特許第6546529号(P6546529)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6546529プライマー要素を有する単回使用送達デバイス
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546529
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】プライマー要素を有する単回使用送達デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61J 1/10 20060101AFI20190705BHJP
   A61M 39/24 20060101ALI20190705BHJP
   A61M 39/02 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   A61J1/10 333C
   A61J1/10 335Z
   A61M39/24
   A61M39/02 114
【請求項の数】16
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2015-520437(P2015-520437)
(86)(22)【出願日】2013年6月26日
(65)【公表番号】特表2015-521529(P2015-521529A)
(43)【公表日】2015年7月30日
(86)【国際出願番号】US2013047874
(87)【国際公開番号】WO2014022030
(87)【国際公開日】20140206
【審査請求日】2016年6月14日
(31)【優先権主張番号】61/664,456
(32)【優先日】2012年6月26日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/925,213
(32)【優先日】2013年6月24日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】514327923
【氏名又は名称】ベクトン,ディッキンソン アンド カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】フェレーリ,スザンヌ
(72)【発明者】
【氏名】マンケ,ダーリン
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】カールソン,モーガン
【審査官】 胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第95/027522(WO,A1)
【文献】 米国特許第03340869(US,A)
【文献】 米国特許第05333761(US,A)
【文献】 米国特許出願公開第2007/0262091(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2005/0203463(US,A1)
【文献】 特表2008−525285(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第0352348(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/10
A61M 39/02
A61M 39/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単回使用送達デバイスであって、
内部チャンバを画定する手動で変形可能な液体容器であって、前記容器が、遠位端と、本体と、近位端と、前記遠位端にある出口とを有し、前記本体が、複数の押し潰し可能な漏斗状の同心円状に配置された側壁を備え、前記側壁の直径が、前記容器の遠位端から近位端にかけて減少する、容器と
前記容器の遠位端にある出口から突出するチップであって、前記チップが、前記容器の内部チャンバと流体連通する、チップと、
1つ以上の気泡を前記チャンバから除去するための押し潰し可能なプライマー要素であって、前記プライマー要素が、前記変形可能な液体容器に取り付けられ、かつ前記容器と流体連通する空洞を有し、前記空洞の体積が、前記容器の内部チャンバ内の気泡の体積と一致するかまたはこれを上回り、前記プライマー要素が、前記容器の近位端に配置されたサムプレス部を備える、プライマー要素と、
を備える、単回使用送達デバイスであり、
前記容器、前記チップ、および前記プライマー要素が、前記送達デバイス内のデッドスペースを最小限にするように押し潰し可能である、単回使用送達デバイス
【請求項2】
前記プライマー要素が、前記容器の本体内に組み込まれる、請求項1に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項3】
前記プライマー要素が、前記容器の本体内に成形される、請求項1に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項4】
前記プライマー要素が、押し潰し可能なボタンの形態ある、請求項1に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項5】
前記ボタンが、前記プライマーが手動で押圧される前には凸状である、請求項に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項6】
前記ボタンが、前記プライマーが手動で押圧された後には凹状である、請求項に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項7】
前記プライマー要素が、流体連通状態にある、一連の2つ以上の隣接する押し潰し可能なボタンの形態ある、請求項1に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項8】
前記チップが、血管アクセスデバイスに着脱自在に係合可能である、請求項1に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項9】
前記血管アクセスデバイスが、シリンジ、延長セット、静脈内セット、活栓、管類、耐圧延長チューブ、または無針コネクタである、請求項1に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項10】
前記チャンバ内に予め選択された量の流体をさらに備える、請求項1に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項11】
前記容器が、熱可塑性エラストマーから作られる、請求項1に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項12】
単回使用送達デバイスであって、
内部チャンバを画定する手動で変形可能な液体容器であって、前記容器が、遠位端と、本体と、近位端と、前記遠位端にある出口とを有し、前記本体が、複数の押し潰し可能な漏斗状の同心円状に配置された側壁を備え、前記側壁の直径が、前記容器の遠位端から近位端にかけて減少する、容器と
前記容器の遠位端にある出口から突出するチップであって、前記チップが、前記容器の内部チャンバと流体連通する、チップと、
プライマー要素を押圧することによって前記チャンバから空気を圧出するために、前記容器の一部分を押し潰すための押し潰し可能なプライマー要素であって、前記プライマー要素が、前記容器に取り付けられ、かつ前記容器と流体連通する空洞を有し、前記空洞の体積が、前記容器の内部チャンバ内の気泡の体積と一致するかまたはこれを上回り、前記プライマー要素が、前記容器の近位端に配置されたサムプレス部を備える、プライマー要素と、
前記チップと前記容器との間に配置される一方向弁であって、前記一方向弁が、前記容器の内部チャンバと流体連通し、前記一方向弁が、前記内部チャンバからの空気または流体の排出を可能にするが、前記容器が手動で変形されて解放される場合、空気または流体が前記内部チャンバの内側へ吸い込まれるのを阻止する、一方向弁と、
を備える、単回使用送達デバイス。
【請求項13】
前記一方向弁が、前記通路内の溶液の逆流を阻止する、請求項12に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項14】
前記一方向弁が、ダックビルバルブ、アンブレラバルブ、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、スイング逆止弁、ねじ締め逆止弁、リフト逆止弁、またはこれらの組み合わせである、請求項12に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項15】
前記一方向弁が、ダックビルバルブである、請求項14に記載の単回使用送達デバイス。
【請求項16】
前記一方向弁が、アンブレラバルブである、請求項14に記載の単回使用送達デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、概して、内部チャンバを画定する手動で変形可能な液体容器と、容器の遠位端にある出口から突出するチップと、1つまたは2つ以上の気泡をチャンバから除去するためのプライマー要素とを有する単回使用充填済み送達デバイスに関する。容器は、遠位端と、本体と、近位端と、遠位端にある出口とを含む。チップは、容器の内部チャンバと流体連通している。プライマー要素は、変形可能な容器に取り付けられ、かつ流体連通する。本発明の別の態様は、概して、本明細書に説明される単回使用充填済み送達デバイスを用いて、血管アクセスデバイスに流体を投与する、または血管アクセスデバイスをフラッシングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
血管アクセスデバイス(VAD)は、皮下注射針を用いて穿刺することなしに、患者の血管腔にアクセスするために用いられる。血管アクセスデバイス(VAD)は、静脈内カテーテル、シリンジ、延長セット、活栓、管類、耐圧延長チューブ、および無針アクセスデバイスを含む。これらのデバイスは、治療の実施および体液の採取のために、血管腔への頻繁なアクセスを要する患者に使用される。留置血管アクセスデバイスは、感染症および閉塞を起こしやすく、継続的な予防管理を要する。確実にVADが正しく使用されて、閉塞することのないようにするために、留置VADを維持するための実践基準が開発されてきた。これらの基準には、洗浄処置が含まれ、これは、一般的に、フラッシング処置と呼ばれる。VADのメンテナンスの一形態は、生理食塩水バッグがVADに接続され、VADを介して生理食塩溶液の連続流を患者に提供する、生理食塩水の持続点滴である。この手法は、血管腔に過剰な流体を送達することによって、患者を危険にさらす場合がある。
【0003】
フラッシングとして知られる血管デバイスのメンテナンスのための代替的な方法は、皮下注射器を用いてVADを通す、生理食塩水の断続的な送達を含む。断続的に生理食塩水をVADに送達する一つの方法は、生理食塩水のバイアルまたはアンプルから、針付きの皮下注射器を充填することである。次いで、充填されたシリンジは、VADに接続されて、VADを介して生理食塩水が患者の体内にフラッシングされる。充填済み送達容器は、無菌の内容物を受け側の接続部に送達するのに用いられ得る。充填済みの生理食塩水フラッシング用シリンジを用いて、生理食塩水フラッシングをVADに送達することは、手動で充填される皮下注射器に比べて、安全性および効率性を向上させる。
【0004】
容器は、限定されるものではないが、押し出し成形、射出成形、および成形同時充填を含む様々な製造プロセスを用いて形成され得る。しかしながら、デバイスが閉鎖または密閉される場合、内容量の一部分に空気を含み得る。使用の際、プライミングとして知られる工程を介して、内部の気泡を除去する必要がある場合がある。最終的に、デバイスの内面が充填済み溶液のみと接触し、空気には触れない、プライミングされたデバイスが得られる。
【0005】
フラッシング処置においては、血液をカテーテル内に引き戻さないこともまた重要であり、そうでないと、一般に「逆流」と呼ばれるが、血液が凝固してカテーテルを塞ぐ場合がある。血液がカテーテル内に逆流するのを防ぐためには、ユーザは、フラッシング処置の間、ライン内を正圧に維持することが推奨される。このことは、フラッシング処置の間、シリンジの押子に圧力をかけたままで、IVラインをクランプして、IVポートからシリンジおよびカニューレを取り外すことを含み得る。エラストマーのストッパを有する従来型のシリンジを用いる場合、ストッパは、しばしば、フラッシング処置の完了時に、シリンジのバレルの遠位端に接した時に圧縮される。フラッシング処置が完了した後、ユーザが押子への圧力を解放すると、ストッパは、膨張してその本来の寸法に戻り、そのことによって、液体はカテーテルからシリンジのバレル内に引き込まれる。このことは望ましくなく、なぜなら、そうすると、VADが次に使用されるまで静止したままとなるカテーテルの遠位端において、血液がカテーテルに入る(逆流)場合があるためである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現時点で入手可能なシリンジアセンブリを用いて、多種多様なカテーテルおよびI.V.ポートを適切にフラッシングし得るが、フラッシング手法がIV持続点滴から断続的フラッシングへと変化するのに伴って、閉鎖された充填済み容器の送達チャンバから望ましくない気泡を除去すると同時に逆流を抑制する、VADのメンテナンスのための新たな無菌単回使用充填済み送達デバイスが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態は、内部チャンバを画定する手動で変形可能な液体容器と、容器の遠位端にある出口から突出するチップと、1つまたは2つ以上の気泡をチャンバから除去するためのプライマー要素とを有する単回使用送達デバイスに関する。容器は、遠位端と、本体と、近位端と、遠位端にある出口とを含む。チップは、容器の内部チャンバと流体連通し、かつ血管アクセスデバイスに着脱自在に係合可能である。血管アクセスデバイスは、シリンジ、延長セット、静脈内セット、活栓、管類、耐圧延長チューブ、または無針コネクタであり得る。
【0008】
プライマー要素は、変形可能な容器に取り付けられ、かつ流体連通する。プライマー要素は、容器の本体内に組み込まれてもよく、容器の本体内に成形されてもよい。プライマー要素は、容器の近位端に位置づけられ得る。
【0009】
1つまたは2つ以上の実施形態では、プライマー要素は、プライマーが手動で押圧される前には凸状であり、プライマーが手動で押圧された後には凹状である、押し潰し可能なボタンの形態であり得る。
【0010】
1つまたは2つ以上の実施形態では、プライマー要素は、容器の近位端に配置されたサムプレス部を含み、容器の本体は、複数の押し潰し可能な漏斗状の同心円状に配置された側壁を備え、同心円状に配置された壁の直径は、液体容器の遠位端から近位端にかけて減少する。
【0011】
別の実施形態では、プライマー要素は、容器の近位端に配置されたサムプレス部を含み、容器の本体は、複数の押し潰し可能な漏斗状の非同心円状に配置された側壁を備え、非同心円状に配置された壁の直径は、液体容器の遠位端から近位端にかけて減少する。
【0012】
さらに別の実施形態では、プライマー要素は、流体連通状態にある、一連の2つまたは3つ以上の隣接する押し潰し可能なボタンの形態であり得る。
【0013】
1つまたは2つ以上の実施形態では、単回使用送達デバイスは、チャンバ内に予め選択された量の流体を含む。
【0014】
変形可能な容器は、熱可塑性エラストマーから作られ得る。
【0015】
本発明の別の実施形態は、流体を血管アクセスデバイスに送達する方法であって、単回使用送達デバイスを提供するステップであって、内部チャンバを画定する手動で変形可能な液体容器であって、容器が、遠位端と、本体と、近位端と、遠位端にある出口とを有する、手動で変形可能な液体容器と、容器の遠位端にある出口から突出するチップであって、チップが、容器の内部チャンバと流体連通する、チップと、1つまたは2つ以上の気泡をチャンバから除去するためのプライマー要素であって、前記プライマー要素が、変形可能な容器に取り付けられ、かつ流体連通する、プライマー要素とを有する、単回使用送達デバイスを提供するステップと、近位端と、遠位端と、貫設された通路とを有する血管アクセスデバイスを提供するステップであって、近位端が、通路と流体連通する雌型ルアーチップを有する、血管アクセスデバイスを提供するステップと、血管アクセスデバイスの遠位端を患者の血管に配置するステップと、プライマー要素を押圧して、チャンバ内の空気を排出するステップと、容器の雄型チップを血管アクセスデバイスの雌型チップに係合するステップと、容器を変形するように力を加えて、チャンバに配置された溶液が一方向弁を通って血管アクセスデバイス内に流れるようにするステップと、容器の雄型チップを血管アクセスデバイスの雌型チップから係脱するステップとを備える、流体を血管アクセスデバイスに送達する方法を対象としている。
【0016】
本発明の実施形態は、単回使用送達デバイスであって、内部チャンバを画定する手動で変形可能な液体容器であって、容器が、遠位端と、近位端と、遠位端にある出口とを有する、手動で変形可能な液体容器と、容器の遠位端にある出口から突出するチップであって、チップが、容器の内部チャンバと流体連通する、チップと、プライマー要素を押圧することによって前記チャンバから空気を圧出するために、変形可能な容器の一部分を押し潰すためのプライマー要素であって、前記プライマー要素が、変形可能な容器に取り付けられる、プライマー要素と、チップと変形可能な容器との間に配置される一方向弁であって、一方向弁が、容器の内部チャンバと流体連通し、前記一方向弁が、内部チャンバからの空気または流体の排出を可能にするが、容器が手動で変形されて解放される場合、空気または流体が内部チャンバの内側へ吸い込まれるのを阻止する、一方向弁とを含む、単回使用送達デバイスを対象としている。
【0017】
一方向弁は、通路における溶液の逆流を阻止する。一方向弁は、ダックビルバルブ、アンブレラバルブ、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、スイング逆止弁、ねじ締め逆止弁、リフト逆止弁、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0018】
本発明の別の態様は、流体を血管アクセスデバイスに送達する方法であって、単回使用送達デバイスを提供するステップであって、本明細書に説明されるように、手動で変形可能な液体容器と、容器の遠位端にある出口から突出し、容器の内部チャンバと流体連通するチップと、プライマー要素を押圧することによって前記チャンバから空気を圧出するために、変形可能な容器の一部分を押し潰すためのプライマー要素と、チップと変形可能な容器との間に配置される一方向弁とを有する、単回使用送達デバイスを提供するステップと、近位端と、遠位端と、貫設された通路とを有する血管アクセスデバイスを提供するステップであって、近位端が、通路と流体連通する雌型ルアーチップを有する、血管アクセスデバイスを提供するステップと、血管アクセスデバイスの遠位端を患者の血管に配置するステップと、プライマー要素を押圧して、チャンバ内の空気を排出するステップと、容器の雄型ルアーコネクタを血管アクセスデバイスの雌型ルアーに係合するステップと、容器を変形するように力を加えて、チャンバに配置された溶液が一方向弁を通って血管アクセスデバイス内に流れるようにするステップと、容器の雄型ルアーコネクタを血管アクセスデバイスの雌型ルアーから係脱するステップとを備える、流体を血管アクセスデバイスに送達する方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの一実施形態を示す斜視図である。
図2】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第2の実施形態を示す斜視図である。
図3】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す斜視図である。
図4】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す斜視図である。
図5】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す上面図である。
図6】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す側面図である。
図7】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す底面図である。
図8】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す側面図である。
図9】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す背面図である。
図10】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す正面図である。
図11】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す斜視図である。
図12】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す上面図である。
図13】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す側面図である。
図14】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す底面図である。
図15】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す側面図である。
図16】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す背面図である。
図17】チップキャップを有する本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第3の実施形態を示す正面図である。
図18】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第4の実施形態を示す斜視図である。
図19】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第4の実施形態を示す斜視図である。
図20】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第4の実施形態を示す上面図である。
図21】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第4の実施形態を示す側面図である。
図22】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第4の実施形態を示す底面図である。
図23】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第4の実施形態を示す側面図である。
図24】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第4の実施形態を示す正面図である。
図25】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第4の実施形態を示す背面図である。
図26】本発明の単回使用充填済み送達デバイスの第5の実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明のいくつかの例示的な実施形態を説明する前に、本発明が以下の説明に記載される構成またはプロセスステップの詳細に限定されないことを理解されたい。本発明は、その他の実施形態も可能であり、種々の手法で実施または実行され得る。
【0021】
本開示では、デバイスの遠位端が患者に最も近い端部であり、デバイスの近位端が、患者から離れて術者に最も近い端部であるという規則に従う。
【0022】
「変形可能」の語は、手で押されることによって、内部チャンバ内へと少なくとも部分的に潰れるのに十分に柔軟であるように構成された壁または容器を指す。変形の形状および程度は、内部チャンバおよび変形可能な容器の様々な構成によって異なる。
【0023】
本明細書で用いられる場合、コネクタ、接続部またはチップに関して「ルアー」の語は、シリンジ、カテーテル、ハブ付きニードル、IVチューブなどを互いに取り付けるための標準的な方法であるコネクションカラー(connection collar)を指す。ルアー接続部は、単純な押圧/捻り嵌め(pressure/twist fit)であっても良好に結合するようにわずかなテーパが付いている雄型および雌型のインターロック式チューブからなる。ルアーコネクタは、任意で、ねじが切ってある追加的な外縁を含んで、ルアーコネクタをさらにきちんと締まるようにし得る。ルアーコネクタの雄型端部は、一般的に、フラッシングアセンブリに連結され、血管アクセスデバイス(VAD)に位置する雌型端部に組み合って接続され得る。ルアーコネクタは、遠位端と、近位端と、不規則な形状の外壁と、シリンジの外筒のチャンバからVADのハブまで流体連通するための形状になされた中央通路とを備える。ルアーコネクタはまた、ルアーコネクタをVADのハブに着脱自在に取り付ける遠位端チャネルと、ルアーコネクタをシリンジのバレルに着脱自在に取り付ける近位端チャネルとを有する。
【0024】
「プライミング」の語は、1つまたは2つ以上の気泡の除去として定義される。本発明では、押し潰し可能なプライミング要素の体積は、デバイス内の気泡の体積と一致する、またはこれを上回る。デバイスのすべての領域は潰れて、使用後の送達デバイスに残るデッドスペースを最小限にする。
【0025】
プライマー要素が有用な1つのアプリケーションは、生理食塩水または薬剤で予め充填され、血管アクセスデバイス(VAD)との直接接続を目的とするデバイスのアプリケーションである。このタイプの充填済みデバイスは、しばしば、容器の内部体積内に1つまたは2つ以上の気泡の混入を伴う。VADに接続された場合、これらのデバイスには空気が含まれていないようにすることが非常に重要である。したがって、VADへの取り付けよりも先に、プライミングステップがワークフロー内に組み込まれなければならない。
【0026】
本発明は、既知の流体投与デバイスおよびフラッシングデバイスに関係する問題を、「プライミング」と呼ばれるステップにおいて、閉鎖容器から効果的に空気および溶液の両方、またはいずれか一方を除去する単回使用充填済み送達デバイスを提供することによって克服する。このプライミングステップは、以下に説明される押し潰し可能であり変形可能な容器およびプライマー要素によって達成される。
【0027】
単回使用無菌送達デバイスは、バイアルからシリンジに手動で溶液を充填することに起因する汚染に関係する危険性を減らすことによって、従来技術において見出される問題を克服する。従来技術に対する本発明のその他の利点には、以下が含まれる。a)本発明のデバイスは、受け側の無針雌型血管アクセスコネクタとのしっかりとした接続を確立し得る。b)本発明の単回使用無菌送達デバイスは、含まれる気泡の体積相当の体積を排出可能であり、変形可能かつ押し潰し可能な機構を実施しており、使用前にシリンジをプライミングし得る。
【0028】
本発明の単回使用充填済み送達デバイスを図1図5に示す。本発明の単回使用無菌送達デバイスは、バイアルからシリンジに手動でフラッシング溶液、薬物または薬剤を充填することに起因する汚染に関係する危険性を減らす。概言すれば、本発明の単回使用デバイスは、無菌溶液をVADの雌型ルアー接続部に送達することができる。概して、デバイスは、無菌溶液を0.5mLから10mLの間で保持可能な変形可能な容器を備える。
【0029】
図1を参照すると、本発明による単回使用充填済み送達デバイス10は、流体を保持するためのチャンバ23を画定する内面22を有する側壁21を含む手動で変形可能な容器20と、1つまたは2つ以上の気泡をチャンバ23から除去するためのプライマー要素30とを概して備える。変形可能な容器20は、閉鎖された近位端24と、本体25と、チャンバ23との流体連通を提供する貫設された通路28を有するチップ27を含む開放遠位端26とをさらに備える。このようにして、本発明の送達デバイス10は、受け側の無針雌型血管アクセスコネクタとのしっかりとした接続を確立し得る。変形可能な容器20のチップ27は、雄型ルアーコネクタを含み、これにより、VAD内の雌型ルアーコネクタに対してしっかりと接続され得る。血管アクセスデバイスは、シリンジ、延長セット、静脈内セット、活栓、管類、耐圧延長チューブ、または無針コネクタであり得る。
【0030】
プライマー要素30は、変形可能な容器20に取り付けられ、かつ流体連通する。プライマー要素30は、容器20の本体25内に組み込まれてもよく、容器20の本体25内に成形されてもよい。プライマー要素30は、容器20の近位端24に位置づけられ得る。
【0031】
本発明では、押し潰し可能なプライミング要素の体積は、デバイス内の気泡の体積と一致する、またはこれを上回る。デバイスのすべての領域は潰れて、使用後の送達デバイスに残るデッドスペースを最小限にする。
【0032】
図1に示されるように、プライマー要素30は、プライマーが矢印「A」で示される方向に手動で押圧される前には凸状であり、プライマーが手動で押圧された後には凹状である、押し潰し可能なボタンの形態であり得る。図1に示されるように、凸状の形状は、変形可能な容器20の表面内に成形されている。作動すなわちプライミングは、凸状の表面を押圧して、凹状の表面を形成することにより達成される。プライマー要素30は、稼働されると、容器内の特定の体積を排出する。排出される体積は、容器20のチャンバ23内に最初に含まれる気泡の体積と一致する、またはこれを上回る。プライマー要素30は、変形可能な容器20の本体内に成形されるのでもよいし、組み立てられるのでもよい。空気および液体の両方を含む容器20は、空気が容器20の開放遠位端26の領域に配置され、液体が出口から離れて位置づけられるように位置づけられ得る。プライマー要素30は、容器20の開放遠位端26から離れて位置づけられ、その結果、作動時、ボタンが液体よりも空気を優先的に吐出し得る。
【0033】
図2および図3に示されるように、プライマー要素30は、矢印「A」で示される方向に手動で押圧される、容器20の近位端24に配置されたサムプレス部31を含み得る。図3図17に示されるように、容器20の本体25は、複数の押し潰し可能な漏斗状の同心円状に配置された側壁を備え、同心円状に配置された壁の直径は、液体容器20の遠位端26から近位端24にかけて減少する。変形可能な容器の本体の形状は、デバイス10の一部分がそれ自体の上に折り畳まれるのを可能にし、内部チャンバ23の内容物の既定量を排出し、シリンジをプライミングするのに必要な体積を一致させる。
【0034】
別の実施形態では、プライマー要素30は、容器20の近位端24に配置されたサムプレス部31を含み、容器20の本体25は、複数の押し潰し可能な漏斗状の非同心円状に配置された側壁を備え、非同心円状に配置された壁の直径は、液体容器20の遠位端26から近位端24にかけて減少する。
【0035】
本発明の別の実施形態は、単回使用送達デバイス10であって、2つまたは3つ以上の内部チャンバ23を画定する手動で変形可能な液体容器20であって、容器20が、遠位端26と、近位端24と、遠位端26にある出口とを有する、手動で変形可能な液体容器20と、容器20の遠位端26にある出口から突出するチップ27であって、チップ27が、容器20の内部チャンバ23と流体連通する、チップ27と、プライマー要素30を押圧することによって前記チャンバ23から空気を圧出するために、変形可能な容器20の一部分を押し潰すためのプライマー要素30であって、前記プライマー要素30が、変形可能な容器20に取り付けられる、プライマー要素30とを含む、単回使用送達デバイス10を対象としている。図18図25に示されるように、プライマー要素30は、ルアー端部と流体連通状態にある、一連の2つまたは3つ以上の隣接する押し潰し可能なボタンの形態であり得る。2つまたは3つ以上の隣接する押し潰し可能なボタンは、図18図25に示されるように、ルアー端部に対して直列または並列に接続され得る。
2つまたは3つ以上の隣接する押し潰し可能なボタンは、凸状の表面を矢印「A」で示される方向に押し下げることにより作動されて、内部の体積を押し潰し、残りの内容物をルアー端部から吐出する。ルアー端部が最も高い位置となるようにデバイスを保持すると、1つまたは2つ以上の気泡は、ルアー端部に移動する。この位置において、2つまたは3つ以上の隣接する押し潰し可能なボタンを押し潰すことにより、空気がデバイスから吐出されて、デバイスの残りの内部体積が、液体と接触する。
【0036】
1つまたは2つ以上の実施形態では、単回使用送達デバイス10は、チャンバ23内に予め選択された量の流体を含む。
【0037】
変形可能な容器20は、熱可塑性エラストマーから作られ得る。
【0038】
図26に示されるように、本発明の別の実施形態は、単回使用送達デバイス10であって、1つまたは2つ以上の内部チャンバ23を画定する手動で変形可能な液体容器20であって、容器20が、遠位端26と、近位端24と、遠位端26にある出口とを有する、手動で変形可能な液体容器20と、容器20の遠位端26にある出口から突出するチップ27であって、チップ27が、容器20の内部チャンバ23と流体連通する、チップ27と、矢印「A」で示される方向にプライマー要素30を押圧することによって前記チャンバ23から空気を圧出するために、変形可能な容器20の一部分を押し潰すためのプライマー要素30であって、前記プライマー要素30が、変形可能な容器20に取り付けられる、プライマー要素と、チップ27と変形可能な容器20との間に配置される一方向弁55であって、一方向弁が、容器20の内部チャンバ23と流体連通し、前記一方向弁が、内部チャンバ23からの空気または流体の排出を可能にするが、容器20が手動で変形されて解放される場合、空気または流体が内部チャンバ23の内側へ吸い込まれるのを阻止する、一方向弁とを含む、単回使用送達デバイス10を対象としている。別の実施形態は、一方向弁を、個々のチャンバ間、あるいはチャンバとルアー端部との間にある接続点に組み込む。一方向弁は、ダックビルバルブ、アンブレラバルブ、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、スイング逆止弁、ねじ締め逆止弁、リフト逆止弁、またはこれらの組み合わせであり得る。組み込まれたバルブの使用は、ルアー接続点からのデバイス内への逆流を抑制する。この機構は、シリンジ内の背圧によって生じるVAD経路における逆流を抑制する。組み込まれたバルブはまた、チャンバ間の流れを抑制するために用いられ得る。一例は、バルブが、シリンジをプライミングするために用いられるチャンバと、送達のための目的とする内容物を含むチャンバとの間に位置づけられる場合である。
【0039】
本発明の別の実施形態は、流体を血管アクセスデバイスに送達する方法であって、単回使用送達デバイス10を提供するステップであって、内部チャンバ23を画定する手動で変形可能な液体容器20であって、容器20が、遠位端26と、本体25と、近位端24と、遠位端26にある出口とを有する、手動で変形可能な液体容器20と、容器20の遠位端26にある出口から突出するチップ27であって、チップ27が、容器20の内部チャンバ23と流体連通する、チップ27と、1つまたは2つ以上の気泡をチャンバ23から除去するためのプライマー要素30であって、前記プライマー要素30が、変形可能な容器20に取り付けられ、かつ流体連通する、プライマー要素30とを有する、単回使用送達デバイス10を提供するステップと、近位端と、遠位端と、貫設された通路とを有する血管アクセスデバイスを提供するステップであって、近位端が、通路と流体連通する雌型ルアーチップを有する、血管アクセスデバイスを提供するステップと、血管アクセスデバイスの遠位端を患者の血管に配置するステップと、プライマー要素30を押圧して、チャンバ23内の空気を排出するステップと、容器20の雄型チップ27を血管アクセスデバイスの雌型チップに係合するステップと、容器20を変形するように力を加えて、チャンバ23に配置された溶液が一方向弁を通って血管アクセスデバイス内に流れるようにするステップと、容器20の雄型チップ27を血管アクセスデバイスの雌型チップから係脱するステップとを備える、流体を血管アクセスデバイスに送達する方法を対象としている。
【0040】
一方向弁は、通路28における溶液の逆流を阻止する。一方向弁は、ダックビルバルブ、アンブレラバルブ、ボール逆止弁、ダイヤフラム逆止弁、スイング逆止弁、ねじ締め逆止弁、リフト逆止弁、またはこれらの組み合わせであり得る。
【0041】
本発明の送達デバイス10は、近位端と、遠位端と、貫設された通路28とを有する血管アクセスデバイスと共に用いられ得、前記近位端が、前記通路28と流体連通する雌型ルアーチップを有する。送達デバイス10をフラッシング処置で用いる、または流体を投与するために用いるには、ユーザは、前記血管アクセスデバイスの遠位端を患者の血管に配置した後、送達デバイス10の変形可能な容器20の雄型ルアーチップ27を、血管アクセスデバイスの雌型ルアーチップに係合する。血管アクセスデバイスは、近位端と、遠位端と、貫設された通路とを含み、近位端が、通路と流体連通する雌型ルアーチップを有する。次いで、ユーザは、プライマー要素30を押圧して、チャンバ23内の空気を排出する。ユーザは、変形可能な容器の本体に力を加えて容器20を押し潰して、内部チャンバ23内に配置された溶液が一方向弁を通って血管アクセスデバイス内に流れるようにする。所望量の液体をチャンバ23から吐出した後、ユーザは、容器20の前記雄型ルアーコネクタを血管アクセスデバイスの雌型ルアーから係脱する。
【0042】
1つまたは2つ以上の実施形態では、単回使用充填済み送達デバイス10は、チップキャップをさらに含み、チップキャップは、通路28をシールするために、変形可能な容器20の雄型ルアーチップ27に着脱自在に接続される。
【0043】
1つまたは2つ以上の実施形態では、血管アクセスデバイスは、シリンジ、延長セット、静脈内セット、活栓、管類、耐圧延長チューブ、または無針コネクタである。
【0044】
1つまたは2つ以上の実施形態では、単回使用充填済み送達デバイス10は、チャンバ23内に予め選択された量の流体をさらに含む。チャンバ23内の予め選択された量の流体は、0.5mlから10mlであり得る。1つまたは2つ以上の実施形態では、流体は、フラッシング溶液、薬物または薬剤を含み得る。フラッシング溶液は、VADをフラッシングするかまたはVADの性能を維持することを目的とする任意の溶液であり得る。フラッシング溶液は、生理食塩水、水、ヘパリン溶液、あるいはこれらの組み合わせからなる群から選択され得る。これらの溶液は、当技術分野で既知であり、容易に入手され得る。単回使用充填済み送達デバイス10は、シリンジの組み立ての間または組み立て後、無菌充填方法を用いて、フラッシング溶液、薬物または薬剤で予め充填され得る。このような充填済みアセンブリには、変形可能な容器20および雄型ルアーチップ27の通路28をシールするチップキャップ45が提供され得る。チップキャップは、天然ゴムまたは合成ゴム、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性材料およびエラストマー材料、これらの組み合わせ、あるいはその他の容易に廃棄可能な材料および再生可能な材料の両方、またはいずれか一方からなる群から選択される材料から形成され得る。組み上がったならば、シリンジアセンブリは、I.V.セットのカテーテルなどのVADへの流体のフラッシングまたは投与に用いられ得る。
【0045】
変形可能な容器20の材料は、性能だけではなく、注射液との適合性に基づいて選択されなければならない。好適な実施形態では、単回使用充填済み送達デバイス10は、注射液で予め充填される。フラッシングアセンブリが充填されてからフラッシングアセンブリの内容物が送達されるまでには、相当な時間がかかり得る。したがって、単回使用充填済み送達デバイス10のために選択される材料は、長期保存下で安定でなければならない場合がある。
【0046】
変形可能な容器20、チップ27およびプライマー要素30は、熱可塑性エラストマー、天然ゴム、合成ゴム、熱可塑性材料、あるいはその他の容易に廃棄可能な材料および再生可能な材料の両方、またはいずれか一方およびこれらの組み合わせから作られ得る。熱可塑性エラストマーには、限定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが含まれる。材料は、用いる溶液、薬剤および製造プロセスに適合するように選択されねばならない。1つまたは2つ以上の実施形態では、本発明の送達デバイス10は、デバイスの再利用を促進するために、単一の材料から作られることが想定される。
【0047】
1つまたは2つ以上の実施形態では、送達デバイス10は、単回使用充填済み送達デバイス10から1つまたは2つ以上の気泡を除去するため、また送達デバイス10からの流体の送達を制御するために、プライマー要素30上に少なくとも1つの突出部をさらに含む。
【0048】
本発明の単回使用充填済み送達デバイス10は、当業者によく知られている性質の成形同時充填技術により製造され得る。
【0049】
成形同時充填プロセスの概念は、無菌の装置内部の閉じた領域に人間が介在することなく、容器が単一の容器として連続的に形成され、充填され、そしてシールされることである。成形同時充填製造法は、単一の工程で、パリソンを金型内に押し出して形成し、容器を充填し、そして容器をシールすることによって、密閉容器を形成する。この製造プロセスは、デバイスを単一のプロセスで製造することを可能にする。例えば、医薬品グレードの樹脂がチューブ内に押し出されて、容器の形にされる。マンドレルが新たに形成された容器内に挿入されて充填される。次いで、容器はシールされる。これらはすべて、無菌の囲われたチャンバの内側でなされる。次いで、製品は、包装および流通のために、非無菌領域に放出される。この成形同時充填技術は、ある長さのパリソンを、一組の共同する第1の金型すなわち主型の間かつ全体にわたる中空のチューブの形で、押し出し機ヘッドによって連続押し出しすることを備える。この方法は、パリソンを押し出し機ヘッドの下かつ一組の主型の上で切り落として開口部を生成するステップを含む。これにより、成形およびその後の成形された容器の充填のために、ブロー成形および充填用のノズルアセンブリがパリソンの開口部内へと下方に移動できる。容器アセンブリの容器部分が所望量の液体で充填されたならば、ブロー成形および充填用のノズルアセンブリは、パリソンの開口部から引き戻される。次いで、別個の一組の共同する第2の金型すなわち上部シール用金型が、パリソンの露出部分の周囲に合わさるように移動されて、容器の上部部分を形成かつシールする。次いで、単一の容器として完全に形成され、充填され、そしてシールされた、仕上げられた容器アセンブリは、成形装置の外に出される。
【0050】
本発明の単回使用充填済み送達デバイス10は、バイアルからシリンジに手動でフラッシング溶液、薬物または薬剤を充填することに起因する汚染に関係する危険性を減らす。
【0051】
本明細書を通じて、「一実施形態」、「特定の実施形態」、「1つまたは2つ以上の実施形態」、または「ある実施形態」への言及は、その実施形態に関係して説明された特定の特徴、構造、材料、または特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味している。したがって、本明細書の全体を通じて様々な場所に「1つまたは2つ以上の実施形態では」、「特定の実施形態では」、「一実施形態では」または「ある実施形態では」などの語句があったとしても、必ずしも本発明の同じ実施形態に言及するものではない。さらに、特定の特徴、構造、材料、または特性は、1つまたは2つ以上の実施形態において、任意の好適な方法で組み合され得る。
【0052】
本発明は、本明細書で特定の実施形態を参照して説明されたが、これらの実施形態が、本発明の原理および適用を単に説明するものであることを理解されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなしに、本発明の方法および装置に対して様々な修正および変形がなされ得ることは、当業者には明らかである。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内にある修正および変更を含むことが意図される。
図1
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