(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。最初に
図1〜3を参照しながら、加工対象物であるワーク10について説明する。ワーク10は差動変速機構の内蔵用ケースであるデフケースである。
図1はワーク10の斜視図、
図2は
図1に示したワーク10の縦断面図、
図3は
図1に示したワーク10の横断面図を示している。
図1〜3に示したワーク10は加工後の状態を示しており、シャフト穴12やフランジ穴17は、
図6に示したデフケースの加工機1が備える加工ユニット4に装着した工具で、穴明け等の加工が行われる。
【0014】
図1において、円筒部11の側面を囲むようにフランジ部16が形成されており、フランジ部16には複数のフランジ穴17が形成されている。
図2において、円筒部11の側面には一対の貫通孔であるシャフト穴12が形成されており、円筒部11の上下には一対の貫通孔であるアクスル穴13が形成されている。さらに、
図3において、円筒部11の側面には一対の窓状の開口部14が形成されている。ワーク10の内面15は半径rの球面を形成している。
【0015】
本実施形態に係るワーク10は、内面15全体に亘り球面を形成している。ワーク10はこれに限るものではなく、
図4に示したワーク60のように、面50、面51、面52及び面53の独立した4面が球面又は球面に近い形状を形成しているものもある。また、
図5に示したワーク61のように、面54及び面55の独立した2面が球面又は球面に近い形状を形成しているものもある。説明の便宜のため、
図4及び
図5では、面50〜面55を凸状に誇張して図示しているが、実際には他の面と連続した面である。ワーク10、ワーク61及びワーク62のいずれであっても、当該球面等に切削刃を当接させた状態でワークを高速回転させながら当該球面等を球面状に加工することができる。本実施形態では、ワークを高速回転させながらワーク内面の球面等を球面状に切削加工することを全球加工という。
【0016】
また、ワークの内面加工においては、
図18において、ワーク内面のうち、シャフト穴58近傍の端面56のみを球面に加工する場合や、
図19において、ワーク内面のうち、アクスル穴59近傍に形成された端面57(平面部)を加工する場合がある。本実施形態では、ワークは固定し工具を回転させてワーク内面の端面を切削加工することを端面加工という。後に説明するとおり、端面加工は、全球加工とは異なる専用の工具を用いた別工程となる。
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係るデフケースの加工機1について説明する。最初に、
図6を参照しながら、加工機1の構成を概略的に説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るデフケースの加工機1の正面図である。
図6において、ベース2上に、シャトルユニット3、加工ユニット4、ATC(自動工具交換装置)5及び工具支持台6が搭載されている。
【0018】
シャトルユニット3はデフケースを保持して、これを回転させることができる。シャトルユニット3は、昇降体30を備えており、これと一体にY方向(前後方向)に移動可能である。昇降体30は、モータ31によりボールねじ32が回転し、ガイド33に沿ってZ方向(上下方向)に移動可能である。昇降体30は、ワーク10を保持するクランパ34及びクランパ34を回転させる回転基台35を備えている。この構成によれば、ワーク10はクランパ34で保持された状態で回転基台35と一体に回転する。シャトルユニット3は、回転基台35に対し、ワーク10の位置決めのための低速回転(10rpm程度)と、ワーク10の全球加工のための高速回転(例えば400〜600rpm)との2種類の回転をさせることが可能である。
【0019】
より具体的には、シャトルユニット3は、ワーク10を高速回転させつつ、ワーク10をY方向(前後方向)及びZ方向(上下方向)に移動させることができるので、ワーク10の位置決めのみならず、後に説明する全球加工が可能になる。ワーク10の回転を停止させた状態で、ワーク10をY方向(前後方向)及びZ方向(上下方向)に連続的に移動させることにより、ワーク10を円形に連続的に移動させることやワーク10を各部位の輪郭に沿って移動させることも可能になり、後に説明するコンタリング加工やバリ取り加工が可能になる。
【0020】
また、ワーク10の各部位の加工が完了する毎に、ワーク10をY方向(前後方向)及びZ方向(上下方向)に移動させることにより、ワーク10を異なる部位の加工を順次行うことができ、後に説明するフランジ穴等のワーク10の異なる部位の加工が可能になる。
【0021】
工具支持台6には、工具40が固定されている。工具40は、ワーク10の球面状の内面を切削加工するための切削刃を有している。工具40によるワーク10の加工は、工具40が固定された状態で、ワーク10を移動させながら行われる。工具40及びこれを用いたワーク10の加工の詳細は後に説明する。
【0022】
加工ユニット4は左右一対であり、
図6の位置から下降させたワーク10を挟むように対向配置されている。加工ユニット4の先端には工具20が装着されている。本実施形態では、加工部位に応じて工具20を使い分けることができ、加工ユニット4に装着する工具20は、ATC5により必要な工具20に自動交換される。
【0023】
ATC5は、回転円盤70を備えており、回転円盤70に複数の工具20が着脱可能に取り付けられている。ATC5は昇降体71がガイド軸72に案内されて、昇降可能である。工具20の交換時には、昇降体71が下降し、加工ユニット4の先端に装着された工具20と、ATC5の回転円盤70に取り付けられた工具20とが交換される。
【0024】
加工ユニット4は、ハウジング21、工具駆動用モータ22及びスライド用モータ23を備えている。工具駆動用モータ22の駆動力は、駆動力伝達機構(図示せず)に伝達され、工具20が回転する。スライド用モータ23の駆動力は、ボールねじ機構(図示せず)に伝達される。このことにより、加工ユニット4はX軸方向(左右方向)にスライドして往復移動する。より具体的には、加工ユニット4と一体のスライド体24がガイドレール25に沿ってスライドする。
【0025】
以下、加工機1によるワーク10の加工について、具体的に説明する。
図7は、ワーク10の円筒部11の両側を貫通する一対のシャフト穴12を加工する様子を示す斜視図である。加工ユニット4には、ATC5(
図6)により、あらかじめシャフト穴12の加工用の工具26が装着されている。
【0026】
図6に示したように、ワーク10は加工機1に装着された状態においては、クランパ34で保持されており、
図7に示したように加工ユニット4による加工を行う際には、ワーク10のシャフト穴12の中心と工具26の中心とが一致する位置まで、シャトルユニット3が前後方向(Y方向)に移動するとともに、昇降体30が下降する(Z方向)。
【0027】
図7の状態からシャフト穴12に向けて、加工ユニット4は、水平移動し(X方向)、工具26の先端がシャフト穴12内に進入し、工具26の回転により、シャフト穴12の内周面が加工される。この加工を終えると、加工ユニット4は元の位置に向けて水平移動して退避する。
【0028】
本実施形態に係る加工機1は、前記のとおり、
図6においてワーク10をクランパ34で回転可能に保持した昇降体30が上下方向(Z方向)に移動可能であり、昇降体30を備えるシャトルユニット3が前後方向(Y方向)に移動可能である。すなわち、ワーク10は回転可能であるとともに、上下方向(Z方向)及び前後方向(Y方向)の両方向に移動可能である。このため、加工ユニット4が左右方向(X方向)の一軸のスライド専用であっても、ワーク10の様々な部位の加工が可能になる。
【0029】
具体的には、
図7の状態からワーク10の縦中心軸回りに90度回転させれば、加工ユニット4の先端とアクスル穴13とが対向し、あわせて加工ユニット4の先端側にフランジ16の平面部が向くことになる。
図8はこの状態を示している。本図の状態では、加工ユニット4に装着する工具をATC5(
図6)により、アクスル穴13用の工具27に交換しており、工具27の先端をアクスル穴13内に進入させて、工具27の回転によりアクスル穴13の内周面が加工される。
【0030】
図9は、
図8の状態からワーク10を昇降体30(
図6)と一体に下降させた状態を示している。この状態では、ATC5(
図6)により、一方の加工ユニット4に装着する工具をフランジ穴の穴明け用工具28に交換しており、他方の加工ユニット4に装着する工具をフランジ穴のタッピング加工用工具29に交換しており、穴明け用工具28及びタッピング加工用工具29は、いずれもフランジ16に対向している。穴明け用工具28を装着した加工ユニット4をフランジ16に向けて移動させ、穴明け用工具28がフランジ16に当接した後もこの移動を継続させることにより、回転中の穴明け用工具28により、フランジ16にフランジ穴17(
図10)が明けられる。
【0031】
フランジ16に1つ分のフランジ穴17を明けた後は、続いて、タッピング加工用工具29を装着した加工ユニット4をフランジ16に向けて移動させ、タッピング加工用工具29の先端がフランジ穴17に当接した後もこの移動を継続させることにより、回転中のタッピング加工用工具29により、フランジ穴17にタッピング加工を施すことができる。
【0032】
図10は、フランジ16の全周にフランジ穴17の穴明け加工及びタッピング加工が完了した状態を示している。本実施形態によれば、フランジ穴17の穴明け加工を終えると、工具を交換することなく、ワーク10の保持を維持した状態で、そのまま、同フランジ穴17にタッピング加工を施すことができるので、精度良くかつ短時間でフランジ穴加工を行うことができる。
【0033】
前記のとおり、ワーク10はシャトルユニット3と一体に上下方向(Z方向)及び前後方向(Y方向)に移動可能である。このため、加工ユニット4が左右方向(X方向)の一軸のスライド専用であっても、ワーク10を移動させることにより、加工ユニット4に装着した工具の先端を、フランジ16の任意の位置に対向させることができ、フランジ16の全周にフランジ穴17の穴明け加工やタッピング加工を行うことができる。
【0034】
フランジ穴加工と同様に、ワーク10を回転させ、シャトルユニット3及びこれが備える昇降体30を適宜移動させることにより、ワーク10の他の部位、例えばノック穴、サイドギア穴、デフロック穴等の加工が可能になる。
【0035】
また、ワーク10は上下方向(Z方向)及び前後方向(Y方向)の両方向に移動可能であるので、ワーク10の各部位を円形に移動させることができる。このことにより、加工ユニット4にエンドミルを装着すれば、シャフト穴12やアクスル穴13のコンタリング加工が可能になる。同様に加工ユニット4にエンドミルを装着して、ワーク10を円形に移動させることにより、螺旋状に形成された油溝のコンタリング加工が可能になる。
【0036】
さらに、ワーク10が上下方向(Z方向)及び前後方向(Y方向)の両方向に移動可能であることにより、ワーク10の各部位を円形に移動させることができるだけでなく、ワーク10を各部位の輪郭に沿って移動させることも可能になる。このような移動をさせることにより、ワーク10の開口部14(
図1参照)等のバリ取り加工が可能になる。このことにより、バリ取り加工が加工機1に集約され、バリ取り加工用の専用機を用いることが不要になる。
【0037】
図11は、
図6に示した加工機1において、ワーク10の開口部14に工具40を進入させる直前の状態の要部を示す斜視図である。前後を明確にする便宜のため操作者7を図示しているが縮尺は正確ではない。
図11において、工具40は、シャンク41に切削刃42が固定されたものである。工具40は工具支持台6に固定されている。
【0038】
図11に示した2本の工具40について、切削刃42を異なるものとし、一方の工具40を荒削り用とし、他方の工具40を仕上げ加工としてもよい。
図11では工具40が2本図示されているが、工具40は1本でもよく、2本以上を櫛歯状に配置してもよい。また、工具40を工具支持台6に対し脱着可能とし、加工内容に応じて工具40を交換できるようにしてもよい。
【0039】
図11において、ワーク10の全球加工を行う際には、前後方向(Y方向)において、シャトルユニット3(
図6参照)を移動させて、ワーク10の開口部14の位置を工具40の位置に合わせる。続いて、昇降体30(
図6参照)を下降させて、ワーク10に工具40を進入させる。
【0040】
以下、工具40を用いたワーク10の全球加工について説明する。
図6に示したように、回転基台35は昇降体30に取り付けられており、回転基台35にクランパ34が取り付けられており、クランパ34にワーク10が保持されている。
図12は、ワーク10の加工機1へのセット状態の要部を示す断面図である。ワーク10、クランパ34及び回転基台35は断面状態で簡略化して図示している。ワーク10は、
図1〜
図3に示したワーク10と同一物であるが、切削加工の説明の便宜のため、ワーク10の内面における切削代18を凸状に誇張して図示している。これらの図示は、
図13以降においても同様である。
【0041】
回転基台35がその中心軸36を中心に回転すると、これと一体にワーク10が回転する(矢印R参照)。
図12の状態では、ワーク10は回転基台35と一体に中心軸36を中心に回転しており、ワーク10は全球加工の待機状態にある。ワーク10の回転は全球加工のための高速回転であり、前記のとおり、回転数は例えば400〜600rpmである。
【0042】
以下、ワーク10の全球加工について工程順に説明する。
図13は、ワーク10の加工開始状態の要部を示す断面図である。本図は
図12の状態からワーク10が下降(Z方向)し、かつ後方移動(Y方向)した状態を示しており、工具40の切削刃42は、ワーク10の円筒部11内部に進入しており、切削刃42がワーク10の切削代18に当接している。この状態からワーク10が下降(Z方向)しつつ、後方移動(Y方向)することにより、回転中のワーク10の内面に沿って切削刃42が当接するので、切削代18は球面状に切削加工されて行く。
【0043】
図14は、
図13の状態からワーク10の全球加工が進んだ状態を示す断面図である。本図の状態では、
図13の状態からワーク10が下降(Z方向)しつつ、後方移動(Y方向)している。このことにより、切削代18の切削が進行し、切削代18の一部が球面状に切削されている。
図15は、ワーク10の全球加工がさらに進んだ状態の要部を示す断面図である。本図の状態では、
図14の状態からワーク10が下降(Z方向)しつつ、後方移動(Y方向)している。このことにより、切削代18の切削が進行し、切削代18の約半分が球面状に切削されている。
【0044】
図16は、ワーク10の全球加工が完了した状態の要部を示す断面図である。本図の状態では、
図15の状態からワーク10が下降(Z方向)しつつ、前方移動(Y方向)している。このことにより、切削代18の切削が完了し、ワーク10の内面全体が球面状に切削加工されている。
【0045】
以上、ワーク内面の全球加工について説明したが、ワーク10のように、内面全体が球面状に形成されているものは、全球加工により、内面全体が加工されるので、端面加工は不要である。また、
図4に示したワーク60のように、シャフト穴12近傍及びアクスル穴13近傍の面50〜面53が球面状に形成されているものについても、全球加工により、これらの面が加工されるので、端面加工は不要である。他方、
図5に示したワーク61のように、切削刃の干渉がなければ、面54及び面55は全球加工により加工できるが、アクスル穴13近傍の面63が平面状に形成されており、面63の加工には別途端面加工が必要になる。
【0046】
他方、
図18に示したワーク62は、内面加工の必要な部位は、シャフト穴58近傍の端面56及びアクスル穴59近傍の平面状の端面57である。この場合は、全球加工ではなく端面加工が必要になる。本実施形態の加工機1において、加工ユニット4に装着した工具にさらにカッタを装着すれば、ワーク内面の端面加工も行うことができる。
【0047】
図17は加工ユニット4に装着した工具にカッタを装着するための工具交換具の一例の正面図である。本図に示した工具交換具49は、
図6のA部に示した加工機1の工具40及び工具支持台6に代えて用いるものである。工具交換具49は、工具支持台8に工具43、工具45、工具47及び工具48が固定されたものである。工具43、工具45にはそれぞれ切削刃44、切削刃46を有しており、工具47、工具48にはそれぞれカッタ54、カッタ55が着脱可能に装着されている。
【0048】
工具43及び工具45は、工具40(
図11参照)と同様に全球加工用であり、工具43を荒削り用とし、工具45を仕上げ加工として使用できる。工具47に装着されたカッタ54は、端面を球面に切削加工するものであり、工具48に装着されたカッタ55は平面状の端面を切削加工するものである。工具支持台8は中心37を中心に旋回可能であり(矢印B方向)、かつ上下方向(Z方向)に移動可能である。
【0049】
工具43を用いてワークを加工する場合は、工具支持台8を旋回させて、
図17のように工具43を垂直にする。工具45を用いてワークを加工する場合も同様である。工具43又は工具45を垂直にした後の動作は
図12〜
図16を用いて説明した工具40の場合と同様である。
【0050】
カッタ54を用いる場合は、工具支持台8を旋回させて、工具47を垂直にした後、工具支持台8を上昇させて(Z方向)、カッタ54をワーク内に進入させる。次に、加工ユニット4に装着した一対の工具38(
図18参照)でカッタ54を挟み込み、その後、工具支持台8を下降させると(Z方向)、工具47がカッタ54から離脱する。
【0051】
図18は加工ユニット4に装着した一対の工具38でカッタ54を挟み込んだ状態を示している。この状態では工具47(
図17参照)は、カッタ54から離脱している。本図に示したワーク62は、
図1〜
図3に示したワーク10とは異なる内面形状であり、全球加工は不要である反面、シャフト穴58近傍の端面56を球面に加工する端面加工と、アクスル穴59近傍の端面57を平面に加工する端面加工が必要になる。
図18は、一対のシャフト穴58近傍の端面56のうち、一方の端面56の加工中の様子を示しており、加工ユニット4を水平移動(X方向)させることにより、他方の端面56を加工することができる。
【0052】
カッタ55(
図17参照)を用いる場合もカッタ54を用いる場合と同様であり、
図19は加工ユニット4に装着した一対の工具39でカッタ55を挟み込んだ状態を示している。この状態では工具48(
図17参照)は、カッタ55から離脱している。
図19に示したワーク60は、
図18の状態から90度回転しており、本図は、アクスル穴59近傍の端面57を加工している様子を示している。
【0053】
前記実施形態では、工具交換具49を用いて、加工ユニット4に装着した工具に、端面加工用の工具を装着する例を示したが、この構成に限るものではなく、ロボットを用いて、加工ユニット4に装着した工具にカッタを供給してもよい。
【0054】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明によれば、デフケースを保持するシャトルユニットは、デフケースを回転させることができ、かつ上下方向及び前後方向に移動可能であるので、デフケース内面の全球加工が可能であるとともに、左右一対の加工ユニットのスライド機構は左右方向にスライドするので、加工ユニットに装着した工具により、デフケースの内面の端面加工が可能になる。このことに加えて、デフケースを保持するシャトルユニットが上下方向及び前後方向に移動可能であるので、加工ユニットのスライド機構が左右方向の一軸のスライド専用であっても、デフケースのフランジに円周に沿って配置されたフランジ穴の加工が可能になり、あわせてデフケースの異なる部位の加工が可能になる。すなわち、本発明によれば、装置の複雑化や大型化を防ぎ、簡単な構造でありながら、汎用性を損なうことがなく、1台で全球加工及び端面加工に加え、フランジ穴等のデフケースの異なる部位の加工が可能になる。
デフケース(10)を保持してデフケース(10)を回転させるシャトルユニット(3)と、対向配置された左右一対の加工ユニット(4)と、デフケース(10)を加工するための工具(40)を支持する工具支持台(6)とを備え、左右一対の加工ユニット(4)のスライド機構は、左右方向の一軸のスライド専用であり、シャトルユニット(3)は、上下方向及び前後方向に移動可能であり、左右一対の加工ユニット(4)に装着した工具で、デフケース(10)の内面のうち貫通孔を囲む端部及びデフケース(10)のフランジ穴の加工が可能であり、工具支持台(6)で支持された工具(40)の切削刃で、シャトルユニット(3)で保持され回転中のデフケース(10)の内面を球面状に切削加工可能である。