特許第6546501号(P6546501)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546501
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】蓄電装置
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/35 20060101AFI20190705BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20190705BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20190705BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20190705BHJP
   H02M 7/48 20070101ALI20190705BHJP
【FI】
   H02J7/35 K
   H02J7/00 L
   H02J3/38 150
   H02J3/38 110
   H02J3/32
   H02M7/48 R
   H02M7/48 E
【請求項の数】3
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-204417(P2015-204417)
(22)【出願日】2015年10月16日
(65)【公開番号】特開2017-77124(P2017-77124A)
(43)【公開日】2017年4月20日
【審査請求日】2018年6月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】000106276
【氏名又は名称】サンケン電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康司
(72)【発明者】
【氏名】有松 健司
【審査官】 大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−075902(JP,A)
【文献】 特開平06−266456(JP,A)
【文献】 特開2002−017044(JP,A)
【文献】 特開2012−100504(JP,A)
【文献】 特開2001−346332(JP,A)
【文献】 特開2012−173773(JP,A)
【文献】 特開平11−046458(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/35
H02J 3/32
H02J 3/38
H02J 7/00
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽光発電装置から入力される発電電力をパワーコンディショナに出力する蓄電装置であって、
蓄電デバイスと、
前記太陽光発電装置の発電電力を変換して前記蓄電デバイスを充電させ、前記蓄電装置を放電させることにより、変換した電力を前記パワーコンディショナに出力する電力変換装置と、
前記電力変換装置を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記太陽光発電装置の発電電力と前記パワーコンディショナに出力される電力とに基づき前記蓄電デバイスを充放電させるための充放電指令を演算し、前記充放電指令を前記電力変換装置に出力し、前記太陽光発電装置の出力電圧及び出力電流の少なくとも一方が前記パワーコンディショナの動作範囲外にあると判定した場合に、前記パワーコンディショナの動作範囲内に入るように前記蓄電デバイスを放電させるための放電指令を前記電力変換装置に出力し、
前記パワーコンディショナに出力される電圧を所定の時間間隔毎に検出する電圧センサと、
前記パワーコンディショナに出力される電流を前記所定の時間間隔毎に検出する電流センサとを備え、
前記パワーコンディショナは、前記電圧センサからの電圧値又は前記電流センサからの電流値を変化させながら電圧値と電流値の乗算である電力値を算出し、今回算出した電力値を前回算出した電力値と比較することにより最大電力点になるよう最大電力点追従制御を前記動作範囲内で行い、
前記パワーコンディショナの動作範囲は、前記太陽光発電装置の温度と前記最大電力点追従制御により最大電力点を探査する際の振れ幅とにより決定される電圧範囲と、前記太陽光発電装置に照射される日射量により決定される電流範囲とから決定されることを特徴とする蓄電装置。
【請求項2】
太陽光発電装置から入力される発電電力をパワーコンディショナに出力する蓄電装置であって、
蓄電デバイスと、
前記太陽光発電装置の発電電力を変換して前記蓄電デバイスを充電させ、前記蓄電装置を放電させることにより、変換した電力を前記パワーコンディショナに出力する電力変換装置と、
前記電力変換装置を制御する制御部とを備え、
前記制御部は、前記太陽光発電装置の発電電力と前記パワーコンディショナに出力される電力とに基づき前記蓄電デバイスを充放電させるための充放電指令を演算し、前記充放電指令を前記電力変換装置に出力し、前記太陽光発電装置の発電電力の変化率を算出し、算出された発電電力の変化率に基づき前記パワーコンディショナの動作範囲外にあると判定した場合に、前記パワーコンディショナの動作範囲内に入るように前記蓄電デバイスを放電させるための放電指令を前記電力変換装置に出力し、
前記パワーコンディショナに出力される電圧を所定の時間間隔毎に検出する電圧センサと、
前記パワーコンディショナに出力される電流を前記所定の時間間隔毎に検出する電流センサとを備え、
前記パワーコンディショナは、前記電圧センサからの電圧値又は前記電流センサからの電流値を変化させながら電圧値と電流値の乗算である電力値を算出し、今回算出した電力値を前回算出した電力値と比較することにより最大電力点になるよう最大電力点追従制御を前記動作範囲内で行い、
前記パワーコンディショナの動作範囲は、前記太陽光発電装置の温度と前記最大電力点追従制御により最大電力点を探査する際の振れ幅とにより決定される電圧範囲と、前記太陽光発電装置に照射される日射量により決定される電流範囲とから決定されることを特徴とする蓄電装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記放電指令による放電制御を行っていない場合には、前記蓄電デバイスに所定の充電電流を流すための充電指令を前記電力変換装置に出力することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の蓄電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電装置から出力される電力の変動を抑制する蓄電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電力の変動を抑制する装置として、例えば、特許文献1に記載された電力平準化装置が知られている。この電力平準化装置は、自然エネルギー発電装置に、直流変換部としてのパワーコンディショナ(PCS)が接続され、PCSの直流リンク部に蓄電装置が接続されて構成されている。近年、太陽光発電装置(PV)から出力される電力が利用されている。しかし、前述した電力平準化装置では、専用のPCSが必要となるため、専用のPCSを既存のPVに接続することが困難であった。
【0003】
また、従来の電力変動抑制装置は、図6に示すように、PV300、PV300に接続されるPCS200、PCS200及び系統100に接続される蓄電装置400を有して構成されている。系統100とPCS200との間には、電力変換器401と蓄電デバイス402とを有する蓄電装置400が接続されている。
【0004】
この電力変動抑制装置によれば、蓄電デバイス402で充放電を行うことで、電力の平準化を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−78205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図6に示す従来の電力変動抑制装置では、日射量の急変等によりPV300の発電電力が低下することにより、PCS200が停止し、PCS200が再起動するまでに時間がかかる。このため、売電電力が目減りするといった問題があった。
【0007】
本発明の課題は、PVの発電電力の急峻な電力変動を抑制するとともに、PVの出力低下によりPCSが停止する回数を低減することができる蓄電装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る蓄電装置は、太陽光発電装置から入力される発電電力をパワーコンディショナに出力する蓄電装置であって、蓄電デバイスと、前記太陽光発電装置の発電電力を変換して前記蓄電デバイスを充電させ、前記蓄電装置を放電させることにより、変換した電力を前記パワーコンディショナに出力する電力変換装置と、前記電力変換装置を制御する制御部とを備え、前記制御部は、前記太陽光発電装置の発電電力と前記パワーコンディショナに出力される電力とに基づき前記蓄電デバイスを充放電させるための充放電指令を演算し、前記充放電指令を前記電力変換装置に出力し、前記太陽光発電装置の出力電圧及び出力電流の少なくとも一方が前記パワーコンディショナの動作範囲外にあると判定した場合に、前記パワーコンディショナの動作範囲内に入るように前記蓄電デバイスを放電させるための放電指令を前記電力変換装置に出力し、前記パワーコンディショナに出力される電圧を所定の時間間隔毎に検出する電圧センサと、前記パワーコンディショナに出力される電流を前記所定の時間間隔毎に検出する電流センサとを備え、前記パワーコンディショナは、前記電圧センサからの電圧値又は前記電流センサからの電流値を変化させながら電圧値と電流値の乗算である電力値を算出し、今回算出した電力値を前回算出した電力値と比較することにより最大電力点になるよう最大電力点追従制御を前記動作範囲内で行い、前記パワーコンディショナの動作範囲は、前記太陽光発電装置の温度と前記最大電力点追従制御により最大電力点を探査する際の振れ幅とにより決定される電圧範囲と、前記太陽光発電装置に照射される日射量により決定される電流範囲とから決定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、制御部が太陽光発電装置の発電電力とパワーコンディショナに出力される電力とに基づき蓄電デバイスを充放電させるための充放電指令を演算し、充放電指令を電力変換装置に出力するので、電力変換装置は、充放電指令に従って太陽光発電装置の発電電力を蓄電デバイスに充電したり、蓄電デバイスを放電することにより、変換した電力をパワーコンディショナに出力する。
【0010】
従って、太陽光発電装置の発電電力の急峻な電力変動を抑制することができるとともに、太陽光発電装置の出力低下によりパワーコンディショナが停止する回数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施例1に係る蓄電装置及び蓄電装置を含む電力変動抑制装置の構成を示す図である。
図2】本発明の実施例1に係る蓄電装置を含む電力変動抑制装置においてPV3の出力電圧と出力電流との温度依存特性を示す図である。
図3】本発明の実施例1に係る蓄電装置を含む電力変動抑制装置においてPV3の出力電圧と出力電流との照度依存特性を示す図である。
図4】本発明の実施例1に係る蓄電装置を含む電力変動抑制装置においてPCSのMPPT制御時の電圧と電力との関係を示す図である。
図5】本発明の実施例1に係る蓄電装置を含む電力変動抑制装置において電流と電圧とのカーブにおける発電出力変動抑制制御を示す図である。
図6】従来の電力変動抑制装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態の蓄電装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明の実施例1に係る蓄電装置及び蓄電装置を含む電力変動抑制装置の構成を示す図である。図1において、電力変動抑制装置は、PCS2、PV3、接続箱4、蓄電装置5を備えている。
【0014】
PCS2は、電力変換を行うもので電力系統1に接続され、PV3には接続箱4が接続されている。なお、接続箱4を設けず、PV3を直接、蓄電装置5に接続するように構成することもできる。PV3は、太陽光により発電し、発電量を接続箱4を介して蓄電装置5に出力する。
【0015】
蓄電装置5は、PCS2と、接続箱4を介するPV3との間に接続され、PV3の発電電力の急峻な電力変動を抑制するとともに、PV3の出力低下によりPCS2が停止する回数を低減する。蓄電装置5は、電力変換器11、蓄電デバイス12、電圧センサ14,16、電流センサ15,17、制御装置13を有している。
【0016】
蓄電デバイス12は、鉛蓄電池、リチウムイオン電池などである。電力変換器11は、本発明の電力変換装置に対応し、PV3の発電電力を変換して蓄電装置12を充電させ、蓄電装置12を放電させることにより、変換した電力をPCS2に出力する。
【0017】
電圧センサ14は、PCS2の蓄電装置側の出力電圧を検出し、検出された出力電圧を制御装置13に出力する。電流センサ15は、PCS2の蓄電装置側の出力電流を検出し、検出された出力電流を制御装置13に出力する。
【0018】
電圧センサ16は、PV3の出力電圧を検出し、検出された出力電圧を制御装置13に出力する。電流センサ17は、PV3の出力電流を検出し、検出された出力電流を制御装置13に出力する。
【0019】
制御装置13は、本発明の制御部に対応し、電力変換器11を制御する。制御装置13は、電圧センサ14からの出力電圧と電流センサ15からの出力電流とを乗算することによりPCS2に出力される電力を算出する。制御装置13は、電圧センサ16からの出力電圧と電流センサ17からの出力電流とを乗算することによりPV3の発電電力を算出する。
【0020】
制御装置13は、PV3から入力される発電電力とPCS2に出力される電力とに基づき蓄電デバイス12を充放電させるための充放電指令を演算し、充放電指令を電力変換器11に出力する。
【0021】
また、制御装置13は、PV3の出力電圧及び出力電流がPCS2の動作範囲外にあると判定した場合に、PCS2の動作範囲内に入るように蓄電デバイス12を放電させるための放電指令を電力変換器11に出力する。
【0022】
次に、実施例1の蓄電装置を含む電力変動抑制装置の各構成について詳しく説明する。
【0023】
(PV3の発電特性)
次に、PV3の発電特性について説明する。図2は本発明の実施例1に係る蓄電装置を含む電力変動抑制装置においてPV3の出力電圧と出力電流との温度依存特性を示す図である。図3は本発明の実施例1に係る蓄電装置を含む電力変動抑制装置においてPV3の出力電圧と出力電流との照度依存特性を示す図である。
【0024】
PV3は、図2に示すように、温度が高くなると、最大発電出力Pmaxが減少し、温度が低くなると、最大発電出力Pmaxが増加する特性を有する。この特性において、電流要素である短絡電流Iscと、最大発電時電流Ipmaxと、電圧要素である開放電圧Vocと、最大発電時電圧Vpmaxとの関係に着目すると、電圧要素は、電流要素と比較して温度の高低に大きく依存する。
【0025】
また、PV3に照射される照度(日射量)により、電流要素である短絡電流Iscは、図3に示すように照度に比例して増加する。電圧要素である開放電圧Vocは、ある一定以上の照度では大きく変化しない。このため、PV3は、ある一定以上の照度では比例して発電出力が増加する。
【0026】
(PCS2の最大電力点追従制御)
次に、PCS2について説明する。PV3の発電出力を最大限に生かすために、PCS2は、最大電力点追従制御(MPPT制御)を行う。このため、PV3が発電している際には、PV3の出力電圧と出力電流は、一定の電圧値と一定の電流値の範囲、即ち、図2に示す温度依存性による電圧範囲Aと、図3に示す照度依存性による電流範囲Bの範囲内に入る。
【0027】
電圧範囲Aは、PV3の温度によるものと、最大電力点追従制御(MPPT制御)とにより最大電力点を探査する際の振れ幅により決定される。電流範囲Bは、PV3に照射される日射量により決定される。
【0028】
なお,電流範囲Bは、PV3に照射される照度(日射量)に比例した値となるが、PV3の発電出力量が、接続された負荷であるPCS2による消費量より大きい場合には負荷量に応じた電流が流れる。
【0029】
(蓄電装置5によるPV3の発電出力の変動抑制制御)
次に、PV3の発電特性とPCS2の制御動作を考慮し、蓄電装置5によるPV3の発電出力の変動抑制制御について説明する。PCS2は、最大電力点を探査する際に、図4に示すPV3の発電出力Pと電圧Vとの特性(P−Vカーブ)に示すように、ある時間間隔で電圧センサ14からの電圧値又は電流センサ15からの電流値を変化させながら電圧値と電流値の乗算である電力値を算出し、今回算出した電力値を前回算出した電力値と比較することにより最大電力点になるようMPPT制御をPCS動作範囲R内で行う。
【0030】
蓄電装置5は、PV3の発電出力の変動を抑制制御するとともに、日射量急減等によるPCS2の停止を抑制する。このため、PCS2のMPPT制御範囲を考慮して、蓄電デバイス12の充電制御と放電制御を行う。
【0031】
次に、蓄電装置5によるPV3の発電出力の変動抑制制御について、図5に示すPV3の出力電流Iと出力電圧Vの特性(I−Vカーブ)を利用して説明する(I−VカーブはP−Vカーブと同意の特性である)。
【0032】
PCS2は、基本的に、図5に示す点P1、点P2、点P3及び点P4で囲まれるPCS動作範囲R内においてMPPT制御する。これは、MPPT制御の特性上、ある時間間隔で電圧値又は電流値を変化させているため、綺麗な直線で示される電力値(電圧値と電流値)の関係とはならないからである。
【0033】
また、PV3の温度により電圧値も多少変化することから、ある程度の幅を持つ範囲による関係となる。
点P1 電圧要素値:最大出力動作電圧Vpmax値−(開放電圧Voc×120%値−最大出力動作電圧Vpmax値)
電流要素値:短絡電流Isc値
点P2 電圧要素値:開放電圧Voc×120%値
電流要素値:短絡電流Isc値
点P3 電圧要素値:最大出力動作電圧Vpmax値−(開放電圧Voc×120%値−最大出力動作電圧Vpmax値)
電流要素値:最大出力動作電流Ipmax×20%値
点P4 電圧要素値:開放電圧Voc×120%値
電流要素値:最大出力動作電流Ipmax×20%値
ここで、PCS2のために設けられた電圧センサ14と電流センサ15は、直流系統の出力電圧値と出力電流値を常時測定し、PV3のために設けられた電圧センサ16と電流センサ17は、直流系統の出力電圧値と出力電流値を常時測定する。
【0034】
制御装置13は、日射量急減などによりPCS2が停止しないようPCS動作範囲となるように蓄電デバイス12の放電制御を行う。また、制御装置13は、蓄電デバイス12への充電制御も行う。
【0035】
具体的には、電圧センサ14,16は、ある時間間隔(サンプリング時間)で直流系統の出力電圧値を測定し、電流センサ15,17は、ある時間間隔(サンプリング時間)で直流系統の出力電流値を測定する。
【0036】
制御装置13は、電圧センサ16の出力電圧値及び電流センサ17の出力電流値の測定値が、予め設定されたPCS動作範囲R内に入っているか否かを判定する。
【0037】
また、制御装置13は、電圧センサ16の出力電圧値及び電流センサ17の出力電流値に基づく発電電力の今回測定値と、発電電力の前回測定値とを比較してPCS2が停止する範囲になりそうかを判定するために、発電電力の前回測定値又は発電電力の複数の過去測定値から発電電力の測定値の変化率を算出する。
【0038】
制御装置13は、これら2つの判定要素より、PV3の出力電圧値及び出力電流値(発電電力の測定値の変化率)がPCS動作範囲R外、即ち、動作停止範囲にある場合又はPCS2が動作停止範囲に入る可能性がある場合に、PCS動作範囲R内に入る電圧値と電流値(電力値)となるように蓄電デバイス12の放電制御を行うための放電指令を電力変換器11に出力する。
【0039】
なお、PV3の特性上、日射量急減により発電量が減少しても電圧値は、大きく変化しないため、制御装置13は、電流値を優先して蓄電デバイス12の放電を制御する。
【0040】
制御装置13は、放電制御を行っていない場合に、蓄電デバイス12へ所定の充電電流で充電させるように充電指令を電力変換器11に出力する。
【0041】
次に、制御定数の決定について説明する。PCS動作範囲において、PCS2が停止する範囲は、PCS自体の制御に依存するが、概ね日射量急減によりPCS2の発電量が減少し、電流値がIpmaxの20%以下に達すると、即ち、図5に示すPCS動作範囲R外になると、PCS停止範囲になる。このため、この停止範囲となると予想された場合に、制御装置13は、蓄電デバイス12の放電制御を行う。
【0042】
また、測定データのサンプリング時間により電流値の変化率を算出して、放電制御する際のIpmax20%以下に達するか否かを判定している。しかし、発電量が急減してしまうと、PCS2が即停止してしまうため、電圧値が大きく変化した場合には、蓄電デバイス12の充電制御を停止させて放電制御のみを行い、可能な限りPCS2の停止を抑制する。
【0043】
なお、最大発電出力Pmaxなどの具体的な数値は、PCS2に接続されているPV3の開放電圧、短絡電流、抵抗等の諸元(基準条件(STC:Standard Test Cell conditions 条件)値を用いて、直列接続されたPV3の個数分だけ乗じた電圧値、並列接続されたストリング数分だけ乗じた電流値とすればよい。
【0044】
このように実施例1の蓄電装置によれば、制御装置13がPV3の発電電力とPCS2の出力電力とに基づき蓄電デバイス12を充放電させるための充放電指令を演算し、充放電指令を電力変換器11に出力するので、電力変換器11は、充放電指令に従ってPV3の発電電力を蓄電デバイス12に充電したり、蓄電デバイス12を放電することにより、変換した電力をPCS2に出力する。
【0045】
即ち、蓄電装置は、充電制御と放電制御を組み合わせ、PVの発電電力の急峻な電力変動を抑制することができるとともに、PVの出力低下によりPCSが停止する回数を低減することができる。
【符号の説明】
【0046】
1 電力系統
2 PCS
3 PV
4 接続箱
5 蓄電装置
11 電力変換器
12 蓄電デバイス
13 制御装置
14,16 電圧センサ
15,17 電流センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6