(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
不織布からなる第1シート層及び不織布からなる第2シート層の間に弾性シートが介在され、前記第1シート層及び第2シート層が、間隔を空けて配列された多数のシート接合部で、弾性シートを貫通する接合孔を通じて溶着された、弾性シート伸縮構造を有し、
前記弾性シート伸縮構造を有する領域は、前記弾性シートの収縮により伸縮方向に収縮しているとともに伸縮方向に伸長可能である伸縮領域を有し、
前記第1シート層及び前記第2シート層は、繊度0.7〜6dtex、目付け10〜25g/m2の不織布であり、
前記弾性シート伸縮構造を有する領域は、形状が異なるシート接合部を有しており、
前記弾性シート伸縮構造を有する領域におけるすべての前記シート接合部は、接合基準径が0.2〜0.5mmであり、かつ周長が接合基準径を直径とする円の円周の長さの1〜15倍である、
ことを特徴とする伸縮部材。
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備えた、パンツタイプの使い捨て着用物品であって、
前記前身頃及び後身頃の外装体は、前記サイドシール部と対応する前後方向範囲である胴周り部を有しており、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、前記胴周り部より前後方向中央側に位置する中間部を有しており、
前記中間部は、前記脚開口に沿う縁部領域を有しており、
前記中間部を有する外装体は、前後方向において前記中間部内から前記胴周り部内にわたり、かつ幅方向において前記サイドシール部間にわたり、請求項1記載の弾性シート伸縮構造を、その伸縮領域の伸縮方向が幅方向となるように備えた伸縮部材であり、
脚開口に沿う縁部領域におけるシート接合部の形状と、それ以外の領域におけるシート接合部の形状とが異なっている、
ことを特徴とする使い捨て着用物品。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで、本発明の主たる課題は、形状の異なるシート接合部を有する場合における溶着不良を起こりにくくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決した伸縮部材及びこの伸縮部材を有する使い捨て着用物品、並びに伸縮部材の製造方法は以下のとおりである。
<第1の態様>
不織布からなる第1シート層及び不織布からなる第2シート層の間に弾性シートが介在され、前記第1シート層及び第2シート層が、間隔を空けて配列された多数のシート接合部で、弾性シートを貫通する接合孔を通じて溶着された、弾性シート伸縮構造を有し、
前記弾性シート伸縮構造を有する領域は、前記弾性シートの収縮により伸縮方向に収縮しているとともに伸縮方向に伸長可能である伸縮領域を有し、
前記弾性シート伸縮構造を有する領域は、形状が異なるシート接合部を有しており、
前記弾性シート伸縮構造を有する領域におけるすべての前記シート接合部は、接合基準径が0.2mm以上であり、接合基準径の最大値が最小値の1〜3倍であり、かつ周長が接合基準径を直径とする円の円周の長さの1〜15倍である、
ことを特徴とする伸縮部材。
【0009】
(作用効果)
本発明者は、前述の溶着不良について研究した結果、異なる形状のシート接合部があるときの溶着不良は、シート接合部を形成する際の線圧を高くする(超音波シールではフォース圧を高くする)ことにより改善するが、その改善には限界があるだけでなく、アンビルロール等の機器の早期摩耗や破損につながるため好ましくないことを知見した。そこで、溶着不良の原因についてさらに研究した結果、異なる形状のシート接合部が存在する場合であっても、上記のように接合基準径及び周長を特定範囲にすることにより、溶着不良を起こりにくくできることを知見したものである。ここで、接合基準径とは、シート接合部の外形に内接する最大の内接円の直径を意味する。
【0010】
上記のように接合基準径及び周長を特定範囲にすることにより、溶着不良を起こりにくくできる理由は次のとおりと考えられる。すなわち、溶着には、加熱部分の中心から放射方向にある程度均等に、かつある程度十分な範囲にわたり熱が行き渡って不織布が溶融する必要がある。このためには、シート接合部は十分な大きさの円を含みうる形状、つまりある程度以上の接合基準径を有することが好ましい。この接合基準径の下限が本発明者の知見によれば0.2mmである。また、過剰に長かったり、過剰に入り組んだ外形のシート接合部は部分的な溶着不良が起こりやすい。この観点からシート接合部の周長は上記範囲内とすることが好ましい。さらに、シート接合部の接合基準径の差が大き過ぎる場合、シート接合部を形成する際の線圧を接合基準径の大きなシート接合部に合わせると溶着不良が起こりやすくなる。また、シート接合部を形成する際の線圧を接合基準径の小さなシート接合部に合わせて高くすると、アンビルロール等の機器の早期摩耗や破損につながるおそれがある。これに対して、上記のように接合基準径を特定範囲にすると、適切な圧力で、溶着不良の起こりにくい溶着が可能となる。
【0011】
<第2の態様>
第1シート層及び第2シート層は、繊度0.7〜6dtex、目付け10〜25g/m
2の不織布であり、
前記弾性シート伸縮構造を有する領域におけるすべての前記シート接合部は、前記接合基準径が0.2〜0.8mmである、
第1の態様の伸縮部材。
【0012】
(作用効果)
溶着不良の抑制及び機器の早期摩耗・破損の防止の両立を図るためには、特に、上記範囲の不織布及び接合基準径が好ましい。
【0013】
<第3の態様>
前記弾性シート伸縮構造を有する領域は、前記伸縮領域と、この伸縮領域の少なくとも伸縮方向一方側に設けられた非伸縮領域とを有しており、
前記伸縮領域における前記シート接合部の面積率が前記非伸縮領域における前記シート接合部の面積率の0.5〜1倍であり、
前記伸縮領域と前記非伸縮領域との境界は、その一端から他端に向かうにつれて連続的に伸縮方向のいずれか一方側にのみずれていく形状を有している、
第1又は2の態様の伸縮部材。
【0014】
(作用効果)
シート接合部の面積率を変化させることにより、伸縮特性を変化させることができる。しかし、シート接合部の面積率が急激に変化する位置、つまり伸縮領域と非伸縮領域との境界が、その一端から他端に向かうにつれて伸縮方向と直交する直交方向に沿っていると、溶着の際、伸縮領域と非伸縮領域との境界で線圧が急激に変化する。このような線圧の急激な変化は、アンビルロール等の機器の早期摩耗や破損につながるおそれがある。これに対して、本態様の場合には、線圧の急激な変化がないため、アンビルロール等の機器の早期摩耗や破損につながるおそれが少ないものとなる。
【0015】
<第4の態様>
前身頃から後身頃にわたる一体的な外装体、又は前身頃及び後身頃に別々に設けられた外装体と、この外装体の幅方向中間部に取り付けられた、股間部の前後両側にわたる内装体と、前身頃における外装体の両側部と後身頃における外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備えた、パンツタイプの使い捨て着用物品であって、
前記前身頃及び後身頃の外装体は、前記サイドシール部と対応する前後方向範囲である胴周り部を有しており、
前記前身頃及び後身頃の少なくとも一方における前記外装体は、前記胴周り部より前後方向中央側に位置する中間部を有しており、
前記中間部は、前記脚開口に沿う縁部領域を有しており、
前記中間部を有する外装体は、前後方向において前記中間部内から前記胴周り部内にわたり、かつ幅方向において前記サイドシール部間にわたり、第1の態様の弾性シート伸縮構造を、その伸縮領域の伸縮方向が幅方向となるように備えた伸縮部材であり、
脚開口に沿う縁部領域におけるシート接合部の形状と、それ以外の領域におけるシート接合部の形状とが異なっており、
脚開口に沿う縁部領域及びそれ以外の領域におけるすべての前記シート接合部は、接合基準径が0.2mm以上であり、接合基準径の最大値が最小値の1〜3倍であり、かつ周長が接合基準径を直径とする円の円周の長さの1〜15倍である、
ことを特徴とする使い捨て着用物品。
【0016】
(作用効果)
前述の伸縮部材は、本態様のように、パンツタイプの使い捨て着用物品の外装体に好適なものである。特に、弾性シート伸縮構造を、前後方向において中間部内から胴周り部内にわたり、かつ幅方向においてサイドシール部間にわたり設け、脚開口に沿う縁部の伸縮性と、それ以外の領域の伸縮性とを異ならしめることにより、脚周り及びそれ以外の領域のフィット性を改善するのは好ましい。この場合、脚開口に沿う縁部領域におけるシート接合部の形状と、それ以外の領域におけるシート接合部の形状とが異なるため、溶着不良が発生するおそれがある。しかし、上記のように接合基準径及び周長を特定範囲にすることにより、第1の態様で説明したように、適切な圧力で、溶着不良の起こりにくい溶着が可能となる。
【0017】
<第5の態様>
前記弾性シート伸縮構造を有する外装体は、幅方向中間部に非伸縮領域を有するとともに、この非伸縮領域と前記サイドシール部との間に対応する幅方向範囲は前記伸縮領域とされており、
前記伸縮領域における前記シート接合部の面積率が前記非伸縮領域における前記シート接合部の面積率の0.5〜1倍であり、
前記伸縮領域と前記非伸縮領域との境界は、ウエスト開口側の端から使い捨て着用物品の前後方向の中央に向かうにつれて連続的に前記サイドシール部側にのみずれていく形状を有している、
第4の態様の使い捨て着用物品。
【0018】
(作用効果)
パンツタイプの使い捨て着用物品では、本態様の位置に非伸縮領域を設けることが一般的である。よって、この場合に、第2の態様と同様に伸縮領域と非伸縮領域との境界の位置を直交方向にずらすことが望ましい。ただし、この場合における伸縮領域と非伸縮領域との境界は、パンツタイプ使い捨て着用物品の前後方向に延びることとなるため、ウエスト開口側の伸縮領域が短くなるのはフィット性の確保の観点からは好ましくない。よって、本態様のように、伸縮領域と非伸縮領域との境界の位置は、ウエスト開口側の端から使い捨て着用物品の前後方向の中央に向かうにつれて連続的にサイドシール部側にのみずれていくのが好ましい。
【0019】
<第6の態様>
第1シート層と、第2シート層との間に、弾性シートをMD方向に伸長した状態で介在させる供給工程と、
前記第1シート層、前記第2シート層及びこれらの間に介在された伸長状態の前記弾性シートを、外周面に所定パターンで間隔を空けて配列された多数の突起部を有するアンビルロールと、アンビルロールの外周面に対向する超音波ホーンとの間に通し、前記第1シート層及び第2シート層を前記多数の突起部と超音波ホーンとの間に挟まれる部分のみ溶着してシート接合部を形成する、接合工程と、
を含み、
一つの超音波ホーンで接合基準径が異なるシート接合部を形成するとともに、
一つの超音波ホーンで形成するすべての前記シート接合部は、接合基準径が0.2mm以上であり、接合基準径の最大値が最小値の1〜3倍であり、かつ周長が接合基準径を直径とする円の円周の長さの1〜15倍である、
ことを特徴とする伸縮部材の製造方法。
【0020】
(作用効果)
シート接合部の形成を超音波シールにより行う場合に、第1の態様と同様の作用効果を奏する。
【0021】
<第7の態様>
第1シート層と、第2シート層との間に、弾性シートをMD方向に伸長した状態で介在させる供給工程と、
前記第1シート層、前記第2シート層及びこれらの間に介在された伸長状態の前記弾性シートを、外周面に所定パターンで間隔を空けて配列された多数の突起部を有するアンビルロールと、アンビルロールの外周面に対向する対向ロールとの間に通し、加熱した前記アンビルロール及び対向ロールにより、前記第1シート層及び第2シート層を前記多数の突起部と対向ロールとの間に挟まれる部分のみ溶着してシート接合部を形成する、接合工程と、
を含み、
一対のアンビルロール及び対向ロールで接合基準径が異なるシート接合部を形成するとともに、
一対のアンビルロール及び対向ロールで形成するすべての前記シート接合部は、接合基準径が0.2mm以上であり、接合基準径の最大値が最小値の1〜3倍であり、かつ周長が接合基準径を直径とする円の円周の長さの1〜15倍である、
ことを特徴とする伸縮部材の製造方法。
【0022】
(作用効果)
シート接合部の形成をヒートシールにより行う場合に、第1の態様と同様の作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、形状の異なるシート接合部を有する場合における溶着不良が起こりにくくなる、等の利点がもたらされる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に示されたパンツタイプ使い捨ておむつの例に基づいて、伸縮部材及び使い捨て着用物品、並びに伸縮部材の製造方法について詳説する。なお、断面図中の点模様部分はホットメルト接着剤等の接合手段を示している。
【0026】
図1〜
図6は、パンツタイプ使い捨ておむつを示している。符号LD(縦方向)は前後方向を、WDは幅方向を示している。このパンツタイプ使い捨ておむつ(以下、単におむつともいう。)は、前身頃F及び後身頃Bをなす外装体20と、この外装体20の内面に固定され一体化された内装体10とを有しており、内装体10は液透過性のトップシート11と液不透過性シート12との間に吸収体13が介在されてなるものである。製造に際しては、外装体20の内面(上面)に対して内装体10の裏面がホットメルト接着剤などの接合手段によって接合された後に、内装体10及び外装体20が前身頃F及び後身頃Bの境界である前後方向LD(縦方向)の中央で折り畳まれ、その両側部が相互に熱溶着又はホットメルト接着剤などによって接合されてサイドシール部21が形成されることによって、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されたパンツタイプ使い捨ておむつとなる。
【0027】
(内装体の構造例)
内装体10は、
図4〜
図6に示すように、トップシート11と、ポリエチレン等からなる液不透過性シート12との間に、吸収体13を介在させた構造を有しており、トップシート11を透過した排泄液を吸収保持するものである。内装体10の平面形状は特に限定されないが、
図1に示されるようにほぼ長方形とすることが一般的である。
【0028】
吸収体13の表側(肌側)を覆うトップシート11としては、有孔又は無孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用いられる。不織布を構成する素材繊維は、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工法によって得られた不織布を用いることができる。
【0029】
吸収体13の裏側(非肌当接側)を覆う液不透過性シート12としては、ポリエチレン又はポリプロピレンなどの液不透過性プラスチックシートを用いることができ、特にムレ防止の点から透湿性を有するもの、例えばポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン樹脂中に無機充填材を溶融混練してシートを形成した後、一軸又は二軸方向に延伸することにより得られる微多孔性シートを好適に用いることができる。
【0030】
吸収体13としては、公知のもの、例えばパルプ繊維の積繊体、セルロースアセテート等のフィラメントの集合体、あるいは不織布を基本とし、必要に応じて高吸収性ポリマーを混合又は固着等してなるものを用いることができる。この吸収体13は、形状及びポリマー保持等のため、必要に応じてクレープ紙等の、液透過性及び液保持性を有する包装シート14によって包装することができる。
【0031】
吸収体13の形状は、股間部に前後両側よりも幅の狭い括れ部分13Nを有するほぼ砂時計状に形成されている。括れ部分13Nの寸法は適宜定めることができるが、括れ部分13Nの前後方向長さはおむつ全長の20〜50%程度とすることができ、その最も狭い部分の幅は吸収体13の全幅の40〜60%程度とすることができる。このような括れ部分13Nを有する場合において、内装体10の平面形状がほぼ長方形とされていると、内装体10における吸収体13の括れ部分13Nと対応する部分に、吸収体13を有しない無吸収体側部17が形成される。
【0032】
液不透過性シート12は、トップシート11とともに吸収体13の幅方向両側で裏側に折り返されている。この液不透過性シート12としては、排便や尿などの褐色が出ないように不透明のものを用いるのが望ましい。不透明化としては、プラスチック中に、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、ホワイトカーボン、クレイ、タルク、硫酸バリウムなどの顔料や充填材を内添してフィルム化したものが好適に使用される。
【0033】
内装体10の両側部には脚周りにフィットする立体ギャザー90が形成されている。この立体ギャザー90は、
図5及び
図6に示されるように、内装体10の裏面の側部に固定された固定部91と、この固定部91から内装体10の側方を経て内装体10の表面の側部上まで延在する本体部92と、本体部92の前後端部が倒伏状態で内装体10の表面(図示例ではトップシート11)の側部にホットメルト接着剤95b等により固定されて形成された倒伏部分93と、この倒伏部分93間が非固定とされて形成された自由部分94とを有している。これらの各部は、不織布などのシートを折り返して二重シートとしたギャザーシート95により形成されている。ギャザーシート95は、内装体10の前後方向全体にわたり取り付けられており、倒伏部分93は無吸収体側部17よりも前側及び後側に設けられ、自由部分94は無吸収体側部17の前後両側に延在されている。また、二重のギャザーシート95間には、自由部分の先端部等にギャザー弾性部材96が配設されている。ギャザー弾性部材96は、製品状態において
図5に示すように、弾性収縮力により自由部分94を立ち上げるためのものである。
【0034】
ギャザー弾性部材96及びギャザーシート95の固定構造は特に限定されず、例えば
図5及び
図6に示す例のように、倒伏部分93以外ではギャザー弾性部材96の位置のホットメルト接着剤を介して、ギャザー弾性部材96がギャザーシート95に接着固定されるとともに、ギャザーシート95の対向面が接合されているものの、倒伏部分93では、ギャザー弾性部材96の位置にホットメルト接着剤が無く、したがってギャザー弾性部材96とギャザーシート95とが接着されておらず、ギャザー弾性部材96を有する位置でギャザーシート95の対向面が接合されていない構造を採用することができる。
【0035】
ギャザー弾性部材96としては、通常使用されるスチレン系ゴム、オレフィン系ゴム、ウレタン系ゴム、エステル系ゴム、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンブタジエン、シリコーン、ポリエステル等の素材を用いることができる。また、外側から見え難くするため、太さは925dtex以下、テンションは150〜350%、間隔は7.0mm以下として配設するのがよい。なお、ギャザー弾性部材96としては、図示例のような細長状の他、ある程度の幅を有するテープ状のものを用いることもできる。
【0036】
前述のギャザーシート95を構成する素材繊維もトップシート11と同様に、ポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とすることができ、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法等の適宜の加工方法に得られた不織布を用いることができるが、特にはムレを防止するために坪量を抑えて通気性に優れた不織布を用いるのがよい。さらにギャザーシート95については、尿などの透過を防止するとともに、カブレを防止しかつ肌への感触性(ドライ感)を高めるために、シリコーン系、パラフィン金属系、アルキルクロミッククロライド系撥水剤などをコーティングした撥水処理不織布を用いるのが望ましい。
【0037】
図3〜
図6に示すように、内装体10はその裏面が、内外固定領域10B(斜線領域)において、外装体20の内面に対してホットメルト接着剤等により接合される。この内外固定領域10Bは、適宜定めることができ、内装体10の幅方向WDのほぼ全体とすることもできるが、幅方向両端部は外装体20に固定しないことが好ましい。
【0038】
(外装体の構造例)
外装体20は少なくとも前身頃Fの胴周り部T及び後身頃Bの胴周り部Tを有するものであり、図示例では前身頃Fの胴周り部T及び後身頃Bの胴周り部Tの間の前後方向範囲である中間部Lをさらに有するものとなっている。外装体20は図示例のように股間部において外装体20の側縁が内装体10の側縁より幅方向中央側に位置していても、また幅方向外側に位置していても良い。
【0039】
そして、図示例の外装体20では、その中間部Lの前後方向中間を除いて、
図2及び
図4〜
図6に示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bの間に、弾性シート30が介在されるとともに、
図7及び
図9等に示されるように、第1シート層20A及び第2シート層20Bが、間隔を空けて配列された多数のシート接合部40で弾性シート30を貫通する接合孔31を通じて接合された弾性シート伸縮構造20Xを有している。そして、この弾性シート伸縮構造を有する領域は、弾性シートの収縮により幅方向に収縮しているとともに幅方向に伸長可能である(つまり伸縮方向EDがおむつの幅方向WDとなる)伸縮領域を有している。
【0040】
外装体20の平面形状は、中間部Lの幅方向両側縁がそれぞれ脚開口を形成するように凹状の脚周りライン29により形成されており、全体として砂時計に似た形状をなしている。外装体20は、前身頃F及び後身頃Bで個別に形成し、両者が股間部でおむつの前後方向LDに離間するように配置しても良い。
【0041】
図1及び
図2に示す形態は、ウエスト端部23には弾性シート伸縮構造20Xを設けずに、従来の細長状のウエスト部弾性部材24による伸縮構造を設ける形態であるが、弾性シート伸縮構造20Xがウエスト端部23まで延在されている形態としてもよい。ウエスト部弾性部材24は、前後方向LDに間隔をおいて配置された複数の糸ゴム等の細長状弾性部材であり、身体の胴周りを締め付けるように伸縮力を与えるものである。ウエスト部弾性部材24は、間隔を密にして実質的に一束として配置されるのではなく、所定の伸縮ゾーンを形成するように前後方向に3〜8mm程度の間隔を空けて、3本以上、好ましくは5本以上配置される。ウエスト部弾性部材24の固定時の伸長率は適宜定めることができるが、通常の成人用の場合230〜320%程度とすることができる。ウエスト部弾性部材24は、図示例では糸ゴムを用いたが、例えば平ゴム等、他の細長状の伸縮部材を用いても良い。図示しないが、ウエスト端部23に弾性シート30を設けるとともに、弾性シート30と重なる位置に細長状のウエスト部弾性部材24を設け、両方の弾性部材による伸縮構造とすることもできる。また、図示形態では、外装体20における脚開口の縁部領域82まで、弾性シート伸縮構造20Xの伸縮領域が存在している。このため、外装体20における脚開口の縁部領域82には、脚開口に沿って延びる細長状の弾性部材は設けられていないが、当該縁部領域82における弾性シート30と重なる位置に、又は当該縁部領域82の弾性シート30に代えて、細長状の弾性部材を設けることもできる。
【0042】
他の形態としては、図示しないが、前身頃Fの胴周り部Tと後身頃Bの胴周り部Tとの間の中間部Lには弾性シート伸縮構造20Xを設けない形態としたり、前身頃Fの胴周り部T内から中間部Lを経て後身頃Bの胴周り部T内まで前後方向LDに連続的に弾性シート伸縮構造20Xを設けたり、前身頃F及び後身頃Bのいずれか一方にのみ弾性シート伸縮構造20Xを設けたりすること等、適宜の変形も可能である。
【0043】
(伸縮領域)
外装体20における弾性シート伸縮構造20Xを有する領域は、幅方向WDに伸縮可能な伸縮領域を有している。伸縮領域80では、弾性シート30の収縮力により幅方向WDに収縮しているとともに、幅方向WDに伸長可能となっている。より具体的には、弾性シート30を幅方向WDに伸長した状態で、幅方向WD及びこれと直交する前後方向LD(伸縮方向と直交する方向LD)にそれぞれ間隔を空けて、弾性シート30の接合孔31を介して第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合し、多数のシート接合部40を形成することにより、弾性シート伸縮構造20Xを形成するとともに、伸縮領域80では弾性シート30が幅方向WDに途切れずに残り、かつこの弾性シート30の収縮力により第1シート層20A及び第2シート層20Bが収縮して収縮襞25が形成されるようにシート接合部40を配置することによって、このような伸縮性を付与することができる。
【0044】
伸縮領域80では、
図7及び
図9に示す例のように弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32を有していても、
図11に示す例及び
図15に示す例のように有していなくてもよい。
【0045】
伸縮領域は、自然長状態では、
図7(d)、
図9(d)及び
図14(b)に示すように、シート接合部40間の第1シート層20A及び第2シート層20Bが互いに離間する方向に膨らんで、前後方向LDに延びる収縮襞25が形成され、幅方向WDにある程度伸長した装着状態でも、収縮襞25は伸ばされるものの、残るようになっている。また、図示形態のように、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では弾性シート30と接合されていないと、装着状態を想定した
図7(c)、
図9(c)、及び、第1シート層20A及び第2シート層20Bの展開状態を想定した
図7(a)(b)、
図9(a)(b)からも分かるように、これらの状態では、弾性シート30における接合孔31と、シート接合部40との間に隙間が形成され、弾性シート30の素材が無孔のフィルムやシートであっても、この隙間により通気性が付加される。特に、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32を有している場合には、自然長状態では、弾性シート30のさらなる収縮により接合孔31がすぼまり、接合孔31とシート接合部40との間に隙間がほとんど形成されない形態となり、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有していない場合には、接合孔31とシート接合部40との間に隙間が残る。
【0046】
伸縮領域80の幅方向WDの最大伸びは190%以上(好ましくは200〜220%)とすることが望ましい。伸縮領域80の最大伸びは、製造時の弾性シート30の伸長率によってほぼ決まるがこれを基本として、幅方向WDの収縮を阻害する要因により低下する。このような阻害要因の主なものは、幅方向WDにおいて単位長さ当たりに占めるシート接合部40の長さLの割合であり、この割合が大きくなるほど最大伸びが低下する。通常の場合、シート接合部40の長さLはシート接合部40の面積率と相関があるため、伸縮領域80の最大伸びはシート接合部40の面積率により調整できる。
【0047】
伸縮領域80の伸長応力は、
図7及び
図9に示す例のように、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32を有している場合には、主に弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分32(
図7(a)及び
図9(a)参照)の直交方向寸法32wの総和(接合孔の間隔31dに等しい)により調整することができる。一方、
図11に示す例及び
図15に示す例のように、弾性シート30が幅方向WDに沿って直線的に連続する部分を有していない場合には、無接合帯51,52の連続方向と伸縮方向EDとがなす交差角度により調整でき、通常の場合、展開状態で無接合帯51,52の連続方向と伸縮方向EDとがなす鋭角側交差角θ1,θ2がそれぞれ0度より大きく45度以下、特に10〜30度の範囲とすることが好ましい。
【0048】
伸縮領域80におけるシート接合部40の面積率及び個々のシート接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とするのが好ましい。
シート接合部40の面積:0.14〜3.5mm
2(特に0.14〜1.0mm
2)
シート接合部40の面積率:1.8〜19.1%(特に1.8〜10.6%)
【0049】
このように、伸縮領域80の最大伸び及び伸長応力はシート接合部40の面積により調整できるため、
図1及び
図2に示すように、伸縮領域80内にシート接合部40の面積率が異なる複数の領域を設け、部位に応じてフィット性を変化させることができる。
図1及び
図2に示す形態では、脚開口の縁部領域82は、それ以外の領域と比べてシート接合部40の面積率が高く、従って伸長応力が弱く、柔軟に伸縮する領域となっている。
【0050】
個々のシート接合部40及び接合孔31の自然長状態での形状は、適宜定めることができるが、真円形、楕円形、三角形、長方形、ひし形等の多角形、あるいは凸レンズ形、凹レンズ形、星形、雲形等、任意の形状とすることができる。個々のシート接合部の寸法は特に限定されないが、最大長さ40y(接合孔31の直交方向の寸法31yにほぼ等しい)は0.5〜3.0mm、特に0.7〜1.1mmとするのが好ましく、最大幅40xは0.1〜3.0mm、特に伸縮方向と直交する方向XDに長い形状の場合には0.1〜1.1mmとするのが好ましい。
【0051】
個々のシート接合部40の大きさは、適宜定めれば良いが、大きすぎるとシート接合部40の硬さが感触に及ぼす影響が大きくなり、小さすぎると接合面積が少なく資材同士が十分に接着できなくなるため、通常の場合、個々のシート接合部40の面積は0.14〜3.5mm
2程度とすることが好ましい。個々の接合孔31の開口の面積は、接合孔31を介してシート接合部が形成されるためシート接合部以上であれば良いが、シート接合部の面積の1〜1.5倍程度とすることが好ましい。なお、接合孔31の開口の面積は、弾性フィルム30単独の状態ではなく第1シート層20A及び第2シート層20Bと一体化した状態で、かつ自然長の状態における値を意味し、接合孔31の開口の面積が、弾性フィルム30の表と裏で異なる等、厚み方向に均一でない場合には最小値を意味する。
【0052】
シート接合部40及び接合孔31の平面配列は適宜定めることができるが、規則的に繰り返される平面配列が好ましく、
図10(a)に示すような斜方格子状や、
図10(b)に示すような六角格子状(これらは千鳥状ともいわれる)、
図10(c)に示すような正方格子状、
図10(d)に示すような矩形格子状、
図10(e)に示すような平行体格子(図示のように、多数の平行な斜め方向の列の群が互いに交差するように2群設けられる形態)状等(これらが伸縮方向に対して90度未満の角度で傾斜したものを含む)のように規則的に繰り返されるものの他、シート接合部40の群(群単位の配列は規則的でも不規則でも良く、模様や文字状等でも良い)が規則的に繰り返されるものとすることもできる。
【0053】
伸縮領域80のシート接合部40の配列パターンは、
図9に示す例、
図11に示す例及び
図15に示す例のようなものであると好ましい。すなわち、これらの例では、伸縮領域80には、展開状態で、シート接合部40を有しない部分が連続する無接合帯51,52として、伸縮方向EDに対して鋭角(鋭角側交差角θ1)に交わる第1方向51dに沿って直線的に連続する第1無接合帯51が、第1方向51dと直交する方向に間隔を空けて繰り返し存在する。また、伸縮領域80における隣り合う第1無接合帯51の間には、シート接合部40及び接合孔31が間隔を空けて多数設けられる。そして特徴的には、第1方向51dと直交する方向の幅として定まる第1幅51wが異なる複数本の第1無接合帯51を含む単位構造が、伸縮領域80における第1方向51dと直交する方向に繰り返し存在する。
【0054】
このように、第1幅51wが異なる複数本の第1無接合帯51を含む単位構造が、伸縮領域80における第1方向51dと直交する方向に繰り返し存在すると、第1無接合帯51の内部の弾性シート30の連続部にも、同様の大小関係の幅変化が形成される。つまり、第1無接合帯51の幅51wが狭ければ、内部の弾性シート30の連続部の幅も狭くなり、第1無接合帯51の幅51wが広ければ、内部の弾性シート30の連続部の幅も広くなる。そして、第1無接合帯51内の弾性シート30の連続部に、第1幅51wの変化があると、幅の広い第1無接合帯51内の弾性シート30の連続部及び幅の狭い第1無接合帯51内の弾性シート30の連続部の双方が視覚的に強調される結果、伸縮領域80が自然長状態(
図13及び
図17参照)であっても、ある程度伸長した装着状態であっても、斜め縞模様の美しい外観を呈することとなる。また、ある程度収縮した状態では、第1無接合帯51における収縮襞25の大きさが、第1無接合帯51の第1幅51wに応じて変化するため、この収縮襞25の影響により斜め縞模様がよりはっきりと現出するようになる。
【0055】
上述の単位構造は、第1幅51wが異なる複数本の第1無接合帯51を含む限り、その幅51wの大小の程度により限定されるものではないが、第1無接合帯51における第1幅51wは、最も近い幅51wの第1無接合帯51に対して、大きい場合には1.2〜60倍、小さい場合には0.01〜0.8倍であることが好ましい。
【0056】
また、上述の単位構造は、第1幅51wが異なる複数本の第1無接合帯51を含む限り、すべての第1無接合帯51における第1幅51wが異なっていてもよいし、図示するように一部の複数本の第1無接合帯51における第1幅51wと、他の単数又は複数本の第1無接合帯51の第1幅51wとが異なっていてもよい。
【0057】
伸縮領域80に、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による第1方向51dに沿う斜め縞模様が現出するとしても、同一の伸縮領域80に他の斜め方向に沿う斜め縞模様がより強く視認されると、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が目立たなくなるおそれがある。これに対して、第1無接合帯51における第1幅51wの最大値が、傾斜方向が異なる及び共通するすべての無接合帯51,52における連続方向と直交する方向の幅の最大値となっていると、伸縮領域80内では第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が、より強く視認されるようになるため好ましい。この場合における、第1無接合帯51における第1幅51wの最大値は適宜定めることができるが、最も近い幅51wの第1無接合帯51に対して0.01〜9倍であることが好ましい。なお、第1無接合帯51を含むすべての無接合帯51,52は、連続方向と直交する方向の幅が限定されるものではないが、通常の場合0.3〜50mmの範囲内であることが好ましい。いうまでもないが、無接合帯51,52の連続方向と直交する方向の幅は、第1無接合帯51にあっては第1幅51wのことであり、直線的に連続する部分であるため等幅である。
【0058】
隣り合う第1無接合帯51における第1方向51dと直交する方向の間隔として定まる第1間隔51sは適宜定めることができる。よって、この第1間隔51sは、隣り合う第1無接合帯51における第1幅51wと同じにしても、より広くしても、より狭くしてもよい。一つの好ましい例としては、単位構造における、第1無接合帯51における第1幅51wの最大値が第1間隔51sの最大値よりも小さい形態を挙げることができる。このように、単位構造に広い間隔部分を形成することにより、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が、より強く視認されるようになる。この場合における、第1無接合帯51における第1幅51wの最大値は適宜定めることができるが、第1間隔51sの最大値の0.01〜9倍であると好ましい。なお、第1無接合帯51を含むすべての無接合帯51,52における連続方向と直交する方向の間隔は特に限定されるものではないが、通常の場合0.3〜50mmの範囲内であることが好ましい。いうまでもないが、無接合帯51,52における連続方向と直交する方向の間隔は、第1無接合帯51にあっては第1間隔51sのことであり、連続方向に等しくなるものである。
【0059】
伸縮領域80には、無接合帯51,52として、第1方向51d以外の、伸縮方向EDに対して鋭角(鋭角側交差角θ2)に交わる第2方向52dに沿って直線的に連続する第2無接合帯52が、第2方向52dと直交する方向に間隔を空けて繰り返し存在してもよいし、第2無接合帯52が存在しなくてもよい。第2無接合帯52を有する一つの好ましい形態は、伸縮領域80には、無接合帯51,52が斜め格子状に形成されており、第1無接合帯51は、斜め格子状の無接合帯51,52における一方の方向に連続する部分であり、第2無接合帯52は、斜め格子状の無接合帯51,52における他方の方向に連続する部分であるとものである。この場合、第1方向51d及び第2方向52dは、伸縮方向EDに対する傾きの正負が互いに逆となる。なお、
図11に示す例及び
図15に示す例のように、幅方向WD(伸縮方向ED)に連続する無接合帯51,52を有しない形態であっても、伸縮領域80の展開状態で、第1方向51d及び第2方向52dの伸縮方向EDに対する鋭角側交差角θ1,θ2がそれぞれ5〜45度、特に10〜30であることにより、伸縮領域80における伸縮性を十分に確保することができる。
【0060】
ただし、同一の伸縮領域80に第2無接合帯52の斜め方向に沿う斜め縞模様がより強く視認されると、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が目立たなくなるおそれがある。よって、
図15に示す例のように第2無接合帯52を有する場合、第2無接合帯52における第2方向と直交する方向の幅として定まる第2幅52wがすべて同一であるか、又は、第2無接合帯52を有しないようにシート接合部40を配置することが望ましい。これにより、伸縮領域80内では第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部による斜め縞模様が、より強く視認されるようになる。
【0061】
他方、隣り合う第1無接合帯51の間には、シート接合部40を第1方向51dに整列させることとなるが、この場合例えば
図16に示すように、シート接合部40はすべて、伸縮方向EDと直交する方向に対する長手方向の鋭角側交差角θ3が10度以内、かつ伸縮方向EDの最大寸法40eが0.1〜0.4mmの細長状をなしていると、第1無接合帯51の伸縮方向EDの寸法をより大きく確保することができ、伸縮性の低下を抑制することができるため好ましい。
【0062】
また、
図11に示す例のように、単位構造に、第1幅51wが最大となる広幅第1無接合帯51、及びこれよりも第1幅51wが狭い狭幅第1無接合帯51を、それぞれ第1方向51dと直交する方向に隣接して複数本含む場合、隣り合う広幅第1無接合帯51の間には、第2方向52dに対する長手方向の鋭角側交差角が5度以内、かつその長手方向と直交する方向の最大寸法40fが0.1〜0.4mmの細長状をなすシート接合部40が、第1方向51dに間隔を空けて整列されていると好ましい。また、隣り合う狭幅第1無接合帯51の間には、第1方向51dに対する長手方向の鋭角側交差角θ3が45度以上、かつその長手方向と直交する方向の最大寸法40gが0.1〜0.4mmの細長状をなすシート接合部40が、第1方向51dに間隔を空けて整列されていると好ましい。このようなシート接合部40の形状及び配置により、より少ないシート接合部40の面積で、第1無接合帯51の収縮襞25及びその内部の弾性シート30の連続部が特に視覚的に強調されるようになる。
【0063】
隣り合う無接合帯51,52の間に位置するシート接合部40の列(無接合帯51,52の連続方向の列)は、一列であっても複数列であってもよい。また、列の方向におけるシート接合部40の間隔は規則的であることが好ましいが、すべての間隔が一定である必要はなく、一部の間隔が異なっていてもよい。
【0064】
(非伸縮領域)
外装体20における弾性シート伸縮構造20Xを有する領域には、
図2に示すように、伸縮領域80の少なくとも幅方向一方側に非伸縮領域70を設けることができる。非伸縮領域70は、伸縮方向の最大伸びが120%以下を意味する。非伸縮領域70の最大伸びは110%以下であると好ましく、100%であるとより好ましい。伸縮領域80及び非伸縮領域70の配置は適宜定めることができる。本例のようなパンツタイプ使い捨ておむつの外装体20の場合、吸収体13と重なる部分は伸縮が不要な領域であるため、図示形態のように、吸収体13と重なる部分の一部又は全部(内外固定領域10Bのほぼ全体を含むことが望ましい)を非伸縮領域70とするのは好ましい。もちろん、吸収体13と重なる領域からその幅方向WD又は前後方向LDに位置する吸収体13と重ならない領域にかけて非伸縮領域70を設けることもでき、吸収体13と重ならない領域にのみ非伸縮領域70を設けることもできる。
【0065】
非伸縮領域70における個々のシート接合部40の形状は、特に限定されず、伸縮領域80の項で述べたものと同様の形状から適宜選択することができる。
【0066】
また、非伸縮領域70におけるシート接合部40の面積率及び個々のシート接合部40の面積は適宜定めることができるが、通常の場合、次の範囲内とすると、各シート接合部40の面積が小さくかつシート接合部40の面積率が低いことにより非伸縮領域70が硬くならいためが好ましい。
シート接合部40の面積:0.10〜0.75mm
2(特に0.10〜0.35mm
2)
シート接合部40の面積率:4〜13%(特に5〜10%)
【0067】
非伸縮領域70は、弾性シート30の収縮力により第1シート層及び第2シート層が収縮して襞が形成されないようにシート接合部40を密に配置すること等によって形成することができる。非伸縮領域70の形成手法の具体例としては、例えば特許第5980355号、特許第5918877号、特許第5980367号、特許第6049228号に示されるものを挙げることができる。
【0068】
シート接合部40の面積率を変化させることにより、伸縮特性を変化させることができる。しかし、シート接合部40の面積率が急激に変化する位置、つまり伸縮領域80と非伸縮領域70との境界が、その一端から他端に向かうにつれて伸縮方向EDと直交する直交方向XDに沿っていると、溶着の際、伸縮領域80と非伸縮領域70との境界で線圧が急激に変化する。このような線圧の急激な変化は、アンビルロール等の機器の早期摩耗や破損につながるおそれがある。そこで、伸縮領域80におけるシート接合部40の面積率が非伸縮領域70におけるシート接合部40の面積率の0.5〜1倍である場合には、
図2、
図18〜
図20に示すように、伸縮領域80と非伸縮領域70との境界71は、その一端から他端に向かうにつれて連続的に伸縮方向EDのいずれか一方側にのみずれていく形状となっていることが好ましい。これにより、溶着時の線圧の急激な変化がないため、アンビルロール等の機器の早期摩耗や破損につながるおそれが少ないものとなる。
【0069】
ただし、パンツタイプの使い捨て着用物品では、伸縮領域80と非伸縮領域70との境界71が、ウエスト開口側の端から使い捨て着用物品の前後方向LDの中央に向かうにつれて連続的に幅方向WD中央側にのみずれていく形状であると、ウエスト開口側の伸縮領域80が短くなるのはフィット性の確保の観点からは好ましくない。よって、図示例のように、伸縮領域80と非伸縮領域70との境界71の位置は、ウエスト開口側の端から使い捨て着用物品の前後方向LDの中央に向かうにつれて連続的にサイドシール部21側にのみずれていくのが好ましい。
【0070】
伸縮領域80と非伸縮領域70との境界71は、
図2、
図18及び
図20に示す例のように直線状であってもよいし、
図19に示す例のように曲線状であってもよい。
図20に示す例のように、非伸縮領域70のウエスト開口側の部分に、股間側に窪む凹部72を形成し、この凹部72を伸縮領域80とする場合には、凹部72の伸縮方向EDの両側に伸縮領域80及び非伸縮領域70の境界71を生じる。よって、この部分も同様に伸縮領域80と非伸縮領域70との境界71を斜め向きにすることが望ましい。
【0071】
(シート接合部の接合構造)
シート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20Bの接合は、弾性シート30に形成された接合孔31を通じて接合される場合、少なくともシート接合部40における第1シート層20A及び第2シート層20B間以外では、第1シート層20A及び第2シート層20Bは弾性シート30と接合されていないことが望ましい。
【0072】
シート接合部40において第1シート層20A及び第2シート層20Bが弾性シート30の接合孔31を通じて溶着される場合、シート接合部40において第1シート層20A及び第2シート層20Bの両方が溶融固化していても、シート接合部40において第1シート層20A及び第2シート層20Bのいずれか一方のみが溶融固化していてもよい。さらに、シート接合部40内に、弾性シート30の溶融固化物が挟まれていてもよい。
【0073】
第1シート層20A及び第2シート層20Bは、
図8(a)に示す例のようにシート接合部40における厚み方向及び平面方向の全体にわたり均一に溶融固化していても、
図8(b)(c)に点模様のグラデーションで示すように不均一に溶融固化していてもよい。例えば、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、
図8(b)に示す例のようにシート接合部40の厚み方向外側ほど溶融の程度が低くてもよい。この状態には、シート接合部40の表面で第1シート層20A及び第2シート層20Bのほぼすべての繊維が溶融していない状態、シート接合部40の表面に第1シート層20A及び第2シート層20Bの溶融固化物と溶融していない繊維とが混在する状態、並びにシート接合部40の厚み方向全体にわたり第1シート層20A及び第2シート層20Bの繊維が溶融しているものの溶融の程度が変化する状態が含まれる。
【0074】
上記シート接合部40における厚み方向の溶融の程度の変化を伴い又は伴わずに、第1シート層20A及び第2シート層20Bは、
図8(c)に示す例のようにシート接合部40の周縁側ほど溶融の程度が低くてもよい。この状態には、シート接合部40の周縁部で第1シート層20A及び第2シート層20Bのほぼすべての繊維が溶融していない状態(ただし、後述の弾性シート30の溶融固化物が接着剤として介在する場合に限る)、シート接合部40の周縁部に第1シート層20A及び第2シート層20Bの溶融固化物と溶融していない繊維とが混在する状態、並びにシート接合部40の平面方向の全体にわたり第1シート層20A及び第2シート層20Bの繊維が溶融しているものの溶融の程度が変化する状態が含まれる。
【0075】
なお、これらの状態において、第1シート層20A及び第2シート層20Bの繊維が溶融することには、繊維全体が溶融することの他、繊維の芯(複合繊維における芯だけでなく単成分繊維の中心部分を含む)は残るがその周囲部分(複合繊維における鞘だけでなく単成分繊維の表層側の部分を含む)は溶融することが含まれる。
【0076】
また、シート接合部40内に弾性シート30の溶融固化物が残存する状態には、第1シート層20A又はその溶融固化層と、第2シート層20B又はその溶融固化層との間に、それらとほとんど混じらずに層状に残存する状態、第1シート層20A及び第2シート層20Bのうち溶融固化するものと混じった状態、並びに第1シート層20A及び第2シート層20Bの溶融固化しない方の繊維間に、又は第1シート層20A及び第2シート層20Bのうち溶融固化する方における残存繊維(芯含む)間にある程度浸透した状態が含まれる。
【0077】
シート接合部40内に弾性シート30の溶融固化物が残存する状態は、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方の融点が弾性シート30の融点よりも高い条件下で、第1シート層20A及び第2シート層20B間に弾性シート30を挟み、シート接合部40となる部位を加圧・加熱し、第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方と弾性シート30とを溶融することにより製造することができる。
【0078】
この場合、弾性シート30の融点は80〜145℃程度のものが好ましく、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点は85〜190℃程度、特に150〜190℃程度のものが好ましく、第1シート層20A及び第2シート層20Bの融点と弾性シート30の融点との差は60〜90℃程度であるのが好ましい。また、加熱温度は100〜150℃程度とするのが好ましい。
【0079】
図21は、好適な超音波シール装置の例を示している。この超音波シール装置では、シート接合部40の形成に際して、外面にシート接合部40のパターンで形成した突起部60aを有するアンビルロール60と超音波ホーン61との間に、第1シート層20A、弾性シート30及び第2シート層20Bを送り込む。この際、例えば上流側の弾性シート30の送り込み駆動ロール63及びニップロール62による送り込み移送速度を、アンビルロール60及び超音波ホーン61以降の移送速度よりも遅くすることにより、送り込み駆動ロール63及びニップロール62によるニップ位置からアンビルロール60及び超音波ホーン61によるシール位置までの経路で、弾性シート30をMD方向(マシン方向、流れ方向)に所定の伸長率まで伸長する。この弾性シート30の伸長率は、アンビルロール60及び送り込み駆動ロール63の速度差を選択することにより設定することができ、例えば300%〜500%程度とすることができる。62はニップロールである。
【0080】
アンビルロール60と超音波ホーン61との間に送り込まれた、第1シート層20A、弾性シート30及び第2シート層20Bは、この順に積層した状態で、突起部60aと超音波ホーン61との間で加圧しつつ、超音波ホーン61の超音波振動エネルギーにより加熱し、弾性シート30のみを溶融するか、又は第1シート層20A及び第2シート層20Bの少なくとも一方と弾性シート30とを溶融することによって、弾性シート30に接合孔31を形成するのと同時に、その接合孔31を通じて第1シート層20A及び第2シート層20Bを接合する。したがって、この場合にはアンビルロール60の突起部60aの大きさ、形状、離間間隔、ロール長方向及びロール周方向の配置パターンなどを選定することにより、シート接合部40の面積率を選択することができる。
【0081】
接合孔31が形成される理由は必ずしも明確ではないが、弾性シート30におけるアンビルロール60の突起部60aと対応する部分が溶融して周囲から離脱することにより開孔するものと考えられる。この際、弾性シート30における、伸縮方向EDに並ぶ隣接する接合孔31の間の部分は、
図7(a)(b)、
図9(a)(b)、
図12及び
図13に示すように、接合孔31により伸縮方向両側の部分から切断され、収縮方向両側の支えを失うことになるため、収縮方向と直交する方向の連続性を保ちうる範囲で、伸縮方向EDと直交する方向LDの中央側ほど伸縮方向中央側に釣り合うまで収縮し、接合孔31が伸縮方向EDに拡大する。
【0082】
第1シート層20A及び第2シート層20Bの構成材は、繊維の少なくとも一部が溶着可能な(つまり熱可塑性樹脂成分を含む)不織布であれば特に限定無く使用できる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維などや、これらの二種以上が使用された混合繊維、又はこれらの二成分以上を含む複合繊維(例えば鞘成分が溶融しやすい芯鞘型のもの)などを例示することができる。さらに、不織布は、どのような加工によって製造されたものであってもよい。
【0083】
不織布における繊維結合の方法は、接着剤や溶剤などの化学的手段、加熱などの物理的手段、又はいわゆる交絡のいずれも採用でき、例えばスパンレース法、スパンボンド法、サーマルボンド法、メルトブローン法、ニードルパンチ法、エアスルー法、ポイントボンド法等を採用することができる。不織布を用いる場合、その目付けは10〜25g/m
2程度とするのが好ましい。また、第1シート層20A及び第2シート層20Bの一部又は全部は、一枚の資材を折り返して対向させた一対の層であっても良い。例えば、図示形態のように、ウエスト端部23では、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとし、かつそのウエスト開口縁で内面側に折り返してなる折り返し部分20Cを第1シート層20Aとして、その間に弾性シート30を介在させるとともに、それ以外の部分では内側に位置する構成材を第1シート層20Aとし、外側に位置する構成材を第2シート層20Bとして、その間に弾性シート30を介在させることができる。もちろん、前後方向LDの全体にわたり第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材を個別に設け、構成材を折り返しすることなく、第1シート層20Aの構成材及び第2シート層20Bの構成材間に弾性シート30を介在させることもできる。
【0084】
弾性シート30は特に限定されるものではなく、それ自体弾性を有する熱可塑性樹脂製のシートであれば、弾性(エラスティック)フィルムの他、伸縮不織布であってもよい。また、弾性シート30としては、無孔のものの他、通気のために多数の孔やスリットが形成されたものも用いることができる。特に、幅方向WD(伸縮方向ED、MD方向)における引張強度が8〜25N/35mm、前後方向LD(伸縮方向と直交する方向XD、CD方向)における引張強度が5〜20N/35mm、幅方向WDにおける引張伸度が450〜1050%、及び前後方向LDにおける引張伸度が450〜1400%の弾性シート30であると好ましい。弾性シート30の厚みは特に限定されないが、20〜40μm程度であるのが好ましい。
【0085】
(異なる形状のシート接合部の組み合わせ)
弾性シート伸縮構造20Xを有する領域には、伸縮特性や外観を変化させるために、形状が異なるシート接合部40を設けることができる。例えば、
図11に示す例の伸縮領域80のシート接合部40は、向きが異なる長方形状のシート接合部40を含むものであるが、このような向きが異なるシート接合部40も、形状が異なるシート接合部40に含まれる。また、
図15に示す例の伸縮領域80のシート接合部40は、長さが異なる長方形状のシート接合部40を含むものであるが、このような長さが異なるシート接合部40も、形状が異なるシート接合部40に含まれる。さらに、伸縮領域80のシート接合部40の形状と非伸縮領域70のシート接合部40の形状とが異なる場合も、いうまでもなく弾性シート伸縮構造20Xを有する領域が形状の異なるシート接合部40を有することに含まれる。
【0086】
図示例のようなパンツタイプ使い捨て着用物品の場合、弾性シート伸縮構造20Xを、前後方向LDにおいて中間部L内から胴周り部T内にわたり、かつ幅方向WDにおいてサイドシール部21間にわたり設け、脚開口に沿う縁部領域82の伸縮性及び外観と、それ以外の領域の伸縮性及び外観とを異ならしめることにより、脚周り及びそれ以外の領域のフィット性を改善するのは好ましい。このために、例えば
図22に拡大して示すように、脚開口に沿う縁部領域82におけるシート接合部40の形状と、それ以外の領域におけるシート接合部40の形状とを異なるものとすることができる。
【0087】
このように、弾性シート伸縮構造20Xを有する領域に異なる形状のシート接合部40が設けられている場合、前述のように溶着不良が発生するおそれや、アンビルロール等の機器の早期摩耗や破損につながるおそれがある。そこで、弾性シート伸縮構造20Xを有する領域におけるすべてのシート接合部40は、接合基準径φが0.2mm以上であり、接合基準径φの最大値が最小値の1〜3倍であり、かつ周長が接合基準径φを直径とする円の円周の長さの1〜15倍であることが望ましい。各数値の意味については前述したとおりである。すなわち、
接合基準径が0.2mm未満では基本的に溶着不良が起こりやすい。また、過剰に長かったり、過剰に入り組んだ外形のシート接合部40は部分的な溶着不良が起こりやすい。この観点からシート接合部40の周長は上記範囲内とすることが好ましい。さらに、シート接合部40の接合基準径φの差が大き過ぎる場合、シート接合部40を形成する際の線圧を接合基準径φの大きなシート接合部40に合わせると溶着不良が起こりやすくなる。また、シート接合部40を形成する際の線圧を接合基準径φの小さなシート接合部40に合わせて高くすると、アンビルロール等の機器の早期摩耗や破損につながるおそれがある。
【0088】
ここで、接合基準径φとは、シート接合部40の外形に内接する最大の内接円40cの直径を意味する。したがって、
図24(a)(b)に示すように細長い形状のシート接合部40の接合基準径φは長径と比較して小さく、
図24(c)(d)に示すように、円や正五角形のような円に近い形状のシート接合部40の接合基準径φは長径とほぼ同様となる。
図24(e)に示すようにL字形状のシート接合部40の場合も、接合基準径φは長径と比較して小さくなる。これらの例からも分かるように、図示しないが星形のような入り組んだ形状のシート接合部40も接合基準径φは小さめとなる。
【0089】
接合基準径φの寸法は上記範囲内であればよいが、一つの好ましい例としては、第1シート層及び第2シート層が繊度0.7〜6dtex、目付け10〜25g/m
2の不織布である場合、弾性シート伸縮構造20Xを有する領域におけるすべてのシート接合部40は、接合基準径φが0.2〜0.8mmとすることが好ましい。これにより、溶着不良の抑制及び機器の早期摩耗・破損の防止の両立を図ることができる。より好ましい接合基準径φの範囲は0.25〜0.5mmである。
【0090】
形状が異なるシート接合部40において、接合基準径φは
図22に示す例のように異なっていても、
図23に示すように同じであってもよい。
【0091】
超音波シールにおいて溶着不良に影響する線圧は、フォース圧により調整することができるため、溶着不良を確実に防止するためには、一つの超音波ホーンで形成するすべてのシート接合部40が上記条件を満たすことが望ましい。同様に、ヒートシールの場合には、一対のアンビルロール及び対向ロールで形成するすべてのシート接合部40が上記条件を満たすことが望ましい。
【0092】
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前身頃」「後身頃」は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を境としてそれぞれ前側及び後側の部分を意味する。また、股間部は、パンツタイプ使い捨ておむつの前後方向中央を含む前後方向範囲を意味し、吸収体が括れ部を有する場合には当該括れ部を有する部分の前後方向範囲を意味する。
・「最大伸び」とは、伸縮方向EDの伸びの最大値(換言すれば第1シート層及び第2シート層が収縮や弛み無く平坦に展開した展開状態の伸び)を意味し、展開状態の長さを自然長を100%としたときの百分率で表すものである。
・「面積率」とは単位面積に占める対象部分の割合を意味し、対象領域(例えば伸縮領域80、非伸縮領域70)における対象部分(例えばシート接合部40、接合孔31の開口、通気孔)の総和面積を当該対象領域の面積で除して百分率で表すものであり、特に伸縮構造を有する領域における「面積率」とは、展開状態の面積率を意味するものである。対象部分が間隔を空けて多数設けられる形態では、対象部分が10個以上含まれるような大きさに対象領域を設定して、面積率を求めることが望ましい。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・吸収体の「厚み」は、株式会社尾崎製作所の厚み測定器(ピーコック、ダイヤルシックネスゲージ大型タイプ、型式J−B(測定範囲0〜35mm)又は型式K−4(測定範囲0〜50mm))を用い、試料と厚み測定器を水平にして、測定する。
・上記以外の「厚み」は、自動厚み測定器(KES−G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm
2、及び加圧面積:2cm
2の条件下で自動測定する。
・「引張強度」及び「引張伸度(破断伸び)」は、試験片を幅35mm×長さ80mmの長方形状とする以外は、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔(標線間距離)を50mmとし、引張速度を300mm/minとして測定される値を意味する。引張試験機としては、例えばSHIMADZU社製のAUTOGRAPH AGS−G100Nを用いることができる。
・「伸長応力」とは、JIS K7127:1999「プラスチック−引張特性の試験方法−」に準じて、初期チャック間隔(標線間距離)を50mmとし、引張速度を300mm/minとする引張試験により、弾性領域内で伸長するときに測定される引張応力(N/35mm)を意味し、伸長の程度は試験対象により適宜決定することができる。試験片は幅35mm、長さ80mm以上の長方形状とすることが好ましいが、幅35mmの試験片を切り出すことができない場合には、切り出し可能な幅で試験片を作成し、測定値を幅35mmに換算した値とする。また、対象領域が小さく、十分な試験片を採取できない場合であっても、伸長応力の大小を比較するのであれば、適宜小さい試験片でも同寸法の試験片を用いる限り少なくとも比較は可能である。引張試験機としては、例えばSHIMADZU社製のAUTOGRAPH AGS−G100Nを用いることができる。
・「展開状態」とは、収縮や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。