(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
インストルメントパネル(1)の内側で空調装置(15)に接続された第1ダクト(23)と、前記インストルメントパネル(1)の車幅方向における側部に下端部が取り付けられるフロントピラートリム(3)の裏側に設けられた第2ダクト(41)とを接続する空調ダクトの接続構造であって、
前記インストルメントパネル(1)のうち前記フロントピラートリム(3)の下端が取り付けられるピラートリム取付部(21)には、前記インストルメントパネル(1)の内側に開口した内側開口(67a)と前記フロントピラートリム(3)の裏側に開口した外側開口(67b)とを有する、調和空気が通り抜け可能な通風孔部(67)が形成され、
前記第1ダクト(23)は、前記通風孔部(67)の内側開口(67a)に接続されて前記ピラートリム取付部(21)に取り付けられ、
前記第2ダクト(41)は、前記通風孔部(67)の外側開口(67b)に接続されている
ことを特徴とする空調ダクトの接続構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されたデミスタダクトの接続構造では、第1ダクトのうち第2ダクトとの接続側の端部が、第2ダクトとの接続前においては何処にも接続されず位置の不確定なフリーな状態で存在するため、インストルメントパネルに対するフロントピラートリムの組付け時に併せて第1ダクトと第2ダクトとを接続する作業が困難である。
【0005】
また、特許文献1に開示されたデミスタダクトの接続構造では、第1ダクトがインストルメントパネルの外側に延び出て露出しているため、第1ダクトを組み付けた状態でのインストルメントパネルの搬送時や当該インストルメントパネルの車体に対する組付け時に、第1ダクトが壁や周辺構造にぶつかる等して変形したり破損したりするおそれがある。
【0006】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、第1ダクトと第2ダクトとの接続作業を容易化し、且つ第1ダクトの変形や破損を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、この発明では、第1ダクトと第2ダクトとをインストルメントパネルのうちフロントピラートリムが取り付けられるピラートリム取付部に接続し、これら両ダクトを、ピラートリム取付部を介して互いに接続するようにした。
【0008】
具体的には、本発明は、インストルメントパネルの内側で空調装置に接続された第1ダクトと、インストルメントパネルの車幅方向における側部に下端が取り付けられるフロントピラートリムの裏側に設けられた第2ダクトとを接続する空調ダクトの接続構造を対象とし、以下の解決手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、第1の発明は、インストルメントパネルのうちフロントピラートリムの下端が取り付けられるピラートリム取付部に、インストルメントパネルの内側に開口した内側開口とフロントピラートリムの裏側に開口した外側開口とを有する、調和空気が通り抜け可能な通風孔部が形成された構成を有する。そして、第1の発明は、第1ダクトが
、通風孔部の内側開口に接続され
てピラートリム取付部に取り付けられ、第2ダクトが前記通風孔部の外側開口に接続されていることを特徴とする。
【0010】
第2の発明は、第1の発明の空調ダクトの接続構造において、通風孔部が、少なくともインストルメントパネルの内側に向かって延びる筒状に形成された構成を有する。そして、第2の発明は、第1ダクトが通風孔部と嵌合させることによって接続されていることを特徴とする。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の空調ダクトの接続構造において、第1ダクトが通風孔部に外嵌めされていることを特徴とする。
【0012】
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つの空調ダクトの接続構造において、フロントピラートリムの下端に、下方に突出する突片が設けられた構成を有する。また、ピラートリム取付部には、その突片が差し込まれる差込孔が
通風孔部とは別個に形成されている。さらに、通風孔部の外側開口の周縁部と第2ダクトのうち通風孔部の外側開口に接続される開口の周縁部との少なくとも一方には、弾性を有するシール部材が設けられている。そして、第4の発明は、そのシール部材が、通風孔部の外側開口の周縁部と第2ダクトの開口の周縁部との間に挟み込まれてそれら両者の間を密閉していることを特徴とする。
【0013】
第5の発明は、第4の発明の空調ダクトの接続構造において、突片が、第2ダクトのうち通風孔部の外側開口に接続される開口の両側にそれぞれ設けられた構成を有する。そして、第4の発明は、差込孔が、通風孔部の外側開口の両側にそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【0014】
第6の発明は、第4又は第5の発明の空調ダクトの接続構造において、突片が、突出方向において屈曲した形状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
第
7の発明は、第1〜第
6の発明のいずれか1つの空調ダクトの接続構造において、第1ダクトが、ブロー成形によって成形された可撓性を有する樹脂製の管体であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
第1の発明によれば、第1ダクトと第2ダクトとがインストルメントパネルのうちピラートリム取付部に設けられた通風孔部の両側開口にそれぞれ接続されることにより当該通風孔部を介して互いに接続される構成を採用したので、フロントピラートリムをインストルメントパネルに組み付ける前に、第1ダクトを通風孔部の内側開口に接続してピラートリム取付部に位置決めしておき、フロントピラートリムをインストルメントパネルに組み付けるときに、第2ダクトを通風孔部の外側開口に接続することで、第1ダクトと第2ダクトとを容易に接続することができる。
【0017】
また、第1の発明によれば、第1ダクトは、ピラートリム取付部を介して第2ダクトに接続されるので、インストルメントパネルの外側にまで延び出させる必要がなく、インストルメントパネルの内側に全体を収めることができる。よって、第1ダクトを組み付けた状態でのインストルメントパネルの搬送時や当該インストルメントパネルの車体に対する組付け時に、第1ダクトが壁や周辺構造にぶつかる等して変形したり破損したりすることを防止できる。
【0018】
第2の発明によれば、第1ダクトを通風孔部の筒状部分に嵌合させるだけで簡単に接続することができ、インストルメントパネルに対する第1ダクトの組付け作業を容易化することができる。また、第1ダクトの内側又は外側に通風孔部の筒状部分が存在するため、第1ダクトのうち通風孔部との接続部分が変形したり破損したりするのを防止することができる。
【0019】
第3の発明によれば、第2の発明の作用効果を具体的に得ることができる。すなわち、第1ダクトを通風孔部の筒状部分に外嵌めするだけで第1ダクトを通風孔部の筒状部分に簡単に接続することができ、インストルメントパネルに対する第1ダクトの組付け作業を容易化することができる。また、第1ダクトの内側に通風孔部の筒状部分が存在するため、第1ダクトのうち通風孔部との接続部分が、通風孔部の筒状部分により補強されて、変形したり破損したりするのを防止することができる。
【0020】
第4の発明によれば、通風孔部の外側開口の周縁部とそれに対向する第2ダクトの開口の周縁部との間がシール部材によって密閉されているので、第2ダクトと通風孔部との接続部分から調和空気が漏れ出すのを防止することができる。そして、このような調和空気の漏れ出し防止構造を有する空調ダクトを、フロントピラートリムの下端に設けられた突片をインストルメントパネルのピラートリム取付部に形成された差込孔に差し込むことにより、フロントピラートリムをピラートリム取付部に位置決めしつつ、通風孔部の外側開口と第2ダクトとを接続するだけで実現することができ、ピラートリム取付部に対するフロントピラートリムの組付け作業を容易化することができる。
【0021】
第
7の発明によれば、第1ダクトは、ブロー成形によって成形された可撓性を有する管体であるため、剛性に乏しく、インストルメントパネルの搬送時や車体への組付け時にぶつける等すると、変形したり破損したりし易いし、位置の不確定なフリーな状態で存在する場合に第2ダクトと接続する作業が非常に困難である。このような構成において、第1の発明は、第1ダクトと第2ダクトとの接続作業を容易化し、且つ第1ダクトの変形や破損を防止する上で、特に有効である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、或いはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0024】
図1に、本実施形態に係る空調ダクトの接続構造が適用されるインストルメントパネル1を車室内側から見た上面図を示す。
図2に、車室内から車両前方右側のフロントピラートリム3の下部とその周辺構造を見た斜視図を示す。また、
図3に、インストルメントパネル1に対するフロントピラートリム3の組付け関係を示す斜視図を示す。
【0025】
本実施形態における空調ダクトの接続構造は、空調装置15で生成された調和空気をフロントピラートリム3の後側に臨む面に形成されたサイドデミスタ吹出口33からフロントドアガラス31に向けて吹き出すサイドデミスタに適用されており、そのサイドデミスタ用のダクト5を構成する部分ダクト25,41同士が接続される構造である。この接続構造によって接続される部分ダクト(第1ダクト及び第2ダクト)
23,41は、インストルメントパネル1の内側とフロントピラートリム3の裏側とにそれぞれ設けられている。
【0026】
図1に示すインストルメントパネル1は、
図2に示すように自動車の車室前部においてフロントガラス11の下方でエンジンルームと車室とを区画するダッシュパネルの後方側に装備されており、車幅方向に延びるインパネレインフォースメント(不図示)に支持されて車体に組み付けられている。図示するインストルメントパネル1は、いわゆる左ハンドル仕様車用のパネルである。
【0027】
インストルメントパネル1は、硬質な樹脂製のパネル本体を有し、
図1に示すように、運転席及び助手席に臨む主面部1aと、車両上部から車両前方に広がる上面部1bとで構成されている。インストルメントパネル1の主面部1aのうち車幅方向における中央部分には、AV機器や各種の操作パネルが取り付けられるセンターパネル部13が設けられている。また、図示は省略するが、主面部1aのうち運転席側には、スピードメータ等を含む表示機器が取り付けられ、主面部1aのうち助手席側には、グローブボックス等が取り付けられている。
【0028】
このインストルメントパネル1の内側において、そのセンターパネル部13の裏側に対応する箇所には、車室内又は車外の空気を取り込んでその空気の温度を調節することによって調和空気を生成する空調装置15が搭載されている。また、インストルメントパネル1の主面部1aのうち車幅方向における両端側には、車両後方に臨み、空調装置15で生成された調和空気を車室内に向けて吹き出すサイドベント吹出口17が設けられている。このサイドベント吹出口17には、調和空気の吹出し量や吹出し方向を調節するための可動式のフィンを複数備えたレジスタ19が取り付けられている。
【0029】
また、このインストルメントパネル1の上面部1bのうち車幅方向における両側部には、フロントピラートリム3を取り付けるためのピラートリム取付部21が設けられている。このピラートリム取付部21は、
図1及び
図3に示すように、周囲のパネル部分よりも一段下げて形成された凹み部分である。ピラートリム取付部21のうち車幅方向における内側の端縁には、車両前後方向に延びる段差面が形成されている。また、ピラートリム取付部21のうち車両後方の端縁には、車幅方向に延びる段差面が形成されている。
【0030】
インストルメントパネル1の内側には、空調装置15で生成された調和空気を後述するサイドデミスタ吹出口33に送るサイドデミスタダクト5を構成する部分ダクト(第1ダクト)としてのインパネ側デミスタダクト23と、空調装置15で生成された調和空気をサイドベント吹出口17に送るサイドベントダクト25とが設けられている(
図1では両ダクト23,25とも右側のダクトのみ示す)。これらインパネ側デミスタダクト23及びサイドベントダクト25は、インストルメントパネル1やインパネレインフォースメントにブラケット等を介して支持されていて、インストルメントパネル1の内側にその全体が収められている。
【0031】
インパネ側デミスタダクト23及びサイドベントダクト25は、ブロー成形によって成形された可撓性を有する樹脂製の管体である。これらインパネ側デミスタダクト23及びサイドベントダクト25は、射出成形などによって成形された比較的厚さのあるダクトに比べて軽量であるが、剛性に乏しく、インストルメントパネル1の搬送時や車体への組付け時に壁や周辺構造にぶつける等すると、変形したり破損したりし易い。
【0032】
他方、フロントピラートリム3は、
図2に示すように、フロントガラス11に隣接し且つフロントドア27の前方に位置する、つまりフロントガラス11とフロントドア27との間に配置された、車体の一部であるフロントピラー(Aピラー)29を車室内側から覆うように取り付けられた内装材である。このフロントピラートリム3の下端部は、ピラートリム取付部21に対し、当該ピラートリム取付部21の段差面に周縁を沿わせた状態に嵌め込まれて取り付けられている。
【0033】
このフロントピラートリム3の構成とサイドデミスタダクト5の接続構造とについて、以下に、
図1〜
図3に加え
図4〜
図7を参照しながら説明する。
図4は、フロントピラートリム3の裏側下方から見たインストルメントパネル1とフロントピラートリム3とインパネ側デミスタダクト23との分解斜視図である。
図5は、フロントピラートリム3の裏側から見たサイドデミスタダクト5の接続構造を示す側面図である。
図6は、フロントピラートリム3及びその付属部品の分解斜視図である。
図7は、
図5のVII−VII線における断面図である。
【0034】
このフロントピラートリム3は、
図2及び
図3に示すように、車幅方向における内側に臨む側面部3aと、車両後方に臨む後面部3bと有する。このフロントピラートリム3の後面部3bには、フロントドア27に昇降可能に備えられたフロントドアガラス31に向けて調和空気を吹き出すサイドデミスタ吹出口33が設けられている。このサイドデミスタ吹出口33には、調和空気の吹出し方向をフロントドアガラス31に向ける固定式のフィンを複数備えたレジスタ35が取り付けられている。
【0035】
フロントピラートリム3の裏面には、
図5に示すように、フロントピラートリム3をフロントピラー29に取り付けるためのクリップが装着されるクリップ取付座37が複数設けられていると共に、当該フロントピラートリム3の強度を補強するリブ39が複数設けられている。これらクリップ取付座37及びリブ39については、
図5では2つのみ示すが、これに限られず、3つ以上設けられていてもよい。さらに、フロントピラートリム3の裏側には、サイドデミスタダクト5を構成する部分ダクト(第2ダクト)としてのピラー側デミスタダクト41が設けられている。
【0036】
このピラー側デミスタダクト41は、
図6に示すように、フロントピラートリム3と、フロントピラートリム3の裏面に取り付けられることにより通風流路を形成する断面が略コ字状のダクト構成部材43とで構成されている。ダクト構成部材43は、フロントピラートリム3から立ち上がる起立壁45と、フロントピラートリム3の裏面に対向する片側壁47と、起立壁45の周囲に設けられたフランジ部49とからなる半殻形状をなしている。
【0037】
ダクト構成部材43のフランジ部49には、フロントピラートリム3の裏面に留められる複数の固定片51がダクト構成部材43の周方向に間隔をあけて設けられている。これら各固定片51には、貫通孔53が形成されている。フロントピラートリム3のうちこれら各貫通孔53に対応する部分には、固定片51を留めるための溶着用凸部38が設けられている。ダクト構成部材43は、それら溶着用凸部38を固定片51の貫通孔53に挿入し、その貫通孔51から突出する溶着用凸部38の頂部分を振動溶着などの公知の方法で潰すことにより、各固定片51を溶着用凸部38で固定してフロントピラートリム3に取り付けられている。
【0038】
ダクト構成部材43フランジ部49とフロントピラートリム3の裏面との間には、弾性を有する樹脂製のシール部材55が挟み込まれている。このシール部材55は、ダクト構成部材43のフランジ部49とフロントピラートリム3の裏面との間を密閉しており、それら両者の間から調和空気が漏れ出すのを防止している。
【0039】
このダクト構成部材43は、フロントピラートリム3のうちサイドデミスタ吹出口33から当該フロントピラートリム3の下端縁にかけての部分に被せられている。そのことで、ピラー側デミスタダクト41の上端部分はサイドデミスタ吹出口33に繋がっている。また、フロントピラートリム3の下端部には、
図4に示すように、ピラー側デミスタダクト41の下端が開口している。
【0040】
ダクト構成部材43のうちピラー側デミスタダクト41の下端開口を形成する端縁には、当該開口の内方に突出した突出片57が設けられている。さらに、フロントピラートリム3の下端部には、裏側に突出した突出片59が設けられている。そして、ピラー側デミスタダクト41の下端開口には、これら両突出
片57
,59によって後述するシール部材53を押し圧す押圧部61が環状に形成されている。
【0041】
また、フロントピラートリム3の下端部のうちピラー側デミスタダクト41の下端開口の車両前後方向における両側には、下方に突出する取付用突片63が一対に形成されている。これら各取付用突片63は、下方に向けて若干だけ真っ直ぐ延びた後に車両前方に向かって斜め下側に延びる屈曲した形状に形成されている。ピラートリム取付部21には、これら各取付用突片63が差し込まれる差込孔65が形成されている。そして、フロントピラートリム3は、両取付用突片63をそれぞれ対応する差込孔63に差し込むことによりピラートリム取付部21に取り付けられている。
【0042】
そして、ピラートリム取付部21のうち両差込孔65の間には、インパネ側デミスタダクト23とピラー側デミスタダクト41とを接続するための、調和空気が通り抜け可能な通風孔部67が設けられている。この通風孔部67は、インストルメントパネル1の内側下方に向かって延びる筒状に形成されており、インストルメントパネル1の内側に開口した内側開口67aと、インストルメントパネル1の外側でフロントピラートリム3の裏側に開口した外側開口67bとを有する。本実施形態における通風孔部67の外側開口67bの開口面は、ピラートリム取付部21の上面と面一となっている。
【0043】
インパネ側デミスタダクト23は、空調装置15との接続側とは反対側の開口端部を通風孔部67の筒状部分に外嵌めすることによって外側開口67bに接続されている。すなわち、このインパネ側デミスタダクト23のうち通風孔部67との接続部分の内側には、通風孔部67の筒状部分が存在する。そのことにより、当該インパネ側デミスタダクト23の接続部分が、通風孔部67の筒状部分で補強されて、変形したり破損したりするのを防止できる。また、このインパネ側デミスタダクト23は、通風孔部67の筒状部分に外嵌めするだけで簡単に接続できるので、インストルメントパネル1に対する組付け作業が容易である。
【0044】
他方、ピラー側デミスタダクト41は、通風孔部67の外側開口67bに押し当てられて接続されている。通風孔部67の外側開口67bの周縁部とピラー側デミスタダクト41の下端開口の周縁部との間には、
図5及び
図7に示すように、弾性を有する樹脂製のシール部材69が挟み込まれている。このシール部材69は、環状に設けられており、通風孔部67の外側開口67bの周縁部とピラー側デミスタダクト41の下端開口の周縁部との間を全周に亘って密閉し、それら両者の間から調和空気が漏れ出すのを防止している。
【0045】
以上の如く、インパネ側デミスタダクト23とピラー側デミスタダクト41とは、通風孔部67を介して互いに接続され、サイドデミスタダクト5を構成している。
【0046】
次に、これらインパネ側デミスタダクト23とピラー側デミスタダクト41との接続手順について、
図8及び
図9を参照しながら説明する。
図8は、インストルメントパネル1に対するフロントピラートリム3の組付け作業を示す工程図である。
図9は、インストルメントパネル1に対するフロントピラートリム3の組付け作業時における
図7対応箇所の断面図である。
【0047】
インパネ側デミスタダクト23とピラー側デミスタダクト41とを接続するには、フロントピラートリム3をインストルメントパネル1に組み付ける前、さらに言うとインストルメントパネル1を車体に組み付ける前に、インパネ側デミスタダクト23を通風孔部67の内側開口67aに接続してピラートリム取付部21に位置決めしておく。その後、インストルメントパネル1を車体に組み付ける。
【0048】
そして、
図8に示すように、インストルメントパネル1のピラートリム取付部21のうち通風孔部67の外側開口67bの周縁部にシール部材69を環状に設け、フロントピラートリム3をインストルメントパネル1に組み付けるときに、ピラー側デミスタダクト41を通風孔部67の外側開口67bに接続する。このとき、
図9に示すように、シール部材69が押圧部61によりピラートリム取付部21の上面に押し圧されて、通風孔部67の外側開口67bの周縁部とピラー側デミスタダクト41の下端開口の周縁部との間がシール部材69によって密閉された状態となる。
【0049】
以上の手順により、フロントピラートリム3をインストルメントパネル1に組み付ける作業と併せて、インパネ側デミスタダクト23とピラー側デミスタダクト41とを通風孔部67を介して容易に接続することができる。
【0050】
−実施形態の効果−
したがって、この実施形態に係るサイドデミスタダクト5の接続構造によると、上述した接続手順を採用することによりインパネ側デミスタダクト23とピラー側デミスタダクト41とを容易に接続することができる。しかも、インパネ側デミスタダクト23はインストルメントパネル1に組み付けられた状態で同パネル1の内側に全体が収まるので、インパネ側デミスタダクト23を組み付けた状態でのインストルメントパネル1の搬送時や当該インストルメントパネル1の車体に対する組付け時に、インパネ側デミスタダクト23が壁や周辺構造にぶつかる等して変形したり破損したりすることを防止できる。
【0051】
<変形例>
図10に、変形例に係るサイドデミスタダクト5の接続構造の
図7相当箇所の断面図を示す。上記実施形態では、通風孔部67がインストルメントパネル1の内側に向かって延びる筒状の形態を有する場合を例に挙げて説明したが、これに限らず、通風孔部67は、
図10に示すように、ピラートリム取付部21に形成された単なる開口部であってもよい。この場合には、例えば、インパネ側デミスタダクト23は、通風孔部67との接続側の開口端部に外方に突出した環状のフランジ片71を有し、このフランジ片71を、弾性を有する樹脂製のシール部材73を介して通風孔部67の内側開口67aの周縁部に押し当てて、それら両者の間にシール部材73を挟み込んだ状態で、通風孔部67の内側開口67aに接続されていてもよい。
【0052】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は上記各実施形態に記載の範囲に限定されない。上記各実施形態が例示であり、それらの各構成要素や組付け手順、接続手順の組合せに、さらに色々な変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲に属することは当業者に理解されるところである。
【0053】
例えば、上記実施形態では、インパネ側デミスタダクト23が通風孔部67の筒状部分に外嵌めすることによって接続されているとしたが、本発明はこれに限らず、インパネ側デミスタダクト23は、通風孔部67の筒状部分に内嵌めされることによって接続されていてもよい。
【0054】
このような構成によっても、インパネ側デミスタダクト23を通風孔部67の筒状部分に内側開口67aから差し込むだけで簡単に接続することができ、インストルメントパネル1に対するインパネ側デミスタダクト23の組付け作業を容易化できる。さらに、インパネ側デミスタダクト23のうち通風孔部67との接続部分が、通風孔部67の筒状部分により保護されて、変形したり破損したりするのを防止できる。
【0055】
また、上記実施形態では、インストルメントパネル1のピラートリム取付部21のうち通風孔部67の外側開口67bの周縁部にシール部材69を設けるとしたが、本発明はこれに限らず、ピラー側デミスタダクト41の下端開口の押圧部61にシール部材69を設け、そのシール部材69が設けられたピラー側デミスタダクト41の下端開口を通風孔部67の外側開口67bに接続してもよい。
【0056】
また、上記実施形態では、本発明に係る空調ダクトの接続構造についてサイドデミスタダクト5を構成するインパネ側デミスタダクト23とピラー側デミスタダクト41とを接続する構造を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、インストルメントパネル1の内側に設けられた部分ダクトと、フロントピラートリム3の裏側に設けられた部分ダクトとを接続する構造を必要とするものであれば、その他の空調ダクトにも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0058】
1…インストルメントパネル、1a…主面部、1b…上面部、
3…フロントピラートリム、3a…側面部、3b…後面部、
5…サイドデミスタダクト(空調ダクト)、11…フロントガラス、
13…センターパネル部、15…空調装置、17…サイドベント吹出口、
19…レジスタ、21…ピラートリム取付部、
23…インパネ側デミスタダクト(第1ダクト)、25…サイドベントダクト、
27…フロントドア、29…フロントピラー、31…フロントドアガラス、
33…サイドデミスタ吹出口、35…レジスタ、37…クリップ取付座、39…リブ、
41…ピラー側デミスタダクト(第2ダクト)、43…ダクト構成部材、45…起立壁、47…片側壁、49…フランジ部、51…固定片、53…貫通孔、55…シール部材、
57,59…突出片、61…押圧部、63…取付用突片、65…差込孔、
67…通風孔部、69…シール部材、71…フランジ片、73…シール部材