特許第6546494号(P6546494)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546494
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20190705BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20190705BHJP
   B41J 29/42 20060101ALI20190705BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20190705BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   B41J29/38 Z
   G03G21/00 388
   G03G21/00 386
   B41J29/42 F
   B41J2/175 175
   B41J2/175 119
   B41J2/01 451
   B41J2/01 401
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2015-189192(P2015-189192)
(22)【出願日】2015年9月28日
(65)【公開番号】特開2017-64917(P2017-64917A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000250502
【氏名又は名称】理想科学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(72)【発明者】
【氏名】角田 肇
【審査官】 上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−204132(JP,A)
【文献】 特開2001−047637(JP,A)
【文献】 特開2000−218818(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0002537(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 2/01
B41J 2/175
B41J 29/42
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段が搭載された消耗品を使用して印刷を行う印刷装置であって、
前記記憶手段には、少なくとも、前記消耗品の使用開始年月日の情報と、前記消耗品の製造年月日から前記消耗品の品質を保証可能な保証期間とが記憶されており、
前記記憶手段に記憶された前記使用開始年月日と現在の日付とに基づいて前記消耗品の使用期間を算出する使用期間算出手段と、
前記消耗品の使用量を検出する使用量検出手段と、
前記使用期間と前記使用量とに基づいて前記保証期間におけるユーザの使用量を予測する使用量予測手段と、
予測されたユーザの使用量に基づいて異なる容量の消耗品群の中から前記保証期間内にユーザが消費可能な推奨容量の消耗品を選択する推奨容量品選択手段と、
前記保証期間内にユーザが消費可能な推奨容量の消耗品をユーザに報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記消耗品は、インクであり、
前記記憶手段は、さらに、前記インクの適正粘度の閾値を記憶しており、
さらに、
前記インクの流路抵抗に基づいて前記インクの粘度を測定する粘度測定手段と、
測定された前記インクの粘度が前記インクの適正粘度の閾値より大きいか否かを判定し、前記インクの粘度が前記インクの適正粘度の閾値より大きい場合、当該判定された時点における前記保証期間よりも短い保証期間を新たな保証期間として前記記憶手段に更新する保証期間更新手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消耗品の使用状況に応じてユーザに最適な量の消耗品を報知する印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、コンピュータの出力装置として、インクジェットプリンタやレーザプリンタが普及している。通常、消耗品であるインクジェットプリンタのインクやレーザプリンタのトナーは、インクカートリッジやトナーカートリッジに、収容されて提供される。一方、最近では、再利用やリサイクルによる資源の有効活用に対する関心が高まっている。
【0003】
そのため、特許文献1では、消耗品容器の再利用を促進して資源の有効活用を図るとともに環境を保護するため、ユーザからの発注に応じて、ユーザからの照会に応じて、新たな消耗品を提供するための料金をコンピュータを用いて決定する消耗品提供料金の決定方法であって、ユーザが有する消耗品容器の型式を表す消耗品関連情報を含む照会をコンピュータで受理し、消耗品関連情報に応じて料金をコンピュータで決定するようにした消耗品の提供方法およびシステムが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−273989号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の特許文献1に記載の技術では、消耗品関連情報に応じてコンピュータでインク提供の料金等を決定して、その料金を表示させているに過ぎないため、保証期間(品質保証期限)内に使用しきれる消耗品の注文量はユーザの目算で行うしかなかった。
【0006】
そのため、注文する消耗品の量が多すぎると、保証期間(品質保証期限)を過ぎた消耗品も使用しなければならず、その消耗品が例えばインクの場合であれば、印刷画像の低下やヘッドノズルを詰まらせるという不具合を発生させることがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、消耗品の使用状況に応じてユーザに最適な容量の消耗品を報知して、経済性を向上させることができると共に、印刷画像の画質の低下を防止できる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る印刷装置の第1の特徴は、記憶手段が搭載された消耗品を使用して印刷を行う印刷装置であって、前記記憶手段には、少なくとも、前記消耗品の使用開始年月日の情報と、前記使用開始年月日から前記消耗品の品質を保証可能な保証期間とが記憶されており、前記記憶手段に記憶された前記使用開始年月日と現在の日付とに基づいて前記消耗品の使用期間を算出する使用期間算出手段と、前記消耗品の使用量を検出する使用量検出手段と、前記使用期間と前記使用量とに基づいて前記保証期間におけるユーザの使用量を予測する使用量予測手段と、予測されたユーザの使用量に基づいて異なる容量の消耗品群の中から前記保証期間内にユーザが消費可能な推奨容量の消耗品を選択する推奨容量品選択手段と、前記保証期間内にユーザが消費可能な推奨容量の消耗品をユーザに報知する報知手段と、を備えたことにある。
【0009】
また、本発明に係る印刷装置の第2の特徴は、前記消耗品は、インクであり、前記記憶手段は、さらに、前記インクの適正粘度の閾値を記憶しており、さらに、前記インクの流路抵抗に基づいて前記インクの粘度を測定する粘度測定手段と、測定された前記インクの粘度が前記インクの適正粘度の閾値より大きいか否かを判定し、前記インクの粘度が前記インクの適正粘度の閾値より大きい場合、当該判定された時点における前記保証期間よりも短い保証期間を新たな保証期間として前記記憶手段に更新する保証期間更新手段と、を備えたことにある。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る印刷装置の第1の特徴によれば、使用期間算出手段が消耗品の記憶手段に記憶された使用開始年月日と現在の日付とに基づいて消耗品の使用期間を算出し、使用量検出手段が消耗品の使用量を検出する。そして使用量予測手段が使用期間と使用量とに基づいて保証期間内におけるユーザの使用量を予測し、推奨容量品選択手段が予測されたユーザの使用量に基づいて異なる容量の消耗品群の中から保証期間内にユーザが消費可能な推奨容量の消耗品を選択し、報知手段が推奨容量の消耗品をユーザに報知する。
【0011】
そのため、ユーザによる消耗品の使用状況に応じ保証期間内に消費可能な最適な容量の消耗品が、推奨容量の消耗品として当該ユーザに報知されるので、消耗品を無駄に廃棄する場合が少なくなり、経済性を向上させることができる。また、保証期間を経過した消耗品の使用による印字品質の低下や印刷装置の故障等を防止できる。
【0012】
また、本発明に係る印刷装置の第2の特徴は、消耗品がインクの場合に粘度測定手段がインクの流路抵抗に基づいてインクの粘度を測定し、インクの粘度がその適正粘度の閾値より大きい場合、保証期間更新手段が判定時点における保証期間を新たな保証期間として記憶手段に更新する。
【0013】
そのため、測定されたインクの粘度が適正粘度の閾値より大きくなって印字品質に悪影響を与える可能性がある場合、保証期間を短くして、当初の保証期間を経過した消耗品の使用による印字品質の低下や印刷装置の故障等を確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る印刷装置の構成例を示す図である。
図2】本発明の実施形態1に係る印刷装置において消耗品がインクの場合におけるメモリに記憶される消耗品に関するデータの一例を示す図である。
図3】本発明の実施形態1に係る印刷装置における動作を示すフローチャートである。
図4】本発明の実施形態1の変形例2に係る印刷装置における動作を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態2に係る印刷装置における動作を示すフローチャートである。
図6】本発明の実施形態2に係る印刷装置におけるインクカートリッジの使用期間とインクの平均粘度との関係およびインクの平均粘度の閾値を示す図である。
図7】本発明の実施形態に係る印刷装置において消耗品が孔版印刷で使用する孔版原紙(孔版マスタ)の場合におけるメモリに記憶された消耗品に関するデータの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態に係る印刷装置を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に説明する本発明の実施形態に係る印刷装置では、本体装置と、本体装置に対して着脱可能に取り付けられた色毎のインクカートリッジとを備え、インクカートリッジから本体装置が備えるインクジェットヘッドにインクが供給され、吐出されることで印刷する印刷装置を例に挙げて説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る印刷装置1の構成例を示す図である。
【0017】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る印刷装置1は、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクに対応するインクジェットヘッド110C,110M,110Y,110Kを備えており、印刷用紙は、インクジェットヘッド110C,110M,110Y,110Kの対向面に設けられた環状の搬送ベルト(図示しない)によって印刷条件により定められる速度で搬送されながら、インクジェットヘッド110C,110M,110Y,110Kから吐出されたインクによりライン単位で印刷される。
【0018】
消耗品であるインクカートリッジ151C,151M,151Y,151Kは、それぞれ、本体装置に着脱可能に構成されており、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のインクが貯留された図示しないインクボトルと、製造年月日等の各種のデータを記憶した非接触通信可能なICチップメモリ152C,152M,152Y,152Kとを備える。
【0019】
ICチップメモリ152C,152M,152Y,152Kは、それぞれ、少なくとも対応する各インクカートリッジ151C,151M,151Y,151Kの使用開始年月日の情報と、使用開始年月日から消耗品である各インクカートリッジの品質を保証可能な保証期間と記憶するもので、本実施形態では、後述する図2に示すようなインクカートリッジ151の各種データを記憶する。
【0020】
なお、以下においてインク色にこだわらない場合には、インクジェットヘッド110やインクカートリッジ151、ICチップメモリ152で代表させて説明する。他の機能部についても同様である。
【0021】
インクカートリッジ151のインクボトルから供給されたインクは、樹脂、金属等のパイプにより形成されたインク循環経路を通って、インクジェットヘッド110の下流側に設けられた各色のインクの下流タンク159に一旦溜められる。
【0022】
また、印刷装置1には、各色のインクのポンプ160および上流タンク158が備えられている。下流タンク159に溜められたインクは、ポンプによりインクジェットヘッド110の上流側に設けられた上流タンクに送られる。上流タンク158に送られたインクは、インクを吐出する多数のノズルが設けられているインクジェットヘッド110に送液される。
【0023】
上流タンク158は、共通空気室172と接続されている。共通空気室172には、ポンプ173および図示しない大気開放弁が備えられており、大気開放弁を全閉してポンプ173により上流タンク158に空気を送り込んだり、大気開放弁を全開して大気圧にしたりすることにより、上流タンク158内の空気の圧力を調整する。
【0024】
インクジェットヘッド110で吐出されなかったインクは、下流タンク159に戻される。上流タンク158からインクジェットヘッド110を経由して下流タンク159へのインク帰還は、上流タンク158と下流タンク159との水頭差を利用している。
【0025】
インクは印刷品質が保証される温度範囲が定められており、環境温度が低く、インク温度が印刷可能である下限温度を下回っているとインクを加熱する必要がある。一方、インクジェットヘッド110内に設けられたドライバやピエゾ素子は動作することにより発熱し、これらの発熱やインク振動のジュール熱により、高温時におけるインク温度上昇の影響等を抑制する必要がある。そこで、インク循環経路上に、温度調整部161が設けられており、温度調整部161により、インクは、加温又は冷却される。
【0026】
また、印刷装置1は、制御部10と、メモリ11と、表示部12とを備えている。
【0027】
制御部10は、印刷装置1全体を制御すると共に、各インクカートリッジ151のICチップメモリ152との間で非接触通信を行って、ICチップメモリ152に記憶された情報(データ)を読み出したり、書き込む機能を備えている。
【0028】
そして、本発明に係る実施形態の印刷装置1の制御部10は、各インクカートリッジ151のICチップメモリ152に記憶された使用開始年月日と現在の日付とに基づいて消耗品であるインクカートリッジ151のインクの使用期間を算出する使用期間算出手段101と、消耗品であるインクカートリッジ151のインクの使用量を検出する使用量検出手段102と、使用期間と使用量とに基づいて保証期間内におけるユーザによるインクの使用量を予測する使用量予測手段103と、予測されたインクの使用量に基づいて異なる容量の消耗品群である容量ラインナップの中から保証期間内にユーザが消費可能な最適な容量のインクカートリッジ151を選択する推奨容量品選択手段104として機能する。
【0029】
メモリ11は、制御部10が演算するデータを記憶する。尚、メモリ11は、各インクカートリッジ151のICチップメモリ152の代わりに、後述する図2に示すようなインクカートリッジ151等の消耗品に関するデータを記憶しても良い。
【0030】
表示部12は、操作パネル等に設けられた液晶ディスプレイ等から構成されており、印刷枚数や印刷状態等の各種データや警告(ウオーニング)を表示すると共に、ここでは、本発明の報知手段として機能して、制御部10の推奨容量品選択手段104によって選択された保証期間内にユーザが消費可能な最適な推奨容量の消耗品を表示してユーザに報知する。
【0031】
図2は、本発明の実施形態1に係る印刷装置1において消耗品がインクカートリッジ151のインクの場合におけるICチップメモリ152に記憶されるデータの一例を示す図である。
【0032】
図2に示すように、各インクカートリッジ151のICチップメモリ152には、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の色毎に、セットインク容量、製造年月日、保証期間、使用開始日、使用期間、使用量、使用開始日からの使い切り予想期間、保証期間内の使用量、推奨容量インク等のデータが記憶される。
【0033】
セットインク容量は、この印刷装置1に装着されたインクカートリッジ151のインクタンクの容量を示しており、インクカートリッジ製造時に各インクカートリッジ151のICチップメモリ152に記録される。ここでは、図2に示すように、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のインクカートリッジ151は共に、“500ml”のインク容量のインクカートリッジ151が装着されている。
【0034】
製造年月日は、各インクカートリッジ151が製造された年月日であり、インクカートリッジ製造時に各インクカートリッジ151のICチップメモリ152に記憶される。ここでは、例えば、図2に示すように、各色のインクカートリッジ151の製造年月日は、“2014/4/1”と記憶される。
【0035】
保証期間は、例えば、製造年月日から印刷品質やインク詰まり等の点において何ら問題なくインクカートリッジ151を使用できる期間のことで、使用期限よりは短い期間で、インクカートリッジ製造時に各インクカートリッジ151のICチップメモリ152に記録される。ここでは、図2に示すように、各色のインクカートリッジ151の保証期間は、“1.5年”と記憶される。
【0036】
使用開始日は、インクカートリッジ151の使用を開始した月日であり、制御部10がICチップメモリ152に記憶する。ここでは、例えば、“2014/6/1”とICチップメモリ152に記憶される。
【0037】
使用期間は、使用開始日から前回の印刷終了日までの間の期間であり、制御部10の使用期間算出手段101が後述するように使用開始日と前回の印刷終了日とに基づいて算出して、ICチップメモリ152に記憶する。ここでは、例えば、図2に示すように、各色のインクカートリッジ151共に、“0.4年”とICチップメモリ152に記憶される。
【0038】
使用量は、現在までのインクの使用量(消費量)で、制御部10の使用量検出手段102が各色のインクジェットヘッド110におけるインクの吐出回数等をカウントしておき、その吐出回数等に1回当りの吐出量を乗算して使用量を算出し、ICチップメモリ152に記憶する。図2では、例えば、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のインクカートリッジ151毎に、“320ml”、“240ml”、“160ml”、“120ml”と算出され、ICチップメモリ152に記憶される。
【0039】
保証期間内の使用量は、制御部10の使用量予測手段103が使用期間と使用量とに基づいて予測(算出)した保証期間内における消耗品であるインクの使用量(消費量)で、ICチップメモリ152に記憶される。図2に示すK(ブラック)のインク色の場合、使用期間の0.4年と使用量の320mlとに基づいて保証期間である“1.5年”内における使用量(消費量)が1200mlと予想される。
【0040】
推奨容量インクは、制御部10の推奨容量品選択手段104が予測されたユーザの使用量に基づいて異なる容量の消耗品群の中から保証期間内にユーザが消費可能な最適な推奨容量の消耗品を選択し、ICチップメモリ152に記憶する。
【0041】
ここで、消耗品であるインクカートリッジ151の消耗品の容量ラインナップには、例えば、1000mlと、500mlと、300mlの3種類の容量があり、制御部10の推奨容量品選択手段104は、推奨容量インクとして、ICチップメモリ152に記憶した保証期間内の使用量を超えない、すなわち保証期間内においてユーザが消費可能な最適な容量のものを推奨容量の消耗品、すなわち推奨容量品として選択する。
【0042】
そのため、図2に示すK(ブラック)のインク色の場合、使用量予測手段103によって保証期間内の使用量が1200mlと予測されているので、制御部10の推奨容量品選択手段104は、1000mlと、500mlと、300mlのインクカートリッジ151の内で、保証期間内の使用量である1200mlを超えない範囲で最大である、1000mlのインクカートリッジ151を推奨容量品として選択して、ICチップメモリ152に記憶する。
【0043】
図3は、本発明に係る実施形態1の印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
【0044】
図3に示すように、本発明に係る実施形態1の印刷装置1では、電源がオンされると動作を開始して、まず制御部10は、装着されたインクカートリッジ151のICチップメモリ152から当該インクカートリッジ151の製造年月日のデータを読み出すと共に(ステップS101)、保証期間のデータを読み出す(ステップS103)。
【0045】
そして、制御部10は、製造年月日に保証期間を加算した日付と、現在の日付とを比較して、現在の日付が保証期間に近付いているか否かを判定する(ステップS105)。
【0046】
例えば、図2に示すようにICチップメモリ152に記憶されている製造年月日が“2014/6/1”であり、保証期間が“1.5年”の場合、製造年月日に保証期間を加算した日付である“2015/12/1”に保証期間を経過するので、この保証期間が経過する日付と、現在の日付とを比較して、保証期間に近付いているか否かを判定する。なお、このステップS103では、現在の日付が保証期間を経過したか否かではなく、現在の日付が保証期間に近付いているか否かを判定しているので、製造年月日と保証期間とを加算した日付から所定月日(例えば、30日や2カ月)を減算して、現在の日付と比較しても良い。
【0047】
ここで、現在の日付が保証期間に近付いていないと判定した場合(ステップS105;NO)、消耗品であるインクカートリッジ151が印字品質に悪影響や印刷装置1に不具合を与える可能性は低いので、制御部10は、そのまま印刷動作を実行させ(ステップS107)、印刷が完了した場合には(ステップS109“YES”)、処理を終了する。
【0048】
これに対し、現在の日付が保証期間に近付いていると判定した場合(ステップS105;YES)、制御部10は、まず、インクカートリッジ151の保証期間に近付いていることを示す警告(ワーニング)を表示部12に表示してユーザに報知する(ステップS111)。なお、このステップS111による保証期間に近付いていることをユーザに対する報知処理は、省略しても良い。
【0049】
次に、制御部10の使用期間算出手段101は、ICチップメモリ152から消耗品であるインクカートリッジ151の使用開始日を取得し(ステップS113)、取得した使用開始日と前回の印刷終了日とに基づいて、使用開始日から現在までの使用期間を算出してICチップメモリ152に記憶する(ステップS115)。
【0050】
図2に示す場合であれば、K(ブラック)、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)の各色のインクカートリッジ151共に、“0.4年”と算出されてICチップメモリ152に記憶される。
【0051】
次に、制御部10は、ICチップメモリ152からインクカートリッジ151のインクの使用量を取得する(ステップS117)。なお、インクカートリッジ151のインクの使用量は、上述したように印刷実行時に制御部10の使用量検出手段102が各色のインクジェットヘッド110におけるインクの吐出回数等をカウントして、その吐出回数等に1回当りの吐出量を乗算して算出し、ICチップメモリ152に記憶されている。
【0052】
次に、制御部10の使用量予測手段103は、取得したインクの使用量を、ステップS115で算出した使用期間で除算してインクの平均使用量(平均消費量)を算出する(ステップS119)。
【0053】
例えば、図2におけるK(ブラック)のインクカートリッジ151Kの場合、インクの使用量が“320ml”であり、使用期間は“0.4年”であるので、インクの平均使用量(平均消費量)は“800ml/年”となる。同様に、C(シアン)のインクカートリッジ151Cの場合は、インクの平均使用量(平均消費量)は“600ml/年”、M(マゼンタ)のインクカートリッジ151Mの場合は、インクの平均使用量(平均消費量)は“400ml/年”、Y(イエロー)のインクカートリッジ151Yの場合は、インクの平均使用量(平均消費量)は“300ml/年”となる。
【0054】
次に、制御部10の使用量予測手段103は、ステップS119で算出したインクの平均使用量(平均消費量)に基づいて、ICチップメモリ152に記憶されたインクカートリッジ151の保証期間内においてユーザが消費するインクの使用量(消費量)を予測してICチップメモリ152に記憶する(ステップS121)。
【0055】
例えば、図2におけるK(ブラック)のインクカートリッジ151Kの場合、インクの平均使用量(平均消費量)が“800ml/年”であり、保証期間が“1.5年”であるので、保証期間内でユーザが消費するインクの推奨容量は、平均使用量(平均消費量)の“800ml/年”と保証期間の“1.5年”とを除算して、保証期間内におけるユーザが消費するインクの使用量(消費量)として、“1200ml”と予測できる。
【0056】
同様に、保証期間内におけるユーザが消費するインクの使用量(消費量)は、C(シアン)のインクカートリッジ151Cの場合“900ml”、M(マゼンタ)のインクカートリッジ151Mの場合“600ml”、Y(イエロー)のインクカートリッジ151Yの場合“450ml/年”と予測できる。
【0057】
そして、制御部10の推奨容量品選択手段104は、ステップS121で予測された保証期間内におけるインクの使用量(消費量)に基づいて、その使用量(消費量)を超えない範囲で消耗品であるインクカートリッジ151の容量ラインナップの内で最も容量が大きいインクカートリッジ151を推奨容量の消耗品、すなわち推奨容量品として選択する(ステップS123)。
【0058】
例えば、消耗品であるインクカートリッジ151の容量ラインナップが1000ml、500ml、300mlの3種類あり、K(ブラック)のインク色の場合、制御部10の推奨容量品選択手段104は、予測された保証期間内におけるインクの使用量が図2に示すように“1200ml”であるので、それを超えない範囲で、3つの容量の消耗品の容量ラインナップの内、最も容量が大きい1000mlのインクカートリッジ151を選択する。
【0059】
同様に、C(シアン)のインク色の場合であれば、予測された保証期間内におけるインクの使用量が図2に示すように“900ml”であるので、制御部10の推奨容量品選択手段104は、それを超えない範囲で3つの容量の消耗品群である容量ラインナップの内、最も容量が大きい500mlのインクカートリッジ151を推奨容量品として選択する。
【0060】
M(マゼンタ)のインク色の場合であれば、予測された保証期間内におけるインクの使用量が図2に示すように“600ml”であるので、制御部10の推奨容量品選択手段104は、それを超えない範囲で3つの容量の消耗品の容量ラインナップの内、最も容量が大きい500mlのインクカートリッジ151を推奨容量品として選択する。
【0061】
Y(イエロー)のインク色の場合であれば、予測された保証期間内におけるインクの使用量が図2に示すように“450ml”であるので、制御部10の推奨容量品選択手段104は、それを超えない範囲で最も容量が大きい300mlのインクカートリッジ151が推奨容量品として選択されることになる。
【0062】
尚、例えば、消耗品であるインクカートリッジ151の容量ラインナップが1500ml、1000ml、500ml、300mlの4種類で、予測された保証期間内におけるインクの使用量が“2000ml”の場合、制御部10の推奨容量品選択手段104は、上述のように予測した“2000ml”を超えない範囲で4つの容量の容量ラインナップの内、最も容量が大きい一つのインクカートリッジ151、すなわち1500mlのインクカートリッジ151を推奨容量品として選択しても良いし、1500mlと500mlというように複数のインクカートリッジ151の組み合わせを選択してユーザに報知するようにしても良い。
【0063】
最後に、表示部12が報知手段として制御部10の推奨容量品選択手段104によって選択された推奨容量の消耗品を表示する(ステップS125)。
【0064】
そのため、消耗品の異なる容量の容量ラインナップの内、保証期間内にユーザが消費仕切れる推奨容量の消耗品が表示部12によってユーザに報知されることなる。
【0065】
なお、その後は、現在の日付が保証期間に近付いていないと判定した場合(ステップS105;NO)と同様に、制御部10は、そのまま印刷動作を実行させ(ステップS107)、印刷が完了した場合には(ステップS109“YES”)、以上の処理を修了する。
【0066】
従って、本発明に係る実施形態1の印刷装置1では、インクカートリッジ151のインク等の消耗品の保証期間が近付いた場合、制御部10の使用期間算出手段101がICチップメモリ152に記憶された使用開始年月日と現在の日付とに基づいて消耗品の使用期間を算出し、使用量検出手段102が消耗品の使用量を検出し、使用量予測手段103が使用期間と使用量とに基づいて保証期間内におけるユーザの使用量を予測し、推奨容量品選択手段104が予測されたユーザの使用量に基づいて異なる容量の消耗品群の中から保証期間内にユーザが消費可能な推奨容量の消耗品を選択して、表示部12に表示する。
【0067】
その結果、ユーザによる消耗品の使用状況に応じて、消耗品の保証期間内にユーザが消費し切れるユーザにとって最適な容量の消耗品が推奨容量品としてユーザに報知されるので、その後は消耗品を無駄に廃棄する場合が少なくなり、経済性を向上させることができる。また、保証期間を経過した消耗品の使用による印字品質の低下や印刷装置の故障等を確実に防止できる。
【0068】
(変形例1)
なお、本発明に係る実施形態1では、ステップS125において、その消耗品の異なる容量の容量ラインナップの内、保証期間内にユーザが消費仕切れる推奨容量の消耗品を表示部12に表示してユーザに報知したが、さらに、ステップS121で算出したンクの平均使用量に基づいて、インクカートリッジ151等の消耗品の使い切り予想日を算出し、表示部12に表示してユーザに報知するようにしても良い。使い切り予想日は、インクカートリッジ151の場合であれば、そのインク容量を平均使用量(平均消費量)で除算すれば、使い切り予想期間を算出できるので、算出した使い切り予想期間を使用開始日に加算すれば良い。
【0069】
例えば、図2に示すようなデータのインクカートリッジ151であれば、K(ブラック)のインクであれば、使用期間の“0.4年”と、使用量の“320ml”とに基づいて保証期間内における使用量が“1200ml”と予想されるので、使用開始日からのインクの使い切り予想期間は、“0.63年”と予想される。そこで、使用開始日である“2014/4/1”に使い切り予想期間の“0.63年”を加算して、使い切り予想日を算出できる。
【0070】
なお、図2に示すようなデータの場合、使用開始日からのインクの使い切り予想期間は、C(シアン)のインクの場合、“0.94年”、M(マゼンタ)のインクの場合、“1.25年”、Y(イエロー)のインクの場合、“1.89年”と予想されるので、これらの使い切り予想期間を“使用開始日である“2014/4/1”に加算すると使い切り予想日を算出できる。
【0071】
(変形例2)
また、上述した変形例1に示すようにインクカートリッジ151等の消耗品の使い切り予想日を算出し、表示部12に表示してユーザに報知するようにしても良いが、算出した消耗品の使い切り予想日の所定期間前、すなわち使い切り予想日を経過する前に、ステップS123の処理で選択された、その消耗品の異なる容量の容量ラインナップの内、保証期間内にユーザが消費仕切れる推奨容量の消耗品を表示部12に表示してユーザに報知することもできる。
【0072】
図4は、変形例2の印刷装置1の動作を示すフローチャートである。なお、図3に示す実施例1の印刷装置1の動作を同じ処理には、同一のステップ番号を付している。
【0073】
図4に示す変形例2の印刷装置1の動作と、図3に示す実施形態1の印刷装置1の動作とを比較すると明らかなように、図4に示す変形例2の印刷装置1のフローチャートでは、図3に示す実施形態1の印刷装置1のフローチャートにおけるステップS105の保証期間に近付いたか否かの判定処理と、次のステップS111の保証期間が近付いたことをユーザに報知する処理は省略している。
【0074】
その代わり、図4に示す変形例2の印刷装置1のフローチャートでは、ステップS119の使用期間と使用量とからの平均使用量算出処理と、ステップS121の保証期間内におけるインク等の消耗品の使用量予測処理との間に、例えば、上述した平均使用量に基づくインク等の消耗品の使い切り予想日の予測処理(ステップS127)と、予測した使い切り予想日が近付いたか否かの判定処理(ステップS129)と、使い切り予想日が近付いたことを表示部12等に表示してユーザに報知する処理(ステップS131)とが実行される。
【0075】
そして、予測した使い切り予想日が近付いた場合(ステップS129;YES)、使い切り予想日が近付いたことをユーザに報知して(ステップS131)、その後、上述した実施形態1のようにステップS121以降の処理を行って、異なる容量の消耗品群の中から保証期間内にユーザが消費可能な容量の物を推奨容量の消耗品として選択して、表示部12に表示することになる。
【0076】
従って、上述した実施形態1の印刷装置の場合であれば、インクカートリッジ151のインク等の消耗品の保証期間が近付いた場合に、保証期間内にユーザが消費可能な最適な推奨容量の消耗品が表示部12に表示されるが、変形例2の印刷装置の場合、インクカートリッジ151のインク等の消耗品の使い切り予想日が近付いた場合に、保証期間内にユーザが消費可能な最適な推奨容量の消耗品が表示部12に表示され、実施形態1よりも確実に保証期間前のインク切れを防止できる。
【0077】
(実施形態2)
次に、本発明に係る実施形態2の印刷装置1について説明する。
【0078】
本発明に係る実施形態2の印刷装置1では、上述した実施形態1の印刷装置1と同様に保証期間内におけるインクの使用量を予測し、予測したインクの使用量に基づいて異なる容量の消耗品群の中から保証期間内にユーザが消費可能な推奨容量の消耗品を報知するが、その際の基準とする保証期間を、インクの粘度に基づいて変更することを特徴とする。
【0079】
つまり、上述した実施形態1の印刷装置1では、保証期間は予め定めた固定値を継続的に使用するが、この実施形態2の印刷装置1では、予め定めた保証期間をインクの粘度に基づいて変更することを特徴とする。
【0080】
そのため、本発明に係る実施形態2の印刷装置1は、上述した実施形態1の印刷装置1と同じ構成であり、動作も同じ処理があるので、図1および図2に示す実施形態1の印刷装置1の構成を参照して、実施形態2の印刷装置1特有の動作について説明する。
【0081】
なお、本発明に係る実施形態2の印刷装置1の場合、インクカートリッジ151のICチップメモリ152には、さらに、インクの適正粘度の閾値、すなわち印刷装置1においてインク詰まりや印字擦れ等の問題を発生することなく印刷可能なインクの平均粘度の閾値が予め記憶されている。
【0082】
また、制御部10は、実施形態1の使用期間算出手段101、使用量算出手段102、使用量予測手段103、推奨容量品選択手段04の機能の他に、後述する保証期間更新手段の機能を有する。
【0083】
図5は、本発明に係る実施形態2の印刷装置1の動作を示すフローチャートである。
【0084】
図5に示すように、実施形態2の印刷装置1では、制御部10の保証期間更新手段は、例えば、ICチップメモリ152等からインクカートリッジ151のインクの適正粘度の閾値、すなわち印刷装置1において問題の発生しないインクの平均粘度の閾値を取得する(ステップS201)。
【0085】
図6は、実施形態2の印刷装置1におけるインクカートリッジ151の使用期間とインクの平均粘度との関係およびインクの平均粘度の閾値を示す図である。
【0086】
図6において、横軸はインクカートリッジ151の使用期間、縦軸はインクの平均粘度を示している。
【0087】
また、図6において、線61は、環境温度が40℃のときのインクカートリッジ151の使用期間とインクの平均粘度との関係を示す線であり、線62は、環境温度が23℃のときのインクカートリッジ151の使用期間とインクの平均粘度との関係を示す線である。
【0088】
図6における線61および線62から明らかなように、インクカートリッジ151の使用期間が長いほどインクが劣化等して粘度が高くなる。また、環境温度が高いほど、インクカートリッジ151の使用期間に対するインクの平均粘度の増加率の勾配が大きい。つまり、環境温度が高いほど、インクカートリッジ151の使用期間に応じ早めに粘度が上昇する。
【0089】
そして、図6の場合、インクの粘度が直線63により示される閾値以下である場合は、インクジェットヘッド110等におけるインクの流れは正常で、インクジェットヘッド110においてノズルにインクが詰まったり、印字擦れ等の問題は発生しない。
【0090】
これに対し、インクカートリッジ151の使用期間の長期化や環境温度の上昇によりインクの粘度が増粘して直線63により示される閾値を超えると、インクジェットヘッド110等におけるインクの流れが悪くなり、インクジェットヘッド110においてノズルにインクが詰まったり、印字擦れ等の問題が発生するようになる。
【0091】
そのため、実施形態2の印刷装置1では、図6に示す直線63の値、もしくはその直線63の値より所定値だけ低い値を、印刷装置1において問題の発生しないインクの平均粘度の閾値としてICチップメモリ152等に予め記憶しておき、ステップS201の処理により読み出す。
【0092】
図5に戻り、実施形態2の印刷装置1では、続いて図示しない公知のインク粘度測定手段がインクの粘度を測定する(ステップS203)。
【0093】
インクの粘度の測定方法には、粘度測定回路や流量センサ等により直接、測定する方法もあるが、実施形態2の印刷装置1では、例えば、印刷開始前のメンテナンス動作の際に次のようにしてインクの流路抵抗を測定して、間接的にインクの平均粘度の測定を行なう。
【0094】
つまり、インクの増粘は、主としてインクジェットヘッド110付近で発生する。このため、インクが増粘すると、インクジェットヘッド110におけるインクの流れが悪くなる。本実施形態2の印刷装置1では、インクの粘度を直接測定するのではなく、インクジェットヘッド110付近でのインクの流れ難さ、すなわち流路抵抗を測定することでインクの平均粘度を間接的に測定できる。
【0095】
具体的には、インクジェットヘッド110にインクを流し、所定量のインクが流れるまでの時間を計測する。この結果、計測された時間が長いほどインクが増粘していると判断することができる。これにより、高価な粘度測定回路や流量センサ等を設けることなく、簡易な構成でインクの平均粘度を判定することができる。
【0096】
次に、実施形態2の印刷装置1では、制御部10の保証期間更新手段が、ステップS201の処理によりICチップメモリ152等から読み出したインクの適正粘度の閾値と、ステップS203の処理によりインク粘度測定手段が測定したインクの粘度とを比較する(ステップS205)。
【0097】
そして、測定されたインクの粘度がインクの適正粘度の閾値以下の場合(ステップS205;NO)、印刷装置1におけるインクの粘度は適正粘度の状態にあるということなので、制御部10の保証期間更新手段はICチップメモリ152等に記憶したインクの適正粘度の閾値を更新せず、制御部10は、上述した本発明に係る実施形態1の印刷装置1と同様に、図4のステップS101の処理を行う。
【0098】
これに対し、測定されたインクの粘度がインクの適正粘度の閾値より大きい場合(ステップS205;YES)、インクジェットヘッド110等においてインクの流れが悪くなり、インクジェットヘッド110においてノズルにインクが詰まる等して問題が発生する可能性が出てくる。
【0099】
そのため、実施形態2の印刷装置1では、この場合、まず、報知手段が、測定されたインクの粘度がインクの適正粘度の閾値より大きい表示部12等に表示してユーザに報知する(ステップS207)。
【0100】
次に、制御部10の保証期間更新手段は、インクの粘度が適正粘度の閾値より大になった時のインクカートリッジ151の使用期間をICチップメモリ152から読み出し(ステップS209)、インクの粘度が適正粘度の閾値より大になった時のインクカートリッジ151の使用期間に基づいて新しい保証期間を算出する(ステップS211)。
【0101】
新しい保証期間の算出は、例えば、インクの粘度が適正粘度の閾値より大になった時のインクカートリッジ151の使用期間から、例えば1ヶ月を減算する等して新しい保証期間とする。
【0102】
これにより、新しい保証期間はインクカートリッジ151のインクの粘度が適正粘度の閾値を超えない値となるので、以後、インクの粘度が適正粘度の閾値を超える場合を減らすことができる。
【0103】
そして、制御部10の保証期間更新手段は、算出した新しい保証期間をICチップメモリ152で更新し(ステップS213)、上述した本発明に係る実施形態1(変形例1および変形例2も含む。)の印刷装置1と同様に、図3または図4のステップS101移行の処理を行う。
【0104】
そのため、本発明に係る実施形態2の印刷装置1では、インクの粘度が適正粘度の閾値よりも大であった場合、上述した図5に示すステップS201〜ステップS213の保証期間の更新処理、すなわち保証期間の短縮化を実行した後に、上述した実施形態1の印刷装置1と同様に、図3または図4のステップS101移行の処理を行うことができる。
【0105】
従って、本発明に係る実施形態2の印刷装置1では、実施形態1の印刷装置1と同様に、ユーザによる消耗品の使用状況に応じて、消耗品の保証期間内にユーザが消費し切れるユーザにとって最適な容量の消耗品を報知するので、消耗品を無駄に廃棄する場合が少なくなり、経済性を向上させることができる。また、保証期間を経過した消耗品の使用による印字品質の低下や印刷装置の故障等を確実に防止できる。
【0106】
また、本発明に係る実施形態2の印刷装置1では、インクの粘度を測定し、測定したインクの粘度がインクの適正粘度の閾値よりも大きくなって印字品質に悪影響を与える可能性がある場合、インクの粘度がインクの適正粘度の閾値よりも大きくなった時点までの使用期間から1カ月などの所定期間を減算した値を新たな保証期間としてICチップメモリ152に更新する。
【0107】
そのため、本発明に係る実施形態2の印刷装置1では、次からは、短縮化された新しい保証期間に基づいてユーザがその保証期間内にインクカートリッジ151のインク等の消耗品を消費し切れるか否かを判定するので、インクの粘度を考慮してユーザの環境に即した新たな保証期間に更新でき、より保証期間を経過した消耗品の使用による印字品質の低下や印刷装置の故障等を確実に防止できる。
【0108】
なお、上記の説明では、消耗品の一例としてインクカートリッジ151を一例に説明したが、本発明では、インクカートリッジに限定されるものでなく、他の消耗品でも良い。
【0109】
例えば、本発明に係る印刷装置が孔版印刷装置の場合には、消耗品として、例えば、孔版原紙(孔版マスタ)が考えられる。
【0110】
図7は、本発明の実施形態1に係る印刷装置において消耗品が孔版印刷で使用する孔版原紙(孔版マスタ)の場合におけるメモリに記憶された消耗品に関するデータの一例を示す図である。
【0111】
図7に示すように、消耗品が孔版原紙の場合、ICチップメモリ152に記憶されるデータとしては、図2に示すインクが消耗品の場合のデータと同様に、まず、使用されている孔版マスタの容量(版数)として“200版”、製造年月日として“2014/4/1”、保証期間として“1.5年”、使用開始日として“2014/6/1”が記憶されているものとする。
【0112】
そして、図7に示すような孔版原紙の消耗品のデータの場合、制御部10の使用期間算出手段101は孔版原紙の使用期間を“0.4年”と算出し、制御部10の使用量算出手段102が孔版原紙の使用量を“40版”と算出し、使用量予測手段103が保証期間内における孔版原紙の使用量として“150版”と算出する。
【0113】
ここで、孔版原紙(孔版マスタ)の容量ラインナップが200版と、100版と、50版との3タイプある場合、推奨容量品選択手段104は、保証期間内におけるユーザによる孔版原紙の使用量の“150版”を超えない範囲で、容量ラインナップの中で最大の100版の孔版原紙を推量容量として選択して、ICチップメモリ152に記憶する。
【0114】
従って、消耗品が孔版原紙の場合も、消耗品がインクカートリッジ151のインクの場合と同様に、ユーザの使用量を予測し、予測したユーザの使用量に基づいて異なる容量の消耗品群の中から保証期間内にユーザが消費可能な最適な推奨容量の消耗品を報知することができる。
【符号の説明】
【0115】
1…印刷装置
10…制御部
101…使用期間算出手段
102…使用量算出手段
103…使用量予測手段
104…推奨容量品選択手段
11…メモリ
12…表示部(報知手段)
110K,110C,110M,110Y…インクジェットヘッド
151K,151C,151M,151Y…インクカートリッジ
152K,152C,152M,152Y…ICチップメモリ(記憶手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7