特許第6546306号(P6546306)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546306
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】三次元物体の生成
(51)【国際特許分類】
   B29C 64/336 20170101AFI20190705BHJP
   B29C 64/165 20170101ALI20190705BHJP
   B29C 64/209 20170101ALI20190705BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20190705BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20190705BHJP
   B33Y 70/00 20150101ALI20190705BHJP
【FI】
   B29C64/336
   B29C64/165
   B29C64/209
   B33Y10/00
   B33Y30/00
   B33Y70/00
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-36104(P2018-36104)
(22)【出願日】2018年3月1日
(62)【分割の表示】特願2016-546466(P2016-546466)の分割
【原出願日】2014年1月16日
(65)【公開番号】特開2018-118517(P2018-118517A)
(43)【公開日】2018年8月2日
【審査請求日】2018年3月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100121061
【弁理士】
【氏名又は名称】西山 清春
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】デ・ペナ,アレハンドロ・マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】コマス・セスペデス,エステヴェ
(72)【発明者】
【氏名】バルデス,ルイス
【審査官】 田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−7572(JP,A)
【文献】 特開2001−334581(JP,A)
【文献】 特開2005−132110(JP,A)
【文献】 特開2004−262243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 64/336
B29C 64/165
B29C 64/209
B33Y 10/00
B33Y 30/00
B33Y 70/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元物体を生成するための装置であって、
構築材料の層の部分上へ合体剤を選択的に供給するための第1の剤分配器と、
構築材料の層の部分上へ合体調整剤を選択的に供給するための第2の剤分配器と、
コントローラとを含み、
前記コントローラが、生成されるべき三次元物体のスライスを表すデータから導出された個々のパターンにおいて構築材料の層上へ前記合体剤および合体調整剤のそれぞれを選択的に供給するように前記第1及び第2の剤分配器を制御し、その結果、エネルギーが前記構築材料の層に印可される場合に、前記構築材料が前記パターンに従って三次元物体の層を形成するために合体および固化し、
合体剤のみが供給された又は浸透した構築材料の部分は、エネルギーが印加された場合に前記構築材料の融点を超えて加熱されて合体し、合体調整剤のみが供給された又は浸透した構築材料の部分は、エネルギーが印可された場合に合体せず
合体調整剤は、合体剤が供給された場所に隣接して供給されて、横方向の合体ブリードの効果を低減することに役立つ、装置。
【請求項2】
前記個々のパターンは、前記構築材料の層にエネルギーが印加された場合、合体調整剤に合体ブリードを制御させることにより、物体が前記パターンに依存したプロパティを有するようにする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記装置は、合体剤および合体調整剤が構築材料に供給されるパターンに関連する物体プロパティを有する三次元物体を生成することができる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
構築材料支持体上に構築材料の第1の層を提供し、構築材料の以前に提供された層上に構築材料の後続の層を提供するための構築材料分配器を更に含む、請求項1〜3の何れかに記載の装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の剤分配器は、それらが前記支持体に広がることを可能にするための長さを有し、前記支持体および前記第1及び第2の剤分配器の少なくとも1つは、合体剤および合体調整剤が構築材料の層の任意の部分の表面に選択的に供給可能にすることを可能にするように互いに対して移動可能である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の剤分配器が第1のプリントヘッドを含み、前記第2の剤分配器が異なる第2のプリントヘッドを含み、又は前記第1の剤分配器がプリントヘッドのノズルの第1のアレイを含み、前記第2の剤分配器が前記プリントヘッドのノズルの第2のアレイを含む、請求項1〜5の何れかに記載の装置。
【請求項7】
前記コントローラが、生成されるべき三次元物体のスライスを表すデータ及び生成されるべき前記三次元物体の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの所望の物体プロパティを表すデータの組み合わせから導出された制御データに従って、前記構築材料の層の表面上へ前記合体剤および合体調整剤を選択的に供給するために前記第1及び第2の剤分配器を制御することができる、請求項1〜6の何れかに記載の装置。
【請求項8】
前記構築材料分配器が、約90〜110μm(ミクロン)の範囲の層の厚さを有する構築材料の層を提供することができ、前記薬剤分配器が1小滴当たり約10ピコリットルの剤の小滴を提供することができる、請求項4又は5に記載の装置。
【請求項9】
第2の合体剤を構築材料の層上へ選択的に供給するための第3の剤分配器、及び/又は第2の合体調整剤を構築材料の層上へ選択的に供給するための第4の剤分配器を更に含む、請求項1〜8の何れかに記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラが、三次元物体を表すデータ及び物体プロパティデータから制御データを生成することができる、請求項1〜9の何れかに記載の装置。
【請求項11】
前記支持体を横切って双方向に移動可能なキャリッジを更に含み、前記キャリッジには、合体剤を選択的に供給するための一対の第1の剤分配器、合体調整剤を選択的に供給するための一対の第2の剤分配器、及び構築材料分配器が搭載され又は取り付け可能であり、前記第1及び第2の剤分配器および前記構築材料分配器は、前記キャリッジが何れの方向に移動する間に、構築材料、合体剤および合体調整剤の供給を可能にするように配列されている、請求項4に記載の装置。
【請求項12】
前記支持体を横切って双方向に移動可能なキャリッジを更に含み、前記キャリッジには、合体剤を選択的に供給するための第1の剤分配器、合体調整剤を選択的に供給するための第2の剤分配器、及び一対の構築材料分配器が搭載され又は取り付け可能であり、前記第1及び第2の剤分配器および前記構築材料分配器は、前記キャリッジが何れの方向に移動する間に、構築材料、合体剤および合体調整剤の供給を可能にするように配列されている、請求項4に記載の装置。
【請求項13】
合体剤および合体調整剤が供給された場所に従って三次元物体の層を形成するために、構築材料の一部を合体および固化させるように構築材料にエネルギーを印可するための非集束エネルギー源を更に含む、請求項1〜12の何れかに記載の装置。
【請求項14】
三次元物体を生成するようにシステムを制御する方法であって、
生成されるべき三次元物体の一部を表すデータから導出される制御データを取得し、
構築材料の層を堆積し、
前記堆積された構築材料の層上に、前記取得された制御データに従って合体剤および合体調整剤を選択的に付着し、
合体剤および合体調整剤が付着された場所に従って前記三次元物体の一部を形成するために、構築材料の部分を合体および固化させるように前記堆積された構築材料にエネルギーを印可することを含み、
合体剤のみが供給された又は浸透した構築材料の部分は、エネルギーが印加された場合に前記構築材料の融点を超えて加熱されて合体し、合体調整剤のみが供給された又は浸透した構築材料の部分は、エネルギーが印可された場合に合体せず、
合体調整剤は、合体剤が供給された場所に隣接して供給されて、横方向の合体ブリードの効果を低減することに役立つ、方法。
【請求項15】
前記制御データは、前記構築材料の層にエネルギーが印加された場合、合体調整剤に合体ブリードを制御させることにより、物体が前記制御データに依存したプロパティを有するようにする、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
層毎に三次元物体を生成する積層造形システムは、少量の三次元物体を製造するための潜在的に便利な方法として提案されている。
【0002】
係るシステムにより製造される物体の品質は、使用される積層造形技術のタイプに応じて大きく異なる可能性がある。一般に、低品質および低強度の物体は、より安価なシステムを用いて製造できる可能性がある一方で、高品質および高強度の物体は、より高価なシステムを用いて製造できる可能性がある。
【0003】
ここで、制限しない単なる例示のために、添付図面に関連して、実施例が説明される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】一例に従って、定義された物体プロパティを有する物体モデルの図である。
図2a】一例に従って、構築材料の層(単数または複数)の一連の断面を示す図である。
図2b】一例に従って、構築材料の層(単数または複数)の一連の断面を示す図である。
図2c】一例に従って、構築材料の層(単数または複数)の一連の断面を示す図である。
図2d】一例に従って、構築材料の層(単数または複数)の一連の断面を示す図である。
図2e】一例に従って、構築材料の層(単数または複数)の一連の断面を示す図である。
図2f】一例に従って、構築材料の層(単数または複数)の一連の断面を示す図である。
図2g】一例に従って、構築材料の層(単数または複数)の一連の断面を示す図である。
図3】一例に従って、三次元物体を生成する方法を概説する流れ図である。
図4】一例による、積層造形システムの簡易等角図である。
図5】一例に従って、積層造形システムを動作させる方法を概説する流れ図である。
図6a】様々な例に従って、積層造形システムの部分の構成に関する一連の簡易等角図である。
図6b】様々な例に従って、積層造形システムの部分の構成に関する一連の簡易等角図である。
【0005】
詳細な説明
積層造形技術は、構築材料の固形化処理を通じて三次元物体を生成することができる。構築材料は粉体とすることができ、生成される物体のプロパティ(性質、特性、特質)は、使用される構築材料のタイプ及び固形化メカニズムのタイプに依存する。
【0006】
積層造形システムは、構造設計データに基づいて物体を生成することができる。これは、例えばコンピュータ支援設計(CAD)アプリケーションを用いて、生成されるべき物体の三次元モデルを生成する設計装置(デザイナー)を含むことができる。モデルは、物体の固体部分を定義することができる。積層造形システムを用いてモデルから三次元物体を生成するために、モデルデータは、モデルの平行面のスライス(薄片)を生成するように処理され得る。各スライスは、積層造形システムにより固められるべき構築材料の個々の層の部分を定義(画定)することができる。三次元モデルから生成されるスライスの数は、積層造形システムが生成または処理することができる各層の厚さに関係する。構築材料のより薄い層を生成する積層造形システムは、構築材料のより厚い層を生成するシステムに比べて、より高い解像度(分解能)の物体を生成することができる。三次元物体を生成するのに要する時間は、層の数に極めて依存する可能性がある。
【0007】
物体の剛性のような、幾つかの物体プロパティの違いは、例えば生成されるべき三次元物体のモデルの慎重な設計を通じて得られることができる。例えば、構造リブのような特定設計機構を物体モデルへ含めることにより、物体または物体の一部の剛性が、係る機構を備えていない物体または物体の一部と比べて増大することを可能にすることができる。
【0008】
しかしながら、多くの物体プロパティは、使用される構築材料の性質、及び構築材料が所望の三次元物体を形成するために固められる処理に依存する可能性がある。係るプロパティには例えば、表面粗さ、精度、及び強度が含まれ得る。
【0009】
以下の説明から明らかになるように、本明細書で説明されるシステムにより、単一の生成される物体内で制御可能な可変の又は異なる物体プロパティを有することができる三次元物体が形成されることを可能にすることができる。これにより、物体は、例えば1つ又は複数の可変のプロパティを有することが可能になり、当該1つ又は複数の可変のプロパティには、可変の精度プロパティ、可変の表面粗さプロパティ、及び可変の強度または他の機械的または物理的プロパティが含まれ得る。例えば、形成された物体は、第1のレベルの表面粗さを有する第1の部分、及び第2のレベルの表面粗さを有する第2の部分を含むことができる。
【0010】
しかしながら、留意されるべきは、本明細書で説明されるシステムは、可変の物体プロパティを有する三次元物体を生成することに制限されず、実質的に一様な又は均一な物体プロパティを有する三次元物体が生成されることも可能にする。
【0011】
可変の物体プロパティ
可変の物体プロパティを有する物体は、生成されるべき三次元物体を定義するデータ、及び1つ又は複数の物体プロパティを定義する物体プロパティデータの双方を用いて生成され得る。物体プロパティデータは例えば、物体の部分、及び物体が生成されるやいなや定義された部分が有するべきである所望の物体プロパティを定義することができる。物体プロパティデータは、例えば生成されるべき物体の全体に対して、又は生成されるべき物体の1つ又は複数の部分に対して定義され得る。また、物体プロパティデータは、物体の部分(単数または複数)に対して複数の物体プロパティを定義するために使用されてもよい。
【0012】
一例において、物体プロパティデータは、図1に示されるように、物体モデル100内に定義され得る。図1に示されるように、生成されるべき物体100が示される。物体100は、第1の物体プロパティを有するように定義された第1の部分102、及び第2の物体プロパティを有するように定義された第2の部分104を有する。
【0013】
他の例において、物体プロパティデータは、物体に対して全体的に定義され得る。例えば、物体は、所定の表面粗さの値を有するように定義され得る。1つの係る例において、全体的物体プロパティデータは、物体設計データに指定され得る。別の例において、全体的物体プロパティデータは、例えば積層造形システムのユーザインターフェースを介して、ソフトウェアドライバを介して、デフォルト又は所定の物体プロパティデータを格納するメモリから、又は何らかの他の適切な方法でユーザにより指定され得る。
【0014】
本明細書の説明は3つの主な可変物体プロパティを説明するが、他の例において、他の適切な物体プロパティが定義され得る。他の物体プロパティは例えば、物体有孔性プロパティ、中間層強度プロパティ、物体弾性プロパティ、密度などを含むことができ、物体を生成するために使用される構築材料または薬剤のタイプに依存する可能性がある。
【0015】
処理の概観
ここで、一例による有形の三次元物体を生成する処理(プロセス)が、図2a〜図2g及び図3に関連して説明される。図2a〜図2gは、一例による構築材料の層(単数または複数)の一連の断面を示す。図3は、一例に従って、三次元物体を生成する方法を概説する流れ図である。
【0016】
図3の方法における302において、構築材料の第1の層202aが、図2aに示されるように設けられ得る。構築材料の第1の層は、適切な支持部材(図示せず)上に提供される。一例において、提供される構築材料の層の厚さは、約90〜110μm(ミクロン)の範囲内にあるが、他の例において、構築材料のより薄い又はより厚い層が提供されてもよい。より薄い層を用いることにより、より高い解像度の物体が生成されることを可能にすることができるが、物体を生成するのに要する時間が増大する可能性がある。
【0017】
図3の方法における304において、合体剤204及び合体調整剤206が、構築材料の層202aの表面の1つ又は複数の部分に選択的に供給される。剤204及び206の選択的な供給は、形成されるべき三次元物体のモデルから導出されたデータに従って実施される。
【0018】
選択的な供給によるということは、合体剤および合体調整剤の双方が個々の独立したパターンで構築材料の表面層の選択された部分に供給され得ることを意味する。当該パターンは、形成されるべき三次元物体のモデルから導出されたデータにより定義される。幾つかの例において、合体剤204は第1のパターンに従って構築材料の一部に選択的に供給されることができ、合体調整剤206は第2のパターンに従って構築材料の一部に選択的に供給され得る。一例において、パターンはビットマップを定義する。
【0019】
物体の任意の部分の物体プロパティは、合体剤および合体調整剤が構築材料に供給されるパターンに依存して制御可能に可変とすることができる。
【0020】
一例において、合体剤204及び合体調整剤206は、以下でより詳細に説明されるように、任意の適切な流体供給機構を用いて供給され得る流体である。一例において、剤は、小滴の形態で供給される。しかしながら、留意されるべきは、図2a〜図2gは、略図の形態で薬剤の供給を示す。
【0021】
図2bは、構築材料の表面に供給された剤204及び206が構築材料の層202aへ入り込むことを示す。剤が入り込む度合いは、2つの異なる剤間で異なるか、又は実質的に同じとすることができる。浸透の度合いは、例えば供給された剤の品質、構築材料の特質、剤の性質などに依存することができる。図2a〜図2gに示された例において、剤は、構築材料の層202aへ実質的に完全に入り込むように示されているが、理解されるように、これは単に例示のためであり、決して制限しない。他の例において、剤の一方または双方は、層202aへ100%未満入り込むことができる。幾つかの例において、剤の一方または双方は、構築材料の層202aへ完全に入り込むことができる。幾つかの例において、剤の一方または双方は、構築材料の層202aへ完全に入り込むことができ、且つ構築材料の下位層へさらに入り込むことができる。
【0022】
図3の方法における306において、合体剤および合体調整剤が供給されるやいなや、所定レベルのエネルギーが構築材料の層202aに一時的に印加される。一例において、印加されるエネルギーは、赤外線または近赤外線エネルギーであるが、他の例において、マイクロ波エネルギー、紫外線(UV)光、ハロゲン光、又は超音波エネルギーなどのような他のタイプのエネルギーが印加されてもよい。エネルギーが印加される時間の長さ、又はエネルギー曝露時間は例えば、エネルギー源の特性、構築材料の特性、合体剤の特性、及び合体調整剤の特性の1つ又は複数に依存することができる。使用されるエネルギー源のタイプは、構築材料の特性、合体剤の特性、及び合体調整剤の特性の1つ又は複数に依存することができる。一例において、システム400は、所定の長さの時間にわたってエネルギーを印加するように構成される。
【0023】
エネルギーの一時的な印加により、合体剤が供給された又は浸透した構築材料の部分が、構築材料の融点を超えて加熱されて合体(融合)することができる。冷却されると、合体した部分が固体になり、生成されている三次元物体の部分を形成する。1つの係る部分が図2cの部分208aとして示される。
【0024】
また、合体剤が供給された又は浸透した構築材料により吸収されたエネルギーは、周囲の構築材料にも伝播することができ、周囲の構築材料を加熱するのに十分とすることができる。これにより、例えば構築材料のその融点を超える加熱を生じさせることができる、又は例えば構築材料のその融点未満であるけれども構築材料の軟化および結合を生じるのに適切な温度まで加熱を生じさせることができる。これは、固化されることが意図されていない構築材料の部分のそれに続く固形化という結果になることができ、この効果は、本明細書において合体ブリードと呼ばれる。合体ブリードは例えば、生成された三次元物体の全体精度の低減という結果になることができる。
【0025】
合体ブリードの効果は、構築材料の適切な部分に合体調整剤を供給することにより操作され得る。本例において、合体調整剤は、合体調整剤が供給された又は浸透した構築材料の部分の合体の度合いを低減することに役立つ。
【0026】
生成された三次元物体の品質は、物体が生成されている間に存在する環境条件に依存するかもしれない。例えば、幾つかの状況において、構築材料の温度は、慎重に制御または管理され得る。同様に、気温、湿度などのような他の環境条件も、幾つかの状況において慎重に制御または管理され得る。
【0027】
合体調整剤は、様々な目的に使用され得る。一例において、図2に示されるように、合体調整剤206は、合体剤204が供給された場所に隣接して供給されて、図2aに示されるように、横方向の合体ブリードの効果を低減することに役立つことができる。これは例えば、物体の端部(エッジ)又は表面の精細度または精度を改善するために、及び/又は表面の粗さを低減するために使用され得る。別の例において、合体調整剤には、前述したように物体プロパティが変更されることを可能にするために使用され得る合体剤が点在して供給され得る(更に後述されるように)。
【0028】
供給されるエネルギー、構築材料、及び合体剤と合体調整剤の組み合わせは、何らかの合体ブリードの効果を排除するように、即ちi)合体剤が供給されていない構築材料の部分は、エネルギーがそこに一時的に印加されている場合に合体しない、ii)合体剤のみが供給された又は浸透した構築材料の部分は、エネルギーがそこに一時的に印加されている場合に合体する、及びiii)合体調整剤のみが供給された又は浸透した構築材料の部分は、エネルギーがそこに一時的に印加されている場合に合体しないように選択され得る。
【0029】
合体剤および合体調整剤の双方が供給された又は浸透した構築材料の部分は、変更された度合いの合体を被ることができる。変更の度合いは例えば、以下の何れかの1つ又は複数に依存することができる。即ち、
構築材料の任意の部分における合体剤および合体調整剤の割合;
合体剤が構築材料に供給されるパターン;
合体調整剤が構築材料に供給されるパターン;
合体剤の化学的性質;
合体調整剤の化学的性質;
構築材料の化学的性質;
構築材料と剤との間の化学的相互作用;及び
エネルギーが印加されている間の構築材料と剤との間の相互作用。
【0030】
幾つかの例において、変更の度合いは、合体剤および合体調整剤が構築材料に供給される順序に依存するかもしれない。幾つかの例において、変更の度合いは、合体剤および合体調整剤が構築材料に供給されるタイミングに依存するかもしれない。
【0031】
構築材料の1つの層が上述したように処理された後、図2dに示されるように、構築材料の新たな層202bが構築材料の以前に処理された層202aの上に設けられる。これは、図3のブロック302に示される。このように、構築材料の以前に処理された層は、構築材料の後続の層に対する支持体としての役割を果たす。
【0032】
次いで、図3のブロック304及び306の処理は、三次元物体を層毎に生成するために繰り返され得る。例えば、図2eは、図3のブロック304に従って、構築材料の新たに設けられた層に選択的に供給されている追加の合体剤および合体調整剤を示す。例えば、図2fは、構築材料202bへの剤の浸透を示す。例えば、図2gは、図3のブロック306によるエネルギーの印加の際に、合体剤が供給された又は浸透した構築材料202b及び構築材料を取り囲む構築材料の部分の合体および固形化を示す。
【0033】
エネルギーの印加中に、合体剤が供給された又は浸透した構築材料の部分から吸収された熱は、部分208aのような以前に固化された部分に伝播することができ、それによりその部分の一部が、その融点を超えて加熱される。この効果は、図2gに示されるように、固化された構築材料の隣接する層間の中間層の強い結合を有する部分210を形成するのに役立つ。
【0034】
上述したように、制御可能な可変プロパティを有する三次元物体を生成することは、合体剤および合体調整剤が物体を生成するために使用される構築材料の層に供給される態様を変化させることにより可能である。
【0035】
合体剤および合体調整剤が物体を生成するために使用される構築材料の層に供給される特定の態様により、物体が、様々な物体プロパティを有することを可能にすることができる。
【0036】
システムの概観
ここで図4を参照すると、本発明の一例による積層造形システム400の簡易等角図が示される。
【0037】
システム400は、図5の流れ図に関連して更に後述されるように、構築材料からなる逐次の層の部分の選択的な固形化をもたらすことにより、有形の三次元物体を生成するように動作することができる。
【0038】
一例において、構築材料は、粉体の構築材料である。本明細書で使用される限り、用語「粉体材料」は、乾燥および湿式粉体材料、粒子材料、及び粒状材料を含むことが意図されている。
【0039】
しかしながら、理解されるべきは、本明細書に説明された例は、粉体材料に限定されず、必要に応じて適切な変更を加えて、他の適切な構築材料と共に使用され得る。他の例において、構築材料は例えば、ペースト又はゲル、或いは構築材料の何らかの他の適切な形態とすることができる。
【0040】
例示的なシステム構成
システム400は、積層造形システム400の全般的な動作を制御するシステムコントローラ402を含む。図4に示された例において、コントローラ402は、例えば通信バス(図示せず)を介してメモリ404に結合されたマイクロプロセッサベースのコントローラである。メモリは、プロセッサ実行可能命令406を格納する。コントローラ402は、命令406を実行し、ひいてはこれらの命令に従ってシステム400の動作を制御することができる。
【0041】
システム400は更に、支持部材414上に提供される構築材料の層に合体剤を選択的に供給するための合体剤分配器408を含む。一例において、支持部材は、約10cm×10cmから最大で100cm×100cmまでの範囲の寸法を有する。他の例において、支持部材は、より大きい又はより小さい寸法を有することができる。
【0042】
また、システム400は、支持部材414上に提供される構築材料の層に合体調整剤を選択的に供給するための合体調整剤分配器410も含む。
【0043】
コントローラ402は、薬剤供給制御データ416に従って、提供された構築材料の層に合体剤および合体調整剤を選択的に供給することを制御する。
【0044】
図4に示された例において、薬剤分配器408及び410は、サーマルプリントヘッド又はピエゾインクジェットプリントヘッドのようなプリントヘッドである。一例において、市販のインクジェットプリンタに一般に使用されている適切なプリントヘッドのようなプリントヘッドが使用され得る。
【0045】
プリントヘッド408及び410は、適切な流体の形態である際に、合体剤および合体調整を選択的に供給するために使用され得る。一例において、プリントヘッドは、300〜1200ドット/インチ(DPI)の解像度で薬剤の小滴を供給するように選択され得る。他の例において、プリントヘッドは、より高い又はより低い解像度で薬剤の小滴を供給することができるように選択され得る。一例において、プリントヘッドは、プリントヘッドが流体滴を選択的に吐出することができるノズルのアレイを有することができる。一例において、各小滴は、1小滴当たり約10ピコリットル(pl)程度とすることができるが、他の例において、より大きい又はより小さいサイズの小滴を供給することができるプリントヘッドが使用され得る。幾つかの例において、可変サイズの小滴を供給することができるプリントヘッドが使用され得る。
【0046】
幾つかの例において、剤分配器408は、剤分配器410から供給される合体調整剤の小滴よりも大きい合体剤の小滴を供給するように構成され得る。
【0047】
他の例において、剤分配器408は、剤分配器410から供給される合体調整剤の小滴と同じサイズである合体剤の小滴を供給するように構成され得る。
【0048】
他の例において、剤分配器408は、剤分配器410から供給される合体調整剤の小滴よりも小さい合体剤の小滴を供給するように構成され得る。
【0049】
幾つかの例において、第1及び第2の剤は、それらがプリントヘッドを介して供給されることを可能にするために、水、又は任意の他の適切な溶剤または分散剤のような液体キャリアを含有することができる。
【0050】
幾つかの例において、プリントヘッドは、ドロップオンデマンドのプリントヘッドとすることができる。他の例において、プリントヘッドは、連続ドロップのプリントヘッドとすることができる。
【0051】
幾つかの例において、剤分配器408及び410は、システム400の一体部分とすることができる。幾つかの例において、剤分配器408及び410は、ユーザ交換可能とすることができ、この場合、それらは適切な薬剤分配器受容器またはインターフェースモジュール(図示せず)へ着脱可能に挿入可能とすることができる。
【0052】
幾つかの例において、単一のインクジェットプリントヘッドを用いて、合体剤および合体調整剤の双方を選択的に供給することができる。例えば、プリントヘッドの第1の組のプリントヘッドノズルが合体剤を供給するように構成されることができ、プリントヘッドの第2の組のプリントヘッドノズルが合体調整剤を供給するように構成され得る。
【0053】
図4に示された例において、剤分配器408及び410は、所謂ページ幅アレイ構成において支持部材414の全幅に広がることを可能にする長さを有する。一例において、これは、複数のプリントヘッドの適切な配列を通じて達成され得る。他の例において、支持部材414の幅に広がることを可能にする長さを有するノズルのアレイを備える単一のプリントヘッドが使用され得る。他の例において、薬剤分配器408及び410は、支持部材414の全幅に広がることを可能にしない、より短い長さを有することができる。
【0054】
剤分配器408及び410は、図示されたy軸に沿って支持体414の長さにわたって双方向にそれらを移動可能にする可動キャリッジ(図示せず)上に搭載される。これは、単一のパスにおいて支持体414の全幅と全長にわたって合体剤および合体調整剤の選択的な供給を可能にする。他の例において、剤分配器408及び410は固定されることができ、支持部材414が、剤分配器408及び410に対して移動することができる。
【0055】
留意されるべきは、本明細書で使用される用語「幅」は、図4に示されたx軸およびy軸に平行な平面において最も短い寸法を一般に示すために使用される一方で、本明細書で使用される用語「長さ」は、この平面の最も長い寸法を一般に示すために使用される。しかしながら、理解されるように、他の例において、用語「幅」は用語「長さ」と交換自在とすることができる。例えば、他の例において、剤分配器は、それらが支持部材414の全長に広がることを可能にする長さを有することができる一方で、可動キャリッジが、支持体414の幅にわたって双方向に移動することができる。
【0056】
別の例において、剤分配器408及び410は、それらが支持部材の全幅に広がることを可能にする長さを有さないが、図示されたx軸において支持体414の幅にわたって双方向に追加的に移動可能である。この構成により、複数のパスを用いて支持体414の全幅および全長にわたって合体剤および合体調整剤の選択的な供給が可能になる。しかしながら、ページ幅アレイ構成のような他の構成により、三次元物体がより早く形成されることが可能になるかもしれない。
【0057】
合体剤分配器408は、合体剤の供給部を含むことができるか、又は合体剤の別個の供給部に接続可能とすることができる。合体調整剤分配器410は、合体調整剤の供給部を含むことができるか、又は合体調整剤の別個の供給部に接続可能とすることができる。
【0058】
システム400は更に、支持体414上に構築材料の層202を提供するための構築材料分配器418を含む。適切な構築材料分配器は例えば、ワイパーブレード及びローラを含むことができる。構築材料は、ホッパー又は構築材料貯蔵部(図示せず)から構築材料分配器418へ供給され得る。図示された例において、構築材料分配器418は、構築材料の層を堆積するために支持体414の長さ(y軸)にわたって移動する。前述されたように、構築材料の第1の層が支持体414上に堆積される一方で、構築材料の後続の層が、構築材料の以前に堆積された層の上に堆積される。
【0059】
図示された例において、支持体414は、構築材料の新たな層が堆積される際に、所定の間隙(ギャップ)が構築材料のごく最近に堆積された層の表面と剤分配器408及び410の下側表面との間に維持されるように、z軸において移動可能である。しかしながら、他の例において、支持体414は、z軸に移動可能とすることができず、剤分配器408及び410がz軸に移動可能とすることができる。
【0060】
システム400は更に、構築材料にエネルギーを印加するためのエネルギー源420を含み、それにより合体剤が供給された又は浸透した場所に従って構築材料の部分の固形化がもたらされる。一例において、エネルギー源420は、赤外線(IR)又は近赤外線源である。一例において、エネルギー源420は、支持体414上に堆積された構築材料にエネルギーを均一に印加することができる単一のエネルギー源とすることができる。幾つかの例において、エネルギー源420は、エネルギー源のアレイからなることができる。
【0061】
幾つかの例において、エネルギー源420は、実質的に均一に構築材料の層の全表面にエネルギーを印加するように構成される。これらの例において、エネルギー源420は、非集束エネルギー源であると考えられ得る。これらの例において、層の全体に、エネルギーが同時に印加されることができ、それにより三次元物体が生成され得る速度が増大することに役立つことができる。
【0062】
他の例において、エネルギー源420は、構築材料の層の全表面の一部に実質的に均一にエネルギーを印加するように構成される。例えば、エネルギー源420は、構築材料の層の全表面の細片(ストリップ)にエネルギーを印加するように構成され得る。これらの例において、エネルギー源は、実質的に等しい量のエネルギーが構築材料の層の全表面にわたって最終的に印加されるように、構築材料の層にわたって移動または走査され得る。
【0063】
一例において、エネルギー源420は、可動キャリッジ上に搭載され得る。
【0064】
他の例において、エネルギー源は、それが例えば薬剤供給制御データに従って構築材料の層にわたって移動する際に、可変量のエネルギーを印加することができる。例えば、コントローラ402は、合体剤が塗布された構築材料の部分にのみエネルギーを印加するようにエネルギー源を制御することができる。
【0065】
更なる例において、エネルギー源420は、レーザビームのような集束エネルギー源とすることができる。この例において、レーザビームは、構築材料の層の全体または一部を横切って走査するように制御され得る。これらの例において、レーザビームは、薬剤供給制御データに従って構築材料の層を横切って走査するように制御され得る。例えば、レーザビームは、合体剤が供給された層のこれら部分にエネルギーを印加するように制御され得る。
【0066】
図4に示されていないが、幾つかの例において、システム400は更に、支持体414上に堆積された構築材料を所定の温度範囲内に維持するための予熱器を含むことができる。予熱器の使用は、合体剤が供給された又は浸透した構築材料の合体および後続の固形化をもたらすためにエネルギー源420により印可される必要があるエネルギーの量を低減することに役立つことができる。
【0067】
幾つかの例において、支持体414は、システム400の固定部分でなくてもよいが、例えば可動モジュールの一部とすることができる。幾つかの例において、支持体414及び構築材料分配器の双方は、システム400の固定部分でなくてもよいが、例えば可動モジュールの一部とすることができる。他の例において、システム400の他の要素が、可動モジュールの一部とすることができる。
【0068】
システム動作
三次元物体を生成するために、コントローラ402は、薬剤供給制御データ416を取得する。これは、図5のブロック502に示される。薬剤供給制御データ416は、生成されるべき三次元物体の各スライスに関して、たとえあるとしても合体剤および合体調整剤の少なくとも1つが供給されるべきである構築材料上の部分または場所を定義(画定)する。
【0069】
薬剤供給制御データは例えば、適切な三次元物体処理システム(図示せず)により、導出され得る。幾つかの例において、三次元物体処理システムは、積層造形システム400内に含まれ得る。例えば、メモリ404は更に、コントローラ402により実行された際に本明細書で説明されたような三次元物体処理システムとしてコントローラ402を動作させる命令406を含むことができる。
【0070】
他の例において、三次元物体処理システムは、積層造形システム400の外部にあってもよい。例えば、三次元物体処理システムは、システム400から分離したコンピューティングデバイスで実行可能なソフトウェアアプリケーション、又はソフトウェアアプリケーションの一部とすることができる。
【0071】
例えば、係る物体処理システムは、生成されるべき三次元モデルを表す物体設計データを取得することができる。物体処理システムは更に、物体プロパティデータを取得することができる。
【0072】
前述されたように、物体プロパティデータは、物体設計データから取得され得るか、又は例えばユーザインターフェースを介してユーザから、ソフトウェアドライバから、ソフトウェアアプリケーションから取得され得るか、又はデフォルトを格納するメモリ又はユーザ定義の全体的物体プロパティデータから取得され得る。
【0073】
幾つかの例において、物体処理システムは、積層造形システム400の特性に関連したデータを取得することができる。係る特性には例えば、構築材料の層の厚さ、合体剤の性質、合体調整剤の性質、構築材料の性質、及びエネルギー源の性質が含まれ得る。
【0074】
係る特性、物体設計データ、及び物体プロパティデータを用いて、物体処理システムは、処理されるべき構築材料の各層に関して、合体剤および合体調整剤の少なくとも1つが供給されるべき構築材料上の場所または部分を記述する薬剤供給制御データ416を生成することができる。一例において、合体剤および合体調整剤が供給されるべき構築材料の場所または部分は、個々のパターンによって定義(規定)される。
【0075】
幾つかの例において、物体処理システムは、合体剤および合体調整剤が構築材料に供給されるべき順序を決定することができる。
【0076】
幾つかの例において、物体処理システムは、合体剤および合体調整剤が構築材料に供給されるべき順序、及び対応するタイミングデータを決定することができる。幾つかの例において、タイミングデータは、合体剤および合体調整剤の供給間の関係に対して時間遅延を定義することができる。
【0077】
幾つかの例において、物体処理システムは更に、構築材料の各場所または各部分に供給されるべき合体剤の分量および合体調整剤の分量を示す分量データを生成することができる。
【0078】
上述された特性に応じて、合体剤および合体調整剤が供給されるべき濃度(密度)が変化することができる。例えば、合体剤が供給された又は浸透した構築材料の部分が印可エネルギーを受け取る場合、これら部分により吸収されるエネルギーは、他の周囲領域に伝播する。一例において、合体剤の性質および供給される合体剤の量は、層の厚さの約1.5倍の範囲の領域にエネルギーが放射するように選択され得る。これは、十分な中間層結合だけでなく、構築材料の横方向に隣接する部分間の十分な結合も確実にすることに役立つことができる。
【0079】
このように、物体処理システムは例えば、十分な物体強度を依然として確実にしながら合体剤の隣接する小滴間の横方向の間隔が増大され得ることを判断することができる。そうすることによって、合体剤が構築材料の層に供給され得る平均濃度が低減され、ひいては物体強度に影響を与えずに合体剤の消費量が低減される。
【0080】
幾つかの例において、薬剤供給制御データは、構築材料の任意の部分に関して、合体剤が合体調整剤の前に供給されるべきことを規定することができる。他の例において、薬剤供給制御データは、構築材料の任意の部分に関して、合体剤が合体調整剤の後に供給されるべきことを規定することができる。
【0081】
上述したように、薬剤供給制御データ416に従ってシステム400の動作を制御することにより、制御可能な可変の物体プロパティを有することができる三次元物体が、生成されることが可能になる。
【0082】
ブロック504において、コントローラ402は、支持体414上に構築材料の第1の層を設けるために、構築材料分配器418を制御する。幾つかの例において、構築材料分配器418により提供される構築材料の層の厚さは、固定され得る。他の例において、構築材料分配器418により提供される構築材料の層の厚さは、例えばコントローラ402の制御下で変更可能とすることができる。構築材料の供給を制御するために、コントローラ402により、構築材料分配器418が搭載されているキャリッジはy軸において支持体414の長さを横切って移動する(例えば、図4に示されたように右から左方向に)ことができる。
【0083】
幾つかの例において、コントローラ402は、構築材料の提供された層に合体剤および合体調整剤を選択的に供給するように合体剤分配器408及び合体調整剤分配器410を制御する前に、構築材料の完全な層を提供するように構築材料分配器418を制御する。これらの例において、合体剤分配器および合体調整剤分配器が図4に示されたようにy軸に沿って左から右へ移動しながら、合体剤および合体調整剤の供給が行われる。
【0084】
他の例において、コントローラ402は、構築材料分配器418が構築材料の層を提供している間に、構築材料に合体剤および合体調整剤を選択的に供給するように合体剤分配器408及び合体調整剤分配器410を制御する。言い換えれば、構築材料分配器418が構築材料の新たな層を形成するために構築材料を提供している際に、合体剤分配器408及び合体調整剤分配器410は、構築材料分配器418により提供されたばかりであるその層の構築材料に合体剤および合体調整剤を供給することができる。図示された構成において、合体剤分配器および合体調整剤分配器、及び構築材料分配器418は、合体剤および合体調整剤を供給すると同時に構築材料の新たな層を分布させるために支持体414の右側に戻る。
【0085】
速度および効率の増大は、例えば図6aに示されるようにキャリッジに追加の薬剤分配器を追加することにより、達成可能とすることができる。図6aにおいて、構築材料分配器418の両側に配列された一対の合体剤分配器408aと408b、及び構築材料分配器418の両側に配列された一対の合体調整剤分配器410aと410bを有する構成が示される。この構成により、キャリッジがy軸に沿って何れの方向に移動する間に、構築材料の層が堆積され且つ合体剤および合体調整剤が当該堆積された層に供給されることが可能になり、その結果、双方向動作が可能になる。
【0086】
図6bは、更なる例による別の構成を示す。図6bにおいて、合体剤分配器408と合体調整剤分配器410の両側に配列された一対の構築材料分配器418a及び418bを有する構成が示される。やはり、この構成により、キャリッジがy軸に沿って何れの方向に移動する間に、構築材料の層が堆積され且つ合体剤および合体調整剤が当該堆積された層に供給されることが可能になり、その結果、双方向動作が可能になる。
【0087】
係る構成は、構築材料分配器または剤分配器の重複を犠牲にして、図4に示された構成に比べて速度の改善を可能にすることができる。
【0088】
更なる例において、構築材料分配器418は、剤分配器408と410から切り離され得る、例えば、構築材料分配器418は、剤分配器408と410が配置されたキャリッジから分離したキャリッジに配置され得る。別の例において、構築材料分配器418は、剤分配器408と410と同じキャリッジ上に配置されているが、短い距離だけ分離され得る。
【0089】
代替の構成
本明細書で説明された例は、単一の合体剤および単一の合体調整剤の使用を引き合いに出しているが、他の例において、複数の合体剤が使用されてもよい。他の例において、複数の合体調整剤が使用されてもよい。
【0090】
例えば、幾つかの例において、第1の合体剤が第1の合体剤分配器から選択的に供給可能とすることができ、第2の合体剤が第2の合体剤分配器から選択的に供給可能とすることができる。第1の合体剤は、第2の合体剤とは異なる化学的性質を有する及び/又は異なる濃度を有することができる。
【0091】
例えば、幾つかの例において、第1の合体調整剤が第1の合体調整剤分配器から選択的に供給可能とすることができ、第2の合体調整剤が第2の合体調整剤分配器から選択的に供給可能とすることができる。
【0092】
幾つかの例において、第1の合体調整剤は、第2の合体調整剤とは異なる化学的性質を有することができる。幾つかの例において、第1の合体調整剤は、第2の合体調整剤とは異なる濃度を有することができる。幾つかの例において、第1の合体調整剤は、第2の合体調整剤とは異なる化学的性質および異なる濃度を有することができる。
【0093】
例えば、第1の合体調整剤は、第1の因子により合体を変更することができる一方で、第2の合体調整剤は、第2の因子により合体を変更することができる。幾つかの例において、合体調整剤の双方が、異なる量だけ合体の度合いを低減することができる。一例において、1つの合体調整剤が合体の度合いを低減することができ、1つの合体調整剤が合体の度合いを増大することができる。一例において、合体調整剤の双方が、合体の度合いを増大することができる。
【0094】
更なる例において、更なる薬剤が、合体剤および合体調整剤に加えて使用されてもよい。
【0095】
例えば、幾つかの例において、更なる薬剤分配器が、着色顔料または染料のような着色剤を含む薬剤を構築材料の層に選択的に供給するために設けられ得る。
【0096】
更なる例において、更なる薬剤分配器が、生成された三次元物体に所定の機能性を追加するための機能性薬剤を含む薬剤を選択的に供給するために設けられ得る。例えば、係る薬剤は、生成された三次元物体の一部が導電性を呈することを可能にする導電性要素を含むことができる。
【0097】
他の例において、合体剤は、三次元物体の部分が所定の色の有することを可能にするための適切な着色剤を含むことができる。
【0098】
前述したように、構築材料の各層が処理され得る速度は、三次元物体が生成され得る速度に影響を与える。例えば、プリントヘッドを用いることにより、合体剤および合体調整剤の小滴が構築材料の層に高精度かつ高速度で供給されることが可能になる。
【0099】
他の例において、合体剤および合体調整剤は、プリントヘッドを介してではなく、噴射ノズルを介して供給され得る。例えば、これにより、大きな物体が、インクジェットプリントヘッドを用いる場合に達成され得る精度よりも低いけれども、より短い時間で生成されることを可能にすることができる。これは、例えば構築材料の大きい層(例えば、約200cm×100cmより大きい構築材料の層)を処理する場合に、特に好都合とすることができる。
【0100】
材料の説明
方法およびシステムが、説明されたように機能するように本明細書で説明されたような三次元物体を製造することを可能にするために、構築材料、合体剤、及び合体調整剤の性質は、慎重に選択される必要がある。
【0101】
適切な材料の例が以下に与えられる。
【0102】
構築材料
一例によれば、適切な構築材料は、粉末半結晶熱可塑性プラスチック材料とすることができる。1つの適切な材料は、例えばSigma-Aldrich Co. LLCから入手できるNylon 12とすることができる。別の適切な材料は、Electro Optical System EOS GmbHから入手できるPA 2200とすることができる。
【0103】
他の例において、任意の他の適切な構築材料が使用され得る。係る材料は例えば、粉末金属材料、粉末複合材料、粉末セラミック材料、粉末ガラス材料、粉末樹脂材料、及び粉末ポリマー材料などを含むことができる。
【0104】
合体剤
制限しない例の1つによれば、適切な合体剤は、例えばヒューレット・パッカード・カンパニーから市販されているCM997Aとして知られているインク調合物のような、カーボンブラックを含むインク型調合物とすることができる。一例において、係るインクは更に、赤外線光吸収体を含むことができる。一例において、係るインクは更に、近赤外線光吸収体を含むことができる。一例において、係るインクは更に、可視光吸収体を含むことができる。可視光エンハンサーを含むインクの例は、ヒューレット・パッカード・カンパニーから市販されているCE039A及びCE042Aとして知られているインクのような、染料系着色インク及び顔料系着色インクである。
【0105】
合体調整剤
上述したように、合体調整剤は、合体剤の効果を変更するように作用する。異なる物理的および/または化学的効果が、合体剤の効果を変更するために使用され得ることを実証した。
【0106】
例えば、何らかの理論により束縛されることなしに、一例において、合体調整剤は、例えば、構築材料の個々の粒子が互いに結合することを阻止し、ひいては生成される三次元物体の一部を形成するためにそれらが固化することを阻止するために、係る粒子間の機械的分離をもたらすように作用することができる。合体調整剤の例は、固形物質を含む液体からなることができる。係る薬剤は例えば、コロイド状インク、染料系インク、又はポリマー系インクとすることができる。
【0107】
係る薬剤は、構築材料の層に供給された後に、例えば何らかのキャリア液体の蒸発後に、固形物質の薄層が構築材料の一部を覆うまたは部分的に覆うようにさせ、それ故に本明細書で説明されたように合体調整剤として作用することができる。
【0108】
一例において、係る合体調整剤は、それが供給されるべき構築材料の粒子の平均サイズよりも小さい平均サイズを有する固体粒子を含むことができる。更に、合体調整剤の分子量およびその表面張力は、合体調整剤が構築材料の中へ十分に浸透することを可能にするようなものであるべきである。一例において、係る薬剤は、薬剤の各小滴が高い割合の固形物質を含むように、高い溶解度も有するべきである。
【0109】
一例において、食塩水が、合体調整剤として使用され得る。
【0110】
別の例において、ヒューレット・パッカード・カンパニーから市販されているCM996Aインクとして知られているインクが、合体調整剤として使用され得る。別の例において、ヒューレット・パッカード・カンパニーから市販されているCN673Aインクとして知られているインクが、合体調整剤として機能することも実証された。
【0111】
別の例において、何らかの理論により束縛されることなしに、合体調整剤は、構築材料がその融点を超える温度に到達することを阻止することにより、合体剤の効果を変更するように作用することができる。例えば、適切な冷却効果を呈する流体が合体調整剤として使用され得ることが実証された。例えば、係る薬剤が構築材料に供給された場合に、構築材料に印可されたエネルギーは、合体調整剤により吸収されて、その蒸発を引き起こすことができ、それにより合体調整剤が供給された又は浸透した構築材料が構築材料の融点に到達することを阻止することに役立つことができる。
【0112】
一例において、高い割合の水を含有する薬剤は、適切な合体調整剤として実証された。
【0113】
他の例において、他のタイプの合体調整剤が使用され得る。
【0114】
合体の度合いを増大させることができる合体調整剤の例は、例えば適切な可塑剤を含むことができる。合体の度合いを増大させることができる合体調整剤の別の例は、構築材料の粒子の湿潤性(濡れ性)を増大させるための表面張力調整剤を含むことができる。
【0115】
理解されるように、本明細書で説明された例は、ハードウェアの形態で、又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせで実現され得る。何らかの係るソフトウェアは、例えば消去可能または書き換え可能か否かのROMのような記憶デバイスのような揮発性または不揮発性記憶装置の形態で、又は例えばRAM、メモリチップ、デバイス又は集積回路のようなメモリの形態で、又は例えばCD、DVD、磁気ディスク又は磁気テープのような光学的または磁気的可読媒体に格納され得る。理解されるように、記憶デバイス及び記憶媒体は、実行された際に、その中に記述された例を実施するプログラム(単数または複数)を格納するのに適している機械可読記憶装置の例である。従って、例は、特許請求の範囲に記載されたようなシステム又は方法を実施するためのコードを含むプログラム、及び係るプログラムを格納する機械可読記憶装置を提供する。
【0116】
本明細書に開示された特徴(特許請求の範囲、要約書および図面の全てを含む)の全て、及び/又は開示されたようなあらゆる方法またはプロセスのステップの全ては、係る特徴および/またはステップの少なくとも幾つかが相互に排他的である組み合わせを除いて、何らかの組み合わせで結合され得る。
【0117】
本明細書に開示された各特徴(特許請求の範囲、要約書および図面の全てを含む)は、明示的に別段の定めをした場合を除いて、同じ、等価の又は類似の目的を果たす代替の特徴により置き換えられ得る。従って、明示的に別段の定めをした場合を除いて、開示された各特徴は、一般的な一連の等価な又は類似の特徴の単なる1つの例である。
【0118】
以下においては、本発明の種々の構成要件の組み合わせからなる例示的な実施形態を示す。
1.三次元物体を生成するための装置であって、
構築材料の層の部分上へ合体剤を選択的に供給するための第1の剤分配器と、
構築材料の層の部分上へ合体調整剤を選択的に供給するための第2の剤分配器と、
コントローラとを含み、
前記コントローラが、生成されるべき三次元物体のスライスを表すデータから導出された個々のパターンにおいて構築材料の層上へ前記剤のそれぞれを選択的に供給するように前記剤分配器を制御し、その結果、エネルギーが前記層に印可される場合に、前記構築材料が前記パターンに従って三次元物体のスライスを形成するために合体および固化する、装置。
2.前記装置は、合体剤および合体調整剤が構築材料に供給されるパターンに関連する物体プロパティを有する三次元物体を生成することができる、上記1に記載の装置。
3.構築材料支持体上に構築材料の第1の層を提供し、構築材料の以前に提供された層上に構築材料の後続の層を提供するための構築材料分配器を更に含む、上記1に記載の装置。
4.前記第1及び第2の剤分配器は、それらが前記支持体に広がることを可能にするための長さを有し、前記支持体および前記分配器の少なくとも1つは、合体剤および合体調整剤が構築材料の層の任意の部分の表面に選択的に供給可能にすることを可能にするように互いに対して移動可能である、上記3に記載の装置。
5.前記第1の剤分配器が、第1のプリントヘッドであり、前記第2の剤分配器が、異なる第2のプリントヘッドである、上記1に記載の装置。
6.前記第1の剤分配器が、プリントヘッドのノズルの第1のアレイを含み、前記第2の剤分配器が、プリントヘッドのノズルの第2のアレイを含む、上記1に記載の装置。
7.前記コントローラが、生成されるべき三次元物体のスライスを表すデータ及び生成されるべき前記三次元物体の少なくとも1つの部分の少なくとも1つの所望の物体プロパティを表すデータの組み合わせから導出された制御データに従って、前記構築材料の層の表面上へ前記剤を選択的に供給するために前記剤分配器を制御することができる、上記1に記載の装置。
8.前記構築材料分配器が、約90〜110μm(ミクロン)の範囲の層の厚さを有する構築材料の層を提供することができ、前記薬剤分配器が1小滴当たり約10ピコリットルの剤の小滴を提供することができる、上記3に記載の装置。
9.第2の合体剤を構築材料の層上へ選択的に供給するための第3の剤分配器、及び/又は第2の合体調整剤を構築材料の層上へ選択的に供給するための第4の剤分配器を更に含む、上記1に記載の装置。
10.前記コントローラが、三次元物体を表すデータ及び物体プロパティデータから制御データを生成することができる、上記1に記載の装置。
11.前記支持体を横切って双方向に移動可能なキャリッジを更に含み、前記キャリッジには、合体剤を選択的に供給するための一対の第1の剤分配器、合体調整剤を選択的に供給するための一対の第2の剤分配器、及び構築材料分配器が搭載され又は取り付け可能であり、前記剤分配器および前記構築材料分配器は、前記キャリッジが何れの方向に移動する間に、構築材料、合体剤および合体調整剤の供給を可能にするように配列されている、上記3に記載の装置。
12.前記支持体を横切って双方向に移動可能なキャリッジを更に含み、前記キャリッジには、合体剤を選択的に供給するための第1の剤分配器、合体調整剤を選択的に供給するための第2の剤分配器、及び一対の構築材料分配器が搭載され又は取り付け可能であり、前記剤分配器および前記構築材料分配器は、前記キャリッジが何れの方向に移動する間に、構築材料、合体剤および合体調整剤の供給を可能にするように配列されている、上記3に記載の装置。
13.合体剤および合体調整剤が供給された場所に従って三次元物体のスライスを形成するために、構築材料の一部を合体および固化させるように構築材料にエネルギーを印可するための非集束エネルギー源を更に含む、上記1に記載の装置。
14.三次元物体を生成するようにシステムを制御する方法であって、
生成されるべき三次元物体の一部を表すデータから導出される制御データを取得し、
構築材料の層を堆積し、
前記堆積された構築材料の層上に、前記取得された制御データに従って合体剤および合体調整剤を選択的に付着し、
合体剤および合体調整剤が堆積された場所に従って前記三次元物体の一部を形成するために、構築材料の部分を合体および固化させるように前記堆積された構築材料にエネルギーを印可することを含む、方法。
15.三次元物体を生成するための装置であって、
構築材料の層上の選択可能な部分の第1のセットに合体剤を選択的に供給するための第1の着脱可能に挿入可能な剤分配器を受容するためのインターフェースと、
提供された構築材料の層上の選択可能な部分の第2のセットに合体調整剤を選択的に供給するための第2の着脱可能に挿入可能な剤分配器を受容するためのインターフェースと、
コントローラとを含み、前記コントローラは、
前記薬剤分配器がそれぞれの個々のインターフェースに挿入された場合に、生成されるべき三次元物体の一部を表すデータから導出された制御データにより決定された場所において、構築材料の逐次の層上へ前記剤を選択的に供給するように前記剤分配器を制御し、
合体剤および合体調整剤が供給された場所に従って三次元物体のスライスを形成するために、構築材料の一部が合体および固化させるためのエネルギーを構築材料に印可するようにエネルギー源を制御する、装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6a
図6b