(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る回転テーブル装置および回転テーブル装置の制御方法について、好適な実施の形態を掲げ、添付の図面を参照しながら以下、詳細に説明する。
【0011】
図1は、回転テーブル装置10の構成図である。回転テーブル装置10は、クランプ機構12aを備える回転テーブル12と、クランプ機構駆動部14、モータ駆動部16、圧力検出部18、負荷検出部20、および、制御装置22を備える。
【0012】
まず、
図2、
図3を用いて、回転テーブル12について説明する。
図2は、回転テーブル12の断面図、
図3は、回転テーブル12の一部拡大断面図である。回転テーブル12は、回転可能に加工対象物を支持するテーブルである。回転テーブル12のスピンドル30は、軸受32を介して回転テーブル12のケース34に固定されたハウジング36に支持されている。つまり、スピンドル30は、ケース34およびハウジング36に対して回転自在にハウジング36に支持されている。スピンドル30は、加工対象物を回転させるためのものであり、スピンドル30の端部に、加工対象物が着脱可能に固定される。スピンドル30を回転させるためのモータ38のステータ38aがハウジング36に固定されており、モータ38のロータ38bがスピンドル30に取り付けられている。
【0013】
ブレーキディスク40は、スピンドル30の端面と取付部材42の端面とで挟持され、取付部材42は、スピンドル30に固定されている。ブレーキディスク40は、ケース34に対して回転自在であり、スピンドル30と一体的に回転する。ブレーキディスク40は、ケース34のハウジング36が設けられた側とは反対側に設けられている。
【0014】
ケース34のブレーキディスク40が設けられた側には、シリンダ44およびリアプレート46が取り付けられている。ピストン48は、シリンダ44とリアプレート46とによって構成された溝形状の中に収納されている。ピストン48は、ブレーキディスク40をクランプする方向およびアンクランプする方向に移動可能に設けられている。以下、ブレーキディスク40をクランプするピストン48の移動方向を単にクランプ方向と呼び、ブレーキディスク40をアンクランプするピストン48の移動方向を単にアンクランプ方向と呼ぶ。
【0015】
ケース34に固定されたクランプ部材50は、ブレーキディスク40のディスク面と対面している。ブレーキディスク40は、ピストン48とクランプ部材50との間に位置する。ブレーキディスク40は、クランプ方向に移動したピストン48とクランプ部材50とによって挟持されることでクランプされる。ピストン48およびクランプ部材50のブレーキディスク40との接触部分(
図3の点線で示す楕円で囲った部分)は、クランプ機構12aの使用によって、摩耗していく(徐々に削られていく)。
【0016】
板バネ等で構成される付勢部材52は、弾性変形の復帰力によってピストン48をクランプ方向に付勢する。付勢部材52の一端部はピストン48に固定され、他端部はリアプレート46に固定されている。ブレーキディスク40、取付部材42、シリンダ44、リアプレート46、ピストン48、クランプ部材50、および、付勢部材52は、クランプ機構12aを構成する。
【0017】
ピストン48は、空気等の気体または油等の液体の作動流体によってクランプ方向およびアンクランプ方向に移動する。クランプ機構12aには、クランプ用流体室54aおよびアンクランプ用流体室54bが設けられている。
【0018】
このクランプ用流体室54aに作動流体が供給されることで、ピストン48がクランプ方向に移動する。これにより、ブレーキディスク40は、クランプされる。また、アンクランプ用流体室54bに作動流体が供給されることで、付勢部材52の付勢力に抗してピストン48がアンクランプ方向に移動する。これにより、ブレーキディスク40は、アンクランプされる。
図2、
図3は、クランプ機構12aによってブレーキディスク40がクランプされた状態を図示している。
【0019】
なお、ピストン48をクランプ方向に移動させる場合はアンクランプ用流体室54bの作動流体が外部に排出され、ピストン48をアンクランプ方向に移動させる場合はクランプ用流体室54aの作動流体が外部に排出される。
【0020】
図1に示すクランプ機構駆動部14は、作動流体を用いてピストン48を移動させる。クランプ機構駆動部14は、作動流体の流れを切り換える電磁弁14aを有する。電磁弁14aは、クランプ用流体室54aに作動流体を供給してアンクランプ用流体室54bの作動流体を排出するか、アンクランプ用流体室54bに作動流体を供給してクランプ用流体室54aの作動流体を排出するかを切り換える。クランプ機構駆動部14は、供給する作動流体の圧力Vを調整する圧力調整部14bを備える。
【0021】
モータ駆動部16は、回転テーブル12内に設けられたモータ38を駆動させる。モータ駆動部16は、モータ38(詳しくは、ステータ38aに設けられた巻線)に電流を供給することで、モータ38を駆動させる(ロータ38bを回転させる)。これにより、スピンドル30が回転する。クランプ機構駆動部14およびモータ駆動部16は、制御装置22によって制御される。
【0022】
圧力検出部18は、クランプ機構駆動部14から供給される作動流体の圧力Vを検出する。負荷検出部20は、モータ38の出力軸であるスピンドル30の負荷トルクτを検出する。負荷検出部20は、モータ38に供給される電流値を検出することでスピンドル30の負荷トルクτを検出してもよい。
【0023】
図4は、制御装置22の構成を示す図である。制御装置22は、入力部60、記憶媒体62、表示部64、および、制御部66を備える。入力部60は、オペレータの操作を受け付ける操作部であり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等によって構成される。記憶媒体62は、必要な情報を記憶するのであり、例えば、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、ハードディスク等によって構成される。表示部64は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を含み、必要な情報を表示する。
【0024】
制御部66は、駆動制御部70、摩耗量算出部72、残寿命算出部74、および、表示制御部76を備える。
図4では、制御部66がクランプ機構12aを診断する診断モードを実行するために必要な構成を示している。
【0025】
駆動制御部70は、クランプ機構駆動部14(具体的には、電磁弁14a)を制御して、ブレーキディスク40をクランプさせたり、アンクランプさせたりする。つまり、駆動制御部70は、クランプ機構駆動部14(具体的には、電磁弁14a)を制御して、作動流体をクランプ用流体室54aに供給することで、ピストン48をクランプ方向に移動させたり、作動流体をアンクランプ用流体室54bに供給することで、ピストン48をアンクランプ方向に移動させたりする。
【0026】
駆動制御部70は、圧力調整部14bを制御して、供給する作動流体の圧力Vを変化させる。駆動制御部70は、圧力検出部18が検出した圧力Vに基づいて、作動流体の圧力Vをフィードバック制御してもよい。駆動制御部70は、ブレーキディスク40をクランプ、アンクランプさせるときには、原則として、作動流体の圧力Vが予め決められた所定圧力Vsとなるように、圧力調整部14bを制御する。
【0027】
駆動制御部70は、モータ駆動部16を制御して、モータ38を駆動(回転)させる。駆動制御部70は、モータ38が指令速度で回転するように、モータ駆動部16を制御する。モータ38には、モータ38の回転位置、回転速度を検出する図示しないエンコーダが設けられ、駆動制御部70は、エンコーダが検出した検出信号に基づいてモータ38をフィードバック制御する。
【0028】
駆動制御部70は、オペレータによる入力部60の操作によって診断モードに設定されると、クランプ機構駆動部14を制御して、所定圧力Vsの作動流体でブレーキディスク40をアンクランプさせた後、アンクランプ用流体室54bに供給する作動流体の圧力Vを徐々に低下させていく。また、駆動制御部70は、診断モード時には、モータ駆動部16を制御してモータ38を予め決められた一定の回転速度で回転させる。
【0029】
摩耗量算出部72は、負荷検出部20が検出したスピンドル30(モータ38)の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えたときに圧力検出部18が検出した作動流体の圧力V
nと、基準圧力V
0とに基づいて、ピストン48およびクランプ部材50の摩耗量ΔW
nを算出する。なお、ΔW
nは今回実行した診断モード(n回目の診断モード)で算出される摩耗量、V
nは今回実行した診断モード(n回目の診断モード)でスピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えたときの作動流体の圧力Vである。
【0030】
具体的には、摩耗量算出部72は、以下に示す式(1)を用いて、摩耗量を算出する。ただし、Sはアンクランプ用流体室54bの有効面積、kは付勢部材52の弾性係数を示し、nは1以上の整数である。基準圧力V
0、有効面積S、および、弾性係数kは、記憶媒体62に記憶されている。なお、この式(1)の導出方法については後で簡単に説明する。
【0032】
基準負荷トルクτsは、予め決められた所定圧力Vsの作動流体でブレーキディスク40をアンクランプさせてモータ38を回転させたときのスピンドル30の負荷トルクτ
0に、所定トルクαを加算したトルクである。つまり、基準負荷トルクτsは、τs=τ
0+α、で表される。この基準負荷トルクτsは、摩耗量算出部72によって算出される。
【0033】
基準圧力V
0は、ピストン48およびクランプ部材50に摩耗がない状態で、ブレーキディスク40をアンクランプさせた後、アンクランプ用流体室54bに供給する作動流体の圧力Vを低下させていくとともに、モータ38を回転させたときに、スピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるときの作動流体の圧力Vである。
【0034】
図5は、ピストン48およびクランプ部材50の摩耗量ΔW
nに応じて、所定圧力Vsの作動流体でブレーキディスク40をアンクランプさせた後、アンクランプ用流体室54bに供給する作動流体の圧力Vを低下させたときの、圧力Vと負荷トルクτとの関係を示す図である。このとき、モータ38は、予め決められた一定の回転速度で回転しているものとする。
【0035】
線L0は、ピストン48およびクランプ部材50に摩耗がない状態(ピストン48およびクランプ部材50が新品状態)における圧力Vと負荷トルクτとの関係を示す。線L1は、新品の状態から第1の使用時間経過後に診断モード(n=1、1回目の診断モード)を実行したときの圧力Vと負荷トルクτとの関係を示す。線L2は、新品の状態から第1の使用時間より長い第2の使用時間経過後に診断モード(n=2、2回目の診断モード)を実行したときの圧力Vと負荷トルクτとの関係を示す。使用時間が長い程、摩耗が進んでおり、摩耗量ΔW
nが大きい。
【0036】
所定圧力Vsの作動流体でブレーキディスク40をアンクランプさせた後、アンクランプ用流体室54bに供給する作動流体の圧力Vを低下させていき、作動流体の圧力Vが付勢部材52の付勢力より小さくなると、ピストン48がクランプ方向に移動し始める。これにより、スピンドル30(モータ38)の負荷トルクτが上昇する。
【0037】
ここで、摩耗量ΔW
nが0のときは、付勢部材52のクランプ方向への付勢力が最も大きく、摩耗量ΔW
nが大きくなるにつれ、付勢部材52のクランプ方向への付勢力が小さくなる。摩耗量ΔW
nが大きくなるにつれ、付勢部材52のクランプ方向への付勢力が小さくなる理由としては、摩耗量ΔW
nが大きい程、ピストン48のブレーキディスク40との接触位置がクランプ方向側に移動するため、付勢部材52の復帰力が低減するからである。そのため、摩耗量ΔW
nが大きくなるにつれ、スピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるときの作動流体の圧力V
nが低くなる。
【0038】
線L0で示されるスピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるときの作動流体の圧力Vが基準圧力V
0となる。線L1で示されるスピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるときの作動流体の圧力VがV
n=1となり、線L2で示されるスピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるときの作動流体の圧力VがV
n=2となる。
【0039】
なお、
図5から、所定圧力Vsの作動流体でブレーキディスク40をアンクランプさせたときのスピンドル30(モータ38)の負荷トルクτ
0は、ピストン48およびクランプ部材50の摩耗状態にかかわらず、同一であることがわかる。したがって、予め記憶媒体62に基準負荷トルクτs(=τ
0+α)を記憶させておいてもよい。この場合は、摩耗量算出部72は、基準負荷トルクτsを算出する必要はない。
【0040】
ここで、式(1)の導出方法について簡単に説明する。ピストン48およびクランプ部材50が新品状態の場合に、スピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるときの、ピストン48をクランプ方向に押す力F
0は、以下の式(2)で表すことができる。また、n回目の診断モードを実行した場合に、スピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるときの、ピストン48をクランプ方向に押す力F
nは、以下の式(3)で表すことができる。また、n回目の診断モードの実行時の摩耗量ΔW
nと、押す力F
0、F
nとは、以下の式(4)で表すことができる。
【0042】
この式(2)〜式(4)を用いて、上述した式(1)を導き出すことができる。
【0043】
残寿命算出部74は、摩耗量算出部72が算出した摩耗量ΔW
nに基づいて、ピストン48およびクランプ部材50の摩耗量ΔW
nが予め決められた最大摩耗量ΔW
maxとなるまでの残寿命LT
nを算出する。この最大摩耗量ΔW
maxは記憶媒体62に記憶されている。
【0044】
残寿命算出部74は、摩耗量算出部72が過去(j回前)に算出した摩耗量ΔW
n-jおよび今回算出した摩耗量ΔW
nと、摩耗量算出部72が過去に摩耗量ΔW
n-jを算出したタイミングT
n-jから今回摩耗量ΔW
nを算出したタイミングT
nまでの時間間隔と、最大摩耗量ΔW
maxとに基づいて、残寿命LT
nを算出する。なお、残寿命LT
nは、今回の診断モード(n回目の診断モード)の実行により算出される残寿命を示す。
【0045】
具体的には、残寿命算出部74は、以下に示す式(5)に基づいて、残寿命LT
nを算出する。ただし、式(5)においては、nは2以上の整数、jは1以上且つn未満の整数とする。
【0047】
表示制御部76は、残寿命算出部74が算出した残寿命LT
nを表示部64に表示させる。なお、表示制御部76は、残寿命LT
nに代えて、摩耗量算出部72が算出した摩耗量ΔW
nと、最大摩耗量ΔW
maxとを表示させてもよい。現在の摩耗量ΔW
nと最大摩耗量ΔW
maxとがわかれば、オペレータはピストン48およびクランプ部材50の残寿命LT
nをある程度認識することができるからである。また、表示制御部76は、単に、摩耗量算出部72が算出した摩耗量ΔW
nを表示部64に表示させてもよい。これにより、どのくらい摩耗したかをオペレータは認識することができる。
【0048】
次に、診断モードの実行動作を
図6のフローチャートにしたがって説明する。なお、
図6に示す動作は、オペレータによる入力部60の操作によって診断モードが設定されると実行される。診断モードの実行中は、圧力検出部18および負荷検出部20は、所定の周期で圧力Vおよび負荷トルクτを検出しているものとする。
【0049】
ステップS1で、駆動制御部70は、アンクランプ指令をクランプ機構駆動部14に出力する。クランプ機構駆動部14は、アンクランプ指令を受信すると、所定圧力Vsの作動流体をアンクランプ用流体室54bに供給する。これにより、ブレーキディスク40がアンクランプされる。
【0050】
次いで、ステップS2で、駆動制御部70は、回転指令をモータ駆動部16に出力する。モータ駆動部16は、回転指令を受信すると、一定の回転速度でモータ38が回転するようにモータ38を駆動させる。
【0051】
次いで、ステップS3で、摩耗量算出部72は、負荷検出部20が検出した負荷トルクτから基準負荷トルクτsを算出する。基準負荷トルクτsを算出するタイミング時では、ブレーキディスク40は完全にアンクランプされている状態となっている。
【0052】
次いで、ステップS4で、駆動制御部70は、クランプ機構駆動部14を制御することで、アンクランプ用流体室54bに供給される作動流体の圧力Vを徐々に低下させていく。
【0053】
次いで、ステップS5で、摩耗量算出部72は、負荷検出部20が直近に検出した負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えたか否かを判断する。直近に検出した負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えたと判断されるまでステップS4に戻り、直近に検出した負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えたと判断されると、ステップS6に進む。
【0054】
ステップS6に進むと、摩耗量算出部72は、現在の作動流体の圧力V
n、つまり、圧力検出部18によって直近に検出された作動流体の圧力V
nを用いて、摩耗量ΔW
nを算出する。摩耗量算出部72は、式(1)を用いて、摩耗量ΔW
nを算出する。
【0055】
次いで、ステップS7で、残寿命算出部74は、ステップS6で算出された摩耗量ΔW
nを用いて、残寿命LT
nを算出する。残寿命算出部74は、式(5)を用いて算出する。
【0056】
次いで、ステップS8で、表示制御部76は、ステップS7で算出された残寿命LT
nを表示部64に表示する。なお、表示制御部76は、ステップS6で算出された摩耗量ΔW
nと最大摩耗量ΔW
maxとを表示部64に表示してもよいし、単に、ステップS6で算出された摩耗量ΔW
nを表示部64に表示させてもよい。なお、残寿命LT
nを算出しない場合は、ステップS7の動作は不要となる。
【0057】
[変形例]
上記実施の形態は、以下のように変形可能である。
【0058】
<変形例1>
上記実施の形態では、診断モードが実行されると、モータ38を一定の回転速度で回転させた状態で、アンクランプ用流体室54bに供給する作動流体の圧力Vを徐々に低下させていったが、作動流体の圧力Vの低下とモータ38との回転とを、負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるまで、交互に繰り返してもよい。例えば、作動流体の圧力Vを一定圧だけ低下させた後、モータ38を一定の回転速度で回転させ、スピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えていない場合は、一旦モータ38の回転を停止させる。そして、作動流体の圧力Vを一定圧だけさらに低下させ、再び、モータ38を一定の回転速度で回転させる、といった動作を、スピンドル30の負荷トルクτが基準負荷トルクτsを超えるまで行ってもよい。
【0059】
<変形例2>
上記実施の形態および変形例1では、モータ38のロータ38bにスピンドル30を取り付けたが、モータ38のロータ38bに取り付けられた出力軸にスピンドル30を設けてもよい。この場合は、負荷検出部20は、モータ38の出力軸の負荷トルクτを検出してもよい。また、上記実施の形態では、ダイレクトドライブ機構の回転テーブル12を用いて説明したが、減速機構を介してモータ38の出力軸とスピンドル30とが接続された回転テーブルであってもよい。
【0060】
〔実施の形態から得られる技術的思想〕
上記実施の形態および変形例1、2から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0061】
<第1の技術的思想>
回転テーブル装置(10)は、クランプ機構(12a)を備える。クランプ機構(12a)は、加工対象物を回転させるスピンドル(30)と一体的に回転するブレーキディスク(40)と、ブレーキディスク(40)をクランプする方向およびアンクランプする方向に移動可能なピストン(48)と、ブレーキディスク(40)を、クランプする方向に移動したピストン(48)との間で挟み込むクランプ部材(50)と、弾性変形の復帰力によってピストン(48)をクランプする方向に付勢する付勢部材(52)と、を有する。回転テーブル装置(10)は、クランプ機構駆動部(14)、モータ駆動部(16)、圧力検出部(18)、負荷検出部(20)、駆動制御部(70)、および、摩耗量算出部(72)を備える。クランプ機構駆動部(14)は、ブレーキディスク(40)をクランプする場合は作動流体をクランプ用流体室(54a)に供給してピストン(48)をクランプする方向に移動させ、ブレーキディスク(40)をアンクランプする場合は、作動流体をアンクランプ用流体室(54b)に供給してピストン(48)をアンクランプする方向に移動させるとともに、供給する作動流体の圧力(V)を変化させる。モータ駆動部(16)は、スピンドル(30)を回転させるモータ(38)を駆動する。圧力検出部(18)は、作動流体の圧力(V)を検出する。負荷検出部(20)は、スピンドル(30)の負荷トルク(τ)を検出する。駆動制御部(70)は、クランプ機構駆動部(14)を制御して、ブレーキディスク(40)をアンクランプさせた後、アンクランプ用流体室(54b)に供給する作動流体の圧力(V)を低下させていくとともに、モータ駆動部(16)を制御してモータ(38)を回転させる。摩耗量算出部(72)は、スピンドル(30)の負荷トルク(τ)が基準負荷トルク(τs)を超えたときの作動流体の圧力(V
n)と基準圧力(V
0)とに基づいて、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を算出する。
【0062】
これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を簡単に算出することができる。
【0063】
基準負荷トルク(τs)は、予め決められた所定圧力(Vs)の作動流体でブレーキディスク(40)をアンクランプさせてモータ(38)を回転させたときのスピンドル(30)の負荷トルク(τ
0)に所定トルク(α)を加算したトルクであってもよい。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を簡単に算出することができる。
【0064】
基準圧力(V
0)は、ピストン(48)およびクランプ部材(50)に摩耗がない状態で、ブレーキディスク(40)をアンクランプさせた後、アンクランプ用流体室(54b)に供給する作動流体の圧力(V)を低下させていくとともに、モータ(38)を回転させたときに、スピンドル(30)の負荷トルク(τ)が基準負荷トルク(τs)を超えるときの作動流体の圧力(V)であってもよい。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を簡単に算出することができる。
【0065】
摩耗量算出部(72)は、上記した式(1)を用いて、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を算出してもよい。ただし、Sはアンクランプ用流体室(54b)の有効面積、kは付勢部材(52)の弾性係数を示し、nは1以上の整数とする。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を簡単に算出することができる。
【0066】
回転テーブル装置(10)は、摩耗量算出部(72)が算出した摩耗量(ΔW
n)に基づいて、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)が予め決められた最大摩耗量(ΔW
max)となるまでの残寿命(LT
n)を算出する残寿命算出部(74)を備えてもよい。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の残寿命(LT
n)を簡単に算出することができる。
【0067】
残寿命算出部(74)は、摩耗量算出部(72)が過去(j回前)に算出した摩耗量(ΔW
n-j)および今回算出した摩耗量(ΔW
n)と、摩耗量算出部(72)が過去(j回前)に摩耗量(ΔW
n-j)を算出したタイミング(T
n-j)から今回摩耗量(ΔW
n)を算出したタイミング(T
n)までの時間間隔と、最大摩耗量(ΔW
max)とに基づいて、残寿命(LT
n)を算出してもよい。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の残寿命(LT
n)を簡単に算出することができる。
【0068】
残寿命算出部(74)は、上記した式(5)を用いて、残寿命(LT
n)を算出してもよい。ただし、nは2以上の整数とし、jは1以上且つn未満の整数とする。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の残寿命(LT
n)を簡単に算出することができる。
【0069】
<第2の技術的思想>
回転テーブル装置(10)に設けられたクランプ機構(12a)は、加工対象物を回転させるスピンドル(30)と一体的に回転するブレーキディスク(40)と、ブレーキディスク(40)をクランプする方向およびアンクランプする方向に移動可能なピストン(48)と、ブレーキディスク(40)を、クランプする方向に移動したピストン(48)との間で挟み込むクランプ部材(50)と、弾性変形の復帰力によってピストン(48)をクランプする方向に付勢する付勢部材(52)と、を有する。回転テーブル装置(10)は、ブレーキディスク(40)をクランプする場合は作動流体をクランプ用流体室(54a)に供給してピストン(48)をクランプする方向に移動させ、ブレーキディスク(40)をアンクランプする場合は、作動流体をアンクランプ用流体室(54b)に供給してピストン(48)をアンクランプする方向に移動させるとともに、供給する作動流体の圧力(V)を変化させるクランプ機構駆動部(14)と、スピンドル(30)を回転させるモータ(38)を駆動するモータ駆動部(16)と、を備える。このような回転テーブル装置(10)の制御方法は、作動流体の圧力(V)を検出する圧力検出ステップと、スピンドル(30)の負荷トルク(τ)を検出する負荷検出ステップと、クランプ機構駆動部(14)を制御して、ブレーキディスク(40)をアンクランプさせた後、アンクランプ用流体室(54b)に供給する作動流体の圧力(V)を低下させていくとともに、モータ駆動部(16)を制御してモータ(38)を回転させる駆動制御ステップと、スピンドル(30)の負荷トルク(τ)が基準負荷トルク(τs)を超えたときの作動流体の圧力(V
n)と基準圧力(V
0)とに基づいて、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を算出する摩耗量算出ステップと、を含む。
【0070】
これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を簡単に算出することができる。
【0071】
基準負荷トルク(τs)は、予め決められた所定圧力(Vs)の作動流体でブレーキディスク(40)をアンクランプさせてモータ(38)を回転させたときのスピンドル(30)の負荷トルク(τ
0)に所定トルク(α)を加算したトルクであってもよい。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を簡単に算出することができる。
【0072】
基準圧力(V
0)は、ピストン(48)およびクランプ部材(50)に摩耗がない状態で、ブレーキディスク(40)をアンクランプさせた後、アンクランプ用流体室(54b)に供給する作動流体の圧力(V)を低下させていくとともに、モータ(38)を回転させたときに、スピンドル(30)の負荷トルク(τ)が基準負荷トルク(τs)を超えるときの作動流体の圧力(V)であってもよい。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を簡単に算出することができる。
【0073】
摩耗量算出ステップは、上記した式(1)を用いて、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を算出してもよい。ただし、Sはアンクランプ用流体室(54b)の有効面積、kは付勢部材(52)の弾性係数を示し、nは1以上の整数とする。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)を簡単に算出することができる。
【0074】
回転テーブル装置(10)の制御方法は、摩耗量算出ステップが算出した摩耗量(ΔW
n)に基づいて、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の摩耗量(ΔW
n)が予め決められた最大摩耗量(ΔW
max)となるまでの残寿命(LT
n)を算出する残寿命算出ステップを含んでもよい。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の残寿命(LT
n)を簡単に算出することができる。
【0075】
残寿命算出ステップは、摩耗量算出ステップが過去(j回前)に算出した摩耗量(ΔW
n-j)および今回算出した摩耗量(ΔW
n)と、摩耗量算出ステップが過去(j回前)に摩耗量(ΔW
n-j)を算出したタイミング(T
n-j)から今回摩耗量(ΔW
n)を算出したタイミング(T
n)までの時間間隔と、最大摩耗量(ΔW
max)とに基づいて、残寿命(LT
n)を算出してもよい。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の残寿命(LT
n)を簡単に算出することができる。
【0076】
残寿命算出ステップは、上記した式(5)を用いて、残寿命(LT
n)を算出してもよい。ただし、nは2以上の整数とし、jは1以上且つn未満の整数とする。これにより、ピストン(48)およびクランプ部材(50)の残寿命(LT
n)を簡単に算出することができる。