【実施例】
【0095】
単なる説明であり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲に対する限定として解釈すべきではない以下の実施例を参照することによって、本発明をさらに理解することができる。実施例の膜は、以下の表に特定される種々の樹脂を含んでた。
【0096】
【表1】
【0097】
[実施例1]
(比較例)
98個の空の使用済米国標準ホワイトオーク大樽の第1のセットを、それぞれ、以下に記載する透明で熱収縮性の1番の膜から作られるエンドシール型袋を用いてくるんだ(即ち、「袋に入れた」)。それぞれの木製の大樽は、長さが100センチメートル、最大直径が55センチメートルであった。それぞれの大樽の上に配置された袋は、平らに置かれた幅が115cm、長さが200cmのエンドシール型袋であった。それぞれの空の大樽は、末端に対して直立させて大樽を立たせ、エンドシール型袋の開口端を、エンドシールが大樽の頂部に接触するまで、直立した大樽を覆うように下側に下げることにより包んだ。次いで、大樽の周囲の所定位置に袋が保持された状態のままで、大樽を反転させた。
【0098】
大樽を180度(即ち、他の端が上になるように)反転させた後、袋の開口端を上側に引っ張り、袋の余長部分を上側大樽末端の上側で集めた。感圧性包装テープ(Scotch(R)3750 Commercial Performance包装テープと同等または類似のもの)で、集めた袋の余長部分の周囲を、大樽の上側末端のすぐ上でくるみ、これによって、大樽を袋の内側に封入し、この袋の中に大樽を効果的に包み込んだ。
【0099】
大樽を袋に入れた後、大樽の栓穴を、透明な膜を介して目に見えるように配置した。小さな袋膜片(即ち、直径が2.5cmから3.5cm)を切り取り、栓穴を露出させた。栓穴への経路を用い、浸漬タンクからのモルト蒸留物で大樽を満たし、栓を栓穴に入れ、大樽を密封して閉じた。栓穴の上の膜の切断された穴の上に膜片を固定しなかった。
【0100】
98個の大樽の第1の10個の周囲にある袋を、袋に入れられた大樽を充填し、輸送し、熟成ラックの上に配置する前に、エアガンを用いて収縮させた。第1の10個の大樽の袋膜を収縮させる間、膜が鋼鉄製のたが部分に沿って歪み、膜が収縮する間に、たが部分近傍で膜が裂けたことに気づいた。さらに、このようにして得られた袋に入れられた大樽の輸送中に、収縮した膜は、熟成ラックに輸送する間に顕著な裂け目を示した。98個の大樽の10個をラックに入れた後、11番目の大樽に対して膜を収縮させないことを決定し、11番目の大樽の上の膜が、大樽の周囲で収縮させた膜よりも輸送中に少ない裂け目を示すことがわかった。結果として、残りの87個の大樽について、袋膜を収縮させなかった。
【0101】
98個の、袋に入れ、充填した大樽の第1のセットを、それぞれ、袋に入れ、充填した場所から、蒸留物の熟成貯蔵所内の保存ラックに輸送した。袋に入れられた大樽の輸送中、袋が、大樽を回転させるかまたはアルコール飲料を熟成するための保存ラックに移す際に、樽板の上および、たが領域中に多数の穴および裂け目などの損傷を受け、収縮した膜は、収縮させなかった膜よりも多くの穴および裂け目を示した。
【0102】
ラックは、室外の温度が冬期には12℃から30℃であり、夏期には22℃から40℃である貯蔵所内に存在した。98個の袋に入れられた大樽の第1のセットを、同じ蒸留物熟成ラックに入れ、ラックは、約115個の大樽が入る容量であった。98個の袋に入れられ、充填された大樽の第1のセットをこのラックに置いた。
【0103】
袋に入れられた大樽の第1のセットをこのラックに1年間入れたままにし、動かさなかった。ラックの上でこの年数熟成した後、98個の大樽の第1のセットそれぞれの熟成したアルコール飲料を空の浸漬タンクに注ぎ、熟成したアルコール飲料の体積およびエタノール含有量を測定し、モルト蒸留物のアルコール飲料の初期の体積および初期のエタノール含有量と比較した。さらに、熟成したアルコール飲料について、官能特性を調べた。
【0104】
それぞれの体積が53ガロンであり、同じ浸漬タンクからの蒸留物の同じバッチからの同じモルトスピリッツで満たした98個の空の使用済米国標準ホワイトオーク大樽の第2のセットを、袋に入れた大樽の第1のセットを熟成したのと同じ年数熟成した。第2のセットのオーク大樽は袋に入れず、くるまずに放置し、比較例として熟成させた。98個の袋に入れない比較例の大樽の第2のセットを、同じ貯蔵所内の大樽の第1のセットとは別の同様のラックに置いた。98個の袋に入れられていない大樽の第2のセットから熟成したアルコール飲料も、空の浸漬タンクにあけ、袋に入れられていない大樽から熟成したアルコール飲料の体積、エタノール含有量および官能特性を測定し、袋に入れられていない大樽の中に入れられたモルト蒸留物のアルコール飲料の初期の体積および初期のエタノール含有量と比較した。
【0105】
98個の袋に入れられた熟成した大樽からの熟成したアルコール飲料について得られた試験結果を、98個の袋に入れられていない熟成した大樽について得られた試験結果と比較した。
【0106】
1番の膜は、以下の層配置と層組成を有していた。
【0107】
【表2】
【0108】
1番の膜は、8層を有し、収縮前の合計厚みが1milの熱収縮可能であり、ヒートシール可能な膜の多層膜である。層4は、厚みが0.09mmの鹸化されたエチレン/酢酸ビニルコポリマー(「エチレン/ビニルアルコールコポリマー」とも呼ばれる。)を含んでいた。層4は、膜層の中で最も低いOTRを有するため、膜全体の酸素透過速度を制御していた。1番の膜は、ヒートシール能および被酷使性を与える外側のエチレン系の層も有していた。
【0109】
平らに置いた幅が115センチメートルのつなぎ目のない押出成型された管状物を横切ってヒートシールすることによって、それぞれのエンドシール型袋を製造した。エンドシールを作成した後、多層管状膜の内側層をこれ自体に対して200センチメートルの間隔でヒートシールした。横方向のヒートシールより約1cm下で管状物を横方向に切断し、エンドシール型袋を作成した。熱収縮性の1番の膜を、上に記載した
図15に示される方法を用いて製造した。このエンドシール型袋は、上に記載した
図1および
図2に示されている。
【0110】
バルクのリットル数に基づき、結果は、厚みが1milの1番の膜は、袋に入れられていない大樽での12.84%から、袋に入れられた大樽での10.52%まで消失を減少させたことを示し、これは、バルクのリットル数に基づき、拡散および蒸発による消失の18.07%の減少である。バルクのリットル数での消失の18.07%の減少は、プルーフのリットル数の消失の16.2%減少より大きいため、大樽を1番の膜の袋に入れると、大樽から水およびエタノール両方の消失が減少し、袋に入れると、エタノールの消失より水の消失が減少し、即ち、袋は、エタノールよりも水蒸気に対して大きなバリアであったことが明らかである。
【0111】
12ヶ月間熟成した後、熟成した蒸留物の官能試験(即ち、味試験)から、袋に入れられた大樽中の蒸留物の官能特性と、袋に入れられていない比較例の大樽中の蒸留物の官能特性とに顕著な違いはないことがわかった。多くの穴および裂け目が、エステルなどのような望ましい官能要素を生成する酸化反応を可能にするのに十分な大気中の酸素が大樽の壁面を通り、蒸留物へと移動する原因となり得ることが認識された。従って、穴および裂け目は、部分的に、または全体的に、熟成した蒸留物が、袋に入れられていない大樽と同等の官能特性を有するという結果の原因となり得る。
【0112】
実施例1の天使のわけまえのプルーフのリットル数の消失が16.2%減少するという知見は、12ヶ月の熟成期間中に袋に多くの穴および裂け目がある場合であっても起こり、1番の膜の袋が、丈夫な膜から作られる第2の膜でくるまれている場合にも、天使のわけまえのプルーフのリットル数の消失をもっと効果的に減少させることができるという概念が導かれた。この概念は、以下の実施例2の設計の基本となった。
【0113】
[実施例2](比較)
それぞれの体積が53ガロンの10個の使用済米国標準使用済ホワイトオーク大樽のセットを、浸漬タンクからのモルトスピリッツで満たした。この大樽自体は、実施例1で利用した大樽と同じであった。それぞれの大樽は、実施例1で使用される袋と同じである、透明で熱収縮性の1番の透明膜(上述のもの)から作られる袋に最初に入れられることによって、「二重に袋に入れられて」いた。得られた袋に入れられた大樽を、2番の透明膜から作られた第2の袋が、大樽の上および1番の膜から作られた袋の上に置かれることによって、再び袋に入れられた(即ち、「過剰に袋に入れられた」または「二重に袋に入れられた」)。
【0114】
大樽の上に両方の袋を配置した後、両方の袋の開口端を上側に引っ張り、袋の余長部分を上側大樽末端の上側で集めた。実施例1の袋に入れられた大樽と同様に、感圧性包装テープで、集めた袋の余長部分の周囲を、大樽の上側末端のすぐ上でくるみ、これによって、大樽を第1の袋の内側に封入しつつ、同時に、第2の袋の中の大樽および第1の袋を封入した。
【0115】
同じ種類の樽を用い、同じ浸漬タンクからの同じモルトスピリッツを用い、10個のコントロール大樽のセットも調製した。しかし、この10個のコントロール大樽は、膜によって覆わずに(即ち、熟成貯蔵所中の周囲環境と直接接触する大樽表面を有する状態で)熟成させた。
【0116】
2番の膜は、以下の層配置および層組成を有していた。
【0117】
【表3】
【0118】
1番の膜と同様に、2番の膜も熱収縮性であり、ヒートシール可能であった。2番の膜は、3層を有し、収縮前の合計厚みが3milの多層膜であった。2番の膜は、主にエチレン系ポリマーから製造された。2番の膜は、厚く丈夫であり、大樽を袋に入れた地域から熟成ラックへと移動する間に穴および裂け目が生成するのを防ぐ努力において、耐酷使性を与えた。しかし、2番の膜は、O
2−バリア層を含んでいなかった。2番の膜も、上に記載した
図15に示される方法を用いて製造した。
【0119】
袋に入れられた大樽をこのラックに6ヶ月間入れたままにし、動かさなかった。コントロール大樽を、貯蔵所内の同様のラックの同様の高さで熟成した。モルトスピリッツを20個のそれぞれの大樽(即ち、実施例の10個の大樽と10個のコントロール大樽)に加えたとき、それぞれの大樽中のモルトスピリッツの平均体積は、200.25リットルであった。6ヶ月間熟成した後、10個のそれぞれの二重の袋に入れられた大樽の平均体積は、187リットルであり、一方、10個のそれぞれの二重の袋に入れられた大樽の平均体積は、181リットルであった。従って、袋に入れられた大樽は、平均流体消失が13.25リットル(即ち、6.6%)であり、一方、袋に入れられていないコントロール大樽は、平均流体消失が19.25リットルであった(即ち、約9.6%)。実施例2の10個の大樽の周囲に二重の袋を使用すると、10個の袋に入れられていないコントロール大樽で起こった9.6%の流体消失から、流体の消失レベルが約3.3%減少した(即ち、流体消失のレベルが約34.4%減少)。
【0120】
これに加え、10個の袋に入れられた大樽からの熟成したモルトスピリッツと、10個の袋に入れられていないコントロール大樽からの熟成したモルトスピリッツの盲検味試験を行った。味試験者の感覚は、くるまれた大樽からの液体は、くるまれていない大樽からの液体よりも「なめらかな香り」を有しているということであった。さらに、くるまれた大樽からの液体は、コントロール大樽からの液体に対し、色がわずかに黒かった。
【0121】
詰められたアルコール飲料製品の調製に使用するためにさらなる膜を調製した。これらの膜の幾つかは、エチレン/ノルボルネンコポリマーを含んでいた。エチレン/ノルボルネンコポリマーを使用し、(i)比較的低いエタノール透過速度、(ii)比較的低い水蒸気透過速度をあわせ与え、同時に、(iii)比較的高いO
2透過速度を与える膜を製造することができることは既に見出されている。
【0122】
以下に示される3番の膜から16番の膜を使用し、熟成に適した包装を用い、詰められたアルコール飲料製品を製造することができる。膜は、一つの包装において、単独で、または1つの膜の上部へのもう1つの膜として使用してもよい。アルコール飲料を木製樽の中に入れてもよく、その後、密封により閉じ、次いで、この膜で部分的に覆うか、または完全に覆う。比較的厚く、被酷使耐性を有する上述の2番の膜のような補助的な膜を、2番の膜から16番の膜の任意の1つ以上の上側に使用してもよい。
【0123】
【表4】
【0124】
【表5】
【0125】
【表6】
【0126】
【表7】
【0127】
【表8】
【0128】
【表9】
【0129】
【表10】
【0130】
【表11】
【0131】
【表12】
【0132】
【表13】
【0133】
【表14】
【0134】
【表15】
【0135】
16番の膜は、100%の環状オレフィンコポリマーから作られ、エタノール透過速度0.0175g/m
2/日、酸素(O
2)透過速度(「OTR」)50cc g/m
2/日および水蒸気透過速度(「MVTR」)0.078g/m
2/日を示した。
【0136】
【表16】
【0137】
17番から22番の膜から作られたパウチの重量減少試験
以下に示す17番から22番の膜を調製した。17番、18番および19番の膜は、上述の
図16に示される方法に従って調製した、熱膨張した(即ち、非熱収縮性の)膜であった。20番、21番および22番の膜は、上述の
図15に示される方法に従って製造した、配向した(即ち、熱収縮性の)膜であった。
【0138】
以下は、17番から22番のそれぞれの膜について環状オレフィンコポリマー含有量と合計膜ゲージのまとめを与える表である。17番から22番のそれぞれの膜について、さらに詳細な情報は、以下の表20から25に存在する。
【0139】
【表17】
【0140】
17番から22番のそれぞれの膜を使用して複数のパウチを製造し、種々の液体を充填し、密封により閉じ、包装された製品を製造した。包装された製品を、所定時間、条件を調整した貯蔵状態に置き、包装された製品の重量を測定することができるように、短時間で周期的に取り出した。
【0141】
3種類の異なる液体をそれぞれ用い、17番から22番のそれぞれの膜を試験した。「二重の流体」と呼ばれる第1の流体は、「95%のエタノール」と、無水エステルを含んでいた。さらに具体的には、二重の流体は、5番のDuplicating Fluid、即ち、SolvChem,Inc.から得られるDPF 501であった。DPF 501は、85%から90%のエタノール(CAS番号64−17−5)[European EC番号200−578−6]、0%から10%の酢酸n−プロピル(CAS番号109−60−4)および0%から5%のイソプロパノール(CAS番号67−63−0)[European EC番号200−661−7]を含んでいた。第2の流体は、エタノールと水の60体積%/40体積%(52重量%/47重量%)混合物であった。第3の流体は、100%の水であった。
【0142】
17番から22番のそれぞれの膜について、第1の流体(DPF 501)を詰めた5個のパウチの第1のセットを32℃、相対湿度40%で保存した。DPF 501を詰めた5個のパウチの第2のセットを32℃、相対湿度70%で保存した。第2の流体(60/40 エタノール/水混合物)を含有する5個のパウチの第1のセットを32℃、相対湿度70%で保存した。第2の流体を含有する5個のパウチの第2のセットを32℃、相対湿度40%で保存した。第3の流体(100%の水)を含有する5個のパウチの第1のセットを32℃、相対湿度70%で保存した。第3の流体(100%の水)を含有する5個のパウチの第2のセットを32℃、相対湿度40%で保存した。従って、重量減少試験において、合計180パウチ(即ち、試験した6種類それぞれの膜について30個のパウチ)を試験した。
【0143】
重量の変化は、膜の層配置、層組成および層の厚み、包装中に含まれる液体の種類、保存中の周囲条件(即ち、温度および相対湿度)の関数として、膜の浸透性の証拠を与えた。この様式において、17番から22番のそれぞれの膜について、パウチ中の溶液の種類、パウチを保存した周囲条件、パウチ内にあった時間の長さの関数として重量変化を評価した。
【0144】
米国標準オーク樽(53ガロン)内部の蒸留物の重量に対する、この樽の表面積の比率は、密度が0.89の53ガロン(即ち、流体の重量が178,557グラム)について、5643インチ
2と計算され、重量(g)に対する表面積(SA)の比率は、178,557グラムに対し、5643インチ
2であり、0.031インチ
2/gであった。5ガロンオーク試験樽内の蒸留物の重量に対する、この試験樽の表面積の比率は、5ガロンの液体(16,845グラム)を含み、1465インチ
2であると計算され、重量比に対する表面積は、16,845グラムに対し、1465インチ
2であり、0.086インチ
2/gであった。
【0145】
180個のパウチを用いて作られた包装された製品は、蒸留物の重量値に対する樽の表面積について上で計算した値よりも、重量に対する表面積の比率が8倍から11倍大きかった。それぞれの包装された製品は、長さが6インチ、幅が4インチの1つの膜片から作られた。これを半分に折り畳み、それぞれの側面縁部に沿って密封し、幅が4インチ、長さが3インチの平らに置かれた寸法を有し、上述の
図3および
図4のサイドシール型袋と実質的に対応する外観を有するパウチを得た。パウチ内の液体の重量に対するパウチの表面積の比率を以下のように計算した。100%の水について、内表面積は、24インチ
2であると推定され、100グラムの水をパウチに入れ、重量に対する表面積の比率は24インチ
2/100gであり、0.24インチ
2/gであり、米国標準樽のSA/gの約8倍である。60/40 エタノール/水ブレンドについて、内表面積は、24インチ
2であると推定され、80グラムのブレンドをパウチに入れ、重量に対する表面積の比率は24インチ
2/80gであり、0.30インチ
2/gであり、米国標準樽のSA/gの約10倍である。DPF501を充填したパウチについて、内表面積は、24インチ
2であると推定され、70グラムのブレンドをパウチに入れ、重量に対する表面積の比率は24インチ
2/70gであり、0.34インチ
2/gであり、米国標準樽のSA/gの約11倍である。この様式において、流体のグラム数あたりの表面積が大きいほど、同じ膜によって囲まれる標準オーク樽を用いて起こると思われる重量変化量に対し、パウチ内の液体の相対的な重量変化量を促進する可能性を与えた。
【0146】
図19から
図24は、180個のパウチの重量減少試験から得られたデータのグラフ図である。
図19は、22番の膜の試験結果を与える。
図20は、21番の膜の試験結果を与える。
図21は、20番の膜の試験結果を与える。
図22は、17番の膜の試験結果を与える。
図23は、18番の膜の試験結果を与える。
図24は、19番の膜の試験結果を与える。
【0147】
図19から
図24からわかるように、重量減少率は、液体の性質、保存条件、膜の種類の関数として変動した。最も多い量の環状オレフィンコポリマーを含む膜(19番および20番の膜、それぞれ49%および18.25%の環状オレフィンコポリマーを含む。)は、少ない環状オレフィンコポリマーを含有する膜と比較して、最も低い重量減少率を示し(それぞれ、相対湿度40%で0.48%および0.8%の水の消失)、実際に、DPF501を含有するサンプル中、重量増加を示した。これとは対照的に、最も少ない量の環状オレフィンコポリマーを含む膜(17番および22番の膜、それぞれ0%の環状オレフィンコポリマーを含む。)は、より多くの環状オレフィンコポリマーを含有する膜と比較して、最も高い重量減少率を示し、実際に、相対湿度40%で、DPF501を含有するサンプル中、それぞれ14%および11%の重量減少を示した。中間レベルの環状オレフィンコポリマーを含む2種類の膜(18番および21番の膜)は、重量減少に関し、中間的な結果を与えた。
【0148】
図19から
図24のデータを
図25から
図27に再整理している。
図25は、DPF501液体を含有するすべてのサンプルについて時間の関数としての重量減少のプロットであり、熱膨張した膜であった17番の膜は、固体状態で配向した(即ち、熱収縮性の)膜であった22番の膜よりも大きな重量減少率を示したことがわかる。
図25は、環状オレフィンコポリマーを含有するすべての膜が、実際に、時間の関数として、重量減少ではなく重量が増加したことも示す。
【0149】
図26は、100%の水を含有するすべてのパウチについて時間の関数としての重量減少のプロットである。
図26は、膜厚が大きいほど、また、環状オレフィンコポリマーの量が多いほど、パウチから水が失われる割合が小さくなることがわかった。
【0150】
図27は、60/40のエタノールと水のブレンドを含有するすべてのパウチについて時間の関数としての重量減少のプロットである。上に指摘したように、0%の環状オレフィンコポリマーを含む膜は、最も高い重量減少率を示し、一方、最も低い重量減少率を示す膜は、最も高い割合の環状オレフィンコポリマーを含んでいた。
【0151】
図28は、最も内側のパウチが、それぞれの場合に、DPF501流体を充填した22番の膜(0%の環状オレフィンコポリマーを含有する。)から作られたパウチインパウチを含む配置について、時間の関数としての重量減少のプロットである。3種類のサンプルを、0%の環状オレフィンコポリマーを含有する22番の同じ膜を用いたパウチに入れた。1つのパウチは、大きく(折り畳まれた寸法が6インチ×8インチ)、1つのパウチは、中程度の大きさであり(折り畳まれた寸法が4.5インチ×6.5インチ)、1つのパウチは、折り畳まれた寸法が3.5インチ×5インチであり、小さかった(即ち、小型)。内側のパウチの他の半分が、18.25%の環状オレフィンコポリマーを含有した20番の膜に入れられ、6インチ×8インチ、4.5インチ×6.5インチ、3.5インチ×5インチの同じ3種類の大きさの重ね合わせたパウチを用いた。
図28に示されるように、18.25%の環状オレフィンコポリマーを含有する外側パウチを利用するパウチインパウチの結果は、0%の環状オレフィンコポリマーを含有する外側パウチを利用するパウチインパウチの結果よりも低い重量減少率を示した。さらに、小型の外側パウチを有する小型のパウチインパウチを含むサンプルは、大きな外側パウチを有する対応するサンプルよりも低い重量減少率を示した。
【0152】
17番から20番および22番から25番の膜に包まれた小さな大樽中での蒸留物熟成
以下に示される17番から25番の膜を調製した。17番、18番、19番および23番の膜は、上述の
図16に示される方法に従って調製した、熱膨張した(即ち、非熱収縮性の)膜であった。20番、21番、22番、24番および25番の膜は、上述の
図15に示される方法に従って製造した、配向した(即ち、熱収縮性の)膜であった。幾つかの大きな袋を、17番から20番および22番から25番の膜からそれぞれ製造した。それぞれの袋の中に、蒸留液体を充填したオーク樽(53ガロン)を入れた。17番から20番および22番から25番のそれぞれの膜について、蒸留物を充填した3個または4個の樽を袋で包み、袋に入れられた樽を、蒸留物を熟成するためのラックの上に置いた。
【0153】
【表18】
【0154】
【表19】
【0155】
【表20】
【0156】
【表21】
【0157】
【表22】
【0158】
【表23】
【0159】
【表24】
【0160】
【表25】
【0161】
【表26】
【0162】
【表27】
【0163】
【表28】
【0164】
【表29】
【0165】
【表30】
【0166】
【表31】
【0167】
【表32】
【0168】
【表33】
【0169】
【表34】
【0170】
【表35】
【0171】
【表36】
【0172】
上の種々の膜は、以下の特性を示した。
【0173】
【表37】
【0174】
以下のように、さらなる膜を調製するか、または得た。
【0175】
【表38】
【0176】
【表39】
37番の膜は、長手方向および横方向それぞれにおいて、95,000psiの弾性率を示した。
【0177】
【表40】
【0178】
39番の膜
100%のPVCから作られる単層膜
【0179】
40番の膜
この膜は、Shield Pack Specialty Packagingから得たSP Class PPD Barrier Packaging Filmであった。合計厚みは3.9mil、OTRは0.003cc/100in
2/日未満、WVTRは0.003g/100in
2/日未満であった。以下の層配置を有する4層構造であった。
【0180】
【表41】
【0181】
【表42】
41番の膜において、BOPETは、片側をアクリル結合剤でコーティングした二軸配向ポリエステル膜であった。BOPETは、Kurehaから得た。厚みが0.52mil、密度が1.4g/ccであった。
【0182】
【表43】
【0183】
【表44】
【0184】
【表45】
【0185】
天使のわけまえの重量減少試験1
収縮によってくるんだ樽および真空状態で包んだ樽 対 コントロール
すべての樽を水にあらかじめ浸して2日間から10日間水和した。樽が膨潤し、飽和点に達したとき、樽は、60%の5番の二重の流体の無水物(ロット番号82013826198)と、40%の水とで満たされる準備ができたと考えられた。次いで、この樽を以下に記載する膜でくるんだ。この樽を室内のキャビネットに保存し、週に1回計量した。既に示したプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0186】
4個の1リットルコントロール樽は、くるまなかった。4個の1リットル樽は、36番の膜で収縮によってくるんだ。4個の1リットル樽は、22番の膜で収縮によってくるんだ。4個の1リットル樽は、19番の膜に真空状態で詰めた。4個の1リットル樽は、25番の膜で収縮によってくるんだ。2個の3リットル樽は、25番の膜で収縮によってくるんだ。2個の5リットル樽は、25番の膜で収縮によってくるんだ。収縮によってくるんだ樽および真空状態で包んだ樽を45日間熟成させた。それぞれの処理について平均重量減少率を計算した。
【0187】
【表46】
【0188】
上の表のデータから明らかなように、コントロール樽は、処理によってくるまれたすべての樽よりも顕著に多くの量(天使のわけまえ)を失った。処理によってくるまれたすべての樽は、45日間保存したとき、統計学的に同様の天使のわけまえによる減少があった。
【0189】
天使のわけまえの重量減少試験2
収縮スリーブ、収縮袋およびゆるい袋に包装された樽 対 コントロール
上の重量減少試験1と同様に、すべての樽をあらかじめ浸しておき、飽和させ、くるみ、保存した。試験2は、以下の24個の樽からなっていた。36番の膜で収縮スリーブ包装した4個の1リットル樽;25番の膜で収縮スリーブ包装した4個の1リットル樽;25番の膜で収縮袋包装した4個の1リットル樽;25番の膜でゆるい袋により包装した4個の1リットル樽;くるまれていない2個の3リットルコントロール樽;くるまれていない2個の5リットルコントロール樽;くるまれていない4個の1リットルコントロール樽。この試験を42日間(1リットル樽)および45日間(3Lまたは5Lの樽)について行い、それぞれの処理について平均重量減少率を計算した。
【0190】
【表47】
【0191】
25番の膜で収縮袋包装された樽および25番の膜でゆるい袋により包装された樽は、コントロール樽と比較して、天使のわけまえが顕著に減少した。しかし、36番の膜および25番の膜で収縮スリーブ包装された樽は、コントロール樽と比較して、天使のわけまえが顕著には減少しなかった。
【0192】
天使のわけまえの重量減少試験3
パレット上でくるまれた樽、2インチ片でくるまれた樽、6インチ片でくるまれた包装済樽 対 コントロール
上の重量減少試験1と同様に、すべての樽をあらかじめ浸しておき、飽和させ、くるみ、保存した。試験3は、以下の20個の樽からなっていた。くるまれていない4個の1リットル樽;25番の膜を用い、パレット上に樽を置いて6インチの膜片で個々に伸ばしてくるまれた4個の1リットル樽;25番の膜から作られた袋を用い、樽とパレットで1つの包装として一緒にくるまれた4個の1リットル樽;25番の膜を用い、2インチ幅の膜片で個々に伸ばしてくるまれた(しかし、合計厚みが0.75milの膜であるが、3回くるまれ、2.25milの合計厚みを得た)4個の1リットル樽;25番の膜の2インチ片で伸ばしてくるまれた(しかし、合計厚みは1.1milであった)4個の1リットル樽。この試験を49日間行い、それぞれの処理について平均重量減少率を計算した。
【0193】
【表48】
【0194】
処理A1の2インチ片(0.75mil)にくるまれた樽、袋内で25番の膜によりパレットとくるまれた樽、および4Cの2インチ片(1.1mil)にくるまれた樽は、コントロール樽/コントロールパレットと比較して、「天使のわけまえ」の有意な減少を示した。しかし、25番の6インチの膜片でくるまれた樽は、コントロールと比較して「天使のわけまえ」の統計学的に有意な減少を示した。25番の膜のパレットごとくるんだ袋は、「天使のわけまえ」を最も大きく減少させ、他のすべての処理とは統計学的に異なっていた。
【0195】
天使のわけまえの重量減少試験4
パレット上でくるまれた樽、2インチ片でくるまれた樽、6インチ片でくるまれた包装済樽 対 コントロール
上の重量減少試験1と同様に、すべての樽をあらかじめ浸しておき、飽和させ、くるみ、保存した。樽試験4は、以下の24個の樽からなっていた。19番の膜で包まれた(袋の中に包まれた)4個の1リットル樽;41番の1.1mil膜で包まれた(2インチ片にくるまれた)4個の1リットル樽;42番の0.7mil膜で包まれた(2インチ片にくるまれた)4個の1リットル樽;42番の1.1mil膜で包まれた(2インチ片にくるまれた)4個の1リットル樽;42番の1.1mil膜で包まれた(3インチ片にくるまれた)1個の3リットル樽;42番の1.1mil膜で包まれた(2インチ片にくるまれた)1個の5リットル樽;4個のコントロール(くるまれていない。)1リットル樽;1個のコントロール(くるまれていない。)3リットル樽;1個の(くるまれていない。)5リットル樽。すべての樽は、樽の末端を開放したままであった。樽をくるみ、くるんだとき、約2.2milの厚みを達成した。以前に述べたプロトコルおよび手順に従ってこの試験を行った。この試験を49日間行い、それぞれの処理について平均重量減少率を計算した。
【0196】
【表49】
【0197】
天使のわけまえの重量減少試験5
COCでくるまれた、箔でくるまれた、バリア性膜であるPVCでくるまれた包装済樽 対 コントロール
上の重量減少試験1と同様に、すべての樽をあらかじめ浸しておき、飽和させ、くるみ、保存した。樽試験5は、10個の樽の中のバージン小麦ウイスキーを使用した。2個の樽は、19番の膜で包まれ、2個の樽は、40番の膜に由来する箔で包まれ、2個の樽は、39番のPVC膜で包まれ、くるまれていない2個のコントロール樽を利用した。0日目および49日目に重量を測定した。この試験は、成熟中に酸化を起こすことができないときの結果を示した。種々のサンプルについて官能試験を行った。
【0198】
【表50】
【0199】
感覚的な消費者の味パネル試験1
(i)コントロール樽(くるまれていない。)で熟成した穀物中性スピリッツ(GNS)サンプルおよび(ii)19番の膜でくるまれた樽で熟成したGNSサンプル、または(iii)16番の膜でくるまれた樽で熟成したGNSサンプル、または(iv)1番の膜でくるまれた樽で熟成したGNSサンプルの間に色、芳香または香味の違いが存在するかどうかを評価するために、3種類のトライアングル試験を行った。
【0200】
GNSは、Pharmco Product Inc.から得た、トウモロコシのみから誘導される190プルーフ(USP/NFグレード)であった。GNSは、逆浸透処理されたH
2Oを用いて60%までプルーフが下げられ、これを使用し、5ガロンの新しいオーク樽に充填した。
【0201】
このトライアングル試験および以下に開示するさらなるトライアングル試験において、サンプルについて好みの情報も必要であった。しかし、好みの応答は不完全であり、統計学的に有意であるとはみなされなかった。
【0202】
樽は、内側が炭化された5ガロンの新しいオーク樽であった。サンプルを249日間熟成した。すべての樽を同じ貯蔵環境で熟成した。樽(コントロールおよび19番、17番および1番の膜でくるみつつ熟成した樽)をサンプリング前に計量した。4個の車輪がついた台車を用い、樽をそれぞれ3分間攪拌した。攪拌時間の半分で樽を排気し、回転させた。商業的な無菌法を用いてすべてのサンプルを集め、使用前にすべての装置を洗浄し、衛生的にした。サンプル間の相互汚染を防ぐために、それぞれのサンプルに別個の装置を使用した。密閉部の周囲をパラフィンでくるんだガラス瓶でサンプルを保存した。酸素および光が入り込むのを防ぐために、瓶を箔の袋に入れた。プルーフ試験のために100ミリリットル、官能試験のために500ミリリットル、分析試験のために200ミリリットルの800ミリリットルのGNSをそれぞれの樽から集めた。Mettler Toledo AD−1260番(中国)を用い、Alcodens Version 2.5分析プログラムを用いてプルーフ試験を行った。貯蔵所の温度は、サンプリング中、50°Fであった。分析試験サンプルを、密閉部の周囲をパラフィンでくるんだ褐色バイアルに保存した。
【0203】
分析試験のために提出されたGNSサンプルを分析し、成熟中に増えた化合物が4つのサンプル間で違いがあるかどうかを決定した。分析データは、探求されるすべての化合物がそれぞれのGNSサンプル中に存在することを決定した。1番の膜にくるまれた樽からのGNSサンプルは、最も高い濃度のグアイアコール、コニフェリルアルデヒドおよびシリンゴールを含んでいたが、その他は同様のプロファイルを有していた。Standard Guide for Sensory Evaluation of Beverages Containing Alcohol ASTM E1879−00(この全体が本明細書に参考として組み込まれる。)に従って、消費者のパネル試験を行った。合計で16人の消費者のパネリストが存在した。このパネルは、典型的な消費者の簡便なサンプルであった。パネル試験1を行う前に、パネルメンバーに一般的な官能試験の実施方法を説明した。
【0204】
試験した仮説は、消費者のパネリストが、コントロールサンプル(くるまれていない樽からのもの)と、19番の膜、17番の膜および1番の膜にくるまれた樽からのサンプルとの間の官能特性の違いを検出することができるかどうかであった。パネリストは、コントロールサンプルと、1番の膜にくるまれた樽からのサンプルとの違いを検出した。コントロールと、1番の膜にくるまれた樽からのサンプルとの主な違いは、色(コントロールサンプルの方が明るい。)であり、その後に、香味と芳香の違いであった。
【0205】
他の2つのトライアングル試験について、パネリストは、コントロールサンプル(くるまれていない樽からのもの)と、19番の膜および17番の膜にくるまれた樽からのサンプルとの違いを検出することができなかったため、仮説は否定された。
【0206】
57%を超える高いサンプルのアルコール度数(ABV)と、パネリストの感覚を圧倒するという問題により、ASTM E1879−00に従って、これらのサンプルを脱イオン水を用いて50/50に希釈し、約30%のABVを得た。すべてのサンプルを室温で保存し、注いでいる間のパネリストの偏見を防ぐため、ティッシュ紙を用いて色をコード付けした。ガラスの透明度を有する1オンスのプラスチックバイアルにすべてのサンプルを入れた。味覚を新しくするために無塩クラッカーと水をパネリストに与えた。これに加え、吐き出すためのカップを与えた。
【0207】
それぞれのトライアングル試験は、異なるサンプルコードを有する別個の評価シートを有していた。すべてのコードをランダムに選択し、処理に割り当てた。それぞれのパネリストにも番号を割り当て、3つのトライアングル試験を行う順序はランダム化した。
【0208】
パネリストは、最初に製品の色を評価するように求められ、その後に芳香、最後に香味を評価するように求められた。次いで、パネリストは、異なるサンプルを選択するように求められた。以下のフォローアップ情報も要求された。(a)このサンプルにはどのような違いがあるか。弱い、から非常に強いまでのスケールを記す。(b)なぜこのサンプルに違いがあるか(色、芳香、香味または上のすべて)。(c)パネリストが、異なるサンプルの方を好むかどうか(はいまたはいいえ)。
【0209】
トライアングル試験1は、19番の膜(49重量%の環状オレフィンコポリマー)でくるまれた樽からのGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0210】
トライアングル試験2は、17番の膜(0重量%のCOC)でくるまれた樽からのGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0211】
トライアングル試験3は、1番の膜(EVOH酸素バリア層を含む。)でくるまれた樽からのGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0212】
以下の表は、分析試験および官能試験のためのサンプルを集める前に測定されたパラメータをまとめている。それぞれの樽を熟成前に計量し(初期重量)、次いで、熟成後(最終重量)を攪拌する前に測定した。次いで、初期サンプルをプルーフ測定のために集め、温度を監視した。
【0213】
【表51】
【0214】
トライアングル試験1の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 19番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):正しい異なるサンプルを選択したパネリストが10人より少なかったため、仮説は否定された。わずか7人のパネリストが、違いを検出することができた。
【0215】
トライアングル試験2の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 17番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):正しい異なるサンプルを選択したパネリストが10人より少なかったため、仮説は否定された。わずか5人のパネリストが、違いを検出することができた。
【0216】
トライアングル試験3の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 1番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):少なくとも10人のパネリストが、正しい異なるサンプルを選択したため、仮説は受け入れられた。11人のパネリストが、違いを検出することができた。
【0217】
【表52】
【0218】
【表53】
【0219】
以下のそれぞれの化合物の存在について、分析実験室が試験した。バニリン、オイゲノール、シリンガアルデヒド、グアイアコール、クレゾール異性体、コニフェリルアルデヒド、シリンゴール、4−メチルグアイアコールおよびメチルオクタラクトン。分析データを用いて官能データを補正しようとする企てにおいて、研究者らは、1番の膜によって覆われる樽からの熟成した蒸留物を他の3種類のサンプル(コントロール、19番の膜および17番の膜)と比較した違いを調べた。分析データから、4種類のGNSサンプルそれぞれにすべての化合物が存在することがわかった。1番の膜によって覆われる樽からのGNSサンプルは、高い濃度のグアイアコール、コニフェリルアルデヒドおよびシリンゴールを含んでいたが、その他は同様のプロファイルを有していた。グアイアコールは、リグニンから抽出され、樽が作られるオーク中で生成し、「スモーキー」な芳香および香りを与える。高すぎる濃度で存在する場合、「異臭」が生じることがある。
【0220】
パネリストが1番の膜によって覆われた樽からの熟成した蒸留物の違いを判別できるのは、1番の膜によって覆われた樽からの熟成した蒸留物とコントロールとの色の違いがあるためと仮定される。1番の膜によって覆われた樽からのサンプルは、コントロールより黒い色を有していた。成熟中の色の生成は、熟成した蒸留物中の没食子酸およびエラグ酸(水溶性タンニン)の含有量と関係がある。これらの化合物は、GNSサンプル中の渋さも導く。これらの化合物を後で酸化し、香味化合物を得ることができる。1番の膜によって覆われた樽からのサンプルは、コントロール、19番の膜および17番の膜と比較して、最も大きな酸素バリア性(即ち、最小の酸素透過速度)を有しており、これらの化合物が酸化されるのを防ぐことができる。pHの読みは、3.95(17番の膜によって囲まれる樽)から4.42(コントロール)の範囲であった。
【0221】
サンプルのパネル試験1および分析的な分析の結果から、以下の結論を導き出した。(1)1番の膜によって覆われる樽からの熟成したGNSは、官能試験方法によって、コントロールサンプルと比較して、有意に違いのある官能特性を有していた。(2)消費者の味パネリストは、コントロール(くるまれていない樽)中で熟成したGNSと、19番の膜によって囲まれる樽中で熟成したGNSの違い、またはコントロール(くるまれていない樽)中で熟成したGNSと、17番の膜によって囲まれる樽中で熟成したGNSの違いを検出することができなかった。(3)1番の膜中で熟成したGNSは、他のサンプルよりも色が黒く、グアイアコール、コニフェリルアルデヒドおよびシリンゴールの生成が多かった。
【0222】
感覚的な消費者の味パネル試験2
(i)20番の膜でくるまれた新しい5ガロンオーク樽で熟成した穀物中性スピリッツGNSサンプルに対して、または(ii)22番の膜でくるまれた樽で熟成したGNSサンプルに対して、または(iii)16番の膜でくるまれた新しい5ガロンオーク樽で熟成したGNSサンプルに対して、新しい5ガロンオークコントロール樽(くるまれていない。)で熟成した(GNS)の間に色、芳香または香味の違いが存在するかどうかを評価するために、3種類のトライアングル試験を行った。試験した仮説は、消費者のパネリストが、コントロールサンプル(くるまれていない樽からのもの)と、20番の膜、22番の膜または16番の膜にくるまれた樽からのサンプルとの間の官能特性の違いを検出することができるかどうかであった。パネリストによって、すべてのくるまれた樽サンプルと、コントロールサンプルとの違いが検出された。主な違いは、色(コントロールサンプルの方が明るい。)であり、その後に、香味と芳香の違いであった。
【0223】
樽は、内側が炭化された5ガロンの新しいオーク樽であった。サンプルを249日間熟成した。すべての樽を同じ貯蔵環境で熟成した。4個の樽(コントロールおよび20番、22番および16番の膜でくるみつつ熟成した樽)をサンプリング前に計量し、上のパネル試験1と同様に、樽を攪拌し、排気し、回転させ、サンプルを集めた。使用した装置、サンプルの保存およびサンプル体積の採取も、上のパネル試験1のように行った。貯蔵所の温度は、サンプリング中、58°Fであった。分析試験サンプルを、密閉部の周囲をパラフィンでくるんだ褐色バイアルに保存した。
【0224】
分析試験の結果は、すべての化合物がそれぞれのGNSサンプル中に存在することを決定した。コントロールGNS(くるまれていない。)は、常に、最も低い濃度のそれぞれの化合物を含んでいた。22番の膜で包装されたGNSは、ヘキソース、グアイアコール、シリンゴールおよびグアイアシルアセトンを除き、最も高い濃度のそれぞれの化合物を含んでいた。
【0225】
以下のそれぞれの化合物の存在について、サンプルを試験した。バニリン、オイゲノール、シリンガアルデヒド、グアイアコール、クレゾール異性体、コニフェリルアルデヒド、シリンゴール、4−メチルグアイアコール、s−ヒドロキシメチルフラン、ピロガロール、シナピンアルデヒド、メトキシオイゲノール、アセトシリンゴン、安息香酸、ホモバニリン酸メチル、シリンガ酸、4−メチルグアイアコール、4−メチルシリンゴール、4−ビニルグアイアコール、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、エラグ酸、o−トリメチルエラグ酸、ケルセチン(2−(3,4−ジヒドロキシフェニル)−3,5,7−トリヒドロキシ−4H−クロメン−4−オン、フルフラール(2−フランアルデヒド)、ウイスキーラクトン、5−フランカルボキサアルデヒド、グアイアシルアセトン、ヘキソース、β−d−グルコピラノースおよびメチルオクタラクトン。サンプルのpHも調べた。分析データを用いて官能データを補正しようとする企てにおいて、研究者らは、包装された樽サンプルをコントロール(未包装のGNS)と比較した違いを調べた。分析データから、GNSサンプルそれぞれにすべての化合物が存在することを決定した。未包装のコントロールGNSサンプルは、常に、最も低い濃度のそれぞれの化合物を含んでいた。NFX 2131で包装されたGNSは、ヘキソース、グアイアコール、シリンゴール、フルフラール、ウイスキーラクトン、5−フランカルボキサアルデヒドおよびグアイアシルアセトン(他の処理と同様の量を有している。)を除き、最も高い濃度のそれぞれの化合物を含んでいた。PPSで包装されたGNSは、フルフラール、ウイスキーラクトンおよび5−フランカルボキサアルデヒドが多かった。NFX2133で包装されたGNSは、ヘキソース、シリンゴールおよびグアイアシルアセトンが高かった。
【0226】
パネリストが、包装された樽サンプルをコントロールから区別することができるのは、主に色の違いによると仮定される。包装されたサンプルは、色が黒かった。成熟中の色の生成は、没食子酸およびエラグ酸(水溶性タンニン)と関係がある。炭化/焼き上げ中または熟成する間にタンニンが分解し、樽の木材を通って酸素がウイスキーに浸透し、溶質を酸化する。ウイスキーのタンニンは、グルコースに結合したピロガロールの開環によって作られる。
【0227】
パネル試験2を行うためにThe Standard Guide for Sensory Evaluation of Beverages Containing Alcohol ASTM E1879−00を使用した。このパネルは、典型的な消費者の簡便なサンプルであった。パネル試験2を行う前に、パネルメンバーに一般的な官能実施を説明する発表を与えた。
【0228】
57%を超える高いサンプルのアルコール度数(ABV)と、パネリストの感覚を圧倒するという問題により、ASTM E1879−00に従って、このサンプルを脱イオン水を用いて50/50に希釈し、約30%のABVを得た。すべてのサンプルを室温で保存し、注いでいる間のパネリストの偏見を防ぐため、ティッシュ紙を用いて色をコード付けした。ガラスの透明度を有する1オンスのプラスチックバイアルにすべてのサンプルを入れた。味覚を新しくするために無塩クラッカーと水をパネリストに与えた。これに加え、吐き出すためのカップを与えた。それぞれのトライアングル試験は、異なるサンプルコードを有する別個の評価シートを有していた。すべてのコードをランダムに選択し、処理に割り当てた。それぞれのパネリストにも番号を割り当て、3つのトライアングル試験を行う順序はランダム化した。
【0229】
パネリストは、最初に製品の色を評価するように求められ、その後に芳香、最後に香味を評価するように求められた。次いで、パネリストは、異なるサンプルを選択するように求められた。以下フォローアップ情報も要求された。(a)サンプルにどのような違いがあるか。弱い、から非常に強いまでのスケールを記す。(b)なぜサンプルに違いがあるか(色、芳香、香味または上のすべて)。(c)パネリストが、異なるサンプルの方を好むかどうか(はいまたはいいえ)。
【0230】
トライアングル試験1は、16番の膜(100%のポリフェニレンスルフィド膜、ゆるく、強くくるまれていない。)で囲まれた樽からの熟成したGNSの2個のサンプルおよびコントロール樽(くるまれていない樽)からの1個の熟成したGNSサンプルの3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0231】
トライアングル試験2は、22番の膜(0%のCOC、熱収縮によってきつくくるまれている。)で囲まれた樽からの熟成したGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0232】
トライアングル試験3は、20番の膜(18%COC、熱収縮によってきつくくるまれている。)で囲まれた樽からの熟成したGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0233】
以下の表は、分析試験および官能試験のためのサンプルを集める前に測定されたパラメータをまとめている。それぞれの樽を攪拌前に計量し、次いで、温度を監視しながら初期サンプルをプルーフ測定のために集めた。
【0234】
【表54】
【0235】
トライアングル試験1の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 20番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):正しい異なるサンプルを選択したパネリストが14人より多かったため、仮説は受け入れることができる。20人のパネリストが、違いを検出することができた。主な違いは、色(コントロールサンプルの方が明るい。)であり、その後に、香味と芳香の違いであった。
【0236】
トライアングル試験2の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 22番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):正しい異なるサンプルを選択したパネリストが14人より多かったため、仮説は受け入れることができる。15人のパネリストが、違いを検出することができた。主な違いは、色(コントロールサンプルの方が明るい。)であり、その後に、香味と芳香の違いであった。
【0237】
トライアングル試験3の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 16番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):正しい異なるサンプルを選択したパネリストが14人より多かったため、仮説は受け入れることができる。21人のパネリストが、違いを検出することができた。主な違いは、色(コントロールサンプルの方が明るい。)であり、その後に、香味と芳香の違いであった。
【0238】
【表55】
【0239】
パネル試験2の結果から、以下の結論を導き出した。(1)すべての包装されたGNSは、コントロールサンプルと比較して、有意に違いのある官能特性を有していた。(2)消費者の味パネリストの何人かは、コントロール(くるまれていない樽)と比較して、包装処理をした樽に保存されたGNSを好んだ。
【0240】
感覚的な消費者の味パネル試験3
上述のように、コントロールと、16番、20番および22番膜の熟成GNSとの間の色の違いから、即ち、単に、コントロールサンプルが、16番、20番および22番の膜によって覆われる樽から採取される熟成した蒸留物サンプルよりも色が明るいため、パネル試験2のパネリストが、コントロールサンプル(くるまれていない。)を特定することができることが推測された。結果として、パネル試験3において、新しいパネルにパネル試験2を繰り返した。パネル試験2を終了した後に熟成された蒸留物が十分に残ったため、パネル試験3で使用する熟成した蒸留物を、パネル試験2に使用した熟成した蒸留物を供給し、保存するために使用されたガラス容器から採取した。しかし、パネル試験3においては、芳香および香味にのみ関与する最初の3つのトライアングル試験中、色の偏見を除去するため黒色のカップを使用し、色のみを評価するために、消費者パネルは、透明なカップを用いて3つのさらなる別個のトライアングル試験を行う。
【0241】
従って、6種類のトライアングル試験を行った。パネル試験2の官能試験のために採取したサンプルは、パネル試験3の6種類のトライアングル試験を行うのに十分なそれぞれの樽からの余分のGNSを含んでいた。パネル試験3の最初の3つのトライアングル試験で黒色のカップを使用することを除き、使用した手順は、パネル試験2と同じであった。以前のように、即ち、The Standard Guide for Sensory Evaluation of Beverages Containing Alcohol ASTM E1879−00に従って、パネル試験を行った。
【0242】
トライアングル試験1は、16番の膜(100%のポリフェニレンスルフィド膜、ゆるく、強くくるまれていない。)で囲まれた樽からの熟成したGNSの2個のサンプルおよびコントロール樽(くるまれていない樽)からの1個の熟成したGNSサンプルの3個のサンプルからなっていた。この試験は、香味および芳香のみを評価する黒色のカップ中で行われた。その他、上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0243】
トライアングル試験2は、22番の膜(0%のCOC、熱収縮によってきつくくるまれている。)で囲まれた樽からの熟成したGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験も、香味および芳香のみを評価する黒色のカップ中で行われた。その他、上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0244】
トライアングル試験3は、20番の膜(18%COC、熱収縮によってきつくくるまれている。)で囲まれた樽からのGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験も、香味および芳香のみを評価する黒色のカップ中で行われた。その他、上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0245】
トライアングル試験4は、16番の膜(100%のポリフェニレンスルフィド膜、ゆるく、強くくるまれていない。)で囲まれた樽からの熟成したGNSの2個のサンプルおよびコントロール樽(くるまれていない樽)からの1個の熟成したGNSサンプルの3個のサンプルからなっていた。この試験は、透明のカップ中で行われ、パネリストは、色のみを評価するように指示を受けた。その他、上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0246】
トライアングル試験5は、22番の膜(0%のCOC、熱収縮によってきつくくるまれている。)で囲まれた樽からの熟成したGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験は、透明のカップ中で行われ、パネリストは、色のみを評価するように指示を受けた。その他、上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0247】
トライアングル試験6は、20番の膜(18%COC、熱収縮によってきつくくるまれている。)で囲まれた樽からのGNSの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験は、透明のカップ中で行われ、パネリストは、色のみを評価するように指示を受けた。その他、上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0248】
トライアングル試験1の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 20番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):正しい異なるサンプルを選択したパネリストが10人より少なかったため、仮説は否定することができる。黒色のカップにおいて、18人のパネリストのうち、わずか6人が、20番の膜によって囲まれる樽で熟成したサンプルからコントロールサンプルを選択することができた。
【0249】
トライアングル試験2の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 22番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):正しい異なるサンプルを選択したパネリストが10人より少なかったため、仮説は否定することができる。黒色のカップにおいて、18人のパネリストのうち、わずか9人が、22番の膜によって囲まれる樽で熟成したサンプルからコントロールサンプルを選択することができた。
【0250】
トライアングル試験3の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 16番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):10人より多いパネリストが、正しい異なるサンプルを選択したため、仮説は受け入れることができる。黒色のカップを用いた場合でさえ、18人のパネリストのうち12人が、16番の膜によって囲まれる樽で熟成したサンプルからコントロールサンプルを選択することができた。
【0251】
トライアングル試験4の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 20番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):18人のパネリストのうち17人が、正しい異なるサンプルを選択したため、仮説は受け入れることができる。透明のカップにおいて、18人のパネリストのうち、わずか1人が、色のみに基づいて、20番の膜によって囲まれる樽で熟成したサンプルからコントロールサンプルを選択することができなかった。
【0252】
トライアングル試験5の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 22番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):18人のパネリストのうち16人が、正しい異なるサンプルを選択したため、仮説は受け入れることができる。透明のガラスカップにおいて、18人のパネリストのうち、わずか2人が、色のみに基づいて、22番の膜によって囲まれる樽で熟成したサンプルからコントロールサンプルを選択することができなかった。
【0253】
トライアングル試験6の結果(コントロール樽からの熟成したGNS 対 16番の膜によって囲まれる樽からの熟成したGNS):18人のパネリストのうち17人が、正しい異なるサンプルを選択したため、仮説は受け入れることができる。透明のガラスカップにおいて、18人のパネリストのうち、わずか1人が、16番の膜によって囲まれる樽で熟成したサンプルからコントロールサンプルを選択することができなかった。
【0254】
以下は、消費者パネル試験3からの芳香および香味のみのトライアングル試験結果のまとめである。
【0255】
【表56】
【0256】
以下は、消費者パネル試験3からの色のみのトライアングル試験結果のまとめである。
【0257】
【表57】
【0258】
パネル試験3からの上の結果は、色が、パネル試験2で観察された有意な違いに寄与する属性であることを示した。第2のパネルでは、PPS処理のみが、コントロールと比較して、香味/香りに有意な違いが認められた。さらに、色が評価されるとき、すべてのサンプルが、コントロールと有意に違うものであった。パネル試験3からのデータは、20番の膜および22番の膜の両方がコントロールサンプルと区別することができない芳香および香味の特徴を示したことを示す。
【0259】
感覚的な消費者の味パネル試験4
【0260】
【表58】
【0261】
1.コントロール樽(くるまれていない。)で熟成したバージン小麦ウイスキー(VWW)サンプルと、19番の膜、39番の膜(PVC、従来技術による。)と、40番の膜(箔、従来技術による。)にくるまれた樽で熟成したVWWとの間に、色、芳香または香味の違いが存在するかどうかを評価するために、3種類のトライアングル試験を行った。すべての1リットル樽を約2ヶ月間熟成した。
【0262】
2.天使のわけまえによる減少を計算するために、サンプリング前に4個の1リットルオーク樽を計量した。次いで、樽を3分間攪拌した。商業的な無菌法を用いてすべてのサンプルを集め、使用前にすべての装置を洗浄し、衛生的にした。サンプル間の相互汚染を防ぐために、それぞれのサンプルに別個の装置を使用した。密閉部の周囲をパラフィンでくるんだガラス瓶でサンプルを保存した。酸素および光が入り込むのを防ぐために、瓶を箔の袋に入れた。プルーフ試験のために100ミリリットル、官能試験のために500ミリリットル、分析試験のために200ミリリットルの、800ミリリットルの熟成したVWWをそれぞれの樽から集めた。分析試験サンプルを、密閉部の周囲をパラフィンでくるんだ褐色バイアルに保存した。
【0263】
3.集めたGNSサンプルも、成熟中に増えた化合物が4つのサンプル間で違いがあるかどうかを決定するための同定試験のために分析実験室に提出した。以下の化合物の存在について、分析実験室が試験した。バニリン、オイゲノール、シリンガアルデヒド、グアイアコール、クレゾール異性体、コニフェリルアルデヒド、シリンゴール、4−メチルグアイアコール、s−ヒドロキシメチルフラン、ピロガロール、シナピンアルデヒド、メトキシオイゲノール、アセトシリンゴン、安息香酸、ホモバニリン酸メチル、シリンガ酸、4−メチルグアイアコール、4−メチルシリンゴール、4−ビニルグアイアコール、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、エラグ酸、o−トリメチルエラグ酸、ケルセチン、フルフラール(2−フランアルデヒド)、ウイスキーラクトン、5−フランカルボキサアルデヒド、グアイアシルアセトン、ヘキソース、β−d−グルコピラノースおよびメチルオクタラクトン。実験室は、サンプルのpHも調べた。
【0264】
4.試験実行のために、The Standard Guide for Sensory Evaluation of Beverages Containing Alcohol ASTM E1879−00を使用した。このパネルは、典型的な消費者の簡便なサンプルであった。この試験を行う前に、一般的な官能実施を説明/教示する発表を行った。官能試験のために透明なカップを使用し、このため、パネリストは、サンプルの色の違いを比較することができた。
【0265】
5.それぞれのトライアングル試験は、異なるサンプルコードを有する別個の評価シートを有していた。すべてのコードをランダムに選択し、処理に割り当てた。それぞれのパネリストにも番号を割り当て、3つのトライアングル試験を行う順序はランダム化した。
【0266】
6.パネリストは、パネル試験1と同様に、最初に製品の色を評価するように求められ、その後に芳香、最後に香味を評価するように求められた。パネリストは、パネル試験1において上に記載したのと同じ質問にも答えた。しかし、パネル試験1とは異なり、官能試験のためにサンプルを約30%のABVになるまで希釈しなかった。サンプルは、ABVが少なくとも57%であった。
【0267】
7.トライアングル試験1は、19番の膜でくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0268】
a.トライアングル試験2は、40番の膜(箔)でくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0269】
b.トライアングル試験3は、39番の膜(PVC)でくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。上のプロトコルおよび手順に従って、この試験を行った。
【0270】
c.以下の表は、消費者パネル試験4のすべての3種類のトライアングル試験のまとめを与える。以下の表からわかるように、芳香および香味試験結果の正しい応答の数は、パネリストが、コントロールサンプル(くるまれていない。)と、19番、40番および39番の膜によって囲まれる樽からのサンプルとの違いを決定することができることを示すのに十分なほど高くなかった。
【0271】
8.消費者パネル試験4からの香味および芳香のトライアングル試験結果
【0272】
【表59】
【0273】
しかし、パネリストは、コントロールサンプルと、19番、40番および39番の膜によって囲まれる樽からのサンプルとの色の違いを検出することができることは明らかであった。
【0274】
【表60】
【0275】
消費者の味パネルは、8人のパネリストを含んでいた。サンプル間の統計学的有意差はp=0.05であり、仮説が受け入れられるためには、最低でも6人のパネリストが、正しい「異なる」サンプルを選択することによって違いを検出する必要がある。
【0276】
感覚的な消費者の味パネル試験5
パネル試験4において、それぞれのサンプルのアルコール濃度が非常に高い(ABVが少なくとも57%)ため、パネリストの感覚は、サンプルのABVによって圧倒され、これによって、あるサンプルを別のサンプルと区別することができないと推測された。従って、別のパネルが集められ、熟成したVWWサンプルを再び試験した。パネル試験4が終了した後に十分なVWWが残っていたため、パネル試験5に使用する熟成した蒸留物は、パネル試験4に使用された熟成した蒸留物を供給し、保存するために使用されたガラス容器から採取された。しかし、サンプルのABVが少なくとも57%と高く、パネル試験4のように、パネリストの感覚を圧倒するという問題により、ASTM E1879−00に従って、このサンプルを脱イオン水を用いて50/50に希釈し、約30%のABVを得た。
【0277】
また、パネリストが、色の違いを利用して正しいコントロールサンプルを同定することができるという懸念に起因して、正しいコントロールサンプルをパネリストが選択するための根拠として色が除外されるように、芳香および香味の試験に黒色のカップを利用した。パネル試験5の芳香および香味のトライアングル試験およびパネル試験5の色トライアングル試験をASTM E1879−00に従って行った。
【0278】
パネル試験5は、合計で6種類のトライアングル試験を含んでいた。トライアングル試験1から3において、色についてのパネリストの偏見を除去するため、サンプルを黒色のカップに入れ、パネリストは、味および香りのみを評価した。トライアングル試験4から6において、パネリストは、色のみを評価し、サンプルを透明のカップに入れた。
【0279】
すべてのサンプルを室温で保存し、注いでいる間のパネリストの偏見を防ぐため、ティッシュ紙を用いて色をコード付けした。1オンスのプラスチックバイアルにすべてのサンプルを入れた。味覚を新しくするために無塩クラッカーと水をパネリストに与え、吐き出すためのカップを与えた。
【0280】
以下の表は、分析試験および官能試験のためのサンプルを集める前に測定されたパラメータをまとめている。それぞれの樽を攪拌前に計量し、次いで、初期サンプルをプルーフ測定のために集め、温度を監視した。
【0281】
トライアングル試験1は、19番の膜でくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験を黒色のカップ中で行い、パネリストは、味および香りのみを評価した。
【0282】
トライアングル試験2は、40番の膜(箔)でくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験を黒色のカップ中で行い、味および香りのみを評価した。
【0283】
トライアングル試験3は、39番の膜(PVC)でくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験を黒色のカップ中で行い、味および香りのみを評価した。
【0284】
以下の表は、パネル試験5の芳香および味のトライアングル試験1から3の結果のまとめを与える。
【0285】
【表61】
【0286】
消費者試験パネルは、18人のパネリストを含んでいた。サンプル間の統計学的有意差はp=0.05であり、仮説が受け入れられるためには、最低でも10人のパネリストが、正しい異なるサンプルを選択することによって違いを検出する必要がある(Meilgaard、Civille and Carr、1991)。トライアングル試験1において、正しい異なるサンプルを選択したパネリストが10人より少なかったため、仮説は否定することができる。トライアングル試験2において、10人のパネリストが、正しい異なるサンプルを選択したため、仮説を受け入れることができる。トライアングル試験3において、10人のパネリストが、正しい異なるサンプルを選択したため、仮説を受け入れることができる。
【0287】
次に、色のみに基づきサンプルを区別することに関するトライアングル試験に進み、トライアングル試験4は、19番の膜でくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験を透明のカップで行い、色のみを評価する。トライアングル試験5は、箔でくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験を透明のカップで行い、色のみを評価する。トライアングル試験6は、PVCでくるまれた樽からの2個のサンプルおよび1個のコントロールサンプル(くるまれていない樽)の3個のサンプルからなっていた。この試験を透明のカップで行い、色のみを評価する。
【0288】
以下の表は、パネル試験5のトライアングル試験4から6の結果のまとめを与える。
【0289】
【表62】
【0290】
トライアングル試験4において、正しい異なるサンプル(コントロール)を選択したパネリストが10人より少なかったため、仮説は否定することができる。トライアングル試験5において、正しい異なるサンプルを選択したパネリストが10人より多かったため、仮説を受け入れることができる。18人のパネリストが、異なるサンプル(コントロール)を同定することによって、違いを検出することができた。トライアングル試験6において、正しい異なるサンプルを選択したパネリストが10人より多かったため、仮説を受け入れることができる。17人のパネリストが、異なるサンプル(コントロール)を同定することによって、違いを検出することができた。
【0291】
パネル試験4および5からの結果を比較すると、パネル試験4で試験されたサンプルの高いABVによって、パネリストの感覚を圧倒したことを示す。パネリストは、パネル試験4ではサンプルを区別することができなかったが、パネリストによって消費される前に熟成したVWWを水で50%に希釈したパネル試験5では区別することができた。
【0292】
パネル試験5の試験1から3からの結果は、従来技術の箔に由来する膜および従来技術のPVCに由来する膜によって、コントロールから区別することができる芳香および味を生じたことが確立され、一方、作業例は、芳香および味に関し、コントロールから区別することができない。さらに、パネル試験4から6からの結果は、従来技術の箔に由来する膜によって囲まれる樽および従来技術のPVC膜によって囲まれる樽によって、コントロールから区別することができる色の違いが生じることが確立され、一方、作業例は、コントロールから区別することができない色を生じる。さらに、19番の膜によって囲まれる膜に関し、パネリストは、色、芳香および味について、作業例とコントロールとの間に有意な違いを検出することができなかった。
【0293】
以下の表は、上に示される天使のわけまえによる重量減少試験および官能パネル試験の結果を編集したものである。さらに、種々の透過速度、衝撃強度、破断伸度を含め、この試験で使用される膜についての物理特性も与えられる。
【0294】
官能パネル試験の結果は、19番、20番および22番の膜によって囲まれる樽で熟成したアルコール飲料によって、コントロールと区別することができない芳香および香味を有する熟成した製品が得られることを示す。19番の膜中で熟成したアルコール飲料は、芳香、香味および色の観点でコントロールと区別することができない唯一の熟成したアルコール飲料であった。
【0295】
種々の比較例の膜は、16番の膜、37番の膜、39番の膜および40番の膜を含んでおり、それぞれを使用し、官能パネルがコントロールと区別することができた熟成アルコール飲料を生成した。
【0296】
18番、24番、25番、34番および38番の膜は官能パネル試験を行わなかったが、エチレン/ノルボルネンの浸透性および存在が、19番および20番の膜と共通しており、この浸透性および存在によって、18番、24番、25番、34番および38番の膜は、19番および20番の膜の官能パネル試験の結果に類似する官能パネル結果を生み出すと思われる。
【0297】
16番の膜は、必要な浸透性の組み合わせを有するが、以下に報告する熱分解−GCMS試験で示されるような悪臭成分DEHPを生成した。
【0298】
【表63】
【0299】
ウイスキー成熟中に発生する揮発性物質および半揮発性物質を同定するためのTDU−熱分解GCMS試験
4個の1リットルの木製オーク樽に、バージン小麦ウイスキー(VWW)蒸留製品を充填し、周囲条件で2ヶ月間熟成させた。第1の樽は、膜でくるまず、コントロール樽であった。第2の樽は、19番の膜によって囲まれる。第3の樽は、40番の膜によって囲まれる。第4の樽は、39番の膜によって囲まれる。
【0300】
2ヶ月の熟成期間の後、4個それぞれの樽からサンプルを採取し、4オンスの褐色瓶に入れた。5975C Mass Selective Detector(MSD)および液体窒素による冷却(LN
2)を用い、プログラムされた温度での蒸気化(PTV)型の入口であったGERSTEL Cooled Injection System(CIS 4)を取り付けたAgilent 6890Nガスクロマトグラフ(GC)を用い、瓶の中のサンプルの分析を行った。サンプルの導入は、熱溶解インサートGERSTEL PYROを有するGERSTEL Thermal Desorption Unit(TDU)を取り付けたGERSTEL MultiPurpose Sampler(MPS)を用いて自動化された。TDU−PYROをCIS 4の入口に直接接続した。
【0301】
目的は、樽を囲む異なる膜が、熟成中に、周囲に膜を有さないコントロール樽からの熟成した蒸留物に対し、19番の膜(作業例)、39番の膜(従来技術の比較例)および40番の膜(従来技術の比較例)によって囲まれる樽中の熟成した蒸留物製品の組成にどのような影響を与えるかを決定する目的のために分析試験を行うことであった。
【0302】
さらに具体的には、それぞれの樽で熟成した蒸留物を、バニリン、グアイアコール、シリンガアルデヒド、シリンゴール、オイゲノール、イソオイゲノール、cis−β−メチル−γ−オクタラクトン、o−クレゾール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、4−メチルシリンゴール、4−エチルグアイアコール、4−ビニルグアイアコール、バニリルメチルケトン、メトキシオイゲノール、シナップアルデヒドおよびフルフラールを含む具体的な化合物の量について試験した。これらの化合物は、熟成するにつれて、蒸留物に望ましい芳香、香味および色の特徴を付与することが知られている。これらの化合物は、木製の樽から抽出されるか、または樽を構成する木材からの抽出物の反応生成物である。それに加え、第3の目的は、望ましくない芳香であるジ(2−エチルヘキシル)フタレート(「DEHP」)について行われた。
【0303】
20マイクロリットルのそれぞれの熟成したウイスキーサンプルを、手動のマイクロタイターシリンジを用い、スリットを有する短い石英試験管形状の熱分解バイアルにピペットで別個に入れた。この管をガラスウールで固定し、熱分解アダプターに接続し、MPS中の98箇所の熱分解トレイに入れた。ウイスキーサンプルを300℃で熱分解し、揮発性化合物および半揮発性化合物を除去した。熱分解の後、サンプルを450℃で熱分解し、それぞれのサンプルから最大量の情報を得た。
【0304】
分析条件は、以下のとおりであった。
【0305】
【表64】
【0306】
図29から
図45は、19番、39番および40番の膜によって囲まれた樽およびコントロール樽において、バニリン、グアイアコール、シリンガアルデヒド、シリンゴール、オイゲノール、イソオイゲノール、cis−β−メチル−γ−オクタラクトン、o−クレゾール、2−メトキシ−4−メチルフェノール、4−メチルシリンゴール、4−エチルグアイアコール、4−ビニルグアイアコール、バニリルメチルケトン、メトキシオイゲノール、シナップアルデヒド、フルフラールおよびジ(2−エチルヘキシル)フタレート(「DEHP」)それぞれについて、上のGC/MS分析試験の結果を与える。19番の膜は、3層を有する好ましい膜であり、環状オレフィンコポリマーである70重量%のエチレンノルボルネンコポリマーを含有するブレンドから作られるコア層を有する。19番の膜は、膜総重量を基準として49重量%の量で環状オレフィンコポリマーを含有していた。
【0307】
図29から
図44において、19番の膜によって囲まれた樽中の熟成した蒸留物中の種々の望ましい芳香および香気成分の量の比較は、コントロール樽中の熟成した蒸留物の同じ芳香および香気成分の量の50%より多かった。PVC(39番の膜)および箔に由来する膜(40番の膜)によって作られる同じ香気成分の量がかなり少ないという点で、これらの結果は予測されないものであった。さらに、
図29から
図44は、19番の膜によって囲まれた樽中の熟成した蒸留物中の種々の望ましい芳香および香気成分の量が、コントロール樽中の熟成した蒸留物の同じ芳香および香気成分の量の75%より多いレベルで存在し、これも予測されないさらなるレベルであった。
【0308】
図32(シリンゴール)、33(オイゲノール)、35(cis−β−メチル−γ−オクタラクトン)、36(o−クレゾール)、37(2−メトキシ−4−メチルフェノール)、38(4−メチルシリンゴール)、39(4−エチルグアイアコール)、41(バニリルメチルケトン)、42(メトキシオイゲノール)および44(フルフラール)において、19番の膜によって囲まれた樽中の熟成した蒸留物中の芳香および香気成分の量が、樽の周囲に膜を有さない状態で熟成したコントロール蒸留物中の対応する芳香および香気成分の量を超えた(即ち、予測できないことに、この量の100%を超えた。)。この結果は、膜の存在が、これらの芳香および香気成分をより迅速な速度で生成することによって、これらの具体的な芳香および香気成分の熟成を促進したことを示唆するため、さらに重要である。これは、向上した品質および/または促進された熟成速度を有する熟成した蒸留物を製造する可能性を有する。
【0309】
19番の膜によって囲まれた樽からの熟成した蒸留物および樽の周囲に膜を有さない状態で熟成したコントロール蒸留物とは対照的に、
図29から
図44は、39番の膜(従来技術のPVC)および40番の膜(従来技術のコーティングされた金属箔)によって囲まれる樽からの熟成した蒸留物は、コントロール蒸留物の香気成分の半分より少ない量の香気成分を生成したことを示す。ほとんどの場合に、39番および40番の膜は、コントロール蒸留物の香気成分の25%未満を生成した。2つの場合(
図33:オイゲノール、
図34:イソオイゲノール)において、39番の膜(PVC)および40番の膜(箔)によって囲まれる樽からの熟成した蒸留物の香気成分は、19番の膜を利用する作業例における同じ香気成分の10パーセント未満であった。
【0310】
最後に、
図45は、39番の膜(100%のポリ塩化ビニル(PVC))によって囲まれた樽からの熟成した蒸留物が、望ましくない芳香を与える化合物であるジ(2−エチルヘキシル)フタレート(DEHP)を比較的多い量含んでいた。このことは、パネリストが、39番の膜中で熟成したアルコール飲料と、19番、20番および22番の膜中で熟成したアルコール飲料との違いを検出することができたという理由の少なくとも一部であると考えられている。
【0311】
本発明を、好ましい実施形態を参照しつつ記載してきたが、当業者なら容易に理解するように、本発明の原理および範囲を逸脱することなく、本発明の改変および変形が存在することを理解すべきである。従って、このような改変は、以下に記載する特許請求の範囲に従う。