(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546411
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】仮設足場等盛替え用簡易ステップ
(51)【国際特許分類】
E04G 5/08 20060101AFI20190705BHJP
E04G 5/06 20060101ALI20190705BHJP
E04G 7/28 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
E04G5/08 P
E04G5/06 C
E04G7/28 301B
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-33474(P2015-33474)
(22)【出願日】2015年2月24日
(65)【公開番号】特開2016-156159(P2016-156159A)
(43)【公開日】2016年9月1日
【審査請求日】2018年2月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000150615
【氏名又は名称】株式会社長谷工コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100067448
【弁理士】
【氏名又は名称】下坂 スミ子
(74)【代理人】
【識別番号】100167117
【弁理士】
【氏名又は名称】打越 佑介
(72)【発明者】
【氏名】田村 太
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 正樹
【審査官】
西村 隆
(56)【参考文献】
【文献】
実開平06−016601(JP,U)
【文献】
登録実用新案第3042702(JP,U)
【文献】
特開2009−097149(JP,A)
【文献】
特開平08−068196(JP,A)
【文献】
特開2015−048634(JP,A)
【文献】
米国特許第07735606(US,B1)
【文献】
米国特許第05845743(US,A)
【文献】
米国特許第01957184(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04G 5/06
E04G 5/08
E04G 7/28
E04G 7/34
E04G 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
総体的に方形の板状形体を有する足場板と、足場板を布パイプに係脱自在に係合させるための1対のフック金具と、足場板が水平方向に位置するように建地パイプに係脱自在に係合して足場板を支持するブラケットとから構成され、
前記足場板は、相互に対向する1対の腕木材と相互に対向する1対の枠材とにより形成された方形の外枠と、1対の枠材間を結合する中桟と、外枠の上部に展張される金網またはエキスパンドメタルなどの板状部材により形成される踏み板とから構成され、前記フック金具の各々は、足場板の各腕木材の対応する一端にそれぞれ固着される基部と、布パイプと着脱自在に係合するように基部から外方へ延びるフック部とから構成され、前記ブラケットは、フック金具の取付位置に対向する側の足場板の腕木材の各端部またはその近傍から、フック金具間に位置する建地パイプに向かって斜め下方へそれぞれ延びる1対の斜材パイプと、建地パイプに係脱自在に係合するように斜材パイプの伸延端部に設けられるパイプ受け座とから構成され、
前記ブラケットの斜材パイプの自由端部には、足場板の腕木材の対応する端部に設けられた係合穴にそれぞれ着脱自在および回動自在に係合するためのL字状の係合ロッドが設けられ、該係合ロッドはブラケットを一方向に移動させることにより同時に係合穴に挿入できるようにその自由端部が同一方向に指向され、ブラケットの2つの斜材パイプは連結桿によってその中間部位を相互に連結され、連結桿の中間部位には支持桿の一端が枢動自在に設けられ、支持桿の自由端には足場板と連結するための接続金具が設けられ、斜材パイプは、ブラケット全体の剛性を高めるため、足場板に連結される側の端部間を結合する補強材を備える、仮設足場等盛替え用簡易ステップ。
【請求項2】
前記足場板は中桟と十字状に交差するように設けられた補強中桟を有し、足場板のフック金具を取付けられた側の枠材には、建地パイプまたは建地パイプと布パイプを連結したパイプクランプを挟持するための1対の滑り止め金具がフック金具と平行に延びるように設けられ、滑り止め金具を備えた枠材に対向する側の枠材には、足場板またはブラケットを取り付けられた足場板を運搬する際に用いられるコの字状の取っ手が設けられる、請求項1に記載の仮設足場等盛替え用簡易ステップ。
【請求項3】
前記フック金具のフック部は、布パイプの上方から係合するように下方に向かって開口された空間を有するC字状の形体に形成され、フック金具のフック部には、その中に布パイプを受容するときに開口寸法を大きくする一方、受容した布パイプが抜け出るのを防止するように開口寸法を小さくするためのスライダを備え、該スライダは、フック部に設けられた1対のピンに摺動自在にそれぞれ係合する2つの長穴を備え、2つの長穴は、ピンに沿って移動するための線状部分と、フック部の開口寸法が最大になったときにピンに係止するように線状部分の一端に形成された膨出部分とから構成され、2つの長穴の膨出部分は線状部分に対して相互に対向する方向に膨出するように形成される、請求項1または2に記載の仮設足場等盛替え用簡易ステップ。
【請求項4】
前記足場板の中桟は、その中間位置に支持桿の自由端に設けられた接続金具を係脱自在に連結するためのロックピンを備え、該ロックピンはJ字状のロッドにより形成され、J字の長辺部が中桟に形成された貫通穴に摺動自在に挿通され、この長辺部の自由端側の端部と中桟との間には、ロックピンのJ字の短辺部の端部を中桟に設けられた受け穴に挿脱自在に受容して連結するように圧縮バネが設けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の仮設足場等盛替え用簡易ステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルやマンションなどの建設や補修工事等における仮設足場あるいは仮設手摺の盛替え時に作業者がその上に乗って作業するためのステップに関するものである。
【0002】
本発明の説明において、上方、下方、側方、垂直方向、水平方向等のような方向を示す用語は、基本的に、本発明の仮設足場等盛替え用簡易ステップを仮設足場に取り付けた状態における位置関係で表されることに留意されたい。
【背景技術】
【0003】
単管パイプを使用した仮設足場、すなわち、単管足場の骨格部分は、基本的に、地面から垂直方向に設置される建地パイプと、建地パイプ間に水平方向へ配置される布パイプと、建地パイプと布パイプを結合するクランプとにより構成される。この建地パイプと布パイプの組み立ては、通常、建地パイプを配置した後、布パイプを建地パイプの上端に結合して建地パイプと布パイプを連結し、さらに、既設の建地パイプの上端に新しい建地パイプを継ぎ足した後に、この建地パイプの上端に別の布パイプを結合することにより組み立てられる。一方、仮設足場を解体するときはこれと逆順で行われる。なお、これについては、同じく単管パイプで構成される仮設盛替えにおいても同様であり、以下、仮設足場を事例に説明する。
【0004】
仮設足場は工事の進行に伴って、盛替えと称される移し替え作業をしばしば必要としている。この盛替え作業は、建地パイプの上端のクランプを外して布パイプを取り外す作業と、建地パイプの上端にクランプで布パイプを結合する作業とが高所で行われることになる。そのため、作業者は、布パイプに乗って立ち上がり、片足を建地パイプに絡ませて身体を保持した状態でクランプを締付けまたは解放しなければならず、気の抜けない作業を強いられていた。
【0005】
このような危険を伴う仮設足場での作業を回避するために、仮設足場に取り付けて用いられる種々の作業台が提案されている。しかしながら、それらは仮設足場に固定的に取り付けて用いられるものであり(例えば、特開平8−135171号公報、特開平11−71895号公報など)、盛替え作業のように頻繁に作業場所を移動するような場合には対応できないものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−135171号公報
【特許文献2】特開平11−71895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、頻繁に作業場所を移動して行われる仮設足場の盛替え作業において、安全かつ簡便に作業を進めることができる簡易ステップを提供することにある。
【0008】
本発明の別の目的は、概して乱雑に扱われる工事現場にあっても壊れ難い分解可能な構造を有する簡易ステップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による仮設足場等盛替え用簡易ステップは、総体的に方形の板状形体を有する足場板と、足場板を布パイプに係脱自在に係合させるための1対のフック金具と、足場板が水平方向に位置するように建地パイプに係脱自在に係合して足場板を支持するブラケットとから構成される。
【0010】
足場板は、相互に対向する1対の腕木材と相互に対向する1対の枠材とにより形成された方形の外枠と、1対の枠材間を結合する中桟と、外枠の上部に展張される金網またはエキスパンドメタルなどの板状部材により形成される踏み板とから構成される。各フック金具は、足場板の各腕木材の対応する一端にそれぞれ固着される基部と、布パイプと着脱自在に係合するように基部から外方へ延びるフック部とから構成される。ブラケットは、フック金具の取付位置に対向する側の足場板の腕木材の各端部またはその近傍から、フック金具間に位置する建地パイプに向かって斜め下方へそれぞれ延びる1対の斜材パイプと、建地パイプに係脱自在に係合するように斜材パイプの伸延端部に設けられるパイプ受け座とを有する。
【0011】
足場板は、その上に乗って作業する作業者からの荷重を確実に支えるために中桟と十字状に交差するように設けられた補強中桟を有する。足場板のフック金具を取付けられた側の枠材には、建地パイプまたは建地パイプと布パイプを連結したパイプクランプを挟持するための1対の滑り止め金具がフック金具と平行に延びるように設けられる。滑り止め金具を備えた枠材に対向する側の枠材には、足場板またはブラケットを取り付けられた足場板を運搬する際に用いられるコの字状の取っ手が設けられる。
【0012】
フック金具のフック部は、布パイプの上方から係合するように下方に向かって開口された空間を有するC字状の形体に形成される。フック金具のフック部には、その中に布パイプを受容するときに開口寸法を大きくする一方、受容した布パイプが抜け出るのを防止するように開口寸法を小さくするためのスライダを備える。スライダは、フック部に設けられた1対のピンに摺動自在にそれぞれ係合する2つの長穴を備えている。2つの長穴は、ピンに沿って移動するための線状部分と、フック部の開口寸法が最大になったときにピンに係止するように線状部分の一端に形成された膨出部分とから構成される。2つの長穴の膨出部分は線状部分に対して相互に対向する方向に膨出するように形成される。
【0013】
ブラケットの斜材パイプの自由端部には、足場板の腕木材の対応する端部に設けられた係合穴にそれぞれ着脱自在および回動自在に係合するためのL字状の係合ロッドが設けられる。2つの係合ロッドはブラケットを一方向に移動させることにより同時に係合穴に挿入できるようにその自由端部が同一方向に指向される。ブラケットの2つの斜材パイプは連結桿によってその中間部位を相互に連結される。連結桿の中間部位には支持桿の一端が枢動自在に設けられ、支持桿の自由端には足場板と連結するための接続金具が設けられる。斜材パイプは、ブラケット全体の剛性を高めるため、足場板に連結される側の端部間を結合する補強材を備える。
【0014】
足場板の中桟は、その中間位置に、支持桿の自由端に設けられた接続金具を係脱自在に連結するためのロックピンを備える。ロックピンはJ字状のロッドにより形成され、J字の長辺部が中桟に形成された貫通穴に摺動自在に挿通され、この長辺部の自由端側の端部と中桟との間には、ロックピンのJ字の短辺部の端部を中桟に設けられた受け穴に挿脱自在に受容して連結するように圧縮バネが設けられる。
【発明の効果】
【0015】
上述の如く構成される本発明の簡易ステップは、通常、不使用時には、足場板とブラケットに分解し、支持桿を枢動してブラケットを総体的に平坦な状態で保管することにより、より小さな保管空間で対応でき、保管場所の有効利用を遂行できる。
【0016】
本発明の簡易ステップを使用するとき、まず、ブラケットの斜材パイプに設けられた係合ロッドを足場板の腕木材の対応する係合穴にそれぞれ係合する。このとき、L字状の係合ロッドの自由端部が同一方向に指向されていることにより、一動作で係合ロッドを係合穴に挿入することができる。次いで、ブラケットの支持桿を適当に回動すると共に、ロックピンを圧縮バネに抗して摺動して、ロックピンのJ字の短辺部の端部を支持桿の接続金具に係合させることにより、工具を用いることなしに足場板とブラケットの間の結合を遂行できる。
【0017】
仮設足場等の作業場所に本発明の簡易ステップを取り付けるには、フック金具のフック部の開口寸法が大きくなる方向へフック部に設けられたスライダを摺動させ、長穴の膨出部分にピンを係止させる。これにより、フック金具のフック部は最大の開口寸法に保持されるため、布パイプへの装着を簡便に行うことができる。1対のフック金具は、建地パイプの両側において、上方側から布パイプに嵌合され、次いで、布パイプを中心として足場板を回動させて、1対の滑り止め金具間に建地パイプまたはパイプクランプを挟持させることにより、布パイプ上における位置決めを行うと共に、布パイプ上で位置ズレするのを防止できる。滑り止め金具間の空間とブラケットのパイプ受け座とは同一垂直線上となるように形成される。これにより、1対の滑り止め金具が建地パイプまたはパイプクランプを挟持することにより、パイプ受け座も同一の建地パイプに接合するため、取付作業を簡単かつ確実に遂行できる。布パイプおよび建地パイプへの係合が終了すると、作業者は、フック金具のフック部の開口寸法が小さくなる方向へフック部に設けられたスライダを摺動させることにより、フック金具が布パイプから抜け落ちるのを確実に防止できる。
【0018】
簡易ステップの取外しは、上述と逆の順序で作業することにより簡単に遂行でき、足場板とブラケットとを連結した状態で別の作業位置に取り付けるか、または、足場板とブラケットとを分解して収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施例による簡易ステップを示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す簡易ステップの足場板の平面図である。
【
図5】
図5は、
図4と直交する側から見た足場板の側面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す簡易ステップのブラケットの側面図である。
【
図8】
図8は、
図6と直交する側から見たブラケットの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施例による仮設足場等の盛替えに用いられる簡易ステップは、
図1および2に示されるように、総体的に方形の板状形体を有する足場板1と、足場板1を布パイプPhに係脱自在に係合させるための1対のフック金具2と、足場板1を実質的に水平方向へ位置させるように、建地パイプPvに係脱自在に係合して足場板1を支持するためのブラケット3とから構成される。
【0021】
足場板1は、
図3〜5により詳細に示されるように、相互に対向する1対の腕木材10と、腕木材10と直交する方向で相互に対向する1対の枠材11とにより形成された方形の外枠と、1対の枠材11間を結合する中桟12と、外枠の上部に展張される金網またはエキスパンドメタルなどの板状部材により形成される踏み板13とから構成される。好ましくは、足場板1の上に乗って作業する作業者からの荷重を確実に支えるために、補強中桟14が中桟12と十字状に交差して設けられる。フック金具2を取付けられた側の枠材11には、建地パイプPvまたは建地パイプPvと布パイプPhを連結したパイプクランプCを挟持するための1対の滑り止め金具15がフック金具2の伸延方向と平行に延びるように設けられる。滑り止め金具15を備えた枠材11に対向する側の枠材11には、足場板1またはブラケット3を結合された足場板1を運搬する際に用いるためのコの字状の取っ手16が設けられる。
【0022】
各フック金具2は、足場板1の各腕木材10の対応する一端にそれぞれ固着される基部20と、布パイプPhと着脱自在に係合するように基部20から外方へ延びるC字状の形体のフック部21とから構成される。C字状のフック部21は、布パイプPhの上方から係合するように下方に向かって開口された空間22を有する。フック部21には、空間22の中に布パイプPhを受容するときに空間22の開口寸法を大きくする一方、受容した布パイプPhが空間22から抜け出るのを防止するために開口寸法を小さくするためのスライダ23を備える。各スライダ23は、フック部21に設けられた1対のピン24に摺動自在にそれぞれ係合する2つの長穴25を備えている。2つの長穴25は、ピン24に案内されて移動する線状部分25aと、フック部21の開口寸法が最大になったときにピン24に係止するように線状部分25aの一端に形成された膨出部分25bとを有する。2つの長穴25の膨出部分25bは線状部分25aに対して相互に対向する方向、図示の場合、上方に位置する長穴25の膨出部分25bが基部20の側へそして下方に位置する長穴25の膨出部分25bがフック部21の伸延側へ、それぞれに膨出するように形成される。
【0023】
ブラケット3は、
図6〜8により詳細に示されるように、フック金具2の取付位置に対向する側の足場板1の腕木材10の各端部またはその近傍から、フック金具2間に位置される建地パイプPvに向かって斜め下方へそれぞれ延びる1対の斜材パイプ30と、斜材パイプ30の伸延端部に設けられる、建地パイプPvに係脱自在に係合するためのパイプ受け座31とを有する。斜材パイプ30の自由端部には、足場板1の各腕木材10の端部に設けられた対応する係合穴にそれぞれ着脱自在および回動自在に係合するためのL字状の係合ロッド32が設けられる。2つの係合ロッド32は、ブラケット3を一方向(
図1の位置関係において、上方)に移動させることにより同時に係合穴に挿入できるように、その自由端部が同一方向(
図1の位置関係において、上方)に指向されている。1対の斜材パイプ30は連結桿33によってその中間部位を相互に連結される。連結桿33の中間部位には支持桿34の一端が枢動自在に設けられ、支持桿34の自由端部には足場板1と連結するための接続金具35が設けられる。斜材パイプ30は、ブラケット全体の剛性を高めるために、足場板1に連結される側の端部間を結合する補強材36を備えるのが好ましい。
【0024】
足場板の中桟12には、その中間位置に、支持桿34の自由端に設けられた接続金具35と係脱自在に連結するためのロックピン17が設けられる。ロックピン17はJ字状のロッドにより形成され、J字の長辺部が中桟12に形成された貫通穴に摺動自在に挿通され、ロックピン17の長辺部の自由端側の端部と中桟12との間には、ロックピンのJ字の短辺部の端部を中桟12に設けられた受け穴に挿脱自在に受容されて連結するように圧縮バネ18が設けられる。
【0025】
次に、本発明の簡易ステップの典型的な使い方について説明する。本発明の簡易ステップは、不使用時には、足場板1にブラケット3を取り付けた状態のまま折り畳んで保管することもできるが、好ましくは、ブラケット3を足場板1から取り外し、支持桿34を斜材パイプ30に沿うように枢動させた状態で、足場板1とブラケット3とを個別に保管される。
【0026】
使用するには、まず、ブラケット3を足場板1に対して一方向へ移動することにより、ブラケット3の斜材パイプ30の各端部に設けられた係合ロッド32の自由端部を足場板1の各腕木材10に設けられた係合穴にそれぞれ挿入して連結する。次いで、ブラケット3の支持桿34を回動すると共に、足場板1のロックピン17を圧縮バネ18に抗して摺動して、J字状のロックピン17の短辺部の端部を支持桿34の接続金具35に係合させることにより、簡易ステップの組み立てが完了する。
【0027】
仮設足場等の単管パイプに取り付ける前に、フック金具2のフック部21が最大の開口寸法に保持されるように、フック部2のスライダ23を上方に摺動させてスライダ23の長穴25の膨出部分25bにピン25を受容させる。この状態を保持したままで簡易ステップを持ち上げ、1対のフック金具2が作業位置の建地パイプPvの両側でそれぞれ布パイプPhに嵌合するように、布パイプPhの上方側からフック金具2のフック部21を係合させる。次いで、布パイプPhを中心として足場板1を回動させ、1対の滑り止め金具15間に建地パイプPvまたはパイプクランプCを挟持させると共に、滑り止め金具15間の空間に挟持された建地パイプPvにブラケット3のパイプ受け座31を接合させて係止することにより、簡易ステップの取付けが遂行される。簡易ステップの取付作業が終わると、フック金具2のフック部21から布パイプPhが抜け出るのを防止するために、フック部2のスライダ23を下方に摺動して、スライダ23の長穴25の直線部分25aにピン25を移動させ、フック金具2のフック部21の開口寸法を最小に保持する。
【0028】
簡易ステップの取外しは、上述した手順と実質的に逆の順序で作業することにより遂行され、取り外された簡易ステップは、足場板とブラケットとを連結した状態で別の作業位置に上述と同様にして取り付けられる。
【0029】
上述の説明において、仮設足場等のパイプは、布パイプPhと建地パイプPvが相互に交差する単管足場を例に取り説明したが、両パイプが同一垂直面上に位置する枠組足場等に対しても、フック金具の外方伸延長さを変更することにより同様に対応できることは当業者に取って容易に理解されよう。
【符号の説明】
【0030】
1 足場板
10 腕木材
11 枠材
12 中桟
13 踏み板
14 補強中桟
15 滑り止め金具
16 取っ手
17 ロックピン
18 圧縮バネ
2 フック金具
20 基部
21 フック部
22 空間
23 スライダ
24 ピン
25 長穴
25a 線状部分
25b 膨出部分
3 ブラケット
30 斜材パイプ
31 パイプ受け座
32 係合ロッド
33 連結桿
34 支持桿
35 接続金具
36 補強材
C パイプクランプ
Ph 布パイプ
Pv 建地パイプ