(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記処理制御部は、更に、前記先端部が前記第二点に存在するときに、前記溶融処理部に、前記第一量より少量の第二量の半田を前記先端部に供給する第二溶融処理を行わせる請求項4に記載の溶融制御装置。
前記処理制御部は、前記第一溶融処理の終了後、前記先端部を前記第一点に停止させたまま、前記第一量より少量の第三量の半田を前記先端部に供給する第三溶融処理を行わせ、前記第三溶融処理の終了後、前記駆動部に前記先端部を前記溶融処理が行われる基板の表面から離間した所定の退避位置まで移動させる
請求項4又は5に記載の溶融制御装置。
前記第一溶融処理の後の前記先端部を前記第二点に戻す第一退避モードと、前記第一溶融処理の後に、基板の表面に対して直角の方向に前記先端部を移動させる第二退避モードとの間での選択を受け付ける退避選択部を更に備え、
前記退避選択部が、前記第一退避モードの選択を受け付けると、前記処理制御部は、前記駆動部を制御し、前記第一溶融処理の後に、前記先端部を前記第二点に戻し、
前記退避選択部が、前記第二退避モードの選択を受け付けると、前記処理制御部は、前記駆動部を制御し、前記第一溶融処理の後に、前記先端部を前記直角の方向に移動させる請求項4乃至6の何れか一項に記載の溶融制御装置。
前記加熱工具は、鉛直方向に延びる鉛直軸及び前記鉛直軸に直交する水平軸に沿って支持具を移動させる直交型ロボットの前記支持具によって保持され、前記第一点は前記鉛直軸及び前記水平軸によって定められる
請求項1又は8に記載の溶融制御装置。
前記調整要求受付部は、前記先端部の現在位置から前記始点までの第一経路と、前記始点から前記終点までの第二経路と、前記終点から前記溶融処理が行われる基板の表面から離間した所定の退避位置までの第三経路と、の中の少なくとも一つが、前記移動速度が低減又は増大される対象経路として選択されることを、前記要求として受け付け、
前記駆動部は、前記対象経路においては前記先端部の移動速度を前記設定値よりも低減又は増大された移動速度で前記先端部を移動させる
請求項14に記載の溶融制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の技術に関し、半田鏝の鏝先の移動方向は、エアシリンダの機械的設定に依存する。従って、作業者は、鏝先を所望の半田付処理の対象位置に到達させるために、エアシリンダの機械的設定を精度良く調整し、前記対象位置ではなく、エアシリンダの動作を開始させるときの鏝先の位置を設定しなければならない。すなわち、特許文献1の技術は、作業者に、前記対象位置を直接的に設定することを許さず、煩雑な設定作業を要求する。
【0006】
特許文献2の技術は、基板の反りを矯正するため、鏝先を基板の上面に対して略垂直方向に移動させ、鏝先の先端を基板の上面に衝突させることを教示する。しかし、半田付けの位置が、素子の下面と基板の上面との間に存在する場合、鏝先は、半田付けの位置に到達する前に、素子の上面に衝突することとなる。したがって、特許文献2の技術の適用に不向きな素子は、多数存在する。
【0007】
半田鏝の鏝先を半田付けの位置に到達させるために、特許文献1の技術と同様に、基板の上面に対して斜めに鏝先を移動させることも考え得る。しかし、この場合、作業者は、空間点P3、P4の両方を設定する必要がある。空間点P3、P4の設定に関し、半田付けの位置は、空間点P3、P4を始点及び終点とする線分上に存在しなければならないので、作業者は、空間点P3、P4の設定を繰り返し要求されることもある。また、空間点P3、P4の設定後、治具による基板の支持位置を移動した場合、作業者は、空間点P3、P4の両方を設定し直さなければならない。
【0008】
特許文献2の技術は、鏝先の温度変化に基づき、半田付けの位置への到達を検出する。鏝先の温度変化を顕著にするためには、鏝先は、基板或いは素子に強く押し当てられる必要がある。このことは、鏝先の損傷の潜在的なリスクが高いことを意味する。特に、鏝先が斜めに移動されると、鏝先の曲げのリスクは高くなる。更に、基板や素子への鏝先の強い接触が望ましくない条件下では、特許文献2の技術の適用は望ましくない。
【0009】
特許文献1及び2の技術は、半田鏝に関するものである。しかし、上述の課題(すなわち、調整或いは設定作業の煩雑さ、半田付け位置への高い精度での到達や鏝先の損傷リスク)は、加熱下で溶融する接合部材とともに用いられる加熱工具(例えば、基板に付着した接合材料を吸引及び除去する吸取装置や、接合部材へ熱風を吹き出す熱風装置)にも共通する。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、溶融処理の対象位置の設定作業の煩雑さを解消し、当該対象位置への高い精度での到達及び加熱工具の先端部の損傷リスクの低減を実現できる溶融制御装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明による溶融制御装置は、加熱工具の先端部を移動させる駆動部と、前記先端部を用い
て基板上の所定の点で半田点を形成する溶融処理を行う溶融処理部と、
前記基板上の前記溶融処理が行われる第一点を表す三次元座標上の座標情報の入力と
、前記第一点
から前記基板の表面に対して上方に離間した位置を表す位置情報の入力と
、を受け付ける受付部と、前記駆動部に前記先端部を前記位置情報が表す前記位置と前記第一点との間で移動させ、前記先端部が前記第一点に存在するときに、前記溶融処理部に前記溶融処理を行わせる処理制御部と、を備える。
また、前記加熱工具は、基板の表面に対して傾斜した姿勢で保持され、前記受付部は、前記第一点に前記半田点を形成するために前記先端部を移動させるときの始点として、前記第一点から前記基板の表面に対して上方に傾斜する方向に離間した位置を表す前記位置情報の入力を受け付けてもよい。
【0012】
本発明によるプログラムは、加熱工具の先端部を用い
て基板上の所定の点で半田点を形成する溶融処理を制御する溶融制御装置を制御するプログラムであって、
前記基板上の前記溶融処理が行われる第一点を表す三次元座標上の座標情報と、前記第一点から
前記基板の表面に対して上方に離間した位置を表す位置情報と、が入力されると、前記溶融制御装置に、前記先端部を前記位置情報が表す前記位置と前記第一点との間で移動させ、前記先端部が前記第一点に存在するときに、前記溶融制御装置に、前記溶融処理を行わせる。
【0013】
本構成によれば、溶融処理の対象位置としたい第一点を表す三次元座標上の座標情報を入力することで、当該第一点において、溶融処理を行わせることができる。また、第一点を変更することなく、加熱工具の先端部が適切な移動経路を辿るように、位置情報を入力することができる。
【0014】
例えば、溶融処理の対象位置が素子の下面と基板の表面との間に存在するとする。この場合、前記対象位置から基板の表面に対して傾斜する方向に離間した位置を表す位置情報を入力することで、先端部を、前記離間した位置と前記対象位置との間で、基板の表面に対して傾斜する方向に移動させることができる。これにより、加熱工具の先端部を、素子の上面に衝突しない移動経路で移動させることができる。したがって、本構成によれば、作業者が望む溶融処理の対象位置への高い精度での到達を実現できる。
【0015】
また、本構成によれば、従来技術とは異なり、溶融処理の対象位置となる第一点を表す三次元座標上の座標情報を直接的に設定することができ、溶融処理の対象位置を設定するために多数の設定点それぞれの調整を必要としない。このため、溶融処理の対象位置の設定後に、治具による基板の支持位置の移動等によって、溶融処理の対象位置が変更された場合でも、作業者は、変更後の溶融処理の対象位置を表す三次元座標上の座標情報を直接的に設定し、迅速に溶融処理の対象位置を設定し直すことができる。したがって、本構成によれば、溶融処理の対象位置の設定作業の煩雑さを解消できる。
【0016】
また、上述のように、第一点は溶融処理が行われる位置であるので、駆動部は、処理制御部の制御下で、加熱工具の先端部を第一点で停止させる。このため、加熱工具の先端部は、過度に大きな衝撃力を受けにくい。これにより、加熱工具の先端部の損傷リスクの低減を実現できる。
【0017】
また、前記位置情報は、前記第一点とは異なる第二点を表す前記三次元座標上の座標情報であることが好ましい。
【0018】
本構成によれば、第二点を表す三次元座標上の座標情報を位置情報として入力することで、加熱工具の先端部を第一点と当該入力した座標情報が表す第二点との間で移動させることができる。
【0019】
または、
本発明による溶融制御装置は、加熱工具の先端部を移動させる駆動部と、前記先端部を用いた所定の溶融処理を行う溶融処理部と、前記溶融処理が行われる第一点を表す三次元座標上の座標情報の入力と前記第一点とは異なる位置を表す位置情報の入力とを受け付ける受付部と、前記駆動部に前記先端部を前記位置情報が表す前記位置と前記第一点との間で移動させ、前記先端部が前記第一点に存在するときに、前記溶融処理部に前記溶融処理を行わせる処理制御部と、を備え、前記位置情報は、前記第一点からの距離を表す距離情報と前記第一点からの方向を表す方向情報を含み、前記処理制御部は、前記駆動部に、前記第一点と前記距離情報と前記方向情報とによって定められる第二点から前記第一点へ前記先端部を移動させてもよい。
【0020】
本構成によれば、第一点を表す三次元座標上の座標情報を入力し、第一点からの距離を表す距離情報と第一点からの方向を表す方向情報を入力することで、加熱工具の先端部を、入力した座標情報が表す第一点、距離情報及び方向情報によって定められる第二点から第一点へ移動させることができる。
【0021】
また、前記加熱工具は半田鏝であり、前記溶融処理部は、前記先端部が前記第二点から前記第一点に到達したときに、前記溶融処理として、第一量の半田を前記先端部に供給する第一溶融処理を行うことが好ましい。
【0022】
本構成によれば、半田鏝の先端部が第二点から第一点に到達したときに、第一溶融処理が行われる。これにより、第一点に存在する半田鏝の先端部で第一量の半田を溶融し、第一点を対象位置にした半田付けを行うことができる。
【0023】
また、前記処理制御部は、更に、前記先端部が前記第二点に存在するときに、前記溶融処理部に、前記第一量より少量の第二量の半田を前記先端部に供給する第二溶融処理を行わせてもよい。
【0024】
本構成によれば、第一点を対象位置として第一溶融処理を行う事前に、半田鏝の先端部が第二点に存在するときに、半田鏝の先端部に第二量の半田を供給する第二溶融処理が行われる。これにより、半田鏝の先端部が第一点に到達したときに、半田鏝の先端部で溶融した第二量の半田を、第一溶融処理の開始前に第一点に馴染ませることができる。その結果、第一溶融処理による第一点を対象位置にした半田付けの精度を高めることができる。
【0025】
また、前記処理制御部は、前記第一溶融処理の終了後、前記駆動部に、前記先端部を前記溶融処理が行われる基板の表面から離間した所定の退避位置まで移動させてもよい。
【0026】
本構成によれば、第一溶融処理の終了後、半田鏝の先端部が第一点から、溶融処理が行われる基板の表面から離間した所定の退避位置に移動される。これにより、第一溶融処理で溶融した第一量の半田を冷却させ、第一点に固着させることができる。
【0027】
また、前記処理制御部は、前記第一溶融処理の終了後、前記先端部を前記第一点に停止させたまま、前記第一量より少量の第三量の半田を前記先端部に供給する第三溶融処理を行わせ、前記第三溶融処理の終了後、前記駆動部に前記先端部を前記溶融処理が行われる基板の表面から離間した所定の退避位置まで移動させてもよい。
【0028】
本構成によれば、第一点を対象位置として第一溶融処理を行った後、更に、第一点に存在する半田鏝の先端部に第三量の半田を供給する第三溶融処理が行われる。これにより、第一溶融処理による第一点を対象位置にした半田付けの後、更に、第三量の溶融した半田を第一点に付着させることができる。その結果、第一点に付着した半田に艶を出す等、第一点に付着した半田の見映えを向上することができる。
【0029】
また、
本発明による溶融制御装置は、加熱工具の先端部を移動させる駆動部と、前記先端部を用いた所定の溶融処理を行う溶融処理部と、前記溶融処理が行われる第一点を表す三次元座標上の座標情報の入力と前記第一点とは異なる位置を表す位置情報の入力とを受け付ける受付部と、前記駆動部に前記先端部を前記位置情報が表す前記位置と前記第一点との間で移動させ、前記先端部が前記第一点に存在するときに、前記溶融処理部に前記溶融処理を行わせる処理制御部と、基板上の所定の点で半田点を形成する第一処理モードと前記基板上で前記半田の線分を描く第二処理モードとの間での選択を受け付ける処理選択部
と、を備え、
前記位置情報は、前記第一点とは異なる第二点を表す前記三次元座標上の座標情報であり、前記処理選択部が、前記第一処理モードの選択を受け付けると、前記受付部は、前記第一点を、前記所定の点に前記半田点を形成するために前記先端部を移動させるときの終点として受け付け、前記第二点を、前記所定の点に前記半田点を形成するために前記先端部を移動させるときの始点として受け付け、前記処理選択部が、前記第二処理モードの選択を受け付けると、前記受付部は、前記第一点を、前記線分を描くために前記先端部を移動させるときの始点として受け付け、前記第二点を、前記線分を描くために前記先端部を移動させるときの終点として受け付けてもよい。
また、本発明によるプログラムは、加熱工具の先端部を用いて所定の溶融処理を制御する溶融制御装置を制御するプログラムであって、基板上の所定の点で半田点を形成する第一処理モードが選択され、且つ、前記溶融処理が行われる第一点を表す三次元座標上の座標情報と、前記第一点とは異なる第二点を表す前記三次元座標上の座標情報である位置情報と、が入力されると、前記第一点を、前記所定の点に前記半田点を形成するために前記先端部を移動させるときの終点とし、前記第二点を、前記所定の点に前記半田点を形成するために前記先端部を移動させるときの始点とし、前記基板上で前記半田の線分を描く第二処理モードが選択され、且つ、前記溶融処理が行われる第一点を表す三次元座標上の座標情報と、前記第一点とは異なる第二点を表す前記三次元座標上の座標情報である位置情報と、が入力されると、前記第一点を、前記線分を描くために前記先端部を移動させるときの始点とし、前記第二点を、前記線分を描くために前記先端部を移動させるときの終点とし、前記溶融制御装置に、前記先端部を前記第二点と前記第一点との間で移動させ、前記先端部が前記第一点に存在するときに、前記溶融制御装置に、前記溶融処理を行わせてもよい。
【0030】
本構成によれば、第一処理モードを選択することで、基板上の所定の点に半田点を形成するために先端部を移動させるときの終点となる第一点を表す座標情報を入力し、前記所定の点に半田点を形成するために先端部を移動させるときの始点となる第二点を表す位置情報を入力することができる。また、第二処理モードを選択することで、基板上に半田の線分を描くために先端部を移動させるときの始点となる第一点を表す座標情報を入力し、前記線分を描くために先端部を移動させるときの終点となる第二点を表す位置情報を入力することができる。
【0031】
つまり、本構成によれば、基板上に半田点を形成するか、基板上に半田の線分を描くかを作業者に選択させることができ、何れが選択された場合でも、作業者に入力させる情報を、基板上に半田点を形成する又は半田の線分を描くために先端部を移動させるときの始点及び終点に共通化することができる。
【0032】
また、前記第一溶融処理の後の前記先端部を前記第二点に戻す第一退避モードと、前記第一溶融処理の後に、基板の表面に対して直角の方向に前記先端部を移動させる第二退避モードとの間での選択を受け付ける退避選択部を更に備え、前記退避選択部が、前記第一退避モードの選択を受け付けると、前記処理制御部は、前記駆動部を制御し、前記第一溶融処理の後に、前記先端部を前記第二点に戻し、前記退避選択部が、前記第二退避モードの選択を受け付けると、前記処理制御部は、前記駆動部を制御し、前記第一溶融処理の後に、前記先端部を前記直角の方向に移動させてもよい。
【0033】
本構成によれば、第一退避モードを選択することで、第一溶融処理の終了後、半田鏝の先端部を、第一溶融処理を行う前に存在していた第二点に戻すことができる。これにより、半田鏝の先端部が障害物に衝突するリスクを低減できる。一方、第二退避モードを選択することで、第一溶融処理の終了後、半田鏝の先端部を、直角の方向に移動させることができる。これにより、溶融している半田を半田鏝の先端部で前記直角の方向に引きよせ、所謂赤目不良の発生を抑制することができる。
【0034】
また、
本発明による溶融制御装置は、加熱工具の先端部を移動させる駆動部と、前記先端部を用いた所定の溶融処理を行う溶融処理部と、前記溶融処理が行われる第一点を表す三次元座標上の座標情報の入力と前記第一点とは異なる位置を表す位置情報の入力とを受け付ける受付部と、前記駆動部に前記先端部を前記位置情報が表す前記位置と前記第一点との間で移動させ、前記先端部が前記第一点に存在するときに、前記溶融処理部に前記溶融処理を行わせる処理制御部と、を備え、前記加熱工具は、接合材料を吸引及び除去する吸取装置であり、前記先端部が、前記第一点に存在するときに、前記処理制御部は、前記溶融処理部を制御し、前記先端部に吸引力を生じさせてもよい。
【0035】
本構成によれば、吸取装置の先端部が第一点に存在するときに、吸取装置の先端部に吸引力が生じる。これにより、第一点に存在する接合材料を吸取装置の先端部で溶融し、吸引及び除去することができる。
【0036】
また、
本発明による溶融制御装置は、加熱工具の先端部を移動させる駆動部と、前記先端部を用いた所定の溶融処理を行う溶融処理部と、前記溶融処理が行われる第一点を表す三次元座標上の座標情報の入力と前記第一点とは異なる位置を表す位置情報の入力とを受け付ける受付部と、前記駆動部に前記先端部を前記位置情報が表す前記位置と前記第一点との間で移動させ、前記先端部が前記第一点に存在するときに、前記溶融処理部に前記溶融処理を行わせる処理制御部と、を備え、前記加熱工具は、接合材料を溶融する熱風を吹き出す熱風装置であり、前記先端部が、前記第一点に存在するときに、前記処理制御部は、前記溶融処理部を制御し、前記先端部から前記熱風を噴出させてもよい。
【0037】
本構成によれば、熱風装置の先端部が第一点に存在するときに、熱風装置の先端部から熱風が噴出される。これにより、第一点に存在する接合材料を熱風装置の先端部から噴出した熱風で溶融することができる。
【0038】
また、前記加熱工具は、鉛直方向に延びる鉛直軸及び前記鉛直軸に直交する水平軸に沿って支持具を移動させる直交型ロボットの前記支持具によって保持され、前記第一点は前記鉛直軸及び前記水平軸によって定められていてもよい。
【0039】
本構成によれば、上記従来技術とは異なり、エアシリンダを用いなくても、前記対象位置としたい第一点を表す三次元座標上の座標情報を入力し、前記対象位置から基板の表面に対して傾斜する方向に離間した位置を表す位置情報を入力することで、互いに直交し合う鉛直軸及び水平軸に沿って移動する直交型ロボットの支持具によって保持されている加熱工具の先端部を、前記離間した位置と前記対象位置との間で、移動させることができる。
【0040】
また、前記加熱工具は、前記支持具によって基板の表面に対して傾斜した姿勢で保持されていてもよい。
【0041】
本構成によれば、溶融処理の対象位置が素子の下面と基板の表面との間に存在する場合であっても、前記対象位置としたい第一点を表す三次元座標上の座標情報を入力し、前記対象位置から基板の表面に対して傾斜する方向に離間した位置を表す位置情報を入力することで、互いに直交し合う鉛直軸及び水平軸に沿って移動する直交型ロボットの支持具によって、基板の表面に対して傾斜した姿勢で保持されている加熱工具の先端部を、前記離間した位置と前記対象位置との間で、基板の表面に対して傾斜する方向に移動させることができる。これにより、加熱工具の先端部を、素子の上面に衝突しない移動経路で前記対象位置まで移動させることができる。
【0042】
また、前記溶融制御装置は、前記溶融処理を行いながら前記先端部を移動させる本運転又は前記溶融処理を行わずに前記先端部を移動させる試運転の実行指示を受け付ける運転受付部と、前記試運転時又は前記本運転時の前記先端部の移動速度を設定値よりも低減又は増大することの要求を受け付ける調整要求受付部と、を備え、前記調整要求受付部が前記要求を受け付けた場合、前記運転受付部が前記試運転又は前記本運転の前記実行指示を受け付けると、前記駆動部は、前記先端部の移動速度を前記設定値よりも低減又は増大された移動速度で前記先端部を移動させてもよい。
【0043】
本構成によれば、試運転の実行指示を入力することにより、溶融処理を行わずに先端部を移動させることができる。これにより、本運転時に先端部を移動させたときに、先端部が基板上の部品に衝突する等の問題が生じるか否かを、本運転を行わずに確認することができる。
【0044】
前記問題が生じた場合、先端部の移動速度を設定値よりも低減することを要求し、試運転の実行指示を入力すればよい。この場合、溶融処理を行わずに先端部が設定値よりも低減された移動速度で移動される。このため、前記問題を詳細に把握することが容易となる。前記問題が解消すれば、先端部の移動速度を設定値よりも増大することを要求し、試運転の実行指示を入力すればよい。この場合、溶融処理を行わずに先端部が設定値よりも増大された移動速度で移動される。このため、前記問題が解消したことを迅速に確認することができる。
【0045】
また、本構成によれば、先端部の移動速度を設定値よりも低減することを要求し、本運転の実行指示を入力することにより、溶融処理を行いながら、先端部を設定値よりも低減された移動速度で移動させることができる。この場合、溶融処理で溶融された溶融金属が付着した先端部を移動させることによって、移動中の先端部の近傍にある基板上の部品に溶融金属を付着させる等の問題が生じるか否かを確認することができる。
【0046】
また、溶融処理の対象位置が多量にある場合には、先端部の移動速度を設定値よりも増大することを要求し、本運転の実行指示を入力すればよい。これにより、溶融処理を行いながら、先端部を設定値よりも増大された移動速度で移動させて、各溶融処理の対象位置における溶融処理を迅速に行うことができる。
【0047】
また、前記調整要求受付部は、前記先端部の現在位置から前記始点までの第一経路と、前記始点から前記終点までの第二経路と、前記終点から前記溶融処理が行われる基板の表面から離間した所定の退避位置までの第三経路と、の中の少なくとも一つが、前記移動速度が低減又は増大される対象経路として選択されることを、前記要求として受け付け、前記駆動部は、前記対象経路においては前記先端部の移動速度を前記設定値よりも低減又は増大された移動速度で前記先端部を移動させてもよい。
【0048】
本構成によれば、第一経路、第二経路及び第三経路の中から、試運転又は本運転において先端部の移動速度を低減又は増大させたい経路を対象経路として選択し、試運転又は本運転の実行指示を入力することができる。これにより、所望の対象経路において先端部の移動速度を設定値よりも低減又は増大した移動速度で移動させ、試運転及び本運転を効果的に実行することができる。
【発明の効果】
【0049】
本発明によれば、溶融処理の対象位置の設定作業の煩雑さを解消し、当該対象位置への高い精度での到達及び加熱工具の先端部の損傷リスクの低減を実現できる溶融制御装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0051】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図面において、同じ構成要素については同じ符号が用いられている。
【0052】
(機能構成)
図1は、溶融制御装置100の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2は、自動半田付けユニット90の斜視図である。
図3は、基板表面PLと三次元座標との関係を示す図である。
【0053】
図1に示すように、溶融制御装置100は、加熱部2と溶融処理部3と駆動部4と表示部5と操作部6と記憶部7と制御部1とを備える。
【0054】
加熱部2は、
図2に示す半田鏝9(加熱工具の一例)の鏝先91(先端部の一例)を所定温度に加熱する。加熱部2による鏝先91の加熱のタイミング及び温度は、後述の処理制御部12により制御される。
【0055】
溶融処理部3は、半田鏝9の鏝先91を用いた溶融処理を実行する。溶融処理部3は、溶融処理において、加熱部2により加熱された半田鏝9の鏝先91に所定量の半田SLを供給する。溶融処理部3が溶融処理において半田鏝9の鏝先91に半田SLを供給するタイミング及び量は、後述の処理制御部12により制御される。
【0056】
具体的には、
図2に示すように、加熱部2は、自動半田付けユニット90が備える半田鏝9の本体92に挿入された鏝先ヒータ一体型組品に内蔵された、金属線材から形成されたコイルヒータ等で構成される。溶融処理部3は、自動半田付けユニット90が備える半田供給機構93により構成される。半田供給機構93は、不図示のリールから導入される半田SLを繰り出すことが可能な公知の機構である。
【0057】
自動半田付けユニット90は、
図2及び
図3に示すように、直交型四軸駆動ロボット(直交型ロボットの一例)のアーム8(支持具の一例)に固定された鏝ユニットベース900と、鏝ユニットベース900に連結された半田鏝9及び半田供給機構93とを備える。つまり、加熱部2を構成する半田鏝9及び溶融処理部3を構成する半田供給機構93は、アーム8に固定された鏝ユニットベース900の移動に合わせて一体的に移動する。これにより、半田供給機構93により構成される溶融処理部3は、半田鏝9の鏝先91の移動に合わせて、鏝先91に半田SLを供給可能となっている。半田供給機構93や半田鏝9の更なる具体的な構成は、公知であるのでその説明を省略する。
【0058】
駆動部4は、
図3に示すように、アーム8を移動させることで、上記鏝ユニットベース900に連結された半田鏝9の鏝先91を三次元座標上の所定の点(例:P1(x1、y1、z1))に移動させる。
【0059】
三次元座標は、溶融処理部3による溶融処理の対象となる基板表面PLに沿って互いに直交するX軸(水平軸の一例)及びY軸(水平軸の一例)と、基板表面PLに対して直角の方向(鉛直方向の一例)に延びる(水平軸に直交する)Z軸(鉛直軸の一例)と、の三軸によって定められる。以降、X軸に沿う方向をX軸方向、Y軸に沿う方向をY軸方向、Z軸に沿う方向をZ軸方向と記載する。Z軸に沿って基板表面PLから離れる方向を上方、その反対方向を下方と記載する。また、Z座標は、上方の位置である程、大きく、下方の位置である程、小さいものとする。
【0060】
Z軸方向に延びるアーム8の回転軸81の延長線上に半田鏝9の鏝先91が存在するように、半田鏝9は鏝ユニットベース900に連結され、鏝ユニットベース900はアーム8に固定されている。つまり、半田鏝9は、直交型四軸駆動ロボットのアーム8によって、基板表面PLに対して傾斜した姿勢で保持されている。駆動部4は、回転軸81を中心にアーム8をθ方向(左回り)に回転させることで、半田鏝9の鏝先91を中心に半田鏝9をθ方向に回転させる。
図3における符号90aは、自動半田付けユニット90を基板表面PLへ投影した図を示す。
図3では、駆動部4が、鏝先91を中心にして半田鏝9をX軸方向から角度「θ1」だけθ方向に回転させたことを例示している。
【0061】
駆動部4は、第一駆動部41、第二駆動部42、第三駆動部43、及び第四駆動部44として機能する。
【0062】
第一駆動部41は、後述の処理制御部12により指定されたX座標(例:x1)の位置まで、鏝先91をX軸に沿って移動させる。第一駆動部41は、アーム8をX軸に沿って移動させる駆動モータで構成される。尚、第一駆動部41は、溶融処理の対象となる基板を載置するための不図示の載置台を、X軸に沿って移動させる駆動モータで構成してもよい。第二駆動部42は、後述の処理制御部12により指定されたY座標(例:y1)の位置まで、鏝先91をY軸に沿って移動させる。第二駆動部42は、アーム8をY軸に沿って移動させる駆動モータで構成される。尚、第二駆動部42は、基板を載置するための不図示の載置台を、Y軸に沿って移動させる駆動モータで構成してもよい。第三駆動部43は、後述の処理制御部12により指定されたZ座標(例:z1)の位置まで、鏝先91をZ軸に沿って移動させる。第三駆動部43は、アーム8をZ軸に沿って移動させる駆動モータで構成される。
【0063】
第四駆動部44は、半田鏝9の中心軸がX軸方向に対してθ方向(左回り)になす角度が、後述の処理制御部12により指定された角度(例:θ1)となるように、鏝先91を中心にして半田鏝9をθ方向に回転させる。以降、半田鏝9の中心軸がX軸方向に対してθ方向になす角度が角度「θx」となるように、鏝先91を中心にして半田鏝9をθ方向に回転させることを、半田鏝9の方角を角度「θx」に調整すると略記する。第四駆動部44は、アーム8を回転軸81を中心にθ方向に回転させる駆動モータで構成される。
【0064】
表示部5は、溶融制御装置100の操作画面を表示する。表示部5は、液晶ディスプレイ等で構成される。操作部6は、作業者に操作画面の操作を行わせる。操作部6は、タッチパネルや、作業者に、情報を入力させるためのキーボードや、操作画面に表示されたカーソルを移動させたり、ボタンをクリックさせるためのマウス等で構成される。記憶部7は、各種情報を記憶する。記憶部7は、メモリや、HDD(Hard Disk Drive)や、SSD(Solid State Drive)等の記憶装置で構成される。
【0065】
制御部1は、溶融制御装置100が備える各部を制御する。制御部1は、CPU、RAM、ROM等を備えたマイクロコンピュータで構成される。具体的には、マイクロコンピュータにおいて、前記CPUが、前記ROMや外部の他の記憶媒体(例:DVD等)等に記憶された制御プログラムを実行することにより、制御部1は、受付部11、処理制御部12、処理選択部13、退避選択部14、運転受付部15、調整要求受付部16及びテスト制御部17として機能する。
【0066】
受付部11は、第一点を表す三次元座標上(
図3)の座標情報の入力と第一点とは異なる第二点を表す三次元座標上の座標情報の入力とを受け付ける。
【0067】
処理制御部12は、駆動部4に鏝先91を第二点と第一点との間で移動させ、鏝先91が第一点に存在するときに、溶融処理部3に所定の溶融処理を行わせる。
【0068】
処理選択部13は、基板上の所定の点で半田点を形成する点半田モード(第一処理モードの一例)と、基板上で半田SLの線分を描く引き半田モード(第二処理モードの一例)との間での選択を受け付ける。
【0069】
退避選択部14は、溶融処理後に、鏝先91を溶融処理前の鏝先91の移動の始点(退避位置の一例)に戻す始点退避モード(第一退避モードの一例)と、Z軸方向(
図3)に沿って鏝先91を上方に移動させる上方退避モード(第二退避モードの一例)との間での選択を受け付ける。
【0070】
運転受付部15は、溶融処理を行いながら鏝先91を移動させる本運転又は溶融処理を行わずに鏝先91を移動させる試運転の実行指示を受け付ける。
【0071】
調整要求受付部16は、鏝先91の移動速度を設定値より低減又は増大することの要求を受け付ける。具体的には、調整要求受付部16は、後述する鏝先91の移動経路の少なくとも一つが、鏝先91の移動速度が低減又は増大される対象経路として選択されることを、前記要求として受け付ける。
【0072】
テスト制御部17は、運転受付部15が前記試運転の実行指示を受け付けると、駆動部4によって、調整要求受付部16が受け付けた対象経路においては、鏝先91の移動速度を設定値よりも低減又は増大された移動速度で鏝先91を移動させる。
【0073】
(受付方法)
以下、受付部11、処理選択部13、退避選択部14、運転受付部15及び調整要求受付部16における入力及び選択の受付方法について詳述する。
図4は、溶融処理の制御に関する情報の編集操作画面W1の一例を示す図である。
図11は、移動速度の編集操作画面W2の一例を示す図である。具体的には、処理選択部13、退避選択部14、運転受付部15及び調整要求受付部16は、表示部5に表示された
図4に示すような編集操作画面W1及び
図11に示すような編集操作画面W2を用いて、各種入力又は選択を受け付ける。
図4に示すように、編集操作画面W1には、編集欄A1、A2と、5個のソフトキーB1〜B5と、が含まれる。
【0074】
編集欄A1は、溶融処理の対象となる基板の種類を表す基板情報(例:xxxxxx)の編集欄である。
【0075】
編集欄A2は、編集欄A1で編集された基板情報が表す種類の基板上の各対象位置で行う溶融処理の制御に用いる情報の編集欄である。具体的には、編集欄A2には、順番表示欄、処理モード選択欄、区分表示欄、位置情報編集欄、方角編集欄、条件編集欄、及び退避モード選択欄等が含まれる。
【0076】
順番表示欄には、各対象位置に半田点を形成する又は半田SLの線分を描く順番(例:1、2、3・・・)が表示される。
【0077】
処理モード選択欄では、各対象位置に半田点を形成する点半田モード(例:点半田)又は各対象位置に半田SLの線分を描く引き半田モード(例:引き半田)の選択が行われる。
【0078】
区分表示欄には、各対象位置に半田点を形成する又は半田SLの線分を描くために、鏝先91を移動させるときの始点であるか終点であるかが表示される。
【0079】
位置情報編集欄では、区分表示欄に表示された始点及び終点の位置を表す位置情報の編集が行われる。具体的には、位置情報編集欄では、始点及び終点の位置を表す位置情報として、三次元座標(
図3)上における始点及び終点を表す座標情報(例:始点を表す座標情報(x12、y12、z12)、終点を表す座標情報(x11、y11、z11))の編集が行われる。
【0080】
方角編集欄では、始点及び終点において半田鏝9がX軸方向に対してθ方向(
図3)になす角度(例:θ12、θ11)の編集が行われる。
【0081】
条件編集欄では、各対象位置で行う溶融処理の制御条件の編集が行われる。溶融処理の制御条件には、溶融処理を行うタイミングや当該溶融処理における半田SLの供給量等が含まれる。条件編集欄がクリックされると、不図示の編集画面が表示される。当該編集画面で溶融処理の制御条件の編集が可能となる。
【0082】
具体的には、処理モード選択欄で点半田モードが選択された場合、終点(例:x11、y11、z11)に対応付けられた条件編集欄内の本処理条件欄及び後処理条件欄がクリック可能となる。
【0083】
本処理条件欄をクリックした時に表示される編集画面では、鏝先91が終点に存在するときに、主とする溶融処理(以降、第一溶融処理と記載する)を行うことの設定が行われる。また、当該編集画面では、第一溶融処理における半田SLの供給量(以降、第一量と記載する)の編集が行われる。
【0084】
また、当該編集画面では、鏝先91を現在位置から始点までの第一経路において移動させるときの速度(以降、第一速度と記載する)の設定値、鏝先91を始点から終点までの第二経路において移動させるときの速度(以降、第二速度と記載する)の設定値及び鏝先91を終点から所定の退避位置までの第三経路において移動させるときの速度(以降、第三速度と記載する)の設定値の編集等が行われる。
【0085】
後処理条件欄をクリックした時に表示される編集画面では、第一溶融処理の終了後、鏝先91を終点に停止させたまま、第一溶融処理の後処理となる溶融処理(以降、第三溶融処理と記載する)を行うことの設定が行われる。また、当該編集画面では、第三溶融処理における半田SLの供給量(以降、第三量と記載する)として、第一量よりも少ない供給量の編集等が行われる。
【0086】
処理モード選択欄で点半田モードが選択された場合、始点(例:x12、y12、z12)に対応付けられた条件編集欄内の前処理条件欄がクリック可能となる。前処理条件欄をクリックした時に表示される編集画面では、鏝先91が始点に存在するときに、第一溶融処理の前処理となる溶融処理(以降、第二溶融処理と記載する)を行うことの設定が行われる。また、当該編集画面では、第二溶融処理における半田SLの供給量(以降、第二量と記載する)として、第一量よりも少ない供給量の編集等が行われる。
【0087】
一方、処理モード選択欄で引き半田モードが選択された場合、始点(例:x31、y31、z3)に対応付けられた条件編集欄内の本処理条件欄及び前処理条件欄がクリック可能となる。
【0088】
本処理条件欄をクリックした時に表示される編集画面では、鏝先91が始点から終点まで移動する間、メインとなる溶融処理(以降、第四溶融処理と記載する)を連続的に行うことの設定が行われる。また、当該編集画面では、第四溶融処理における単位当たりの半田SLの供給量(以降、単位供給量と記載する)及び半田鏝9の回転速度の編集が行われる。また、当該編集画面では、処理モード選択欄で点半田モードが選択された場合と同様、第一速度、第二速度及び第三速度の設定値の編集等が行われる。
【0089】
前処理条件欄をクリックした時に表示される編集画面では、鏝先91が始点に到達する前に停止しているときに、第四溶融処理の前処理となる溶融処理(以降、第五溶融処理と記載する)を行うことの設定が行われる。また、当該編集画面では、第五溶融処理における半田SLの供給量(以降、第五量と記載する)として、第四溶融処理における半田SLの総供給量よりも少ない供給量の編集等が行われる。
【0090】
処理モード選択欄で引き半田モードが選択された場合、終点(例:x32、y32、z3)に対応付けられた条件編集欄内の後処理条件欄がクリック可能となる。後処理条件欄をクリックした時に表示される編集画面では、第四溶融処理の終了後、鏝先91を終点に停止させたまま、第四溶融処理の後処理となる溶融処理(以降、第六溶融処理と記載する)を行うことの設定が行われる。また、当該編集画面では、第六溶融処理における半田SLの供給量(以降、第六量と記載する)として、第四溶融処理における半田SLの総供給量よりも少ない供給量の編集等が行われる。
【0091】
退避モード選択欄では、各対象位置における溶融処理の終了後、溶融処理前の鏝先91の移動の始点に戻す始点退避モード(例:始点)又はZ軸方向(
図3)に沿って鏝先91を上方に移動させる上方退避モード(例:上方(z0)、上方(zi))の選択が行われる。
【0092】
退避モード選択欄で上方退避モードが選択された場合、更に、選択画面が表示される。当該選択画面では、鏝先91をZ軸方向(
図3)に沿って鏝先91を上方に移動させるときの移動量を初期値z0にするか、初期値z0ではない所望の移動量ziにするかの選択が行われる。初期値z0は、溶融処理の終点から、次の溶融処理の始点に向かう上方退避の基準点となる。高さのある素子が実装される基板の場合、初期値z0の値を大きく設定し、低い素子のみが実装される基板の場合、初期値z0を小さく設定することで、次の始点に向かう時間を短縮できる。また、当該選択画面では、所望の移動量ziにすることが選択された場合、所望の移動量ziの編集が行われる。つまり、退避モード選択欄で上方
退避モードが選択された場合、溶融処理の終了後、終点からZ軸方向上方に初期値z0又は所望の移動量ziだけ離間した位置(退避位置の一例)に、鏝先91を移動させることになる。
【0093】
ソフトキーB1は、新たな溶融処理の制御に関する情報(以降、溶融制御関連情報と記載する)を編集するためのソフトキーである。ソフトキーB1がクリックされると、制御部1は、表示部5を制御し、編集操作画面W1に表示されている情報を非表示にする。これにより、編集操作画面W1において新たな溶融制御関連情報を設定できるようになる。以降、ソフトキーB1を新規キーB1と記載する。
【0094】
ソフトキーB2は、記憶部7(
図1)に記憶されている溶融制御関連情報を読み出すためのソフトキーである。ソフトキーB2がクリックされると、制御部1は、表示部5を制御し、記憶部7に記憶されている溶融制御関連情報に含まれる、基板情報の一覧が選択可能な選択画面を表示する。当該選択画面において所望の基板情報が選択されると、制御部1は、当該選択された基板情報を含む、溶融制御関連情報を記憶部7から読み出す。制御部1は、表示部5を制御し、当該読み出した情報を編集操作画面W1内に表示させる。以降、ソフトキーB2を開くキーB2と記載する。
【0095】
ソフトキーB3は、編集操作画面W1において編集された溶融制御関連情報を記憶部7に記憶するためのソフトキーである。ソフトキーB3がクリックされると、制御部1は、編集操作画面W1において編集された溶融制御関連情報を記憶部7に記憶する。以降、ソフトキーB3を保存キーB3と記載する。
【0096】
ソフトキーB4は、編集操作画面W1に表示されている溶融制御関連情報に従って、溶融処理を行いながら鏝先91を移動させる本運転の実行指示を入力するためのソフトキーである。ソフトキーB4がクリックされると、運転受付部15は、本運転の実行指示を受け付ける。この場合、処理選択部13、受付部11及び退避選択部14は、各種情報の入力又は選択を受け付ける。
【0097】
具体的には、処理選択部13は、処理モード選択欄における点半田モード又は引き半田モードの選択を受け付ける。
【0098】
処理モード選択欄で点半田モードが選択されている場合、受付部11は、始点の位置を表す位置情報(例:x12、y12、z12)を、第二点を表す座標情報として受け付け、終点の位置を表す位置情報(例:x11、y11、z11)を、第一点を表す座標情報として受け付ける。一方、処理モード選択欄で引き半田モードが選択されている場合、受付部11は、始点の位置を表す位置情報(例:x31、y31、z3)を、第一点を表す座標情報として受け付け、終点の位置を表す位置情報(例:x32、y32、z3)を、第二点を表す座標情報として受け付ける。
【0099】
退避選択部14は、退避モード選択欄における始点退避モード又は上方退避モードの選択を受け付ける。また、退避選択部14は、上方退避モードの選択時に選択された鏝先91の移動量(初期値z0)又は上方退避モードの選択時に編集された鏝先91の移動量(所望の移動量zi)を受け付ける。
【0100】
そして、処理制御部12は、処理選択部13、受付部11及び退避選択部14が受け付けた情報、及び、条件編集欄で編集された制御条件等を用いて本運転を実行する。当該本運転の動作については後述する。以降、ソフトキーB4を実行キーB4と記載する。
【0101】
ソフトキーB5は、編集操作画面W1を閉じるためのソフトキーである。ソフトキーB5がクリックされると、制御部1は、表示部5を制御して、編集操作画面W1を非表示にする。以降、ソフトキーB5を終了キーB5と記載する。
【0102】
ソフトキーB6は、試運転の操作を行うためのソフトキーである。編集操作画面W1において順番表示欄に表示された順番のうちの何れかが選択された後、ソフトキーB6がクリックされると、運転受付部15は、表示部5を制御して、
図11に示すような移動速度の編集操作画面W2を表示する。
【0103】
編集操作画面W2には、四個の編集欄A21〜A24と、三個の選択欄C21〜C23と、二個のソフトキーB21、B22と、が含まれる。
【0104】
編集欄A21には、編集操作画面W2が表示された当初、編集操作画面W1において選択された順番表示欄(以降、対象順番表示欄)に対応する本処理条件欄(以降、対象本処理条件欄)で編集された第一速度の設定値(例:V1)が表示される。編集欄A21では、第一速度の設定値の再編集が行われる。
【0105】
編集欄A22には、編集操作画面W2が表示された当初、対象本処理条件欄で編集された第二速度の設定値(例:V2)が表示される。編集欄A22では、第二速度の設定値の再編集が行われる。
【0106】
編集欄A23には、編集操作画面W2が表示された当初、対象本処理条件欄で編集された第三速度の設定値(例:V3)が表示される。編集欄A23では、第三速度の設定値の再編集が行われる。
【0107】
編集欄A24では、編集欄A21〜A23で編集された鏝先91の移動速度の設定値を低減又は増大する調整率(例:R1)の編集が行われる。編集欄A24で編集された調整率が100%未満の値である場合、編集欄A21〜A23で編集された鏝先91の移動速度の設定値は、当該設定値と調整率との積で表される値に低減される。編集欄A24で編集された調整率が100%よりも大きい値である場合、編集欄A21〜A23で編集された鏝先91の移動速度の設定値は、当該設定値と調整率との積で表される値に増大される。
【0108】
選択欄C21では、鏝先91を第一経路で移動させるときの第一速度の設定値として、編集欄A21で編集された設定値を設定するか、編集欄A21で編集された設定値を編集欄A24において編集された調整率で低減又は増大した第一調整値(=編集欄A21で編集された設定値×前記調整率)を設定するかの選択が行われる。
図11は、第一速度の設定値として、編集欄A21で編集された設定値を設定することが選択された例を示している。
【0109】
選択欄C22では、鏝先91を第二経路で移動させるときの第二速度の設定値として、編集欄A22で編集された設定値を設定するか、編集欄A22で編集された設定値を編集欄A24において編集された調整率で低減又は増大した第二調整値(=編集欄A22で編集された設定値×前記調整率)を設定するかの選択が行われる。
図11は、第二速度の設定値として、前記第二調整値を設定することが選択された例を示している。
【0110】
選択欄C23では、鏝先91を第三経路で移動させるときの第三速度の設定値として、編集欄A23で編集された設定値を設定するか、編集欄A23で編集された設定値を編集欄A24において編集された調整率で低減又は増大した第三調整値(=編集欄A23で編集された設定値×前記調整率)を設定するかの選択が行われる。
図11は、第三速度の設定値として、前記第三調整値を設定することが選択された例を示している。
【0111】
ソフトキーB21は、試運転の実行指示を入力するためのソフトキーである。ソフトキーB21がクリックされると、運転受付部15は、試運転の実行指示を受け付ける。この場合、処理選択部13、受付部11及び退避選択部14は、運転受付部15が本運転の実行指示を受け付けたときと同様、対象順番表示欄に対応する各種情報の入力又は選択を受け付ける。
【0112】
具体的には、処理選択部13は、対象順番表示欄に対応する処理モード選択欄における点半田モード又は引き半田モードの選択を受け付ける。当該処理モード選択欄で点半田モードが選択されている場合、受付部11は、始点の位置を表す位置情報を第二点を表す座標情報として受け付け、終点の位置を表す位置情報を第一点を表す座標情報として受け付ける。一方、当該処理モード選択欄で引き半田モードが選択されている場合、受付部11は、始点の位置を表す位置情報を第一点を表す座標情報として受け付け、終点の位置を表す位置情報を第二点を表す座標情報として受け付ける。
【0113】
退避選択部14は、対象順番表示欄に対応する退避モード選択欄における始点退避モード又は上方退避モードの選択を受け付ける。また、退避選択部14は、上方退避モードの選択時に選択された鏝先91の移動量(初期値z0)又は上方退避モードの選択時に編集された鏝先91の移動量(所望の移動量zi)を受け付ける。
【0114】
また、運転受付部15が試運転の実行指示を受け付けると、調整要求受付部16は、三個の選択欄C21〜C23の其々における選択結果に基づき、鏝先91の移動速度を低減又は増大する対象経路の選択を受け付ける。
【0115】
例えば、
図11に示す具体例では、選択欄C22において、編集欄A22で編集された設定値を低減又は増大した第二調整値を、第二速度の設定値として設定することが選択されている。また、選択欄C23において、編集欄A23で編集された設定値を低減又は増大した第三調整値を第三速度の設定値として設定することが選択されている。この場合、調整要求受付部16は、第二経路及び第三経路における鏝先91の移動速度である第二速度及び第三速度を低減又は増大することが選択されているので、第二経路及び第三経路を、鏝先91の移動速度を低減又は増大する対象経路として受け付ける。
【0116】
ソフトキーB22は、編集操作画面W2を閉じるためのソフトキーである。ソフトキーB22がクリックされると、運転受付部15は、表示部5を制御して、編集操作画面W2を非表示にする。
【0117】
(点半田モード選択時の動作フロー)
以下、基板上の一の対象位置に半田点を形成する動作について、
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は、点半田モード選択時の始点と終点との関係の一例を示す図である。
図6は、点半田モード選択時の本運転の動作の一例を示すフローチャートである。
【0118】
図5には、
図4に示した順番「1」の対象位置に対応する位置情報編集欄で編集された始点を表す座標情報及び方角情報の組み合わせ(x12、y12、z12、θ12)を例示している。また、終点を表す座標情報及び方角情報の組み合わせ(x11、y11、z11、θ11)を例示している。以下では、
図5に例示した順番「1」(
図4)の対象位置に対応する始点及び終点を表す座標情報及び方角情報の組み合わせを具体例として用い、当該対象位置に半田点を形成する動作について説明する。
【0119】
尚、処理制御部12は、
図6に示す動作の事前に、加熱部2を制御して、鏝先91を半田SLを溶融可能な所定温度に加熱しているとする。その後、ソフトキーB4(
図4)がクリックされ、運転受付部15が本運転の実行指示を受け付けたとする。これにより、処理選択部13が、基板上の順番「1」(
図4)の対象位置について、点半田モードの選択を受け付け、受付部11は、始点を表す位置情報を第二点を表す座標情報として受け付け、終点を表す位置情報を第一点を表す座標情報として受け付けたとする。
【0120】
図6に示すように、処理制御部12は、鏝先91の現在位置のZ座標が、上方退避モードにおいて鏝先91を上方に移動させるときの移動量の初期値z0よりも小さいか否かを判定する(S11)。
【0121】
処理制御部12は、鏝先91の現在位置のZ座標が初期値z0よりも小さく、Z座標「z0」の位置よりも下方を表すと判定した場合(S11;YES)、第三駆動部43を制御して、鏝先91を現在位置からZ軸に沿ってZ座標「z0」の位置まで移動させる(S12)。
【0122】
処理制御部12は、鏝先91の現在位置のZ座標が初期値z0以上であり、Z座標「z0」の位置よりも上方又はZ座標「z0」の位置と同じ高さ(基板表面PLからZ軸方向に沿って上方の距離)と判定した場合(S11;NO)及びS12を行った後は、S13を行う(S13)。
【0123】
S13において、処理制御部12は、第一駆動部41及び第二駆動部42を制御して、鏝先91を始点のX、Y座標「x12、y12」の位置まで移動させる。また、処理制御部12は、第四駆動部44を制御して、半田鏝9の方角を、始点の方角情報が示す角度「θ12」に調整する。
【0124】
次に、処理制御部12は、第三駆動部43を制御して、鏝先91を、Z軸に沿って始点のZ座標「z12」の位置まで移動させる(S14)。これにより、鏝先91は、受付部11が第二点を表す座標情報として受け付けた始点に到達する。
【0125】
次に、処理制御部12は、溶融処理部3を制御し、前処理条件欄(
図4)で編集された制御条件に従って、第二量の半田SLを鏝先91に供給する第二溶融処理を実行させる(S15)。尚、前処理条件欄(
図4)で編集された制御条件で第二溶融処理を行うことが設定されていない場合、処理制御部12は、溶融処理部3に第二溶融処理を実行させずに、S15を終了する。
【0126】
次に、処理制御部12は、駆動部4を制御して、鏝先91を、受付部11が第一点を表す座標情報として受け付けた終点まで移動させる(S16)。具体的には、S16において、処理制御部12は、第一駆動部41、第二駆動部42及び第三駆動部43を制御して、鏝先91を、終点のX、Y及びZ座標「x11、y11、z11」の位置まで移動させる。また、処理制御部12は、第四駆動部44を制御して、半田鏝9の方角を、終点の方角情報が示す角度「θ11」に調整する。
【0127】
S16の後、処理制御部12は、溶融処理部3を制御し、本処理条件欄(
図4)で編集された制御条件に従って、第一量の半田SLを鏝先91に供給する第一溶融処理を実行させる(S17)。これにより、終点に存在する半田鏝9の鏝先91で第一量の半田SLを溶融し、鏝先91を対象位置にした半田付けを行うことができる。つまり、受付部11が第一点を表す座標情報として受け付けた終点に半田点が形成される。すなわち、点半田モードを選択することで、基板上に形成する半田点の位置となる終点を入力することができる。
【0128】
S15において第二溶融処理が行われた場合は、鏝先91が終点に到達したときに、鏝先91で溶融した第二量の半田を第一溶融処理の開始前に終点に馴染ませることができる。その結果、第一溶融処理による終点を対象位置にした半田付けの精度を高めることができる。
【0129】
S17における第一溶融処理の終了後、処理制御部12は、鏝先91を終点に停止させたまま、溶融処理部3を制御し、後処理条件欄(
図4)で編集された制御条件に従って、第三量の半田SLを鏝先91に供給する第三溶融処理を実行させる(S18)。これにより、第一溶融処理による終点を対象位置にした半田付けの後、更に、第三量の溶融した半田SLを終点に付着させることができる。その結果、終点に付着した半田SLに艶を出す等、終点に付着した半田SLの見映えを向上することができる。尚、後処理条件欄(
図4)で編集された制御条件で、第三溶融処理を行うことが設定されていない場合、処理制御部12は、溶融処理部3に第三溶融処理を実行させずに、S18を終了する。
【0130】
次に、退避選択部14が始点退避モードの選択を受け付けていた場合(S19;YES)、処理制御部12は、駆動部4を制御して、鏝先91を始点まで移動させる(S20)。具体的には、S20において、処理制御部12は、S16と同様、第一駆動部41、第二駆動部42、第三駆動部43、及び第四駆動部44を制御して、鏝先91を始点のX、Y及びZ座標「x12、y12、z12」の位置まで移動させ、半田鏝9の方角を始点の方角情報が示す角度「θ12」に調整する。これにより、基板上の順番「1」(
図4)の対象位置について半田点を形成する動作が終了する。
【0131】
つまり、始点退避モードを選択することで、第一溶融処理の終了後、半田鏝9の鏝先91を、第一溶融処理を行う前に存在していた始点に戻すことができる。これにより、半田鏝9の鏝先91が障害物に衝突するリスクを低減できる。
【0132】
一方、退避選択部14が上方退避モードの選択を受け付けていた場合(S19;NO)、処理制御部12は、第三駆動部43を制御して、鏝先91をZ軸に沿って、退避選択部14が受け付けた鏝先91の移動量(初期値z0又は所望の移動量zi)だけ上方へ移動させる(S21)。これにより、基板上の順番「1」(
図4)の対象位置について半田点を形成する動作が終了する。
【0133】
つまり、上方退避モードを選択することで、第一溶融処理の終了後、半田鏝9の鏝先91を上方に移動させることができる。これにより、溶融している半田SLを半田鏝9の鏝先91で上方に引きよせ、所謂半田付対象端子の赤目不良の発生を抑制することができる。
【0134】
尚、退避選択部14が始点退避モードの選択を受け付けた場合(S19;YES)でも
、始点と終点のX座標及びY座標が同一であり、始点のZ座標が終点のZ座標よりも上方の位置であれば、S20においても、鏝先91はS21と同様に上方へ移動する。
【0135】
始点退避モード及び上方退避モードの何れを選択したとしても、第一溶融処理の終了後、半田鏝9の鏝先91が終点から所定の退避位置に移動される。これにより、第一溶融処理で溶融した第一量の半田SLを冷却させ、終点に固着させることができる。
【0136】
(引き半田モード選択時の動作フロー)
次に、基板上の一の対象位置に半田SLの線分を描く動作について、
図7及び
図8を参照して説明する。
図7は、引き半田モード選択時の始点と終点との関係の一例を示す図である。
図8は、引き半田モード選択時の本運転の動作の一例を示すフローチャートである。
【0137】
図7には、
図4に示した順番「3」の対象位置に対応する位置情報編集欄で編集された始点を表す座標情報及び方角情報の組み合わせ(x31、y31、z3、θ3)を例示している。また、終点を表す座標情報及び方角情報の組み合わせ(x32、y32、z3、θ3)を例示している。以下の説明では、
図7に例示した、順番「3」(
図4)の対象位置に対応する始点及び終点を表す座標情報及び方角情報の組み合わせを具体例として用い、当該対象位置に半田SLの線分を描く動作について説明する。
【0138】
尚、処理制御部12は、
図8に示す動作の事前に、加熱部2を制御して、鏝先91を半田SLを溶融可能な所定温度に加熱しているとする。その後、ソフトキーB4(
図4)がクリックされ、運転受付部15が本運転の実行指示を受け付けたとする。これにより、処理選択部13が、基板上の順番「3」(
図4)の対象位置について、引き半田モードの選択を受け付け、受付部11は、始点を表す位置情報を第一点を表す座標情報として受け付け、終点を表す位置情報を第二点を表す座標情報として受け付けたとする。また、上述の基板上の一の対象位置に半田点を形成する動作において説明した処理と同じ処理については、同じ符号を付し、その説明を簡略化する。
【0139】
図8に示すように、処理制御部12は、点半田モード選択時の本運転の動作と同様に、S11〜S13を行う。
【0140】
S13の後、処理制御部12は、S15(
図6)と同様、溶融処理部3を制御し、前処理条件欄(
図4)で編集された制御条件に従って、第五量の半田SLを鏝先91に供給する第五溶融処理を実行させる(S31)。つまり、処理制御部12は、引き半田モードの選択が受け付けられた場合、第一点を表す座標情報として受け付けられた始点にてメインとなる第四溶融処理の実行を開始するため、S13の後、鏝先91が始点の上方の位置にあるときに、第五溶融処理を実行させる。尚、前処理条件欄(
図4)で編集された制御条件で第五溶融処理を行うことが設定されていない場合、処理制御部12は、溶融処理部3に第五溶融処理を実行させずに、S31を終了する。
【0141】
次に、処理制御部12は、第三駆動部43を制御して、鏝先91を、Z軸に沿って始点のZ座標「z3」の位置まで移動させる(S14)。これにより、鏝先91は、受付部11が第一点を表す座標情報として受け付けた始点に到達する。
【0142】
次に、処理制御部12は、駆動部4を制御して、鏝先91を、始点から、受付部11が第二点を表す座標情報として受け付けた終点まで移動させながら、第四溶融処理を連続的に行う(S32〜S34)。
【0143】
S32において、処理制御部12は、駆動部4を制御し、鏝先91を、始点から終点まで移動させることを開始する。尚、処理制御部12は、当該鏝先91の移動中、鏝先91が始点と終点とを両端とする直線上を、本処理条件欄(
図4)で編集された移動速度で移動するように駆動部4を制御する。また、処理制御部12は、第四駆動部44を制御し、
半田鏝9の方角を、終点の方角情報が示す角度「θ3」に調整することを開始する。尚、処理制御部12は、当該半田鏝9の方角の調整中、半田鏝9の中心軸が、本処理条件欄(
図4)で編集された回転速度で回転するように第四駆動部44を制御する(S32)。
【0144】
例えば、
図7に示すように、処理制御部12は、S32において、第一駆動部41、第二駆動部42及び第三駆動部43を制御し、鏝先91を、始点のX、Y及びZ座標「x31、y31、z3」の位置と終点のX、Y及びZ座標「x32、y32、z3」の位置とを両端とする直線上で、本処理条件欄(
図4)で編集された移動速度で移動させることを開始する。また、処理制御部12は、第四駆動部44を制御して、半田鏝9の方角を、終点の方角情報が示す角度「θ3」に調整することを開始する。この調整中、処理制御部12は、半田鏝9の中心軸が、本処理条件欄(
図4)で編集された回転速度で回転するように、第四駆動部44を制御する。
【0145】
尚、本具体例では、始点におけるZ座標「z3」と終点におけるZ座標「z3」は同一である。また、始点の方角情報が示す角度「θ3」と終点の方角情報が示す角度「θ3」は同一である。このため、処理制御部12は、S32において、第三駆動部43及び第四駆動部44の制御は行わず、第一駆動部41及び第二駆動部42のみを制御し、鏝先91を、始点のX及びY座標「x31、y31」の位置と終点のX及びY座標「x32、y32」の位置とを両端とする直線上で移動させることを開始する。
【0146】
そして、処理制御部12は、溶融処理部3を制御し、本処理条件欄(
図4)で編集された制御条件に従い、単位供給量の半田SLを鏝先91に供給する第四溶融処理を実行させる(S33)。処理制御部12は、鏝先91が終点に到達していない間(S34;NO)、S33を繰り返し行う。
【0147】
これにより、鏝先91が始点から終点まで直線的に移動している間、第四溶融処理によって単位供給量の半田SLが連続して鏝先91で溶融される。その結果、始点と終点とを両端とする直線上に一定量の半田SLを付着させることができる。つまり、受付部11が第一点を表す座標情報として受け付けた始点と、受付部11が第二点を表す座標情報として受け付けた終点と、を両端とする半田SLの線分が描かれる。すなわち、引き半田モードを選択することで、基板上に描く半田SLの線分の始点を入力し、前記線分の終点を入力することができる。
【0148】
S31において第五溶融処理が行われた場合は、鏝先91が始点に到達したときに、鏝先91で溶融した第五量の半田SLを最初の第四溶融処理の開始前に始点に馴染ませることができる。その結果、当該線分を描く半田付けの精度を高めることができる。
【0149】
鏝先91が終点に到達すると(S34;YES)、処理制御部12は、溶融処理部3に第四溶融処理を終了させる。そして、処理制御部12は、鏝先91を終点に停止させたまま、溶融処理部3を制御し、後処理条件欄(
図4)で編集された制御条件に従って、第六量の半田SLを鏝先91に供給する第六溶融処理を実行させる(S35)。これにより、第四溶融処理による始点から終点を両端とする線分を対象位置にした半田付けの後、更に、第六量の溶融した半田SLを終点に付着させることができる。その結果、終点に付着した半田SLに艶を出す等、終点に付着した半田SLの見映えを向上することができる。尚、後処理条件欄(
図4)で編集された制御条件で、第六溶融処理を行うことが設定されていない場合、処理制御部12は、溶融処理部3に第六溶融処理を実行させずに、S35を終了する。
【0150】
以降は、
図6に示したS19〜S21と同じ処理が行われる。これにより、基板上の順番「3」(
図4)の対象位置について半田SLの線分を描く動作が終了する。
【0151】
本実施形態の構成によれば、溶融処理の対象位置としたい第一点(点半田モード選択時は、終点。引き半田モード選択時は、始点)を表す座標情報を入力することで、当該第一点において、溶融処理を行わせることができる。また、第一点を変更することなく、半田鏝9の鏝先91が適切な移動経路を辿るように、第二点(点半田モード選択時は、始点。引き半田モード選択時は、終点)を表す座標情報を入力することができる。
【0152】
また、本実施形態の構成によれば、互いに直交し合うX軸、Y軸及びZ軸それぞれに沿って移動するアーム8によって、半田鏝9が基板表面PLに対して傾斜した姿勢で保持されている。このため、溶融処理の対象位置が素子の下面と基板表面PLとの間に存在する場合であっても、前記対象位置としたい第一点を表す座標情報を入力し、前記対象位置から基板表面PLに対して傾斜する方向に離間した位置を表す座標情報を入力することで、鏝先91を、前記離間した位置と前記対象位置との間で、基板表面PLに対して傾斜する方向に移動させることができる。これにより、半田鏝9の鏝先91を、素子の上面に衝突しない移動経路で移動させることができる。したがって、本実施形態の構成によれば、作業者が望む溶融処理の対象位置への高い精度での到達を実現できる。
【0153】
また、本実施形態の構成によれば、従来技術とは異なり、溶融処理の対象位置となる第一点を表す座標情報を直接的に設定することができ、溶融処理の対象位置を設定するために多数の設定点それぞれの調整を必要としない。このため、溶融処理の対象位置の設定後に、治具による基板の支持位置の移動等によって、溶融処理の対象位置が変更された場合でも、作業者は、変更後の溶融処理の対象位置を表す座標情報を直接的に設定し、迅速に溶融処理の対象位置を設定し直すことができる。したがって、本実施形態の構成によれば、溶融処理の対象位置の設定作業の煩雑さを解消できる。
【0154】
また、上述のように、第一点は溶融処理が行われる位置であるので、駆動部4は、処理制御部12の制御下で、半田鏝9の鏝先91を第一点で停止させる。このため、半田鏝9の鏝先91は、過度に大きな衝撃力を受けにくい。これにより、半田鏝9の鏝先91の損傷リスクの低減を実現できる。
【0155】
また、本実施形態の構成によれば、点半田モードを選択することで、基板上の所定の点に半田点を形成するために鏝先91を移動させるときの終点となる第一点を表す座標情報を入力し、前記所定の点に半田点を形成するために鏝先91を移動させるときの始点となる第二点を表す座標情報を入力することができる。また、引き半田モードを選択することで、基板上に半田SLの線分を描くために鏝先91を移動させるときの始点となる第一点を表す座標情報を入力し、前記線分を描くために鏝先91を移動させるときの終点となる第二点を表す座標情報を入力することができる。
【0156】
つまり、本実施形態の構成によれば、基板上に半田点を形成するか、基板上に半田SLの線分を描くかを作業者に選択させることができ、何れが選択された場合でも、作業者に入力させる情報を、基板上に半田点を形成する又は半田SLの線分を描くために鏝先91を移動させるときの始点及び終点に共通化することができる。
【0157】
(試運転の動作フロー)
次に、試運転の動作について、
図12を主に参照して説明する。
図12は、試運転の動作の一例を示すフローチャートである。以下では、具体例として、
図4に示す編集操作画面W1において、順番「1」が表示された順番表示欄が対象順番表示欄である場合に実行される試運転の動作について説明する。
【0158】
図4に示す編集操作画面W1において、順番「1」が表示された対象順番表示欄が選択された状態でソフトキーB6がクリックされ、
図11に示す編集操作画面W2で、編集欄A21〜A24における編集及び選択欄C21〜C23における選択が行われた後、ソフトキーB21がクリックされたとする。これにより、運転受付部15が試運転の実行指示を受け付けると、調整要求受付部16は、三個の選択欄C21〜C23の其々における選択結果に基づき、鏝先91の移動速度を低減又は増大する対象経路の選択を受け付け、テスト制御部17は、試運転を開始する。
【0159】
当該試運転が開始されると、
図12に示すように、テスト制御部17は、
図6のS11と同様、鏝先91の現在位置のZ座標が、上方退避モードにおいて鏝先91を上方に移動させるときの移動量の初期値z0よりも小さいか否かを判定する(S41)。
【0160】
テスト制御部17は、鏝先91の現在位置のZ座標が初期値z0よりも小さく、Z座標「z0」の位置よりも下方を表すと判定した場合(S41;YES)、第三駆動部43を制御して、鏝先91を現在位置からZ軸に沿ってZ座標「z0」の位置まで第三速度で移動させる(S42)。
【0161】
具体的には、調整要求受付部16が第三経路を対象経路として受け付けなかった場合、テスト制御部17は、S42において、編集操作画面W2の編集欄A23で編集された設定値の第三速度で鏝先91を移動させる。一方、調整要求受付部16が第三経路を対象経路として受け付けた場合、テスト制御部17は、S42において、編集欄A23で編集された設定値を編集欄A24において編集された調整率で低減又は増大した第三調整値(=編集欄A23で編集された設定値×前記調整率)の第三速度で鏝先91を移動させる。
【0162】
次に、テスト制御部17は、
図6のS13と同様、第一駆動部41及び第二駆動部42を制御して、ソフトキーB21がクリックされたときに受付部11が第二点を表す座標情報として受け付けた始点のX、Y座標「x12、y12」(
図5)の位置まで、第一速度で移動させる。また、テスト制御部17は、第四駆動部44を制御して、半田鏝9の方角を、対象順番表示欄に対応する方角情報編集欄で編集された始点の方角情報が示す角度「θ12」(
図5)に調整する。(S43)。
【0163】
具体的には、調整要求受付部16が第一経路を対象経路として受け付けなかった場合、テスト制御部17は、S43において、編集操作画面W2の編集欄A21で編集された設定値の第一速度で鏝先91を移動させる。一方、調整要求受付部16が第一経路を対象経路として受け付けた場合、テスト制御部17は、S43において、編集欄A21で編集された設定値を編集欄A24において編集された調整率で低減又は増大した第一調整値(=編集欄A21で編集された設定値×前記調整率)の第一速度で鏝先91を移動させる。
【0164】
次に、テスト制御部17は、
図6のS14と同様、第三駆動部43を制御して、ソフトキーB21がクリックされたときに受付部11が第二点を表す座標情報として受け付けた始点のZ座標「z12」(
図5)の位置まで、鏝先91を、Z軸に沿って、S43と同じ設定値の第一速度で移動させる(S44)。つまり、S43及びS44において、駆動部4は、現在位置から受付部11が第二点を表す座標情報として受け付けた始点までの第一経路において、鏝先91を第一速度で移動させる。
【0165】
次に、テスト制御部17は、
図6のS16と同様、第一駆動部41、第二駆動部42及び第三駆動部43を制御して、鏝先91を、ソフトキーB21がクリックされたときに受付部11が第一点を表す座標情報として受け付けた終点のX、Y及びZ座標「x11、y11、z11」(
図5)まで、第二速度で移動させる。また、テスト制御部17は、第四駆動部44を制御して、半田鏝9の方角を、終点の方角情報が示す角度「θ11」(
図5)に調整する(S45)。つまり、S45において、駆動部4は、受付部11が第二点を表す座標情報として受け付けた始点から、受付部11が第一点を表す座標情報として受け付けた終点までの第二経路において、鏝先91を第二速度で移動させる。
【0166】
具体的には、調整要求受付部16が第二経路を対象経路として受け付けなかった場合、テスト制御部17は、S45において、編集操作画面W2の編集欄A22で編集された設定値の第二速度で鏝先91を移動させる。一方、調整要求受付部16が第二経路を対象経路として受け付けた場合、テスト制御部17は、S45において、編集欄A22で編集された設定値を編集欄A24において編集された調整率で低減又は増大した第二調整値(=編集欄A22で編集された設定値×前記調整率)の第二速度で鏝先91を移動させる。
【0167】
次に、ソフトキーB21がクリックされたときに退避選択部14が始点退避モードの選択を受け付けていたとする(S46;YES)。この場合、テスト制御部17は、
図6のS20と同様、第一駆動部41、第二駆動部42、第三駆動部43、及び第四駆動部44を制御して、鏝先91を始点のX、Y及びZ座標「x12、y12、z12」(
図5)の位置まで、S42と同じ設定値の第三速度で移動させ、半田鏝9の方角を始点の方角情報が示す角度「θ12」(
図5)に調整する(S47)。つまり、S47において、駆動部4は、受付部11が第一点を表す座標情報として受け付けた終点から、鏝先91の退避位置として選択された始点までの第三経路において、鏝先91を第三速度で移動させる。
【0168】
一方、ソフトキーB21がクリックされたときに退避選択部14が上方退避モードの選択を受け付けていたとする(S46;NO)。この場合、テスト制御部17は、S42と同様、第三駆動部43を制御して、鏝先91をZ軸に沿って、退避選択部14が受け付けた鏝先91の移動量(初期値z0又は所望の移動量zi)だけ上方へ、S42と同じ設定値の第三速度で移動させる(S48)。つまり、S48において、駆動部4は、受付部11が第一点を表す座標情報として受け付けた終点から、鏝先91の退避位置として選択された、終点よりも前記移動量上方の位置までの第三経路において、鏝先91を第三速度で移動させる。
【0169】
つまり、本実施形態の構成によれば、鏝先91の移動速度を低減する対象経路を選択せず、試運転の実行指示を入力することにより、溶融処理を行わずに鏝先91を移動させることができる。これにより、本運転時に鏝先91を移動させたときに、鏝先91が基板上の部品に衝突する等の問題が生じるか否かを、本運転を行わずに確認することができる。
【0170】
前記問題が生じた場合、編集欄A24の調整率を100%未満の値に編集し、当該問題が生じた経路を、鏝先91の移動速度が低減される対象経路として選択し、試運転の実行指示を入力すればよい。この場合、溶融処理を行わずに鏝先91が移動され、当該選択した対象経路では設定値よりも低減された移動速度で鏝先91が移動される。このため、当該対象経路において生じた問題を詳細に把握することが容易となる。前記問題が解消すれば、編集欄A24の調整率を100%よりも大きい値に編集し、問題が生じていた経路を対象経路として選択し、試運転の実行指示を入力すればよい。この場合、当該選択した対象経路では、溶融処理を行わずに鏝先91が設定値よりも増大された移動速度で移動される。このため、前記問題が解消したことを迅速に確認することができる。
【0171】
(変形実施形態)
尚、上記実施形態は、本発明に係る実施形態の例示に過ぎず、本発明を上記実施形態に限定する趣旨ではない。例えば、以下に示す変形実施形態であってもよい。
【0172】
(1)
図4に示す編集操作画面W1では、点半田モード選択時に、位置情報編集欄において、三次元座標上(
図3)の始点(第二点)の位置を表す位置情報として、座標情報(例:x12、y12、z12)の編集が行われる。しかし、これに代えて、終点(第一点)に対する始点の相対位置を表す情報を編集することで、始点の位置を表す三次元座標の編集の手間を軽減するようにしてもよい。
【0173】
具体的には、
図4に示す編集操作画面W1において、処理モード欄で点半田モードが選択された場合、始点に対応する位置情報編集欄で編集を行えないようにすればよい。そして、終点に対する始点の相対位置を表す情報として、終点から始点までの距離を表す距離情報と、終点から始点の方向を表す方向情報と、の編集が可能な編集欄を設ければよい。
【0174】
例えば、距離情報及び方向情報の編集欄として、終点から始点までの、X軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向それぞれの距離を表す数値の組み合わせであるオフセット値(例:xa、ya、za)の編集が可能な編集欄を、編集操作画面W1に一つだけ設ければよい。
【0175】
この場合、位置情報編集欄で編集された各終点のX座標(例:x11、x21)、Y座標(例:y11、y21)、及びZ座標(例:z11、z21)のそれぞれに対して、上記編集欄で編集されたオフセット値が表す各軸方向の距離を加算又は減算して得られる三次元座標(例:(x11+xa、y11+ya、z11+za)、(x21+xa、y21+ya、z21+za)、又は、(x11−xa、y11−ya、z11−za)、(x21−xa、y21−ya、z21−za))を、各終点に対応する始点の位置を表す三次元座標とすればよい。
【0176】
尚、各終点に対応する位置情報編集欄に対応付けて、各終点から当該終点に対応する始点までのX軸方向、Y軸方向、及びZ軸方向それぞれの距離を表す数値の組み合わせであるオフセット値の編集欄を設けてもよい。
【0177】
または、距離情報の編集欄として、終点から始点までの距離を示す数値の編集欄を設けてもよい。
図9は、終点から始点に向う方向の説明図である。
図9に示すように、終点から始点に向う方向は、終点と始点とを両端とする、距離情報が表す距離と同じ長さの直線OLがXZ平面に対してなす角度αと、直線OLがXY平面に対してなす角度βと、によって特定できる。このため、方向情報の編集欄としては、上記なす角度αと、上記なす角度βと、の編集欄を設ければよい。
【0178】
この構成によれば、三次元座標上の終点を入力し、終点からの距離を表す距離情報と終点からの方向を表す方向情報を入力することで、半田鏝9の鏝先91を、入力した終点の位置、距離情報及び方向情報によって定められる三次元座標上の始点から終点へ移動させることができる。
【0179】
尚、上記なす角度αは、方角編集欄(
図4)で編集可能な、終点において半田鏝9の中心軸がX軸方向に対してθ方向(
図3)になす角度(例:θ11(
図4))としてもよい。これにより、なす角度αの編集の手間を更に省くようにしてもよい。更に、上記なす角度βは、半田鏝9の中心軸とXY平面とがなす角度としてもよい。これにより、上記なす角度βの編集の手間を更に省くようにしてもよい。つまり、上記なす角度αを、終点において半田鏝9の中心軸がX軸方向に対してθ方向(
図3)になす角度とし、上記なす角度βを、半田鏝9の中心軸とXY平面とがなす角度とし、新たに距離情報の編集欄だけを設けるようにしてもよい。
【0180】
(2)半田鏝9は、直交型四軸駆動ロボットのアーム8(
図3)によって、基板表面PLに対して直交する姿勢で保持されていてもよい。本構成によれば、上記従来技術とは異なり、エアシリンダを用いなくても、溶融処理の対象位置を表す三次元座標上の座標情報を入力し、前記対象位置から基板の表面に対して傾斜する方向に離間した位置を表す三次元座標上の座標情報を入力することで、互いに直交し合うX軸、Y軸、及びZ軸それぞれに沿って移動するアーム8によって保持されている半田鏝9の鏝先91を、前記離間した位置と前記対象位置との間で、移動させることができる。
【0181】
(3)運転受付部15が本運転の実行指示を受け付けた場合に、処理制御部12が、処理選択部13、受付部11、退避選択部14及び調整要求受付部16が受け付けた情報、対象経路及び編集操作画面W1の条件編集欄で編集された制御条件等を用いて、本運転を実行するようにしてもよい。
【0182】
本変形実施形態の構成は、例えば以下のようにして実現すればよい。編集操作画面W1(
図4)のソフトキーB4がクリックされた場合に、運転受付部15が、本運転の実行指示を受け付けるとともに、表示部5を制御して、移動速度の編集操作画面W2(
図11)を表示するようにすればよい。そして、編集操作画面W1の編集欄A2において順番「1」が表示された順番表示欄を対象順番表示欄とし、運転受付部15が、当該表示された編集操作画面W2の編集欄A21〜A23に、当該対象順番表示欄に対応する本処理条件欄で編集された第一速度、第二速度及び第三速度の設定値を表示する処理(以降、設定値表示処理)を行うようにすればよい。
【0183】
そして、編集欄A21〜A24における編集及び選択欄C21〜C23における選択が行われた後、ソフトキーB21がクリックされた場合に、処理選択部13、受付部11及び退避選択部14が、上述のように、対象順番表示欄に対応する各種情報の入力又は選択を受け付けるようにすればよい。また、調整要求受付部16が、当該表示された編集操作画面W2の三個の選択欄C21〜C23の其々における選択結果に基づき、鏝先91の移動速度を低減又は増大する対象経路の選択を受け付けるようにすればよい。そして、処理制御部12が、対象順番表示欄に対応する処理モード選択欄で点半田モードが選択されている場合には
図6に示す動作を行い、対象順番表示欄に対応する処理モード選択欄で引き半田モードが選択されている場合には
図8に示す動作を行うようにすればよい。
【0184】
尚、処理制御部12が、
図6及び
図8に示す動作を行う場合には、S12ではS42(
図12)と同様に鏝先91を第三速度で移動させ、S13ではS43(
図12)と同様に鏝先91を第一速度で移動させ、S14ではS44(
図12)と同様に鏝先91を第一速度で移動させるようにすればよい。また、処理制御部12が、
図6に示す動作を行う場合には、S16ではS45(
図12)と同様に鏝先91を第二速度で移動させ、
図8に示す動作を行う場合には、S32ではS45(
図12)と同様に鏝先91を第二速度で移動させるようにすればよい。また、処理制御部12が
図6及び
図8に示す動作を行う場合に、S20ではS47(
図12)と同様に鏝先91を第三速度で移動させ、S21ではS48(
図12)と同様に鏝先91を第三速度で移動させるようにすればよい。
【0185】
処理制御部12が
図6及び
図8に示す動作を終了すると、対象順番表示欄に表示された順番の次の順番が表示された順番表示欄を、新たな対象順番表示欄とし、上述の設定値表示処理以降の処理を行うようにすればよい。
【0186】
つまり、本変形実施形態の構成によれば、編集欄A24の調整率を100%未満の値に編集し、鏝先91の移動速度が低減される対象経路を選択し、本運転の実行指示を入力することにより、溶融処理を行いながら、当該選択した対象経路において鏝先91を設定値よりも低減された移動速度で移動させることができる。この場合、溶融処理で溶融された溶融金属が付着した鏝先91を移動させることによって、移動中の鏝先91の近傍にある基板上の部品に溶融金属を付着させる等の問題が生じるか否かを確認することができる。
【0187】
また、溶融処理の対象位置が多量にある場合には、編集欄A24の調整率を100%よりも大きい値に編集し、鏝先91の移動速度が増大される対象経路を選択し、本運転の実行指示を入力すればよい。これにより、溶融処理を行いながら、当該対象経路では鏝先91を設定値よりも増大された移動速度で移動させて、各溶融処理の対象位置における溶融処理を迅速に行うことができる。
【0188】
(4)編集操作画面W2に三個の選択欄C21〜C23を設けないようにしてもよい。これに合わせて、調整要求受付部16が、編集欄A24で編集された調整率が100%未満の場合、鏝先91の全ての移動経路において鏝先91の移動速度を設定値よりも低減することが要求されたものとして、第一経路、第二経路及び第三経路を鏝先91の移動速度を低減する対象経路として受け付けるようにしてもよい。また、調整要求受付部16が、編集欄A24で編集された調整率が100%よりも大きい値である場合、鏝先91の全ての移動経路において鏝先91の移動速度を設定値よりも増大することが要求されたものとして、第一経路、第二経路及び第三経路を、鏝先91の移動速度を増大する対象経路として受け付けるようにしてもよい。
【0189】
(5)半田鏝9に代えて、半田SL等の接合材料を吸引及び除去する吸取装置を用いてもよい。そして、吸取装置の先端部が、第一点に存在するときに、処理制御部12が、溶融処理部3を制御し、当該先端部に吸引力を生じさせるようにしてもよい。
【0190】
図10(A)は、吸取装置9aの外観図である。具体的には、半田鏝9に代えて、
図10(A)に示す吸取装置9aを用いればよい。吸取装置9aは、先端の吸取口91aがヒータで加熱され、半田SL等の接合材料を溶融させる。つまり、吸取口91aを半田鏝9の鏝先91と同様に扱えばよい。また、当該ヒータにより加熱部2を構成すればよい。また、吸取口91aには、軸方向に貫通孔が設けられており、図外の真空ポンプで負圧吸引することにより、溶融した半田SL等の接合材料を吸取る。つまり、上記真空ポンプにより溶融処理部3を構成すればよい。
【0191】
この構成によれば、吸取口91aが第一点に存在するときに、吸取口91aに吸引力が生じる。これにより、第一点に存在する半田SL等の接合材料を吸取口91aで溶融し、吸引及び除去することができる。
【0192】
(6)半田鏝9に代えて、半田SL等の接合材料を溶融する熱風を吹き出す熱風装置を用いてもよい。そして、熱風装置の先端部が、第一点に存在するときに、処理制御部12が、溶融処理部3を制御し、当該先端部から熱風を噴出させるようにしてもよい。
【0193】
図10(B)は、熱風装置9bの外観図である。具体的には、半田鏝9に代えて、
図10(B)に示す熱風装置9bを用いればよい。熱風装置9bは、図外の送風器によって供給される空気を内部のヒータで加熱し、熱風装置9bの先端の熱風吹出口91bから、熱風を噴出させる。その熱風を当てることにより半田SL等の接合材料を溶融させる。つまり、熱風吹出口91bを半田鏝9の鏝先91と同様に扱えばよい。また、熱風装置9bの内部のヒータにより加熱部2を構成すればよい。また、上記送風器により溶融処理部3を構成すればよい。
【0194】
この構成によれば、熱風吹出口91bが第一点に存在するときに、熱風吹出口91bから熱風が噴出される。これにより、第一点に存在する半田SL等の接合材料を熱風吹出口91bから噴出した熱風で溶融することができる。
【0195】
(7)制御部1が、運転受付部15、調整要求受付部16及びテスト制御部17として機能しないようにしてもよい。これに合わせて、編集操作画面W1(
図4)にソフトキーB6を設けないようにしてもよい。
【0196】
(8)制御部1が退避選択部14として機能しないようにしてもよい。これに合わせて、編集操作画面W1(
図4)に退避モード選択欄を設けないようにしてもよい。そして、S19(
図6、
図8)の判定を行わずに、S20(
図6、
図8)を行い、又は、S21(
図6、
図8)を行い、当該S21において、鏝先91を上記初期値z0だけ上方へ移動させるようにしてもよい。
【0197】
(9)制御部1が処理選択部13として機能しないようにしてもよい。これに合わせて、編集操作画面W1(
図4)の処理モード選択欄を設けないようにし、編集欄A2では、処理モード選択欄で点半田モードが選択された場合の情報の編集だけが行われるようにしてもよい。そして、点半田モードの選択が受け付けられているものとして、溶融制御装置100において、
図6に示した点半田モード選択時の動作は行われるが、
図8に示した引き半田モード選択時の動作が行われないようにしてもよい。
【0198】
(10)S18(
図6)及びS35(
図8)を省略してもよい。これに合わせて、編集操作画面W1(
図4)の条件編集欄に、後処理条件欄を設けないようにしてもよい。
【0199】
(11)S19〜S21(
図6、
図8)を省略してもよい。
【0200】
(12)S15(
図6)及びS31(
図8)を省略してもよい。