(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記DPF強制再生実行部は、前記強制再生実行条件が満たされた場合には、前記閉塞回復処理を実行し、且つ、前記閉塞回復処理の完了後に、前記強制再生処理を実行することを特徴とする請求項1に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記カウンタ値は、前記ディーゼルエンジンから排出される排ガスの温度が排温閾値を下回る低排温運転状態の直近の所定時間内における累積継続時間である第1カウンタ値を含み、
前記閾値は、前記第1カウンタ値に対応する第1閾値を含み、
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記第1カウンタ値が前記第1閾値を上回った場合に、前記DOCが前記閉塞危険状態にあると判定する第1閉塞危険状態判定部を含み、
前記DPF強制再生実行部は、前記第1閉塞危険状態判定部によって前記DOCが前記閉塞危険状態にあると判定された場合に、前記DOC昇温実行部による前記閉塞回復処理の完了後に前記強制再生処理を実行し、
前記カウンタリセット処理部は、前記強制再生処理の完了後に前記第1カウンタ値を含む前記カウンタ値をリセットすることを特徴とする請求項1または2に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記排温閾値または前記第1閾値の少なくとも一方を、大気圧、大気温度、前記ディーゼルエンジンの水温のうちの少なくとも1つに基づいて補正する判定閾値補正部を、さらに含むことを特徴とする請求項3に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記第2閾値は、前記第1閉塞危険状態判定部の判定によって実行される連続する2つの前記閉塞回復処理の間の平均時間間隔よりも、前記第2閉塞危険状態判定部の判定によって実行される連続する2つの前記閉塞回復処理の間の平均時間間隔の方が小さくなるように設定されることを特徴とする請求項6に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記モード起動部は、前記昇温不良時回復モードの起動後に実行される前記閉塞回復処理における前記DOCの温度が前記第1温度閾値を上回った場合には、前記昇温不良時回復モードを終了することを特徴とする請求項6または7に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記昇温不良での前記閉塞回復処理が前記第1回数よりも大きい第2回数連続したこと、又は前記第2回数連続したことにより手動による前記閉塞回復処理の実行を促すことを報知する第1報知部を、さらに備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記第2閾値を、大気圧、大気温度、前記ディーゼルエンジンの水温のうちの少なくとも1つに基づいて補正する判定閾値補正部を含むことを特徴とする請求項6〜9のいずれか1項に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記第3閾値を、大気圧、大気温度、前記ディーゼルエンジンの水温のうちの少なくとも1つに基づいて補正する判定閾値補正部を含むことを特徴とする請求項11に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記DPF強制再生実行部は、前記DOC昇温実行部による前記閉塞回復処理の完了後において、前記強制再生実行条件が満たされている場合には、前記閉塞回復処理の完了後に、前記強制再生処理を実行することを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記DOC昇温実行部は、実行中の前記閉塞回復処理の中断条件が満たされる場合には、前記閉塞回復処理を中断することを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記閉塞回復処理が所定の回数中断された場合に、前記所定の回数中断したことを報知、又は手動による前記閉塞回復処理の実行を促す報知をする第2報知部を備えることを特徴とする請求項15または16に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
前記DPF強制再生条件判定部は、前記DPFにおけるPM堆積量の推定値が規定値を超える場合、エンジンの運転時間が規定時間閾値を超える場合、あるいは、前記ディーゼルエンジンの燃料噴射量の累計値が規定量を超える場合に、前記強制再生実行条件を満たすと判定することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の排ガス処理装置の再生制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1〜2では、閉塞していると判定されたDOCの回復(閉塞状態からの回復)は、DPFの強制再生と共に行われている。しかし、DOCの閉塞は、DPFの強制再生のタイミングとは別に発生し得るものである。そして、DOCが閉塞状態にある場合には排圧上昇による燃費の低下と共に、DPFの強制再生の開始時点においてDOCが閉塞状態にある場合には、DPFの強制再生時に供給される未燃燃料のスリップとこれに伴う燃費の低下、DPFの焼損、オイルダイリューションなどのおそれがある。
【0009】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、DOCの閉塞を未然に防止しつつ、DOCの回復およびDPFの再生を効率よく行うことが可能な再生制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る
排ガス処理装置の再生制御装置は、
ディーゼルエンジンの排気通路に配置されるDOCの回復と、前記DOCの下流の前記排気通路に配置されるDPFの強制再生とを実行する
排ガス処理装置の再生制御装置であって、
前記ディーゼルエンジンの運転時間に関するカウンタ値と閾値との比較に基づいて、前記DOCの閉塞が起こり易い状態である閉塞危険状態に前記DOCがあるか否かを判定するDOC閉塞危険状態判定部と、
前記DOCが前記閉塞危険状態にあると判定された場合に、前記DOCを第1温度まで昇温するための閉塞回復処理を実行するDOC昇温実行部と、
前記DPFの強制再生実行条件を満たすか否かを判定するDPF強制再生条件判定部と、
前記強制再生実行条件が満たされた場合に、前記DPFを第2温度まで昇温すると共に、前記DOCを前記第1温度に昇温するための強制再生処理を実行するDPF強制再生実行部と、
前記DPF強制再生実行部による前記強制再生処理の完了後に前記カウンタ値をリセットするカウンタリセット処理部と、を備える。
【0011】
上記(1)の構成によれば、DOCが閉塞危険状態にあるか否かの判定とDPFの強制再生実行条件を満たすか否かの判定とがそれぞれ別々に行われる。そして、
排ガス処理装置の再生制御装置は、DOCが閉塞危険状態にあると判定すると閉塞回復処理を実行し、強制再生実行条件を満たすと判定すると強制再生処理を実行し、DPFの強制再生処理の完了後には、DOCが閉塞危険状態にあるか否かを判定するためのカウンタ値がリセットされる。これによって、DPFの強制再生の完了後から、リセットされたカウンタ値によるDOCが閉塞危険状態にあるか否かの判定を開始することで、閉塞危険状態の判定精度を維持しつつ、閉塞回復処理を適正な頻度で実行することができる。
【0012】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記DPF強制再生実行部は、前記強制再生実行条件が満たされた場合には、前記閉塞回復処理を実行し、且つ、前記閉塞回復処理の完了後に、前記強制再生処理を実行する。
上記(2)の構成によれば、強制再生実行条件を満たすと判定すると閉塞回復処理および強制再生処理を実行する。このように、強制再生実行条件を満たすと判定されると、DPFの強制再生処理と共にDOCの閉塞回復処理が実行されるため、DOCの回復およびDPFの再生を効率よく行うことができる。しかも、DOCの閉塞を未然に防止すると共に、DPFの強制再生時には、先にDOCの回復を行うことで、DOCが閉塞することにより生じる未燃燃料のスリップを防止し、燃費の低下やDPFの焼損、オイルダイリューションを防止することができる。
【0013】
(3)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(2)の構成において、
前記カウンタ値は、前記ディーゼルエンジンから排出される排ガスの温度が排温閾値を下回る低排温運転状態の直近の所定時間内における累積継続時間である第1カウンタ値を含み、
前記閾値は、
前記第1カウンタ値に対応する第1閾値を含み、
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記第1カウンタ値が前記第1閾値を上回った場合に、前記DOCが前記閉塞危険状態にあると判定する第1閉塞危険状態判定部を含み、
前記DPF強制再生実行部は、前記第1閉塞危険状態判定部によって前記DOCが前記閉塞危険状態にあると判定された場合に、前記DOC昇温実行部による前記閉塞回復処理の完了後に前記強制再生処理を実行し、
前記カウンタリセット処理部は、前記強制再生処理の完了後に前記第1カウンタ値を含む前記カウンタ値をリセットする。
【0014】
上記(3)の構成によれば、第1カウンタに基づいてDOCの閉塞危険状態を判定すると共に、第1カウンタに基づく判定により閉塞回復処理を実行した場合には、併せてDPFの強制再生処理を実行する。このため、DOCの回復およびDPFの再生を効率よく行うことができる。また、排ガス温度が排温閾値を下回る低排温運転状態が続くと、DOCの閉塞が徐々に進行する。一方、排ガス温度が排温閾値を上回る高排温運転状態になると、DOCの閉塞は解消に向かう。このため、第1カウンタによって直近の所定時間内における低排温運転状態の累積継続時間でDOCの閉塞危険状態を判定することで、DOCの閉塞危険状態を精度良く判定することができる。また、DOCの閉塞(閉塞状態)を未然に防止することができる。また、閉塞回復処理により第1温度に昇温されたところから、強制再生処理を実行することができるので、燃費の向上を図ることができる。
【0015】
(4)幾つかの実施形態では、上記(3)の構成において、
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記排温閾値または前記第1閾値の少なくとも一方を、大気圧、大気温度、前記ディーゼルエンジンの水温のうちの少なくとも1つに基づいて補正する判定閾値補正部を、さらに含む。
上記(4)の構成によれば、DOCの閉塞速度は、ディーゼルエンジンが置かれた外部環境に依存するが、大気圧、大気温度、ディーゼルエンジンの水温から推測される外部環境に応じた適切な値に排温閾値または第1閾値を補正することができ、閉塞回復処理によってDOCの閉塞を未然に防止することができる。
【0016】
(5)幾つかの実施形態では、上記(3)〜(4)の構成において、
前記閉塞回復処理の実行中の前記DOCの温度を監視する昇温温度監視部を、さらに備える。
上記(5)の構成によれば、閉塞回復処理の実行中の実際のDOCの温度に基づいて、閉塞回復処理を制御することが可能となる。
【0017】
(6)幾つかの実施形態では、上記(5)の構成において、
前記カウンタ値は、前記ディーゼルエンジンの累積運転時間である第2カウンタ値を含み、
前記閾値は、
前記第2カウンタ値に対応する第2閾値を含み、
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記第2カウンタ値が所定の第2閾値を上回った場合に前記DOCが閉塞危険状態にあると判定する第2閉塞危険状態判定部を、さらに含み、
前記カウンタリセット処理部は、前記第2閉塞危険状態判定部の判定により実行される前記閉塞回復処理の完了後に前記第2カウンタ値を含む前記カウンタ値をリセットするものとし、
前記
排ガス処理装置の再生制御装置は、さらに、
前記第1閉塞危険状態判定部の判定による前記閉塞回復処理の実行中において、前記DOCの温度が前記第1温度よりも低い第1温度閾値を上回る時間が規定時間以下の場合を昇温不良と判定し、該昇温不良での前記閉塞回復処理が第1回数連続した場合には、前記第2閉塞危険状態判定部による前記閉塞危険状態の判定を開始する昇温不良時回復モードを起動するモード起動部を、備える。
【0018】
上記(6)の構成によれば、閉塞回復処理においてDOCの昇温が適切にされたか否かが判定される。DOCの昇温が適切になされないと、DOCの上流側端面に付着した未燃燃料等のSOF分やスートなどの付着物が閉塞回復処理によって十分に燃焼されず、DOCが適切に回復されない。このため、昇温不良の閉塞回復処理が第1回数連続する場合には、第2閉塞危険状態判定部による閉塞危険状態の判定を開始することで、DOCの閉塞の未然防止を図ることができる。
【0019】
(7)幾つかの実施形態では、上記(6)の構成において、
前記第2閾値は、前記第1閉塞危険状態判定部の判定によって実行される連続する2つの前記閉塞回復処理の間の平均時間間隔よりも、前記第2閉塞危険状態判定部の判定によって実行される連続する2つの前記閉塞回復処理の間の平均時間間隔の方が小さくなるように設定される。
【0020】
上記(7)の構成によれば、2つの第1閉塞危険状態判定部の判定により実行される閉塞回復処理において、先発の閉塞回復処理の完了後、後発の閉塞回復処理が実行される前に、第2閉塞危険状態判定部の判定により閉塞回復処理が実行される。このため、第1閉塞危険状態判定部の判定により実行される閉塞回復処理において、何らかの原因によりDOCが適切に昇温されなかった昇温不良の閉塞回復処理が発生し、DOCが適切に回復されていない状況が生じたとしても、第2閉塞危険状態判定部の判定により閉塞回復処理が実行されることで、閉塞回復処理をより頻度良く行うことができ、DOCを適切に回復することができる。
【0021】
(8)幾つかの実施形態では、上記(6)〜(7)の構成において、
前記モード起動部は、前記昇温不良時回復モードの起動後に実行される前記閉塞回復処理における前記DOCの温度が前記第1温度閾値を上回った場合には、前記昇温不良時回復モードを終了する。
上記(8)の構成によれば、昇温不良時回復モードの起動後において、閉塞回復処理によるDOCの回復が適切に行われる状況に戻った場合には、昇温不良時回復モードが終了される。これによって、第1閉塞危険状態判定部などの他の判定部によりDOCの閉塞危険状態の判定がなされることでDOCの閉塞を未然に防止することができると共に、閉塞回復処理が通常の頻度に戻されることで、燃費の低下を防止することができる。
【0022】
(9)幾つかの実施形態では、上記(6)〜(8)の構成において、
前記昇温不良での前記閉塞回復処理が前記第1回数よりも大きい第2回数連続したこと、又は前記第2回数連続したことにより手動による前記閉塞回復処理の実行を促すことを報知する第1報知部を、さらに備える。
上記(9)の構成によれば、昇温不良の閉塞回復処理が第2回数連続するような場合には、報知することで、閉塞回復処理実行条件を変更する必要があることなどをオペレータに知らせることができる。
【0023】
(10)幾つかの実施形態では、上記(6)〜(9)の構成において、
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記第2閾値を、大気圧、大気温度、前記ディーゼルエンジンの水温のうちの少なくとも1つに基づいて補正する判定閾値補正部を含む。
上記(10)の構成によれば、DOCの閉塞速度は、ディーゼルエンジンが置かれた外部環境に依存するが、大気圧、大気温度、ディーゼルエンジンの水温から推測される外部環境に応じた適切な値に第2閾値を補正することができ、閉塞回復処理によってDOCの閉塞を未然に防止することができる。
【0024】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(10)の構成において、
前記カウンタ値は、前記ディーゼルエンジンの累積運転時間である第3カウンタ値を含み、
前記閾値は、
前記第3カウンタ値に対応する第3閾値を含み、
DOC閉塞危険状態判定部は、
前記第3カウンタ値が前記第3閾値を上回った場合に前記DOCが前記閉塞危険状態であると判定する前記第3閉塞危険状態判定部を含み、
前記カウンタリセット処理部は、前記第3閉塞危険状態判定部の判定により実行される前記閉塞回復処理の完了後に、前記第3カウンタ値を含む前記カウンタ値をリセットする。
上記(11)の構成によれば、例えば高地など、ディーゼルエンジンがDOCの閉塞が起こり易い環境で運転される場合には、
排ガス処理装置の再生制御装置は、累積運転時間に基づいて閉塞回復処理を実行することで、DOCの閉塞を未然に防止することができる。
【0025】
(12)幾つかの実施形態では、上記(11)の構成において、
前記DOC閉塞危険状態判定部は、前記第3閾値を、大気圧、大気温度、前記ディーゼルエンジンの水温のうちの少なくとも1つに基づいて補正する判定閾値補正部を含む。
上記(12)の構成によれば、DOCの閉塞速度は、ディーゼルエンジンが置かれた外部環境に依存するが、大気圧、大気温度、ディーゼルエンジンの水温から推測される外部環境に応じた適切な値に第3閾値を補正することができ、閉塞回復処理によってDOCの閉塞を未然に防止することができる。
【0026】
(13)幾つかの実施形態では、上記(5)〜(12)の構成において、
前記
排ガス処理装置の再生制御装置は、さらに、
連続する2つの前記閉塞回復処理において、先発の前記閉塞回復処理における前記DOCの温度に基づいて、後発の前記閉塞回復処理における昇温温度または昇温実行時間を補正する閉塞回復処理条件補正部と、を備える。
上記(13)の構成によれば、先に完了した先発の閉塞回復処理におけるDOCの温度に基づいて、次に行われる後発の閉塞回復処理の閉塞回復処理実行条件が補正されることで、後発の閉塞回復処理によってDOCの確実な回復を図ることができる。
【0027】
(14)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(13)の構成において、
前記DPF強制再生実行部は、前記DOC昇温実行部による前記閉塞回復処理の完了後において、前記強制再生実行条件が満たされている場合には、前記閉塞回復処理の完了後に、前記強制再生処理を実行する。
上記(14)の構成によれば、強制再生実行条件を満たさず、かつ、DOCが前記閉塞危険状態にある(閉塞回復処理実行条件が満たされる)と判定されたことで開始された閉塞回復処理の実行中において、強制再生実行条件が満たされるような場合であっても、閉塞回復処理の完了後に強制再生処理が実行される。このように、DOCの閉塞回復処理と共にDPFの強制再生処理が実行されるため、DOCの回復およびDPFの再生を効率よく行うことができる。しかも、DOCの閉塞を未然に防止すると共に、DPFの強制再生時には、先にDOCの回復が行われており、DOCが閉塞することにより生じる未燃燃料のスリップを防止し、燃費の低下やDPFの焼損、オイルダイリューションを防止することができる。
【0028】
(15)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(14)の構成において、
前記DOC昇温実行部は、実行中の前記閉塞回復処理の中断条件が満たされる場合には、前記閉塞回復処理を中断する。
上記(15)の構成によれば、閉塞回復処理の実行中において、何らかの原因によりDOCが適切に昇温されないような状況を中断条件によって検出することで、閉塞回復処理を、その完了条件を満たすことにより正常に完了するのを待たずに中断される。これによって、閉塞回復処理の完了を長時間待つような事態を回避することができ、中断条件に該当する事象の発生に対して、迅速に対応することができる。
【0029】
(16)幾つかの実施形態では、上記(15)の構成において、
前記DOC昇温実行部は、前記閉塞回復処理を中断した場合には、リトライ時間経過後に前記閉塞回復処理を実行する。
上記(16)の構成によれば、中断された閉塞回復処理を中断後に再度実行することで、DOCの閉塞を未然に防止することができる。
【0030】
(17)幾つかの実施形態では、上記(15)〜(16)の構成において、
前記閉塞回復処理が所定の回数中断された場合に、前記所定の回数中断したことを報知、又は手動による前記閉塞回復処理の実行を促す報知をする第2報知部を備える。
上記(17)の構成によれば、手動による閉塞回復処理の実行をオペレータなどに促すことができる。また、この報知に応じて手動による閉塞回復処理が実行されることで、DOCの閉塞を未然に防止することができる。
【0031】
(18)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(17)の構成において、
前記DPF強制再生条件判定部は、前記DPFにおけるPM堆積量の推定値が規定値を超える場合、エンジンの運転時間が規定時間を超える場合、あるいは、前記ディーゼルエンジンの燃料噴射量の累計値が規定量を超える場合に、前記強制再生実行条件を満たすと判定する。
上記(18)の構成によれば、強制再生実行条件による判定によって、DPFの強制再生処理を適切に実行することができる。
【0032】
(19)幾つかの実施形態では、上記(1)〜(18)の構成において、
前記DPF強制再生実行部は、前記強制再生処理の実行中に前記DPFの異常高温を検知した場合には前記強制再生処理を中断し、
前記DOC昇温実行部は、前記DPFの異常高温の検知により前記強制再生処理が中断された場合には、前記DPFの異常高温が検知されない場合よりも、前記閉塞回復処理の実行時間を長くして、前記閉塞回復処理を実行する。
上記(19)の構成によれば、強制再生処理の実行中にDPFの異常高温が検知された場合には強制再生処理を中断することで、焼損などからDPFを保護することができる。また、DPFの異常高温はDOCの閉塞に起因する場合があり、DPFの異常高温が検知された後に、閉塞回復処理をより時間をかけて実行することで、DOCの閉塞を回復することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、DOCの閉塞を未然に防止しつつ、DOCの回復およびDPFの再生を効率よく行うことが可能な再生制御装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0036】
図1は、本発明の一実施形態に係る排ガス処理装置3の再生を制御する再生制御装置2を含むディーゼルエンジン1の全体構成を例示する図である。また、
図2は、本発明の一実施形態に係る再生制御装置2の機能ブロック図である。後述するように排ガス処理装置3はDOC31とDPF32とを有しており、再生制御装置2は、ディーゼルエンジン1の排気通路16に配置される排ガス処理装置3の再生(回復)を、排ガス処理装置3の昇温手段4(後述)を制御することにより実行するものである。
最初に、本発明の一実施形態に係る
排ガス処理装置の再生制御装置2
(以下、単に再生制御装置2という)が設置されるディーゼルエンジン1(以下、適宜、エンジン1)について説明する。
図1に示される実施形態では、図示されるように、ディーゼルエンジン1は、上述の再生制御装置2および排ガス処理装置3に加えて、主に、エンジン本体11と、吸気通路13と、排気通路16と、排気ターボ過給機7と、EGR装置8と、ECU9と、を備えている。
【0037】
エンジン本体11には、吸気通路13と排気通路16とが接続されている。吸気通路13は、エンジン1の外部の空気(吸気)をエンジン本体11に形成される燃焼室12に供給するための通路である。排気通路16は、燃焼室12からの燃焼ガス(排ガス)をエンジン1の外部に排出するための通路である。また、エンジン1には、燃焼室12に高圧燃料を噴射するための燃料噴射装置41が配置されている。この燃料噴射装置41は、高圧燃料が蓄圧されたコモンレール(不図示)に接続されるとともに、後述するECU9によって、その噴射タイミングおよび燃料噴射量が制御されるようになっている。そして、燃焼室12に噴射された高圧燃料は、吸気通路13を通って供給される吸気と混合された後、燃焼室12内で燃焼され、排気通路16を通ってエンジン1の外部に排出される。
【0038】
図1の例示では、吸気通路13および排気通路16には排気ターボ過給機7が設けられている。この排気ターボ過給機7は、排気通路16に配置されている排気タービン71と、吸気通路13に配置されているコンプレッサ72とを有しており、排気タービン71とコンプレッサ72とはシャフト73によって同軸で結合されている。そして、排気通路16を通過する排ガスにより排気タービン71が回転駆動されると、シャフト73によって同軸で結合されたコンプレッサ72も同じように回転駆動されるようになっている。また、吸気通路13にはインタークーラ(不図示)およびスロットルバルブ42が設けられている。そして、コンプレッサ72から吐出された圧縮吸気は、インタークーラ(不図示)で冷却された後、スロットルバルブ42で吸気流量が制御され、その後、エンジン1の本体(不図示のシリンダヘッド)に設けられる吸気ポート14を介してエンジン1の各シリンダ内の燃焼室12に流入する。なお、スロットルバルブ42も、後述するECU9によって、その開度が制御される。
【0039】
また、
図1の例示では、エンジン1はEGR装置8を備えている。すなわち、吸気通路13と排気通路16とがEGR管81を介して連結されており、排気通路16を流れる排ガスの一部を吸気通路13に再循環することが可能に構成されている。
図1の例示では、排気ポート17の直下流位置にEGR管81の一端が接続されており、排気通路16からEGR管81が分岐している。また、EGR管81のもう一方の端部は、スロットルバルブ42の下流側に位置している吸気マニホールド15(吸気通路13)に接続している。また、EGR管81にはEGRバルブ82が配置されている。このEGRバルブ82を制御することにより、エンジン1から排出された排ガスの少なくとも一部が、EGR管81を通ってエンジン1を再循環するようになっている。なお、EGRバルブ82も、下記に説明するECU9によって、その開度が制御される。
【0040】
要するに、
図1に示される実施形態では、エンジン本体11(燃焼室12)から排出された排ガスの一部は、ECU9の制御の下でEGR装置8により吸気通路13へ再循環される。そして、エンジン本体11から排出された排ガスの残りが、排気ポート17を経て上述した排気タービン71を駆動した後、排気通路16に設けられた排ガス処理装置3に流入するよう構成されている。
【0041】
この排ガス処理装置3は、ディーゼルエンジン1の排気通路16に配置されるDOC31(ディーゼル酸化触媒)と、このDOC31の下流の排気通路16に配置されるDPF32(ディーゼルパティキュレートフィルタ)とを有する。DOC31は、排ガス中の未燃燃料(HC)や一酸化炭素(CO)を酸化除去すると共に、排ガス中の一酸化窒素(NO)を酸化して二酸化窒素(NO2)を生成する機能を有する装置である。また、DPF32の強制再生時などにおいて噴射された燃料の酸化熱によって通過する排ガスを昇温し、DPF32の入口温度を昇温する。一方、DPF32は、排ガス中に含まれるススなどのPM(粒子状物質)をフィルタで捕集し、排ガスから除去する装置である。つまり、排ガス処理装置3に流入した排ガスは、排ガス処理装置3の内部において、DOC31を通過し、次に、DPF32を通過する。この通過の際に、DOC31において、排ガス中に含まれる未燃燃料(HC)や一酸化炭素(CO)が酸化除去される。また、DPF32によって排ガス中のPM(粒子状物質)が捕集されることで、排ガス中に含まれるPMが除去される。このように排ガス処理装置3によって処理された後、排ガスはエンジン1の外部に排出される。
【0042】
ECU9は、上述のように燃料噴射制御や、スロットルバルブ42の開度制御、EGRバルブ82の開度制御といったエンジン1をコントロールする電子制御ユニットである。例えば、ECU9は、プロセッサを含む中央処理装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリメモリ(ROM)、およびI/Oインターフェイスなどからなるマイクロコンピュータとして構成されても良い。
【0043】
また、
図1に示されるように、排気通路16には各種センサ類が設けられている。そして、この各種センサ類の検出値は、後述する再生制御装置2による排ガスや排ガス処理装置3の状態の監視のために、再生制御装置2に入力される。
図1に示される実施形態では、DOC31の入口にDOC入口温度センサ51が設けられており、DOC31に流入する排ガス温度が検出されている。また、排気通路16には、DPF32の入口(DOC31とDPF32との間)に設けられるDPF入口温度センサ52、DPF32の出口に設けられるDPF出口温度センサ53などの温度センサ5や、DPF32の入口に設けられるDPF入口圧力センサ61、DPF32の出口に設けられるDPF出口圧力センサ62、および、DPF32の入口と出口の間の差圧を検出可能なDPF差圧センサ63などの圧力センサ6が設けられている。なお、
図1に示される実施形態では、DOC31の温度はDOC入口温度センサ51の検出値に基づいて検出されており、DPF32の温度は、DPF入口温度センサ52の検出値に基づいて検出されている。
【0044】
そして、本発明の一実施形態に係る再生制御装置2は、例えば
図1に示されるようなディーゼルエンジン1に設けられており、ディーゼルエンジン1の排気通路16に配置されるDOC31の回復(閉塞回復処理Rc)と、DOC31の下流の排気通路16に配置されるDPF32の強制再生(強制再生処理Rf)とを実行する。
図1に示される実施形態では、再生制御装置2はECU9であり、ECU9の備える機能(プログラムや回路)の一つとして実装されている。なお、他の幾つかの実施形態では、エンジン1をコントロールするECU9とは別に、プロセッサを備える他の電子制御ユニットとして再生制御装置2を構成しても良い。
【0045】
ここで、DPF32の再生について説明すると、上述の通り、排ガス処理装置3の内部を排ガスが通過する際には、排ガス中に含まれるPM(粒子状物質)はDPF32によって捕集される。このDPF32で捕集されたPMは、運転中のエンジン本体11(燃焼室12)から排出される排ガスが高温の場合には、高温の排ガスによって燃焼し、自然に除去される(自然再生)。しかし、自然再生によって除去されないPMはDPFのフィルタに堆積していくことになる。そして、PMの堆積が過度に進行すると、PM捕集能力の低下、エンジン出力の低下などを招来する。このため、DPF32を備える排ガス処理装置3においては、適切なタイミングで強制再生を実行することで、DPF32のフィルタに堆積しているPMを強制的に燃焼させ、DPF32を再生することが可能である。そして、この強制再生処理Rfは、その実行開始のトリガの観点から、少なくとも2種類に分類される。すなわち、自動的に実行される自動再生と、操作者等の手動操作によって実行される手動再生、の少なくとも2種類となる。
【0046】
DPF32の自動再生は、車両の走行・停止に関わらず、自動再生に関する所定の強制再生実行条件(自動再生実行条件)を満たすことで自動的に実行される。この自動再生実行条件は、例えば、DPF32におけるPM堆積量の推定値が規定値(閾値)を超える場合、エンジン1の運転時間が規定時間(閾値)を超える場合、エンジン1の燃料噴射量の累計値が規定量(閾値)を超える場合、などが挙げられる。なお、上記のDPF32におけるPM堆積量の推定は、例えばDPF32の上流と下流とにおける差圧をDPF差圧センサ63によって検出することで推定することが出来る。あるいは、エンジン回転数、燃料噴射量、空気流量、DPF温度(例えば、DPF出口温度センサ53の検出値など)を検出し、再生制御装置2に予め記憶されているマップに基づいて、エンジン1からのPM排出量とDPF32の内部での自然再生によるPM再生量とを推定し、PM排出量からPM再生量を差し引くことでPM堆積量を推定することも出来る。
【0047】
DPF32の手動再生は、操作者等のボタン操作等がされることを強制再生実行条件(手動再生実行条件)として実行されるものであり、基本的に車両が停止した状態で実行される。この手動再生実行条件は、自動再生条件を超えてPMが堆積している場合に実行されるもので、PM堆積量の推定値が、自動再生よりも大きい規定値を超える場合などが挙げられる。また、この手動再生には、DPF32にPMが過度に堆積した時に、メンテナンスを行うサービスマンによって行われる燃焼除去が含まれても良い(DPFリカバリ再生)。この場合(DPFリカバリ再生)では、DPF32の過昇温を避けるため、通常の手動再生よりも長時間をかけて強制再生が行われる。そして、強制再生の実行温度においても両者に違いがあり、手動再生の方が自動再生よりも再生温度が高くなるように制御される。一例としては、自動再生ではDPF32の入口温度が600〜610℃となるように制御されるのに対し、手動再生ではDPF32の入口温度が620〜630℃となるように制御される。このように、第1温度T1(例えば、400℃)は、第2温度T2(例えば、600℃以上)よりも低いものとなっている。
【0048】
また、DOC31の回復について説明すると、エンジン1の運転負荷が低く、排ガス温度が低い状態が続く場合には、排ガス処理装置3を排ガスが通過する際、DOC31の上流側端面に未燃燃料等のSOF分やスートなどが付着していき、DOC31の閉塞が除々に進行する。DOC31が閉塞すると、排圧が上昇による燃費の悪化といった上述の問題を引き起こす。また、DOC31が閉塞すると、DPF32の強制再生の実行時において、DPF32の入口温度を所定温度に昇温するために余分な燃料が噴射されることで燃費が悪化することや、DOC31の閉塞によって生じる未燃燃料のスリップによるDPF32の焼損のリスク、後述するレイトポスト噴射により昇温する場合のオイルダイリューションの危険性の増大といった問題も引き起こす。つまり、上述のDOC31の閉塞により生じる問題は、DOC31を閉塞させるDOC31の付着物によって生じるが、この付着物は、DOC31を昇温することによって除去可能である。
【0049】
このため、再生制御装置2は、DOC31に対して閉塞回復処理Rcを実行することで、DOC31を閉塞させる付着物を燃焼させて除去し、DOC31を回復させる。また、DPF32に対して強制再生処理Rfを実行することで、DPF32が捕集したPMを燃焼させ、DPF32を再生させる。このようなDOC31の回復とDPF32の再生とを行うために、
図2に示されるように、再生制御装置2は、DOC閉塞危険状態判定部21と、DOC昇温実行部22と、DPF強制再生条件判定部23と、DPF強制再生実行部24と、カウンタリセット処理部25とを備える。
【0050】
以下、再生制御装置2が備える構成の各々について、
図1〜
図5を用いてそれぞれ説明する。
図3は、本発明の一実施形態に係るアーリーポスト噴射とレイトポスト噴射により実行されるDPF32の強制再生処理Rfを説明するための図である。
図4は、本発明の一実施形態に係る再生制御装置2による再生回復処理Rの制御ロジックを示す図である。また、
図5は、
図4の再生回復処理Rの制御ロジックに対応したDOC31およびDPF32の温度の推移を例示する図である。なお、再生制御装置2が実行する再生回復処理Rは、DOC31の回復やDPF32の強制再生を実行するための処理となる。
【0051】
DOC閉塞危険状態判定部21は、ディーゼルエンジン1の運転時間に関するカウンタ値Cと閾値Vとの比較に基づいて、DOC31の閉塞が起こり易い状態である閉塞危険状態D1にDOC31があるか否かを判定する。換言すると、DOC31の閉塞危険状態D1とは、エンジン1の運転状態に基づいて、DOC31が閉塞する危険性が推定される状態であり、ディーゼルエンジン1がDOC31の閉塞が起こり易い運転状態下にあった場合に検知される状態である。このDOC31の閉塞危険状態D1の判定方法も様々な手法が存在する。
【0052】
図1〜
図5に示される実施形態では、カウンタ値Cは、ディーゼルエンジン1から排出される排ガスの温度が排温閾値を下回る低排温運転状態の直近の所定時間内における累積継続時間である第1カウンタ値C1を含んでいる。そして、DOC閉塞危険状態判定部21は、
図1に示されるように、第1カウンタ値C1が第1閾値V1を上回った場合に、DOC31が閉塞危険状態D1にあると判定する第1閉塞危険状態判定部21aを含む。排温閾値は、DOC31の閉塞が徐々に進行するようなエンジン1の運転状態を排ガス温度に基づいて判定するための閾値であり、排ガス温度が排温閾値を下回る低排温運転状態が続くと、DOCの閉塞が徐々に進行する。一方、排ガス温度が排温閾値を上回る高排温運転状態になると、DOCの閉塞は解消に向かう。よって、上記の構成によれば、直近の所定時間内における低排温運転状態の累積継続時間でDOC31の閉塞危険状態D1を判定することで、DOC31の閉塞危険状態D1を精度良く判定することができる。また、DOC31の閉塞(閉塞状態)を未然に防止することができる。
【0053】
他の幾つかの実施形態では、通常運転時において、排ガスの温度が予め定められた温度以下の状態にある場合が連続する連続継続時間を第1カウンタ値C1により計測し、この第1カウンタ値C1が規定時間(第1閾値V1)以上連続してあった時や、エンジン1のエンジン回転数の変動率が予め定められる回転数閾値を超える単位時間あたりの回数が閾値を上回る場合が連続する連続継続時間を第1カウンタ値C1により計測し、この第1カウンタ値C1が規定時間(第1閾値V1)以上連続して上回る時、およびPM排出量推定値の平均値が予め定められた閾値以上の状態が連続する連続継続時間を第1カウンタ値C1により計測し、この第1カウンタ値C1が規定時間(第1閾値V1)以上連続してあった時のいずれかが該当した時にDOC31が閉塞危険状態D1にあると判定しても良い。さらに、その他の幾つかの実施形態では、上述した判定方法のうちの一つまたは複数に該当した時にDOC31が閉塞危険状態D1にあると判定しても良い。
【0054】
また、
図1〜
図5に示される実施形態では、カウンタ値Cは、後述するように、ディーゼルエンジン1の累積運転時間である第2カウンタ値C2および第3カウンタ値C3を含んでいる。そして、
図2に示されるように、DOC閉塞危険状態判定部は、第1閉塞危険状態判定部21aに加えて、第2カウンタ値C2が第2閾値V2を上回った場合にDOC31が閉塞危険状態D1にあると判定する第2閉塞危険状態判定部21bと、第3カウンタ値C3が第3閾値V3を上回った場合にDOC31が閉塞危険状態D1であると判定する第3閉塞危険状態判定部21cを含んでいる。すなわち、
図1に示される実施形態の再生制御装置2は、カウンタ値Cに含まれる複数のカウンタ値C(C1〜C3)の各々に基づいて、DOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かの判定が可能となっている。なお、他の幾つかの実施形態では、カウンタ値Cには、第1カウンタ値C1、第2カウンタ値C2、第3カウンタ値C3のうちの少なくとも1つを含んでいても良く、そのうちの少なくとも1つのカウンタ値を用いてDOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かの判定が実行されても良い。
【0055】
DOC昇温実行部22は、DOC31が閉塞危険状態D1にあると判定された場合に、DOC31を第1温度T1まで昇温するための閉塞回復処理Rc(DOC閉塞リカバリ再生)を実行する。
図2に示されるように、DOC昇温実行部22は上記のDOC閉塞危険状態判定部21と接続されており、DOC閉塞危険状態判定部21による判定結果がDOC昇温実行部22に入力される。上記の第1温度T1は、好ましくは400℃付近である。具体的には、第1温度T1は、摂氏380度(℃)から摂氏480度(℃)の範囲内の温度であっても良い。上記の第1温度T1の温度範囲は、この第1温度T1までDOC31を昇温することによって、DOC31の上流側端面の付着物が燃えることが新たな知見として得られたことにより設定された温度となる。
図1〜
図5に示される実施形態では、再生制御装置2は、第1温度T1に設定された目標昇温温度Pctと昇温実行時間Pcpを含む閉塞回復処理実行条件Pcに従って閉塞回復処理Rcを実行するよう構成されている。
【0056】
幾つかの実施形態では、DOC昇温実行部22は、例えば、後述するような中断条件を満たす場合などには、実行中の閉塞回復処理Rcを中断により強制的に完了させても良い。閉塞回復処理Rcが何らかの原因により中断された場合には、再生制御装置2は、例えば数分後などの所定の時間(リトライ時間)経過後に閉塞回復処理Rcを再度実行するようにリトライ制御を実行しても良い。このリトライ制御では、閉塞回復処理実行条件Pcに従って閉塞回復処理Rcを最初から実行しても良いし、閉塞回復処理Rcにおいて第1温度T1にDOC31を所定時間おくことを目的として設定された時間(
図5の時刻t3〜時刻t4)を、中断された閉塞回復処理Rcと、リトライ制御により実行される閉塞回復処理Rcの両方で満たすように、閉塞回復処理Rcを実行しても良い。あるいは、上記の中断が1以上の所定の回数なされた場合には、この所定の回数中断したこと、又は、再生制御装置2によって実行される自動の閉塞回復処理Rcよりも高い温度にDOC21を昇温するための手動による閉塞回復処理Rcを実行することをオペレータに促すように、再生制御装置2は報知部28(第2報知部28b)により報知しても良い。この手動による閉塞回復処理Rcは、例えば、手動再生ボタンをオペレータが押すなどの操作をすることにより実行される。あるいは、後述するように、再生制御装置2は、閉塞回復処理Rcを中断(強制的に完了)した際に、強制再生処理Rfの実行条件が満たされている場合には、強制再生処理Rfを実行しても良い(
図4のステップS47参照)。これによって、閉塞危険状態D1が判定された際の閉塞回復処理Rcの確実な実行が図られる。なお、昇温実行時間Pcpは、閉塞回復処理Rcの開始から完了までの実行時間であっても良い(
図5の時刻t2〜時刻t4)。
【0057】
図1〜
図5に示される実施形態では、閉塞回復処理Rcは、DOC31が活性化する活性化温度T0(例えば、250℃)までDOC31を昇温するように昇温手段4(後述)を制御する第1昇温処理Rc1と、第1昇温処理Rc1の完了後に、活性化温度T0よりも高い第1温度T1までDOC31を昇温するように昇温手段4(後述)を制御する第2昇温処理Rc2とを含み、第1昇温処理Rc1、第2昇温処理Rc2の順で実行する処理となっている。このように、DOC31の昇温を2段階で行うことで、DOC31が活性化する前に第1温度T1まで昇温しようとして噴射される燃料によるDOC閉塞状態D2の進行を防止すると共に、HCの排出を抑制しつつ、DOC31の付着物を燃焼させ、除去することができる。ただし、閉塞回復処理Rcは上記の手法に限定されない。例えば、他の幾つかの実施形態では、閉塞回復処理Rcの開始から、第2昇温処理Rc2により第1温度T1までDOC31を一気に昇温させるよう昇温手段4(後述)を制御しても良い。
【0058】
この閉塞回復処理Rcで用いられる上記の昇温手段4は、
図1〜
図5に示される実施形態では、ディーゼルエンジン1の燃焼室12に燃料を噴射する燃料噴射装置41からなっている。そして、第1昇温処理Rc1および第2昇温処理Rc2は、燃料噴射装置41によるアーリーポスト噴射により実行されている。このアーリーポスト噴射は、エンジン1に燃料を噴射する工程において、メイン燃料を噴射した直後の燃焼室12内の圧力がまだ高い状態でメイン噴射より少量の燃料を噴射する1回目のポスト噴射である(
図3参照)。そして、このアーリーポスト噴射により、ディーゼルエンジン1の出力には影響を与えずに排ガス温度を高めることが出来る。また、第1昇温処理Rc1と第2昇温処理Rc2とは、アーリーポスト噴射における燃料噴射条件が異なっており、第1昇温処理Rc1の噴射条件が第2昇温処理Rc2の噴射条件に切り替えられることで、活性化温度T0まで昇温されたDOC31が、さらに第1温度T1まで昇温されるよう構成されている。具体的には、第2昇温処理Rc2は第1昇温処理Rc1よりも燃料噴射量が多いか、第1昇温処理Rc1と第2昇温処理Rc2との噴射タイミングが夫々異なるか、又は、第2昇温処理Rc2は第1昇温処理Rc1よりも燃料噴射量が多く、且つ、第1昇温処理Rc1と第2昇温処理Rc2との噴射タイミングが夫々異なる。つまり、第1昇温処理Rc1と第2昇温処理Rc2とは、燃料噴射量または噴射タイミングの少なくとも一方において噴射条件が異なっている。他の幾つかの実施形態では、第1昇温処理Rc1は、スロットルバルブ42を昇温手段4とし、その開度を制御することで実行しても良い。更には、燃料を噴射するコモンレール圧を制御するコモンレール圧制御手段(不図示)を昇温手段4とし、コモンレール圧を制御することで実行しても良い。燃料噴射装置41、スロットルバルブ42、コモンレール圧制御手段(不図示)のうちの2つ以上を昇温手段として実行しても良い。
【0059】
なお、DOC昇温実行部22は、再生制御装置2が備える図示しない機能部によって、回復処理(閉塞回復処理Rc)が必要なほどDOC31が閉塞している閉塞状態D2が判定された場合にも、閉塞回復処理Rcを実行しても良い。DOC31の閉塞状態D2は、DOC31の閉塞に関する閉塞パラメータPと予め定められる閉塞閾値との比較に基づいて検出可能である。例えば、閉塞パラメータPは、DPF32の出口温度、DOC31の出口温度(DPF入口温度センサ52の検出値)、DOC31の入口と出口の差圧であっても良い。
【0060】
一方、DPF強制再生条件判定部23は、DPF32の強制再生実行条件Pfを満たすか否かを判定する。
図1〜
図5に示される実施形態では、強制再生実行条件Pfは、DPF32におけるPM堆積量の推定値が規定値(閾値)を超える場合となっている。具体的には、DPF32の上流と下流とにおける前後差圧をDPF差圧センサ63によって検出し、DPF32の前後差圧とPM堆積量との関係を定めたマップを用いて、PM堆積量を推定しても良い。あるいは、エンジン回転数、燃料噴射量、空気流量、DPF温度(例えば、DPF出口温度センサ53の検出値など)を検出し、再生制御装置2に予め記憶されているマップに基づいて、エンジン1からのPM排出量とDPF32の内部での自然再生によるPM再生量とを推定し、PM排出量からPM再生量を差し引くことでPM堆積量を推定しても良い。他の幾つかの実施形態では、エンジン1の運転時間が規定時間(閾値)を超える場合、あるいは、エンジン1の燃料噴射量の累計値が規定量(閾値)を超える場合に強制再生実行条件Pfを満たすと判定するなど、他の手法により判定しても良い。また、
図1〜
図5に示される実施形態では、強制再生実行条件Pfを満たすと判定されると、強制再生実行フラグFはオンにされ、強制再生が完了すると強制再生実行フラグFはオフされる。この強制再生実行フラグFは、再生制御装置2が備えるROM、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリや、RAMなどの揮発性メモリ、あるいは、再生制御装置2に接続された外部記憶装置など構成される記憶部(不図示)に記憶される。例えば、DPF強制再生条件判定部23が強制再生実行フラグFをオンにし、DPF強制再生実行部24などが強制再生処理Rfの完了後に強制再生実行フラグFをオフにしても良い。
【0061】
DPF強制再生実行部24は、強制再生実行条件Pfが満たされた場合に、DPF32を第2温度T2まで昇温すると共に、DOC31を第1温度T1に昇温するための強制再生処理Rfを実行する。
図1〜
図5に示される実施形態では、DPF強制再生実行部24は、強制再生実行条件Pfが満たされた場合に、閉塞回復処理Rcを実行し、且つ、閉塞回復処理Rcの完了後にDPF32を第2温度T2まで昇温する。すなわち、DPF32の強制再生実行条件Pfが満たされて、強制再生処理Rfを実行する場合には、DOC31の閉塞回復処理Rcを実行してDOC31の回復を行った後に、強制再生処理Rfを実行する。
図2に示されるように、DPF強制再生実行部24はDPF強制再生条件判定部23に接続されており、DPF強制再生条件判定部23による判定結果が入力される。また、
図2に示される実施形態では、DPF強制再生実行部24と上記のDOC昇温実行部22とが接続されており、強制再生処理Rfの開始の際には、まずは、閉塞回復処理Rcの実行をDOC昇温実行部22に命令し、DOC昇温実行部22から閉塞回復処理Rcの完了通知を得た後に、強制再生処理Rfを実行するよう構成されている。ただし、上記の実施形態に限定されず、他の幾つかの実施形態では、DOC31の閉塞危険状態D1が検知されず、かつ、強制再生実行条件Pfが満たされることで、閉塞回復処理Rcとは無関係に強制再生処理Rfを単独で実行しても良い。この場合には、例えば、DPF強制再生実行部24は、強制再生実行条件Pfが満たされた場合に、DPF32を例えば250℃などのDOC31の活性化する温度(活性化温度T0)まで昇温した後に、強制再生処理Rfを実行しても良い。
【0062】
また、
図1〜
図5に示される実施形態では、強制再生処理Rfは、ディーゼルエンジン1の燃焼室12に燃料を噴射する燃料噴射装置41からなる昇温手段4を用いて実行されている。具体的には、
図3に示されるように、燃料噴射装置41によるアーリーポスト噴射と、燃料噴射装置41によるレイトポスト噴射と、により強制再生処理Rfは実行されている。詳述すると、
図3に示されるように、レイトポスト噴射は、アーリーポスト噴射の後の燃焼室12内の燃焼に寄与しないタイミング(下死点近傍)で燃料を噴射する2回目のポスト噴射である。
図3の例示では、エンジン本体11に設けられるピストンが上死点(TDC)から下死点(BDC)に移動する間において、上死点を過ぎたところでメイン燃料噴射がなされ、その後にアーリーポスト噴射がなされている。そして、アーリーポスト噴射後であって、ピストンが上死点(TDC)側から下死点(BDC)に到達する前に、レイトポスト噴射がなされている。このレイトポスト噴射によって、燃焼室12から排気通路16へ未燃燃料を流出させ、排出された未燃燃料がDOC31において酸化することでDPF32を第2温度T2まで昇温している。また、第2温度T2までDPF32を昇温することで、DPF32に堆積したPMを燃焼させることができる。また、
図1〜
図5に示される実施形態では、DPF強制再生実行部24は、レイトポスト噴射を、所定時間以上かつPM堆積量が閾値以下となった場合に終了し、強制再生処理Rfを完了するようになっている。
【0063】
なお、他の幾つかの実施形態では、強制再生処理Rfは、レイトポスト噴射に代えて、またはこれと併せて、DOC31の上流の排気通路16に配置される排気管噴射装置44による排気管噴射を用いて実行されても良い。
図1の例示では、排気管噴射装置44は、EGR管81の分岐位置下流と排気ターボ過給機7の排気タービン71との間に配置されている。他の幾つかの実施形態では、排気管噴射装置44は、排気タービン71とDOC31の間にあってもよい。また、排気管噴射装置44から排気通路16へ噴射する燃料噴射量は、再生制御装置2によって制御される。
【0064】
カウンタリセット処理部25は、DPF強制再生実行部24による強制再生処理Rfの完了後にカウンタ値Cをリセットする。すなわち、DOC31の閉塞危険状態D1を監視するための上述した第1カウンタ値C1や、後述する第2カウンタ値C2および第3カウンタ値C3など、ディーゼルエンジン1の運転時間に関するカウンタ値Cに含まれる全てのカウンタ値が全てリセットされる。ここでいうリセットとは、カウンタの初期値(例えば、0など)に設定することには限定されず、強制再生処理Rfの完了時におけるDOC31の付着物の付着の程度を反映するような値にカウンタ値を減算することも含む。
図1〜
図5に示される実施形態では、
図2に示されるように、カウンタリセット処理部25は、DOC昇温実行部22とDPF強制再生実行部24とにそれぞれ接続されている。そして、閉塞回復処理Rcが単独で実行された場合にはDOC昇温実行部22から完了通知が入力され、強制再生処理Rfが単独で実行された場合や、閉塞回復処理Rcおよび強制再生処理Rfが実行された場合にはDPF強制再生実行部24から完了通知が入力されるように構成されている。そして、カウンタリセット処理部25は、完了通知が入力されると、カウンタ値Cに含まれる第1カウンタ値C1、第2カウンタ値C2、第3カウンタ値C3などの全てをリセットする。カウンタ値Cに含まれる実際に閉塞危険状態D1の判定のためにカウントアップされているカウンタ値のみリセットされても当然良い。
【0065】
上述した構成を備える再生制御装置2のディーゼルエンジン1の運転時の制御フローを、
図4〜
図5を用いて説明する。
図4のステップS41において、再生制御装置2は、再生回復処理Rの実行条件を満たすか否かを例えば周期的に監視している。この再生回復処理Rの実行条件は、閉塞危険状態D1を含む昇温要状態DにDOC31があるかという条件と、強制再生実行条件Pfを満たすか(強制再生実行フラグFがオンか)という条件とを含む。そして、再生回復処理Rの実行条件のうちのいずれかの条件が満たされる場合には、次のステップS42に進み、DOC31の第1昇温処理Rc1を実行する。なお、強制再生実行条件Pfが満たされると判断されるのは、DPF32の自動再生実行条件を満たす場合、手動再生実行条件を満たす場合、あるいは、自動再生実行条件および手動再生実行条件の少なくとも一方を満たす場合であっても良い。そして、DPF32の自動再生実行条件を満たされると、再生制御装置2は、強制再生実行フラグFをオンにする。逆に、ステップS41において、実行条件が満たされない場合には
図4の再生回復処理Rの制御ロジックを終了する。なお、上記の昇温要状態Dには閉塞状態D2も含まれてよい。
図5に例示されるタイムチャートにおいては、実行条件が満たされることで、時刻t1から第1昇温処理Rc1が開始されている。このため、DOC31の温度の上昇速度は、時刻t1において増加する方向に変化し、第1昇温処理Rc1によるDOC31の温度上昇が開始されている。
【0066】
図4のステップS43において、再生制御装置2は、第1昇温処理Rc1によってDOC31が活性化温度T0に到達したかを監視している。そして、DOC31の温度が活性化温度T0に到達すると再生制御装置2は第1昇温処理Rc1を完了した後、ステップS44において第2昇温処理Rc2を実行する。
図5に例示されるタイムチャートにおいては、時刻t2においてDOC31の温度が活性化温度T0に到達しているため、第1昇温処理Rc1は時刻t2で完了している。さらに、時刻t2において、第2昇温処理Rc2が開始されている。このため、DOC31の温度の上昇速度は、時刻t2において増加する方向に変化している。また、DOC31の温度は、時刻t2において活性化温度T0からさらに上昇しており、時刻t3においてDOC31の温度は第1温度T1に到達している。
【0067】
図4のステップS45hにおいて、再生制御装置2は、第2昇温処理Rc2の中断条件が満たされるか否かを監視すると共に、
図4のステップS45において、再生制御装置2は、第2昇温処理Rc2の開始後、第2昇温処理Rc2の完了条件が満たされるか否かを監視している。この第2昇温処理Rc2の完了条件は、DOC31の堆積物が燃焼する温度(第1温度T1)に、DOC31を所定時間おくことを目的として設定される。幾つかの実施形態では、閉塞回復処理Rcは、第2昇温処理Rc2の開始から予め定めた時間の経過後、又は、第2昇温処理Rc2の開始後であって第1温度T1に到達してから予め定めた時間の経過後、又は、第1温度T1以上の状態が予め定められた時間継続した後に完了するよう構成しても良い。この予め定める時間とは、例えば、第1温度T1に到達してから20分以上としても良い。また、閉塞回復処理Rcによって除去しようとするDOC31の堆積物の量に応じて時間が設定されるよう構成しても良い(マップなど)。これによって、DOC31の付着物を燃焼可能な第1温度T1にDOC31を所定時間おくことができ、閉塞危険状態D1を含む昇温要状態DからDOC31を再生することができる。また、他の幾つかの実施形態では、第2昇温処理Rc2は、第1温度T1よりも所定温度だけ低い温度(例えば、摂氏10度以下など)に到達してから予め定めた時間の完了後に完了するように構成しても良い。ただし、上記の予め定める時間は0であっても良く、例えば、第1温度T1へ到達すると第2昇温処理Rc2の完了条件が満たされても良い。
【0068】
また、上記の中断条件は、上記の完了条件を満たさなくても閉塞回復処理Rcを中断(強制的に完了)させるためのものであり、例えば、閉塞回復処理Rc、第1昇温処理Rc1、第2昇温処理Rc2のうちのいずれかの開始から、上記の予め定めた時間以上となるタイムアウト時間を経過しても完了条件が満足されない場合には、閉塞回復処理Rcを中断するように中断条件を設定しても良い。あるいは、第2昇温処理Rc2の開始からDOC31が第1温度T1に到達するのが期待される時間以上となる時間をタイムアウト時間とし、第2昇温処理Rc2の開始からこのタイムアウト時間を経過してもDOC31が第1温度T1に到達しない場合には、閉塞回復処理Rcを中断させるように中断条件を設定しても良い。なお、
図4では、中断条件を満たす場合には、再生回復処理Rの制御ロジックを終了するが、その後、上述したリトライ制御としてステップS42から実行しても良いし、手動による閉塞回復処理Rcの実行を促すための報知をしても良い。あるいは、ステップS45hから、後述するステップS46やステップS47にジャンプすることで、再生回復処理Rの制御ロジックを継続しても良い。なお、
図2に示される実施形態では、図示されるように、DOC昇温実行部22は昇温温度監視部26(後述)と接続されることで、DOC31の温度を取得することが可能となっている。
【0069】
そして、ステップS45において、第2昇温処理Rc2の完了条件が満たされると、ステップS46において再生制御装置2は第2昇温処理Rc2を完了し、閉塞回復処理Rcが完了する。
図5に例示されるタイムチャートにおいては、時刻t4において、第2昇温処理Rc2の完了条件が満たされている。
【0070】
引き続く
図4のステップS47において、再生制御装置2は、強制再生処理Rfの実行条件を満たすか否かを判定する。そして、強制再生処理Rfの実行条件を満たす場合にはステップS48以降を実行する。この強制再生処理Rfの実行条件を満たすと判定されるのは、ステップS41において強制再生実行フラグFがオンと判断された場合や、ステップS41においては強制再生実行フラグFがオフであったが、閉塞回復処理Rcの実行中(ステップS42〜ステップS46)に強制再生実行フラグFがオンとなる場合など、ステップS47の判定の際に強制再生実行フラグFがオンと判定される場合を含む。逆に、ステップS47において強制再生処理Rfの実行条件を満たさない場合には、強制再生処理Rfを実行することなく、ステップS410に進む。上記の強制再生処理Rfの実行条件は、
図1〜
図5に示される実施形態では、ステップS41での実行条件を満たすとの判断が強制再生実行条件Pfを満たすと判定されたことによる場合、第1閉塞危険状態判定部21aによって上記の第1カウンタ値C1が第1閾値V1を上回った場合となる。
【0071】
そして、ステップS48において強制再生処理Rfが実行され、続くステップS49において、例えば所定時間経過後などの強制再生処理Rfの完了条件を満たした場合には、強制再生処理Rfを完了する。また、ステップS48における強制再生処理Rfが完了した場合には、強制再生実行フラグFをオフにする(不図示)。
図5に例示されるタイムチャートにおいては、時刻t4においてDOC31およびDPF32が第1温度T1付近に昇温されているところから強制再生処理Rfが実行されており、強制再生処理Rfによって、時刻t5において第2温度T2までDPF32が昇温されている。その後、第2温度T2を維持するように再生制御装置2によって昇温手段4が制御されている。一方、DOC31は、閉塞回復処理Rcが完了した時刻t4から、そのまま第1温度T1を維持するように再生制御装置2によって昇温手段4が制御されている。これによって、閉塞回復処理Rcの実行時と同様に、強制再生処理Rfの実行中にもDOC31の回復が行われることになり、昇温要状態DにあるDOC31の回復は
閉塞回復処理Rcと強制再生処理Rfとによって行われることになる。そして、時刻t6において、強制再生処理Rfが完了されており、時刻t6以降では、DOC31の温度およびDPF32の温度は、それぞれ、時間経過に伴って徐々に低下している。なお、
図1〜
図5に示される実施形態では、
図5に示されるように、DOC31の温度は、第1温度T1を維持するように制御されているが、他の幾つかの実施形態では、活性化温度T0以上に維持するように制御されても良い。
【0072】
他の幾つかの実施形態では、強制再生処理Rfを中断(強制的に完了)させるための中断条件を満たすか否かを判定し、この中断条件を満たす場合には強制再生処理Rfを中断させるためのステップ(不図示)を、ステップS48とステップS49の間に設けても良い。この中断条件を満たす場合には、ステップS49における強制再生処理Rfの完了条件を満たさなくても、ステップS410の実行後あるいは実行せずに、
図4のフローを終了する。この強制再生処理Rfの中断条件は、例えば、DPF32の強制再生処理Rfの実行中にDPF32の出口における排ガス温度(例えば、DPF出口温度センサ53の検出値など)が、第2温度T2よりも大きい所定の温度閾値(例えば、750℃以上)を超えた場合をDPF異常高温エラーとし、DPF異常高温エラーが検出されるか否かであっても良い。この場合には、DPF異常高温エラーが検出された場合に中断条件が満たされると判定される。DOC31が閉塞するとレイトポスト噴射した燃料(軽油燃料など)の一部がDOC31をすり抜けて下流のDPF32に到達し、DPF32で担持されている触媒により酸化発熱し、DPF32の出口が異常に高温となる。このため、強制再生処理Rfの完了条件を満たす前にDPF異常高温エラーが検出された場合には、DOC31の閉塞が起こっている可能性がある。このため、強制再生処理Rfを中断してDPF32の焼損等を防止すると共に、DOC31が昇温要状態Dにあると判断して、再度、ステップS42からの閉塞回復処理Rcを実行しても良い。DPF異常高温エラー検出後の閉塞回復処理Rcは、昇温実行時間Pcp(後述)を、異常高温エラーが検出されていない場合のものよりも長くしても良く、より長い閉塞回復処理Rcの時間(具体的には、
図5の時刻t3〜時刻t4の間の時間)を確保することで、DOC31の閉塞の確実な回復を図ることができる。
【0073】
そして、最後のステップS410において、再生制御装置2は、第1カウンタ値C1などを含む全てのカウンタ値Cをリセットする。このステップS410は、ステップS48における強制再生処理Rfの実行の有無にかかわらず、実行されることになる。これは、ステップS47において強制再生処理Rfの実行条件が満たされるか否かの判定にかかわらず、ステップS42〜ステップS46において閉塞回復処理Rcが既に実行されており、閉塞回復処理RcによってDOC31が回復するためである。そして、ステップS410の後に再生回復処理Rの制御ロジックを終了する。
【0074】
また、
図4に示される再生回復処理Rの制御ロジックにより実行される再生回復処理Rの実行頻度について
図6A〜
図6Bを用いて説明する。
図6Aは、
図4の再生回復処理Rの制御ロジックにより実行される再生回復処理Rのタイムチャートを示す図である。また、
図6Bは、強制再生処理Rfの完了後にカウンタ値Cをリセットしない場合を
図6Aと比較するために示した比較例である。説明を簡単にするために、
図6A〜
図6Bでは、DPF32は、例えば10時間〜20時間程度の時間間隔毎(
図6A〜
図6Bでは20時間毎)に強制再生実行条件Pfを満たすものとし、その都度、再生制御装置2は、閉塞回復処理Rcおよび強制再生処理Rfからなる再生回復処理R(第1種再生回復処理R1)を実行する。また、DOC31は10時間以上の時間毎(
図6A〜
図6Bでは13時間毎)に第1閉塞危険状態判定部21aによって閉塞危険状態D1(昇温要状態D)が判定されるものとし、その都度、再生制御装置2は、閉塞回復処理Rcからなる再生回復処理R(第2種再生回復処理R2)を実行する。同様に、説明を簡単にするために、再生回復処理Rの実行時間は考慮しないものとし、上述の時間間隔に含まれているものとして説明する。
【0075】
図6A〜
図6Bでは、図示された最初の再生回復処理R(R1)の実行開始を基準(時刻0)として、強制再生実行条件Pfを満たすことにより閉塞回復処理Rcおよび強制再生処理Rfからなる第1種再生回復処理R1が20時間毎に合計3回実行される。そして、
図6Aでは、この第1種再生回復処理R1の完了毎にカウンタ値Cがリセットされる。このため、第1閉塞危険状態判定部21aによって閉塞危険状態D1が判定されたことにより13時間間隔で実行される第2種再生回復処理R2は、上記の3回の第1種再生回復処理R1の実行の各々から13時間毎に実行されている。このため、
図6Aでは、第1種再生回復処理R1および第2種再生回復処理R2により実行される閉塞回復処理Rcの合計回数は5回となっている。
【0076】
これに対して、
図6Bは、強制再生処理Rfの完了後にカウンタ値Cをリセットしない場合を示す図(比較例)であり、カウンタ値Cは、第1種再生回復処理R1の完了後にはリセットされず、第2種再生回復処理R2の完了後にのみリセットされる。つまり、第2種再生回復処理R2は、第1種再生回復処理R1とは無関係に、13時間毎に実行されることになる。このため、
図6Bでは、第1種再生回復処理R1および第2種再生回復処理R2により実行される閉塞回復処理Rcの合計回数は6回となっており、
図6Aの場合の5回に比べて1回多い。また、例えば、
図6Bにおいて、39時間経過後に実行される第2種再生回復処理R2と、40時間経過後に実行される3回目の第1種再生回復処理R1との間の時間間隔は1時間となり、DOC31が閉塞危険状態D1に至る間隔の13時間に比べてわずかとなる。このため、39時間目に実行される第2種再生回復処理R2の完了後から40時間目までにDOC31に付着する付着物の量は少なく、それにもかかわらず、40時間目の第1種再生回復処理R1による閉塞回復処理Rcが実行される状況になっている。すなわち、
図6Aの例示では、再生制御装置2が上述のようにカウンタ値Cをリセットすることで閉塞回復処理Rcの実行タイミングを調整し、第1種再生回復処理R1の実行間隔の間で第2種再生回復処理R2を実行させることで、第2種再生回復処理R2の実行の頻度を適正化している。
【0077】
上記の構成によれば、DOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かの判定とDPF32の強制再生実行条件Pfを満たすか否かの判定とがそれぞれ別々に行われる。そして、再生制御装置2は、DOC31が閉塞危険状態D1にあると判定すると閉塞回復処理Rcを実行し、強制再生実行条件Pfを満たすと判定すると閉塞回復処理Rcおよび強制再生処理Rfを実行する。このように、強制再生実行条件Pfを満たすと判定されると、DPF32の強制再生処理Rfと共にDOC32の閉塞回復処理Rcが実行されるため、DOC31の回復およびDPF32の再生を効率よく行うことができる。しかも、DOC31の閉塞を未然に防止すると共に、DPF32の強制再生時には、先にDOC31の回復を行うことで、DOC31が閉塞することにより生じる未燃燃料のスリップを防止し、燃費の低下やDPF32の焼損、オイルダイリューションを防止することができる。また、DPF32の強制再生処理Rfの完了後には、DOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かを判定するためのカウンタ値Cがリセットされる。これによって、DPF32の強制再生の完了後から、リセットされたカウンタ値CによるDOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かの判定を開始することで、閉塞危険状態D1の判定精度を維持しつつ、閉塞回復処理Rcを適正な頻度で実行することができる。
【0078】
また、幾つかの実施形態では、
図7に示されるように、DPF強制再生実行部24は、第1閉塞危険状態判定部21aによってDOC31が閉塞危険状態D1にあると判定された場合に、DOC昇温実行部22による閉塞回復処理Rcの完了後に強制再生処理Rfを実行する。すなわち、第1閉塞危険状態判定部21aによってDOC31が閉塞危険状態D1にあると判定された場合には、強制再生実行条件Pfが満たされていない場合でも、閉塞回復処理Rcの完了後に併せて強制再生処理Rfを実行する。第1カウンタ値C1に基づいてDOC31の閉塞危険状態D1を判定すると共に、第1カウンタ値C1に基づく判定により閉塞回復処理Rcを実行した場合には、併せてDPF32の強制再生処理Rfを実行する。このため、DOC32の回復およびDPF31の再生を効率よく行うことができる。また、閉塞回復処理Rcにより第1温度T1に昇温されたところから、強制再生処理Rfを実行することができるので、燃費の向上を図ることができる。
【0079】
図7は、本発明の一実施形態に係る再生制御装置2の再生回復処理Rの制御ロジックを示す図であり、第1閉塞危険状態判定部21aの判定に基づいて閉塞回復処理Rcが実行される。
図7の制御ロジックは、例えば周期的などに行われる。
図7のステップS71において、再生制御装置2は、通常運転中などに強制再生実行フラグFがオンか否かを判定する。より詳細には、自動再生実行条件と手動再生実行条件の少なくとも一方を含むDPF32の強制再生実行条件Pfが満たされたか否かを判定する。そして、強制再生実行条件Pfが満たさないと判定された場合には、ステップS77において、エンジン1の運転中において再生制御装置2は、DOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かを第1閉塞危険状態判定部21aにより判定する。そして、ステップS77において、DOC31が閉塞危険状態D1にないと判定される場合には、
図7の制御ロジックを終了する。逆に、ステップS71において強制再生実行条件Pfが満たされたと判定した場合や、ステップS76においてDOC31が閉塞危険状態D1にあると判定した場合には、再生制御装置2は再生回復処理Rを実行する。具体的には、ステップS72において閉塞回復処理Rcを実行し、その後、ステップS73において強制再生処理Rfを実行する。そして、ステップS74において強制再生処理Rfが完了した場合には、ステップS75において強制再生実行フラグFをオフにし、ステップS76に移る。ステップS76においては、第1カウンタ値C1を含む全てのカウンタ値Cをリセットする。なお、
図7のステップS72〜ステップS76は、既に説明した
図4のステップS42〜S410に対応しており、
図4のステップS47における強制再生処理Rfの実行条件は、DPF32の強制再生実行条件Pfが満たされた場合またはDOC31が閉塞危険状態D1にある場合のいずれか一方が満たされた場合における
図4のステップS42〜S410を実行した場合に対応する。
【0080】
上記の構成によれば、第1閉塞危険状態判定部21aによりDOC31が閉塞危険状態D1にあると判定された場合には、再生制御装置2は、閉塞回復処理Rcの完了後に続いて強制再生処理Rfを実行する。これによって、閉塞回復処理Rcにより第1温度T1に昇温されたところから、強制再生処理Rfを実行することができるので、燃費の向上を図ることができる。
【0081】
また、幾つかの実施形態では、DOC閉塞危険状態判定部21は、排温閾値または第1閾値V1の少なくとも一方を、大気圧、大気温度、前記ディーゼルエンジンの水温のうちの少なくとも1つに基づいて補正する判定閾値補正部21uを、さらに含む。つまり、第1閉塞危険状態判定部21aによる判定に用いられる上記の排温閾値や第1閾値は、エンジン1の周囲の環境に応じて補正される。例えば、高地などの大気圧が低く、大気中の酸素濃度が低い場合などの環境においては、そうでない環境に比べて、DOC31の閉塞が起こり易い。このため、想定環境において設定された排温閾値や第1閾値V1を、想定環境よりもDOC31の閉塞が起こり易い環境となった場合には補正することで、DOC31の閉塞の未然防止を図る。
【0082】
より詳細には、判定閾値補正部21uは、DOC31の閉塞がより起こり易い環境にエンジン1が置かれたことを、再生制御装置2は、エンジン1の周囲の大気圧や大気温度、エンジン1の水温に基づいて判定する。また、DOC31の閉塞がより起こり易い環境にエンジン1が置かれたことが判定された場合には、判定閾値補正部21uは、排温閾値をより大きい値に補正することや、第1閾値V1をより小さくする。これによって、補正後の第1閉塞危険状態判定部21aによる判定により実行される閉塞回復処理Rcは、補正前よりもより早いタイミングで実行される。例えば、判定閾値補正部21uは、排温閾値や第1閾値V1の少なくとも一方を補正するための補正係数を算出し、排温閾値や第1閾値V1の少なくとも一方と補正係数との演算により、補正後の排温閾値や第1閾値V1を決定しても良い。この補正係数は、補正係数と、上記の大気圧や大気温度、エンジン1の水温などの少なくとも一つとの対応関係を規定するマップあるいは関数を用いて取得しても良い。このマップにより、大気圧や大気温度、エンジン1の水温などの少なくとも一つから補正係数を容易に取得することができ、排温閾値または第1閾値V1の少なくとも一つを自動または手動で補正することができる。同様に、判定閾値補正部21uは、上記の第1閾値V1の補正に加えて、あるいは、上記の第1閾値V1の補正とは関係なく、第2閾値V2、第3閾値V3の少なくとも一方を補正しても良い。この場合の説明は、上述した判定閾値補正部21uに関する説明の第1閾値V1を、第2閾値V2や第3閾値V3に置き換えることで説明されるので、説明を省略する。
【0083】
次に、再生制御装置2が、
図1に示されるように、閉塞回復処理Rcの実行中のDOC31の温度Tを監視する昇温温度監視部26を、さらに備え、この実際のDOC31の温度Tに基づいて、閉塞回復処理Rcを制御する実施形態について説明する。
図1〜
図5に示される実施形態では、昇温温度監視部26は、DOC入口温度センサ51に接続されており、DOC入口温度センサ51による検出値が入力されることで、DOC31の温度を取得および監視が可能となっている。
【0084】
幾つかの実施形態では、カウンタ値Cは、ディーゼルエンジン1の累積運転時間である第2カウンタ値C2を含み、DOC閉塞危険状態判定部21は、第2カウンタ値C2が所定の第2閾値V2を上回った場合にDOC31が閉塞危険状態D1にあると判定する第2閉塞危険状態判定部21bを、さらに含む。また、再生制御装置は、さらに、第1閉塞危険状態判定部21aの判定による閉塞回復処理Rcの実行中において、DOC31の温度Tが第1温度T1よりも低い第1温度閾値を上回る時間が規定時間以下の場合を昇温不良と判定し、該昇温不良での閉塞回復処理Rcが第1回数連続した場合には、第2閉塞危険状態判定部21bによる閉塞危険状態D1の判定を開始する昇温不良時回復モードを起動するモード起動部27を、備える。本実施形態の規定時間は、閉塞危険状態D1にあるDOC31を第1温度T1に昇温させた状態おいて回復させるのに要する時間として定められる。
【0085】
すなわち、本実施形態では、エンジン1の運転時間に応じて1回以上実行される閉塞回復処理RcのそれぞれにおいてDOC31の温度Tが監視され、閉塞回復処理Rc毎のDOC31の温度Tに基づいて、各々の閉塞回復処理RcによってDOC31が適切に回復されたか否かが判定されると共に、判定結果に応じて昇温不良時回復モードが起動される。この昇温不良時回復モードは、第1閉塞危険状態判定部21aの判定によって実行される閉塞回復処理Rcよりも早いタイミングで閉塞回復処理Rcを実行するためのモードである。つまり、再生制御装置2は、昇温不良時回復モードを起動して閉塞回復処理Rcの頻度を多くすることで、昇温不良の閉塞回復処理Rcによって回復が不十分となっているDOC31の確実な回復を図る。幾つかの実施形態では、モード起動部27は、第1閉塞危険状態判定部21aによる閉塞危険状態D1の判定を停止して、第2閉塞危険状態判定部21bによる判定を開始するように構成されている。他の幾つかの実施形態では、第1閉塞危険状態判定部21aによる判定および第2閉塞危険状態判定部21bによる判定が同時に実行されても良い。
【0086】
また、上記の第1温度閾値や第1回数については、幾つかの実施形態では、第1温度閾値は例えば摂氏360度(℃)であり、第1回数は例えば2回であり、規定時間は15分となっている。ただし、この実施形態には限定されず、第1温度閾値は第1温度T1よりも低ければ良く、第1回数は1以上であって良い。例えば第1回数が2回とするなど、一時的な原因による昇温不良を検出可能な数に第1回数を設定することで、一時的な原因による昇温不良の発生により昇温不良時回復モードが頻繁に起動されるのを防止でき、燃費が低下するのを防止することができる。
【0087】
上記の構成によれば、閉塞回復処理RcにおいてDOC31の昇温が適切にされたか否かが判定される。DOC31の昇温が適切になされないと、DOC31の上流側端面に付着した未燃燃料等のSOF分やスートなどの付着物が閉塞回復処理Rcによって十分に燃焼されず、DOC31が適切に回復されない。このため、昇温不良の閉塞回復処理Rcが第1回数連続する場合には、第2閉塞危険状態判定部21bによる閉塞危険状態D1の判定を開始することで、DOC31の閉塞の未然防止を図ることができる。
【0088】
また、幾つかの実施形態では、上記の第2閾値V2は、第1閉塞危険状態判定部21aの判定によって実行される連続する2つの閉塞回復処理Rcの間の平均時間間隔よりも、第2閉塞危険状態判定部21bの判定によって実行される連続する2つの閉塞回復処理Rcの間の平均時間間隔の方が小さくなるように設定される。第2閉塞危険状態判定部21bが用いる第2閾値V2は例えば3時間などであり、例えば10時間以上となる第1閾値V1に比べて短く設定されることで、第1閉塞危険状態判定部21aが閉塞危険状態D1を判定するよりも早く、第2閉塞危険状態判定部21bが閉塞危険状態D1を判定するようになっている。換言すれば、2つの第1閉塞危険状態判定部21aの判定により実行される閉塞回復処理Rcにおいて、先発の閉塞回復処理Rcの完了後、後発の閉塞回復処理Rcが実行される前に、第2閉塞危険状態判定部21bの判定により閉塞回復処理Rcが実行される。このため、第1閉塞危険状態判定部21aの判定により実行される閉塞回復処理Rcにおいて、何らかの原因によりDOC31が適切に昇温されなかった昇温不良の閉塞回復処理Rcが発生し、DOC31が適切に回復されていない状況が生じたとしても、第2閉塞危険状態判定部21bの判定により閉塞回復処理Rcが実行されることで、閉塞回復処理Rcをより頻度良く行うことができ、DOC31を適切に回復することができる。
【0089】
また、幾つかの実施形態では、モード起動部27は、上記の昇温不良時回復モードの起動後に実行される閉塞回復処理RcにおけるDOC31の温度が上記の第1温度閾値を上回った場合には、昇温不良時回復モードを終了する。すなわち、第2閉塞危険状態判定部21bによる閉塞危険状態D1の判定が一旦起動された場合でも、昇温不良ではない閉塞危険状態D1が実行された場合には、第2閉塞危険状態判定部21bによる閉塞危険状態D1の判定は終了される。
上記の構成によれば、昇温不良時回復モードの起動後において、閉塞回復処理RcによるDOC31の回復が適切に行われる状況に戻った場合には、昇温不良時回復モードが終了される。これによって、第1閉塞危険状態判定部21aなどの他の判定部(21a、21cなど)によりDOC31の閉塞危険状態D1の判定がなされることでDOC31の閉塞を未然に防止することができると共に、閉塞回復処理Rcが通常の頻度に戻されることで、燃費の低下を防止することができる。
【0090】
また、幾つかの実施形態では、
図2に示されるように、再生制御装置2は、昇温不良での閉塞回復処理Rcが上記の第1回数よりも大きい第2回数連続したこと、又はこの第2回数連続したことにより手動による閉塞回復処理Rcの実行を促すことを報知する報知部28(第1報知部28a)を、さらに備える。すなわち、昇温不良での閉塞回復処理Rcが第2回数連続するような場合には、昇温不良での閉塞回復処理Rcが一時的な要因により発生したものではない可能性が高く、オペレータに報知することで対応を促すよう構成されている。報知部28(第1報知部28a、第2報知部28b)は、ディスプレイ、スピーカー、LEDやランプなどの発光装置、振動装置などの報知装置(不図示)に接続されることで、報知装置(不図示)を介して報知しても良い。なお、オペレータの報知は、ディスプレイへの表示、発光装置による点灯、点滅などによる視覚的な報知や、音、音声による聴覚的な報知、振動することで報知しても良く、これらの組み合わせであっても良い。幾つかの実施形態では、第1回数は2回であり、第2回数は8回となっているが、この実施形態には限定されず、第2回数は、オペレータへの報知が必要と判断される任意の回数であればよい。また、モード起動部27が上記の判定をし、報知部28に報知を命令するよう構成しても良い。報知を受けたオペレータは、再生制御装置2によって実行される自動の閉塞回復処理Rcよりも高い温度にDOC21を昇温するための手動による閉塞回復処理Rcを実行するなどして対応しても良い。
【0091】
上記の構成によれば、昇温不良の閉塞回復処理Rcが第2回数連続するような場合には、報知することで、閉塞回復処理実行条件Pcを変更する必要があることなどをオペレータに知らせることができる。
【0092】
また、幾つかの実施形態では、
図8〜
図10に示されるように、カウンタ値Cは、ディーゼルエンジン1の累積運転時間である第3カウンタ値C3を含む。そして、DOC閉塞危険状態判定部21は、第3カウンタ値C3が第3閾値V3を上回った場合にDOC31が閉塞危険状態D1であると判定する前記第3閉塞危険状態判定部21cを含み、カウンタリセット処理部25は、第3閉塞危険状態判定部21cの判定に応じて開始される閉塞回復処理Rcの完了後に、第3カウンタ値C3を含むカウンタ値Cをリセットする。この第3閉塞危険状態判定部21cは、DOC31の閉塞が起こり易い環境にエンジン1が置かれた場合に対応するための構成であり、エンジン1の置かれた環境変化によってPMの組成(sootやSOFなど)や燃焼状態が変化し、DOC31の閉塞速度が増大するような場合に対応するための構成となる。例えば、高地になるほど空気中の酸素濃度が低下するが、酸素濃度が低下するとエンジン1の燃焼状態が悪くなる結果、DOC31の閉塞速度が増大する。このようにDOC31の閉塞速度が増大する場合には、エンジン1の累積運転時によって閉塞危険状態D1を判定する。
【0093】
幾つかの実施形態では、第3閾値V3は5時間〜10時間に設定されており、例えば10時間以上などの第1閾値V1よりも小さく設定されており、第1閉塞危険状態判定部21aにより閉塞危険状態D1が判定される平均の時間間隔よりも短く、また、第2閉塞危険状態判定部21bによる判定に用いられる第2閾値V2よりも長く設定されても良い。これによって、閉塞回復処理Rcの実行頻度を多くすることで、閉塞が起こりやすい環境におかれたDOC31の閉塞の未然防止を図っている。例えば、第3閾値V3は、閉塞が起こりやすい環境を推定可能な大気圧や大気温度、エンジン1の水温などの少なくとも一つと第3閾値V3との対応関係を規定するマップあるいは関数に基づいて、自動または手動で設定されても良い。
【0094】
より詳細には、酸素濃度を検出可能な酸素センサの検出値や、大気圧を検出可能な気圧センサの検出値と閾値との比較に基づいて空気中の酸素濃度が少ない状況を判定することにより、DOC31の閉塞が起こりやすい環境を推定しても良い。そして、第3閉塞危険状態判定部21cは、大気中の酸素濃度が想定された環境のものより少ない場合などのDOC31の閉塞が起こり易い環境にあることを判定した場合のエンジン1の累積運転時間をカウントする。また、このように複数の機能部(第1閉塞危険状態判定部21aや第2閉塞危険状態判定部21b、第3閉塞危険状態判定部21cのうちの少なくとも2つ)によって閉塞危険状態D1をそれぞれ監視することで、DOC31の閉塞の未然防止を図ることができる。
【0095】
図8は、本発明の一実施形態に係る再生制御装置2の再生回復処理Rの制御ロジックを示す図であり、第3閉塞危険状態判定部21cの判定に基づいて閉塞回復処理Rcが実行される。
図8の再生回復処理Rの制御ロジックは、例えば周期的などに行われる。
図8に示される実施形態では、ステップS81〜S86は、それぞれ、
図7のS71〜S76に一致するため説明は省略する。
図8のステップS87において、エンジン1の運転中において再生制御装置2は、DOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かを第3閉塞危険状態判定部21cにより判定する。そして、ステップS87において、DOC31が閉塞危険状態D1にないと判定される場合には、
図8の制御ロジックを終了する。逆に、ステップS87において、第3カウンタ値C3が第3閾値V3を上回ると判定された場合には、DOC31が閉塞危険状態D1にあると判定されることになるため、ステップS88において閉塞回復処理Rcを実行する。そして、ステップS89において閉塞回復処理Rcが完了したと判定された後、ステップS86に移る。ステップS86では、第3カウンタ値C3を含め、カウンタ値Cに含まれる全てのカウンタ値Cをリセットする。
【0096】
上述したように、
図8に示される実施形態では、ステップS96におけるカウンタ値Cのリセットが、強制再生実行フラグFのオンによるDPF32の強制再生の完了後の場合、または、第3閉塞危険状態判定部21cの判定により実行される閉塞回復処理Rcの完了後の場合の両方の場合に行われる点が、
図7に示される実施形態とは異なっている。
【0097】
図9は、本発明の一実施形態に係る再生制御装置2の再生回復処理Rの制御ロジックを示す図であり、第1閉塞危険状態判定部21aの判定および第3閉塞危険状態判定部21cの判定に基づいて閉塞回復処理Rcが実行される。
図9の制御ロジックは、例えば周期的などに行われる。
図9に示される実施形態では、ステップS91〜S97は、それぞれ、
図7のS71〜S77に一致するため説明は省略する。
図9のステップS97において、エンジン1の運転中において再生制御装置2は、DOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かを第1閉塞危険状態判定部21aにより判定した際、DOC31が閉塞危険状態D1にないと判定した場合には、ステップS98に進む。ステップS98では、再生制御装置2は、DOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かを第3閉塞危険状態判定部21cにより判定する。そして、ステップS98において、第3カウンタ値C3が第3閾値V3を上回ると判定された場合には、ステップS99において閉塞回復処理Rcを実行する。そして、ステップS910において閉塞回復処理Rcが完了したと判定された後、ステップS96に移り、第1カウンタ値C1および第3カウンタ値C3を含む全てのカウンタ値Cをリセットする。逆に、ステップS98において、第3カウンタ値C3が第3閾値V3を上回ると判定されない場合には、
図9の制御ロジックを終了する。
【0098】
上述したように、
図9に示される実施形態では、ステップS96におけるカウンタ値Cのリセットが、強制再生実行フラグFのオンによるDPF32の強制再生の完了後の場合、または、第3閉塞危険状態判定部21cの判定により実行される閉塞回復処理Rcの完了後の場合の両方の場合に行われる点が、
図7に示される実施形態とは異なっている。なお、
図9では、第1閉塞危険状態判定部21aよる判定の次に第3閉塞危険状態判定部21cによる判定が行われている。これによって、閉塞危険状態D1にDOC31があるとの判定と強制再生実行条件Pfを満たすと判定が同時に成り立った際に、DPF32の強制再生を実行することで、閉塞回復処理Rcおよび強制再生処理Rfを排ガス処理装置3に実行することが可能となっている。
【0099】
図10は、本発明の一実施形態に係る再生制御装置2の再生回復処理Rの制御ロジックを示す図であり、第2閉塞危険状態判定部21bの判定および第3閉塞危険状態判定部21cの判定に基づいて閉塞回復処理Rcが実行される。
図10の制御ロジックは、例えば周期的などに行われる。
図10のステップS101〜ステップS106、ステップS109〜ステップS1010は、それぞれ、
図9のステップS91〜ステップS96、ステップS99〜ステップS910と同じなので説明を省略する。
図10のステップS107〜ステップS108において、エンジン1の運転中において再生制御装置2は、DOC31が閉塞危険状態D1にあるか否かを第2閉塞危険状態判定部21bおよび第3閉塞危険状態判定部21cによりそれぞれ判定する。具体的には、第2カウンタ値C2が第2閾値V2を上回る場合、あるいは、第3カウンタ値C3が第3閾値V3を上回る場合のいずれか一方が満たされる場合には、ステップS109に移り閉塞回復処理Rcが実行する。逆に、ステップS107およびステップS107の両方において、第2カウンタ値C2が第2閾値V2を上回ると判定されない場合、かつ、第3カウンタ値C3が第3閾値V3を上回ると判定されない場合には、
図10の制御ロジックを終了する。
【0100】
上記の構成によれば、例えば高地など、ディーゼルエンジン1がDOC31の閉塞が起こり易い環境で運転される場合には、再生制御装置2は、累積運転時間に基づいて閉塞回復処理Rcを実行することで、DOCの閉塞を未然に防止することができる。
【0101】
また、幾つかの実施形態では、
図2に示されるように、再生制御装置2は、さらに、連続する2つの閉塞回復処理Rcにおいて、先発の閉塞回復処理RcにおけるDOCの温度に基づいて、後発の閉塞回復処理Rcにおける昇温温度または昇温実行時間を補正する閉塞回復処理条件補正部と29、を備える。例えば、DOC昇温実行部22が閉塞回復処理実行条件Pcに従って閉塞回復処理Rcを実行した際に、閉塞回復処理RcにおいてDOC31の温度Tが何らかの原因により目標昇温温度Pct(第1温度T1)に到達しないような状況が起こり得る。このような場合には、閉塞回復処理RcによってDOC31の付着物が昇温不良により燃焼しきらず、DOC31の回復が十分になされない。そこで、閉塞回復処理条件補正部29は、閉塞回復処理実行条件Pcを補正することにより、前回の閉塞回復処理Rcにより十分に燃焼されなかった残りの付着物を含めて、次に実行される閉塞回復処理Rcによって燃焼させることで、DOC31の確実な回復を図る。
【0102】
図2に示される実施形態では、閉塞回復処理条件補正部29は昇温温度監視部26に接続されており、昇温温度監視部26からDOC31の温度Tの情報を取得する。そして、先に完了した先発の閉塞回復処理RcにおけるDOC31の温度Tに基づいて、次に行われる後発の閉塞回復処理Rcの閉塞回復処理実行条件Pcを補正(設定)する。より詳細には、閉塞回復処理実行条件Pcには、目標昇温温度Pctまたは昇温実行時間Pcpの少なくとも一方が含まれており、閉塞回復処理条件補正部29はこれらの少なくとも一方を補正する。例えば、DOC31の温度Tの平均が目標昇温温度Pctよりも低かった場合には、目標昇温温度Pctを上げることで、より高温にDOC31を昇温するように補正し、閉塞回復処理Rcにおける実際のDOC31の温度Tを目標昇温温度Pct(第1温度T1)に近づけるようにしても良い。あるいは、目標昇温温度Pctより低い温度Tでなされた昇温温度により残った付着物を、昇温実行時間Pcpをより長く設定することで燃焼させることが可能な場合には、昇温実行時間Pcpがより長くなるように補正しても良い。
【0103】
また、閉塞回復処理実行条件Pcの補正は、幾つかの実施形態では、DOC31の温度Tまたは昇温実行時間Pcpの少なくとも一方と補正係数との関係を規定するマップまたは関数に基づいて、DOC31の温度Tまたは昇温実行時間Pcpの少なくとも一方から補正係数を求めても良い。そして、先発の閉塞回復処理Rcの閉塞回復処理実行条件Pcに含まれる目標昇温温度Pctまたは昇温実行時間Pcpの少なくとも一方と補正係数に基づいて補正したものを、後発の閉塞回復処理Rcの閉塞回復処理実行条件Pcとして決定しても良い。
【0104】
上記の構成によれば、閉塞回復処理実行条件Pcに含まれる目標昇温温度Pctまたは昇温実行時間Pcpを補正することで、閉塞回復処理Rcを制御することができる。
【0105】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、幾つかの実施形態では、閉塞回復処理実行条件Pcは、第2閉塞危険状態判定部21bや第3閉塞危険状態判定部21cに接続されても良い。そして、DOC31の閉塞危険状態D1を判定するための第2閾値V2や第3閾値V3に対して、DOC31の温度Tと補正係数との対応関係を規定するマップまたは関数を用意し、この対応関係とDOC31の温度Tに基づいて第2閾値V2または第3閾値V3の少なくとも一方を補正することで、閉塞回復処理Rcの実行頻度を多くするようにしても良い。