体的相互接続(例えば使い捨て部分を再利用可能センサ、空気圧源または流体源、圧縮ガス、ぜん動ポンプ、ベンチュリポンプ、および他のポンプ、および/またはそれらに類するものに接続するための)、および/または光学的相互接続(例えば使い捨て部分を再利用可能な光源、レーザおよび/またはそれらに類するものに接続するための)の整列または接続を補助するための特徴部を含み得る。いくつかの実施形態ではシステムの異なる構成要素を整列または固定するために磁石も使用され得る。再利用可能なモジュールはいくつかの実施形態では、無菌使い捨てトレイ(またはその構成要素)内に導入またはそれに取り付けられる(または結合される)と、自動的に電源をオンにされるか起動されるかイネーブルにされるか、またはそれが適切に「ドッキングされている」ことを判定するための手段を有し得る。
【0042】
手術用トレイコンソール
図1A〜1Fは、眼科外科的処置で使用され得る手術用トレイ10の実施形態を示す。
図1Aは患者2と一緒に使用する際の手術用トレイ10の頭上図または上面図を示す。この実施形態では手術用トレイ10は、患者の頭部周囲に配置された空隙または切欠き102を含む。
図1B〜1Fはさらに手術用トレイ10と、手術用トレイ10を手術台、椅子またはストレッチャー13に取り付けることができる1つの方法とを示す。いくつかの実施形態では、
図1Cに示されるような手術台13は、
図1Bにより詳細に示される手首支持体などの支持体12を含む。支持体12は支持バー16と、手術台13の頭部に接続するように構成された端部14とを含む。
図1Eに示されるように、いくつかの実施形態では、手術用トレイ10は、ベース部分104と嵌合するように構成された天板部分101を含み得る。ここに示されている実施形態においてベース104は、手術台13への天板部分101の効果的かつ構成可能な取付けを可能にする取付構造部分として望ましくは意図される。いくつかの実施形態では、本明細書中さらに記載されるように、ベース部分は、例えばモータおよび/またはポンプ、電子機器および/またはそれらに類するものなど、さらなる機能的特徴部を含み得る。ベース部分104は、ベース104を手術台13の支持体112に取り付けるまたは結合することを可能にするように構成された1つまたは複数の溝穴106または他の特徴部を含み得る。いくつかの実施形態では、ベース部分104を支持体112に保持するためにストラップが使用され、このときストラップは溝穴、溝、または凹部106を通過する。いくつかの実施形態では、手術用トレイ10は、とりわけ、天板部分101とベース部分104との間の弛みを除去し天板部分101とベース部分104との間のより頑丈な接続を維持することを補助するようにベース部分104の頂部に配置されたパッド108を含む。
【0043】
図1Fで見ることができるように、いくつかの実施形態では、手術用トレイは、ベースと摺動可能に係合するように構成される。この実施形態では、手術用トレイ天板部分101は、ベース104と係合するラッチ126を含む。いくつかの実施形態では、レバーまたはスイッチまたはハンドル124により、手術用トレイ10の使用者は天板部分101を適所でベース104と選択的に係合またはロックすることが可能になる。いくつかの実施形態では、ラッチ126は、天板部分101が、異なる大きさの患者および/または使用者の嗜好を受け入れるためなど、複数の位置でロックすることを可能にするために調整可能である。例えば、手術用トレイ10の底面図である
図1Fに示される実施形態では、天板部分101は、完全係合位置のほぼ半分の位置で適所にロックされた状態で示されている。
【0044】
天板部分101、ベース104および支持体112の分解図である
図1Eは、手術用トレイ10のいくつかの特徴部を示す。例えば、手術用トレイ10は、1つまたは複数のハンドピースまたは手術器具110を、この実施形態では4つのハンドピース110を含む。ハンドピース110は、例えば硝子体切断、ジアテルミーまたは電気焼灼、照射および/またはそれらに類する機能などの手術的機能を実行するための1つまたは複数の器具を含み得る。いくつかの実施形態では、ハンドピース110は、ケーブルまたはテザー112を介して天板部分101に繋ぎ止められる。いくつかの実施形態では、ケーブルまたはテザー112は、例えば動力伝達、電子的通信、空気圧的または光学的など他の方法を介した通信、および/またはそれらに類似する特徴など、1つまたは複数の特徴を含む。
【0045】
手術用トレイ10はさらに、ハンドピースが必要とされるまでおよび/または次の外科的処置までの間、ハンドピースを適所に保持するためにハンドピース110と係合するように構成された複数の凹部または保管構造111を含む。手術用トレイ10はさらに、例えば流体注入、油注入、空気注入および/またはそれらに類する機能など手術用トレイ10の複数の機能を制御するための複数の制御装置114を含む。手術用トレイ10はさらに、手術用トレイ10の1つまたは複数の装置に対する動力を操作するように構成された動力ボタン116を含む。手術用トレイ10の1つまたは複数のディスプレイまたはインジケータおよび/または光源118は、外科的処置の間、情報が、例えば使用者または外科医に伝達されることを可能にする。いくつかの実施形態では、1つまたは複数のディスプレイまたはインジケータ118は手術用トレイ10から離れて、例えば顕微鏡にまたは壁に配置され、有線または無線接続を介してトレイに接続されてもよい。手術用トレイ10はさらに流体貯蔵器受入装置120および平衡塩類溶液(BSS)ボトル、容器、無菌筐体または他のホルダ122を含む。この実施形態では、モータは、
図1Fに示されるポンプヘッド123に対し取外し可能であり、および/または取外し可能に結合される。ポンプヘッドはさらにポンプ入力および/または出力チューブ123を含む。いくつかの実施形態では、モータを手術用トレイ10および/またはポンプヘッド123から取外し可能とし、それにより、例えば、比較的高価なおよび/またはより高い品質のモータが利用され得る一方で、ポンプヘッド123を含む手術用トレイ10の残部は単回処置または所定の処置回数後に処分できるようにすることが望ましいことがあり得る。モータをポンプヘッド123に結合するために使用され得る結合機構の様々な実施形態を、
図2A〜2Kを参照して以下でさらに詳細に記載する。
【0046】
いくつかの実施形態では、例えば
図1A〜1Fに示される手術用トレイ10など、本明細書に開示される1つまたは複数の手術用トレイは、STERILE SURGICAL TRAYという名称の米国特許第8,568,391号明細書に記載されているものと同様の1つまたは複数の特徴および/またはそれと同様に作動し得る1つまたは複数の特徴を含み得、前出の特許はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0047】
様々な実施形態は、トレイの機能を制御する取外し可能および/または取外し不可能な電子機器を含み得る。電子機器は、1つまたは複数のマイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、マイクロエレクトロニクス、および/またはそれらに類するものを含み得、電子機器は、圧力、真空、流れ、温度、光強度、電圧/電流/電力、および慣性測定センサを含むがそれらに限定されない様々なセンサのいずれかを含み得る。電子機器はまた、低コストであるように、従って単回使用後または制限された使用回数後に処分できるように設計され得る。電子機器は、製造者によって意図されていた使用を超える電子機器の使用を防止するソフトウェアまたはハードウェア特徴部を含み得る。例えば、電子機器は、患者に安全リスクが生じ得る(例えばシステムがもはや無菌でないために)再使用を防止するために、および製造業者の販売収入を保護するために単回使用後に動作不能になり得る。電子機器はまた、いくつかの実施形態では、制限された使用回数、制限時間量の間、または所定の使用期限まで機能するように設計され得る。例えば、これは、信頼できると考えられる使用を超えるシステムの使用を防止するのに有用であろう(例えば、特定の構成要素は故障の可能性が危険な状態になる前に制限された使用回数を有し得るか、またはシステムの特定の構成要素の効力または無菌性は制限された寿命を有し得る)。これはまた、記名式販売モデルで使用され得、その際、外科医または病院は、追加の外科的処置用にシステムを使用するために、またはシステムの追加機能を加える/ロック解除するために、追加のクレジットを購入することができる。いくつかの実施形態はまた、再利用を制限する非電子的および非ソフトウェア手段を利用し得、例えばハンドピースおよび/またはトレイ構成要素はオートクレーブ滅菌に耐えない材料から製造され得る。
【0048】
いくつかの実施形態のトレイは内部電源、または変圧器およびAC壁電流をより低い電圧DCに変換する整流器を組み込み得る。トレイは代替的にトレイから分離された電源(例えば「壁のこぶ(wall−wart)」型変圧器または外部ブリック状電源)を利用し得る。トレイはまた、1つまたは複数の単回使用型(一次)バッテリ(例えば、アルカリ、リチウム、マンガンまたは他の化学的性質)または充電可能型(二次)バッテリ(例えばLi−ion、Li−Poly、NiMH、NiCdまたは他の化学的性質)によって動力供給され得る。バッテリは、いくつかの実施形態では、トレイ自体から取り出し可能な自蔵型バッテリパックとして構成され得る。トレイはまた、トレイが結合される別個のコンソールシステムから、または外科用顕微鏡から動力(電気的、空気圧的および/または他の方式)を得る場合がある。
【0049】
トレイ自体と別個の再利用可能または半永久的ベースを含む実施形態において、ベースは、トレイの製造コストを削減すること、ごみを削減すること、およびより高い品質の再利用可能な構成要素を使用することを含む利点のために以下のいずれか1つまたはいくつかを組み込むように設計され得る:電子装置;ディスプレイ;センサ(例えば圧力、流れ);電源;1つまたは複数の一次または二次バッテリまたはバッテリパック;例えば注入、吸引、および/または空気圧もしくは液圧器具を駆動するためのポンプまたはポンプの構成要素およびサブアセンブリ(例えばモータおよび駆動回路);ハンドピース駆動モータ(例えば硝子体カッターまたは他の機械的器具に接続された伝達ケーブルまたはトルクコイルを移動または回転するためのもの);内部照明光源;光凝固レーザ。ベースおよびトレイは、トレイが一時的であるが確実にベースに取り付けられることを可能にし、ならびに例えば異なる患者の形状を受け入れるためにトレイの位置を調整または平行移動することを可能にする特徴部を実装し得る。さらに別の実施形態では、これらの特徴部のいくつかまたは全ては、手術用トレイおよびハンドピースの機能を制御するために使用される1つのフットペダル(または2つ以上のフットペダル)に配置され得る。フットペダルは、電気的接続(例えばケーブルアセンブリ)、空気圧/液圧的接続(例えばチューブ)、光学的接続(例えば、照明、レーザ治療、撮像等用に使用可能な広帯域または狭い帯域の波長光用の1つまたは複数の光ファイバ)、および機械的連結接続(例えば、フットペダル筐体に配置されたモータ、ピストン等の運動をトレイまたはハンドピースに伝達するための伝達ケーブルまたはコイル)を介して、トレイおよび/またはハンドピースに繋ぎ止められ得る。関連の実施形態では、フットペダルは、これらの要素のいくつかを含み得るが、ポンプと患者との間のチューブ長さが最小化されるようにベースユニットまたはトレイに配置されたポンプ(例えば注入および/または吸引用)に接続され得る。
【0050】
別個のベース内にポンプモータおよび/またはハンドピース駆動モータを備えた実施形態において、ポンプモータはトレイ内のポンプヘッドと結合し得、および駆動モータは、トレイがベースに取り付けられるか配置されると整列されかつ係合するスプライン結合、シャフト結合または同様のものを介して伝達ケーブルまたはトルクコイルと結合し得る。
図2A〜2Kは、モータ入力シャフトおよび/またはトルク伝達機構204のポンプヘッド202への取外し可能な結合を可能にするように構成され得る結合装置または結合機構205の様々な実施形態を示す。ここに示されている実施形態は、ポンプ側結合部分206とモータ側結合部分208とを含む。
図2A〜2Cに示される実施形態において、ポンプ側結合部分206は、モータ結合部分208の雌型スプラインと結合するように構成された雄型スプラインを含む。雄型スプライン206は、雌型スプライン208と摺動可能に結合しトルクがモータからポンプヘッド202へ伝達されることを可能にするように構成され得る。
図2Dは、結合装置205の実施形態を示し、ここでは雄型部分206および雌型部分208は、それらを介したトルクの伝達を可能にする六角ヘッドボルトおよびソケットと同様に、嵌合用平坦部を含む。
図2E〜2Kは様々な実施形態を示し、ここではポンプ側結合部分206の交互に存在する頂部および窪みが、モータ側部分208の交互に存在する頂部および窪みと係合し、それらを介したトルクの伝達を可能にする。様々な他の取外し可能なトルク伝達結合装置が代替的に使用され得る。他の実施形態では、ポンプモータおよびポンプヘッドは簡単に分離できず、代わりにポンプチューブがポンプヘッドから分離可能である。
【0051】
機能的無菌バリヤ
いくつかの実施形態では、眼科手術システムは、トレイをベースに配置する前に無菌バリヤを形成するために非無菌永久ベースを布で覆うために使用可能なドレープなどの特注無菌バリヤを含む。ドレープはいくつかの実施形態ではベースおよびトレイに形状が適合され得る。ドレープはいくつかの実施形態では、光、電気装置、機械的装置および/またはそれらに類するものがそれを通過することを可能にする1つまたは複数の特徴部などの1つまたは複数の機能的特徴部を含み得る。例えば、ドレープは、ベース内のディスプレイを見ることを可能にする1つまたは複数の透明な窓を含み得る。いくつかの実施形態では、ドレープは、電気的、機械的および/または流体的/空気圧的な接続がトレイとベースとの間に設けられることを可能にするためにトレイがベースに取り付けられるとき破られるか穴あけされる穿孔を含み得る。いくつかの実施形態では、ドレープは穿孔を一切含まないこともあるが、それにもかかわらず、トレイおよびベースが嵌合されるとき特定の領域に穿刺または穿孔され得る。いくつかの実施形態では、トレイおよびベースは、設置プロセスの間無菌バリヤが確実に維持されるように穿孔が形成される前に穿孔される領域の周囲にシールを形成し得る。いくつかの実施形態では、ドレープは、ドレープを破ることもなければ穿刺することもなく、および無菌バリヤを妥協することもなく1つまたは複数の電気的接続がベースとトレイの間に形成できるように一体化された電気接点を有し得る。これらの電気接点はいくつかの実施形態では、別個の接点をドレープ材料に一体化することによって形成され得、またはドレープ材料自体が、異方性伝導性である材料から作製され得るかそのような材料を適切な領域に組み込み得、その結果、電流が薄いドレープ材料を通って流れることができるが、多数の隣接する電流経路は互いに相互作用しない。他の実施形態では、動力はドレープの両側に配置された2つのアンテナの誘導結合を経由して、または同様の無線式動力伝送方法を経由して、ドレープを介して無線式に伝送される。
【0052】
図3Aは、複数の機能的特徴部を組み込むドレープ300の実施形態の上面図を示す。ドレープ300は、手術中無菌バリヤを確実に維持するために、例えば手術用トレイのベース部分およびまたは患者の頭部を覆って掛けられるように構成および/または成形および/または寸法決めされた柔軟性材料のシート302を含む。いくつかの実施形態では、ドレープは、以下でさらに考察されるように、
図4Fに示されるものなど、少なくとも部分的に手術用トレイのベース部分と天板部分との間に配置されるように構成される。
図3Aに示される実施形態において、ドレープ300は、簡単にするため長方形として示されている。しかしながら、他の実施形態では、ドレープ300は、ドレープが手術用トレイの少なくとも一部を覆って所定の構成で配置されることができるように異なって成形され得、および/または注文に応じて適合され得る。
【0053】
ドレープ300は、使用者がそれを通して手術用トレイの1つまたは複数のディスプレイを見ることができるように配置された透明領域などの2つの窓304を含む。例えば、窓304は、以下でさらに記載されるように、使用者が
図4Aに示されるディスプレイ118を見ることができるように配置され得る。ドレープ300はさらに、穿孔を含む穿孔領域306を含み、穿孔はドレープ300が適所に配置されるとき穿孔領域306が破られおよび/または取り除かれることを可能にし、機能的装置がそこを通過することを可能にする。例えば、電気的接続がそこを通過し得、機械的結合がそこを通過し得、空気圧的および/または流体的結合がそこを通過し得、光学的結合がそこを通過し得、および/またはそれに類するものがそこを通過し得る。ドレープ300はさらに代替的な穿孔構造308を含む。穿孔308は、チューブまたは他の機能的部材がそこを通過することを可能にするためになど、十字の形状の穿孔を含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、ドレープ300の1つまたは複数の機能的領域は、穿孔308の周囲の円形領域として
図3Aに示されるシール部分310を含む。シール部分310は、例えば、穿孔308が破られるまたは裂かれる、すなわち開口される前に、例えば手術用トレイの天板部分と底部分との間に無菌シールを形成することを可能にするまたは補助する材料を含み得る。いくつかの実施形態では、シール部分310は、ゴムなどの弾性材料を含み得る。いくつかの実施形態では、シール部分310は、主ドレープ材料302よりも硬い材料のリング(または他の方法で成形される)を含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、ドレープ300は、電気接点部分または領域またはブロック312を含む。電気接点部分312はこの実施形態では、ドレープ300の片側の相手方接点をドレープ300の反対側の相手方接点と電気的に連通させることを可能にする電気伝導性材料などの複数の電気接点314を含む。
図3Bは電気接点部分312の断面を示す。この実施形態では複数の電気接点314がドレープ300の片側からドレープ300の反対側へ通過し、従って電流が同じく、無菌側などのストリート300の片側から非無菌側などのドレープ300の反対側へ通過することを可能にすることを
図3Bで見ることができる。
【0056】
図3Cは電気接点部分312’の代替実施形態の断面を示す。この実施形態では、電気接点部分312’は、
図3Cに概略的に示されるような異方性導電性材料を含み、異方性導電性材料は、電流がドレープ300の片側からドレープ300の反対側へなど、一方向に移動することを可能にするが、横切る方向、すなわち垂直方向に移動することを不可能にする。従って、トレイの天板部分の複数の電気接点は、電気接点部分に複数の離散した電気接点を必要とすることなく電気接点部分312’を介して手術用トレイの底部分の複数の電気接点と電気的に連通するように構成され得る。これは、とりわけ、低減された製造コストおよび/または手術用トレイに対するドレープの位置の増大した許容度を可能にし得る。
【0057】
モジュール式手術用トレイシステム
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されるような手術用トレイはモジュール式であり得、1つまたは複数のモジュールがそれに結合されるように構成されたベース、すなわち再利用可能な部分を有する。いくつかの実施形態では、ベース部分は、少なくとも所定の処置回数および/または使用長さの間、再利用できるように構成される一方で、モジュールの実施形態における1つまたは複数は単回使用後などに処分できるように構成される。いくつかの実施形態では、モジュール式手術用トレイシステムは、再利用可能底トレイ部分に結合された使い捨て天板トレイ部分を含む。いくつかの実施形態では、モジュール式手術用トレイシステムは、モータ/ポンプモジュール、流体貯蔵器受入装置モジュール、電流アダプタモジュール、1つまたは複数のハンドピースを含むモジュール式器具インサート、および/またはそれらに類するものなど、1つまたは複数の機能的モジュールを挿入するための1つまたは複数の位置を有する再利用可能トレイを含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、ベース部分など、モジュール式手術用トレイシステムの再利用可能な部分は、1つまたは複数のモジュールの1つまたは複数の使い捨て機能ユニットと結合する、連通するおよび/またはそれらに類する状態であるように構成された1つまたは複数の再利用可能な機能的ユニットを含む。例えば、いくつかの実施形態では、再利用可能ベース部分は、使い捨てモジュール部分の使い捨てポンプハウジングと結合するように構成されたモータを含み得る。いくつかの実施形態では、手術用トレイシステムまたはアセンブリのベース部分など、再利用可能な部分は、1つまたは複数の手術用具の動作を制御するように、および/または1つもしくは複数の制御装置および/もしくは使い捨て部分の手術用具からの入力または状況を検出するように構成された電気処理ユニットを含み得る。いくつかの実施形態では、モジュール式手術用トレイシステムは、再利用可能、すなわちベース部分と使い捨ての、すなわち天板部分またはモジュールとの間に配置されるように構成された
図3A〜3Cに関連して上に記載したような特注手術用ドレープを含む。
【0059】
図4Aは、底部分、すなわち再利用可能な部分404と結合された天板、すなわち使い捨て部分402を含むモジュラー式手術用トレイシステムの実施形態の斜視図を示す。底部404は、手術台の頭部の支持体などの支持体112に結合される。底部404は、例えば、
図4Bに示されるストラップ412など、溝穴を通過するストラップなどの様々な方法で支持体112と連結されるように構成され得る。
図4Aに示される手術用トレイ410は、例えば、複数のハンドピース110、ハンドピース用保管または支持位置111、ハンドピース110をこの実施形態では底部404に接続する複数のテザーまたはケーブル112、複数の制御装置114、動力ボタン116、2つのディスプレイ118、流体貯蔵器受入装置120、およびBSSボトル122など、本明細書に記載される他の実施形態の特徴部に設計が類似した複数の特徴部を含む。
図4Aに示される実施形態は追加的に、手術用トレイシステム410の1つまたは複数の特徴部の制御を可能にするために底部404に繋がれたまたはそれと連通するフットペダル406を含む。
【0060】
図4Bは手術用トレイシステム410の分解図を示し、支持体112に取り付けられたベース部分404を示すが、天板、すなわち使い捨て部分402はベース部分404に依然として結合されていない。この実施形態では、ベース部分404のいくつかの機能的特徴部が示され、それにはディスプレイ118、光源418(この実施形態ではLEDであり、他の実施形態では光源はレーザ、ハロゲンランプ、またはそれらに類するものであることができる)、および2つのポンプ414が含まれる。
図4Cは、天板部分402と底部分404との間の電気的接続を可能にする機能的特徴部の別の例を示す。この実施形態では、テザーまたはケーブル112が、使い捨てトレイ部分402の一部であるかそれに結合される天板電気コネクタ418に接続される。天板コネクタ部分418は、複数の電気接点またはピン419を含み、複数の電気接点またはピン419は天板コネクタ部分から突出し、かつベース部分404の一部であるかそれに結合される底部コネクタ部分420の相手方電気接点421と係合するように構成される。従って、この実施形態では、ハンドピースは、天板部分402をベース部分404に結合するとベース部分404の電子機器または他の特徴部に自動的に接続され得る。換言すると、システムの使用者は、ベース部分404の上に手術用トレイ天板部分402を配置した後、各ハンドピースを個々に差し込まなくてもよい。いくつかの実施形態では、そのような構成は、例えば、より高価なおよび/または耐久性のある構成要素がベース、すなわち再利用可能な部分404の一部であることまたはそれと結合されることを可能にする一方で、使い捨て部分402の天板が1回の手術に利用され手術後に処分される準備が出来ている単一無菌アセンブリとして提供され得るのに有利であり得る。
【0061】
図4Dは手術用トレイシステム410の上面図を示す。
図4Eは手術用トレイシステム410の天板、すなわち使い捨て部分402の底面斜視図を示す。
図4Eの見た目は、ディスプレイ118を見るための開口408と、BSSボトル122に結合されたポンプヘッドに機械的に結合されるように構成された結合装置など、モータ122Aの駆動部分204とをより詳細に示す。いくつかの実施形態では、上に記載したように、モータ122Aは再利用可能であるように構成され得、および/または別の使い捨て部分402と一緒に使用するために天板、すなわち使い捨て部分402から取外し可能であるように構成され得る。
【0062】
図4Fは、ドレープ430が間に配置された状態で底部404の上に位置付けられている手術用トレイシステム410の天板、すなわち使い捨て部分402の完全組み立て図および分解図を示す。ドレープ430が、ドレープ430を介して底部分404のディスプレイを見ることを可能にするディスプレイ窓432を含むことを
図4Fで見ることができる。ドレープ430はさらに、
図3A〜3Cを参照して上に記載したような、1つまたは複数の追加の機能的インターフェースを含み得る。
【0063】
図5Aは、底部、すなわち再利用可能な部分504に結合された天板、すなわち使い捨て部分502を含むモジュール式手術用トレイシステムは510の別の実施形態を示す。モジュール式手術用トレイシステム510は上に記載したモジュール式手術用トレイシステム410に機能的に類似しているが、特徴部のいくつかの異なる配置および/または設計を有する。手術用トレイシステム510の様々な要素は、手術用トレイシステム410の特徴部に類似した特徴部を表すために同様の参照番号を使用する。
図5Bは手術用トレイシステム510の上面図を示し、ここではハンドピースは取り外され、完全なハンドピース支持または保管位置111を示している。さらに、BSSボトル122は取り外され、モータ受入れポケットまたは領域502をより詳細に示している。
【0064】
図6A〜6Fはモジュール式手術用トレイシステム610の別の実施形態を示している。この実施形態では、モジュール式手術用トレイシステム610は、1つまたは複数のモジュールを受け入れるまたはそれと結合するように構成された複数の位置またはインターフェース部を有する再利用可能な、すなわちベース部分650を含む。この実施形態では、システム610は、モータおよびポンプモジュール622、流体貯蔵器受入装置モジュール620、動力アダプタモジュール654、およびモジュール式器具インサート652を含む。ある実施形態では、モータおよびポンプモジュール622は、BSSボトルホルダを含むことができる。ある実施形態では、モータおよびポンプモジュール622は、注入ポンプおよび/または圧力センサ用の駆動電子装置を含むことができる。ある実施形態では、駆動電子装置および/または圧力センサは、トレイの再利用可能な部分に位置付けることができる。ある実施形態では、流体貯蔵器受入装置モジュール620は、吸入流体貯蔵器および吸入ポンプを含むことができる。ある実施形態では、流体貯蔵器受入装置モジュール620は、吸入ポンプおよび圧力センサ用の駆動電子装置を含むことができる(またはこれらの一方または両方が代わりにトレイの再利用可能な部分に位置付けられ得る)。ある実施形態では、動力アダプタモジュール654は、ディスプレイの1つに組み込むことができる。ある実施形態では、動力アダプタモジュール654は、トレイの下方に(再利用可能な部分に)または他の場所に(例えば地面またはそれに類する場所に)位置付けることができる。
図6Bはモータおよびポンプモジュール622(またはいくつかの実施形態ではBSSボトルホルダ622)の側面図を示す。
図6Cは流体貯蔵器受入装置モジュール620の側面図を示す。
図6Dはモータおよびポンプモジュール622(またはいくつかの実施形態ではBSSボトルホルダ622)、流体受入装置モジュール620、および無菌作業環境で使用する準備が出来ている無菌パッケージまたはアセンブリとして実現し得るものなど、モジュール式工具インサート652の斜視図を示す。この実施形態では、モジュール式工具インサート652がインサートの全体梱包サイズを低減するために、例えば保管または輸送の間サイズを低減するためにインサートをそれ自体の上に折り畳むことを可能にする折り畳みまたはヒンジジョイント653を含むことを見ることができる。
【0065】
図6Eは、BSSホルダも流体受入装置も工具インサートモジュールも結合されていないベース部分650の斜視図を示す。ベース部分650は、流体受入装置モジュール620と結合するように成形または構成された流体受入装置インターフェース部621と、モータおよびポンプモジュール622(またはBSSモジュール622)と結合するように構成または成形されたモータインターフェース部623(またはBSSインターフェース部623)とを含む。ベース部分650はさらに、工具インサート652を配置および/または保持するための凹部領域を含む2つの工具インサートインターフェース部653を含む。
図6Aはさらに、ベース部分652を支持体112に保持するように構成されたストラップ412を示す。いくつかの実施形態では、ストラップ412(またはベース部分650の別の部分)は、フックアンドループ式ファスナ、磁石および/またはそれらに類するものなど、モジュール式工具インサート652をベース部分650に保持することを補助する特徴部を含み得る。
図6Fはモジュール式手術用トレイシステム610の分解図を示す。
【0066】
図6A〜6Eに示される例示的実施形態において、再利用可能な部分650は、手術ベッドまたは椅子に直接または間接的に取り付けられるベースを含む。再利用可能な部分650は電子装置、ディスプレイ、モータ、ポンプ、コンプレッサまたは圧縮ガス源、センサ、光源、電源、バッテリおよび/またはそれらに類するものを含み得る。使い捨て部分652は、半分の所で折り畳まれ得るかヒンジ接続され得るトレイ(例えば真空形成または成形されたプラスチックトレイ)を含み得、トレイは開く、広げるまたは梱包から取り出すと、直接または間に無菌ドレープを備えた状態で、再利用可能トレイ650に配置することができる。使い捨てトレイ652はハンドピース110、流体構成要素、光学構成要素、ポンプ、電子装置、モータおよびアクチュエータ、および/またはこれらまたは他の構成要素の一部を含み得る。使い捨てトレイ652はいくつかの実施形態では位置合わせ特徴部、切欠き、竪穴、ポケット、磁石および/またはそれらに類するものを用いて再利用可能な部分650に取り付けまたは装着され得る。
【0067】
他の実施形態では、再利用可能ベース650は、能動的構成要素(例えば電子装置、ディスプレイ、モータ、ポンプ、コンプレッサまたは圧縮ガス源、センサおよび/またはそれらに類するもの)をほとんどまたは全く組み込まず、使い捨てトレイ652(および/またはBSSボトルおよび貯蔵器モジュール622、620)に構造的支持体を単に提供する。再利用可能トレイ650はいくつかの実施形態では無菌バリヤを提供するために標準的なドレープで覆われその上に使い捨てトレイ652が配置され得る。なぜなら、再利用可能な部分650が能動的または機能的構成要素を全く組み込まない実施形態ではドレープを介した機能的なインターフェースは必要ないためである。そのような場合に、再利用可能トレイ652は、再利用可能な機能的モジュールを、例えば無菌環境から隔絶されたキャビティ内に収容するために特徴部(例えば
図12A〜12Cおよび13A〜13Cを参照して以下に記載されるものと同様のもの)を含み得る。
【0068】
追加的な構成要素も他の関連実施形態に存在し得る。例えば、
図6A〜6Fに示されるようなモジュール式構成要素620、622(使い捨て型または再利用可能のいずれか)は、再利用可能トレイ650に配置することができる。いくつかの実施形態では、注入機能および吸引機能が、別個のモジュール620、622に分離され、別個のモジュール620、622はいずれかの機能に必要な構成要素の一部または実質的に全部の構成要素を含む。
図6A〜6Fでは、吸引および注入モジュール620、622は、同じ形状係数を共有しかつ再利用可能トレイ650の両側に導入可能な2つの別個のモジュールである。これは、例えば、吸引モジュール620または他の機能的構成要素またはモジュールを保持するために反対側スペースを場合により使用しながら外科的処置を受ける目に隣接した注入モジュール622の配置を可能にするのに有益であり得る。
【0069】
図6Fは、場合により無菌ドレープ、バッグまたは類似のものによって分離される、再利用可能な部分または別個の使い捨て部分650の上に配置または支持される(例えば射出成形または真空形成された)使い捨てトレイ652を展開する例を示す。展開された使い捨てトレイ652はいくつかの実施形態では、本明細書に開示される他の実施形態に関連してさらに考察されるように、例えば様々な整列特徴部または磁石を介して、再利用可能な底部分650の上に整列し得る。折り畳み可能な使い捨てトレイ652はハンドピース110を含み得、および/またはそれは吸引機能的モジュールおよび/または注入機能的モジュール(ポンプ、モータ、ポンプヘッド、流体貯蔵器タンク、電子装置;チューブ、フィルタ、止水栓、流体コネクタおよび/またはそれらに類するものを含む流体構成要素のいくつかまたは全てを含む)などの他の機能的要素も含み得る。あるいは、いくつかの実施形態では、それら機能的モジュールのいくつかまたは全ては、ハンドピース110を保持する使い捨てトレイ部分652と別個のものであることができる。
【0070】
トレイはいくつかの実施形態ではまた別個の手術用コンソールに接続するか連結するように設計され得る。トレイおよびコンソールは互いに電気的、機械的、空気圧的、液圧的、無線式または他のインターフェース部を共有し得る。例えば、いくつかの実施形態では、トレイは、患者の近くに都合よく配置可能なハンドピース用の「ドッキングステーション」またはハブを提供し得る。このハブは別個の手術用コンソールに(電気的、空気圧的、および/またはそれらに類する方法で)接続可能であり、および動力(電気、照明、空気圧/圧縮空気、液圧、機械的な、および/またはそれらに類するもの)を適切なハンドピースに分配することができる。同じくトレイはいくつかの実施形態では、情報をコンソールに伝え、例えば動力源(電圧、電流、空気圧、光強度、および/またはそれらに類するもの)を制御すること、および/または情報を手術用コンソールのディスプレイに表示することもできる。
【0071】
トレイはまた、いくつかの実施形態では、手術用顕微鏡またはその一部に接続、取り付けまたは連結するようにも設計され得る。例えば、トレイは、手術部位に隣接して掛かるように外科用顕微鏡の光学ヘッド部分に取り付けられ得るか、またはトレイは手術部位に隣接して配置されるように顕微鏡のベースまたは支柱部分に取り付けられ得る。トレイはまた、いくつかの実施形態では、顕微鏡から、または顕微鏡に接続または取り付けられたモジュールから動力(電気的、レーザ、照明、空気圧、液圧またはその他)および/または他の機能(例えばデータ通信)を繋ぐようにも設計され得る。
【0072】
プロファイルの構成
トレイおよび/またはベースユニットはまた、いくつかの実施形態では、使用者が特定の設定および/または使用者プロファイルをローディングすることを可能にする方法を含み得る。例えば、トレイまたはベースは、いくつかの実施形態では、吸引および注入範囲、ボタン機能、ハンドピース設定および/またはそれらに類するものなど、使用者の嗜好によってプログラムされた「タグ」(例えば使用者のIDバッジに位置する)を読み取る無線RFIDリーダまたは近距離無線通信(NFC)リンクを含み得る。いくつかの実施形態では、タグは、タグ自体が使用者の嗜好でプログラムされる代わりに、使用者の嗜好に関連付けられた識別子を含む。いくつかの実施形態では、システムは、タグが無線リーダによって読み取られると、自動的に使用者の嗜好を適用するようにおよび/または特定の使用者またはタグに関連付けられる設定をローディングするように構成される。いくつかの実施形態では、トレイは無線リーダのアンテナ部分を含み、ベースは、トレイがベースに接続されているときアンテナ部分に電気的に接続されることができる、処理ユニットなどの無線リーダの別の部分を含む。そのような設計は、処理ユニットなど無線リーダのより高価な部分を再利用できるようにするために有利であり得る。トレイおよび/またはベースユニットは、いくつかの実施形態では、とりわけ設定および/または使用者プロファイルをローディングまたは設定するために、使用者が情報をトレイまたはベースに伝送することを可能にするUSBまたはメモリカードインターフェースまたは同様の手段を含み得る。
【0073】
図7は
図1Aに示される手術用トレイ10と設計が類似した手術用トレイ710の上面図を示す。しかしながら、手術用トレイ710はさらに、パラメータ、使用者の嗜好、および/またはそれらに類するものの設定を可能にするために、タグ、近距離無線通信装置、および/またはそれらに類するものと無線式に通信するように構成されたアンテナ702を含む。いくつかの実施形態では、アンテナ702は処理ユニットに電気的に結合され、処理ユニットがパラメータ、嗜好および/またはそれらに類するものを設定することを可能にし得る。
【0074】
手術用トレイ構成要素/機能
様々な実施形態における手術用トレイは、外科的処置を実行するために多数の構成要素および/または機能の1つまたは複数を提供するように構成可能である。上に記載した構成要素および機能に加えて、構成要素および/または機能は、非限定的に、注入、吸引、1つまたは複数のハンドピース、照明、レーザ治療、ディスプレイ、音響フィードバック、1つまたは複数のフットペダル、および貯蔵器を含み得る。これらの構成要素および機能を以下でより詳細に記載する。
【0075】
注入
いくつかの実施形態においてトレイは、例えば、本明細書に開示される様々なハンドピース実施形態の1つなどのハンドピースを使用することによって、流体(平衡塩類溶液(BSSとしても知られる)およびシリコーン油を含む他の流体、粘弾性ゲル、染料/染剤、および/またはそれらに類するもの)および/またはガスを目の中へ、後眼房または前眼房のいずれかへ注入することを実現し得る。注入源(例えばボトルまたはバッグ)は、充填レベルを照らすために照明(例えばLED)を含み得るが、好ましくは必ずしも外科医の低光量の視界に対する影響を最小化するためにその色が赤であるということはない。注入流体経路はいくつかの実施形態では注入圧力および/または眼圧および/または注入流量を測定するために圧力および/または流れセンサを含み得る。流体経路およびセンサはいくつかの実施形態ではフィルタまたは膜によって分離され得、流体の汚染および/またはセンサの損傷を防止し、またはいくつかの実施形態では非接触型の測定法が利用され得る。トレイはいくつかの実施形態では、カップホルダまたはフックおよび/またはそれらに類するものなど、注入流体ボトルまたはバッグを保持または固定する手段、およびボトルまたはバッグの中身を抽出するためのスパイク、針、または流体アタッチメントを含み得る。トレイは異なる流体またはガスを同時に、必要に応じて、または特定の順序で注入する1つまたは複数の注入システムを含み得る。トレイは、異なる注入源(例えばBSSまたは油)または注入位置(例えば左目の隣の注入ポートに対し右目の隣の注入ポート)の間で選択できるように止水栓または他の弁(手動または自動化されている)を含み得る。
【0076】
いくつかの実施形態では、トレイは、複数注入システム、例えば、トレイの両側に配置された2つの別個のシステムであって各システムが隣接する目に対して使用されるように割り当てられている別個のシステムを含み得る。これは、注入システムから患者の目までのチューブ長さを確実に最小化することを補助するのに有利であり得る。トレイはまた、いくつかの実施形態では、異なる粘性流体向けに最適化された複数注入システム(例えば1つはBSS用、1つはシリコーン油用)を含み得る。好ましい実施形態では、注入源(例えばBSSボトル)または注入ポンプのいずれかから(患者の目に挿入される)注入カニューレまでの合計チューブ長さまたは流体経路長さは、最小化される。この流体経路長さを最小化することにより注入システムの全体的な性能を改善することができる。外科的処置の間(例えばフィードバック制御を介して)眼圧レベルを能動的に維持する注入システムの応答性は、注入源または注入ポンプを目に接続するチューブセットの長さに直接関連付けられる。患者のすぐ隣に配置されない商業的に入手可能な眼科手術用コンソールで一般的なように、より長いチューブセットを備えた注入システムは、より短いチューブセットを備えたものと比較して眼圧を測定または調整するとき望ましくない遅れまたは遅延をもたらす。注入カニューレはまた、短いチューブセットを備えた注入システムにおいて(患者の目に挿入する前に)より速く準備されることができる。好ましい実施形態では、この長さ(源からカニューレまで、またはポンプからカニューレまで)は24インチ以下であるが、この長さが36インチ以上に達することを許容する追加の実施形態が利用される場合がある。
【0077】
一実施形態において、トレイシステムは、シリコーン油および同様の粘性流体を注入するための別個の注入システムを含む。油注入システムは、油の注入を必要とする手術の場合に限り利用される別個のモジュールであり得る。油注入システムは、動力を油注入システムに供給し油注入システムとトレイまたはベース電子装置との間に通信インターフェースを提供するためにハンドピースコネクタに接続され得る。いくつかの実施形態では、油注入システムは、油または流体を目の中に注入するために使用される内視鏡的な針またはチューブを備えたハンドピースとして設計される。他の実施形態では、油注入システムは、BSS注入のためにあらかじめ目に挿入された注入カニューレとインターフェースする。油の注入は手動で(例えばプランジャおよび/またはそれに類するものを押圧または絞ることによって)行われ得るか、空気圧的または液圧的に(例えば別個のポンプ、コンプレッサ、圧縮ガス源およびそれらに類するものを使用して)行われ得るか、電気機械的に、例えばモータ、ソレノイド、または油を注入できる類似のアクチュエータ(例えばボールねじ/親ねじ、油をシリンジまたはカートリッジから押し出すためにプランジャを移動するハミルトンシリンジ型構造、および/またはそれらに類するもの)を用いて行われ得る。
【0078】
いくつかの実施形態は、流体注入を実現するためにポンプまたは他の手段を利用する。ポンプの様式は、標準型ベンチュリ、ぜん動性、またはダイヤフラム設計、あるいは別の標準型または非標準型ポンプ種であり得る。注入システムは、いくつかの実施形態では、流体注入を達成するために他の動作機構、例えば、手動で(例えば外科医または助手によって)または自動的に(例えばシリンジポンプ機構、アクチュエータ、モータ、サーボ、ボールねじ/親ねじ、ばね、および/またはそれらに類するものを経由して)押圧される流体が充填されたシリンジを利用する場合もある。
【0079】
いくつかの実施形態は、BSSボトルまたはバッグを上昇または下降させるために手動または自動で調整可能な支柱を使用するように構成され得、流体源の高さに関連付けられる様々な注入圧力を提供するために重力を活用する。
【0080】
いくつかの実施形態は、注入圧力を、ひいては眼圧を制御するために空気を流体ボトルへポンプ送給するか流体ボトルからポンプ送出するように構成され得る(強制ガス注入)。ガスをボトルへポンプ送給することにより注入圧力が増大される一方、ポンピング、減圧または通気を経由して(例えば、その吸気口が水位よりも上に位置するチューブまたは針を介して)空気をボトルから引き抜くことにより注入圧力は低減される。この技法の使用は、注入圧力の正確な制御を可能にするばかりでなく、それはまた圧力スパイクおよび降下の減衰を促進する。注入圧力を増大するべく空気を流体ボトルにポンプ送給するためにぜん動ポンプを使用するとき、ぜん動ポンプの脈動する流れ出力を最小化することもできる。
【0081】
いくつかの実施形態は、(例えばベンチュリ作用または強制ガス注入を経由して)流体注入を可能にするために、圧縮ガス、例えば窒素または他のガス(好ましくは不活性)が充填されたカートリッジ、キャニスタまたはタンクを圧力源として利用する。カートリッジ、キャニスタまたはタンクは、再利用可能/再充填可能または使い捨て型であり得、および単回使用または有限使用向けに作製され得る。
【0082】
いくつかの実施形態は、(ガラスまたは剛性プラスチックボトルと対照的に)軟質の注入流体バッグを利用する。軟質バッグは、いくつかの実施形態では、1つまたは複数の軸においてバッグを圧迫するまたはバッグに圧力を掛ける2つ以上のプレートの間で取付具内に配置され得る。プレート間の距離(従って圧迫力)は外科医または助手によって手動で、または自動的に、例えば、アクチュエータ、モータ、サーボ、カム、ソレノイド、ギヤ、ラチェット、ラックアンドピニオン、バンド、ベルト、プーリ、チェーン、および/またはそれらに類するもののうちの1つまたは複数を含む機械的システムを介して、制御可能である。圧迫力を増大することにより注入圧力は増大され、圧迫力を低減することにより注入圧力は低減される。同様に、類似の機構を、注入流体のより小さい容器に対して、例えば注入流体が元の注入ボトルまたはバッグからその中へ滴下または流れる貯蔵器に対して使用可能である。いくつかの実施形態では元のボトルまたはバッグへの逆流を防止するために逆止弁を含むことができる。軟質バッグはまた気密剛性容器内に配置され得、気密剛性容器はバッグの外側表面に対する圧力を増大または低減するためにポンプ送給されるかポンプ送出される(または通気される)空気を有することができる。バッグは剛性でなく圧縮性であるため、注入圧力は剛性容器内の圧力を調整することによって調整可能である。同様に、類似の機構を、注入流体のより小さい容器に対して、例えば注入流体が元の注入ボトルまたはバッグからその中へ滴下または流れる貯蔵器に対して使用可能である。元の注入ボトルまたはバッグへの逆流を防止するために逆止弁を含むことができる。
【0083】
いくつかの実施形態では注入流体はトレイおよび流体が外科的処置後に処分できる単一システムとして梱包、殺菌および輸送されるように、トレイシステム内に含まれるかトレイシステムに一体化される。これは、全く異なる製造業者に由来し得る注入流体(例えばBSSボトル)と別個の構成要素としてトレイが梱包、殺菌および輸送されるシステムと対照的である。そのようなシステムはまた、例えば含まれる流体が外科的処置の間に使い果たされる場合に注入流体をシステムの流体経路に導入する別個の追加的手段を含み得る。
【0084】
吸引
いくつかの実施形態では、トレイは、例えば硝子体カッター、軟質先端または水晶体ハンドピースから吸引機能を提供し得る。吸引機能はポンプの使用を介してまたは別の手段によって提供され得る。ポンプの様式は、標準型ベンチュリ、ぜん動性、またはダイヤフラム設計、あるいは別の種類であり得る。吸引ポンプシステムは同じく、針先端での真空引きを達成するために他の動作機構、例えば、直接またはチューブを介して吸引針に接続された押圧プランジャを備えたシリンジを利用する場合もあり、前記プランジャは真空力を生成するために引き戻され、引き戻しの動作は手動で(例えば外科医または助手によって外科医に対して)または半自動化または完全自動化プロセス(例えばシリンジポンプ機構、アクチュエータ、モータ、サーボ、ボールねじ/親ねじ、ばね、および/またはそれらに類するもの)を介して、および/またはそれらに類する方法を介して達成される。いくつかの実施形態は、例えばベンチュリ作用を介して吸引用に真空を生成するために、圧縮ガス(前に記載したものなど)を利用し得る。吸引流体経路は、いくつかの実施形態では、吸引真空圧および/または吸引された流体流量を測定するために圧力または流れセンサを含み得る。流体経路およびセンサは、いくつかの実施形態では、流体の汚染およびセンサの損傷を防止するためにフィルタまたは膜によって分離され得、または非接触式の測定方法が利用され得る。
【0085】
いくつかの実施形態では、トレイはまた、廃棄された吸引流体および組織を保持するための貯蔵タンクを組み込み得る。トレイは窓および/または照明(例えばLED)を含み得るが、好ましくは必ずしも外科医の視界に対する影響を最小化するためにその色が赤であるということはなく、外科医が貯蔵タンク内の流体レベルを視認することを可能にする。貯蔵タンクはいくつかの実施形態では吸引された流体のレベルと残りの空いた容積とを測定するために流体レベルセンサを含み得る。これは例えば、貯蔵タンクがほぼ全容量である場合に外科医に警告するように利用され得る。貯蔵タンクはいくつかの実施形態では内側の流体体積が増大するにつれて(例えばバルーンまたはブラダ式貯蔵器、アコーディオン式圧潰可能壁を備えた貯蔵器、および/またはそれらに類するもののように)拡張するように構成され得る。
【0086】
吸引ポンプおよび廃棄物貯蔵器をトレイ内またはその近くにおよび患者のすぐ近くに、すなわち無菌領域内に配置することは、とりわけ、必要なチューブ長さを最小化するためにいくつかの実施形態では好ましい可能性があり、これにより吸引システムの性能および応答性が改善される。これは吸引される流体の経路長さを低減し、それにより吸引機構の要件を低減し、および(例えば外科医が吸引速度を変えるまたは吸引から逆流へ切り換えるときに)反応時間を遅らせ、また手術室内の外科医および助手と絡む可能性のある長いチューブ設定を排除する。
【0087】
トレイはいくつかの実施形態では異なる吸入取入源(例えば、硝子体カッターハンドピースおよび軟質トリップ押出しハンドピース)の間で選択するために止水栓または他の弁(手動または自動化されている)を含み得る。
【0088】
ハンドピース
いくつかの実施形態では、トレイシステムは、外科的処置の間に目の前眼房または後眼房のいずれかへ挿入される針(例えば18ゲージ、20ゲージ、23ゲージ、25ゲージ、27ゲージまたは他のサイズ)を含み得る1つまたは複数の手持ちプローブまたはハンドピースを含み得る(例えば
図1E、4A、5A、6Aおよび8Aを参照して本明細書に記載した様々なハンドピースのうちの1つまたは複数など)。ハンドピースはいくつかの実施形態では、硝子体カッター/吸引器、内部照明装置、レーザ治療/光凝固プローブ、ジアテルミー/電気焼灼器/アブレーションプローブ、剪刃、軟質先端押出しプローブ、水晶体超音波吸引/水晶体細片除去プローブ、眼内水晶体(IOL)挿入装置、鉗子、機械的プローブ、および/または他の一般的に使用される器具のうちの1つまたは複数を含み得る。いくつかのハンドピースは、1つより多くの機能を組み込み得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では、外科医がその特定ハンドピースの機能および/または場合によっては他の機能(例えば注入または吸引速度など)も制御することを可能にする1つまたは複数のボタンおよび/または他の使用者インターフェース特徴部を含み得る。
【0089】
硝子体カッターハンドピース
いくつかの実施形態では、トレイシステムは、硝子体網膜処置の間、硝子体を取り除くための硝子体カッターハンドピースを含む。このハンドピースはいくつかの実施形態では、動力を供給する複数導体ケーブルと、任意選択の通信インターフェース(例えばトレイまたはベースユニット電子装置と通信するために、例えばハンドピース上のボタンを押した状態で)とを経由してトレイに繋がれ得る。いくつかの実施形態では、カッター機構は、ハンドピースの内側のモータまたはモータおよびギヤアセンブリによって動力を供給され得る。いくつかの実施形態では、カッター機構は、1つまたは複数の柔軟性空気圧チューブを経由してハンドピースに接続される外部空気圧源(例えばポンプ、コンプレッサ、圧縮ガス源および/またはそれらに類するもの)によって空気圧的に動力を供給され得る。外部空気圧源は、トレイまたは非使い捨てベースユニット(前に記載したようなベースを組み込む実施形態の場合)内に配置され得る。カッター機構はいくつかの実施形態では、1つまたは複数の軸内を回転、往復または平行移動する伝達ケーブルまたはトルクコイルによって動力を供給され得る。電磁気の原理を用いることにより、ケーブルまたはコイルは、例えば磁石をワイヤコイルの近くで回転または移動させ、ハンドピースの電子装置に動力を供給することができる電流を生成することによって、ハンドピースに動力を供給するためにも使用され得る。ケーブルまたはコイルは、ハンドピースの外側に、例えばトレイまたは非使い捨てベースユニット内に配置されるモータ、ソレノイド、電磁石、線形アクチュエータ、および/またはそれらに類するものによって駆動され得る。ハンドピースに接続されたケーブルまたはコイルは、手術室の外科医または助手による簡単な設定を可能にするために、シャフト結合、スプライン結合、または同様のものを経由してベース内のモータまたは駆動アクチュエータに結合され得る。いくつかの実施形態では、モータとケーブルまたはコイルとの間に無菌領域を維持するために磁性結合が使用され得る。切断速度、吸引速度および他の機能はハンドピース自体の上のボタンまたは他の使用者インターフェースによって、またはフットペダルを介して制御され得る。
【0090】
同様の駆動構造は、水晶体除去または水晶体細片除去ハンドピースならびに他の機械的に駆動される器具にも使用され得る。
【0091】
いくつかの実施形態では、硝子体カッターハンドピースは、以下でより詳細に記載するような
図8Aおよび8Bに示されるようなハンドピース810であり得る。いくつかの実施形態では、硝子体カッターハンドピースは、その全体が参照により本明細書に援用されるDISPOSABLE VITRECTOMY HANDPIECEという表題の米国特許出願公開第2008/0208233号明細書に開示されているものと同様の1つまたは複数の特徴部を含み得る。
【0092】
内部照明装置ハンドピース
いくつかの実施形態では、トレイシステムは、目の内側に照明を提供する内部照明装置ハンドピースを含み得る。このハンドピースは、いくつかの実施形態では、動力を供給する複数導体ケーブルと、任意選択の通信インターフェース(例えばトレイまたはベースユニット電子装置と通信するために、例えばハンドピース上のボタンを押した状態で)とを経由してトレイに繋がれ得る。内部照明装置はいくつかの実施形態では、内視鏡的な針に導入されたファイバまたはファイバ束に結合された光源(例えば白色LEDまたはRGB LED)を組み込み得る。あるいは、光源は、トレイまたはベースユニット内に配置され得、ハンドピース内の内視鏡的な針内で終端するファイバまたはファイバ束に(永久的にまたは着脱可能なインターフェース部を用いて)結合され得る。
【0093】
いくつかの実施形態では、内部照明装置ハンドピースは、その全体が参照により本明細書に援用されるPORTABLE HANDHELD ILLUMINATION SYSTEMという名称の米国特許第8,172,834号明細書に開示されているものと同様の1つまたは複数の特徴部を含み得る。
【0094】
軟質先端押出しハンドピース
トレイシステムは、いくつかの実施形態では、網膜から硝子体および流体を吸引するために軟質チューブ材料(例えばシリコーンまたはそれに類するもの)を組み込む軟質先端押出しハンドピースを含み得る。このハンドピースはいくつかの実施形態では動力を供給する複数導体ケーブルと、任意選択の通信インターフェース(例えばトレイまたはベースユニット電子装置と通信するために、例えばハンドピース上のボタンを押した状態で)とを経由してトレイに繋がれ得る。吸引速度および他の機能はハンドピース自体の上のボタンまたは他の使用者インターフェース特徴部によって、またはフットペダルを介して制御され得る。内部照明出力および他の機能(注入速度など)はいくつかの実施形態ではハンドピース自体の上のボタンまたは他の使用者インターフェース特徴部によって、またはフットペダルを介して制御され得る。
【0095】
ジアテルミー/電気焼灼器ハンドピース
トレイシステムは、いくつかの実施形態では、組織の制御された焼灼を可能にする双極性電気焼灼器ハンドピースを含み得る。このハンドピースはいくつかの実施形態では、絶縁層(例えばポリイミドチューブまたはそれに類するものなど)によって分離された2つの入れ子型針またはチューブを含み得る。2つの針またはチューブの露出された遠位端は双極性電気焼灼器の電極として機能する。このハンドピースはいくつかの実施形態では動力を供給する複数導体ケーブルと、任意選択の通信インターフェース(例えばトレイまたはベースユニット電子装置と通信するために、例えばハンドピース上のボタンを押した状態で)とを経由してトレイに繋がれ得る。このハンドピースはいくつかの実施形態では、電気焼灼器に必要な高電圧波形を生成するために一体化された電子装置を有し得、代替的には電気焼灼器迂遠はトレイまたはベースユニット内に配置され得、絶縁ワイヤを介してハンドピースに供給され得る。ジアテルミー/電気焼灼器機能および他の機能はハンドピース自体の上のボタンまたは他の使用者インターフェース特徴部によって、および/またはフットペダルを介して制御され得る。
【0096】
レーザ治療ハンドピース
トレイシステムは、いくつかの実施形態では、光凝固を可能にするファイバーベースレーザハンドピースを含み得る。このハンドピースはいくつかの実施形態では動力を供給する複数導体ケーブルと、任意選択の通信インターフェース(例えばボタン押圧およびシステム状況をトレイ電子装置に伝えるため)とを経由してトレイに繋がれ得る。このハンドピースはいくつかの実施形態では、光凝固のために十分な出力を有するレーザダイオードなどの光源を組み込み得る。レーザダイオードはいくつかの実施形態では、目または他の手術部位に挿入するための内視鏡的な針の内側に取り付けられたファイバまたはファイバ束に結合され得る。代替的に、光源および関連する光学素子は、いくつかの実施形態では、トレイまたはベースユニット内に配置され得、ハンドピース内に配置された内視鏡的な針内で終端するファイバまたはファイバ束との永久的または交換可能な光学インターフェース部を有する。レーザ治療出力および他の機能は、いくつかの実施形態では、ハンドピース自体の上のボタンまたは他の使用者インターフェース特徴部によって、および/またはフットペダルを介して制御され得る。
【0097】
剪刃
トレイシステムは、いくつかの実施形態では、外科医が、剪刃の切断機構を圧搾、摺動または起動するために手動操作を必要とすることなく、例えば指を使うことなく組織を切断することを可能にする電動剪刃ハンドピースを含み得る。一実施形態では、剪刃は、動力を供給する複数導体ケーブルと、任意選択の(例えばトレイ電子装置との)通信インターフェースとを経由してトレイに繋がれ得る。切断機構への動力は、いくつかの実施形態では、繋がれたケーブルを経由してトレイによって提供される。切断機構は、いくつかの実施形態では、モータ、ソレノイド、線形アクチュエータ、ニチノールまたは形状記憶合金ワイヤ(例えば、電流がワイヤを通して流されると収縮し電流が止まりワイヤが冷えると拡張するワイヤ)および/またはそれに類するものを含み得る。代替実施形態はアクチュエータをトレイまたはベース内に配置し得、および機械的な切断は、1つまたは複数の軸に沿って回転、往復または平行移動される伝達ケーブルまたはトルクコイルなどの連結具を経由してもたらされ得る。
【0098】
ハンドピース保管
いくつかの実施形態では、トレイは、ハンドピースが使用されないときハンドピースを保持するように構成された空間(例えば、
図1Eに示される空間111など)を含み得、および/または電気的、流体的、空気圧的、光学的、および/または機械的なインターフェースのうちの1つまたは複数を経由してハンドピースに接続性を提供し得る。ハンドピースを保持するための空間およびトレイの上面は一般に、いくつかの実施形態では、処置の間にトレイ上に存在し得る望ましくない流体に対処する特徴部を含み得る。例えば、トレイの上面およびハンドピース領域(窪んだポケットまたは竪穴であり得る)は、流体を排出するか流体を運び去るための窪んだチャネルまたは穴を有し得る。同様に、いずれの窪んだ領域も、不要な流体を吸収するために吸収材またはスポンジ状材料を含み得る。ハンドピースは手術前設定手順を簡単にするために梱包および殺菌前にトレイ内に取り付けられ得る。トレイはいくつかの実施形態では、例えばトレイの輸送または移動の間、ハンドピースを適所に固定することを可能にするクリップ、ストラップまたは他のロック機構を含み得る。追加的なハンドピースは別個に梱包および殺菌され得、それにより、例えば処置の間、新しいトレイシステム全体を開ける必要なく、故障したハンドピースを交換できるようにする。
【0099】
ハンドピース使用者インターフェース特徴部
ハンドピースのいくつかの実施形態は、ハンドピースに配置された1つまたは複数のボタンまたはスイッチ(例えば膜、触覚性、押しボタン、回転式、ジョイスティック、ホール感知、容量性接触、圧力感知、および/またはそれらに類するものを含む)、および/または慣性センサ(ジャイロ、加速計、磁力計、および/またはそれらに類するもの)などの使用者入力を取得する1つまたは複数の手段を含む。これらの入力方法は、例えばプローブチップ運動および吸引機能を起動、停止および制御するなど、ハンドピースおよび/またはコンソールの1つまたは複数の機能を制御するために使用することができる。例えば、いくつかの実施形態では、外科医は、乳化/細片除去を起動するために1つのボタンを押して保持し、乳化/細片除去を停止するためにそのボタンを離し得る。外科医は、吸引速度を繰り返すために別の別個のボタンを繰り返し押して離し得る。慣性センサはいくつかの実施形態では位置追跡および使用者入力のために使用可能である。例えば、外科医は、ある機能を実行するためにハンドピースを特定の態様で方向付けるまたは移動させ得る。1つの例は、ハンドピースがトレイまたはテーブルの上で上下逆さまに置かれるときシステムを停止することであろう(システムはハンドピースの上下逆さまの向きおよび運動/移動の欠落を認識するであろう)。第2の例は、ある機能を起動または停止するために指でハンドピースを軽く叩くことであろう(加速計が、叩くことによって生じるハンドピースの偏向を検出する)。さらに別の例は、速度吸引または他の何らかの機能を増大するためにハンドピースを時計回りに回転させ、および吸引速度または他の何らかの機能を低減するためにハンドピースを反時計回りに回転させることであろう(この際、角度移動がジャイロによって検出される)。使用者入力はいくつかの実施形態ではハンドピース内で内部で処理または作用され得、または入力はいくつかの実施形態では例えば繋がれた電気的接続(例えば伝導性ワイヤ/ケーブル)または無線接続(例えば、RF、誘導性、または赤外線)を経由して別個のコンソールまたはトレイに中継され得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では使用者入力を記録し、ハンドピースの機能を制御し、および/またはシステムの外部構成要素(例えばコンソールまたはトレイ)と通信するためにマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを含み得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では別個のコンソール、トレイ、ディスプレイおよび/または他のハンドピースへ/から情報を送るおよび受け取るために無線性能を含み得る。
【0100】
いくつかの実施形態は、標準的な二元(オン/オフ)スイッチまたはモーメンタリースイッチよりも繊細なハンドピースの制御を提供するアナログボタン(例えば圧力または偏向感知ボタンなど)を含む。例えば、圧力または偏向に敏感な1つまたは複数のアナログボタンが、例えば切断速度、吸引、または照明/レーザ出力などの機能の繊細な制御を提供するために使用され得る。一実施形態では、ハンドピースのグリップ部分の1つまたは複数の圧力感知ボタンは、吸引速度または切断速度を制御するために使用可能であり、例えば、外科医が強く押圧するほど、切断速度または吸引速度は速くなる。同様に、屈曲、偏向または移動を測定する他のセンサを組み込むことができ、その結果、外科医がボタンをさらに押すか、摺動するか、または移動するほど、例えば吸引の速度または切断速度は速くなる。これは、例えば、適用された入力(圧力または偏向など)に基づいてパラメータ(抵抗値または静電容量など)を変えるボタンを実装することにより達成可能である。例えば、1つのボタンの実装は圧力に敏感であり得、その結果、外科医が強く押すほど、抵抗値が下がり(または上がり)、抵抗値はハンドピース電子装置(および/またはトレイまたはベースに配置された電子装置などの遠隔電子装置)によって測定可能である。別の実装は静電容量の変化を利用し、その結果、2つの平行な伝導性プレート間の距離(ひいては静電容量)はボタンに適用される力によって変わる。別の実装は、どの程度ボタンが押圧されるかまたは移動されるかに依存して、異なる回路を接続し得る。さらに別の実装は、どの程度ボタンが押圧されたかまたは移動されたかを決定するために磁石の位置および/または磁界強度を検出するべく磁力センサを使用し得る。さらに別の実装はアナログ制御を実現するために容量性接触技術を利用する。
【0101】
図8Aおよび8Bは、複数のボタン812、808を有するハウジングまたは本体802を含むハンドピースまたは手術器具810の実施形態を示す。
図8Aはハンドピース810の斜視図であり、
図8Bは、ハウジング802の下方に配置された特徴部を見ることができるようにハウジングまたは本体802が取り外されたハンドピース810の斜視図である。ハンドピース810は、ケーブルインターフェース部807に隣接する近位端806と、針などの手術ツール805がそこから延びる遠位端804とを含む。いくつかの実施形態では、手術ツール805は、永久的または半永久的に取り付けられる。いくつかの実施形態では、遠位端804は、手術ツール805を遠位端804と結合により係合した状態に配置することを可能にするように構成される。
【0102】
ハンドピース810は、ハウジング802の外側表面に隣接して配置された3つのボタン808を含む。この実施形態では、ボタン808は、デジタル、二元、またはモーメンタリーボタンまたはスイッチを含み、これはそれらが特徴部を制御するために2つの状態、すなわちオンまたはオフを有することを意味する。ボタン808は例えば、ボタン808の作動表面がハウジング802に対して移動されると電気回路を選択的に開閉する機械的スイッチを含む。
【0103】
ハンドピース810はさらにこの実施形態では2つの感圧ボタン812を含む。他の実施形態では、ハンドピースは、より少ないまたはより多い感圧ボタンを含み得る。2つの感圧ボタン812のそれぞれは円周方向力感知抵抗器813を含み、力感知抵抗器813はその表面に適用された圧力の大きさに基づいて抵抗値を変えるように構成されている。いくつかの実施形態では、力感知抵抗器813は、薄い多層ポリイミドシートを含む。いくつかの実施形態では、
図8Aで見ることができるように、ボタン812は、押圧されると力感知抵抗器813を押す、ハンドピース810および/またはハウジング802の周囲に円周方向に延在する作動表面を含む。いくつかの実施形態では、ボタン812の外側表面は、ハンドピース810および/または本体802の周囲に円周方向に離間された複数の隆起したこぶとして
図8Aに示される、接触領域または特徴部814を含む。そのような構成は、例えば、使用者または外科医が、ハンドピース810が使用者の手に対していずれかの回転位置にあるときに特徴部の正確な制御を可能にするために有利であり得る。
【0104】
本明細書で使用される際、単語「ボタン」は、スイッチ、セレクタ、使用者入力および/またはそれらに類するものなど、他の単語または句と交換可能に使用され得る。当業者であれば、ボタンまたは他の同様の特徴部を含む、様々な使用者インターフェース特徴部が、使用者入力を検出するために本明細書で開示される技術と一緒に使用されてもよいことを認識するであろう。
【0105】
何らかの種類の電気的または電気機械的な接触に依存する伝統的なオン/オフまたはモーメンタリーボタンおよびアナログボタンに加えて、ハンドピース内の電子装置の必要性を、および/またはハンドピースへの繋がれた動力および通信インターフェース部の必要性を排除する追加的な使用者入力解決策が実現可能である。そのような実施形態は、とりわけ、製造可能性を増大するために、および/またはいくつかの実施形態ではハンドピースなど、システムの使い捨て構成要素の費用を削減するために有利であり得る。
【0106】
光学ボタン
いくつかの実施形態では、使用者入力は、電気的または電気機械的特徴部の代わりに(またはいくつかの実施形態ではそれに加えて)光学素子および光ファイバの原理に依拠するボタンを使用して検出することができる。例えば、いくつかの実施形態では、1つまたは複数のボタンが、1つまたは複数のファイバ、光管、またはそれに関連付けられる光導波路を有し得、ファイバはハンドピースからトレイまたはベースユニット電子装置まで(連続ファイバとして、または一緒に光学的に接続された1つまたは複数のファイバ部分として)延びる。ファイバは光源(トレイまたはベースユニットに配置される光源など)に結合され得、光をボタンの位置まで伝播し得る。ボタンは押圧されるとファイバを曲げるまたは撓ませるように設計され得、ファイバを通る光の伝播を低減または消去しおよび/またはファイバを通る光の偏光を変化させるが、その両方は電子装置によって検出されおよびボタン押圧を示すように使用することができる。他の実施形態は代わりに、光の経路(例えばボタン上の反射表面、外科医の指先等)を変更するかルーティング/再ルーティングし、それにより変化がボタン押圧として検出され特定されることができるようにする。ファイバ干渉分光法の原理が同じく使用可能であり、その結果、干渉縞およびその位置を変更する相への変化が検出されかつボタン押圧として解釈されることができるようにボタンの押圧がファイバを十分に変更する。同様の方法において、ファイバブラッググレーティングセンサ、長期間ファイバグレーティングセンサおよび同様の実施形態を、歪みを検出するためにファイバに一体化することができ、それによりファイバおよびそれらの位置の変化を検出する。いくつかの実施形態は本明細書に開示される光学技術のうちの1つを利用し得、いくつかの実施形態はそれら光学技術のうちの2つ以上を利用し得、および/またはそれら光学技術のうちの1つまたは複数と、1つまたは複数の非光学技術とを利用し得る。
【0107】
いくつかの実施形態では、1つまたは複数のボタンがそれぞれ、それに接続された1本の連続ファイバを有する。ファイバはトレイまたはベース内の電子装置からハンドピースのボタンまで、およびトレイまたはベースへ戻るようにルーティングされる(連続ファイバとして、または光学的に一緒に結合された2つ以上の部分として)。ボタンが押圧されると、ファイバは光の伝播を低減または消去するか、検出可能な方法で光の偏光を変えるか、または検出可能な方法で干渉縞を変更するファイバの歪みを誘発するような態様で曲げられる。他の実施形態では、1つまたは複数のボタンはそれぞれ、それに接続された2本のファイバを有し(それぞれ連続ファイバとして、または光学的に一緒に結合された2つ以上の部分として)、一方はトレイからボタンへ光を搬送し、他方はトレイへ戻る光の戻り部分として機能する。ボタンは、押圧されると光がソースファイバから戻りファイバへ伝播することを許容されるように設計される。これは、例えば、押圧されると斜めにされるか適切に位置決めされる反射表面または透過または光管材料を用いて、またはソースファイバから戻りファイバへ光を向け直すために外科医の指先を用いてさえ、達成可能である。
【0108】
別の実施形態は、光のソース経路および戻り経路の両方に対し1本のファイバを含む。なぜなら、そのファイバは光を両方向に同時に伝播することができるからである。例えば、光学サーキュレータは、光が(トレイまたはベースユニットなどの)光源でファイバに入射されることを許容する一方で、同時に、光検出器または電子装置内の他のセンサによって検出されるようにあらゆる反射光を同一ファイバに沿って分離するように設計可能である。そのような反射はファイバ端部の反射表面によって(または指先によってさえ)、またはファイバの曲折、屈曲、またはねじれによってさえ、引き起こされ得る。
【0109】
別の実施形態では、1本のファイバまたは光導波路がソース光を各ボタンに提供し、各ボタンはボタン押圧を示すために追加的な個々の戻りファイバを有する。
【0110】
他の実施形態では、各ボタンの個々のファイバの代わりに、1本のファイバがトレイまたはベースから各ボタンへ直列に、およびトレイまたはベースへ戻るようにルーティングされる。異なるボタンは、偏光または光伝播の異なる量を変更するように設計され、その結果、各ボタンは互いに区別されることができる。あるいは、各ボタン間の光経路の距離(ファイバ長さなど)は、光時間領域後方散乱測定法または同様の方法の原理を使用してファイバに沿ったボタン押圧の位置を、ひいてはいずれのボタンが押圧されたかを決定できるように調整可能である。
【0111】
図9A〜9Dは、1つまたは複数の光学ボタンを含む手持ち医療器具、すなわちハンドピースの例示的実施形態を示す。
図9Aはハウジングまたは筐体802含むハンドピースを概略的に示し、2本の光ファイバ906がそれを貫いて延びている。この実施形態では、作動部材904は、光ファイバ906の先端または端部907の近くに配置されるとき、光を一方の光ファイバ906から他方の光ファイバ906へ反射するように構成され、その反射は例えば手術用トレイまたはコンソール内のハードウェアによって検出され得る。いくつかの実施形態では、作動部材904は、光を反射するように構成された物理的なボタンの一部である。いくつかの実施形態では、作動部材904は使用者の指であり、いくつかの実施形態では手袋をした指である。
【0112】
いくつかの実施形態では、2本の別個の光ファイバ906はまた、例えば、2つ以上の導波路を有する1本のファイバとして実装され得、例えば、ソース光がコア部分を下って伝播し得、戻り光がファイバの1つまたは複数の被覆部分を下って伝播し、その逆の場合もあるであろう。同じく注目すべきは、1本のソースファイバがいくつかの実施形態では光を複数のボタンに供給し、このとき各ボタンは、注文に応じて設計された戻りファイバ内の、独立戻りファイバまたは独立導波路、例えば複数の被覆部分と対にされる場合もあることである。代替的に、各ボタンは、ボタン毎に異なる周波数で変調された光を供給する別個のソースファイバを、共有の戻りファイバと共に有し得、変調された信号により処理ハードウェアは異なる信号を区別することが可能になる。
【0113】
いくつかの実施形態では、複数のボタンをイネーブルにする技術はフィルタまたは減衰器を組み込むが、このフィルタまたは減衰器は、光の伝播を各ボタンを介して様々に(例えば100%、50%、25%および/またはそれらに類する率で)減衰するか、または残りの波長または動力の減衰が例えば手術用トレイまたはコンソール内などの処理ハードウェアによって測定され得るように1つまたは複数あるいは各ボタンを介して波長(広帯域光源と仮定して)をフィルタリングする。いくつかの実施形態では、光の波長は、広帯域(例えば、白色または多波長光)であり得るか、またはそれは単一波長(例えば赤外線)であり得、および光の他の周囲源との干渉問題を最小化するために変調され得る。
【0114】
図9Bは、光学ボタンを含む手術用ハンドピースの別の実施形態を示す。
図9Bに示される実施形態は、端部または先端907で終端する光ファイバ906を含む。作動部材904は光反射特性を有し得、それにより、作動部材904が先端907に隣接して配置されるとき、光がファイバ906へ反射し戻され、これが例えばトレイまたはコンソールハードウェアによって検出されることができるようにする。いくつかの実施形態における感受性は、作動部材904が先端907および/またはハンドピース筐体802と接触することを、または単に先端907および/またはハンドピース筐体802に近づくことを必要とするように調整可能である。
【0115】
図9Cは、光学ボタンの別の実施形態を示す。
図9Cに示される実施形態は、2本の光ファイバ906と、筐体802および/またはファイバ906に対して移動されると反射部材908を移動させる作動部材904とを含む。反射部材908が光ファイバ906の先端または端部907の前に位置付けられると、光は一方の光ファイバ906から他方の光ファイバ906へ反射され、それにより、例えば手術用トレイまたはコンソールに配置された処理ハードウェアによるボタン押圧の検出が可能になる。
【0116】
図9Dは、光学ボタンの別の実施形態を示し、ここでは、1つまたは複数の光ファイバ906に接続されたまたはその一部である屈折可能部材または部分910が、作動部材904がハンドピース筐体802に対して移動されると変形されるように配置される。例えば、作動部材904が屈折可能部材910と接触するおよび/またはそれを押すと、屈折可能部材910は、手術用トレイまたはコンソールに配置されたまたはその一部としての処理ハードウェアなどの処理ハードウェアによって検出され得るような態様で曲がるまたはその他の方法で変形し得る。この実施形態では、ボタンが押圧される場合、作動部材904は屈折可能部材910を曲げる。屈折可能部材または部分910が十分に屈折される場合、ファイバを通る光の伝播が著しく低減または消去され、これは処理ハードウェアによって検出され、ボタン押圧として解釈されることができる。代替実施形態では、ボタンがより強くまたは深く押されるにつれ、より少ない光の代わりにより多くの光が伝播することが許容される。
【0117】
いくつかの実施形態では、
図9Dに示される光学ボタン構成は、いくつかの技術のうちの1つまたは複数を介して、線形または感圧フィードバックを提供するように構成することもできる。最初に、光通過量の低減が、どの程度の屈折または曲折をファイバが受けているかに相関付けられる。検出された光の量を使用してボタンの全体位置を決定することができる。そのようにして、例えば、使用者がボタンをより強くまたはより深く押すと、光通過量の測定される変化はより大きくなる。同様に、ファイバの曲折はファイバを通る光の偏光を変化させる。これも同じく処理ハードウェアによって検出されることができ、および屈折の程度を決定するために使用されることができる。さらに有利な光学理論を使用することもできる。例えば、ファイバボタンはファイバベース干渉計(マイケルソン、共通光路、マッハツェンダー、および/またはそれらに類するもの)の1つのアームであることができ、その結果、光路長さの変化および応力または屈曲によるファイバ内に誘発された相変化を処理ハードウェア内で検出可能であり、またどの程度または距離ボタンが押圧されたかを決定するために測定可能である。別の技術は、ファイバブラッググレーティングセンサまたは長期間ファイバグレーティングなどの歪みセンサを生産するために製造の過程でグレーティングをファイバ内に含めることであり、歪みセンサは、(例えばファイバを押すまたは屈折させることにより生じる)ファイバの歪みからもたらされる波長の相関変化により線形または感圧ボタン機能を提供するために使用できる。これらのグレーティングセンサは、各グレーティングの特性が処理ハードウェアによって互いに区別できるようにボタン毎に異なる特性を有するファイバに沿ったグレーティングを設計することによって1本のみのファイバを有する複数のボタンに使用することもできる。
【0118】
さらに別の実施形態は、ファイバに沿ったいずれの場所で歪みまたは曲折が誘発されたかを検出し、これを1つまたは複数のボタンの位置と相関させることによって、複数の線形または感圧ボタンに対し1本のファイバを使用することができる。この検出は、時間分域反射率測定の原理を用いて実行可能であり、ここでは、光パルスがファイバを通って伝播し、反射して光源に戻る時間が測定されて距離が決定され、この際、ボタンによって引き起こされる反射がファイバ内の歪みまたはインピーダンスを誘発する。これはファイバ長さが短くなるにつれ難しくなり、いくつかの実施形態ではボタン間の光路長さを増大するためにボタン間のファイバを追加することによって恩恵を受けるであろう。
【0119】
いくつかの実施形態では、光学ボタン構成は、プラスチック光管またはそれに類するものなど、1つまたは複数の光ファイバに加えてまたはその代わりに1つまたは複数の光導波路を含み得る。さらに、光ファイバに言及する本明細書に開示される様々な実施形態において、それらの光ファイバは連続的な光ファイバであり得、および/または一緒に結合された1つまたは複数の部分を含み得、およびまたはファイバと直列に1つまたは複数の光導波路を含み得ることを理解すべきである。
【0120】
いくつかの実施形態では、光学ボタンは、ボタン押圧の検出を可能にするために、ソース導波路(またはファイバ)から戻り導波路(またはファイバ)への光の伝播を、例えば、指を含む反射または吸収表面を用いて許容するか、抑止するか、または減衰するように構成される。
【0121】
いくつかの実施形態では、光学ボタンは、1本のファイバまたは導波路をループ構成で使用し、検出できるような方法で、例えばファイバまたは導波路を曲折することによって、光の特性を変化させる。この特性は、動力または大きさ(例えば、光通過量を減衰または増大すること)、光の偏光、光の波長(例えば、広帯域光源のある波長を除去し、残った波長を検出することによるか、または例えばグレーティング設計を介して波長をシフトまたはフィルタリングすることによる)、光路長さまたは光の相(例えば、干渉計の設定において検出可能なファイバを曲折または歪ませることによる)であり得る。関連する実施形態は、合計内側反射および「エバネッセント波」の原理に依拠する。例えば、(存在する場合、一切の外側保護コーティングを剥がされた)ファイバの外側表面に触れることによって、ファイバを通る光の伝播を変更し得るファイバインターフェース部の屈折率が変えられる(例えばファイバ対空気に代わりファイバ対指へ)。この変化は十分に感受性のある増幅および処理装置を用いて検出可能であり得る。
【0122】
いくつかの実施形態では、光学ボタンは、複数のボタンに対して1本のファイバを使用するが、それは例えば、複数の導波路を有する特注ファイバを使用すること(および場合によっては異なるボタンへのまたはからの信号を変調すること)によって、いずれのボタンが押圧されるかに応じて異なる波長を除去すること(例えば複数の波長または広帯域光を使用すること)によって、いずれのボタンが押圧されるかに応じて異なる量だけ光を減衰することによって、ボタン毎に異なるファイバグレーティングパラメータを使用することによって、ボタンの起動によって引き起こされるファイバの変形または歪みによって反射が引き起こされる場合、反射パルスが伝播する時間を測定することによって(時間分域反射率測定)、実行される。
【0123】
空気圧/液圧ボタン
いくつかの実施形態では、空気圧および/または液圧原理を利用するボタンがハンドピースに組み込まれ、これはいくつかの実施形態では(光学ボタン実施形態と同様に)ハンドピースとトレイまたはベースユニットとの間の電子装置または電気的インターフェースの必要性を排除することができる。
【0124】
いくつかの実施形態では、ハンドピースの1つまたは複数のボタンは、(流体連通にチューブの連続部分または2つ以上の部分を用いて)トレイまたはベースユニット電子装置に接続される柔軟性空気圧チューブ(例えば、柔軟性シリコーン、ビニルまたはPVCチューブまたはそれらに類するもの)に取り付けられ得るか、またはそれと流体的に結合され得る。電子装置は、例えば、チューブの内側の圧力を測定できる圧力センサを含み得る。これはボタンが押圧されているか否かを判断するために使用可能である。例えば、押圧されたボタンは、通常であれば開放されている、妨害されないまたは開かれているチューブを、圧力センサによって検出できるような方法で封止または狭窄し得る。同様に、いくつかの実施形態では、チューブは、外科医がボタン押圧を示すために(指などを用いて)チューブの端部の穴を覆い得るようにハンドピースで終端し得る。ブラダまたはバルーンが、例えばチューブ端部に含まれ得、それにより、ブラダまたはバルーンが(例えば指からのまたはハンドピースの可動構成要素からの外力によってなど)押圧または他の方法で変形されるとき、内部空気/流体圧力の変化が検出され、ボタン押圧として解釈されることができるようにする。いくつかの実施形態では、周囲圧力を利用する代わりに、チューブは空気または真空源に流体接続され得、それにより、チューブが開かれているかまたは封止されているか否かに依存して、測定される圧力が異なるようにする。この実施形態では、各ボタンは、それ自体の独立したチューブを有するであろう。別の実施形態では、例えば各ボタンがチューブを通る流れを異なる大きさに制限し、その結果、各ボタンが残りのボタンと区別可能であろう場合、複数のボタンが1本のファイバを共有することができる。例えば、第1のボタンがチューブを完全に制限し得る一方、第2のボタンはチューブの内腔を75%に、第3のボタンは50%に、第4のボタンは25%に制限するなどであり、これは流体結合センサによって区別可能であり得る。
【0125】
図10A〜10Cは、空気圧または液圧ボタンを含むハンドピースの例示的実施形態を示す。
図10Aはある例を概略的に示すが、ここでは、指またはボタンの一部などの作動部材904が、変形可能部材1002および/またはチューブ1004内の圧力の変化の検出を可能にするために、チューブ1004と流体接続された変形可能部材1002を変形する。いくつかの実施形態では、内側に何らかのガスまたは流体(例えば空気)を有するバルーンまたはブラダ1002がチューブの端部に取り付けられた柔軟性チューブ(例えばビニルまたはシリコーンチューブ)1004を線形ボタンとして使用することができる。バルーンまたはブラダ1002を強く圧迫、押圧、または圧縮するほど、チューブ内側の圧力は増大し、これは例えば離れたコンソールまたはトレイ内に配置された圧力センサおよび処理電子装置によって測定かつ処理されることができる。
【0126】
いくつかの実施形態では、バルーンまたはブラダ1002は、使用者の指によって直接押圧され得るか、または使用者の指または握りによって起動されるボタン、レバーまたは他の特徴部がバルーンまたはブラダに力を適用し得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、バルーンまたはブラダ1002は別個の構成要素である必要はなく、チューブ1004自体に一体化することができる。チューブ1004はバルーン領域(例えばより大きい直径を有する部分)を有するように設計可能である。同様の結果を、端部を単に封止されるチューブを圧迫または圧縮することによって達成することもできる(例えば圧力の変化が検出され、ボタン押圧として解釈されることができる)。チューブの残部よりも大きい直径を有するバルーンまたはブラダの利点は、圧迫力または圧縮力が増幅され、従って圧力センサおよび処理電子装置による測定をより簡単にし、ノイズまたは干渉の影響を受けにくいことである。
【0128】
いくつかの実施形態では、
図10Aの設計を繰り返すことによって複数のバルーンをハンドピースに含むことができるが、複数のバルーンまたはブラダを有する1本の柔軟性チューブを用いて複数のボタンを組み込むことも可能である。各バルーンまたはブラダは、例えば一実施形態では、異なる直径/容量を有することができ、その結果、押圧されると、処理ハードウェアが、信号の増幅に基づいて、いずれのボタンが押圧されたか(例えば、いずれのバルーンが圧縮されたか)を判断することができる。この置換は、例えば線形ボタンと対照的にオン/オフまたはモーメンタリーボタンと一緒の使用に望ましいことがあり得るが、これは感圧または線形ボタンと共に使用されることもできる。
【0129】
図10Bは空気圧または液圧ボタンの別の実施形態を示し、ここではボタン端部1006で開放されている(例えば封止されていない)柔軟性チューブ1004(例えばビニルまたはシリコーンチューブ)を使用してボタン押圧を検出することができる。使用者がチューブ1004の開放端部1006に指(または別の作動表面)を押し付けると、圧力信号を増幅し処理する圧力センサおよび感受性電子装置は圧力の変化を検出し、ボタン押圧(例えばモーメンタリーまたはオン/オフ)を登録することができる。
【0130】
図10Cは、空気圧または液圧ボタンの別の実施形態を示し、ここでは柔軟性チューブ1004(例えば、ビニルまたはシリコーン)は感圧、線形またはデジタル(例えば、オン/オフまたはモーメンタリー)機能を提供することができる。チューブ1004はコンソールまたはトレイからハンドピースへ、およびコンソールまたはトレイへ戻るようにルーティングされる。チューブの一方の端部へ空気をポンプ送給する空気源が、およびチューブの他端に圧力または流れセンサが存在する。使用者の指(または別の作動表面)904がチューブを(または例えば対向部材1008、1010を含むボタン、レバーまたはそれと同様のものを)押すと、チューブは狭窄される。使用者が強く圧迫するほど、チューブは、場合によっては空気が流れることができない地点まで狭窄される。代替的には、チューブを圧迫する代わりに、チューブは曲折されることもあり、これは同様に、柔軟なチューブの圧潰する壁のせいで空気流の低減を引き起こすであろう。この空気流の変化はセンサによって検出可能であり、チューブの圧縮または屈折の量に相関付けられ、それにより線形状のボタン出力を提供する。
【0131】
このおよび他の設計の実施形態は、吸引装置および硝子体カッターなどの特定の器具を駆動するために往々にして使用される空気圧源を使用することさえできる。
【0132】
圧電ボタン
いくつかの実施形態では、圧電材料(例えば圧電水晶またはそれに類するもの)を含むボタンが使用者入力機能を提供する。圧電結晶は曲折、屈曲またはその他の方法で屈折されると、入力メカニズムとして使用可能な電圧スパイクを発生する。例えば、圧電材料を屈折するように設計された機械的ボタンは、ボタンが押圧されると電圧を発生する。圧電材料が電気ワイヤを経由してトレイまたはベースユニット内の(またはいくつかの実施形態ではハンドピース内の)電子装置に結合される場合、この電圧スパイクは検出され、ボタン押圧として解釈されることができる。この実施形態においてハンドピースが電気ワイヤによってトレイまたはベースユニット電子装置に繋がれている一方で、この実施形態においてハンドピース自体において必要とされる能動的電子装置はなく、いずれかのワイヤまたはケーブルを経由してハンドピースに動力を供給することは必須ではない。複数のボタンをハンドピースに組み込むことができ、そのそれぞれは別個の回路を完成させ(例えば、ボタン1つあたり2本の独立したワイヤ、または1本の独立したワイヤおよび1本の共有アース線)、あるいはボタンが押圧されると発生される電圧の大きさに基づいて各圧電素子が他と区別可能であるように電圧の異なる範囲を生成するべく各圧電素子を設計することによって、複数のボタンはトレイまたはベースユニットに対して1つの回路またはワイヤ対を共有することができる。
【0133】
図11は、ワイヤ1102を横切って測定された電圧差を経由して結晶の変形を検出するために圧電結晶1104などの圧電材料に結合された電気ワイヤ1102を含む圧電ボタンを有するハンドピースの実施形態を示す。いくつかの実施形態では、結晶1104は、作動部材904、904’のうちの1つまたは複数によって変形されるように構成される。
【0134】
いくつかの実施形態では、圧電ボタンは、トレイまたはコンソールに電気的に接続された1つまたは複数の圧電結晶または素子を組み込む。動力はワイヤを介して圧電結晶に供給されない。代わりに、圧電素子は曲折または屈折されると電圧を発生し、これはトレイまたはコンソール電子装置によって検出されることができる。発生された電圧の増幅は圧電素子の屈折量に比例する − 従って圧電素子が大きく屈折されるほど、電圧スパイクは高くなる。この特性は、圧力感受性または線形式出力を提供するために使用することができる。
【0135】
ボタン毎に設計を単純に繰り返すことなく複数のボタンを組み込むために、複数の圧電素子はいくつかの実施形態では、例えば各圧電素子が所与の屈折で異なる電圧を発生するように設計され、その結果、異なる電圧範囲が互いに区別可能であり特定のボタンに相関付けられることができる場合、1組のワイヤを共有可能である。あるいは、各ボタンは、そのそれぞれの圧電素子を(全ての圧電素子がほぼ同じ仕様を有すると仮定して)異なる量だけ屈折し、それにより、いずれのボタンが押圧されるかに応じて異なる電圧増幅範囲を生成するように設計可能である。
【0136】
図9A〜11に開示される例示的実施形態のいずれにおいても、ボタンは二元オン/オフスイッチであることができ、またはボタンによって受け取られた入力に関連して、線形、非線形、または線形と非線形の組合せである応答または出力を生成する可変スイッチであることができる。
【0137】
動力源
本明細書に開示される実施形態は、プローブチップおよび吸引の作動、および使用者入力の受信および/または処理を含むがそれらに限定されない意図された機能を実行するために様々な動力源のうちの1つまたは複数を利用し得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では、電気ワイヤを経由して動力(例えばDCまたはAC電圧または電流)を供給するコンソールまたはトレイに繋がれ得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では、充電可能(二次)内部バッテリ(リチウムイオン/リチウムポリマー、NiMH、NiCdまたは他の化学的性質など)、充電不可能(一次)内部バッテリ(アルカリ、リチウムマンガン、または他の化学的性質など)、および/または十分な容量の内部キャパシタ(「スーパーキャパシタ」または「ウルトラキャパシタ」など)によって動力供給され得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では、無線動力結合システムを経由して無線式に動力供給されることができる。例えば、ハンドピースは、ハンドピースの近くに戦略的に配置されかつ電力増幅器によって駆動される「一次」コイルから誘導的に動力供給されることができる「二次」コイルを組み込み得る。例えば、一次コイルは顕微鏡に取り付け可能であり、かつ二次コイルを含み外科的処置の間外科医によって顕微鏡の下方に配置されるハンドピースに動力供給するように使用可能である。誘導性リンク(または異なる誘導性リンク)もいくつかの実施形態では、ハンドピースとトレイまたはコンソールとの間の双方向通信用に使用可能である。ハンドピースはまた、いくつかの実施形態では、乳化および吸引を実現するために、空気圧的にまたは液圧的に動力供給され得る(例えばチューブセットを用いてコンソールまたはトレイに繋がれる)。ハンドピースはいくつかの実施形態では、移動、往復または回転するケーブル伝達またはトルク伝達コイルによって動力供給され得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では、巻き取られたばねを経由して動力供給され得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では、ケーブル動力、空気圧的動力または液圧的動力を、例えば内部マイクロコントローラ、センサ、アクチュエータ、および/またはボタンに動力供給するために電気に転換するタービンまたは他の手段を含み得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では、ハンドピースグリップ部分に対して外科医によってなされる圧迫、握り、回転または滑り運動を有用な運動(例えばプローブチップを起動するための往復または回転運動)に変換することによって動力供給され得る。ハンドピースはいくつかの実施形態では、圧縮空気、例えばハンドピースに挿入されるキャニスタまたはカートリッジ、または外部源によって動力供給され得る。追加的な動力源が、所望の機能を提供するために使用され得、いくつかの実施形態では2つ以上の動力源がハンドピースに動力供給するために使用され得る(例えば水晶体超音波乳化吸引術のために水晶体ハンドピース内に取り付けられた圧電水晶を駆動するAC電圧、および水晶体ハンドピースの吸引を実現するための空気圧動力)。
【0138】
感圧ハンドピース先端
いくつかの実施形態は、前眼房または後眼房からの眼圧示度を提供するためにハンドピースの遠位先端に圧力センサを組み込む。圧力センサ示度(および/または圧力センサ示度から得られる情報)は(例えば独立型ディスプレイ、ヘッドアップディスプレイ、顕微鏡内ディスプレイ、またはトレイまたはコンソールに一体化されるディスプレイに)視覚的に表示可能であり、および/または音響的に知らせることができる。いくつかの実施形態では、警報および/または安全対策が圧力センサ示度に基づいて起動され得る。さらに、圧力センサ示度は、いくつかの実施形態では、前部領域または後部領域処置の間、注入および/または吸引の速度を制御するためにフィードバック制御ループで使用され得る。圧力センサはいくつかの実施形態では、MEMS種のものであり得る。圧力センサはいくつかの実施形態では、ファイバベース設計であり得る。いくつかの実施形態では、圧力センサは、(例えばハンドピースの遠位先端の代わりに)別個の構成要素に組み込まれ、別個の構成要素も目の前眼房または後眼房に挿入されるかそれに隣接して同様に配置される。例えば、圧力センサは注入カニューレまたはシャンデリア光源に組み込まれ得、圧力測定値は注入速度を制御するために使用される。他の実施形態は、確立された測定技術を介して取得され、ハンドピースまたはトレイ電子装置によって処理される外部IOP測定値を利用するように構成され得る。
【0139】
照明
いくつかの実施形態では、トレイは手術部位に照明を提供するための1つまたは複数の光源を含み得る。内視鏡に基づく照明装置(内部照明装置)およびシャンデリア照明装置などの他の照明装置は、1本のファイバまたは複数のファイバの束を経由して光源に結合することができる。ファイバはいくつかの実施形態では、結合効果を最大化するために大きい数値の開口を有し得る。ファイバはいくつかの実施形態では、LED源に突合せ結合され得るか、レンズ系を介してインターフェースされ得る。内部照明装置およびシャンデリア照明装置、および/または同様のものは、ファイバを経由して光源に永久的に結合可能であり、またはそれらは、光源からの光をファイバへ効果的に結合しおよびハンドピースのファイバを外科医の意志でまたは要望に応じて取り付けおよび光源から取り外すことを可能にする光学コネクタ構成を経由して結合され得る。トレイはいくつかの実施形態では、高輝度の蛍光体ベースの白色LEDおよび/またはRGB LEDを含み得る。2つ以上の源が、例えば光学的結合を介して1つのハンドピース内部照明装置と1つのシャンデリア照明装置とを同時に受け入れるために提供され得る。あるいは、1つの光源を、自由空間またはファイバスプリッタを介して、2つ以上の照明構成要素の間で共有することができる。RGB LEDの構成色は、いくつかの実施形態では、異なる条件の下で、例えば染料、染剤、またはインジケータの存在下に、改善された視覚を提供するために個々に調整され得る。他の実施形態は、ファイバを経由してハンドピースに結合されたトレイおよびオプチカル内に配置されたキセノン、水銀、ハロゲン、および/または他の光源を含む。代替実施形態は、ハンドピース自体に光源(例えばLEDまたはレーザ)を含む。光源は、光を内部照明装置プローブの遠位先端まで伝播する光管、ファイバまたはファイバ束を含有する針に結合(突合せ結合または他の方法)され得る。ファイバまたはファイバ束はいくつかの実施形態では、LEDとファイバとの間の結合効果を最大化するために大きい数値の開口を有し得る。あるいは、LEDは針の遠位先端に配置され得、好ましくは外部環境からシールされ得る(例えば針の遠位先端で透明窓の後ろで、またはエポキシ中に埋め込まれる)。
【0140】
レーザ治療
いくつかの実施形態では、トレイは、手術部位で光凝固、アブレーション、切断、および/または他のレーザ治療を実現するための1つまたは複数のレーザ源を含み得る。例えば、レーザ治療プローブハンドピースは、目に挿入される内視鏡針内に取り付けられるファイバまたはファイバ束を含み得る。ファイバプローブは、処置の間に使用するために治療レーザの焦点を合わせるまたは治療レーザをコリメートするように構成され得る。レーザ治療プローブは、いくつかの実施形態では、ファイバを経由して光源に永久的に結合され得るか、またはそれらはいくつかの実施形態では、光源からの光をファイバに結合する取外し可能な光学コネクタを経由して結合され得る。代替実施形態はハンドピース自体にレーザ源を含む。レーザ源は、光をレーザ治療プローブの遠位先端まで伝播する光管、ファイバまたはファイバ束を含有する針に結合(突合せ結合または他の方法)され得る。
【0141】
ディスプレイ
いくつかの実施形態では、トレイは、システム情報を表示するための1つまたは複数のディスプレイ(例えば、インジケータ、インターフェース、LCD、および/またはLDE)を含み得る。トレイは音響フィードバックも含み得る。ディスプレイはまた、トレイから離れて配置され得る。ディスプレイはヘッドアップ構成で(例えば顕微鏡に)取り付けられ得るか、顕微鏡の視野内で表示するために顕微鏡の光路に突出され得る。ディスプレイはいくつかの実施形態では、頭を回すことなく見ることができるように外科医の左および/または右側周囲にトレイにまたはその上に配置され得る。ディスプレイはいくつかの実施形態では、外科医の前でトレイに直接配置され得、下を見ると見ることができ、ディスプレイからの光の汚染が顕微鏡の対物レンズに入射することまたは外科医の視界に影響を及ぼすことを防止するシェードまたはカバーを設けられ得る。あるいは、ディスプレイはフィルム、窓、または他の透明カバーを有し得、それらは偏光されているか、またはレンズ状の溝、パララックスバリヤ、または制限された視野から見ることを可能にするまたは光の汚染を防止するために特定角度のみから透明である他の特徴部を含む。
【0142】
音響フィードバック
いくつかの実施形態では、トレイは、外科医にフィードバックを提供する音響性能を含み得る。音響フィードバックはいくつかの実施形態では、異なる周波数、振幅、持続時間および/またはそれらに類するものを有する様々な音調を含み得る。音響フィードバックはいくつかの実施形態では、より有用かつ完全なフィードバック情報を外科医に提供することができる音声プロンプトを含み得る。音声プロンプトはデジタル化された音響記録/サンプルまたは合成された言語であり得、また音声プロンプトは不揮発性メモリ(例えば、フラッシュメモリまたはハードドライブ)に記憶され得る。トレイ電子装置はいくつかの実施形態では、音声プロンプト(および/または音調、および/または他の音響フィードバック)を制御するマイクロコントローラまたはマイクロプロセッサを含み得、外科医、ハンドピースのハードウェアまたはソフトウェア、トレイのハードウェア/ソフトウェア、および/またはそれらに類するものからの入力に基づいて適切な音響フィードバックを起動する。
【0143】
フットペダル
いくつかの実施形態では、トレイは、ハンドピースおよび/またはトレイ機能(例えば、注入および吸引速度、カッター速度、照明出力および/またはそれらに類するものを含む)の制御を可能にする1つまたは複数のフットペダル(繋がれているまたは無線式)を含み得るかそれに接続され得る。
【0144】
保管
いくつかの実施形態では、トレイは、例えばハンドピース、縫合糸、シリンジ/針、トロカール、および/または他の器具または備品を含む、外科的処置の間に使用される物品を保持、保管、または固定するように構成された1つまたは複数の領域(例えば穴、キャビティ、容器、空隙、ポケット、フック、締結具、磁石、および/または同様のもの)を含み得る。トレイはまたいくつかの実施形態では、鋭利物を安全に確保または処分するための一体化された鋭利物用の容器を含み得る。トレイはいくつかの実施形態では、針、鋭利物、および他の金属物品/器具を適所に保持するための磁石または磁性表面を含み得る。
【0145】
例示的な使い捨てトレイ実施形態
1つの好ましい実施形態では、トレイシステムは、使い捨て電子装置および使い捨てポンプ(注入および/または吸引用)を含む使い捨てトレイを含む。トレイシステムはまた、使い捨てハンドピースを含み、使い捨てハンドピースは、ハンドピースの1つまたは複数に一体化された電子装置および機能的構成要素(例えば硝子体カッター用のモータ、照明用のLEDおよび/またはそれらに類するもの)を有する。いくつかの実施形態では、トレイシステム全体は、単回使用後または制限された使用回数後に処分されるように意図されている。
【0146】
第2の好ましい実施形態では、トレイシステムは、使い捨てポンプを有するが能動的電子装置をほとんどまたは全く有さない使い捨てトレイを含む。電子装置は、使い捨てトレイおよびハンドピースとインターフェースをとる利用可能ベースに一体化される。ハンドピースは一体化された電子装置および機能的構成要素を含み得る。
【0147】
第3の好ましい実施形態では、トレイ自体は、使い捨て流体構成要素のみを含む。再利用可能ベースユニットは電子装置およびポンプ駆動装置(例えばモータ)を組み込む一方、使い捨てポンプヘッドまたはその一部は使い捨てトレイに配置される。ハンドピースは一体化された電子装置および機能的構成要素を含み得る。
【0148】
関連する好ましい実施形態では、トレイ自体は、使い捨て流体構成要素のみを含む。再利用可能ベースユニットは電子装置およびポンプ駆動装置(例えばモータ)を組み込む一方、使い捨てポンプヘッドまたはその一部は使い捨てトレイに配置される。他の機能的構成要素が同じく、ハンドピースの代わりにベースに組み込まれる。これらには、カッターおよび類似器具用の機械的な源であって空気圧的または液圧的な源であり得るか伝達ケーブルまたはトルクコイルを駆動するためのモータ源であり得る機械的な源;内部照明装置用の光源;光凝固用のレーザ源が含まれる。いくつかの場合には、ハンドピースは、一体化された電子装置を有さず、使用者入力を取得するファイバベース方法、空気圧的方法、圧電方法、または同様の非電子的な方法を利用する。あるいは、ハンドピースは、ボタンを一切組み込まない場合もあり、全ての制御はフットペダル、またはトレイもしくは再利用可能ベースユニット上のボタンを経由して行われる。
【0149】
無菌容器モジュールまたはハイブリッド式トレイ実施形態
本明細書に開示される手術用トレイシステムのいくつかの実施形態は、(上でさらに考察したように)モジュール式またはハイブリッド式の設計を含み、ここでは1つまたは複数の使い捨て部分が1つまたは複数の再利用可能な部分と結合して完全な手術用トレイシステムを形成する。いくつかの実施形態では、使い捨て部分は無菌であり、再利用可能な部分を無菌手術領域から隔絶するように構成された無菌キャビティまたは筐体を含む(または提供するまたは形成する)。いくつかの実施形態では、無菌キャビティは再利用可能な部分を完全に封じ込める。他の実施形態では、無菌キャビティは、再利用可能な部分を無菌手術領域から隔絶するように再利用可能な部分を少なくとも十分に覆うが、再利用可能な部分を完全に封じ込めるわけではない。例えば、キャビティは、再利用可能な部分の上面および側面を覆うように構成されるが、再利用可能な部分の底面は覆わないまま残し、このとき底面は、無菌手術領域の外に置かれるように意図され、従って再利用可能な部分が無菌手術領域のすぐ近くに置かれるとしても、被覆を必要としない。
【0150】
いくつかの実施形態では、無菌使い捨てトレイ(またはトレイの1つまたは複数の構成要素)は、再利用可能なモジュールが助手によって内側または下方に導入されることを可能にするべく、ヒンジ、クラムシェルまたは他の方式で外科医によって広げられるように構成される(例えば、以下でさらに記載される
図12A〜12C参照)。ヒンジ式の蓋またはクラムシェルは続いて閉じられ、再利用可能なモジュールを完全に取り囲みまたは覆いまたは隔絶し、再利用可能なモジュール(無菌であると考えられなくてもよい)と患者および外科医との間に無菌バリヤを維持するであろう。別の実施形態では、クラムシェル式に開ける代わりに、使い捨てトレイまたはその一部は、再利用可能なモジュールが挿入されることを可能にするように開放されることができる引出し、蓋、ドア、窓、または同様の特徴部を含む(例えば、以下でさらに記載される
図13A〜13C参照)。別の実施形態では、再利用可能なモジュールは無菌使い捨てトレイ(またはその構成要素)に挿入されるかその下側に取り付けられ、使い捨てトレイは再利用可能なモジュールを保持または固定するためにキャビティ、ポケット、凹部または他の取付け特徴部を提供し得る(例えば、以下でさらに記載される
図14A〜14C参照)。そのような実施形態では、カバーも蓋も必要ないことがあり得る。なぜなら、使い捨てトレイが手術部位に取り付けられる方法および位置(例えば患者のベッドまたは椅子あるいは外科医のアームレスト)は無菌領域と非無菌領域との間に適切な境界を提供し得るからである。
【0151】
図12A〜12Cは、非無菌の再利用可能な構成要素1204を挿入するための無菌容器またはキャビティ1260を含むヒンジ式またはクラムシェル式手術用トレイまたは装置1210の実施形態を示す。電気的、機械的、光学的、および/または流体的な接続が、再利用可能な部分1204が単回使用部分1202に挿入されるとき、再利用可能な部分1204と単回使用部分1202との間に形成されるように構成される。これらの図はそのような構成要素の単なる例であることに留意されたい。実際の単回使用構成要素1202はいくつかの実施形態ではより小さく、いくつかの部分は再利用できるように作製され、外科的処置の間無菌バリヤを提供するために単にドレープを掛けられるか他の方法で覆われる。
【0152】
図12Aは、使い捨て部分1202と再利用可能な部分1204とを含む手術用トレイ1210の分解図である。いくつかの実施形態では、使い捨て部分1202はさらに、流体貯蔵器1223および/またはBSSボトルホルダまたは注入アセンブリ1222を含む。いくつかの実施形態では、BSSボトルホルダ1222および/または流体貯蔵器1223は本質的にモジュールであり得、他の実施形態を参照して上で記載したのと同様に、使い捨て部分1202から取り外されるおよび/またはそれに挿入されることを可能にする。いくつかの実施形態では、BSSボトルおよび/または貯蔵器特徴部は使い捨て部分1202に一体化され得、取り外すことも交換もできないことがある。
図12Bは、再利用可能な部分1204がキャビティ1260に挿入された後であるが蓋1203が閉じられる前の手術用トレイ1210を示す。
図12Cは蓋1203が閉じられた後の手術用トレイ1210を示す。
【0153】
図12A〜12Cをさらに参照すると、手術用トレイまたは装置1210のこの実施形態は、ベース部分1205と、ヒンジ部分1207を介してベース1205にヒンジ式に接続された蓋1203とを含む。この実施形態では、蓋1203は、手持ち医療器具110を保持するための領域を含む。他の実施形態では、蓋はこの実施形態に示されるよりも小さいか大きく、他の場所に位置付けられ、および/または器具110を保持する領域を含まない場合がある。
【0154】
図12A〜12Cの実施形態の再利用可能な部分1204は、再利用可能な部分1204が使い捨て部分1202の無菌キャビティ1260内に配置されるとき使い捨て部分1202を通して見ることができるように構成された1つまたは複数の電子ディスプレイ118を含む。さらに再利用可能な部分1204はいくつかの実施形態では、使い捨て部分1202とインターフェースをとるように構成された1つまたは複数の他の機能的構成要素を含む。例えば、再利用可能な部分1204は、手術用トレイ、光学的光源、レーザ源、流体源および/または貯蔵器、モータ、および/またはそれらに類するもののうちの1つまたは複数の機能を制御するように構成されたコンピュータプロセッサを含み得る。いくつかの実施形態では、蓋1203および再利用可能な部分1204は、
図4Cに示されるものと同様の電気コネクタを含み得る。
【0155】
図13A〜13Cは、無菌使い捨てトレイ1302と再利用可能な部分1304とを含む手術用トレイまたは装置1310の別の実施形態を示す。
図13A〜13Cに示される実施形態は、
図12A〜12Cに示される実施形態に類似している。しかしながら、手術用トレイ1310は、ヒンジ式またはクラムシェル式の設計を利用する代わりに、再利用可能な部分1304を中に配置するための無菌キャビティにアクセスするために引出し1361を利用する。
図13A〜13Cはそのような実施形態の単なる例であることに留意されたい。他の実施形態では、再利用可能な部分を挿入するための開口は、引出しの代わりに、再利用可能なモジュールを導入するために開放されるドアまたは蓋として設計可能である。他の実施形態のように、電気的、機械的、光学的、および/または流体的な接続が、再利用可能な部分1304が単回使用部分1302に挿入されるとき、再利用可能な部分1304と単回使用部分1302との間に形成することができる。
【0156】
図14A〜
図14Cは、再利用可能な部分1404を中に挿入するための無菌キャビティまたは容器1460の少なくとも一部を形成する中空シェルを含む手術用トレイまたは装置1410の別の実施形態を示す。手術用トレイ1410は上に記載した手術用トレイ1210および1310に類似している。しかしながら、手術用トレイ1410は、天板部分または蓋1403をベースまたは底部分1405から切り離すまたは取り外すことによってキャビティ1460へのアクセスを可能にする。いくつかの実施形態では、ベースまたは底部分1405は、再利用可能および/または非無菌であるように構成可能であり、その場合、ベースまたは底部分1405にはドレープが掛けられ得る。いくつかの実施形態では、天板部分1403および底部分1405は、手術用トレイ1410の使い捨て部分1402を共に含む。いくつかの実施形態では、より多いまたは少ない構成要素が使い捨て部分1402を含み得る。例えば、使い捨て部分1402は、注入および/または貯蔵器モジュール1222、1223をさらに含み得る。いくつかの実施形態では、使い捨て部分1402は蓋または天板部分1403を含むが、ベース1405を含まない。
図14A〜14Cに示される実施形態はそのような中空シェル実施形態の単なる例であることに留意されたい。この実施形態では、天板トレイ1403はシェルであり、再利用可能なモジュール1404は下側に配置される。天板トレイ1403がベース部分1405、取付用ブラケット、ベッド/椅子、および/またはアームレストに取り付けられるとき、非無菌の再利用可能な部分1404は患者および外科医から効果的に隔絶され、無菌バリヤを提供する。電気的、機械的、光学的、および/または流体的な接続が、再利用可能な部分1404が単回使用部分1402に挿入されるとき、再利用可能な部分1402と単回使用部分1404との間に形成されるように構成可能である。この実施形態では、底部分1405が再利用可能であり得(いくつかの実施形態では、単に構造的支持体を提供するか、または場合によっては1つまたは複数の動力供給装置、バッテリ、光源、ポンプ、コンプレッサおよび/またはそれらに類するものを含むがそれらに限定されない機能的要素を含む)、またはそれは別個の使い捨て物品であり得る。底部分1405は、特にそれが再利用可能な構成要素であり外科的処置ごとに無菌性を保証することができない場合、無菌バリヤを提供するために標準的なドレープまたは特注のドレープを掛けられ得る。様々な実施形態において、機能性は全て1つの再利用可能機能的モジュールに一体化され得るか、またはそれは複数の機能的モジュールに分離され得る。
【0157】
追加的モジュール式手術用トレイ実施形態
図15は、モジュール式手術用トレイまたは装置1510の別の実施形態を示す。手術用トレイ1510は使い捨て部分1502と再利用可能ベース部分1504とを含む。手術用トレイ1510は吸引および注入モジュール1223、1222をさらに含む。
図15は、システムの再利用可能な態様と別個の1つまたは複数の使い捨て構成要素を有する別の例を示す。再利用可能な部分(いくつかの実施形態では、ベース1504であり、それはディスプレイ118を含む)は無菌ドレープを掛けられ得、またはそれらは、例えば、使い捨て部分1502、1222、1223のいくつかまたは全てと一体化され得るか別個の構成要素として提供され得る薄い真空形成または成形されたプラスチックシェルによって、無菌バリヤを維持するために覆われ得る。いくつかの実施形態では、使い捨て部分1502は、
図15に示されるようなハンドピースユニットのことを単に指すために使用され得る。いくつかの実施形態では、しかしながら、手術用トレイ1510の全ての使い捨て構成要素またはモジュールは、集合的に使い捨て部分と称され得る(例えば、ユニット1502、注入モジュール1222、および吸引モジュール1223)。
【0158】
図16Aおよび16Bは、モジュール式手術用トレイまたは装置1610の別の実施形態を示す。この実施形態は
図15に示されるトレイ1510に類似している。
図16Aおよび16Bでは、しかしながら、使い捨てハンドピースユニット1602は3つの別個の構成要素:中心モジュール1670および2つの外側トレイ1671に分割される。手術用トレイ1610の各使い捨て構成要素(例えば、中心モジュール1670、外側トレイ1671、吸引モジュール1223および/または注入モジュール1222)は、再利用可能な部分1604の異なる受入れまたは結合特徴部1672と嵌合または結合するように構成される。ベース1604は所望なら無菌バリヤでドレープ掛けされ得るか別の方法で覆われ得る。いくつかの実施形態では、全ての使い捨て機能的構成要素は主に1つの機能的モジュールに含まれ得るが、他の実施形態では、
図16Aおよび16Bに示されるものなど、機能的構成要素は複数のモジュールにわたって分配され得る。
【0159】
無菌BSSボトルホルダ
本明細書に開示される手術用システムのいくつかの実施形態は、多くの手術で利用されるBSSボトルまたは他の注入源に適用されるような無菌移動筐体を含む。1つの例が
図17A〜17Cに示され、ここでは非無菌BSSボトル1704が無菌BSSホルダ1700内に封じ込められ、ボトルスパイク1708が無菌作業領域内に配置されている。そのような実施形態は、非無菌BSSボトルが無菌領域に持ち込まれることを可能にし、これは現在の解決策に勝る優れた性能を提供し得る。なぜなら、注入源(BSSボトル)と手術部位との間の流体チューブ長さが低減されるためである。
【0160】
図17Aは組み立てられたBSSボトルホルダ1700を示す。
図17BはBSSボトルホルダ1700の分解図を示し、上部またはカバー1702、BSSボトル1704、およびベースまたは底部1706を含む。この実施形態では、カバー1702は、カバー1702をベース1706に取り付けるための機械的ツイストロック特徴部を含む。他の実施形態では、しかしながら、様々な他のロックまたは結合機構が使用され得る。
図17Cはベース1706のさらなる詳細を示し、ベース1706は入口および出口チューブ1712、BSSボトル1704を穿刺するためのスパイク1708、および強制ガス注入用の任意選択のチューブ1710を含む。いくつかの実施形態は、チューブ1710はBSSボトル内をBSSボトルの流体レベルより上の領域まで延びるチューブを含み得る。チューブ1710はBSSボトルの内側にまたはそこからガスを導入または除去し、BSSボトル内の圧力を変化させ、制御された注入を可能にするために使用され得る。チューブ1710は、いくつかの実施形態では、例えば16AWGステンレス鋼皮下用チューブなどの医療グレード材料を含み得る。
【0161】
図17A〜17Cの例示的実施形態は、BSSボトルを無菌領域内におよび手術部位のごく近くに配置できるように非無菌BSSボトルを収容し無菌バリヤを提供する無菌容器の使用を示す。BSSボトルを患者のより近くにおよび/またはポンプ源のより近くに配置することは、より優れたおよびより正確な流体管理を可能にすることができる。
【0162】
ぜん動ポンプ
ぜん動ポンプは流体をポンピングするために様々な外科的処置で利用され得る。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプは、酸化エチレン滅菌などのガス滅菌に対応するように構成または設計される。ガスがぜん動ポンプで使用されるチューブに出入りすることを可能にするために、ガスが流入または流出するための進入路も排出路もないようにチューブの一区画または一部分を効果的に捕捉する多数の閉塞「狭窄地点」を回避することが望ましい。これは例えば、2つ以上の位置でチューブを狭窄する3つ以上のローラを有するぜん動ポンプで起こり得る。本明細書に開示される実施形態は、ポンプが滅菌位置または構成を含むことを可能にするように構成された1つまたは複数のローラ(または1つもしくは複数のローラと同じ目的を果たす構成要素)を有するぜん動ポンプまたはポンプヘッドを含む。滅菌位置または構成では、最大で1つの狭窄地点が形成され(いくつかの実施形態では零の狭窄地点)、チューブの「捕捉された」部分が一切ない状態でガス滅菌が実行されることが可能になる。ポンプはポンピング位置、すなわち作動位置または構成も含み得、これは好ましくは滅菌後に利用され、この際、1つより多くの同時狭窄地点が形成される一方で、ポンプは流体をポンピングするために使用されている。例えば、いくつかの実施形態は、2つのローラまたは1つのローラ(または1つもしくは複数のローラと同じ目的を果たす構成要素)を含み、その結果、チューブの最大で1つの部分が、滅菌構成において常に狭窄されるようにする。いくつかの実施形態は、チューブのわずか1つの部分が少なくとも1つの構成(例えば滅菌構成)において狭窄されるようにポンプが構成可能である限り、2つよりも多くのローラさえ含み得る。ポンプ設計は、1つのローラのみが滅菌構成においてチューブと係合されるように組立ての間に適切な位置合わせを保証するキー溝および/または他の特徴部を含み得る。例として
図18を参照のこと。
図18は、チューブ1808を同時に2箇所で狭窄できる2つのローラ1806を含むがローラ1806はロータ1804が特定の位置(例えば、ロータ1804が
図18に示される位置)にある場合、狭窄地点が1箇所のみに形成されるように配置されている。従って、そのようなポンプは、手術で使用する前にガス滅菌を可能にする「ホーム」「開始」または滅菌位置として
図18に示される位置または構成を使用するように構成され得る。
【0163】
図18をさらに参照すると、
図18は、この構成において1つの狭窄地点1810(この図の12時の位置)を示す2ローラぜん動ポンプ1800(またはポンプのポンプヘッド部分)の上面図である。底部ローラ1806(6時の位置)はこの向きではチューブ1808を狭窄せず、滅菌ガス(例えば酸化エチレン)が製造プロセスの過程でチューブ1808の両端部に出入りすることを許容する。ポンプ1800が起動されると、ロータ1804およびローラ1806はぜん動ポンプ作用をもたらしながら時計回りまたは反時計回りに回転する(この間、2つ以上の狭窄地点が形成される)。いくつかの実施形態は、ポンプ構成要素は、1つのローラのみがチューブを狭窄するように組立ての過程で適切な位置合わせを保証するために鍵穴の開いた領域または他の特徴部を含み得る。
【0164】
いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプは他の方法でガス滅菌を可能にし得る。例えば、ポンプは拡張絞りまたは開口型の構造を含み得、それにより初期使用または起動前にローラはチューブ自体よりも小さいまたは大きい直径に沿って切り離され(従ってチューブを狭窄しない)、モータを起動すると、ローラはチューブと実質的に同じ半径に沿って係合し、ぜん動ポンピング作用をもたらす。
【0165】
図19Aおよび19Bは、効果的なガス滅菌を可能にするように構成されたぜん動ポンプまたはポンプヘッド1900の別の実施形態を示す。
図18に示される実施形態と同様に、ぜん動ポンプ1900は、チューブ1908が、捕捉された空気ポケットを含まない滅菌構造と、複数の狭窄地点1910が形成され得る作動構造とを含む。
図19Aは滅菌構造にあるぜん動ポンプ1900を示す。この実施形態では、滅菌構造において狭窄地点は存在しない。他の実施形態では、しかしながら、
図18に示されるのと同様に、1つの狭窄地点が滅菌構造において利用され得る。
図19Bは作動構造にあるぜん動ポンプ1900を示す。この図では、2つの同時狭窄地点1910が形成されている。しかしながら、ロータ1904の位置に依存して、合計3つのローラ1906が同時に狭窄地点1910を形成し得る。
【0166】
ぜん動ポンプ1900はハウジング1902と、ハウジング1902に回転可能に結合されたロータ1904と、複数のローラ1906、この例では3つのローラとを含む。ぜん動ポンプ1900はさらにぜん動チューブ1908を含み、ぜん動チューブ1908は、ロータ1904の周囲に配置され、および流体がチューブ1908内でポンピングされることを可能にするべくローラ1906によって係合可能であるように配置される。
図19Aおよび19Bに示される実施形態では、ロータ1904はさらに、ローラ1906毎にチャネル1912(例えば、キー溝、スロット、ガイドおよび/またはそれらに類するもの)を含む。チャネル1912は湾曲状にロータ1904の周囲に延在し、チャネル1912は、一方の端部においてロータ1904の中心軸からより離れ、他方の端部においてロータ1904の中心軸により近い。そのような設計は、チャネルの一端で、
図19Aに示されるように、ローラ1906とチューブ1908との間に狭窄地点が形成されないようにチャネル1912内でローラ1906が再配置されることを可能にすることができる。しかしながら、
図19Bに示されるように、ローラ1906がチャネルの他端にあるとき、ローラ1906はロータ1904の中心軸からより遠くへ離れ(チューブ1908により近づき)、チューブ1908とローラ1906との間に干渉密着または狭窄地点1910を形成する。
【0167】
いくつかの実施形態では、
図19Aおよび19Bに示されるぜん動ポンプ1900は、ローラ1906を自動的に係合および/または分離するように構成可能である。例えば、チャネル1912の方向は、ロータ1904が時計回りに回転すると自動的にローラ1906がロータ1904に対して反時計回りに移動し、従ってチューブ1908と係合するようなものであることができる。同様に、ロータ1904が反時計回りに回転するとローラ1906が自動的にチャネル1912内をロータ1904に対して時計回り方向に移動可能であり、従って自動的にチューブ1908と分離しガス滅菌を可能にする。いくつかの実施形態では、ぜん動ポンプ1900は、ローラ1906をチャネル1912の一端に向けて付勢するばねまたは他の機構を含み得る。例えば、ぜん動ポンプ1900はあるばねを含み得るが、このばねはローラ1906を
図19Aに示される分離位置へ付勢し、依然として起動されず動力源に接続されてもいないポンプを用いてガス滅菌を実行できることを保証する。別の例として、ぜん動ポンプ1900はあるばねを含み得るが、このばねはローラ1906を
図19Bに示される係合位置へ付勢し、ローラ1906が作動中チューブ1908と係合した状態に保たれることを保証する。いくつかの実施形態では、ばねの代わりに、またはばねに加えて、ロック機構が利用され得、このロック機構はローラ1906をチャネル1912のいずれかの端部の位置にロックし、ポンプ1900が滅菌または作動構造のいずれかに保たれることを保証する。いくつかの実施形態では、ロータ1904の面は、チャネル1912を含むカムディスクを含み得る。カムディスクはロータの残部に対して回転可能であり、ローラ1906が内方および外方に移動することを可能にする。
【0168】
図19Aおよび19Bに示されるぜん動ポンプ1900は、ぜん動チューブと選択的に係合可能なローラを含むぜん動ポンプの1つの例示的な実施形態を示す。当業者であれば、そのような作用をもたらすために様々な他の設計が利用されてもよいことを認識するであろう。例えば、ぜん動ポンプは、ローラがチューブ1908に対して直接内方および外方へ(例えば、ローラがチューブを狭窄するであろう地点におけるチューブの接線に対して垂直な方向に)移動することを可能にするチャネルまたはキー溝を含み得る。そのような実施形態では、ローラは、例えばローラをチューブと選択的に係合するカム機構によって内方および外方へ移動するように構成され得る。別の実施形態では、ローラは、ローラをチューブと選択的に係合するように内方または外方へ移動され得る回動および/またはばね押しアームに取り付けられ得る。
【0169】
前眼房手術システム
ある実施形態において、本明細書に示される手術用システムは、前眼房外科的処置、例えば水晶体または白内障除去(一般に水晶体超音波乳化吸引術または水晶体細片除去術として知られる)用に構成可能である。手術用システムは、ハンドピース、コンソール、手術用トレイ、ディスプレイ、フットペダルのうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0170】
ハンドピース
ある実施形態において、システムは、外科医によって保持されるハンドピースを含み、その遠位端は小さい切開を介して目の前眼房に挿入される。ハンドピースの遠位端は目に挿入可能であり、例えば、サイズ17、18、19、20、21、22、23、24、25、26または27ゲージの、またはいくつかの場合にはより大きいまたは小さいゲージの皮下注射針、チューブ、カニューレ、またはトロカールであることができ、ステンレス鋼、チタニウム、プラスチック、ポリイミドまたはそれらに類する材料を含む多様な材料のいずれかから作製可能である。
【0171】
ある実施形態において、目に挿入される遠位端の1つの機能は、超音波振動、機械的切断および/または撹拌、アブレーション、レーザおよび/または他の技法を介して、白内障または水晶体を細分化、乳化、および/または細片除去することである。ある実施形態において、システムは、流体および組織の吸引または注入のためにプローブチップの内側に中空チャネルを含むことができる。ある実施形態において、システムは、白内障または水晶体を細分化するプローブチップに隣接して配置されるかその近くに位置付けられた注入および吸引用の別個の中空チャネルを含むことができる。
【0172】
ある実施形態において、システムは、針の位置を1つまたは複数の軸において、例えばキロヘルツまたはより高い範囲の周波数で、振動、発振、往復、回転、片持ち梁状にし、および/または平行移動するための機構を含むことができる。この運動は、時間によって変化する電圧信号によって駆動されるときに振動する圧電材料(チタン酸鉛ジルコネート(PZTとしても知られる)、または一般に入手可能な圧電曲がり素子)の使用を介してもたらすことができ、それは例えば、音声コイルアクチュエータ、ソレノイド、またはモータ構造における電磁気の使用を介してもたらすことができ、それは空気圧または液圧を介してもたらすことができ、それは、回転または往復ケーブル、駆動ベルト、ギヤ付き伝達装置、またはプッシュプル機構などの伝達駆動システムを介してもたらすことができる。
【0173】
ある実施形態において、システムは、組織試料(例えば水晶体、白内障)を機械的に切断または撹拌するための機構を含むことができる。これは、硝子体除去または組織デブリドマンで使用されるものなどの断裁または回転(360度またはその一部、例えば180度往復動)切断機構を含むことができる。他の機構は、ホイスク(whisk)の機械的な運動を介して対象の組織を細分化するプローブの遠位端の1つまたは複数の回転式または移動/平行移動式ホイスクを含むことができる。
【0174】
ある実施形態において、システムは、光化学的、フォトメカニカル的および/または光熱的手段を経由した除去のために対象の白内障、水晶体または他の組織を整えるべく単色性または狭帯域光源(例えばレーザまたはLEDまたはそれらに類するもの)または広帯域光源を利用するように構成可能である。光源はハンドピース自体に配置され得るか他の場所(例えばコンソールまたはトレイ内)に配置され得、(前に記載したような)単一モードまたはマルチモードファイバまたはファイバ束を経由してハンドピースまで光学的にルーティングされ得る。
【0175】
ある実施形態において、システムは、対象の組織(白内障および水晶体材料を含むがそれらに限定されない)を焼灼またはアブレーション処理するために熱またはRFエネルギーを利用するように構成可能である。
【0176】
ある実施形態において、目に挿入されるハンドピースの遠位端の第2の機能は、プローブチップの作用によって生じた水晶体および白内障細片を含む組織および流体を吸引することであることができる。プローブチップはポンプシステムに接続可能であり、ポンプシステムはニードルチップで真空圧を形成し、ニードルチップの内径よりも小さい細片を吸引し、および内径よりも大きい細片を、それらがニードルチップの作用によって吸引するのに十分小さいサイズまで乳化、細切または細分化されるまで保持する。吸引は前に記載したようなポンプまたは他の手段によって実現可能である。ある実施形態において、吸引機構(ポンプまたはその他)の場所は、ハンドピースから離れてコンソールまたはトレイ内であり得、流体の吸引に適したチューブ、例えば柔軟性ビニルまたはPVCチューブを経由してハンドピースと繋ぐことができる。トレイをごく近くに置くことでチューブセットの長さ必要量は低減され、吸引の性能および応答性が改善される。ある実施形態において、吸引機構(ポンプまたはその他)の場所はハンドピースの内側であるか、またはハンドピースに隣接していることができる。これは以下の理由から有利であり得る。すなわち、そのような設計は吸引される流体の経路長を低減し、それにより吸引機構の要件を低減し、および(例えば外科医が吸引速度を変えたときに)反応時間を遅らせ、また手術室内の外科医および助手と絡む可能性のある長いチューブセットを排除するために有利であり得る。
【0177】
本発明の実施形態は、前に記載したようにハンドピースの遠位端に圧力センサを組み込み、この際、圧力センサ示度は、処置の間、注入(および/または吸引)の速度を制御するために使用される。制御はフィードバック制御ループ(例えば、比例−積分−微分(PIDとしても知られる)、そのサブセット、または同様のもの)の形態であることができる。より簡単な実施形態は外科医に圧力情報を表示し、外科医は次いで注入速度を手動で制御することができる。システムは、圧力がプリセットされた圧力範囲外に低下したとき、外科医に警報を出すことができる。
【0178】
ある実施形態において、システムは、前部分の処置に、特に水晶体および白内障の除去に必要な機能のいくつかまたは全てを、1つのハンドピース内に含むように構成可能である。ハンドピースは、(上で前に記載した機構のうちの1つまたは複数を用いる)乳化または細切除去用の機構を含むことができる。ハンドピースはまた吸引用機構(ポンプまたは前に記載した機構のうちの1つまたは複数など)を含むことができる。ハンドピースは目への注入を実現するための機構(前に記載した手段のいずれかを含む)を含み得、または注入は別個の注入カニューレおよび注入流体源によって実現され得、およびハンドピースまたは別個の近くのトレイまたコンソールによって制御/駆動され得る。
【0179】
内蔵型実施形態において、ハンドピースは、処置の間使用される注入溶液(BSS、粘弾性溶液、シリコーン油、または同様のもの)を含有する貯蔵器を含むことができる。ハンドピースは、吸引された廃棄物用の貯蔵器を含むこともできる。注入および吸引貯蔵器はハンドピース内に含めることができるか、またはハンドピースに完全に一体化することができ、またはそれらはそれ(例えば、ハンドピースから吊り下げられるか外科医の手、手首または腕に固定されるバッグまたはボトル)のすぐ隣に配置され得る。貯蔵器はまた、近くのトレイ、外科医の腕支持材、または患者のヘッドレストに配置可能であるか、それらに取付け可能であるか、またはそれらからもしくは顕微鏡から吊り下げることができる。
【0180】
ある実施形態において、システムは、吸引および注入システムと直列にフィルタ(例えば、多孔性膜フィルタ)を使用するように構成可能であり、それにより吸引された流体をろ過して再注入することができ、これにより必要な注入溶液の量が著しく減り、手持ちシステムのサイズおよび重量要件が低減される。フィルタ(および吸引ポンプ)はハンドピース内に配置可能であり、またはいくつかの実施形態では、一方または両方が別個の近くのトレイまたはコンソール内に配置され得、この際、短いチューブセットがハンドピースをフィルタおよび/またはポンプに接続している。フィルタ付きシステムは、後部分および硝子体網膜の処置にも使用可能である。
【0181】
ある実施形態において、内蔵型ハンドピースは、上で前に記載した一体化圧力センサを、針の遠位端にまたは流体経路に沿って含むことができ、圧力センサは注入(および/または吸引)速度を制御するためにフィードバック制御ループで使用される。
【0182】
ある実施形態において、システムは、前眼房からの注入流体の漏れを低減するために、弁付きカニューレおよび/または弁付きトロカールと共に使用されるように構成可能である。これらの装置は硝子体網膜手術および整形外科手術で一般的に使用されるが、前部分の処置では一般的でない。しかしながら、それらを前眼房の処置に組み込むことで、必要な注入流体の量が低減され、その結果、より小型、軽量、およびコンパクトなシステムが得られる。
【0183】
とりわけ「できる(can)」、「できる可能性がある(could)」、「し得る可能性がある(might)」、または「し得る(may)」)などの条件付きの文言は、別段の記載のない限り、または用いられる文脈内において理解される限り、一般的には、特定の特徴、要素および/またはステップを特定の実施形態が含む一方、他の実施形態は含まないことを示唆することを目的としている。従って、このような条件付きの文言は、特徴、要素および/またはステップが1つまたは複数の実施形態に何らかの形式で必要とされること、および1つまたは複数の実施形態が、使用者入力または指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/またはステップがいずれかの特定の実施形態に含まれるかまたはそこで実行されるかどうかを決定するための論理を必ず含むことを暗示することを一般的に目的としていない。本明細書において用いられる見出しは、単に読者の便宜のためのものであり、本発明の範囲も特許請求の範囲も限定することは意図されない。
【0184】
本発明の実施形態について、特定の好適な実施形態および例に関連して開示してきたが、当業者であれば、本発明は、具体的に開示された実施形態を超えて本発明の他の代替的実施形態および/または利用ならびに本発明の自明な改変形態およびその均等物にまで及ぶことを理解するであろう。さらに、当業者であれば、上述の方法のいずれも任意の適切な装置を用いて実行できることを認識するであろう。さらに、ある実施形態に関連するいずれの特定の特徴、態様、方法、特性、特質、質、属性、要素またはそれらに類するものに関する本明細書中の開示は、本明細書に記載される全ての他の実施形態で用いられることができる。本明細書に記載される実施形態の全てに関して、方法のステップは連続的に実行されなくてもよい。従って、開示される本明細書中の本発明の範囲は、上に記載される特定的に開示された実施形態に限定されないことが意図される。
なお、本発明の実施形態として、以下の参考例8ないし20も想定される。
[参考例8]
外科的処置の間、外科医が使用するための手術用装置であって、
外科的処置の前に開封され、かつ単回または制限された回数の外科的処置後に処分されるように構成された1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パックを含み、前記1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パックが、
無菌手術器具、および
前記外科的処置の無菌領域の一部であるように構成された上面と、再利用可能な支持構造体の上面に結合されかつ前記上面よって支持されるようにサイズを決められかつ構成された底面とを含む無菌手術用トレイであって、前記再利用可能な支持構造体が、モータ、光源、使用者インターフェースディスプレイ、動力源、およびコンピュータプロセッサのうちの少なくとも1つを含む、無菌手術用トレイ
を含み、
前記無菌手術用トレイが、前記支持構造体の前記モータから、前記無菌手術用トレイに接続された流体ポンプへ回転運動を伝達するための機械的結合部、前記支持構造体の前記光源から前記無菌手術器具へ光を伝送するための光伝送結合部、透明材料であって、前記支持構造体の前記使用者インターフェースディスプレイを前記外科的処置の前記無菌領域で前記透明材料を通して見ることを可能にするように配置された透明材料、前記支持構造体の前記動力源から前記無菌手術用トレイへ電力を送るための電気的結合部、および前記コンピュータプロセッサから前記無菌手術用トレイへ電気通信を送信するための電気通信結合部のうちの少なくとも1つを含む、手術用装置。
[参考例9]
前記1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パックがさらに、前記無菌手術用トレイの前記底面と、前記再利用可能な支持構造体の前記上面との間に配置されるようにサイズを決められた無菌ドレープを含む、参考例8に記載の手術用装置。
[参考例10]
前記無菌ドレープが、電流が前記再利用可能な支持構造体から前記無菌手術用トレイへ流れることを可能にするように構成された伝導性インターフェースを含む、参考例9に記載の手術用装置。
[参考例11]
前記再利用可能な支持構造体が非無菌である、参考例8〜10のいずれか一例に記載の手術用装置。
[参考例12]
前記無菌手術用トレイが、折り畳まれた輸送用構成と、展開された手術時使用構成とを含む、参考例8〜11のいずれか一例に記載の手術用装置。
[参考例13]
前記無菌手術用トレイの少なくとも一部が、前記折り畳まれた輸送用構成において、前記無菌手術ツールを損傷から保護するように構成される、参考例12に記載の手術用装置。
[参考例14]
前記再利用可能な支持構造体が前記モータを含み、前記1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パックがさらに無菌ポンプモジュールを含み、および前記無菌ポンプモジュールは前記無菌手術用トレイから分離し、かつ前記再利用可能な支持構造体に別々に結合されかつ前記再利用可能な支持構造体によって支持されるように構成され、前記無菌ポンプモジュールが、前記モータから前記ポンプモジュールの流体ポンプへ回転運動を伝達するための回転結合部を含む、参考例8〜13のいずれか一例に記載の手術用装置。
[参考例15]
外科的処置の間、外科医が使用するための手術用装置であって、
外科的処置の前に開封され、かつ単回または制限された回数の外科的処置後に処分されるように構成された1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パックであって、無菌注入モジュールおよび無菌吸引モジュールの1つまたは複数を含む、1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パック
を含み、前記無菌注入および吸引モジュールがそれぞれ、
再利用可能な支持構造体の凹部に取外し可能に受け入れられるようにサイズを決められかつ構成された壁と、前記外科的処置の無菌領域の一部であるように構成された少なくとも1つの外側表面とを含むハウジングと、
流体を手術部位へまたは手術部位からポンピングするためのポンプと、
前記ポンプのロータを回転させるために前記ポンプに結合されたモータと
を含み、
前記ハウジングがさらに、前記モータに動力供給するために前記再利用可能な支持構造体から電力を受け取るように構成された電気的インターフェースを含み、
前記無菌注入モジュールが、流体を前記手術部位へポンピングするように構成され、および前記無菌吸引モジュールが、流体を前記手術部位からポンピングするように構成される、手術用装置。
[参考例16]
前記1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パックが、前記無菌注入モジュールおよび前記無菌吸引モジュールのそれぞれの少なくとも1つを含む、参考例15に記載の手術用装置。
[参考例17]
前記ポンプが滅菌構成を含み、前記滅菌構成では最大で1つの狭窄地点が前記ポンプのぜん動チューブに形成される、参考例15または16に記載の手術用装置。
[参考例18]
前記1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パックがさらに、
無菌手術器具と、
前記外科的処置の前記無菌領域の一部であるように構成された上面を含む無菌手術器具ホルダと
を含み、前記上面は前記無菌手術器具をその中にまたはその上に配置するための受入部分を含み、前記無菌手術器具ホルダはさらに、前記再利用可能な支持構造体の異なる凹部に受け入れられるようにサイズを決められかつ構成された底面を含む、参考例15〜17のいずれか一例に記載の手術用装置。
[参考例19]
前記無菌手術器具が、前記再利用可能な支持構造体の光源、前記再利用可能な支持構造体の電子制御装置、前記再利用可能な支持構造体の機械的駆動装置、前記再利用可能な支持構造体の空気圧駆動装置、および前記再利用可能な支持構造体の流体駆動装置のうちの1つまたは複数と結合するように構成される、参考例18に記載の手術用装置。
[参考例20]
前記再利用可能な支持構造体が非無菌であり、および前記1つまたは複数の密封された滅菌済み手術パックがさらに、前記非無菌の再利用可能な支持構造体と、前記モジュールのうちの少なくとも1つとの間に配置されるように構成された手術用ドレープを含む、参考例15〜19のいずれか一例に記載の手術用装置。