【課題を解決するための手段】
【0021】
このような従来技術の欠点を解消するため、本発明は、植物生育条件を制御するシステムであって、
少なくとも1つの検出器と、
中央検出器データ処理手段と
を備え、
前記少なくとも1つの検出器が、植物生育基材の温度、含水量、及び養分量を示す1つ若しくは複数の特性を測定するように構成され、
前記少なくとも1つの検出器がさらに、検出器識別子及び前記1つ若しくは複数の測定特性を通信回線で前記中央検出器データ処理手段に送信するよう構成され、
前記中央検出器データ処理手段が、
前記基材の温度、pHレベル、含水量及び/又は養分量のうちの1つ若しくは複数に関する複数の値と、複数の所望の灌漑出力値との関係を規定する所定の灌漑データをメモリに保持し、
各検出器から受信した前記測定特性を処理して前記基材の算出(可算)特性を算出決定し、
前記少なくとも1つの検出器から受信した算出(可算)特性と前記所定の灌漑データに基づいて、前記生育基材に関する所望の灌漑入力値を示す出力を提供する
ように構成されるシステムを提供する。
【0022】
測定特性を中央処理手段に送信して変換し、基材に関する所望の灌漑入力を示す出力の生成に使用することで、より柔軟かつより正確な生育条件の制御が可能となり、この制御は、新しいデータに応じて、又はシステムで使用される植物若しくは基材若しくは他の材料に対する環境要因や環境変化などのその他の影響要因に応じて、容易かつ統括的に再構成することができる。本システムでは、1つ若しくは複数の検出器が使用されてもよく、好ましい実施形態では、3〜5つの検出器が備えられてもよい。後でより詳細に説明する通り、本システムの有利な点は、モニタ領域に無線配置されてもよいという点である。
【0023】
したがって、本発明では、例えば温度(つまり根温)、含水量、及び養分量を示す特性を使用し、基材中の流体の電気伝導度を決定して、個々の要素のレベルではなく、人工の基材中の養分量を正確に決定する。
【0024】
したがって、現存のシステムとは違い、本発明は、水耕システムの無土壌栽培に特有な水の浪費問題に対する解決策を提供する。上述のように、水が体積に制限のない基材のあらゆる方向へ広がることができる土壌や土壌での輸送とは違い、水耕システムでは一般的に、基材の体積が固定されている。水耕システムの固定水分体積は、典型的には1平方メートルあたり約1〜30リットル、最も一般的には1平方メートルあたり4〜15リットルである。植物1株あたりの固定水分体積は、典型的には1.5〜10リットルである。また、土壌の植物の根面積に比べ、水耕システムの固定水分体積はかなり小さい。
【0025】
水耕システムの無土壌基材は、土壌、溝、移動テーブル等の上に設置されてもよい。水量が比較的少なくて済みまた土壌なしで成長するため、栽培者は余分な水を集めて消毒し、これを再利用して新しい養分溶液に加えることができる。排水量は比較的少ない(例えば、夏日では1ヘクタールにつき20〜60m
3)。(消毒目的のために例えば専用のポンプを使用する)現存の消毒システムでは、集められた排水は通常24時間以内に消毒され、翌日の使用に備えることができる。
【0026】
人工の基材では、例えば、水の吸上げの際に植物により加えられる吸上げ圧力は、一般的にはpF0〜2の範囲内であり、最も一般的にはpF0〜1.5の範囲内である。植物の水の吸上げはこの範囲に限定はされないが、この範囲内での違いにより、植物内の乾燥物質の分布の違いを決定することができる。これに対し、農業用土壌では、pF範囲は通常pF2〜pF4.2(植物により加えられる吸上げ圧力は100〜16000atm)である。この範囲で、乾燥重量の分布に及ぼす影響ではなく、植物に対する水の有用性について論じる。
【0027】
前記水耕システムは、前記システムの検出器から受信した測定特性を処理して前記基材の算出(可算)特性を算出決定し、前記算出(可算)特性をユーザーに表示するように構成される検出器通信用携帯デバイスをさらに備えてもよい。前記システムに検出器通信用携帯デバイスをさらに含めることにより、実行されるシステムの構成部品を個々に確認及びテストすることが可能となり、また、ユーザーが検出器を生育領域外に置くことが可能となり、システムの構成や性能を確認又は更新するために中央コンピューター又は処理装置まで戻ることなく出力を確認することができるため、システムのセットアップを容易に行うことができる。
【0028】
前記検出器通信用携帯デバイスはさらに、前記システムの検出器から検出器データを受信し、前記検出器データを前記中央検出器データ処理手段に送信するように構成されてもよい。これによりユーザーは、生育領域内の検出器の出力又は状況に関連する検出器データを確認することができ、さらに前記受信したデータを前記中央検出器データ処理手段に転送して後の分析のためにそのデータを保存するか、前記システムの構成部品の設置又は構成の補正若しくは更新後に、前記システムに対して入力又は構成データの更新を行うことができる。
【0029】
前記中央検出器データ処理手段はさらに、各検出器から受信した前記測定特性を処理して各検出器に関連した基材の養分量を算出し、前記基材の前記算出養分量に基づいて、前記生育基材に関する所望の灌漑入力を示す出力を提供するように構成されてもよい。通常は検出された輻射量や検出された水分レベルなどの他の入力が使用されるため、養分量に基づいて灌漑入力を操作することは知られていない。灌漑の操作に養分レベルを使用するのは、含水量レベルが養分レベルに有害な影響を及ぼす場合は、含水量レベルが特定のレベルで維持されるべきではない場合が少なくともあるという認識を示している。例えば、周到な取り組みにより基材中の含水量を減少させると、養分レベルが上昇する危険性がある。したがって、含水量レベルの制御を実施する際には、養分レベルを無視することは不適切であると考えられる。好ましい実施形態では、養分量を示す特性は生育基材中の流体の電気伝導度である。
【0030】
前記検出器通信用携帯デバイスはさらに、前記システムの検出器から検出器識別子を受信し、前記検出器に関する検出器データを受信し、前記検出器識別子及び前記検出器データを前記中央検出器データ処理手段に送信するように構成されてもよい。これにより、前記中央検出器データ処理手段が設置されている場所にいなくとも、前記中央処理手段への前記検出器データの入力を自由自在に行うことができるため、生育領域での構成をより効果的に行うことができる。
【0031】
前記検出器通信用携帯デバイスはさらに、ユーザーの入力によりユーザー定義の検出器データを受信し、前記ユーザー定義の検出器データを前記検出器識別子に関連付け、前記検出器識別子と前記ユーザー定義の検出器データとを前記中央検出器データ処理手段に送信するように構成されてもよい。ユーザーデータを入力することで、ユーザーが検出器に関するデータを定義することができ、また、そのデータを遠隔地の中央検出器データ処理手段に送信することができるため、生育領域での構成をより効果的に行うことができる。
【0032】
前記検出器識別子に関連付けられたデータは、前記検出器の位置データ、前記検出器の電源状況、及び前記検出器と前記中央検出器データ処理手段間の通信回線状況、前記検出器によって測定された前記生育基材の種類及び/若しくは寸法を示す情報、並びに/又は前記検出器によって測定された前記生育基材の1つ若しくは複数の特性のうちのいずれか又は全てを含んでもよい。上記のデータのいくつか又は全ては検出器によって送信されてもよいし、ユーザーによって検出器通信用携帯デバイスに入力されてもよい。
【0033】
前記検出器通信用携帯デバイスはさらに、前記検出器から測定された特性を受信し、前記測定特性を前記検出器の検出器識別子に関連付け、前記検出器識別子と前記関連付けた測定特性とを前記システムの前記中央検出器データ処理手段に送信するように構成されてもよい。これにより、ユーザーは生育領域内の検出器の出力を確認することができ、さらにその出力を中央処理手段に転送して後の分析のためにそのデータを保存するか、前記システムの構成部品の設置又は構成の補正若しくは更新後に、システムに入力又は構成データの更新を行うことができる。
【0034】
検出器通信用携帯デバイスは、前記デバイス又は検出器の位置データを決定するための位置決定手段をさらに備えてもよく、またさらに、前記検出器の識別子と決定した位置データとを関連付けて、前記検出器識別子と前記関連付けた位置データとを前記システムの前記中央検出器データ処理手段に送信するように構成されてもよい。これにより、前記中央検出器データ処理手段にまで戻ることなく、前記システムの1つ若しくは複数の検出器の位置を前記中央検出器データ処理手段に送ることができる。
【0035】
本発明はさらに、植物の生育条件を制御する方法を提供し、前記方法は、本発明に係るシステムを提供すること、及び、前記システムの中央検出器データ処理手段によって提供された前記生育基材に関する所望の灌漑入力を示す出力に基づいて、植物生育基材に対する灌漑入力を制御することを含む。
【0036】
前記方法は、検出器構成データを前記システムの検出器通信用携帯デバイスに入力すること、及び前記検出器通信用携帯デバイスによって前記検出器構成情報を前記中央検出器データ処理手段に送信することをさらに含む。
【0037】
また、本発明に係るシステムで使用される検出器通信用携帯デバイスが提供され、前記デバイスは、前記システムの検出器から受信した測定特性を処理して前記基材の算出(可算)特性を算出決定し、前記算出(可算)特性をユーザーに表示するように構成される。これにより、さらに、ユーザーが生育領域にいなくても、あたかも中央検出器処理手段で行われているように検出器の出力を処理することがでるため、構成を確認することができ、出力を前記検出器通信用携帯デバイスに保存される別の因子の変換モデルと必要に応じて比較することが可能である。
【0038】
本発明はさらにコンピュータープログラム製品を提供し、前記コンピュータープログラム製品は、電子通信機器のメモリに読み込み可能であり、また、前記電子通信機器により実行されると、前記電子通信機器を請求項に記載の検出器通信用携帯デバイスとして構成する命令を含む。
【0039】
本発明に係るシステム用の検出器がさらに提供され、前記検出器は
植物生育基材の温度、含水量、及び養分量のうちの少なくとも1つを示す特性を測定し、
前記1つ若しくは複数の測定特性を通信回線によって前記中央検出器データ処理手段に送信して、植物生育基材の温度値、含水量値、及び養分量値に変換する
ように構成される。
【0040】
前記検出器はさらに、検出器識別子及び/又は植物生育基材の温度、含水量、及び養分量のうちの少なくとも1つを示す測定特性と、電力レベル状況と、通信回線状況とのうちの1つ若しくは複数を前記検出器通信用携帯デバイスに送信するように構成されてもよい。これらの工程は検出器通信用携帯デバイスからの呼びかけ信号に応じて実行されてもよい。
【0041】
本発明のシステム用の中央検出器データ処理手段が提供されてもよく、前記中央検出器データ処理手段は、
前記1つ若しくは複数の検出器から通信回線によって1つ若しくは複数の測定特性を受信し、
前記植物生育基材の温度、含水量、及び養分量に関する複数の値と、複数の所望の灌漑出力値との関係を定義する所定の灌漑データを保存し、
各検出器からの前記測定特性を処理して前記基材の算出(可算)特性を算出決定し、
前記1つ若しくは複数の検出器から受信した測定特性と前記所定の灌漑データに基づいて、前記生育基材に関する所望の灌漑入力を示す出力を提供する
ように構成されてもよい。
【0042】
前記中央検出器データ処理手段はさらに、前記システムの1つ若しくは複数の検出器に関連した検出器情報を検出器通信用携帯デバイスから受信し、前記構成情報をデータ記憶手段に保存するように構成されてもよい。
【0043】
本システムの検出器によってモニタされるいくつかの因子は単独または養分レベルとの組み合わせによって影響力を持つものであってもよく、これらの因子は規模の大きい植物生育システムの全域にわたって変化してもよい。本発明のシステムによって、ユーザーは低コストでシステムを実行することができ、また、温室又は他の生育領域の様々な領域に装置すなわち検出器を迅速かつ容易に再配置することができるため、それぞれの領域ごとに新しい装置を購入する必要なしに、複数の領域の状況を迅速かつ容易にモニタすることができる。
【0044】
したがって、本発明は、スラブ内の養分レベルを、厳密にかつ確実にモニタし、このレベルに基づいて加えられる水を制御するべく用いることができるフィードバックシステムを提供することができる。1つ若しくは複数の基材内の養分レベルが直接モニタされる。例えば、基材から排出された水分を測定すること等の技術によって間接的に行われるのではなく、基材内の測定値を取得することにより行われる。これは、所定の水分及び/又は養分の供給に対して最大限の成果をもたらすべく、各植物の環境を制御することができるシステムを提供する。
【0045】
従来のシステムにおけるように、入射放射レベルに頼るのではなく、本発明は、灌漑のための意思決定における重要な設定点として、基材内の養分レベル及び/又は温度を用いている(基材内の含水量及び/又はpHレベルも用いてよい)。従来の場合には、入射光を増加させると自動的により多くの灌漑が行われた。対照的に、本発明により、光量に基づくのではなく、或いは少なくとも光量のみ基づくのではなく、基材の直接測定に基づいて、灌漑をおこなうかどうかについての決定が可能となる。
【0046】
他の基材を用いてもよいが、基材は、好ましくはMMVFの基材である。好ましい実施形態では、各基材は、スラブ及び1つのブロックを(好ましくは、MMVFのスラブ及び1つのMMVFのブロックを)含む。すなわち、植物が植えられた1つのそしてただ1つのブロックが各スラブに設けられ、このことは、植物が複数のブロックに植えられそれらのブロックがスラブからの資源を奪い合うシステムよりも、各スラブ内の含水量及び/又は養分量の制御がはるかにより正確に管理されうることを意味している。単一のブロックを用いると、関連のある養分レベルをより正確に測定することができ、かつそのためにこれらの特性に応じて加えられる水分及び養分をより正確に制御できることができるフィードバックシステムが可能となることが認められる。
【0047】
好ましくは、前記1つ若しくは複数の検出器は、さらに、前記植物生育基材の少なくとも1つの含水量レベルをモニタするように構成され、前記少なくとも1つの灌漑装置による水分の供給は、モニタされた前記含水量レベルに応じて制御される。このようにして、基材内で実際に観察される養分レベル及び含水量レベルの両方に基づいて、水分の供給が正確に制御される。
【0048】
少なくとも1つの灌漑装置による水分の供給の制御に加えて、制御手段は、少なくとも1つの灌漑装置による養分の供給も制御しうる。そのような制御は、測定された含水量及び/又は養分レベルに応じて行われうる。制御器が灌漑度や周期を制御する際に、温度を考慮に入れてもよい。
【0049】
好ましい実施形態では、前記1つ若しくは複数の検出器は、さらに、前記植物生育基材の少なくとも1つの中の水分及び養分の少なくとも一方の分布をモニタするように構成されている。好ましくは、水分及び/又は養分の供給は、モニタされた水分、養分及び/又は酸素の分布の一様性が増すように、制御される。したがって、そのような物質の量が分かるだけでなく、どのようにそれらが、所定のシステムのブロック及び/又はスラブの中に及び/又は間に分布しているかについての情報が分かる。これにより、適当な水分及び養分が供給されていることを保証するために用いることができる詳細がさらに追加される。
【0050】
水分及び/又は養分の分布が改善されることの利点は、植物が植えられたブロックが新たにスラブ上に置かれる初期段階では特に重要である。この時点で、スラブ内で十分に根が張られることが保証されるように、第1の層が十分な水分及び養分を含むことは重要である。これにより、最適かつ健康な根の生長が保証されるための有益な根発達が可能となる。本発明のスラブにより、十分な水分及び養分が供給されることが可能となるだけではなく、根の近傍で水分及び養分のレベルが厳密に制御されることが可能となることは有益である。これは、果実及び/又は野菜の生長を減少させうる植物への供給過多を避けるうえで助けとなる。
【0051】
本発明の人造ガラス質繊維(MMVF)は、ガラス繊維、ミネラルウール又は耐火セラミック繊維であってよい。好ましい実施形態では、MMVFは、ストーンウールなどの鉱物繊維である。
【0052】
1つ若しくは複数の検出器が、1つのスラブ又は基材に適用されてもよい。さらに、1つ若しくは複数の検出器が、いくつかのスラブ又は基材にわたって分配されてもよい。前記システムは1つの検出器又はセンサーで有効とすることもできる。
【0053】
前記1つ若しくは複数の検出器は、前記基材に対して固定されていてよい。すなわち、前記1つ若しくは複数の検出器は、恒常的に所定位置にあってよく、そのため、水分又は養分レベルがモニタされるたびに再取付けを行う必要がない。1つのブロックが各スラブに置かれている状況では、制御システムに対してこの恒常性を確立することができることが理解できる。特に、植物及び/又は養分の自動制御を、システム内の各植物に理想的なレベルを与えるように用いることができる。
【0054】
養分レベルは、基材内の全養分の全体的なレベル、幾つかの特定の養分のレベル、又は1つの養分のレベルを反映していてよい。本発明は、この点で、いずれか1つを実行することに限定されない。
【0055】
前記1つ若しくは複数の検出器は、前記植物生育基材の少なくとも1つの含水量及び/又は養分量を定期的にモニタするように構成されていてよい。例えば、これらのレベルが、一定の間隔でモニタされてよい。代わりに、前記1つ若しくは複数の検出器は、水分量及び/又は養分量を連続的に測定するように構成されていてよい。
【0056】
前記1つ若しくは複数の検出器は、前記植物生育基材の少なくとも1つの含水量及び養分量の両方をモニタするように構成されていることが好ましい。
【0057】
いくつかの好ましい実施形態では、前記1つ若しくは複数の検出器は、さらに、前記植物生育基材の少なくとも1つの温度をモニタするように構成され、前記少なくとも1つの灌漑装置による水分及び/又は養分の供給は、さらに、モニタされた前記温度に応じて前記制御手段により制御される。
【0058】
前記1つ若しくは複数の検出器は、少なくとも1つの植物生育基材の中の又は少なくとも1つの植物生育基材から排出された液体の電気伝導度から養分量を決定するように構成されていることが好ましい。電気伝導度により、液体中の塩(すなわちイオン)の数量が正確に示される。電気伝導度は、養分レベルの良い指標となる。
【0059】
本発明の前記システムは、どのような植物生育システムでも使用することができ、また、天然材料又は人工材料で構成される基材、温室など管理された環境、ビニールトンネル内、又は外部環境に組み入れられる基材など、基本的にどのような植物生育基材でも実行することができる。本発明によってもたらされる利益は、本明細書に記載の生育条件がモニタされる用途であれば、基本的にどの農業又は園芸用途でも実現できる。
【0060】
いくつかの好ましい実施形態では、システムは、スラブである基材で実現でき、3から20リットルの範囲の体積(容積)を有する。好ましくは、スラブは、5から15リットルの体積(容積)を有し、より好ましくは、5から11リットルの体積(容積)を有し、特に好ましい実施形態では、スラブは、6から8リットルの体積(容積)を有する。このような比較的小さな体積により、望ましい根の生長を妨げるほど小さくはせずに、水分及び養分レベルの厳密な制御が可能となる。
【0061】
スラブのこのサイズによっても、従来の比較的大きなスラブと比較して、水分及び養分レベルのより効果的な制御が可能となる。通常、上面で植物が植えられた複数のブロックを受容するように設計された以前のスラブと異なり、本発明のスラブは、好ましい実施形態において、植物が植えられた1つのブロックと共に用いるために構成されている。このようにして、個々の植物に供給される、或いは個々のブロックの複数の植物に供給される水分及び養分を厳密に制御することができる。これにより、特に、栄養生長戦略と比べてより産出量が大きく無駄が少ない生殖生長戦略について、植物に与えられる水分及び養分のレベルを最適化することができる。
【0062】
いくつかの好ましい実施形態において、各植物生育基材は、MMVFのブロック内に配置された単一のMMVFのプラグをさらに含む。このプラグは、植物がブロックと関わる前に、種子から生育するために用いることができる。
【0063】
好ましくは、前記MMVFのスラブが、MMVFの第1の層と、前記第1の層と界面で接触するMMVFの第2の層とを含み、前記第1の層は、前記第2の層よりも大きな密度を有する。別個の密度を与えることにより、基材内の水分及び養分の分布について制御が強化されることが見いだされた。好ましい実施形態において、MMVFの前記第1の層は、40から90kg/m
3の範囲の密度を有し、MMVFの前記第2の層は、35から85kg
3の範囲の密度を有する。より好ましくは、前記第1の層の密度は、50から80kg/m
3であり、及び/又は、前記第2の層の密度は、45から75kg/m
3である。特に好ましい実施形態では、前記第1の層の密度は、70kg/m
3であり、前記第2の層の密度は、50kg/m
3である。これらの密度は、水分及び養分の保持を含む、植物生育のために良好な特性を与えることが見出された。
【0064】
第2の層の密度は、第1の層の密度より小さくてよい。好ましくは、第2の層の密度は、第1の層の密度より少なくとも5kg/m
3小さく、より好ましくは、少なくとも10kg/m
3小さく、最も好ましくは、およそ20kg/m
3小さい。これらの層の密度の差異は、水分及び養分がスラブにわたって適切に分配されることが保証される助けとなり、特に、第2の層で水分及び/又は養分の割合が過剰となるのを避ける助けとなりうる。
【0065】
いくつかの好ましい実施形態において、基材は、親水性のバインダ物質系(バインダシステム)(binding system)を含み、及び/又は、ホルムアルデヒドを含まないバインダから選択された有機バインダを含むバインダ物質系を含む。バインダ物質系は、バインダ及び湿潤剤を含んでよく、又はバインダのみを含んでよい。バインダ物質系が親水性であることにより、スラブの保水特性を、非親水性又は疎水性であるバインダ物質系に対して、改善することができる。
【0066】
好ましくは、バインダには、ポリカルボン酸成分と、ポリオール及び/又はアミン成分との反応生成物が、好ましくは糖成分及び/又はフェノールと混合されて含まれている。より好ましくは、バインダは、ポリカルボン酸又はその無水物、アミン(好ましくはアルカノールアミン)及び糖(好ましくは還元糖)の反応生成物である。これらのバインダは、MMVFのスラブにおいて、特に好ましい特性を示すことが見出された。
【0067】
MMVFのブロックは、第1の層と接触させて設けられることが好ましい。さらに、使用時において、第1の層は、第2の層の上方にあることが好ましい。さらに、水分及び養分は、ブロックに又は第1の層に与えられることが好ましい。このようにして、水分及び養分は、第1のより密度の高い層で受取られうる。これは、良好な保水特性及び水分布特性をもたらすことが見出された。
【0068】
好ましい実施形態において、第1の層の厚さは、第2の層の厚さよりも小さい。好ましい実施形態において、第1の層の厚さの第2の層の厚さに対する比は、1:(1−3)の範囲に、好ましくは1:(1.2−2.5)の範囲に、より好ましくは1:(1.2−1.8)の範囲にある。例えば、第1の層の厚さは、第2の層の厚さの半分以上であってよい。第1の層及び第2の層の厚さが好ましい相対厚さにあると、基材のいたるところで水分及び養分保持の厳密な制御が行われることが見出された。
【0069】
好ましい実施形態において、ブロックは、50mlから5000mlの範囲の体積(容積)を持ち、及び/又は、各ブロックは、30kg/m
3から150kg/m
3の範囲の密度を有する。これらのサイズ及び密度は、植物生育システムで用いられる際に効果的であることが見出された。
【0070】
好ましい実施形態において、第1の層の厚さは、第2の層の厚さよりも小さい。好ましくは、第1の層の厚さは、第2の層の厚さの少なくとも半分である。これらの割合は、スラブ内での水分及び養分の好ましい分布を維持する助けとなることが見出された。
【0071】
好ましい実施形態において、第1及び第2の層の繊維の主たる向きは、水平である。この文脈において、水平は、第1及び第2の層の間の層間接触に平行であることを意味している。他の好ましい実施形態において、第1及び第2の層の一方又は両方の繊維の主たる向きは、垂直である(すなわち、層間接触に対して直交している)。例えば、特に好ましい実施形態において、第1の層の繊維の主たる向きは、垂直であり、第2の層の繊維の主たる向きは、水平である。代わりの実施形態において、第1の層の繊維の主たる向きは、水平であってよく、第2の層の繊維の主たる向きは、垂直である。繊維の向きは、スラブを通過する液体の流れ速度に影響しうる。例えば、水平な繊維向きは、スラブを通過する液体の流れ速度を減少させ、結果として、こぼれる液体の量に有益な効果を持ちうる。