特許第6546514号(P6546514)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546514
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/325 20060101AFI20190705BHJP
   B41J 17/32 20060101ALI20190705BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20190705BHJP
   B41J 3/36 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   B41J2/325 A
   B41J17/32 A
   B41J29/38 Z
   B41J3/36 Z
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-224034(P2015-224034)
(22)【出願日】2015年11月16日
(65)【公開番号】特開2017-87670(P2017-87670A)
(43)【公開日】2017年5月25日
【審査請求日】2018年7月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】服部 直行
(72)【発明者】
【氏名】下里 俊治
【審査官】 佐藤 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−370435(JP,A)
【文献】 特開2007−283683(JP,A)
【文献】 特開2012−045741(JP,A)
【文献】 特開平04−224986(JP,A)
【文献】 特開平07−149022(JP,A)
【文献】 特開2007−038463(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0177343(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/325
B41J 3/36
B41J 17/32
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状部材と当該円筒状部材に巻きつけられたインクリボンと前記円筒状部材の2つの端面の一方または両方に設けられ前記インクリボンに関する情報を示す識別コードが記された領域を複数有し且つ前記領域の境に当該境を示す印を有するデータ保持部とを備えるリボンロールを保持するリボン保持部と、
前記リボン保持部に保持された前記円筒状部材を回転させる駆動部と、
前記リボン保持部が保持する前記リボンロールの前記データ保持部に対面する位置から、前記識別コードおよび前記印の構成要素を検知する検知部と、
前記検知部で前記識別コードを検知可能な分として一つの前記領域を挟む二つの前記印の間に相当する角度だけ、前記駆動部により前記円筒状部材を回転させる回転制御部と、
前記回転制御部による回転と同期させて、前記検知部が検知した前記構成要素から前記印を基準として前記識別コードの読み取りを行うものであって、前記検知部が検知した前記印の前と後とで検知結果を分割して前後を入れ替えて連結することにより前記識別コードを合成する読取制御部と、
を備えるプリンタ。
【請求項2】
前記回転制御部は、前記検知部による検知完了後、該検知中の回転方向の逆方向に前記円筒状部材を回転させて、該検知にかかる回転によって前記リボンロールから送り出された前記インクリボンを巻き戻す
ことを特徴とする請求項に記載のプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、プリンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクリボンを用いて印字するプリンタが用いられている。このようなプリンタには、例えば、バーコードプリンタがある。
【0003】
インクリボンには、様々な種類がある。プリンタは、適正な印字品質を得るために、インクリボンの種類に応じた設定で印字する。インクリボンの種類は、例えば、色や幅の他、製造会社やロット(lot、製造の単位)番号などでも分類される。
【0004】
プリンタが自動的にインクリボンに応じた設定を行うためにインクリボンの種類を自動認識する技術が、様々提案されている。それらの技術には、例えば、保持部にセットされたインクリボンの端面に表示された情報を読取装置で読み取るといったものがある。
【0005】
このようなプリンタは、インクリボンの端面に表示された情報を読み取るにあたり、インクリボンを1回転以上回転させる必要がある。なぜなら、オペレータが情報表示位置を読取装置に合わせてセットするための構成や、情報表示範囲をプリンタに把握させたりする構成が、提案されていないからである。
【0006】
一般的に、インクリボンのロールを回転させるには、印字するときのようにインクリボンを搬送する。このため、上述のような運用であると、本来の用途(印字)以外で多くのインクリボンや用紙を消費し無駄にしてしまうので、好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、インクリボンの種類の自動認識を、インクリボンの消費を抑えて可能にするプリンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態のプリンタは、リボン保持部と駆動部と検知部と回転制御部と読取制御部とを備える。リボン保持部は、リボンロールを保持する。リボンロールは、円筒状部材と当該円筒状部材に巻きつけられたインクリボンとデータ保持部とを備える。データ保持部は、前記円筒状部材の2つの端面の一方または両方に設けられ、前記インクリボンに関する情報を示す識別コードが記された領域を複数有し、且つ、前記領域の境に当該境を示す印を有する。駆動部は、前記リボン保持部に保持された前記円筒状部材を回転させる。検知部は、前記リボン保持部が保持する前記リボンロールの前記データ保持部に対面する位置から、前記識別コードおよび前記印の構成要素を検知する。回転制御部は、前記検知部で前記識別コードを検知可能な分として一つの前記領域を挟む二つの前記印の間に相当する角度だけ、前記駆動部により前記円筒状部材を回転させる。読取制御部は、前記回転制御部による回転と同期させて、前記検知部が検知した前記構成要素から前記印を基準として前記識別コードの読み取りを行うものであって、前記検知部が検知した前記印の前と後とで検知結果を分割して前後を入れ替えて連結することにより前記識別コードを合成する
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態のプリンタの外観を概略的に示す斜視図である。
図2図2は、カバーが開けられた状態を概略的に示す斜視図である。
図3図3は、プリンタの内部構造の概略を示す縦断右側面図である。
図4図4は、巻き芯の外観側面図である。
図5図5は、プリンタの電気的接続を示すブロック図である。
図6図6は、メモリの記録内容の一例を示す図であって、リボンロールの各部寸法をテーブル形式でまとめたものである。
図7図7は、光センサの配置状態を示す図である。
図8図8は、制御部が備える機能部を示すブロック図である。
図9図9は、回転制御部および読取制御部がインクリボンの種類の自動認識にあたって行う処理の流れを示すフローチャートである。
図10図10は、回転制御部および読取制御部による制御手法の一つを説明する図である。
図11図11は、回転制御部および読取制御部による別の制御手法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下で説明する図面で、同一機能を有するものは同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態におけるプリンタ1の外観を概略的に示す斜視図であり、図2はカバーが開けられた状態を概略的に示す斜視図であり、図3はプリンタ1の内部構造の概略を示す縦断右側面図である。本実施形態のプリンタ1は、サーマルプリンタである。
【0012】
プリンタ1は、ハウジング11、表示部12、操作部13、用紙保持部14、リボン保持部15、印字部16、および排紙部17を備える。
【0013】
ハウジング11は、左側部分11aと右側部分11bとの2つに、概ね左右に分割可能な箱型である。表示部12および操作部13は、ハウジング11の左側部分11aの正面に設けられている。その他の各部(用紙保持部14、リボン保持部15、印字部16、および排紙部17)は、ハウジング11内に設けられている。
【0014】
左側部分11aは、本体であり、ハウジング11の底面111を含む。右側部分11bは、カバーである。ハウジング11の天面112において、左側部分11aと右側部分11bとは、一方が他方に対して回動自在に、ヒンジ113によって、連結されている。
【0015】
ハウジング11は、縦壁114を有する。縦壁114は、底面111に立てて設けられている。縦壁114は、当該縦壁114に取り付けられた上記各部(用紙保持部14、リボン保持部15、および印字部16)を保持する。
【0016】
表示部12は、文字や記号を表示することによって、操作者に対して、プリンタ1の動作状況や操作部13による操作受付状況などを、報知する。操作部13は、操作者によるプリンタ1への各種操作入力を受け付ける。
【0017】
用紙保持部14は、用紙(被印字材)を保持する。本実施形態では、用紙として、帯状の紙21が巻かれたロール紙20を適用している。用紙保持部14は、縦壁114に取り付けられて略水平を保つ保持軸141を備えている。保持軸141は、ロール紙20の巻中心の中空部分に挿されることによって、ロール紙20を回転自在に保持し、紙21を引き出し可能に支持する。
【0018】
リボン保持部15は、リボンロール30を保持する。リボンロール30は、円筒状の部材(円筒状部材)である巻き芯(コア、紙管ともいう)32の外周面に、インクリボン31が巻きつけられて構成される。インクリボン31は、紙21に供給されるインクを保持した帯状の媒体である。
【0019】
リボン保持部15は、縦壁114に取り付けられて略水平を保つ送出軸151および巻取軸152を備えている。送出軸151は、巻き芯32の中空部分に挿された状態で、リボンロール30を回転自在に保持する。また、送出軸151は、駆動部(後述)により回転駆動されることにより、巻き芯32を回転させ、インクリボン31を送り出す。巻取軸152は、印字部16を経たインクリボン31を巻きつける巻取芯33の中空部分に挿される。巻取芯33は、巻き芯32と略同様のものである。巻取軸152は、駆動部により回転駆動されることにより、巻取芯33を回転させる。インクリボン31は、巻取芯33に一端を固着され、巻取軸152が回転することにより、巻取芯33に巻き取られる。
【0020】
図4は、巻き芯32の外観側面図である。巻き芯32の2つの端面321,322には、データ保持部40が設けられている。データ保持部40は、インクに関する情報を示す識別コードが記された領域を複数有し、且つ、領域の境に、当該境を示す印を有している。図4(a)は、データ保持部40が、4つの領域41および4つの印51を有する場合の例、(b)は、データ保持部40が、3つの領域42および3つの印52を有する場合の例である。領域41,42に記された識別コードは、例えば、円周方向に黒色と白色とが交互に並ぶデジタルコードである。また、印51,52は、例えば切欠きである。
【0021】
領域および印を設ける数は、上に例示した4または3に限らず、2や5であってもよく、領域に表示する識別コードの長さに応じて決定すればよい。つまり、識別コードが短ければ、データ保持部40を短い領域(識別コードが収まる程度の)に分けて、領域および印を設ける数を多くすれば、利便性が高くなる(後に詳述する。)。逆に、識別コードが長ければ領域および印を設ける数を少なめにすればよい。
【0022】
印字部16は、インクリボン31を用いて紙21に印字を行う。印字部16は、サーマルヘッド161およびプラテンローラ162を備えている。印字部16は、サーマルヘッド161とプラテンローラ162との間にインクリボン31および紙21を挟み、プラテンローラ162の回転によってインクリボン31および紙21を搬送する。サーマルヘッド161は、インクリボン31を加熱する。インクリボン31の加熱された部分が含むインクが、紙21へ供給されることにより、印字が実現される。
【0023】
排紙部17は、ハウジング11の前面に設けられた排紙口171から、印字後の紙21を排出する。
【0024】
プリンタ1は、さらに、制御回路60を備えている。図5は、プリンタ1の電気的接続を示すブロック図である。制御回路60は、ハウジング11内の図3視における縦壁114の背面側に、収納されている。制御回路60は、CPU61、ROM62、RAM63、不揮発性メモリ64、表示部コントローラ65、操作処理部66、搬送コントローラ67、リボンコントローラ68、印字コントローラ69、および検知部70を備えている。
【0025】
CPU(Central Processing Unit)61、ROM(Read Only Memory)62、およびRAM(Random Access Memory)63は、制御部600(図8参照)を構成する。ROM62は、固定データ(例えばCPU61が実行するプログラムなど)を固定的に記憶保存する。RAM63は、可変データを書き換え自在に記憶してワークエリアとして使用される。CPU61は、ROM62が記憶するプログラムをRAM63に展開して各種演算処理を実行することにより、上記各部(不揮発性メモリ64、表示部コントローラ65、操作処理部66、搬送コントローラ67、リボンコントローラ68、印字コントローラ69、および検知部70)を統括制御する。
【0026】
不揮発性メモリ(以下、単にメモリと称する)64は、Read/Write可能な不揮発性の記憶媒体であって、CPU61が実行する各種プログラムや、各種データを記憶する。メモリ64が記憶するデータとしては、例えば、プリンタ1で使用されるリボンロール30の寸法などがある。図6は、メモリ64の記録内容の一例を示す図であって、リボンロール30の各部寸法をテーブル形式でまとめたものである。
【0027】
メモリ64は、リボンロール30の内径や、外径の最大値および最小値、センサ検知位置(図4に符号50の点線で示す)を記録している。リボンロール30の内径は、すなわち、巻き芯32の内径である。リボンロール30の外径の最大値は、すなわち、未使用状態のリボンロール30における巻き芯32に巻かれたインクリボン31の外径である。リボンロール30の外径の最小値は、すなわち、巻き芯32の外径である。
【0028】
また、メモリ64は、上記各寸法に対応する周の長さを、各種(1周、1/2周、1/3周、1/4周)記録している。
【0029】
表示部コントローラ65は、制御部600の制御に従って、表示部12の表示内容を制御する。操作処理部66は、操作部13が出力する信号に基づいて操作内容を制御部600へ伝達する。
【0030】
ここで、印字部16は、さらに、プラテンローラ162を回転させるステッピングモータ163を備えている。ステッピングモータ163およびプラテンローラ162は、紙21やインクリボン31を送る搬送部(符号の図示なし)を構成する。
【0031】
ステッピングモータ163は、搬送コントローラ67が出力するパルス信号の入力を受けて、パルス数に応じた回転角度だけ回転する。ここで、印字部16の解像度は、例えば200dot/inchである。ステッピングモータ163は、1パルス分の回転で、紙21およびインクリボン31を、1dot相当の長さだけ搬送する。したがって、ステッピングモータ163は、200パルス受けることにより、紙21およびインクリボン31を1インチ搬送する。
【0032】
搬送コントローラ67は、制御部600の制御に従って、ステッピングモータ163の駆動を管理し、これにより、紙21およびインクリボン31の搬送量を管理する。より具体的には、搬送コントローラ67は、制御部600の制御に基づいてステッピングモータ163へパルス信号を送る。
【0033】
またここで、リボン保持部15は、さらに、送出軸151を回転させるモータ153と、巻取軸152を回転させるモータ154とを備えている。モータ153,154は、例えばDCモータである。モータ153,154や上述の搬送部は、リボンロール30の巻き芯32を回転させる駆動部(符号の図示なし)として機能する。
【0034】
リボンコントローラ68は、モータ153,154の駆動を制御する。モータ153およびモータ154は、リボンコントローラ68の制御に基づいて、搬送部により搬送されるインクリボン31が適切なテンションで張られるよう、送出軸151および巻取軸152を回転させる。
【0035】
上述のモータ153,154の制御には、スリットセンサ(不図示)を用いる。スリットセンサは、送出軸151(巻取軸152)とともに回転する回転盤(不図示)が有するスリットを、検知する。当該スリットは、回転盤の回転中心から放射方向に設けられている。リボンコントローラ68は、スリットセンサが定期的にスリットを検知する状態から検知しない状態に変化すると、モータ153(154)を停止させる。
【0036】
印字コントローラ69は、制御部600の指示に基づいてサーマルヘッド161への通電などを制御する。
【0037】
検知部70は、光センサ71と、読取処理部72を備え、識別コードおよび印51,52の構成要素を検知する。本実施形態の識別コードの構成要素は、交互に並んだ黒色および白色である。また、印51,52の構成要素は切欠きである。
【0038】
光センサ71は、データ保持部40に対面する位置に配置されて、識別コードおよび印51,52に光を照射して反射した光に基づく信号を読取処理部72へ出力する。光センサ71が出力する信号のレベルは、切欠き、黒色および白色で、それぞれ異なる。
【0039】
読取処理部72は、制御部600の制御に従い、光センサ71に対して検知指示を出力する。また、読取処理部72は、光センサ71から入力されたアナログ信号に基づいてデジタル信号を生成(A/D変換)し、当該デジタル信号を制御部600へ出力する。
【0040】
図7は、光センサ71の配置状態を示す図である。一つのプリンタ1において使用可能と定められるリボンロール30は、一般的に、幅は複数種類あっても、それらの巻き芯32の径は同じである。リボンロール30の取り付け位置がセンター合わせの場合には、幅の種類によって、光センサ71の好適位置が変わってくる。図7では、例として、2種類の幅W1,W2に対応する光センサ71の位置を示す。
【0041】
光センサ71は、各種リボンロール30の巻き芯32の端面321,322に記された識別コードを読み取るため、リボンロール30の幅方向に沿って移動可能であることが望ましい。そこで、検知部70は、リボンロール30の幅方向に沿って移動可能に光センサ71を支持するセンサ支持部(支持部)73を、備えている。
【0042】
センサ支持部73は、スライド軸731と、支持部材732とを備えている。スライド軸731は、長手方向がリボンロール30の幅方向に一致するよう配置されて、一端に光センサ71が取り付けられている。支持部材732は、スライド軸731を支持する部材である。支持部材732は、例えばクランク状に折り曲げられた板金であって、軸支持面732aと、取付面732bと、つなぎ面732cとを有している。
【0043】
軸支持面732aは、縦壁114に略平行であって、スライド軸731が貫通する孔(不図示)を有する。取付面732bは、支持部材732の両端部に位置し、軸支持面732aと平行で、縦壁114に取り付けられる部分である。つなぎ面732cは、軸支持面732aと取付面732bとの間に位置して、これらをつなぐ。
【0044】
スライド軸731の他端部は、軸支持面732aと縦壁114とを、スライド自在に貫通する。これにより、スライド軸731の一端に取り付けられた光センサ71は、各種巻き芯32の端面321,322の位置に対応させて変位可能である。
【0045】
図8は、制御部600が備える機能部を示すブロック図である。制御部600は、CPU61がROM62に記憶されたプログラムをRAM63に展開して実行することにより、回転制御部601および読取制御部602として機能する。
【0046】
回転制御部601は、駆動部によって、巻き芯32を、検知部70で識別コードを検知可能な分だけ、回転させる。検知部70で識別コードを検知可能な分とは、一つの領域41を挟む二つの印51の間に相当する角度以上であって、1回転未満である。
【0047】
読取制御部602は、上記回転と同期して識別コードの読み取りを行う。より詳しくは、読取制御部602は、上記回転と同期させて、検知部70に、識別コードおよび印51の構成要素を検知させる。そして、読取制御部602は、検知部70から入力されるデジタル信号から、印51を基準として、識別コードを読み取る。
【0048】
図9は、回転制御部601および読取制御部602がインクリボン31の種類の自動認識にあたって行う処理の流れを示すフローチャートである。回転制御部601は、搬送コントローラ67を介して、ステッピングモータ163に、インクリボン31の搬送を指示する(ステップS1)。これに伴い、制御部600は、リボンコントローラ68を介して、モータ153,154に、送出軸151,巻取軸152を回転させるよう指示する。これにより、巻き芯32,巻取芯33が回転する。当該回転に同期させて、読取制御部602は、読取処理部72に、データ保持部40の識別コードおよび印51の構成要素を検知するよう指示する(ステップS2)。
【0049】
図10は、回転制御部601および読取制御部602による制御手法の一つを説明する図である。ここでは、プリンタ1に用いられるロール紙20が、データ保持部40に領域41を4つ有する場合を例にする。
【0050】
回転制御部601は、検知部70が印51を2つ検知するまで、駆動部にリボンロール30を回転させる。リボンロール30のデータ保持部40におけるA点から回転を開始したとすると、回転制御部601は、B点まで回転を継続する。すると、回転範囲には、必ず、領域41が1つ含まれる。
【0051】
この手法によれば、種類の自動認識のために消費するインクリボン31の長さは、最も長くとも、最大外径時の1/2周相当である。したがって、例えば図6に示す寸法のリボンロール30であった場合には、従来の1周以上回していた手法に比べ、141.3mm以上のインクリボン31を節約することができる。
【0052】
図11は、回転制御部601および読取制御部602による別の制御手法を説明する図である。ここでは、プリンタ1に用いられるロール紙20が、データ保持部40に領域41を4つ有する場合を例にする。
【0053】
回転制御部601は、メモリ64を参照し、リボンロール30の最大外径時の1/4周に相当するインクリボン31の長さを把握し、当該長さに相当するパルス数を算出する。当該パルス数は、ステッピングモータ163に付与するパルス信号の数である。この値は、プラテンローラ162により搬送されるインクリボン31および紙21の長さが、リボンロール30の最大外径時の1/4周に、ほぼ等しくなる値である。
【0054】
次に、回転制御部601は、算出したパルス数だけのパルス信号をステッピングモータ163に与えてインクリボン31を搬送して、リボンロール30を回転させる。リボンロール30のデータ保持部40におけるC点から回転を開始したとすると、回転制御部601は、D点まで回転を継続する(図11(a)参照)。
【0055】
仮に、C点が印51上の点であれば、D点は次の印51上の点となるので、C〜Dの2点間にはちょうど一つの識別コードが存在する。
【0056】
図11(a)に示すように、C点が識別コードの中途の点であれば、D点は、印51を通過した次の識別コードの中途の点である。この場合、C点とD点は、データ保持部40の別の箇所に記された識別コードの同じ部分に位置している。
【0057】
この場合、読取制御部602は、まず、検知部70の出力から、印51に相当する箇所を識別する。次に、読取制御部602は、上記出力を、印51に相当する箇所で切断(図11(b)参照)し、2つに分割する(図11(c)参照)。そして、先に読み取った(検知した)方が後になるように前後を入れ替えて2つを連結(合成)して1つにする(図11(d)参照)。つまり、2つに分断された印51が外側に位置しC点とD点とが合わさるように、2つを連結する。これにより、1つの識別コードが得られる。
【0058】
この手法によれば、種類の自動認識のために消費するインクリボン31の長さは、最も長くとも、最大外径時の1/4周相当である。したがって、例えば図6に示す寸法のリボンロール30であった場合には、従来の1周以上回していた手法に比べ、212.0mm以上ものインクリボン31を節約することができる。
【0059】
以上、本実施形態によれば、インクリボン31の種類の自動認識を、インクリボン31の消費を抑えて可能にすることができる。
【0060】
なお、本実施形態では、端面321,322の両方にデータ保持部40を設けたが、実施にあたっては、これに限らない。例えば、光センサ71にて検知可能な側であるいずれか一方の端面(321または322)のみに、データ保持部40を設けるようにしてもよい。
【0061】
また、本実施形態では、モータ153,154を、例えばDCモータであるとして説明したが、実施にあたっては、モータ153,154がステッピングモータであってもよい。また、リボンロール30が、搬送部による力のみで送られる程度に軽いものであれば、モータ153,154が設けられていなくてもよい。
【0062】
さらに、実施にあたっては、印51,52は、切欠きに限らない。本実施形態では、印51,52を切欠きとし、識別コードの黒色部分の検知時とは、光センサ71の出力に電圧レベル差が生じるようにしている。これにより、光センサ71による印51,52と識別コードの黒との区別を容易にしている。しかし、実施にあたっては、例えば、印51,52を、識別コードに含まれない長さの黒色(または白色)とするなど、切欠き以外で表現してもよい。この場合には、黒色が光センサ71に検知される時間によって印51,52であるか識別コードであるかを区別することとなる。
【0063】
また、上記実施形態では、識別コードを色(明暗)で表現しているが、実施にあたってはこれに限らない。例えば、巻き芯32の端面321,322に形成された凹凸によって、識別コードや印51,52が表現されていてもよい。
【0064】
さらに、実施にあたっては、検知部70は、光センサ71以外を用いたものであっても、識別コードおよび印51,52の構成要素を検知可能であれば、構わない。
【0065】
そして、本実施形態では、被印字材として紙21を例に説明しているが、実施にあたっては、被印字材が紙でなくプラスチックなど他の材料でできたシートであってもよい。
【0066】
(変形例1)
本変形例では、上記実施形態におけるモータ153,154のうち、少なくともモータ153がステッピングモータである場合の回転制御部601および読取制御部602による制御手法について、説明する。本変形例では、回転制御部601は、搬送部による搬送を行わず、モータ153によって巻き芯32を回転させる。当該回転に伴い、読取制御部602は、図11を用いて説明した手法で、識別コードの読み取りを行う。
【0067】
そして、回転制御部601は、検知部70による識別コードの構成要素の検知が完了した後、検知中に回転させた分だけ巻き芯32を逆回転させる。つまり、検知中の回転方向の逆方向に回転させる。
【0068】
本変形例では、リボンロール30が例えば図6に示した寸法のものであった場合、70.7mm分のインクリボン31が、印字部16の手前に弛むこととなる。しかしながら、僅かな長さであるので、モータ153を逆転させてインクリボン31を巻き戻し、一度弛んだ部分を印字に活用しても、印字品質に悪影響を与える可能性は低い。これにより、インクリボン31および紙21の無駄をさらになくすことができる。
【0069】
(変形例2)
本変形例では、上記変形例1におけるモータ153がDCモータである場合について説明する。本変形例において、上記変形例1のように、インクリボン31の弛みを巻き戻すことを前提に、モータ153によって巻き芯32を回転させて読取を行うことは可能である。この場合、図10を用いて説明した手法で、識別コードの読み取りが可能となる。すなわち、回転制御部601は、光センサ71が印51を複数検知したところで、モータ153を止め、逆転させて、インクリボン31を巻き戻す。
【0070】
(変形例3)
上述の実施形態および変形例では、モータ153,154をステッピングモータ163とは別に設けているが、実施にあたってはこれに限らない。搬送部を構成するステッピングモータ163の駆動をギア等で伝達することにより、各種モータを共通化してもよい。つまり、単一のステッピングモータ163で、各箇所を駆動させるようにしてもよい。これによれば、送出軸151の回転に別のステッピングモータを用いることなく巻き芯32の回転角度を正確にすることができる。したがって、当該構成によって、図11を用いて説明した手法での識別コード読み取りが実施可能である。
【0071】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0072】
1…プリンタ
15…リボン保持部
16…印字部
30…リボンロール
31…インクリボン
40…データ保持部
41,42…領域
51,52…印
70…検知部
73…センサ支持部(支持部)
601…回転制御部
602…読取制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0073】
【特許文献1】特開2013−169744号公報
図1
図2
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図4
図5
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図10
図11