特許第6546239号(P6546239)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546239
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】電子装置
(51)【国際特許分類】
   H05K 7/20 20060101AFI20190705BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   H05K7/20 B
   H01L23/36 Z
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-194766(P2017-194766)
(22)【出願日】2017年10月5日
(65)【公開番号】特開2019-68008(P2019-68008A)
(43)【公開日】2019年4月25日
【審査請求日】2018年12月21日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【弁理士】
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100149261
【弁理士】
【氏名又は名称】大内 秀治
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【弁理士】
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【弁理士】
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 亨祐
(74)【代理人】
【識別番号】100169225
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 明
(72)【発明者】
【氏名】大内 純一
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−103750(JP,A)
【文献】 実開昭59−155421(JP,U)
【文献】 特開平08−186388(JP,A)
【文献】 実開平01−163426(JP,U)
【文献】 特開2010−093129(JP,A)
【文献】 特開2016−004891(JP,A)
【文献】 実開平04−134390(JP,U)
【文献】 特開2006−344687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 7/20
H01L 23/36
B23Q 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートシンクを有する電子装置であって、
前記ヒートシンクは、
平板状のベースと、
前記ベースの一面から突出して設けられ、前記電子装置を機器に装着した状態で、略重力方向に延びるフィンと、
を有し、
前記フィンは、前記フィンの重力方向の下面に設けられ、前記ベースに近づくほど重力方向下側となるように傾斜する第1傾斜部を備え、
前記ベースは、前記ベースの重力方向の下面に設けられ、前記ベースを前記フィンが設けられる側から前記ベースを見たときに、水平方向に対し傾斜する第2傾斜部を備える、電子装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子装置であって、
前記ベースを前記フィンが設けられる側から見たときに、前記第2傾斜部の重力方向の下端部は、水平方向の両端に設けられる、電子装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子装置であって、
前記電子装置のハウジングは、前記第2傾斜部の重力方向の下端部に当接するとともに、略重力方向下側に延びて形成される排出機構を備える、電子装置。
【請求項4】
請求項3に記載の電子装置であって、
前記排出機構は、前記排出機構の重力方向の下端部に、略重力方向下側に向かって突出する突起部を備える、電子装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の電子装置であって、
前記排出機構は、前記排出機構の重力方向の下端部に、略重力方向下側に向かって開口する開口孔を備える、電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートシンクを有する電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、背面に放熱フィンが設けられた液晶表示デバイスが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−034865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の液晶表示デバイスを工作機械等に設置した場合、切削液等の液体が放熱フィンに付着することがある。放熱フィンの下方に電子部品等がある場合、放熱フィンに付着した液体が電子部品等に滴下し、電子部品等の故障の原因となる問題があった。
【0005】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、フィンに付着した液体を特定の箇所に滴下させることができる電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様は、ヒートシンクを有する電子装置であって、前記ヒートシンクは、平板状のベースと、前記ベースの一面から突出して設けられ、前記電子装置を機器に装着した状態で、略重力方向に延びるフィンと、を有し、前記フィンは、前記フィンの重力方向の下面に設けられ、前記ベースに近づくほど重力方向下側となるように傾斜する第1傾斜部を備え、前記ベースは、前記ベースの重力方向の下面に設けられ、前記ベースを前記フィンが設けられる側から前記ベースを見たときに、水平方向に対し傾斜する第2傾斜部を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィンに付着した液体を特定の箇所に滴下させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】表示装置の模式背面図である。
図2】表示装置の模式側面図である。
図3】ヒートシンクの部分斜視図である。
図4】ハウジングの排出機構付近の部分斜視図である。
図5】ハウジングの排出機構付近の部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔第1の実施の形態〕
[表示装置の構成]
図1は表示装置10の模式背面図である。図2は表示装置10の模式側面図である。図2は表示装置10が機器12に取り付けられている状態を示している。表示装置10が工作機械等の機器12に取り付けられた状態で、図1および図2の下側が重力方向下側を示す。
【0010】
表示装置10は、タッチパネルディスプレイ14、電子基板16、ハウジング18およびヒートシンク20を有している。タッチパネルディスプレイ14は、タッチパネルディスプレイ14の表示画面である液晶表示パネルと、液晶パネルに貼着された透明なシート状のタッチパネルとを有している。タッチパネルディスプレイ14の背面には、タッチパネルディスプレイ14を制御する電子部品等が搭載された電子基板16が設けられている。電子基板16の背面には、電子基板16上の電子部品等を冷却するためのヒートシンク20が設けられている。
【0011】
ハウジング18は、樹脂等を材料として射出成形により形成されている。ハウジング18は、電子基板16およびヒートシンク20を保持した状態で、タッチパネルディスプレイ14の背面に固定される。なお、本実施の形態の表示装置10の冷却装置はファンレスであって、本実施の形態のヒートシンク20の大きさは、ファンを有する冷却装置のヒートシンクと比較して、大型のものが用いられている。
【0012】
表示装置10は、機器12の外装カバー22にネジ24によって固定される。表示装置10が機器12に取り付けられた状態で、表示装置10の背面側は外装カバー22内に収容されている。なお、表示装置10は、電子装置26を構成している。
【0013】
[ヒートシンクの構造]
図3は、ヒートシンク20の部分斜視図である。図1図3を用いてヒートシンク20の構造について説明する。
【0014】
ヒートシンク20は、アルミニウム等の伝熱特性の良い材料により、押出成形および切削加工により形成されている。ヒートシンク20は、ベース28およびフィン30から構成されている。ベース28は、平板状の部材であって、ベース28の電子基板16側の側面は、電子基板16上の発熱量の大きい電子部品に近接している。ベース28の電子基板16と対向する側の面と反対側の面には、面から突出するフィン30が形成されている。フィン30は略重力方向に延びる板状に形成されており、水平方向に多数のフィン30が略平行して並ぶように形成されている。なお、フィン30は、重力方向に対して傾斜して延びるように形成されていてもよい。
【0015】
フィン30の重力方向の下面は、ベース28に近づくほど重力方向下側となるように傾斜して形成されている第1傾斜部32を有している。フィン30の重力方向の下面であって、フィン30の根元部は、ベース28の重力方向の下面と連続した面となるように形成されている。
【0016】
ベース28の重力方向の下面は、ベース28をフィン30が設けられている側から見たときに、水平方向に延びる水平面部34と、ベース28の外側に向かうほど重力方向下側となるように、水平方向に対して傾斜して形成されている第2傾斜部36とを有している。ベース28をフィン30が設けられている側から見たときに、第2傾斜部36は、水平面部34を挟んで両側に設けられている。なお、ベース28の重力方向の下面は、ベース28をフィン30が設けられている側から見たときに、水平方向に対して傾斜する第2傾斜部36を有する形状であれば、その形状は適宜変更してもよい。
【0017】
ヒートシンク20の重力方向下側には、電子基板16に搭載された電子部品であるコネクタ38が位置している。ベース28をフィン30が設けられている側から見たときに、第2傾斜部36は、第2傾斜部36のベース28の外側の端部に、略重力方向下側に突出する下端部40を有している。なお、ベース28をフィン30が設けられている側から見たときに、下端部40を重力方向下側に突出する形状とせずに、下端部40を第2傾斜部36のベース28内側部分の面と連続する面として形成としてもよい。
【0018】
[排出機構]
図4は、ハウジング18の排出機構42付近の部分斜視図である。排出機構42は、当接部44、誘導部46および突起部48を有している。
【0019】
当接部44は、ヒートシンク20のベース28に形成された下端部40よりも重力方向下側に形成されている。当接部44は、下端部40の重力方向の下面と当接している。
【0020】
誘導部46は、当接部44よりも重力方向下側であって、当接部44に連続して形成されている。誘導部46は、重力方向下側に延びて形成されるとともに、ハウジング18をヒートシンク20側から見たときに、誘導部46の重力方向下側の端部は、ハウジング18の内側に屈曲するように形成されている。突起部48は、誘導部46の重力方向の下面から略重力方向下側に突出して形成されている。突起部48は、円柱形状に形成されている。なお、突起部48が延びる方向は、重力方向に対して傾斜していてもよい。また、突起部48の形状は円柱状に限らず、四角柱状に形成してもよい。
【0021】
[切削液の流れについて]
図示しないワークを機器12により加工する際には、切削液が使用されることがある。切削液は、噴霧状となって周囲に飛散し、その一部は、機器12の内部に侵入する。ヒートシンク20の付近は、噴霧状の切削液を含んだ空気が多く流れるため、切削液がベース28やフィン30の表面に付着して液滴化しやすくなる。
【0022】
ベース28の表面に付着し液滴化した切削液は、ベース28の表面を伝って、ベース28の重力方向の下面に移動する。また、フィン30の表面に付着し液滴化した切削液は、フィン30の表面を伝って重力方向下側に移動する。フィン30の重力方向の下面に到達した切削液は、第1傾斜部32の表面を伝ってベース28の重力方向の下面に移動する。
【0023】
ベース28の重力方向の下面に到達した切削液は、第2傾斜部36の表面を伝って下端部40に移動する。下端部40に到達した切削液は、ハウジング18の当接部44に移動し、当接部44の表面を伝って誘導部46に移動する。誘導部46に到達した切削液は、誘導部46の表面を伝って突起部48に移動する。突起部48の先端にある程度切削液が溜まると、突起部48の先端から重力方向下側に切削液が滴下する。
【0024】
つまり、フィン30に付着した切削液は、最終的に突起部48まで移動し、突起部48から滴下する。これにより、突起部48の重力方向下側を除く部分に、切削液が滴下することを抑制することができ、特定の箇所に切削液を滴下させることができる。
【0025】
[作用効果]
前述のように、ヒートシンク20のフィン30の表面には切削液が付着しやすい。フィン30に付着した切削液が、ヒートシンク20の重力方向下側に滴下すると、ヒートシンク20の重力方向下側に位置するコネクタ38に切削液が付着するおそれがある。また、機器12の外装カバー22内であって、ヒートシンク20の重力方向下側に、図示しない電子部品が位置する場合には、その電子部品に切削液が付着するおそれがある。コネクタ38や電子部品の腐食や短絡を抑制するために、コネクタ38や電子部品への切削液の付着を抑制する必要がある。
【0026】
また、前述のように本実施の形態の冷却装置はファンレスであるため、ヒートシンク20の大きさは、ファンを有する冷却装置のヒートシンクと比較して、大型のものが用いられている。そのため、ヒートシンク20の重力方向下側に該当する範囲が広くなり、コネクタ38や電子部品等をヒートシンク20の重力方向下側を避けて配置することが困難であった。
【0027】
そこで、本実施の形態では、フィン30は、フィン30の重力方向の下面に設けられ、フィン30の先端側よりもベース28側が重力方向下側となるように傾斜する第1傾斜部32を備える。さらに、ベース28は、ベース28の重力方向の下面に設けられ、ベース28をフィン30が設けられる側からベース28を見たときに、水平方向に対し傾斜する第2傾斜部36を備える。
【0028】
これにより、フィン30に付着した切削液を、第1傾斜部32に沿ってベース28の重力方向の下面に移動させることができ、さらに、第2傾斜部36に沿って第2傾斜部36の重力方向の下端部40に集めることができる。よって、切削液がヒートシンク20から滴下する位置を、特定の箇所とすることができ、このヒートシンク20の特定の箇所の重力方向下側部分を避けてコネクタ38や電子部品を配置することで、コネクタ38や電子部品への切削液の付着を抑制することができる。
【0029】
また、本実施の形態では、ベース28をフィン30が設けられる側から見たときに、第2傾斜部36の重力方向の下端部40は、水平方向の両端に備えられる。これにより、電子基板16をヒートシンク20が設けられる側から見たときに、水平方向の中央部分にコネクタ38やその他の電子部品をまとめて配置することができ、電子基板16の設計自由度を高めることができる。
【0030】
また、本実施の形態では、ハウジング18は、第2傾斜部36の重力方向の下端部40に当接するとともに、略重力方向下側に延びて形成される排出機構42を備える。排出機構42の当接部44により、切削液をヒートシンク20からハウジング18に移動させることができ、当接部44に移動した切削液は、誘導部46を伝って移動することができる。
【0031】
ヒートシンク20の材料はアルミニウム等であり、押出成形および切削加工により形成されている。一方、ハウジング18の材料は樹脂等であり、射出成形により形成されている。そのため、ヒートシンク20に比べて、ハウジング18の方が複雑な形状に形成しやすい。よって、切削液を特定の箇所に誘導させるための構造を形成する際のコストを抑制することができる。
【0032】
また、本実施の形態では、ハウジング18の排出機構42は、排出機構42の誘導部46の重力方向の下端部に、略重力方向下側に向かって突出する突起部48を備える。面積が比較的狭い突起部48の先端に切削液を集めることができ、切削液を突起部48との表面張力に抗して滴下しやすくすることができる。
【0033】
〔第2の実施の形態〕
第2の実施の形態は、排出機構42が、第1の実施の形態の排出機構42と一部構造が異なる。他の部分の構造については、第2の実施の形態と第1の実施の形態とは同一である。
【0034】
[切削液排出構造]
図5は、ハウジング18の排出機構42付近の部分斜視図である。なお、図5では、排出機構42の構造が見えるようにするために、電子基板16は記載していない。排出機構42は、当接部44、誘導部46および排出孔50を有している。
【0035】
当接部44は、ヒートシンク20のベース28に形成された下端部40よりも重力方向下側に形成されている。当接部44は、ハウジング18のタッチパネルディスプレイ14側の底部52であって、ヒートシンク20側の面から突出して形成されている。当接部44は、円柱状に形成されている。当接部44のヒートシンク20側の先端部が、下端部40の重力方向の下面と当接している。
【0036】
誘導部46は、ハウジング18の底部52の一部として構成されており、当接部44の根元部よりも重力方向下側に設けられている。誘導部46は、当接部44と連続して形成されており、重力方向下側に延びて形成されている。排出孔50は、誘導部46の重力方向下側であって、誘導部46に立設された壁部54に形成されている。排出孔50は、壁部54を略重力方向に貫通する孔であって、略重力方向下側に向かって開口して形成されている。なお、排出孔50は、開口孔56を構成している。なお、排出孔50は、重力方向に対して傾斜して貫通する孔として形成されていてもよい。また、排出孔50の開口する方向が、重力方向に対して斜めに形成されていてもよい。
【0037】
[切削液の流れについて]
ベース28の下端部40に到達した切削液は、ハウジング18の当接部44に移動し、当接部44の表面を伝って誘導部46に移動する。誘導部46に到達した切削液は、誘導部46の表面を伝って壁部54に移動する。ハウジング18の壁部54にある程度切削液が溜まると、排出孔50から重力方向下側に切削液が滴下する。
【0038】
つまり、フィン30に付着した切削液は、最終的に排出孔50まで移動し、排出孔50から滴下する。これにより、排出孔50の重力方向下側を除く部分に、切削液が滴下することを抑制することができ、特定の箇所に切削液を滴下させることができる。
【0039】
[作用効果]
本実施の形態では、ハウジング18は、誘導部46の重力方向の下端部40に、重力方向下側に向かって開口する排出孔50を備える。切削液が滴下する箇所を、排出孔50の重力方向下側のみとすることができ、この箇所を除く位置にコネクタ38や電子部品を配置することにより、コネクタ38や電子部品への切削液の付着を抑制することができる。
【0040】
〔変形例1〕
第1の実施の形態および第2の実施の形態の表示装置10の冷却装置はファンレスであるが、冷却装置がファンを有するものであっても、ヒートシンクのフィンに切削液が付着するおそれがある。そのため、ファンを有する冷却装置を搭載する表示装置に対しても、第1の実施の形態や第2の実施の形態と同様の構成としてもよい。これにより、切削液がヒートシンクから滴下する位置を、特定の箇所とすることができ、このヒートシンクの特定の箇所の重力方向下側部分を避けて電子部品等を配置することで、電子部品等への切削液の付着を抑制することができる。
【0041】
〔変形例2〕
第1の実施の形態の表示装置10では、突起部48は、誘導部46の重力方向の下面から重力方向下側に突出して形成されている。これに対して、突起部48を誘導部46の側面から重力方向に対して横方向に突出して形成するようにしてもよい。
【0042】
〔変形例3〕
第2の実施の形態の表示装置10では、排出孔50は、壁部54を略重力方向に貫通する孔であって、略重力方向下側に向かって開口して形成されている。これに対して、排出孔50を、誘導部46に立設された側壁部を重力方向に対して横方向に貫通する孔として形成するようにしてもよい。
【0043】
〔実施の形態から得られる技術的思想〕
上記実施の形態から把握しうる技術的思想について、以下に記載する。
【0044】
ヒートシンク(20)を有する電子装置(26)であって、前記ヒートシンク(20)は、平板状のベース(28)と、前記ベース(28)の一面から突出して設けられ、前記電子装置(26)を機器(12)に装着した状態で、略重力方向に延びるフィン(30)と、を有し、前記フィン(30)は、前記フィン(30)の重力方向の下面に設けられ、前記ベース(28)に近づくほど重力方向下側となるように傾斜する第1傾斜部(32)を備え、前記ベース(28)は、前記ベース(28)の重力方向の下面に設けられ、前記ベース(28)を前記フィン(30)が設けられる側から前記ベース(28)を見たときに、水平方向に対し傾斜する第2傾斜部(36)を備える。これにより、切削液がヒートシンク(20)から滴下する位置を、特定の箇所とすることができる。
【0045】
上記の電子装置(26)であって、前記ベース(28)を前記フィン(30)が設けられる側から見たときに、前記第2傾斜部(36)の重力方向の下端部(40)は、水平方向の両端に設けられてもよい。これにより、電子基板(16)をヒートシンク(20)が設けられる側から見たときに、水平方向の中央部分にコネクタ(38)やその他の電子部品をまとめて配置することができ、電子基板(16)の設計自由度を高めることができる。
【0046】
上記の電子装置(26)であって、前記電子装置(26)のハウジング(18)は、前記第2傾斜部(36)の重力方向の下端部(40)に当接するとともに、略重力方向下側に延びて形成される排出機構(42)を備えてもよい。これにより、切削液を特定の箇所に誘導させるための構造を形成する際のコストを抑制することができる。
【0047】
上記の電子装置(26)であって、前記排出機構(42)は、前記排出機構(42)の重力方向の下端部に、略重力方向下側に向かって突出する突起部(48)を備えてもよい。これにより、面積が比較的狭い突起部(48)の先端に切削液を集めることができ、切削液を突起部(48)との表面張力に抗して滴下しやすくすることができる。
【0048】
上記の電子装置(26)であって、前記排出機構(42)は、前記排出機構(42)の重力方向の下端部に、略重力方向下側に向かって開口する開口孔(56)を備えてもよい。これにより、切削液が滴下する箇所を、排出孔(50)の重力方向下側のみとすることができ、この箇所を除く位置に電子部品を配置することにより、電子部品への切削液の付着を抑制することができる。
【符号の説明】
【0049】
12…機器 18…ハウジング
20…ヒートシンク 26…電子装置
28…ベース 30…フィン
32…第1傾斜部 36…第2傾斜部
40…下端部 42…排出機構
48…突起部 56…開口孔
図1
図2
図3
図4
図5