【氏名又は名称原語表記】KUNMING INSTITUTE OF ZOOLOGY .CAS(CHINESE ACADEMY OF SCIENCES )
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
ざ瘡は、毛包性皮脂腺の慢性炎症で、青少年期の一般的な炎症性皮膚疾患であり、頬、額、頬及び鼻唇溝で発生しやすく、次は胸部、背部及び肩部で発生しやすい。ざ瘡の発病には、主に、性ホルモンのレベル、皮脂腺の大量分泌、プロピオニバクテリウム・アクネスの増殖、毛包皮脂腺管の異常な角質化及び炎症などの要素が関連する。思春期に皮膚表面の脂質成分が変化し、男性ホルモンが増加することによって、皮脂毛包管が過度に角化する。毛包壁から脱落した上皮細胞と皮脂とは混合し毛包口を閉塞して、にきびを形成する。さらにプロピオニバクテリウムなどの作用に加えて細菌感染することにより、炎症が引き起こされ、皮膚に瘡が生じ、これを患った後は非常に苦痛となる。
【0003】
腫瘍は、有機体の局部組織の細胞が、様々な発癌性因子の作用下で、遺伝子レベルでその増殖に対する正常な調節機能を失い、クローン性異常増殖をもたらして形成される新生物である。人体への危害の大きさと増殖特性に応じて、良性腫瘍と悪性腫瘍という二種類に分けられている。悪性腫瘍は急速に増殖し、増殖の際に周囲の組織に浸潤し、その表面に膜がほとんどなく、全身に転移することが多い。悪性腫瘍の発病率は年々増加する傾向があり、様々な疾病の死亡原因において、悪性腫瘍は上位を占めており、重点的に予防・治療が必要な疾病である。
【0004】
抗菌ペプチドは、生物体内で誘導されて生じる生物活性を有する低分子ポリペプチドであり、約1000〜7000の分子量を有し、10〜60個のアミノ酸残基からなる。抗菌ペプチドは、生物に微生物が侵入したとき、有機体の免疫反応に関与し、有機体が迅速に生成する効率的で広範囲の抗菌ペプチド類の分子である。抗菌ペプチドは、有機体の効果的な防御分子として広く存在している。現在、微生物、植物、昆虫、節足動物、両生動物、哺乳動物、さらには人体内で、数千種類の抗菌ペプチドが同定されている。
抗菌ペプチドの抗菌メカニズムは複雑であるが、抗菌ペプチドのカチオン性及び疎水性と負帯電性微生物被膜との作用に関連するという説が多い。細菌の細胞膜と接触した後、抗菌ペプチドは、膜の透過性に変化を引き起こすか、又は細菌の細胞膜に膜貫通孔を形成することによって、最終的には細菌の内容物を漏出させ細菌を死滅させる。そのため、抗菌ペプチドは、従来の抗生物質より殺菌速度が遥かに早い。また、低濃度で細菌の増殖を抑制する抗生物質とは異なり、抗菌ペプチドの細菌に対する作用は致命的である。
従来の抗生物質と比較して、抗菌ペプチドは、薬剤耐性株の生成を誘導しにくく、広範な抗菌スペクトルを有し、細菌、真菌、ウイルス、原虫及び癌細胞のいずれもにも影響を与えることが研究により明らかになった。家禽では、3つのファミリーに属する抗菌ペプチドが見つかっており、カテリシジン、肝臓由来アンチマイクロバイアルペプチド(liver−expressed antimicrobial peptide)(LEAP)、及びβ−ディフェンシンが含まれる。これらの抗菌ペプチドは、家禽の細菌性やウイルス性の疾病に対して極めて重要な作用を有し、これらに関連する遺伝子の突然変異又は欠失は、家禽の微生物感染に対する抵抗能力に顕著な影響を及ぼす。これらの抗菌ペプチドは、広域抗菌活性を有するとともに、効率的な抗真菌、抗ウイルス、抗原虫及び(又は)抗腫瘍活性を有する。例えば、Bat5及びIMc7は、レプトスピラを殺滅することができ、カンジダ・アルビカンス、クリプトコッカス、エンベロープウイルス及び寄生虫に対して比較的優れた殺滅作用を有する。幾つかの抗菌ペプチドは、ヘルペスウイルス、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、エンベロープウイルスに対して明らかな殺傷力を有する。さらに、幾つかの抗菌ペプチドは同時に、多種の他の調節機能を有し、例えば、カテリシジンは創傷治癒、組織損傷修復、化学走化作用、血管新生促進及び抗寄生虫などの機能を有し、動物の体内免疫を調節するのに対して重要な生物学的活性を有する。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付の図面を参照して実施例により本発明をさらに説明するが、本発明の技術的範囲は以下の説明に限定されるものではない。
【0011】
〈実施例1〉低分子ポリペプチドZY4の調製
(1)樹脂を0.2g秤量して、乾燥した清浄な反応管に入れ、適量のN、N−ジメチルホルムアミド(DMF)を添加し、30分間活性化させた。1mmolの第1のアミノ酸残基、150mgの4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)を秤量して反応管に入れ、DMFを溶媒として3時間反応させた。反応が完了した後、DMFで3〜6回洗浄して、適量の体積比が1:1のピリディンと無水酢酸の混合液を入れ、30分間反応させた。反応が完了した後、DMFで3〜6回洗浄した。その後、アミノ酸保護基Fmocをピペリジンで毎回15分間、2回溶離した。次いでDMFで4回、メタノールで2回洗浄した。
【0012】
(2)3mmolの第2のアミノ酸、3mmolのHBTUを秤量して反応管に入れ、0.5mlのDIEAを添加し、40分間反応させた。その後、DMFで3〜6回洗浄し、アミノ酸保護基Fmocをピペリジン溶液で毎回10分間、2回溶離し、次いでDMFで4回、メタノールで2回洗浄した。
【0013】
(3)最後のアミノ酸残基まで、(2)のステップを繰り返した。
【0014】
(4)最後のアミノ酸の反応が完了した後、トリフルオロ酢酸で2時間切断し、反応物を吸引濾過し、ポリペプチドのトリフルオロ酢酸溶液を得た。これをエーテルで沈殿させて遠心分離した後、エーテルで3〜5回洗浄して白色固体を取得し、HPLCで脱塩し凍結乾燥してポリペプチドサンプルを得た。
【0015】
〈実施例2〉低分子ポリペプチドZY4の抗菌実験
(1)大腸菌、カンジダアルビカンス、黄色ブドウ球菌、枯草菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス‐コーニイの菌液をそれぞれ調製し、37℃で18h恒温培養し、使用のために備えた。
【0016】
(2)濃度が0.8〜20μg/mlである低分子ポリペプチドZY4の溶液を調製し、直径が5〜7mmである円形のろ過紙を消毒して乾燥した後、上記異なる濃度の低分子ポリペプチドZY4の溶液に浸漬した。
【0017】
(3)LB培地を調製し滅菌して、使用のために備えた。
【0018】
(4)LB培地を溶解し、50℃まで冷却し、大腸菌、カンジダアルビカンス、黄色ブドウ球菌、枯草菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス‐コーニイの菌液をそれぞれ1ml添加し、均一に軽く振り、無菌平皿に注入し、培地が平皿に均一に平らになるように軽く振った。
【0019】
(5)消毒した鉗子によりろ過紙を冷却した平皿内に順番に入れ、クレイタイルの蓋で覆い、マーカーを付け、37℃の恒温培養箱内に置いて24時間培養した。
【0020】
(6)阻止円のサイズをノギスで測定し、異なる濃度の低分子ポリペプチドZY4の異なる細菌に対する感受性の強度を比較した。結果を表1及び表2に示す。
【0021】
【表1】
********
表1に示されるように、大腸菌、カンジダアルビカンス、黄色ブドウ球菌及び枯草菌に対する低分子ポリペプチドZY4の最小阻止濃度は、それぞれ12.15μg/ml、2.12μg/ml、2.14μg/ml、1.10μg/mlであった。
【0022】
【表2】
*******
表2に示されるように、ざ瘡に関与する黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ヘモリチカス、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス‐コーニイに対する低分子ポリペプチドZY4の最小阻止濃度は、それぞれ2.25μg/ml、2.17μg/ml、2.45μg/ml、1.10μg/mlである。
実験結果により、低分子ポリペプチドZY4は顕著な抑菌作用を有することがわかった。
【0023】
〈実施例3〉マウスの耳のざ瘡モデルに対する低分子ポリペプチドZY4の治療効果
(1)プロピオニバクテリウム・アクネスATCC11817を脳心臓浸出物培地、対数期まで培養し、生理食塩水で2回洗浄し、生理食塩水で5×10
8CFU/mlに再懸濁した。
【0024】
(2)重量18gの昆明種雄マウスを選択し、治療群、陽性対照群及び陰性対照群の3群にランダムに分けた。各群は、6匹として、麻酔のために120μlの1%のペントバルビタールナトリウムを各マウスの腹腔内に注射した。その後、一匹につき20μlの再懸濁した菌液をマウスの左耳皮内に注射した。
【0025】
(3)ポリエチレングリコール、グリセリンを用いて、低分子ポリペプチドZY4、クリンダマイシンをそれぞれ2mg/ml含む軟膏に調製した。ここで、ポリエチレングリコールとグリセリンの重量比率は5:1として、得られた軟膏をマウスの左耳の皮膚表面に塗った。治療群には、低分子ポリペプチドZY4含有軟膏を塗り、陽性対照群には、クリンダマイシン含有軟膏を塗り、陰性対照群には、ポリエチレングリコールのみを塗った。8時間毎に1回、合計3回投与し、24時間後にマウスを殺した。
【0026】
(4)清浄な酒精綿を用いてマウスの左耳を消毒し、左耳を切り粉砕し、ホモジナイザー内に移して十分に均質化した。1つの耳に対して、1mlの生理食塩水を添加して均質化した。
【0027】
(5)ホモジネートを1000倍に希釈し、50μlの希釈液を取り、脳心臓浸出物培地プレートに塗布し、37℃で72時間嫌気培養し、コロニーを数えた。結果を
図1に示す。2mg/mlの低分子ポリペプチドZY4を投与して治療を行った場合、プロピオニバクテリウム・アクネスのコロニー数は2.1×10
5になった。2mg/mlのクリンダマイシンを投与して治療を行った場合、プロピオニバクテリウム・アクネスのコロニー数は5.6×10
5になった。ポリエチレングリコールを投与して治療を行った場合、プロピオニバクテリウム・アクネスのコロニー数は9.44×10
5になった。これらの結果より、マウスの耳のざ瘡に対するZY4の治療効果は明らかにクリンダマイシンより良好であることが認められた。
【0028】
〈実施例4〉マウスの耳のざ瘡モデル炎症に対する低分子ポリペプチドZY4の治療効果
(1)プロピオニバクテリウム・アクネスATCC6919を脳心臓浸出物培地で対数期まで培養し、生理食塩水で2回洗浄し、生理食塩水で5×10
8CFU/mlに再懸濁した。
【0029】
(2)重量18gの昆明種雄マウスを選択し、治療群、陽性対照群及び陰性対照群の3群にランダムに分けた。各群は9匹として、麻酔のために50μlのケタミンを各マウスの腹腔内に注射した。その後、一匹につき20μlの再懸濁した菌液をマウスの左耳皮内に注射した。
【0030】
(3)ポリエチレングリコールとグリセリンを用いて、低分子ポリペプチドZY4、クリンダマイシンをそれぞれ2mg/ml含む軟膏として調製した。ここで、ポリエチレングリコールとグリセリンの重量比率は5:1とし、マウスの左耳の皮膚表面に塗った。治療群には、低分子ポリペプチドZY4含有軟膏を塗り、陽性対照群には、クリンダマイシン含有軟膏を塗り、陰性対照群には、ポリエチレングリコールのみを塗り、8時間毎に1回、合計3回投与し、24時間後マウスを殺した。
【0031】
(4)清浄な酒精綿を用いてマウスの左耳を消毒し、マウスの耳の厚さを測定した。結果を
図2に示す。治療前のマウスの耳の厚さはいずれも0.20mmであった。2mg/mlの低分子ポリペプチドZY4を投与して治療を1日行った場合、マウスの耳の厚さは0.25mmになった。2mg/mlのクリンダマイシンを投与して治療を1日行った場合、マウスの耳の厚さは0.34mmになった。ポリエチレングリコールを投与して治療を1日行った場合、マウスの耳の厚さは0.43mmになった。これらの結果より、ZY4の消炎効果は、明らかにクリンダマイシンより良好であることが示された。
【0032】
〈実施例5〉低分子ポリペプチドZY4による抗肺癌腫瘍細胞A549活性化の実験
(1)対数期の肺癌腫瘍細胞A549を収集し、細胞懸濁液を調製した。ここで、濃度が、5×10
6〜10×10
6個/mlとなるように調節し、各ウェルに100μl加え、測定される細胞の密度が1000〜10000ウェルとなるようにプレートに播種した。辺縁部のウェルを無菌PBSで充填した。
【0033】
(2)5%のCO
2、37℃で、96ウェル平底プレートのウェル底に細胞単層が覆われるまでインキュベートし、細胞を壁に2〜12時間付着した後、それぞれ濃度が100μg/mlと200μg/mlである低分子ポリペプチドZY4、及びそれぞれ濃度が10μg/mlと5μg/mlであるタクソールを加え、5%のCO
2、37℃で16〜48時間インキュベートし、倒立顕微鏡で観察した。
【0034】
(3)各ウェルに5mg/mlのMTT溶液を20μl加え、培養を4時間継続し、ウェル内の培養液を吸い取った。
【0035】
(4)各ウェルに150μlのジメチルスルホキシドを加え、シェーカーに置いて低速で10min振動して、結晶物を十分に溶解させた。酵素結合免疫検出器により490nmで各ウェルの吸光度を測定し、同時にゼロウェル、対照ウェルを設置した。結果を
図3に示す。200μg/mlのZY4を肺癌細胞A549に作用させた後のOD値は0.3であり、100μg/mlのZY4を肺癌細胞A549に作用させた後のOD値は0.5であった。10μg/mlのタクソールを癌細胞の肺癌細胞A549に作用した後のOD値は0.5であり、10μg/mlのタクソールを癌細胞の肺癌細胞A549に作用した後のOD値は0.7であった。これらの結果より、ZY4が肺癌腫瘍細胞A549に対して明らかな抑制作用を有することが示された。
【0036】
〈実施例6〉低分子ポリペプチドZY4による抗乳癌細胞MDA−435活性化の実験
(1)対数期の乳癌細胞MDA−435を収集し、細胞懸濁液を調製し、その濃度を5×10
6〜10×10
6個/mlに調節し、各ウェルに100μl加え、測定される細胞の密度が1000〜10000ウェルとなるようにプレートに播種した。辺縁部のウェルを無菌PBSで充填した。
【0037】
(2)5%のCO
2、37℃で、96ウェル平底プレートのウェル底に細胞単層が覆われるまでインキュベートし、細胞を壁に2〜12時間付着した後、濃度が50〜300μg/mlである低分子ポリペプチドZY4を加え、同体積の生理食塩水を対照として、5%のCO
2、37℃で16〜48hインキュベートし、倒立顕微鏡で観察した。
【0038】
(3)各ウェルに5mg/mlのMTT溶液を20μl加え、培養を4時間継続し、ウェル内の培養液を吸い取った。
【0039】
(4)各ウェルに150μlのジメチルスルホキシドを加え、シェーカーに置いて低速で10min振動して、結晶物を十分に溶解させた。酵素結合免疫検出器により490nmで各ウェルの吸光度を測定し、同時にゼロウェル、対照ウェルを設置した。結果を
図4に示す。300μg/mlのZY4を乳癌細胞MDA−435に作用させた後のOD値は0.17であり、200μg/mlのZY4を乳癌細胞MDA−435に作用させた後のOD値は0.20であり、100μg/mlのZY4を乳癌細胞MDA−435に作用させた後のOD値は0.61であり、50μg/mlのZY4を乳癌細胞MDA−435に作用させた後のOD値は0.7であった。これらの結果より、ZY4の乳癌細胞MDA−435に対する抑制効果に濃度依存性があることが示される。
【0040】
〈実施例7〉低分子ポリペプチドZY4による抗抗メラノーマ細胞A357活性化の実験
(1)対数期のメラノーマ細胞A357を収集し、細胞懸濁液を調製し、その濃度を5×10
6〜10×10
6個/mlに調節し、各ウェルに100μl加え、測定される細胞の密度を1000〜10000ウェルになるようにプレートに播種した。辺縁部のウェルを無菌PBSで充填した。
【0041】
(2)5%のCO
2、37℃で、96ウェル平底プレートのウェル底に細胞単層が覆われるまでインキュベートし、細胞を壁に2〜12時間付着した後、濃度が100、200μg/mlである低分子ポリペプチドZY4を加え、同体積の生理食塩水を対照として、5%のCO
2、37℃で16〜48hインキュベートし、倒立顕微鏡で観察した。
【0042】
(3)各ウェルに5mg/mlのMTT溶液を20μl加え、培養を4時間継続し、ウェル内の培養液を吸い取った。
【0043】
(4)各ウェルに150μlのジメチルスルホキシドを加え、シェーカーに置いて低速で10min振動して、結晶物を十分に溶解させた。酵素結合免疫検出器により490nmで各ウェルの吸光度を測定し、同時にゼロウェル、対照ウェルを設置した。結果を
図5に示す。100μg/mlのZY4をメラノーマ細胞A357に作用させた後のOD値は1.0であり、200μg/mlのZY4をメラノーマ細胞に作用させた後のOD値は0.72であり、生理食塩水をメラノーマ細胞に作用させた後のOD値は1.0であった。これらの結果により、200μg/mlのZY4がメラノーマに対して明らかな抑制作用を有することが示された。
【0044】
〈実施例8〉低分子ポリペプチドZY4による抗肝癌細胞HepG2活性化の実験
(1)対数期の肝癌細胞HepG2を収集し、細胞懸濁液を調製し、その濃度を5×10
6〜10×10
6個/mlに調節し、各ウェルに100μl加え、測定される細胞の密度を1000〜10000ウェルにするようにプレートに播種した。辺縁部のウェルを無菌PBSで充填した。
【0045】
(2)5%のCO
2、37℃で、96ウェル平底プレートのウェル底に細胞単層が覆われるまでインキュベートし、細胞が壁に2〜12h付着した後、濃度が100、200μg/mlである低分子ポリペプチドZY4を加え、同体積の生理食塩水を対照として、5%のCO
2、37℃で16〜48hインキュベートし、倒立顕微鏡で観察した。
【0046】
(3)各ウェルに5mg/mlのMTT溶液を20μl加え、培養を4時間継続し、ウェル内の培養液を吸い取った。
【0047】
(4)各ウェルに150μlのジメチルスルホキシドを加え、シェーカーに置いて低速で10min振動して、結晶物を十分に溶解させた。酵素結合免疫検出器により490nmで各ウェルの吸光度を測定し、同時にゼロウェル、対照ウェルを設置した。結果を
図6に示す。100μg/mlのZY4を肝癌細胞HepG2に作用させた後のOD値は0.89であり、200μg/mlのZY4を肝癌細胞HepG2に作用させた後のOD値は0.6であり、生理食塩水を肝癌細胞HepG2に作用させた後のOD値は1.0であった。これらの結果により、200μg/mlと100μg/mlのZY4が肝癌細胞HepG2に対して明らかな抑制作用を有することが示された。
〈実施例8〉低分子ポリペプチドZY4による抗胃癌細胞SGC7901活性化の実験
【0048】
(1)対数期の胃癌細胞SGC7901を収集し、細胞懸濁液を調製し、その濃度を5×10
6〜10×10
6個/mlに調節し、各ウェルに100μl加え、測定される細胞の密度を1000〜10000ウェルにするようにプレートに播種した。辺縁部のウェルを無菌PBSで充填した。
(2)5%のCO
2、37℃で、96ウェル平底プレートのウェル底に細胞単層が覆われるまでインキュベートし、細胞を壁に2〜12時間付着した後、濃度が50〜300μg/mlである低分子ポリペプチドZY4を加え、同体積の生理食塩水を対照として、5%のCO
2、37℃で16〜48hインキュベートし、倒立顕微鏡で観察した。
【0049】
(3)各ウェルに5mg/mlのMTT溶液を20μl加え、培養を4時間継続し、ウェル内の培養液を吸い取った。
【0050】
(4)各ウェルに150μlのジメチルスルホキシドを加え、シェーカーに置いて低速で10min振動して、結晶物を十分に溶解させた。酵素結合免疫検出器により490nmで各ウェルの吸光度を測定した。同時にゼロウェル、対照ウェルを設置した。結果を
図7に示す。50μg/mlのZY4を胃癌細胞SGC7901に作用させた後のOD値は0.65であり、100μg/mlのZY4を胃癌細胞SGC7901に作用させた後のOD値は0.57であり、200μg/mlのZY4を胃癌細胞SGC7901に作用させた後のOD値は0.2であり、300μg/mlのZY4を胃癌細胞SGC7901に作用した後のOD値は0.09であった。これらの結果により、ZY4が肝癌細胞胃癌細胞SGC7901に対して明らかな抑制作用を有することが示された。