特許第6546338号(P6546338)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6546338積層プレート熱交換器、特にインタークーラ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546338
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】積層プレート熱交換器、特にインタークーラ
(51)【国際特許分類】
   F02B 29/04 20060101AFI20190705BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20190705BHJP
   F28F 3/08 20060101ALI20190705BHJP
   F02M 26/32 20160101ALI20190705BHJP
【FI】
   F02B29/04 A
   F28D9/02
   F28F3/08 301Z
   F28F3/08 311
   F02B29/04 T
   F02M26/32
【請求項の数】8
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2018-502631(P2018-502631)
(86)(22)【出願日】2016年8月3日
(65)【公表番号】特表2018-529040(P2018-529040A)
(43)【公表日】2018年10月4日
(86)【国際出願番号】EP2016068556
(87)【国際公開番号】WO2017025411
(87)【国際公開日】20170216
【審査請求日】2018年1月19日
(31)【優先権主張番号】102015215410.6
(32)【優先日】2015年8月12日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】506292974
【氏名又は名称】マーレ インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】MAHLE International GmbH
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フェッツァー トビアス
(72)【発明者】
【氏名】ガル フロリアン
(72)【発明者】
【氏名】グレーツィンガー シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】グケーニン ガブリエル
(72)【発明者】
【氏名】ケントナー デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】ベルテ フォルカー
【審査官】 北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】 独国特許出願公開第102011078136(DE,A1)
【文献】 欧州特許出願公開第02784413(EP,A1)
【文献】 特開2007−309172(JP,A)
【文献】 特開2008−249252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 29/04
F02M 26/32
F28D 9/02
F28F 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層プレート熱交換器(1)であって、
並んで設けられて互いに接続された複数の積層プレート(6)と、ベースプレート(7)であって、該ベースプレート(7)を介して冷媒(8)が流入および/または流出するベースプレート(7)とをそれぞれ有する第1および第2積層プレート束(4,5)を備え、
上記2つの積層プレート束(4,5)は、互いに対して、および冷媒入口(10)および/または冷媒出口(11)に対して、互いに対向する上記2つのベースプレート(7)を介して直接的に接続されており、
もっぱら上記2つのベースプレート(7)において上記積層プレート熱交換器(1)を保持するホルダ(12)を備える
ことを特徴とする積層プレート熱交換器。
【請求項2】
請求項1において、
上記第1積層プレート束(4)は、高温冷却器(HT)として構成され、
上記第2積層プレート束(5)は、低温冷却器(LT)として構成されている
ことを特徴とする積層プレート熱交換器。
【請求項3】
請求項1または2において、
記2つのベースプレート(7)に、上記第1積層プレート束(4)のための冷媒入口(10)および冷媒出口(11)と、上記第2積層プレート束(5)のための冷媒入口(10)および冷媒出口(11)との両方が設けられている
ことを特徴とする積層プレート熱交換器。
【請求項4】
請求項1または2において、
記2つのベースプレート(7)に、上記第1積層プレート束(4)のための冷媒入口(10)または冷媒出口(11)と、上記第2積層プレート束(5)のための冷媒入口(10)または冷媒出口(11)との両方が設けられ、
または、
記2つのベースプレート(7)に、上記第1積層プレート束(4)のための冷媒入口(10)と、上記第2積層プレート束(5)のための冷媒出口(11)とが設けられ、
または、
記2つのベースプレート(7)に、上記第1積層プレート束(4)のための冷媒出口(11)と、上記第2積層プレート束(5)のための冷媒入口(10)とが設けられている
ことを特徴とする積層プレート熱交換器。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
記2つのベースプレート(7)に、冷却対象の媒体(13)のため、および冷媒(8)のためのチャネルが設けられている
ことを特徴とする積層プレート熱交換器。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項において、
上記第1および第2積層プレート(4,5)の各々は、冷却対象の媒体(13)のための通路(16)を含むカバープレート(15)を有する
ことを特徴とする積層プレート熱交換器。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
上記積層プレート(6)、上記ベースプレート(7)は、ロウ付け可能なアルミニウムでできている
ことを特徴とする積層プレート熱交換器。
【請求項8】
内燃エンジン(2)であって、
上記内燃エンジン(2)にホルダ(12)を介して保持されると共にインタークーラとして構成された請求項1〜7のいずれか1項に記載の積層プレート熱交換器(1)を備える
ことを特徴とする内燃エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の導入部に係る積層プレート熱交換器に関する。本発明は、また、そのような積層プレート熱交換器を備えた内燃エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1から、一般的な積層プレート熱交換器、特にインタークーラであって、互いに積層されると共に特にロウ付けされて互いに接続された複数の伸長プレートを備えた積層プレート熱交換器が知られている。当該複数の伸長プレートは、冷却対象の媒体、例えば給気が当該プレートの長手方向に流通するための空隙と、冷媒が流通するための別の空隙とを区画している。ここで、当該プレートは、冷却対象の媒体のための入口接続および出口接続を有する。好ましいコストで積層プレート熱交換器を製造しかつ特に高温に耐え得るよう構成できるように、少なくとも1つの冷却接続が、冷却対象の媒体のための接続の周囲を部分的に延びている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許出願公開第102005044291号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
概して、一般的な積層プレート熱交換器においては、例えば当該熱交換器が、そのベースプレートの一方側から大きく突出して、内燃エンジンに接続されるという問題が常に存在する。それにより、一方側での接続や大きな突出量のために、大きな振動をベースプレートを介して消散させる必要があり、そのため、ベースプレート自体を比較的重たく構成しなければならず、それはまた高コストである。ここで、積層プレート熱交換器に望まれる性能が高くなるほど、より多くの積層プレートを有する必要があり、また対応するベースプレートがより強固に設計される必要がある。
【0005】
したがって、本発明は、一般的なタイプの積層プレート熱交換器のための、改善されたあるいは少なくとも従来のものに代わる実施形態を提示するという課題に関する。当該実施形態によると、特に発生する振動に関して改良された接続が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によると、この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0007】
本発明は、従来技術から知られるように片持ちアームの態様で積層プレート熱交換器をもっぱら長手方向端部で取り付け、それにより大きな振動を被らなければならなくなることを止めて、積層プレート熱交換器の中央部、特に中心に設けられた分配プレートまたは2つのベースプレートを介した取付けを実現するという基本思想に基づく。ここで、本発明に係る積層プレート熱交換器は、例えば内燃エンジンのインタークーラとして構成されていてもよく、並んで配置されると共に、特にロウ付けによって、互いに接続された複数の積層プレートと、ベースプレートであって、当該ベースプレートを介して冷媒が流入および/または流出するベースプレートとをそれぞれ有する第1および第2積層プレート束を備える。ここで、2つの積層プレート束は、互いに対して、および冷媒入口および/または冷媒出口に対して、各々のベースプレートを介して直接的に,または2つのベースプレートの間に位置する分配プレートを介して間接的に接続されている。また、積層プレート熱交換器の保持は、分配プレートに対して、または2つの中央部に設けられたベースプレートに対して接続されたホルダを介してなされる。これにより、本発明に係る積層プレート熱交換器の中央取付けが実現され、それにより個々の積層プレート束がもはや大きく突出せずかつ内燃エンジンの動作中にそんなに激しく振動せず、そのために2つのベースプレート自体も基本的により薄く構成され得る。したがって、本発明に係る積層プレート熱交換器では、初めて中央取付けが作り出される。そのことは、積層プレート熱交換器の振動挙動に関して、また各ベースプレートの設計に関して大きな利点をもたらす。
【0008】
本発明に係る解決策の有利な別の態様では、第1積層プレート束は、高温冷却器として構成され、第2積層プレート束は、低温冷却器として構成される。これにより、例えば、内燃エンジンのための給気フローが、まず高温冷却器として構成された第1積層プレート束を流れた後にそのベースプレート、分配プレート、および第2積層プレート束のベースプレートを通り、そして低温冷却器として構成された第2積層プレート束を流れることにより、効率的に冷却され得る。したがって、本発明に係る積層プレート熱交換器によると、高温冷却器を低温冷却器に対して比較的シンプルに連結することができ、ここで2つの冷却器への冷媒の供給は、当該2つの冷却器の間に設けられた分配プレートを介してなされる。
【0009】
好適には、分配経路、第1積層プレート束のための冷媒入口および冷媒出口と、第2積層プレート束のための冷媒入口および冷媒出口との両方が、分配プレートに設けられている。それにより、2つの積層プレート束における冷媒の流入および流出は、もっぱら実質的に中央に設けられた分配プレートを介してなされる。ここで、もちろん、第1および第2積層プレート束に望まれる性能に応じて、両プレート束の大きさが同じであってもよいし、あるいは両プレート束の大きさが異なることで異なる性能を有していてもよい。両積層プレート束のための冷媒入口および冷媒出口の両方を分配プレート内でつなげることにより、これまで別個に設けられていた冷却ダクトが不要となり、それにより積層プレート熱交換器が全体としてより低コストに構成され得る。
【0010】
本発明に係る解決策の代替的な実施形態では、第1積層プレート束のための冷媒入口または冷媒出口と、第2積層プレート束のための冷媒入口または冷媒出口との両方が、分配プレートに設けられる。あるいは、第1積層プレート束のための冷媒入口および第2積層プレート束のための冷媒出口、または第1積層プレート束のための冷媒出口および第2積層プレート束のための冷媒入口が分配プレートに設けられてもよい。この2つの積層プレート束の冷媒入口および出口の様々な構成可能性の非限定的な列挙は、本発明に係る積層プレート熱交換器の製造における非常に優れた柔軟性が実現され得ることを既に提示している。
【0011】
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、第1および第2積層プレート束の各々が、冷却対象の媒体、特に冷却対象の排ガスのための通路を含むカバープレートを有する。この場合、積層プレート熱交換器は、それにより冷却対象の媒体によって積層プレート面に対して垂直に流通され、ここでもちろん、第1積層プレート束および/または第2積層プレート束における、冷却対象である媒体、例えば冷却対象である排ガスの各積層プレートに対して平行な曲がりも実現可能である。
【0012】
本発明に係る解決策の別の有利な実施形態では、積層プレート、ベースプレート、および/または分配プレートは、ロウ付け可能なアルミニウムでできている。アルミニウムは、比較的高い熱伝導率を有し、また比較的軽いので、自動車の内燃エンジンにおけるインタークーラの使用に対して特に有利である。
【0013】
本発明は、また、内燃エンジンにおいて上述した積層プレート熱交換器をインタークーラとして使用し、それにより特に振動に関して最適化された積層プレート熱交換器の接続を実現可能にするという基本思想に基づく。
【0014】
本発明の別の重要な特徴および利点は、従属請求項から、図面から、および図面を参照した関連する図の説明から明らかになるだろう。
【0015】
上述したあるいは後述する特徴は、それぞれに示す組合せにおいてのみでなく、本発明の範囲を逸脱することなく、他の組合せにおいてあるいは単独でも利用可能であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明に係る積層プレート熱交換器の斜視図である。
図2図2は、図1と同様の図であるが、正面図である。
図3図3は、本発明に係る積層プレート熱交換器の側面図である。
図4図4は、本発明に係る積層プレート熱交換器の別の実施形態を示す図である。
図5図5は、ホルダの詳細図である。
図6図6は、本発明に係る積層プレート熱交換器の別の実施形態を示す図であるが、示されたホルダのみを伴う。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好ましい例示的な実施形態について、図示すると共に詳細に説明する。ここで、同じ参照番号は、同一のもしくは類似のまたは機能的に同一の構成要素を示す。
【0018】
図1〜4および図6によると、本発明に係る積層プレート熱交換器1は、特に自動車3における内燃エンジン2のインタークーラとして構成されていてもよく、それぞれが複数の積層プレート6およびベースプレート7を有する第1積層プレート束4および第2積層プレート束5を備える。複数の積層プレート6は、並んで配置されると共に、特に互いにロウ付けされることで互いに接続されている。また、ベースプレート7を介して、冷媒8が流入および/または流出する。本発明によると、2つの積層プレート束4,5は、2つのベースプレート7の間に位置する分配プレート9を介して、互いに対して、および冷媒入口10および/または冷媒出口11に対して接続されている(図6および図7を参照)。これに代えて、2つの積層プレート束4,5は、各々のベースプレート7を介して互いに接続されていてもよく、ここで当該2つのベースプレート7は、共に分配プレート9を構成しかつ同様に冷媒入口10および/または冷媒出口を有する。また、ホルダ12が設けられる。当該ホルダ12は、積層プレート熱交換器1をもっぱら中央部で、すなわち特に2つのベースプレート7において、または分配プレート9において保持し、それにより当該ベースプレート7から突出する積層プレート束4,5を中央部で固定する。これにより、積層プレート束の全体がベースプレートの一方側のみに片持ちアームのように吊される従来技術から公知の積層プレート熱交換器と比較して、本発明に係る短い積層プレート束4,5によって、著しく小さな振動ストレスを実現することができ、それにより一方では両ベースプレート7を例えばより低剛性に、したがってより軽量に構成することが可能となり、また一方側での接続の場合に往々にして必要であった外部管路を回避することができる。
【0019】
ここで、例えば、図6に係る積層プレート熱交換器1を見ると、第1積層プレート束4が高温冷却器(HT)として構成され、かつ第2積層プレート束5が低温冷却器(LT)として構成されていることがわかる。
【0020】
ここで、例えば、分配プレート9または分配プレート9を構成する2つのベースプレート7に、第1積層プレート束4のための冷媒入口10および冷媒出口11と、第2積層プレート束5のための冷媒入口10および冷媒出口11との両方が設けられていてもよい(図6を参照)。これに代えて、分配プレート9または分配プレート9を構成する2つのベースプレート7に、第1積層プレート束4のための冷媒入口10または冷媒出口11と、第2積層プレート束5のための冷媒入口10または冷媒出口11との両方が設けられていてもよい。また同様に、分配プレート9または2つのベースプレート7に、第1積層プレート束4のための冷媒入口10と、第2積層プレート束5のための冷媒出口11とが、あるいはこれと逆の態様で、設けられていてもよい。分配プレート9または2つのベースプレート2には、ここでは詳細に図示しない、冷却対象の媒体13、例えば排ガス14のため、および冷媒8のためのチャネルが設けられている。
【0021】
図1〜4および図6に係る実施形態を見ると、第1および第2積層プレート束4,5の各々が、冷却対象の媒体13のための、特に冷却対象の排ガス14のための通路16を含むカバープレート15を有することがさらにわかる。ここで、積層プレート6自体もしくはベースプレート7、および/または分配プレート9は、軽量でありかつ優れた熱伝導特性を有する材料、例えばロウ付け可能なアルミニウムでできていてもよい。
【0022】
本発明に係る積層プレート熱交換器1を備えた自動車3の内燃エンジン2は、振動に関して最適化された取付けを実現可能にするという大きな利点を提供する。なぜなら、元々は1つの部分であった積層プレート束が、2つの積層プレート4,5に分割されることにより、当該積層プレート束4,5の各突出部分が、従来技術から公知の一方側に接続された積層プレート束の約半分の大きさしか有しないためである。これにより、特にベースプレート7または分配プレート9をより軽量に、よってより低コストに設計することができる。ここで、2つの積層プレート束4,5は、大きさが実質的に等しくてもよく、あるいは特に、例えば高温冷却器が下流側の低温冷却器よりも高いまたは低い性能を有し得るように大きさが異なっていてもよい。2つのベースプレート7間、または当該ベースプレート7と分配プレート9との間の接続は、例えばねじ17によってなされる(図6を参照)。
【0023】
内燃エンジン2に対して積層プレート熱交換器1を可能な限りしっかりと接続できるように、このために使用されるホルダ12は、補強リブ18を有していてもよい(図1〜5を参照)。ここで、ホルダ12は、積層プレート熱交換器1に対してねじ止めされていてもよい。純粋に理論的に、ホルダ12内で冷媒ダクトを案内することも考えられる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6