(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
導電体に操作される被操作体と、この被操作体に設けられ、導電体と検出電極との間に静電容量を形成する静電容量センサとを備え、被操作体に導電体が接近した場合に、導電体と静電容量センサの検出電極との間に形成された静電容量の変化を検出する静電容量型入力装置であって、
被操作体は、ドーム板の周縁部に周壁が屈曲接続部を介して設けられることで形成され、
静電容量センサは、被操作体の少なくとも屈曲接続部と周壁の内面に対向する絶縁シートと、被操作体の少なくとも屈曲接続部及び周壁の内面と絶縁シートとを接合する接合層と、絶縁シートに並べて形成され、被操作体の少なくとも屈曲接続部と周壁の内面に対向して被操作体に接近した導電体との間に静電容量を形成可能な複数の検出電極とを含み、絶縁シートの被操作体の屈曲接続部内面に対向する対向部に、検出電極の少なくとも一部を挟む複数の切り欠き溝が形成されることを特徴とする静電容量型入力装置。
導電体に操作される被操作体と、この被操作体に設けられ、導電体と検出電極との間に静電容量を形成する静電容量センサとを備え、被操作体に導電体が接近した場合に、導電体と静電容量センサの検出電極との間に形成された静電容量の変化を検出する静電容量型入力装置であって、
被操作体は、ドーム板の周縁部に周壁が屈曲接続部を介して設けられるとともに、周壁の端部にフランジ板が屈曲接合部を介して設けられることで形成され、
静電容量センサは、被操作体の周壁内面に対向する絶縁シートと、被操作体の周壁内面と絶縁シートとを接合する接合層と、絶縁シートに並べて形成され、被操作体の周壁内面に対向して被操作体に接近した導電体との間に静電容量を形成可能な複数の検出電極とを含み、絶縁シートと複数の検出電極とがそれぞれ拡大形成されて被操作体の屈曲接続部と屈曲接合部の少なくともいずれか一方の内面に対向可能であり、絶縁シートの被操作体の屈曲接続部と屈曲接合部の少なくともいずれか一方の内面に対向する対向部に、検出電極の少なくとも一部を挟む複数の切り欠き溝が形成されることを特徴とする静電容量型入力装置。
被操作体のドーム板が断面略半円弧形に湾曲形成され、静電容量センサの絶縁シートと複数の検出電極とがそれぞれ拡大形成されて被操作体のドーム板の内面に対向可能であり、絶縁シートの被操作体のドーム板と屈曲接続部の内面に対向する対向部に、隣接する検出電極間の隙間に位置する複数の切り欠き溝が形成される請求項1ないし4いずれかに記載の静電容量型入力装置。
被操作体の周壁における内外面の少なくともいずれか一方の面に、空気層用の形成溝が凹み形成され、この形成溝が静電容量センサの複数の検出電極間の隙間に対向する請求項1ないし6いずれかに記載の静電容量型入力装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来における静電容量型入力装置は、以上のように構成されているが、特許文献1の装置の場合には、少なくともコア部材と回転操作部材が必要不可欠なので、部品点数が増加してコスト高を招き、しかも、回転操作部材を回転可能に支持する必要があるので、全体構成が複雑化するという問題がある。また、全体構成の複雑化に伴い、耐久性が低下するので、長期の使用に問題が生じる。
【0006】
また、特許文献2の装置の場合には、接触操作部材の円筒の外周面にタッチセンサが貼着して巻回されるが、接触操作部材の形が複雑なときには、タッチセンサの貼着に支障を来すおそれがある。タッチセンサの貼着に支障を来し、円筒とタッチセンサとの間に隙間等が生じたりすると、タッチセンサの誘電率に悪影響が生じ、その結果、タッチセンサの機能低下を招くおそれがある。
【0007】
本発明は上記に鑑みなされたもので、部品点数の削減、全体構成の簡素化、耐久性の向上を図ることができ、しかも、例え被操作体が複雑な形状でも、静電容量センサを容易に取り付けることのできる安価な静電容量型入力装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明においては上記課題を解決するため、導電体に操作される被操作体と、この被操作体に設けられ、導電体と検出電極との間に静電容量を形成する静電容量センサとを備え、被操作体に導電体が接近した場合に、導電体と静電容量センサの検出電極との間に形成された静電容量の変化を検出する装置であって、
被操作体は、ドーム板の周縁部に周壁が屈曲接続部を介して設けられることで形成され、
静電容量センサは、被操作体の少なくとも屈曲接続部と周壁の内面に対向する絶縁シートと、被操作体の少なくとも屈曲接続部及び周壁の内面と絶縁シートとを接合する接合層と、絶縁シートに並べて形成され、被操作体の少なくとも屈曲接続部と周壁の内面に対向して被操作体に接近した導電体との間に静電容量を形成可能な複数の検出電極とを含み、絶縁シートの被操作体の屈曲接続部内面に対向する対向部に、検出電極の少なくとも一部を挟む複数の切り欠き溝が形成されることを特徴としている。
【0009】
また、本発明においては上記課題を解決するため、導電体に操作される被操作体と、この被操作体に設けられ、導電体と検出電極との間に静電容量を形成する静電容量センサとを備え、被操作体に導電体が接近した場合に、導電体と静電容量センサの検出電極との間に形成された静電容量の変化を検出する装置であって、
被操作体は、ドーム板の周縁部に周壁が屈曲接続部を介して設けられるとともに、周壁の端部にフランジ板が屈曲接合部を介して設けられることで形成され、
静電容量センサは、被操作体の周壁内面に対向する絶縁シートと、被操作体の周壁内面と絶縁シートとを接合する接合層と、絶縁シートに並べて形成され、被操作体の周壁内面に対向して被操作体に接近した導電体との間に静電容量を形成可能な複数の検出電極とを含み、絶縁シートと複数の検出電極とがそれぞれ拡大形成されて被操作体の屈曲接続部と屈曲接合部の少なくともいずれか一方の内面に対向可能であり、絶縁シートの被操作体の屈曲接続部と屈曲接合部の少なくともいずれか一方の内面に対向する対向部に、検出電極の少なくとも一部を挟む複数の切り欠き溝が形成されることを特徴としている。
【0010】
なお、被操作体のドーム板に設けられ、静電容量の変化の検出に基づいて所定の模様を表示する表示手段を含むことができる。
また、被操作体に光源が内蔵され、被操作体のドーム板に、発光した光源に照光される加飾層が形成されるようにすることができる。
また、静電容量センサの絶縁シートの対向部に、隣接する検出電極間の隙間に位置する複数の切り欠き溝が形成されると良い。
【0011】
また、被操作体のドーム板が断面略半円弧形に湾曲形成され、静電容量センサの絶縁シートと複数の検出電極とがそれぞれ拡大形成されて被操作体のドーム板の内面に対向可能であり、絶縁シートの被操作体のドーム板と屈曲接続部の内面に対向する対向部に、隣接する検出電極間の隙間に位置する複数の切り欠き溝が形成されるようにすることができる。
【0012】
また、静電容量センサの接合層が検出電極に対向し、複数の検出電極間の隙間に対向しないようにすることができる。
さらに、被操作体の周壁における内外面の少なくともいずれか一方の面に、空気層用の形成溝が凹み形成され、この形成溝が静電容量センサの複数の検出電極間の隙間に対向するようにすることができる。
【0013】
ここで、特許請求の範囲における導電体には、少なくとも導電性を有する指や専用の筆記具等が含まれる。この導電体の接近には、少なくとも接触や近接が含まれる。被操作体は、透明、不透明、半透明のいずれでも良く、中空の柱形や錐台形、断面略C字や略U字の殻形等に形成される。この被操作体は、圧縮成形、射出成形、押出成形、熱成形等の各種成形法により成形することができ、必要に応じて光透過性を付与することができる。
【0014】
被操作体の内外面のうち、少なくとも被操作体の外面には必要に応じ、耐加水分解性や作業性等に優れる所定の塗料が塗布され、この所定の塗料の乾燥硬化により、柔軟な感触を得ることのできる装飾層が形成される。被操作体の屈曲接続部と屈曲接合部は、傾斜していても良いし、湾曲していても良い。また、静電容量センサの絶縁シートと複数の検出電極とは、透明、不透明、半透明のいずれでも良い。接合層は、アクリル系重合体、ポリエステル、ポリウレタン、ウレタンアクリレート、シリコーン系重合体等を主成分とする各種の接着剤、粘着剤、両面粘着テープ等を用いることができる。これらの中では、透明性、粘着性、耐熱性、耐候性等に優れるアクリル系重合体製の粘着剤が好ましい。
【0015】
本発明によれば、静電容量型入力装置を製造する場合、被操作体と静電容量センサとを用意し、静電容量センサの絶縁シートに接合層を接合した後、被操作体の少なくとも周壁の内面に静電容量センサを曲げながら接合すれば、静電容量型入力装置を製造することができる。この際、絶縁シートの対向部に複数の切り欠き溝が切り欠かれ、対向部が被操作体の周壁周方向に分割されているので、被操作体の屈曲接続部等に絶縁シートの対向部と複数の検出電極を簡易に折り曲げることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、部品点数の削減、全体構成の簡素化、耐久性の向上、コストの削減を図ることができるという効果がある。また、例え被操作体が複雑な形でも、被操作体に静電容量センサを容易に取り付けることができるという効果がある。また、被操作体の周壁から屈曲接続部にまで静電容量センサの検出領域を拡大することができる。また、静電容量センサの絶縁シートにおける対向部の切り欠き溝により、絶縁シートの対向部を複数に分割して容易に折り曲げることができるので、例え被操作体の屈曲接続部が複雑な形でも、屈曲接続部の内面に絶縁シートの対向部を沿わせて接合することができる。
【0017】
請求項2記載の発明によれば、部品点数の削減、全体構成の簡素化、耐久性の向上、コストの削減を図ることができるという効果がある。また、例え被操作体が複雑な形でも、被操作体に静電容量センサを容易に取り付けることが可能になる。また、被操作体の周壁から屈曲接続部と屈曲接合部の少なくともいずれか一方にまで静電容量センサの検出領域を拡大することが可能になる。また、絶縁シートの対向部の切り欠き溝により、絶縁シートの対向部を複数に分割して容易に折り曲げることができるので、例え被操作体の屈曲接続部や屈曲接合部等が複雑な形でも、これらの内面に絶縁シートの対向部を沿わせて接合することが可能になる。
【0018】
請求項3記載の発明によれば、ディスプレイ等の表示手段を使用すれば、文字、数字、記号、図形等からなる模様を視認しながら入力操作することができるので、操作ミスを回避しながら操作することができる。
請求項4記載の発明によれば、光源により加飾層を照光することができるので、照光された加飾層の表示作用により、操作状態等を視覚的に把握することができ、操作の便宜を図ることができる。
【0019】
請求項5記載の発明によれば、被操作体のドーム板、屈曲接続部、及び周壁にまで静電容量センサの検出領域を拡大することができる。また、絶縁シートの対向部の切り欠き溝により、複数の検出電極の端部を簡単に折り曲げることができるので、例え被操作体の屈曲接続部が複雑な形でも、屈曲接続部の内面に複数の検出電極を沿わせて接合することが可能になる。
【0020】
請求項6記載の発明によれば、検出電極から隙間を経由して隣接する検出電極まで同じ誘電率の接合層が連続して存在する場合、静電容量センサに誤検出やノイズの発生することがあるが、隣接する接合層間の隙間に、接合層の誘電率とは異なる誘電率の空気層が存在するので、接合層と空気層の誘電率の異同により、誤検出やノイズの発生防止が期待できる。
請求項7記載の発明によれば、形成溝が誘電率の異なる空気層を形成するので、誘電率の同一の領域が周壁周方向に連続するのを防ぎ、静電容量センサの検出不良等を防止することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る静電容量型入力装置の実施形態における被操作体の操作状態を模式的に示す一部切り欠き斜視説明図である。
【
図2】本発明に係る静電容量型入力装置の実施形態を模式的に示す断面説明図である。
【
図3】本発明に係る静電容量型入力装置の実施形態における静電容量センサを模式的に示す平面説明図である。
【
図4】本発明に係る静電容量型入力装置の実施形態における静電容量センサの検出電極間の切り欠き溝を模式的に示す拡大説明図である。
【
図5】本発明に係る静電容量型入力装置の第2の実施形態を模式的に示す斜視説明図である。
【
図6】本発明に係る静電容量型入力装置の第3の実施形態を模式的に示す一部切り欠き斜視説明図である。
【
図7】本発明に係る静電容量型入力装置の第3の実施形態における静電容量センサを模式的に示す平面説明図である。
【
図8】本発明に係る静電容量型入力装置の第4の実施形態における被操作体を模式的に示す一部切り欠き斜視説明図である。
【
図9】本発明に係る静電容量型入力装置の第5の実施形態における被操作体を模式的に示す一部切り欠き斜視説明図である。
【
図10】本発明に係る静電容量型入力装置の第5の実施形態における被操作体の操作状態を模式的に示す一部切り欠き斜視説明図である。
【
図11】本発明に係る静電容量型入力装置の第5の実施形態における静電容量センサを模式的に示す平面説明図である。
【
図12】本発明に係る静電容量型入力装置の第5の実施形態における被操作体を模式的に示す断面説明図である。
【
図13】本発明に係る静電容量型入力装置の第6の実施形態における被操作体の回転操作状態を模式的に示す斜視説明図である。
【
図14】本発明に係る静電容量型入力装置の第6の実施形態における被操作体の別の操作状態を模式的に示す斜視説明図である。
【
図15】本発明に係る静電容量型入力装置の第6の実施形態における静電容量センサを模式的に示す平面説明図である。
【
図16】本発明に係る静電容量型入力装置の第6の実施形態を模式的に示す一部切り欠き斜視説明図である。
【
図17】本発明に係る静電容量型入力装置の第7の実施形態における被操作体の操作状態を模式的に示す一部切り欠き斜視説明図である。
【
図18】本発明に係る静電容量型入力装置の第7の実施形態における被操作体の別の操作状態を模式的に示す一部切り欠き斜視説明図である。
【
図19】本発明に係る静電容量型入力装置の第7の実施形態における静電容量センサを模式的に示す平面説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施の形態を説明すると、本実施形態における静電容量型入力装置は、
図1ないし
図4に示すように、指等の導電体1に接触操作される絶縁性の被操作体10と、この被操作体10の内部に粘着され、導電体1と検出電極26との間に静電容量を形成する自己容量型の静電容量センサ20とを備え、この静電容量センサ20を粘着する両面粘着テープ25を検出電極26に対向させ、複数の検出電極26間の隙間22に対向させないようにしている。
【0023】
被操作体10は、
図1や
図2に示すように、基本的には所定の樹脂、例えばポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、アクリル樹脂等を含有した成形材料により、ダイヤルタイプの中空略円錐台形に射出成形され、家電製品等に固定して利用される。この被操作体10は、例えば平面円形の略平坦なドーム板11を備え、このドーム板11の周縁部から徐々に傾斜しながら広がる円筒形の周壁13が屈曲接続部12を介し下方に伸長形成されており、この周壁13の下端部から平面矩形の平坦なフランジ板15が屈曲接合部14を介して水平外方向に突出する。
【0024】
被操作体10の屈曲接続部12は、ドーム板11の周縁部と周壁13の上端部との間に湾曲形成されて一体化し、成形時における成形材料の充填不足や流動不足、被操作体10の成形不良を解消するよう機能する。また、屈曲接合部14は、周壁13の下端部とフランジ板15の端部との間に湾曲形成されて一体化し、屈曲接続部12同様、成形時における成形材料の充填不足や流動不足、被操作体10の成形不良を解消するよう機能する。
【0025】
被操作体10の外面には、耐加水分解性や作業性等に優れる所定の塗料が塗布され、この所定の塗料の乾燥硬化により、ラバー調のソフトな感触を得ることのできる装飾層16が形成される。所定の塗料としては、特に限定されるものではないが、例えばネオラバサンN781(武蔵塗料ホールディングス株式会社製:製品名)等があげられる。
【0026】
静電容量センサ20は、
図1ないし
図4に示すように、被操作体10の屈曲接続部12と周壁13の滑らかな内面に巻回状態で対向する屈曲可能な絶縁シート21と、被操作体10の屈曲接続部12及び周壁13の内面と絶縁シート21とを粘着する複数枚の両面粘着テープ25と、絶縁シート21に配列形成されて被操作体10の屈曲接続部12と周壁13の内面に対向する複数の検出電極26と、この複数の検出電極26に接続される複数本の導電ライン27とを備え、複数枚の両面粘着テープ25が検出電極26にそれぞれ対向する。
【0027】
絶縁シート21は、
図3に示すように、可撓性を有する所定のフィルムにより横長の平面略台形に形成され、被操作体10の屈曲接続部12と周壁13の内面に適切に接合できるよう、上下両端部が円弧を描くようそれぞれ湾曲形成される。所定のフィルムとしては、例えばポリエステル系、ポリプロピレン系、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド、フェノール樹脂系、アクリル系の薄いフィルムがあげられる。これらの中では、寸法安定性や絶縁性に優れるポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート製の透明フィルムが最適である。
【0028】
絶縁シート21の上部は、被操作体10の屈曲接続部12の滑らかな内面に対向する対向部とされるが、この対向部の左右横方向には
図4に示すように、静電容量センサ20の粘着取付作業に資する観点から、複数の検出電極26間の細い隙間22に位置する複数の切り欠き溝23が浅く線条に切り欠かれる。また、絶縁シート21の下端部の略中央には、可撓性を有する平面矩形の接続片24が一体形成される。
【0029】
各両面粘着テープ25は、例えば絶縁性を有するアクリル系やポリエステル系の剥離して再利用可能な光学粘着テープからなる。この両面粘着テープ25は、例えば検出電極26と略同じ大きさの平面矩形に形成され、絶縁シート21の裏面に粘着して検出電極26に対向する。
【0030】
複数の検出電極26は、
図3や
図4に示すように、絶縁シート21の表面の左右横方向に所定の僅かな線条の隙間22をおいて横一列に配列形成され、隣接する検出電極26と検出電極26との上部間の隙間22に浅い切り欠き溝23が位置しており、各検出電極26が平面矩形に形成されて被操作体10の屈曲接続部12と周壁13の内面に対向する。
【0031】
各検出電極26は、導電性の金、銀、銅、ニッケル、クロム、アルミニウム、真鍮、これらの積層合金、メッシュ、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化インジウム錫、導電ペースト、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、導電性ポリマー等により平坦な薄膜に形成され、絶縁シート21の上下部付近まで伸長される。
【0032】
検出電極26は、金、銀、銅、ニッケル、クロム、アルミニウム、真鍮、これらの積層合金、メッシュ製の場合には、蒸着法、スパッタリング法、メッキ法、薄板張り法等により形成される。また、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化カドミウム、酸化インジウム錫の金属酸化物製の場合には、蒸着法やスパッタリング法により形成される。また、印刷により形成することもできるが、この場合には、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、インクジェット法、スピンコート法等が採用される。
【0033】
検出電極26は両面粘着テープ25に対向するが、隣接する検出電極26と検出電極26との間の隙間22は両面粘着テープ25に対向しない。この隣接する検出電極26と検出電極26との間の隙間22は、両面粘着テープ25の誘電率とは異なる誘電率の空気層を区画形成し、この空気層が隣接する検出電極26の誤検出を防止するよう機能する。このような複数の検出電極26は、被操作体10の周壁13外面に導電体1が接触すると、この導電体1と近接した任意の検出電極26との間に静電容量が形成される。
【0034】
各導電ライン27は、例えば検出電極26と同様の材料により細長い線条に形成され、検出電極26の下端部の隅に接続される。この導電ライン27は、検出電極26の下端部から絶縁シート21の下端部を経由して接続片24に屈曲しながら伸び、末端部が図示しないマイクロコントローラ等からなる検出判定手段の入力端子に電気的に接続される。導電ライン27の形成方法は、検出電極26と同様の方法が採用される。
【0035】
上記構成において、静電容量型入力装置を製造する場合には、成形された被操作体10と静電容量センサ20とをそれぞれ用意し、静電容量センサ20の絶縁シート21に、複数枚の両面粘着テープ25を粘着して複数の検出電極26にそれぞれ対向させた後、被操作体10の屈曲接続部12と周壁13の内面に静電容量センサ20を曲げながら少しずつ粘着すれば、静電容量型入力装置を製造することができる。
【0036】
この際、絶縁シート21の対向部に、検出電極26を挟む複数の切り欠き溝23が切り欠かれることにより、対向部が被操作体10の周壁13周方向に複数に分割され、連続していないので、絶縁シート21と複数の検出電極26の上部を内方向に容易に折り曲げることができ、絶縁シート21の対向部に皺の発生することが非常に少ない。したがって、被操作体10の湾曲した屈曲接続部12の内面に絶縁シート21と複数の検出電極26の上部を隙間なく沿わせて粘着することができ、被操作体10の周壁13から屈曲接続部12にまで静電容量センサ20の検出領域を拡大することができる。
【0037】
また、粘着作業に際し、隣接する両面粘着テープ25と両面粘着テープ25との間の隙間から空気が排出されるので、空気の介在により、被操作体10の屈曲接続部12及び周壁13と絶縁シート21との間に隙間が生じることが少ない。したがって、被操作体10の屈曲接続部12と周壁13の内面に絶縁シート21を隙間なく沿わせて適切に粘着することが容易となる。
【0038】
このような静電容量型入力装置を用いて家電製品を入力操作する場合には、被操作体10の屈曲接続部12や周壁13の外面に導電体1を接触させれば良い。この際、導電体1が指のときには、被操作体10の周壁13を複数本の指で摘まんでも良いが、接触させた1本の指を周壁13周方向に適宜動かしても良い。
【0039】
すると、導電体1と近接した静電容量センサ20の任意の検出電極26との間に新たな静電容量が形成されるとともに、静電容量が増加し、この増加した静電容量が検出判定手段により検出値に変換され、この検出値が所定の閾値と比較される。検出値と所定の閾値との比較の結果、検出値が所定の閾値を越えたときには、導電体1が接触状態にあると判定され、家電製品の所定の機能が実行されることとなる。
【0040】
上記構成によれば、被操作体10が固定構造であり、回転操作部材を要しないので、部品点数を削減してコストを大幅に抑制することができる。また、回転操作部材を回転可能に支持する必要がないので、全体構成の複雑化を防止することができる。また、全体構成の簡素化を図ることができるので、耐久性が著しく向上し、長期に亘って安全に使用することができる。また、絶縁シート21の複数の切り欠き溝23により、複数の検出電極26の上部を容易に折り曲げることができるので、例え被操作体10の屈曲接続部12が複雑な形でも、屈曲接続部12の内面に複数の検出電極26の上部を隙間なく沿わせて粘着することが可能になる。
【0041】
したがって、静電容量センサ20の粘着に支障を来すおそれがなく、誘電率に悪影響の生じることがないので、静電容量センサ20の機能低下を招くおそれを有効に排除することが可能になる。また、検出電極26から隙間22を経由して隣接する検出電極26まで同じ誘電率の長い両面粘着テープ25が連続して存在する場合、静電容量センサ20に誤検出やノイズの発生することがあるが、隣接する両面粘着テープ25と両面粘着テープ25との間に、両面粘着テープ25の誘電率とは異なる誘電率の空気が存在するので、両面粘着テープ25と空気の誘電率の異同により、誤検出やノイズの発生を確実に防止することが可能になる。
【0042】
また、例え被操作体10の外面が複雑でも、被操作体10の内面に凹凸が存在しなければ、静電容量センサ20を適切、かつ容易に粘着することができる。また、被操作体10の外面ではなく、内面に静電容量センサ20を粘着するので、被操作体10の外面に凹部や凸部、優れた意匠性を有する模様を適宜形成し、入力操作の便宜を図ることができる。さらに、被操作体10の外面に装飾層16を形成すれば、導電体1の滑り性を向上させたり、操作性を著しく向上させることができる。
【0043】
次に、
図5は本発明の第2の実施形態を示すもので、この場合には、被操作体10の内部に、静電容量センサ20の検出に連動するLED等の光源を内蔵し、被操作体10のドーム板11には、発光した光源に照光される光透過性の加飾層17を複数並べて形成するとともに、静電容量の変化の検出に基づいて十進の数字を点灯表示する7セグメントディスプレイ18を設けるようにしている。
【0044】
被操作体10は、必要に応じ、屈曲接合部14とフランジ板15とがそれぞれ省略される。また、各加飾層17は、例えばドーム板11の外面に所定の模様が任意のインキ(例えば、2液反応型の速乾タイプ等)を用いたバッド印刷法により形成され、被操作体10の外面に装飾層16が形成された後、模様に文字、数字、デザイン柄等からなる別の模様がレーザ加工されることで形成される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0045】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、光源により加飾層17中の文字、数字、記号等を照光することができるので、入力操作時の注意を喚起することができるのは明らかである。また、加飾層17をバッド印刷法により形成するので、ドーム板11の外面が平面の場合の他、2次・3次曲面の場合にも形成することができ、しかも、繊細な図柄を印刷したり、多色連続印刷も可能となる。さらに、7セグメントディスプレイ18を使用すれば、アラビア数字を見ながら入力操作することができるので、操作ミスを回避することができ、確実な操作が期待できるのは明らかである。
【0046】
次に、
図6と
図7は本発明の第3の実施形態を示すもので、この場合には、被操作体10の周壁13外面の周方向に、空気層を形成する複数の形成溝19を所定の間隔をおいて凹み形成し、この複数の形成溝19を静電容量センサ20の複数の検出電極26間の隙間22に周壁13を介して対向させるようにしている。
各形成溝19は、被操作体10の周壁13上部から下端部に伸びる細長い線条に凹み形成され、被操作体10の周壁13周方向と直交する方向、換言すれば、ドーム板11方向に指向する。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0047】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、形成溝19が周壁13とは誘電率の異なる空気層を区画形成するので、誘電率の同一の領域が周壁13の周方向に連続するのを防止し、静電容量センサ20の誤検出やノイズの発生を防止することができるのは明白である。また、被操作体10の周壁13周方向に凹んだ複数の形成溝19を所定の間隔で配列するので、導電体1が指の場合、指の移動距離を触感で容易に把握することができ、操作の便宜を大いに図ることができる。
【0048】
次に、
図8は本発明の第4の実施形態を示すもので、この場合には、被操作体10の周壁13内面の周方向に、空気層を形成する複数の形成溝19を所定の間隔をおいて凹み形成し、この複数の形成溝19を静電容量センサ20の複数の検出電極26間の隙間22に対向させるようにしている。
各形成溝19は、被操作体10の周壁13上部から下端部に伸びる細長い線条に凹み形成され、被操作体10の周壁13周方向と直交する方向、換言すれば、ドーム板11方向に指向する。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0049】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、形成溝19が周壁13とは誘電率の異なる空気層を区画形成するので、誘電率の同一の領域が周壁13周方向に連続するのを防止し、静電容量センサ20の検出不良やノイズの発生を防止することができる。
【0050】
次に、
図9ないし
図12は本発明の第5の実施形態を示すもので、この場合には、静電容量センサ20を上下逆向きに使用し、この静電容量センサ20の絶縁シート21と複数の検出電極26とを、被操作体10の屈曲接続部12及び周壁13ではなく、周壁13及び屈曲接合部14の内面に対向可能とし、屈曲接合部14の内面に絶縁シート21の複数の切り欠き溝23を位置させるようにしている。
【0051】
上記構成において、静電容量型入力装置を製造する場合には、成形された被操作体10と静電容量センサ20とをそれぞれ用意し、静電容量センサ20の絶縁シート21に、複数枚の両面粘着テープ25を粘着して複数の検出電極26にそれぞれ対向させた後、被操作体10の周壁13と屈曲接合部14の内面に静電容量センサ20を曲げながら少しずつ粘着すれば、静電容量型入力装置を製造することができる。
【0052】
この際、絶縁シート21の対向部に複数の切り欠き溝23が切り欠かれ、対向部が複数の折曲片に分割形成されているので、絶縁シート21と複数の検出電極26の下向きの上部を外側に容易に折り曲げることができ、絶縁シート21の対向部に皺の発生するのを防止することができる。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0053】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、被操作体10の湾曲した屈曲接合部14の内面に絶縁シート21と複数の検出電極26の下向きの上部を隙間なく沿わせて粘着することができ、被操作体10の周壁13から屈曲接合部14まで静電容量センサ20の検出領域を拡大することができる。また、被操作体10の屈曲接合部14が静電容量センサ20の検出領域となるので、導電体1が指の場合、被操作体10をフランジ板15付近まで深く摘まんで操作することが可能になる(
図10参照)。
【0054】
次に、
図13ないし
図16は本発明の第6の実施形態を示すもので、この場合には、静電容量センサ20の構成を変更し、被操作体10の屈曲接続部12や周壁13の外面に対する導電体1の操作方向を周壁13の周方向の他、上下方向にも拡大するようにしている(
図13、
図14の矢印参照)。
【0055】
この場合の静電容量センサ20は、絶縁シート21の上部である対向部の左右横方向に平面略三角形あるいは略台形の複数の切り欠き溝23が所定の間隔をおいて浅く切り欠かれ、絶縁シート21の上下左右方向に複数の検出電極26Aが所定の僅かな隙間22をおいて配列形成されており、各検出電極26Aが基本的には絶縁シート21の左右横方向に伸びる細長い平面帯形に形成されるとともに、検出電極26Aの側部の隅に細長い導電ライン27が接続される。
【0056】
複数の検出電極26Aのうち、最も絶縁シート21の対向部側に位置する検出電極26Bは、他の検出電極26Aよりもやや拡幅に形成され、平面略三角形あるいは略台形の複数の切り欠き溝が所定の間隔をおいて浅く切り欠かれる。この複数の切り欠き溝は、検出電極26Bの一部を挟み、絶縁シート21の複数の切り欠き溝23と整合する。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0057】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、導電体1の操作方向を周壁13の上下方向にも拡大することができるので、操作の多様性を大幅に向上させることが可能になる。例えば、家電製品がテレビジョンの場合、被操作体10の周壁13に接触させた導電体1を周方向に摺動させて音量を制御することができる他、導電体1を上下方向に摺動させて家電製品の画面の縮小・拡大を図ることができる。
【0058】
次に、
図17ないし
図19は本発明の第7の実施形態を示すもので、この場合には、被操作体10のドーム板11Aを断面略半円弧形の殻形に湾曲形成し、静電容量センサ20の構成を変更してその絶縁シート21と複数の検出電極26Cとをそれぞれ拡大形成して被操作体10のドーム板11Aの内面に対向可能とし、絶縁シート21の被操作体10のドーム板11Aと屈曲接続部12の内面に対向する対向部に、隣接する検出電極26C間の隙間22に位置する複数の切り欠き溝23Aを切り欠くようにしている。
【0059】
この場合の静電容量センサ20は、絶縁シート21の上部である対向部の左右横方向に複数の切り欠き溝23Aが所定の間隔をおいて深く切り欠かれ、各切り欠き溝23Aが平面略三角形に形成される。この絶縁シート21の左右横方向には、複数の検出電極26Cが所定の僅かな隙間22をおいて配列形成され、各検出電極26Cが先細りの平面略三角形に形成されており、検出電極26Cの下端部に細長い導電ライン27が接続される。その他の部分については、上記実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0060】
本実施形態においても上記実施形態と同様の作用効果が期待でき、しかも、被操作体10のドーム板11A、屈曲接続部12、及び周壁13にまで静電容量センサ20の検出領域を拡大することが可能になる。また、導電体1の操作を周壁13の周方向の他、ドーム板11の上下方向や周方向にも拡大することができる。さらに、静電容量センサ20をXY方向の位置を検出する構成とすれば、タッチパッド操作も可能になる。
【0061】
なお、上記実施形態では被操作体10のドーム板11・11Aを平面円形としたが、平面略楕円形や略多角形等に変更し、この変更に応じ、周壁13等を対応するよう変更しても良い。また、フランジ板15を平面リング形等に変更しても良い。また、静電容量センサ20の絶縁シート21に、複数の検出電極26と複数本の導電ライン27とを被覆保護する光透過性の保護カバーを覆着するようにしても良い。
【0062】
また、被操作体10のドーム板11には、7セグメントディスプレイ18の代わりに、ドットマトリックスLEDディスプレイや液晶ディスプレイ等の各種表示手段を設けることができる。また、被操作体10の周壁13における内外面に、空気層を形成する複数の形成溝19をそれぞれ凹み形成し、各形成溝19を静電容量センサ20の複数の検出電極26間の隙間22に対向させることができる。
【0063】
さらに、絶縁シート21と複数の検出電極26とをそれぞれ拡大形成して被操作体10の屈曲接続部12と屈曲接合部14の内面に対向可能とし、絶縁シート21の屈曲接続部12と屈曲接合部14の内面に対向する対向部に、隣接する検出電極26間の隙間22に位置する複数の切り欠き溝23をそれぞれ形成することも可能である。