(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。但し、以下の実施形態は、いずれも本発明の要旨の認定において限定的な解釈を与えるものではない。また、同一又は同種の部材については同じ参照符号を付して、説明を省略することがある。
【0010】
(実施形態1)
以下では、ウェハプロセスで形成される実施形態1のアンテナの製法について説明する。
図1(a)、(b)は、ウェハプロセスにおけるICチップ1の上面図及び断面図を示し、非接触情報担体(RFIDタグ)のICチップ1の上面に形成された絶縁膜(例えばパッシベーションであるシリコン窒化膜や樹脂膜等)上に、回路と電気的に接続されている電極2(第1の電極2a及び第2の電極2b)がICチップ1の外周部の角部に形成されている。
【0011】
ICチップ1の形状は、例えば0.5[mm]〜1[mm]の長さの辺を有する長方形(正方形を含む)であるが、これに限定されるものではない。また、第1の電極2a及び第2の電極2bの配置は、図示される位置関係に限定されるものではなく、例えばICチップ1の異なる辺の外周部に配置されていてもよい。
なお、図ではウェハ上の1つのICチップ1を示すが、ウェハプロセスにおいては、1つのウェハ上に複数のICチップ1が整列して形成されることは言うまでもない。
【0012】
電極2は、公知のウェハプロセス技術により形成され、例えば銅やアルミニウム等の金属膜を蒸着法、スパッタ法、めっき法等により成膜し、フォトリソグラフィー法及びエッチング法によりパターニングすることにより形成され、電極2は図示しない接続孔を介してICチップ1の電子回路に接続されている。
なお、ICチップ1には、例えば特許文献1記載の電子回路等の非接触情報担体に必要な電子回路(メモリ、メモリ制御部、伝送部、電源部等)が備えられているが、それに限定されず、以下の図面においては簡単のため電子回路は省略している。
また、電極2はバンプであってもよい。
【0013】
図1(c)に示すように、ICチップ1上に回転塗布膜を形成する。具体的には、例えばスピンコート法により第1の絶縁膜3(例えばポリイミド等の樹脂やシリコン酸化膜)を形成する。最終的に得られる回転塗布膜の膜厚は、例えば膜厚2[μm]〜10[μm]とする。
その後、
図1(d)に示すように、リソグラフィー法を用いてフォトレジストのパターンを形成し、その後エッチング法により第1の絶縁膜3を、必要なパターンを残して選択的にエッチングし、その後フォトレジストを除去することにより電極2上に開口部(接続孔)4を形成する。具体的には、第1の電極2a及び第2の電極2b上にそれぞれ第1の開口部4a及び第2の開口部4bを形成する。或いは別の方法として、感光性ポリイミド等の感光性樹脂(ポジ型又はネガ型)を形成し、フォトリソグラフィー法により露光し、エッチング液により選択的にエッチングして(現像して)開口部(接続孔又はビアホール)4を形成してもよい。
【0014】
その後、
図2(a)に示すように、蒸着法、スパッタ法、めっき法等により、第1の導電性膜5、例えば銅やアルミニウム等を、例えば膜厚2[μm]から5[μm]形成する。
図2(a)に示す工程において、開口部(接続孔)4中にも第1の導電性膜5が形成される。
その後、
図2(b)に示すように、例えば、フォトリソグラフィー法によりフォトレジストを形成後、フォトレジストをマスクにウェットエッチングやドライエッチングにより第1の導電性膜5をエッチングし、その後フォトレジストを除去することで、第1の導電性膜5をパターニングし、第1の下層配線5a及び第2の下層配線5bを形成する。
図2(c)は、第1の下層配線5a及び第2の下層配線5bを形成したICチップ1の上面図である。
図2(b)、(c)に示すように、第1の下層配線5a及び第2の下層配線5bは、第1の開口部4a及び第2の開口部4bを介して第1の電極2a及び第2の電極2bに電気的に接続されている。
【0015】
次に
図3(a)に示すように、回転塗布法等により第2の絶縁膜6(例えばポリイミド等の樹脂やシリコン酸化膜)を、例えば膜厚2[μm]〜10[μm]形成する。
その後
図3(b)、(c)に示すように、フォトリソグラフィー法及びエッチング法の組み合わせにより開口部(接続孔)7、さらに具体的には、第1の下層配線5a及び第2の下層配線5b上にそれぞれ第3の開口部7a及び第4の開口部7bを形成する。
なお、第2の絶縁膜6として感光性樹脂を用い、フォトリソグラフィー法により開口部(接続孔)7を形成してもよい。
図3(d)は、本工程におけるICチップ1の上面図であり、
図3(b)及び(c)は、それぞれ
図3(d)のA−A’及びB−B’断面図である。
【0016】
次に
図4(a)、(b)に示すように、蒸着法、スパッタ法、めっき法等により、第2の導電性膜8、例えば銅やアルミニウム等を、例えば膜厚2[μm]から10[μm]形成する。
その後
図4(c)に示すように、フォトリソグラフィー法及びエッチング法の組み合わせにより第2の導電性膜8をパターニングし、上層配線であるアンテナ配線(スパイラル配線)9を形成する。また、第1の電極2a及び第2の電極2bがアンテナ配線9の外周側に位置するようにアンテナ配線9を配置する。
図4(c)は、本工程における上面図である。
【0017】
アンテナ配線9は、ライン幅が例えば7[μm]から15[μm]の渦巻き(スパイラル)形状を有するスパイラル配線であり、ライン間隔(スペース幅)が例えば7[μm]から15[μm]であり、複数回、例えば2回から10回巻回されている。ICチップ1は、その中央部分にはアンテナ配線9が形成されていない領域を有する。
【0018】
図4(c)に示すように、アンテナ配線9は、第3の開口部7a及び第4の開口部7bを覆う第1の端部10a及び第2の端部10bを有し、それぞれ渦状のアンテナ配線9(スパイラル配線)の内周側及び外周側に位置する。
第1の端部10a及び第2の端部10bは、それぞれ第3の開口部7a及び第4の開口部7bにおいて(介して)第1の下層配線5a及び第2の下層配線5bに電気的に接続されている。そのため、第1の端部10aは、内周側に位置する第3の開口部7a(内周側接続孔)、第1の下層配線5a、及び外周側に位置する第1の開口部4a(外周側接続孔)を介して第1の電極2aに電気的に接続されている。従って、第1の下層配線5aは、内周側に位置する第1の端部10aを、外周側に位置する第1の電極2aに電気的に中継する中継配線(第1の中継配線)である。
また、第2の端部10bは、第2の下層配線5bを介して第2の電極2bに電気的に接続されており、第2の下層配線5bは、第2の端部10bを、第2の電極2bに電気的に中継する中継配線(第2の中継配線)である。
なお、第2の端部10bは、第2の下層配線5bを介する(用いる)ことなく、第2の電極2bに接続してもよい。例えば、第2の電極2a上に、第2の開口部4bと第4の開口部7bとを連ね、第2の開口部4bと第4の開口部7bとを介して直接的に第2の端部10bを第2の電極2bに接続すればよく、又は両開口部(接続孔)に導電性プラグを埋め込み、互いに両開口部を縦方向に重ね合わせてもよい。
【0019】
その後
図5に示すように、アンテナ配線9を保護するための保護膜として第3の絶縁膜11、例えばポリイミド等の樹脂膜等を塗布法等により形成する。
なお、
図5(c)は本工程でのICチップ1の上面図を示し、
図5(a)及び
図5(b)は、それぞれ
図5(c)のA−A’及びB−B’断面を示す。
【0020】
図6(a)は、
図4(c)の一点鎖線で示される領域Cの拡大図である。
図6(a)に示すように、第1の下層配線5aは、第1の電極2a上部に形成された第1の開口部4aとアンテナ配線9の第1の端部10aの下部に形成された第3の開口部7aを対角線の頂点に有する仮想の長方形Rの領域を含むように形成され、例えば長方形の形状を有している。なお、厳密には第1の開口部4a及び第3の開口部7aは有限の大きさを有するため点ではないが、対角線上に配された第1の開口部4a及び第3の開口部7aを含む最小の長方形として定義することができる。
図6(b)は、下層配線として、第1の下層配線5aの代わりに、ライン状の配線51を用いた場合のICチップ上面図を示す。特許文献3に開示されるように、ライン状の配線51の幅は、アンテナ配線9のライン幅と同程度である。
【0021】
図6(a)に示すように、第1の開口部4aはアンテナ配線9の外周側に位置し、第3の開口部7aはアンテナ配線9の内周側に位置する。第1の開口部4aと第3の開口部7aとを含む仮想の長方形Rは、一方の辺の長さが第1の開口部4aと第3の開口部7aとを含むX軸方向の最大距離Dxに等しく、他方の辺の長さが第1の開口部4aと第3の開口部7aとを含むY軸方向の最大距離Dyに等しい長方形であり、第1の下層配線5aは、この長方形Rを含むような形状を有する。例えば、第1の下層配線5aは、
図6(a)中のX軸方向の長さLxの辺Sx、Y軸方向の長さLyの辺Syを有し、Lx≧Dx、Ly≧Dyである長方形とすることができる。第1の第1の下層配線5aは、2つの互いに交差する長さLx及びLyの辺において、それぞれ複数本のアンテナ配線9が異なる方向(Y軸方向及びX軸方向)に交差する。
また複数本のアンテナ配線9のラインが並ぶX軸方向及びY軸方向の総配線幅をZx、Zy(
図6(a)参照)とすると、Lx≧Zx、Ly≧Zyである。なお、Zx、Zyは、例えば30[μm]〜90[μm]であるが、これに限定するものではない。
第1の下層配線5aは、第1の電極2aと第1の端部10aとを電気的に接続する配線として機能するが、第1の下層配線5aをこのような形状とすることで、
図6(b)に示すライン状の配線51の場合と異なり電流が2次元的に流れ、第1の電極2aと第1の端部10aとの電気抵抗が低減し得る。
【0022】
図7(a)は、
図6(a)のA−A’断面の拡大図であり、
図7(b)は
図6(b)のB−B’断面の拡大図であり、絶縁膜を回転塗布法で形成した場合の絶縁膜の段差被覆性(カバレッジ)の状態を示す。
図7(b)は、特許文献3に開示されているように下層配線を通常の配線51形状でパターニングした例を示す。
図7(b)に示すように、回転塗布法で形成した(回転塗布膜の)第2の絶縁膜6が配線51の角部に接する領域P、P’においては、配線51により確定する第2の絶縁膜6の形状の曲率半径が小さくなるため、第2の絶縁膜6の膜厚が薄くなる。その結果、下層配線である配線51と上層配線であるアンテナ配線9とが短絡することにより、製品歩留まりを低下させる虞がある。特に配線51の幅(ライン幅L)が、形成する第2の絶縁膜6の膜厚と同等以下の場合、上記リスクが顕著になることがある。
【0023】
また、配線51の角部上のアンテナ配線9の領域Q、Q’の曲率半径が小さくなり、第2の絶縁膜6及び第3の絶縁膜11からの応力によって、アンテナ配線9に亀裂が入り、断線することにより製品歩留まりを低下させる虞がある。特にアンテナ配線9の領域Q、Q’の両領域においては、第2の絶縁膜6及び第3の絶縁膜11の応力が、ほぼ対称的に作用し、応力が強め合うため(同一方向に応力が合成され)、アンテナ配線9が亀裂するリスクが増大する。
また、スパッタ法、蒸着法でアンテナ配線9の第2の導電性膜8を形成する場合、第2の導電性膜8の段差部での被覆性が劣化することがある。
【0024】
一方
図7(a)に示すように、本発明における第1の下層配線5aにおいては、第1の下層配線5aの線幅は、アンテナ配線9の間隔Zx、Zyより広く、形成する第2の絶縁膜6の膜厚の例えば5倍以上、典型的には30倍以上であり、回転塗布法で形成した第2の絶縁膜6の領域P(第1の下層配線5aの角部)での形状において、曲率半径を大きく(なだらかに)することができる。そのため、第2の絶縁膜6の膜厚が薄くなることを抑制し得る。
その結果、第2の絶縁膜6及び第3の絶縁膜11からの応力の影響が緩和され、アンテナ配線9に亀裂が入り、断線することを防止することも可能である。
さらに、
図6(a)で示すように、第1の下層配線5aの構造上、第1の下層配線5aとアンテナ配線9とが交差する箇所及び方向が異なり(
図6(a)参照)、
図7(b)のように応力が合成されることがない。
また、スパッタ法、蒸着法でアンテナ配線9の第2の導電性膜8を形成する場合、第2の導電性膜8の段差部での被覆性が改善する。
【0025】
さらに、本発明の第1の下層配線5aの形状は、例えば、以下に説明するようにアンテナ設計の自由度を増大することも可能である。
一般にアンテナの共振周波数fは、下記の式で求められる。
f=1/2π×√(LC)
ここで、L及びCはアンテナコイルの等価インダクタンス及び等価容量である。
また、リーダーライタからの電波によって誘導される電力は、コイルの巻数にほぼ比例して増大する。
典型的なアンテナコイルの設計においては、上記共振周波数を実現するインダクタンスLの値を満足させ、大きな電力が得られる様に設計される。
【0026】
しかし、ICチップ1の回路においては、共振周波数が同じ仕様であっても、ICチップ1が採用する回路によりICチップ1の入力インピーダンスは異なることがある。リーダーラーターからの電波によって得られた電力をICチップ1に伝送するため、ICチップ1とアンテナ配線9とのインピーダンスの整合をとることで、さらに好適なアンテナコイルを得ることも可能となる。
【0027】
アンテナ配線9の配線間のスペースは、アンテナ配線9の配線間容量を左右するため、アンテナ配線9のみによりインダクタンスLと容量Cとを独立制御することは困難である。しかし、アンテナ配線9と第1の下層配線5aとは対向し、第1の下層配線5aを例えば長方形の形状とし、Lx、Lyを変えることで、容量Cを、少なくとも部分的に調整することができ、インダクタンスLと容量Cとの両方を独立して制御することも可能となる。
第1の下層配線5aの特別な形状を利用し、インダクタンスLと容量Cとを制御できるアンテナ構造とすることで、アンテナコイルの設計の自由度が増し、最適なオンチップ型コイルを容易に得ることもできる。
また、一般にコイルのインダクタンスLは巻数の二乗及びコイルの断面積に比例するが、ICチップ1が小型化され、十分なインダクタンスLを得られない場合、容量Cを大きくすることで、上記共振周波数の式のLCの積の値を大きくし、必要とされる共振周波数を実現することもできる。
【0028】
以上のように、本実施形態によれば、第1の中継配線(5a)上での第2の絶縁膜(6)の段差被覆性が改善され、良好な電気特性を有するスパイラル配線を得ることができる。そして、小型化と良好な電気特性を両立し得るオンチップ型アンテナを備えた非接触情報媒体(例えばRFIDタグ)を提供することが可能となる。
【0029】
(実施形態2)
フォトレジストのパターンをマスクに配線の導電性膜(金属膜)をウェットエッチングし、配線パターン(下層配線、アンテナ配線)を形成する場合、ウェットエッチングが等方エッチングであるため、エッチング後の配線パターンの側壁がエッチングされ、配線の上部ほどエッチング量が大きくなる。そのため、配線の導電性膜の膜厚が厚くなるほど、配線断面形状の制御が困難であり、また実効的な断面積が減少するため、配線抵抗及びそのばらつきが増大することがある。
以下では、配線の断面形状を制御できる配線のパターニングについて、主に下層配線5a、5bを例に説明するが、アンテナ配線9のパターニングについても同様である。
【0030】
図8(a)に示すように、
図1(d)の工程の後に、蒸着法、スパッタ法等により導電性のシード層12、例えばNi、Cr、Ti、Ta、TiW又はこれらの金属膜上に銅(Cu)を有する積層膜を、例えば総膜厚0.03[μm]〜0.5[μm]形成する。
その後、感光性絶縁膜13(例えば感光性ポリイミド、フォトレジスト等)を塗布法により形成する。
めっきシード層12は、銅を電解めっきで形成する際の給電用電極として機能するが、例えばTaN、TiNのような金属窒化膜を用いる(又は少なくとも積層膜の一部として用いる)ことで、銅が絶縁膜に拡散することを防止する効果も得られる。
【0031】
次に
図8(b)に示すように、フォトリソグラフィー法により、感光性絶縁層13を露光及び現像(エッチング)し、感光性絶縁膜13をパターニングし、マスクパターン13aを形成する。従って、マスクパターン13aに覆われていない領域においては、シード層12が露出する。
マスクパターン13aは、形成する下層配線(第1の下層配線5a、第2の下層配線5b)のパターンの反転パターンである。また、マスクパターン13aは、ウェハ周辺の一部を露出し、電解めっきの電力の供給を可能としている。
【0032】
次に
図8(c)に示すように、シード層12を電極とした電解めっきにより、露出したシード層12上のみに金属膜14(例えば銅)を選択的に形成する。
【0033】
次に
図8(d)に示すように、感光性絶縁膜13からなるマスクパターン13aを除去する。シード層12の一部に、マスクパターン13aの反転パターンとして、金属膜14が形成されている。
【0034】
次に
図8(e)に示すように、金属膜14をエッチングマスクにして、金属膜14に覆われていないシード層12を選択的にエッチングし、金属膜14の下のシード層12のみを残置する。この場合、シード層12と金属膜14との積層構造において、異種金属が互いに接触することがある。その後、第2の絶縁膜6を形成する。
このようにして、金属膜14とシード層12との積層構造からなる下層配線(第1の下層配線5a、第2の下層配線5b)を形成することができる。
なお、下層配線の断面形状を順テーパー形状とするためには、ネガ型感光性絶縁層13が好適に使用し得る。
【0035】
同様にして
図9(a)に示すように、金属膜14’とシード層12’との積層構造からなるアンテナ配線9(第1の端部10a及び第2の端部10bを含む)を形成することができる。
【0036】
配線(下層配線、アンテナ配線)の断面形状は、感光性絶縁層13のマスクパターン13aにより決まり、感光性絶縁層13のマスクパターン13aの形状はフォトリソグラフィー法により光学的に決定する。そのため、形成された配線の断面形状は、等方性エッチングであるウェットエッチングを用いて形成された配線の断面形状と比べ、急峻に立ち上がった側壁面を有する。
【0037】
なお、上記方法により形成された配線は、金属膜14(14’)とシード層12(12’)との積層構造からなる。
図9(a)において、第1の端部10aにおいてアンテナ配線9が第1の下層配線5aと接触する第3の開口部(接続孔)7aの底部においては、シード層12’が介在することになる。そのため、上記のように異種の金属が介在するような場合においては、(合金層の形成等により)接触抵抗が増大することがある。
しかし、以下に説明するように第1の下層配線5aの構成は、接触抵抗を効果的に低減することができる。
【0038】
図9(b)は、第1の下層配線5aと第1の開口部4a及び第3の開口部(接続孔)7aの互いの位置関係を模式的に示す図であり、
図4(c)の領域Cに相当する。
第1の下層配線5aは、第1の開口部(接続孔)4a及び第3の開口部(接続孔)7aを対角線の頂点とする仮想的な長方形Rを含むような形状である。
そのため、第3の開口部(接続孔)7aと第1の下層配線5aとの間の接触抵抗の増大により、電流集中効果により第3の開口部(接続孔)7aの周縁部に電流が集中した場合でも、長方形Rと第3の開口部(接続孔)7aとの間の電流経路は、少なくとも辺S1及びS2を含む。
従来の配線51の場合には、電流が流れる周縁部は、配線51の幅により1方向に制限され、抵抗が増大する。しかし、第1の下層配線5aの上記構成により、第3の開口部(接続孔)7aに対して電流が流れる経路を増大することができ接触抵抗を低減できる。
このことは、第1の下層配線5aと第1の開口部(接続孔)4aとの関係においても同様であり、接触部は少なくとも辺S3及びS4となり、接触抵抗を低減できる。
なお実施形態1において、第1の下層配線5a及び/又はアンテナ配線9を異種の金属膜の積層により形成した場合においても、同様に接触抵抗を低減できる。
【0039】
なお、上記アンテナ配線9を備えたICチップ1は、公知のダイシング工程の後パッケージングすることができ、例えばRFIDタグ等の非接触情報担体を提供することができる。
【0040】
このように、上記の下層配線(及びアンテナ配線、接続孔)の構成により、上記例示されるような効果等を得ることが可能であり、良好な電気特性を備えたオンチップ型のアンテナを提供することができる。
ICチップ上にスパイラル配線を備えた非接触情報媒体であり、第1及び第2の電極を有するICチップ上に、第1及び第2の電極に電気的に接続された第1及び第2の端部を有するスパイラル配線を有し、第1の接続孔を介して第1の電極に接続された第1の中継配線と、スパイラル配線の内周側に形成された第3の接続孔を介して第1の端部が第1の中継配線に接続され、第1の中継配線は、第1の接続孔と第3の接続孔とを対角線上に含む長方形領域を含む。