(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
ユーザ端末により撮影された画像には含まれていないが前記ユーザ端末の撮影方向に存在する制御対象装置を模した画像を、前記ユーザ端末によって撮像される空間において当該制御対象装置が存在する方向の位置に表示する表示手段と、
前記ユーザ端末により撮影された画像には含まれていないが前記ユーザ端末による撮影方向に存在する制御対象装置を選択する選択手段であって、前記ユーザ端末により撮影された画像には含まれていないが前記ユーザ端末の撮影方向に存在する制御対象装置を模した画像が表示された当該制御対象装置が、ユーザにより指定されると、当該制御対象装置を選択する前記選択手段と、
前記選択された制御対象装置を制御する制御手段と
を備える遠隔制御システム。
前記選択手段は、前記ユーザ端末により撮影された画像に複数の前記制御対象装置が含まれる場合には、当該画像における各々の制御対象装置の位置に応じて、少なくともいずれか1の制御対象装置を選択する
請求項2又は3に記載の遠隔制御システム。
前記制御手段は、複数のユーザ端末が撮影した結果に応じて1の前記制御対象装置が前記選択手段により選択され、前記制御手段による制御が複数の前記ユーザ端末間で競合する場合に、いずれか一方のユーザ端末による指示に応じた制御を先に実行し、他方のユーザ端末による指示に応じた制御を後に実行する予約処理を行う
請求項2〜7のいずれか1項に記載の遠隔制御システム。
ユーザ端末により撮影された画像には含まれていないが前記ユーザ端末の撮影方向に存在する制御対象装置を模した画像を、前記ユーザ端末によって撮像される空間において当該制御対象装置が存在する方向の位置に表示する表示ステップと、
前記ユーザ端末により撮影された画像には含まれていないが前記ユーザ端末による撮影方向に存在する制御対象装置を選択する選択ステップであって、前記ユーザ端末により撮影された画像には含まれていないが前記ユーザ端末の撮影方向に存在する制御対象装置を模した画像が表示された当該制御対象装置が、ユーザにより指定されると、当該制御対象装置を選択する選択ステップと、
前記選択された制御対象装置を制御する制御ステップと
を備える遠隔制御方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、制御対象となる装置を選択するために、選択肢となる装置群から所望するものをユーザが選ぶというような操作が必要となり、煩雑である。
これに対し、本発明は、制御対象となる装置を選択するユーザの負担を軽減する仕組みを提供する。
【0005】
本発明は、複数の制御対象装置のうち少なくともいずれか1の制御対象装置を、ユーザ端末がユーザの視界を撮影した結果に応じて選択する選択手段と、前記選択手段により選択された制御対象装置を制御する制御手段とを備える遠隔制御システムを提供する。
【0006】
前記選択手段は、前記ユーザ端末により撮影された画像に含まれる前記制御対象装置を選択するようにしてもよい。
【0007】
前記選択手段は、前記ユーザ端末により撮影された画像に含まれている、前記制御対象装置の識別画像に基づいて当該制御対象装置を選択するようにしてもよい。
【0008】
前記選択手段は、前記ユーザ端末により撮影された画像に複数の前記制御対象装置が含まれる場合には、当該画像における各々の制御対象装置の位置に応じて、少なくともいずれか1の制御対象装置を選択するようにしてもよい。
【0009】
前記選択手段は、前記ユーザ端末により撮影された画像には含まれていないが前記ユーザ端末による撮影方向に存在する制御対象装置を選択するようにしてもよい。
【0010】
透過性の表示板を有し、前記ユーザから当該表示板を透過して見える前記制御対象装置に対応する位置に、当該制御対象装置に対する制御を案内する画像を表示する表示手段 を備えるようにしてもよい。
【0011】
前記制御手段による制御対象装置の制御履歴を記憶する記憶手段を備えるようにしてもよい。
【0012】
前記制御手段は、選択された制御対象装置に対する制御を予め決められた条件に基づいて制限するようにしてもよい。
【0013】
前記制御手段は、複数のユーザ端末が撮影した結果に応じて1の前記制御対象装置が前記選択手段により選択され、前記制御手段による制御が複数の前記ユーザ端末間で競合する場合に、いずれか一方のユーザ端末による指示に応じた制御を先に実行し、他方のユーザ端末による指示に応じた制御を後に実行する予約処理を行うようにしてもよい。
【0014】
前記制御手段は、前記制御対象装置に対する制御を予め決められた条件に基づいて終了するようにしてもよい。
【0015】
前記ユーザ端末はユーザの頭部に装着されるウェアラブル端末であり、前記制御手段は、前記ウェアラブル端末とは別体の操作端末に設けられているようにしてもよい。
【0016】
また、本発明は、 複数の制御対象装置のうち少なくともいずれか1の制御対象装置を、ユーザ端末がユーザの視界を撮影した結果に応じて選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された制御対象装置を制御する制御ステップとを備える遠隔制御方法を提供する。
【0017】
また、本発明は、1以上のコンピュータに、複数の制御対象装置のうち少なくともいずれか1の制御対象装置を、ユーザ端末がユーザの視界を撮影した結果に応じて選択する選択ステップと、前記選択ステップにおいて選択された制御対象装置を制御する制御ステップとを実行させるためのプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ユーザが閲覧したい画像の選択を支援することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
1.構成
図1は、本発明の一実施形態に係る遠隔制御システム1の概要を例示する図である。遠隔制御システム1は、各所に配置された制御対象装置2のうち、ユーザの視界の範囲内にある制御対象装置2を選択し、選択された制御対象装置2をユーザ端末20からユーザの操作に従い遠隔で制御する。ユーザ端末20は、単体装置によって実現されてもよいし、複数の装置のセットによって実現されてもよいが、少なくとも、ユーザの視界の範囲を撮像する装置(例えばユーザの頭部に装着可能なメガネ型のウェアラブル端末)を含む。このユーザ端末20を装着したユーザの顔の向きの方向に存在する制御対象装置2が、ユーザの視界の範囲内にある制御対象装置2として選択される。従って、ユーザは、自身が操作したい制御対象装置2を見るだけで、その制御対象装置2を遠隔制御し得る状態になる。
【0022】
図1に示すように、遠隔制御システム1は、ネットワーク90を介して複数の制御対象装置2に接続される。制御対象装置2は、遠隔制御される(つまりユーザがその制御対象装置2に直接触れなくても制御される)対象となり得る装置である。制御対象装置2は、例えば工場等に設置された工作機械、屋内または屋外に設置された監視カメラ、或いは、オフィスや宅内にある家電機器などであるが、これらは例示であり、どのような装置であってもよい。ネットワーク90は、制御対象装置2、サーバ10、およびユーザ端末20を接続するものであればどのようなネットワークでもよい。ネットワーク90は、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、またはWAN(Wide Area Network)、若しくはこれらの組み合わせであり、有線区間又は無線区間を含んでいてもよい。
【0023】
遠隔制御システム1は、サーバ10およびユーザ端末20を有する。サーバ10は、複数の制御対象装置2のうち、ユーザの視界の範囲内にある制御対象装置2を選択し、選択された制御対象装置2をユーザ端末20からユーザの操作に従い遠隔で制御する。ユーザ端末20は、遠隔制御システム1のクライアントとして機能する装置であり、ユーザからの各種指示の受け付け、ユーザの視界に相当する空間の撮影、およびユーザに対する遠隔制御の案内表示などを行う。
【0024】
図2は、遠隔制御システム1の機能構成を例示する図である。遠隔制御システム1は、記憶手段12、選択手段13、制御手段14、受け付け手段21、要求手段22、受信手段23、表示手段24および撮影手段25を有する。この例では、遠隔制御システム1において、画像取得手段11、記憶手段12、選択手段13、および制御手段14がサーバ10に実装されており、受け付け手段21、要求手段22、受信手段23、表示手段24および撮影手段25がユーザ端末20に実装されている。
【0025】
受け付け手段21は、ユーザから遠隔制御等を要求する指示を受け付ける。撮影手段25は、ユーザの視界に相当する空間を撮影する。要求手段22は、受け付け手段21により受け付けられた指示に応じて、遠隔制御の対象となる制御対象装置の選択の要求等をサーバ10に送信する。この選択の要求には、撮影手段25が撮影した結果に応じた情報(ここでは撮影画像)が含まれる。選択手段13は、複数の制御対象装置2のうち少なくともいずれか1の制御対象装置2を、ユーザ端末20がユーザの視界を撮影した結果に応じて選択する。より具体的には、選択手段13は、ユーザ端末20により撮影された撮影画像に含まれる制御対象装置2を選択する。記憶手段12には、この選択に用いられる情報が記憶されている。制御手段14は、選択手段13により選択された制御対象装置2についてユーザが遠隔制御するときの案内を表示するための表示データをユーザ端末に送信したり、選択手段13により選択された制御対象装置2を遠隔で制御する。受信手段23は、制御手段14により提供される表示データを受信する。表示手段24は、受信手段23により受信された表示データをユーザ端末20において表示する。
【0026】
図3は、サーバ10のハードウェア構成を例示する図である。サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)102、ROM(Read Only Memory)103、補助記憶装置104、および通信IF105を有するコンピュータ装置である。CPU101は、各種の演算を行うプロセッサである。RAM102は、CPU101がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する揮発性メモリである。ROM103は、例えばサーバ10の起動に用いられるプログラムおよびデータを記憶した不揮発性メモリである。補助記憶装置104は、各種のプログラムおよびデータを記憶する不揮発性の記憶装置であり、例えばHDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)を含む。通信IF105は、所定の通信規格に従ってネットワーク90を介した通信を行うためのインターフェースである。
【0027】
この例において、補助記憶装置104は、コンピュータ装置を遠隔制御システム1におけるサーバとして機能させるためのプログラム(以下「サーバプログラム」という)を記憶する。CPU101がサーバプログラムを実行することにより、
図2に示される機能が実装される。サーバプログラムを実行しているCPU101は、選択手段13および提供手段14の一例である。補助記憶装置104は、記憶手段12の一例である。
【0028】
図4は、記憶手段12に記憶される情報を例示する図である。記憶手段12には、装置識別子、位置情報および通信などレスが対応付けて記憶される。装置識別子は、制御対象装置2を識別するための情報である。装置識別子は2次元バーコードなどに符号化された状態で各制御対象装置の筐体などに付されている。位置情報は、その制御対象装置2が設置されている位置を示す情報である。位置情報は、
図4の例では、制御対象装置2の位置の緯度および経度と、その制御対象装置2の高さ(地上からの高さ)とを含む。通信アドレスは、各制御対象装置2のネットワーク90における通信アドレス(例えばMACアドレスなど)であり、サーバ10が各制御対象装置2を遠隔制御するときに用いられる。
【0029】
図5は、ユーザ端末20のハードウェア構成を例示する図である。前述したように、ユーザ端末20は、単体装置によって実現されてもよいし、複数の装置のセットによって実現されてもよいが、ここでは、例えばユーザの頭部に装着可能なメガネ型のウェアラブル端末単体によって実現される例で説明する。
【0030】
ユーザ端末20は、CPU201、RAM202、ROM203、補助記憶装置204、通信IF205、入力装置206、表示装置207、センサ装置208およびカメラ209を有するコンピュータ装置である。CPU201は、各種の演算を行うプロセッサである。RAM202は、CPU201がプログラムを実行する際のワークエリアとして機能する揮発性メモリである。ROM203は、例えばユーザ端末20の起動に用いられるプログラムおよびデータを記憶した不揮発性メモリである。補助記憶装置204は、各種のプログラムおよびデータを記憶する不揮発性の記憶装置であり、例えばHDDおよびSSDの少なくとも一方を含む。通信IF205は、所定の通信規格に従ってネットワーク90を介した通信を行うためのインターフェースである。この通信規格は、無線通信の規格であってもよいし、有線通信の規格であってもよい。入力装置206は、ユーザがCPU201に対し指示や情報を入力するための装置であり、例えば、タッチセンサー、キー、ボタン、およびマイクロフォンの少なくとも1つを含む。表示装置207は、情報を表示する装置であり、例えばLCD(Liquid Crystal Display)を含む。センサ208は、ユーザ端末20の位置と、ユーザ端末30を装着するユーザの顔の向きとをセンシングするための手段であり、例えばGPS(Global Positioning System)などの測位装置と、例えばジャイロセンサおよび地磁気センサなどの向き検出装置とを含む。カメラ209は、ユーザの顔が向いている方向の空間、つまりユーザの視界に相当する空間を撮影する。
【0031】
この例において、補助記憶装置204は、コンピュータ装置を遠隔制御システム1におけるクライアントとして機能させるためのプログラム(以下「クライアントプログラム」という)を記憶する。CPU201がクライアントプログラムを実行することにより、
図2に示される機能が実装される。クライアントプログラムを実行しているCPU201及びセンサ208は、要求手段22の一例である。通信IF205は受信手段23の一例である。表示装置207は表示手段24の一例である。撮影装置209は撮影手段25の一例である。入力装置206は受け付け手段21の一例である。
【0032】
図6は、ユーザ端末20の外観を例示する図である。ここでは、ユーザ端末20はメガネ型のウェアラブル端末である。ユーザ端末20は、ユーザUの頭部、より具体的にはユーザUの片目の近傍に装着される。表示装置207は、表示板2071および投影装置2072を含む。表示板2071は光を透過する透過性のある板部材であり、投射装置2072から投影された画像が表示板2071に投影表示される。ユーザUは、自身の目の前の空間を、表示板2071を透過した状態で見るとともに、表示板2071に表示されている画像を見ることができる。即ち、ユーザUは、自身の目の前の空間を見るときはその空間に眼の焦点を合わせればよいし、表示板2071に表示されている画像を閲覧するときは表示板2071の位置に眼の焦点を合わせればよい。なお、表示装置207は、透過性の表示板2071に投影装置2072から投影する表示装置に限らず、例えばユーザUの眼に対して表示面が設けられた小型の液晶ディスプレイなど、その他の表示装置であってもよい。カメラ209は、ユーザ端末20がユーザUの顔に装着されたときにユーザUの眼の近傍となる位置に配置されており、ユーザUの視界とほぼ一致する空間を撮影する。このカメラ209によって撮影された画像は、サーバ10の選択手段13が制御対象装置2を選択するために用いられる。
【0033】
2.動作
図7は、一実施形態に係る遠隔制御システム1の動作を例示するシーケンスチャートである。ユーザは、ユーザ端末20を頭部に装着した状態で、自身が操作したい制御対象装置2のほうを見る。この状態でユーザが受け付け手段21に対して制御対象装置2の遠隔制御を要求する操作を行うと、ステップS11において、ユーザ端末20の受け付け手段21はこの操作を受け付ける。そして、ステップS12で、撮影手段25は、ユーザの視界に相当する空間を撮影し、その撮影データを生成する。次に、ステップS13において、要求手段22は、センサ208によってセンシングされたユーザ端末20の位置及び向きを取得し、ステップS14において、その位置及び向きと上記撮影データとを含む要求をサーバ10に送信する。
【0034】
ステップS15において、サーバ10の選択手段13は、上記要求を受信すると、ユーザ端末20により撮影された画像に含まれる制御対象装置2を選択する。具体的には、選択手段13は、上記要求に含まれる撮影データから、制御対象装置2に付された2次元バーコードが撮影された識別画像部分を抽出し、この識別画像をデコードして装置識別子を特定する。このとき、2次元バーコードが撮影された識別画像部分を抽出できないとか、識別画像部分をデコードできないといった場合には、選択手段13は、補助的に以下のようにして制御対象装置2を選択する。まず、選択手段13は、ユーザ端末20の位置及び向きに基づいて、ユーザ端末20により撮影された空間の範囲を割り出す。次に、選択手段13は、撮影データが示す画像からパターンマッチング等の画像認識技術により制御対象装置2に相当する画像を抽出し、その画像における制御対象装置2の位置を特定する。そして、選択手段13は、撮影された空間の範囲における制御対象装置2の位置と、補助記憶装置104に記憶されている各制御対象装置2の位置情報とを比較し、所定の誤差の範囲内で位置が一致する制御対象装置2を選択する。
【0035】
このようにして制御対象装置2が選択されると、ステップS16において、制御手段14は、選択された制御対象装置2に対応する遠隔制御の案内表示を行うための表示データを、装置識別子に基づいて記憶手段12から読み出し、ステップS17においてこの表示データをユーザ端末20に送信する。
【0036】
ユーザ端末20の表示手段24は、受信手段23によって受信された表示データに応じた画像を表示する。
図8は、ユーザの視界Aにおいてユーザ端末20に表示される画像を重畳した例を示す図である。図示のように、ユーザから表示板2071を透過して見える制御対象装置2に対応する位置に、当該制御対象装置2に対する遠隔制御メニューが表示される。これにより、制御対象装置2に対する制御の具体的内容、つまり遠隔制御し得る処理の内容やその指示方法がユーザに案内されることになる。これらの遠隔制御メニューがユーザにより指定されると、ステップS18において、受け付け手段21はこの指定を受け付ける。そして、要求手段22は、ステップS19において、ユーザにより指定された内容を含む要求をサーバ10に送信する。なお、
図8では、遠隔制御メニューとして、制御対象装置の起動のみを例示したが、遠隔制御メニューはこれ以外に様々なものが考えられる。
【0037】
サーバ10の制御手段15は、ステップS20において、ユーザにより指定された内容で動作するよう指示する制御指示データを生成し、ステップS21においてその制御指示データを制御対象装置2に送信する。この制御指示データに従い、制御対象装置2は動作する。
【0038】
本実施形態によれば、ユーザが遠隔制御したい制御対象装置2の選択を支援することができ、その結果、ユーザの負担が軽減される。また、ユーザは、制御対象装置2の選択後すぐにその装置2を遠隔で制御することが可能となる。
【0039】
3.変形例
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。以下、変形例をいくつか説明する。以下の変形例のうち2つ以上のものが組み合わせて用いられてもよい。
【0040】
3−1.変形例1
実施形態において、選択手段13は、ユーザ端末20により撮影された画像に含まれる制御対象装置2を選択していた。ここで、制御対象装置2の選択方法は、実施形態の例に限定されず、複数の制御対象装置2のうち少なくともいずれか1の制御対象装置2を、ユーザ端末20がユーザの視界を撮影した結果に応じて選択するものであればよい。
例えば実施形態では、各制御対象装置2の筐体に装置識別子を示す2次元バーコードが付されていたが、2次元バーコードに限らず、装置識別子を意味する文字列や図形などが付されていてもよい。
また、バーコードなどの装置識別子は、制御対象装置2そのものに付されている必要はなく、制御対象装置2の近傍の壁や床或いは柱などの固定物に付されており、選択手段13が、ユーザ端末20により撮影された画像に含まれている装置識別子に基づいて、その近傍にある制御対象装置2を選択するようにしてもよい。要するに、バーコードなどの装置識別子は、各制御対象装置2に対応する位置にあればよい。
また、各制御対象装置2の形状や色などが異なっており、これにより、各制御対象装置2を識別可能な場合には、選択手段13は、ユーザ端末20により撮影された画像に含まれている制御対象装置2の形状や色と、予め記憶手段12に記憶されている制御対象装置2の形状や色とに基づいて、ユーザの視界に含まれる制御対象装置2を選択してもよい。
なお、ユーザ端末20による撮影画像のみで制御対象装置2が選択可能な場合は、ユーザ端末20のセンサ208は不要となるが、実施形態のようにセンサ208を補助的に用いてもよい。
【0041】
3−2.変形例2
ユーザ端末20により撮影された画像に複数の制御対象装置2が含まれる場合には、次のようにしてもよい。
例えば、選択手段13は、ユーザ端末20により撮影された画像に複数の制御対象装置2が含まれる場合には、当該画像における各々の制御対象装置2の位置に応じて、少なくともいずれか1の制御対象装置2を選択する。具体的には、ユーザ端末20により撮影された画像に複数の制御対象装置2が含まれる場合において、例えば当該画像の中心(つまりユーザの視界の中心)という、特定の位置に最も近い制御対象装置2を選択する。この特定の位置は、画像の中心以外に、任意に決められる。
【0042】
3−3.変形例3
ユーザが所在する部屋とは異なる部屋にあり、ユーザから直接は見えない制御対象装置2を遠隔制御の対象としてもよい。つまり、選択手段13は、ユーザ端末20により撮影された画像には含まれていないがユーザ端末20による撮影方向に存在する制御対象装置2を選択するようにしてもよい。
図9は、ユーザの視界Aにおいてユーザが所在する部屋にある制御対象装置2A(ここでは監視カメラ)が見えており、さらに、隣の部屋にある制御対象装置2B(ここでは監視カメラ)が表示されている例である。この場合、
図7のステップS12で撮影手段25は、ユーザの視界Aに相当する空間を撮影し、その撮影データを生成する。ステップS13において、要求手段22は、センサ208を用いてユーザ端末20の位置及び向きを取得し、ステップS14において、その位置及び向きと撮影データとを含む要求をサーバ10に送信する。ステップS15において、選択手段13は、上記要求に含まれるユーザ端末20の位置及び向きに基づいて、撮影された空間の範囲を割り出す。次に、選択手段13は、撮影データが示す画像から画像認識技術により制御対象装置2を抽出し、その画像中における制御対象装置2の位置を特定する。そして、選択手段13は、撮影された空間の範囲における制御対象装置2の位置と、補助記憶装置104に記憶されている各制御対象装置2の位置情報とを比較し、所定の誤差の範囲内で位置が一致する制御対象装置2(ここでは制御対象装置2A)を選択する。さらに、選択手段13は、撮影された空間の範囲と、ユーザ端末20の位置及び向きから、ユーザ端末20による撮影方向に存在する全ての制御対象装置2(ここでは隣の部屋にある制御対象装置2B)を選択し、その撮影方向における制御対象装置2Bの位置を特定する。そして、提供手段14は、選択された制御対象装置2Bの位置情報をユーザ端末20に送信する。ユーザ端末20の表示手段24は、制御対象装置2Bが存在するであろう位置に、制御対象装置2Bの外観を模した破線画像を表示する(
図9)。例えばユーザがユーザ端末20においてこの制御対象装置2Bを指定すると、選択手段13は、指定された制御対象装置2を遠隔制御の対象として選択する。また、ユーザ端末20により撮影された画像の中心(つまりユーザの視界の中心)という、特定の位置に最も近い制御対象装置2を選択するという選択基準の場合には、選択手段13は、制御対象装置2Bを遠隔制御の対象として選択する。
【0043】
3−4.変形例4
前述したように、ユーザ端末20は、単体装置によって実現されてもよいし、複数の装置のセットによって実現されてもよい。
ユーザ端末20が単体装置によって実現される場合、例えばユーザ端末20がユーザの頭部に装着されるウェアラブル端末であるケースでは、制御手段14は、ユーザ端末20において表示された撮像画像を閲覧するユーザの頭部又は眼の動きに応じて制御対象装置2を遠隔制御するようにしてもよい。例えば制御対象装置2が監視カメラの場合、制御対象装置2が選択された後に、ユーザが監視カメラの撮像画像の右下のほうをさらに取得したいと考えたときは、その閲覧したい方向を向くように頭部を右下に向ける。要求手段22は、ユーザの頭部の動きを示す情報として、センサ208を用いてユーザ端末20の位置及び向きを取得し、その位置及び向きと撮影データとを含む要求をサーバ10に送信する。サーバ10の制御手段15は、その位置及び向きに応じて制御対象装置2を駆動して制御対象装置2の撮像方向を画像中心から見て右下方向に移動させる。このようにすれば、ユーザが制御対象装置2である監視カメラの撮像空間を直観的に変更することが可能となる。
また、ユーザ端末20が複数の装置のセットによって実現される場合、例えばユーザ端末20が、ウェアラブル端末と、スマートホン又はタブレット等の携帯端末とのセットで実現される場合には、ウェアラブル端末は主にユーザの視界を特定するための端末として機能し、携帯端末は主にユーザの操作を受け付ける端末として機能する。つまり、ユーザ端末2はユーザの頭部に装着されるウェアラブル端末であり、受け付け手段21をウェアラブル端末とは別体の操作端末に設けるようにすれば、ユーザは操作機能がより充実した操作端末を用いて遠隔制御に係る操作を行うことが可能となる。
【0044】
3−5.変形例5
記憶手段13が、制御手段14による制御対象装置2の遠隔制御の履歴を記憶するようにしてもよい。このようにすれば、例えば工場において、遠隔制御のログに基づいて作業の管理を行うことが可能となる。
【0045】
3−6.変形例6
制御手段14は、制御対象装置2に対する制御を予め決められた条件に基づいて制限するようにしてもよい。制御手段14は、例えばユーザ端末20と制御対象装置2との位置関係に基づいて、選択された制御対象装置2から所定範囲内とか所定方向に居るユーザに対してのみ遠隔制御を許可するようにしてもよい。また、制御手段14は、例えば1のユーザ端末20に対して複数の制御対象装置2の遠隔制御を禁止し、1のユーザ端末20に対しては1の制御対象装置2の遠隔制御のみを許容するようにしてもよい。また、制御手段14は、選択された制御対象装置2から所定範囲内に人間が居ると制御対象装置2が動作したときに危険であるような場合には、その制御対象装置2の遠隔制御を禁止するようにしてもよい。また、制御手段14は、選択された制御対象装置2に対して予め許可された遠隔制御権限を持つユーザに対してのみ遠隔制御を許可するようにしてもよい。
【0046】
3−7.変形例7
制御手段14は、複数のユーザ端末20が撮影した結果に応じて1の制御対象装置2が選択手段13により選択され、複数のユーザ端末間で遠隔制御が競合するような場合には、いずれか一方のユーザ端末20(例えば先に遠隔制御の指示を出したユーザ端末20)による指示に応じた制御を先に実行し、他方のユーザ端末20による指示に応じた制御を後に実行する予約処理を行うようにしてもよい。
【0047】
3−8.変形例8
制御手段14は、制御対象装置2に対する遠隔制御を予め決められた条件に基づいて終了するようにしてもよい。例えばタイムアウトや、所定回数の遠隔制御処理が完了したタイミングとか、ユーザの明示的な操作によって終了するといった具合である。
【0048】
3−9.他の変形例
制御対象装置2は、実施形態で例示したものに限定されない。制御対象装置2は、特定の位置に固定されたものではなく、ユーザにより携帯される装置、例えばスマートフォンやデジタルカメラであってもよいし、ドローンと呼ばれる移動体に搭載されたものであってもよい。
【0049】
センサ208が備える測位装置と向き検出装置は、実施形態で例示したGPS、ジャイロセンサおよび方位センサに限らず、ユーザ端末20の測位と向き検出を行う装置であればどのようなものでもよい。
【0050】
図2で例示した機能構成の一部は省略されてもよい。例えば、記憶手段12は、遠隔制御システム1とは別の外部のサーバにより提供されてもよい。また、サーバ10およびユーザ端末20における機能の分担は
図2で例示したものに限定されない。実施形態においてはサーバ10に実装されていた機能の一部を、ユーザ端末20に実装してもよい。また、物理的に複数の装置からなるサーバ群が、遠隔制御システム1におけるサーバ10として機能してもよい。
【0051】
CPU101およびCPU201等により実行されるプログラムは、光ディスク、磁気ディスク、半導体メモリなどの記憶媒体により提供されてもよいし、インターネット等の通信回線を介してダウンロードされてもよい。また、これらのプログラムは、実施形態で説明したすべてのステップを実行させるものでなくてもよい。なお、サーバプログラムおよびクライアントプログラムの組は、サーバ装置およびクライアント端末を遠隔制御システムとして機能させるためのプログラム群の一例である。