【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題は、請求項1の特徴を有する真空シールによって、特に、金属体に、非金属材料から成るシェルが配置されていること、により、冒頭で述べた形式の真空シールを発展せることによって、解決される。
【0008】
本発明の根底にある思想は、その表面粗さがリークを生じさせる金属体から成るシールのシール作用が、金属体に非金属材料から成るシェルを備えさせることによって改善されることである。この場合、非金属材料は、特に、改善されたシールを生じさせるために、この非金属材料が、金属体の表面粗さを補償するかもしくは少なくともある程度まで補償するように形成することができる。
【0009】
特に、本発明による真空シールは、特に低い最終圧力、特に10
−10mba未満の最終圧力が必要とされる真空適用と関係して使用することができる。
【0010】
シール面もしくはフランジの切れ刃は、必要とされないが、オプションで設けることができる。これにより、シール面もしくはフランジの製造は、単純化され、さらには安価にされ得る。
【0011】
単なる金属シールに比べて本発明による真空シールにおいて有利であるのは、特に、CFフランジの使用時に、確実なシールを達成するために必要なボルト継手の静摩擦トルクがそれほど重要でないことである。
【0012】
従来技術から周知のCFフランジは、通常は特殊鋼から成り、金属シールは、通常は銅から成る。従って、このようなフランジ−シールの組合せは比較的高価である。本発明による真空シールの別の利点は、その金属体が、例えばアルミニウムのような好適な材料から形成できること、及び、本発明による真空シールが、また、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金から成るフランジと組み合わせて使用可能であること、にある。フランジだけでなく、フランジを備える真空装置のハウジングも、アルミニウム又はアルミニウム合金から形成されていることも考えられる。これにより、特殊鋼からの形成に対してコストは削減することができる。加えて、アルミニウムの重量が僅かであることに基づいて、重量低減を達成することができる。
【0013】
ここでは、“真空シール”との概念のために、単に短縮形“シール”だけも使用される。
【0014】
“シェル”との概念は、広く理解すべきである。シェルは、特に、少なくとも金属体の表面の一部上に配置された非金属材料の層等であるとも理解すべきである。
【0015】
以下でフランジが話題となる場合は、一般に、それを、フランジによって又はフランジに形成されている必要のない基本的に任意のシール面であるとも理解すべきであり得る。
【0016】
好ましくは、金属体は、例えばC字形又はV字形の、バネ弾性を有するシール要素の形式又はフラットシールの形式で形成されている。金属体は、その形状については、特に従来技術から周知の金属シールのように形成することができる。したがって、金属体は、周知の製造方法により製作することができる。バネ弾性を有するシール要素は、シールパートナーの寸法公差及び形状公差を良好に補償できるとの利点を有する。
【0017】
金属体は、アルミニウム又は特に焼鈍しされた銅を備えるか、それから成ることができる。例えばEN AW 1050a H111又はEN AW 6082のようなアルミニウム、アルミニウム合金又は銅の使用により、本発明による真空シールの金属体が、稠密な組織を、これにより高い気密性を備えることを保証することができる。従って、金属体を経るガス拡散は、排除することができる。焼鈍しされた銅は、特殊鋼又はアルミニウムよりも低い硬さを備えるので、焼鈍しされた銅から成るコアを有する本発明によるシールは、例えば、特に切れ刃を備える、特殊鋼、アルミニウム又はアルミニウム合金から成るフランジと組み合わせて使用可能である。
【0018】
好ましくは、シェルは、エラストマー又は少なくとも実質的にガスを放出しない他のプラスチックを有するか、シェルは、エラストマー又はガスを放出しないプラスチックから成る。
【0019】
エラストマーは、好ましくは、PTFEであるか、PTFEをベースとする材料、例えばPFA,TFM又はFEPである。
【0020】
エラストマーは、少なくとも1つの充填物を備えることもできる。これにより、充填物に応じて例えばシールの拡散特性及び/又は電気特性を改善又は変更することができる。
【0021】
PTFEは、ポリテトラフルオロエチレンの略である。PTFEは、シェル材料として使用するために特によく適している。何故なら、それは、せいぜい極僅かにしかガスを放出せず、これによりそれ自身既にUHV範囲内での適用のために適しているからである。シェルの厚さが十分に小さく選択されている場合、PTFEシェルを経るガスの透過ももはや重要でない。加えて、PTFEは、比較的軟質の材料であるので、PTFEは、金属体の表面構造の粗さを補償することができる。
【0022】
シェルは、コーティングの形式で金属体上に形成することができる。従って、シェルは、製造技術的に単純に金属体の表面上に形成することができる。
【0023】
シェルは、母材融合式の例えば積層のような接合方法によって金属体上に形成することができる。これにより、金属体に対するシェルの製造技術的に単純な形成を実現することができる。
【0024】
シェルは、しっかりと金属体と接続することはできない。シェルは、例えば、金属体の上に被せられた成形要素である。
【0025】
シェルは、金属体の表面を完全に又は部分的にだけ包囲することができる。金属体の完全な被覆は、製造技術的に単純に達成することができる。部分的だけの被覆の場合、シェルは、好ましくは少なくとも、フランジに相対する金属体の表面領域にわたって延在する。従って、フランジは、シェルと当接することはできるが、金属体とは直接的に当接することはできないので、シェルによって良好なシールを生じさせることができる。
【0026】
シェルは、好ましくは全面的に金属体の周方向に沿って延在する。従って、シェルは、金属体上に少なくとも1つのリング状に閉じた物体を構成する。
【0027】
シェルの厚さは、好ましくは少なくとも金属体の表目粗さに一致する。模範的な値として、ここでは、4μmが、表面粗さのための寸法として挙げられる。
【0028】
コーティングによって生じたシェルの厚さは、例えば、5μm〜100μm、好ましくは20μm〜50μm、更に好ましくは25μm〜40μmの範囲内にあり得る。積層によって形成されたシェルの厚さは、例えば0.1mm〜0.2mmの範囲内にあり得る。好ましくは、シェルの厚さは、0.2mmよりも小さく、好ましくは0.15mmよりも小さく、更に好ましくは0.1mmよりも小さい。記載した範囲指定の場合、それぞれの上限もしくは下限が範囲に属している。
【0029】
本発明の好ましい形成によれば、金属体が、2つの表面側を有し、シールが、規定通り両シール面もしくはフランジの間に配置もしくは挿入されている時に、表面側の一方が、一方のシール面、特に一方のフランジ、特にレシピエントの出口フランジに面し、表面側の他方が、他方のシール面、特に他方のフランジ、特に真空ポンプの入口フランジに面し、シールの両表面側の少なくとも一方が、シールの周方向に取り巻きかつこの表面側から突出する、特に0.05mm〜0.2mm又は0.05mm〜0.5mmの高さを有する少なくとも1つの隆起を備える。従って、シール自身は、隆起の形態の一種の切れ刃を備えることができる。隆起にて、高い面圧が可能であり、これにより、シール作用は、更に改善することができる。
【0030】
好ましくは、シェルが隆起を覆う。これにより、シール作用を更に改善することができる。特に、隆起の表面上の表面粗さ及び場合によっては他の凹凸も、少なくともある程度までシェルによって補償することができる。
【0031】
加えて、本発明は、2つのシール面、特にフランジの間、特にレシピエントの出口フランジと真空ポンプ、特にターボ分子ポンプの入口フランジとの間の接続部をシールするためのマルチシール又はダブルシールであって、マルチシール又はダブルシールが、少なくとも1つの第1のシールと第2のシールを備え、これらシールは、第2のシールが第1のシールに対して間隔を置いて第1のシールを包囲するように、シール面、特にフランジの間に配置することができ、両シールの少なくとも一方、好ましくは内側の第1のシールが、本発明によるシールであること、を特徴とするものに関する。
【0032】
これらシールは、1つの平面内に位置する必要があるのではなく、これらシールは、例えば軸方向に互いに位置をずらすこともできる。
【0033】
好ましくは、第1のシールと第2のシールが、リング状に閉じたそれぞれ1つのそれぞれの金属体を有し、更に好ましくは、両シールの金属体が、互いに一体的に形成されている。一体的に形成された金属体の間に、少なくとも1つの分離箇所が存在し得るので、シールは、確かに1つのユニットとして例えば搬送することができるが、2つのシール面もしくはフランジの間に挿入する前に互いに分離することができる。
【0034】
加えて、本発明は、少なくとも1つの第1の真空装置、特に真空ポンプ、好ましくはターボ分子ポンプと、少なくとも1つの第2の真空装置、特にレシピエントを有する真空システムであって、第2の真空装置の出口、特に出口フランジが、第1の真空装置の入口、特に入口フランジと切離可能に接続されている又は接続可能であり、出口と入口の間に、本発明によるシール又は本発明によるダブルシールが配置されていること、を特徴とするものに関する。
【0035】
好ましくは、出口フランジ及び/又は入口フランジに、シールと協働するための、好ましくはフランジの周方向に取り巻く少なくとも1つの切れ刃が形成され、切れ刃が、0.05mm〜0.2mm又は0.05mm〜0.5mmの高さを備える。本発明によるシールの場合、シェルが設けられているので、切れ刃の高さは、例えば銅シール用のCFフランジの場合のような従来のフランジの場合よりも小さくなり得る。
【0036】
加えて、本発明は、レシピエントの出口フランジを接続するための入口フランジを有する真空ポンプ、特にターボ分子ポンプにおいて、入口フランジに、シールと協働するための、好ましくはフランジの周方向に取り巻く少なくとも1つの切れ刃が形成され、切れ刃が、0.05mm〜0.2mm又は0.05mm〜0.5mmの高さを備えること、を特徴とするものに関する。
【0037】
更に、本発明は、少なくとも1つの第1の真空装置、特に真空ポンプと、少なくとも1つの第2の真空装置、特にレシピエントを有する真空システムであって、第2の真空装置の出口、特に出口フランジが、第1の真空装置の入口、特に入口フランジと解離可能に接続されている又は接続可能であり、入口に面した出口の表面及び/又は出口に面した入口の表面に、周方向、特にフランジ周方向に取り巻く非金属材料から成るシェルが配置されていること、を特徴とするものに関する。両シール面もしくはフランジの間の別個のシールは、削減することができる。何故なら、シェルによって既に十分に高いシール作用が達成できるからである。従って、1つのシールとフランジのそれぞれ一方との間をシールしなければならない2つの間隙とは違って、両フランジの間の1つの“間隙”しかシールする必要がない。
【0038】
加えて、本発明は、レシピエントの出口フランジを接続するための入口フランジを有する真空ポンプ、特にターボ分子ポンプにおいて、レシピエントが接続された時に出口フランジに面した入口フランジの表面に、周方向に取り巻く非金属材料から成るシェルが配置されていること、を特徴とするものに関する。
【0039】
加えて、本発明は、少なくとも1つの充填物を備えるエラストマー、特にPTFEを有するシールに関する。例えば、充填物を有するエラストマーは、位置をずらすことができる。充填物に応じて、例えばシールの拡散特性及び/又は電気特性を改善又は変更することができる。
【0040】
“シェル”と関連してここで述べられる特徴は、前で述べた真空システムもしくは真空ポンプのバリエーションに対しても当て嵌まる。
【0041】
加えて、本発明は、真空ポンプと、レシピエントと、レシピエントと真空ポンプを特に真空密に接続するための特にシリンダ状のアダプタを有し、真空ポンプが、少なくとも1つの第1の入口を有する少なくとも1つの接続面を備え、レシピエントが、少なくとも1つの出口を備え、この出口を、特にチューブ状の壁が包囲し、この壁の出口から離隔して位置する前側が、真空ポンプの接続面と当接可能である、との構成の真空システムであって、
アダプタは、アダプタが規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、レシピエントの壁内に収容されているか、収容することができ、
アダプタは、軸方向に見て、少なくとも実質的にレシピエントの特に出口に対して突出する壁の軸方向の長さに一致する長さを備え、これにより、アダプタの下側が、真空ポンプの接続面に当接し、アダプタの上側が、出口を包囲するレシピエントの接続面に当接し、
アダプタ内で下側と上側の間に第1の通路が延在し、この第1の通路は、アダプタが規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、真空ポンプの第1の入口をレシピエントの出口と接続し、
アダプタの上側とレシピエントの接続面との間に、内側の第1のシール、特に本発明によるシールが配置されている、及び/又は、レシピエントの壁の前側と真空ポンプの接続面との間に外側の第2のシール、特に本発明によるシールが配置されていること、を特徴とするものに関する。
【0042】
真空システムにおいて、出口が壁の前側に対して後退させられているアダプタは、レシピエントと真空ポンプを真空密に接続するために使用される。従って、レシピエントは、内部チャンバ形状を備えることができる。アダプタにより、真空ポンプは、単純かつコンパクトに、内部チャンバ形状を有するレシピエントに接続することができる。この場合、言及した出口は、レシピエントのチャンバに開口することができる。この場合、レシピエントは、1つのチャンバ又は相応の数の出口を有する複数のチャンバを備えることができる。
【0043】
第1のシール及び/又は第2のシールの使用により、所望のシール作用を達成することができる。第1のシール及び/又は第2のシールは、本発明によるシール、即ち特に金属体と非金属材料から成るシェルを有するシールであり得る。
【0044】
第1のシール及び/又は第2のシールは、また、例えばPTFEから成る例えばOリングシールのような従来のシールであり得る。
【0045】
真空ポンプは、特にターボ分子ポンプである。これにより、真空ポンプの第1の入口もしくはレシピエントの真空引きすべきチャンバに、高真空を又はそれどころか超高真空をも発生させることができる。
【0046】
真空ポンプの接続面は、少なくとも1つの別の第2の入口、特に補助入口を備えることができ、アダプタ内に、少なくとも1つの第2の通路が延在でき、この第2の通路は、アダプタが規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、アダプタの下側で真空ポンプの第2の入口に開口し、第2の通路は、アダプタの上側と下側の間に延在する半径方向外側に、少なくとも1つの出口開口を備える。
【0047】
従って、第2の通路は、下側と外側のその少なくとも1つの出口開口との間でアダプタを経て延在する。第2の通路を介して、出口開口が開口する容積部を真空引きすることができる。この容積部は、アダプタの外側とレシピエントの壁の内側との間に延在する環状容積部であり得る。従って、アダプタの第2の通路とこの第2の通路と接続された真空ポンプの第2の入口は、外から環状容積部内へ侵入する例えば空気のようなガスを吸引するための中間吸引部として機能することができる。これにより、第1の通路内もしくはレシピエントの出口内の真空は、改善することができる。特に、中間吸引によって、第1の通路内もしくはレシピエントの出口内により低い最終圧力を達成することができる。言及した容積部には、第2の通路及び第2の入口を介して真空引きすることができるレシピエントの別の第2のチャンバも開口することができる。
【0048】
第1のシールは、出口と第2の通路の少なくとも1つの流出口との間に分離を生じさせることができる。従って、レシピエントの出口と接続している第1の通路は、第1のシールによって第2の通路から分離されている。
【0049】
真空ポンプの接続面内には、もう1つの別の第3の入口、特に別の補助入口を設けることができ、アダプタ内には、アダプタの下側で真空ポンプの第3の入口に開口しかつアダプタの外側に少なくとも1つの出口を備える別の第3の通路が延在できる。
【0050】
第3の通路は、第2の通路のように、アダプタの外側に少なくとも1つの出口開口を備えることができる。出口開口は、第3の通路と真空ポンプの第3の入口を介して真空引きすることができる容積部に開口できる。容積部は、同様に、アダプタの外側の周囲に延在しかつレシピエントの羽部のうちがわによって包囲されている環状容積部であり得る。
【0051】
アダプタの第3の通路と真空ポンプの第3の入口は、環状容積部に侵入するガス吸引するための別の中間吸引部として使用することができる。これにより、レシピエントの出口内の真空を改善することができるかもしくは達成可能な最終圧力を更に低減することができる。
【0052】
この容積部には、レシピエントの別の第3のチャンバも開口することができる。第3のチャンバは、第3の通路及び第3の入口を介して真空引きすることができる。
【0053】
第3の通路の少なくとも1つの出口開口は、軸方向に見て、アダプタの外側の第2の通路の少なくとも1つの出口開口に対して位置をずらして形成することができる。
【0054】
別の第3のシールが、第2の通路の出口開口と第3の通路の出口開口を互いに分離する場合が、特に有利である。これにより、例えば2段式の中間吸引部を実現することができる。
【0055】
有利には、第3のシールは、アダプタの外側と壁の内側との間に配置されている。従って、第3のシールは、特に、第2の通路が開口する容積部もしくは環状スペースを、第3の通路が開口する容積部もしくは環状スペースから分離する。
【0056】
第3のシールは、好ましくはアダプタの外側に取り巻くように配置されている。この場合、アダプタの外側に、第3のシールが当接できる第3のシール用の環状の当接面を設けることができる。壁の内側には、対向面を形成することができるので、シールは、レシピエントが真空ポンプに接続され、アダプタが、規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、アダプタの当接面と壁の内側の対向面との間に圧入することができる。
【0057】
第3のシールは、本発明によるシール又は例えばPTFEから成る例えばOリングのような従来のシールであり得る。
【0058】
第2の通路と第3の通路の出口開口は、外側の周方向に見て、位置ズレを備えることができる。これにより、アダプタを経る通路の配置もしくは延在は、単純化することができる。
【0059】
アダプタの下側と真空ポンプの接続面との間に、アダプタの下側に位置する通路の出口開口の少なくとも一方の周囲に延在する別の第4のシールを配置することができる。第4のシールは、例えばPTFEから成る成形部品とすることができ、この成形部品は、各出口開口を包囲するかもしくは貫通口を備え、これら貫通口は、成形部品が規定通り真空ポンプの接続面とアダプタの下側との間に挿入されている時に、出口開口と整列させられている。
【0060】
加えて、本発明は、真空ポンプが、少なくとも1つの第1の入口を有する少なくとも1つの接続面を備え、レシピエントが、少なくとも1つの出口を備え、この出口を、特にチューブ状の壁が包囲し、この壁の出口から離隔して位置する前側が、真空ポンプの接続面と当接可能である、との構成の、レシピエントと真空ポンプを真空密に接続するための、特に本発明による真空システム用のアダプタであって、
特にシリンダ状のアダプタは、アダプタが規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、アダプタがレシピエントの壁内に収容可能であるように形成され、
アダプタが、軸方向に見て、少なくとも実質的にレシピエントの壁の軸方向の長さに一致する長さを備え、これにより、アダプタが規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、アダプタの下側が、真空ポンプの接続面に当接し、アダプタの上側が、出口を包囲するレシピエントの接続面に当接し、
アダプタ内で下側と上側の間に第1の通路が延在し、この第1の通路は、アダプタが規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、真空ポンプの第1の入口をレシピエントの出口と接続すること、を特徴とするものに関する。
【0061】
アダプタの上側に、特に管状の溝の形態の当接面を形成することができ、この当接面に、内側の第1のシールが当接可能であり、この内側の第1のシールは、レシピエントが、その間に位置する接続部材としてアダプタを有する真空ポンプに接続されている時に、アダプタの上側とレシピエントの接続面との間に配置、特に圧入、されている。
【0062】
更に、レシピエントが真空ポンプに接続されている時に、レシピエントの壁と真空ポンプの接続面との間に外側の第2のシールを圧入することができる。
【0063】
アダプタの下側に、特に半径方向に延在する溝又は窪みを設けることができ、この溝又は窪みは、アダプタの半径方向外側に位置する外側から内側に向かって延在し、アダプタを経て延在する通路、特に第3の通路に開口する。溝又は窪みは、外側の第2のシールの領域に侵入する例えば環境からの空気のようなガスを通路を介して吸引するための中間吸引部の一部であり得る。
【0064】
第1のシール及び/又は第2のシールは、本発明によるシール、即ち特に金属体と非金属材料から成るシェルを有するシールであり得る。第1のシール及び/又は第2のシールは、また、例えばPTFEから成る例えばOリングシールのような従来のシールであり得る。
【0065】
アダプタ内を、少なくとも1つの第2の通路が延在し、この第2の通路は、アダプタが規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、アダプタの下側で真空ポンプの第2の入口に開口し、第2の通路は、上側と下側の間に延在するアダプタの半径方向外側に少なくとも1つの出口開口を備える。第2の通路は、特にアダプタの外側とレシピエントの壁の内側との間に延在し得る環状容積部を真空引きするための中間吸引部として使用することができる。
【0066】
真空ポンプの接続面内に、もう1つの別の第3の入口、特に別の補助入口を設けることができる。アダプタ内には、別の第3の通路が延在でき、この別の第3の通路は、アダプタが規定通り真空ポンプとレシピエントの間に配置されている時に、アダプタの下側で真空ポンプの第3の入口に開口し、第3の通路は、アダプタの外側に少なくとも1つの出口開口を備える。アダプタの第3の通路と真空ポンプの第3の入口は、前で既に言及したように、別の中間吸引部として使用することができる。
【0067】
第3の通路の少なくとも1つの出口開口は、軸方向に見て、アダプタの外側の第2の通路の出口開口に対して位置をずらして形成することができる。
【0068】
第2の通路の少なくとも1つの出口開口と第3の通路の少なくとも1つの出口開口との間で、アダプタの外側に、環状の第3のシール用の管状の当接面を設けることができる。
【0069】
特に好ましくは、アダプタは、シリンダ状の第1の部分とシリンダ状の第2の部分から成り、これら2つの部分は、特に一体に形成されている。第1の部分は、少なくともほぼアダプタの上半分を構成するが、第2の部分は、少なくともほぼアダプタの下半分を構成する。従って、第1の部分は、上側から見て下側の方向に延在する。アダプタのほぼ半分の高さのところで、第1の部分は、下側まで延在する第2の部分へ移行する。両部分は、互いに同軸に整列させられている。第2の部分は、第1の部分よりも大きい直径を備える。これにより、第1の部分の下端から第2の部分の上端への移行部に、外側に取り巻きかつ第3のシールようの当接面として設けられた段部が生じる。
【0070】
シリンダ形状の代わりに、両部分は、他の形状、例えば切頭円錐形状を備えることもできる。
【0071】
レシピエントの壁の内側に、シール用の対向面を構成する相補的な段部を形成することができる。その場合、第3のシールは、アダプタの外側の当接面とレシピエントの壁の内側の対向面との間に挟むことができる。
【0072】
第3のシールは、本発明によるシールであるか又は例えばPTFEから成る例えばOリングシールのような従来のシールであり得る。
【0073】
アダプタの外側の出口開口は、外側の周方向にみて、位置ズレを備えることができる。
【0074】
アダプタは、その下側に、第4のシール用の特に管状の溝又は窪みの形態の当接面を備えることができる。この場合、第4のシールは、このシールがアダプタ内の全ての通路の出口開口を包囲し、これにより相互に分離するように、形成することができる。選択的に、シールは、少なくとも2部材で形成することができ、一方のシールは、第1及び第2の通路の出口開口の周囲に延在するが、他方のシールは、第1の通路の出口開口の周囲だけに延在する。
【0075】
アダプタの下側に、特に別の中間吸引部として使用される溝又は窪みが、完全に第1の通路のそこに位置する出口開口の周囲に延在することができ、溝又は窪みは、第2又は第3の通路に開口する。
【0076】
以下で、本発明を模範的に添付図に関連付けた有利な実施形態により説明する。