特許第6546788号(P6546788)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6546788咀嚼・嚥下困難者に適したゼリープレミックス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546788
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】咀嚼・嚥下困難者に適したゼリープレミックス
(51)【国際特許分類】
   A23L 21/10 20160101AFI20190705BHJP
   A23L 33/00 20160101ALI20190705BHJP
【FI】
   A23L21/10
   A23L33/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-113705(P2015-113705)
(22)【出願日】2015年6月4日
(65)【公開番号】特開2016-220660(P2016-220660A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】306007864
【氏名又は名称】ユニテックフーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】特許業務法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西本 純
(72)【発明者】
【氏名】長 秀吉
【審査官】 太田 雄三
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−089357(JP,A)
【文献】 特開2010−189333(JP,A)
【文献】 特開2015−000870(JP,A)
【文献】 特開2013−247910(JP,A)
【文献】 特開2012−231701(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/050847(WO,A1)
【文献】 特開2015−156828(JP,A)
【文献】 特開2016−158610(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 5/00−35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エステル化度が25〜38のローメトキシルペクチン、カルシウム塩、リン酸塩及び/又はクエン酸塩から構成し、添加する湯に対してのローメトキシルペクチン含量が0.6質量%以上である40℃以上の湯に添加し、冷やして調製したゼリーが、クラッシュしてもまとまり性を有し、離水がないことを特徴とするゼリープレミックス。
【請求項2】
添加する湯に対してのペクチン含量が0.6〜1.質量%、カルシウム塩含量が0.1〜0.2質量%、リン酸塩及び/又はクエン酸塩含量が0.01〜0.2質量%である咀嚼・嚥下困難者に適した請求項1記載のゼリープレミックス。
【請求項3】
酸味料と糖を添加する場合、吸湿によるケーキング、褐変を防止するため、デキストリンをプレミックス中8%以上含有する請求項1又は2記載のゼリープレミックス。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載のゼリープレミックスを40℃以上の湯に添加し、冷やして調製する工程を含む咀嚼・嚥下困難者に適したゼリーの製造方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッシュしてもまとまり性を有し、離水がないゼリーのゼリープレミックス、特に、咀嚼・嚥下困難者に適したゼリープレミックスに係る。より詳しくは、本発明のゼリープレミックスを40℃以上の湯に添加し、冷やして調製したゼリーが、口内や喉に付着したり詰まることなく適度なスベリ性とまとまり性を有する、美味しく安全に飲み込み易い、特に高齢者などの嚥下困難者の水分補給用として適したゼリーである、ゼリープレミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの嚥下困難者向けゼリー、水分補給用ゼリー飲料及びゼリープレミックスが市販されているが、いずれのゼリー、ゼリー飲料及び調製したゼリーも、クラッシュするとゼリーの小片に破砕され、全体の均一性が失われてしまうものばかりである。それらの小片には再凝集性がなく、口腔内での移動途中でばらけてしまい誤嚥につながる危険性があった。
【0003】
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の「食事分類2013」でも、ゼリー飲料について「ゼリー飲料全般についての難易度や危険性については、おおむね薄いとろみに近いものとして扱うこととする」と記述されていることからも嚥下適性は低い飲料と判断されていたことがうかがわれる。
【0004】
高齢者などの嚥下困難者用としては、幼児や高齢者などの嚥下困難者がストローや容器のスパウトからでも容易に飲み込めることを訴求したゼリー飲料(特許文献1参照)や、嚥下困難者用の飲料を簡便に調製できる嚥下困難者用飲料粉末(特許文献2、特許文献3)や、嚥下困難者用ではあるが、誤嚥し気管内に流入しても肺炎が起こりにくい安全性や消臭作用を訴求したもの(特許文献4)など、が知られている。
特許文献1のゼリー飲料はゲル化剤としてカラギーナン、ローカスト、キサンタンガム、グルコマンナンから複数選ばれたもので、ゼリーとゼリーから離水した液体から構成されている。しかし、離水量については全く規定がなく、物性の規定もスパウトやストローを通過し崩壊する前の物性値となっている。
【0005】
特許文献2の容器入り飲料粉末は、密封容器にいれることで長期間保存してもダマにならず速やかに水に溶けて均一な性状の飲料にするものである。しかし、増粘多糖類はキサンタンガム、ローカストビーンガム、グアーガム、タラガム、タマリンドまたはカラギーナンを含有するとなっている。これらの増粘多糖類では、水を加えただけでは、いわゆる濃いトロミ状を呈するにとどまり、口中でのまとまり性や付着性は不十分としか言えず、ゼリー飲料とは言えない。特許文献3は葛粉を加えることで、風味やべたつきを改善するものであるが、トロミの域を脱しない。特許文献4は、物性より気管内に流入した際に肺炎が起こりにくい安全性と消臭作用を訴求したもので、ゼリーの物性については言及していない。
【0006】
このように、従来の嚥下困難者向け水分補給ゼリー飲料は、とろみ飲料と比べ口中でべたつき感がなく、飲み心地に優れた飲料として広く用いられているが、誤嚥の危険性を排除できないという問題があった。
さらに、ゼリー飲料の、クラッシュした後のゼリーの物性を論じた文献は見当たらず、嚥下困難者向けゼリープレミックスにおいて、調製したゼリーのクラッシュした後のゼリーの物性を論じた文献も見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
特許文献1 特開2006−197838号公報
特許文献2 特開2005−348676号公報
特許文献3 特開2008−17766号公報
特許文献4 特開2007−189958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記のような問題に鑑みなされたものであり、40℃以上の湯に添加し冷やして調製されたゼリーに関し、スプーンでクラッシュした後または口中で軽く咀嚼された後の崩壊したゼリーの物性こそ、嚥下適性を判断するものであるとの視点から、クラッシュしても再凝集して全体が均一なまとまり性を有し、口中でべたつき感がなく適度なスベリ性を有し、誤嚥につながる離水がないゼリーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、鋭意研究した結果、少なくともローメトキシルペクチン、カルシウム塩、リン酸塩及び/又はクエン酸塩で構成したプレミックスを40℃以上の湯に添加して溶解し、この溶液を冷やして調製されたゼリーは、崩壊しても再凝集して全体を均一に保つことを発見し、本発明に至った。
特に、添加する湯に対して、ローメトキシルペクチンの含有量を0.6〜1.5質量%、カルシウム塩の含有量を0.1〜0.25質量%及びリン酸塩及び/又はクエン酸塩の含有量を0.01〜0.25質量%に調整したプレミックスで調製されたゼリーは、14メッシュの篩を通過させ一旦崩壊させた後、再凝集したゼリーの物性値を、厚生労働省特別用途食品嚥下困難者食品基準(但し測定温度15℃)に準じてテクスチャーアナライザーで測定した時、最大応力(N/m)が500〜1500、付着性(J/m)が200以下であり、ろ紙法(外形125mmのろ紙上に直径30mm内径26mm高さ10mmのアクリル円筒を乗せ、検体5.5gを充填して5分後の離水円直径を測定)による離水円直径が32〜60mmとなった。係るゼリーは、クラッシュした後も均一でまとまりが最もあり、べたつきがなくかつ飲み込みやすいので、咀嚼・嚥下困難者向のゼリーとして優れていることが判明した。すなわち、本発明は、少なくともローメトキシルペクチン、カルシウム塩、リン酸塩及び/又はクエン酸塩で構成される粉末形態のゼリープレミックスである。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゼリープレミックスは、40℃以上の湯に添加し冷やせば簡単にゼリーになり、従来のゼリーのように、崩壊したゼリー片がまとまりなく集合した状態ではなく、崩壊後も全体が均一になり、かつまとまり、適度な表面水を保有するため、嚥下困難者にとって非常に飲み込みやすいものとなる。
また、本発明のゼリープレミックスは、粉末であるために保存性に優れ、40℃以上の湯に溶かすだけの加熱であるため、ペクチンの欠点である中性域での加熱劣化の影響がほとんどなく、中性の商品とすることもできる。
さらには、湯に溶かすプレミックスの量を調整することにより、利用者の嚥下困難の状態に合わせた物性の調整も可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明の咀嚼・嚥下困難者向けゼリープレミックスとは、粉末組成物であり、これを40℃以上の湯に添加し、泡立て器等で素早く30秒以上撹拌し、器に入れ室温以下に冷却させると、均一な咀嚼・嚥下困難者に適した物性のゼリーが調製できる。
なお、本発明において「%」は特に断らない限り「質量%」を意味する。
【0012】
ローメトキシルペクチンは、カルシウムなどの二価金属イオンの存在下でゲル化するという性質を持つ。プレミックスとして湯で溶かし冷やして均一なゼリーができるためには、湯でペクチンが溶け、そこに適正な二価金属イオン量が反応しなければならない。二価金属イオンの存在下でのペクチンの溶解と反応速度をコントロールするには緩衝作用を持った塩が必須となる。
したがって、ゼリープレミックスには、少なくともローメトキシルペクチン、カルシウム塩、緩衝作用を持ったリン酸塩及び又はクエン酸塩が必要になる。
【0013】
本発明のゼリープレミックスを構成するローメトキシルペクチンとしては、アップル起源のものやシトラス起源のものなど、何れでもよく、その起源を問わない。前記ローメトキシルペクチンのエステル化度は25〜38が好ましく、31〜38がより好ましい。ローメトキシルペクチンのエステル化度が前記範囲より低い場合は寒天様に近いゼリーになり、崩壊後再凝集して均一な状態になることができなくなる。なお、前記ローメトキシルペクチンのアミド化度は問わない。
【0014】
特に本発明では、前記ローメトキシルペクチンとして冷水可溶性ペクチンが好適に用いることができる。冷水可溶性ペクチンの例としては、WO2012/050099「粉末ミックス」に示されているペクチンが挙げられ、ペクチン中のカルシウム含量を500ppm以下、ナトリウム含量を5000ppm以上に、カリウム含量を5ppm以上に調節したことを特徴とするペクチンである。この冷水可溶性ペクチンは冷水に容易に溶解させることができるため、使用する湯の温度を低くすることが可能になる。
【0015】
本発明のゼリープレミックスを構成するカルシウム塩としてはグルコン酸カルシウム、硫酸カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、などを使用することができる。特に硫酸カルシウムが好適に用いることができる。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
乳酸カルシウムや塩化カルシウムなどの溶解性の良いカルシウム塩は、ペクチンの溶解や均質なゲル化の妨げになり適さない。
【0016】
本発明のゼリープレミックスに用いるリン酸塩としては、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸二水素ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、クエン酸塩としては、クエン酸三ナトリウムなどを好適に使用することができる。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
【0017】
以上のほかに、他の増粘多糖類を適量使用することも可能である。増粘多糖類としては、キサンタンガム、グアーガム、タマリンドガム、タラガム、ローカストビーンガムなどが挙げられる。
糖質、ペプタイド、粉末油脂、酸味料、香料、色素、乳化剤、水溶性食物繊維、ビタミン、一価金属塩をプレミックスに適宜混合することも可能である。
【0018】
本発明におけるゼリーの物性測定は、測定温度を15℃とした以外は、厚生労働省特別用途食品嚥下困難者食品基準の方法に準拠して行った。すなわち、テクスチャーアナライザーに使用するプランジャーはシリコン製直径20mmの円筒状で、シャーレは直径40mm、深さ15mmのステンレス製を用い、プランジャーの圧縮速度は10mm/sで、クリアランスは5mmとし、圧縮は2回行い最大応力(N/m)、付着性(J/m)を計算した。
【0019】
最大応力は、500〜1500N/mが望ましく、500N/m以下であると口中でまとまり感を維持することができない。1500N/m以上であると固まり感が強くなり、飲み込むときの力が必要となる。
【0020】
付着性(J/m)は、200以下が望ましい。200以上では飲み込むとき、のど奥での張り付き感が強くなる。離水性は付着性と表裏一帯の面もあるが、付着性が200J/m以下であっても離水性が高すぎては速く滑りすぎたり、凝集性が低下する。
【0021】
離水性の測定は、125mmのろ紙(ADVANTEC101)に外径30mm、内径26mm、高さ10mmのアクリル製円筒をセンターに置き、中に試料5.5g充填して5分後の離水円の直径を測定して行われる。離水円の直径が32〜60mmが望ましく、更に望ましくは32〜45mmである。60mm以上の離水性になると付着性は減少するが、まとまり性も低下することになる。32mm以下では表面を潤す水分もないことになり、スベリ性が悪くなる。
【0022】
上記の物性を達成するために、ローメトキシルペクチンの含量は添加する湯の量に対して0.6〜1.5%であり、硫酸カルシウムの含量が0.1〜0.2%であることが望ましい。ローメトキシルペクチンの含量が0.6%より低い場合は最大応力400N/m以上にするのは難しくなり、口中でのまとまり感が感じられなくなる。1.5%以上であると最大応力が1500N/m以上となり、硬過ぎて飲みにくく感じるようになる。
【0023】
クラッシュ後の再凝集性と均一性を確保するには、硫酸カルシウムの含量は0.1〜0.25%であることが望ましい。0.1%未満の場合は架橋点が少なくなるため、まとまり性が減少してしまう。0.25%を超える場合は架橋が進み過ぎて寒天様のさくいゼリーになるため、崩壊後のゼリーの凝集と均一性が減少してしまう。物性を上記範囲になるように、キレート剤を使用することもできる。
【0024】
ペクチンがカルシウム塩存在下で溶解し、均一なゼリーになるために、緩衝作用を持ったリン酸塩及び/又はクエン酸塩が必要であり、その望ましい添加量は0.01〜0.25%である。ペクチン量、カルシウム量、pH、可用性固形分によって適性な量は変化するが、少なすぎるとペクチンが湯で溶けずゲルが弱くなったり、カルシウムとの反応が速すぎ、均一なゲルができなかったり細かいゲルの集まりであるモヤが生じ、多すぎると、ゲルが弱くなり、セットが遅くなる。
【0025】
プレミックス中に、酸味料と糖を配合する場合、紛体原料中の水分と酸と糖で保存中に紛体同士が固着するケーキングや褐変が生じやすい。デキストリンをプレミックス中8%以上含有させるとケーキング防止の効果がある。
【実施例1】
【0026】
<酸性系での実験>
80℃の湯に対するペクチンの配合量を0.5%〜1.7%まで変化させ、同時に硫酸カルシウムの配合量を0.15%〜0.28%、クエン酸三ナトリウム、メタリン酸ナトリウムを合わせて0.13%〜0.26%まで変化させて、クラッシュ後のゼリーの物性と離水性と均一性、まとまり感を評価した。クラッシュは14メッシュ篩を通過させて行った。ペクチンはエステル化度34であった。
ゼリーの調製は、80℃の湯1000mlに混合粉末を入れ、泡立て器で1分間撹拌させ、容器に充填し、粗熱をとった後乾燥しないように蓋をし、10℃の冷蔵庫に4時間以上入れた。
【0027】
以上のようにして調製されたゼリーを試料とし、硬さ、付着性、離水性について、上述した方法で測定した。また、均一性、及びまとまり性の評価基準は以下のとおりである。

※-1)均一性:メッシュ14の篩を通過させてクラッシュさせた後のゼリーの口中での一体感
○:クラッシュしたゼリー小片が再凝集し滑らかな食感
×:クラッシュしたゼリー小片が個々に粒として存在している食感
※-2)まとまり性:口中に入れた時に感じる食塊感
○:良好な食塊感
△:やや広がって食塊感が弱い
×:広がって食塊感がない
※-3)総合評価:すべての物性を勘案した総合評価
◎:咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして最適
○:咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして良好
△:咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして可
×:咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして不可

結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
実験例1、2のペクチン含量が0.5%ではゼリーの硬さが不十分で口中で溶けるような感触を感じた。実験例7のペクチン含量が1.7%では逆に硬すぎて飲み込みにくく感じた。また、クラッシュした後、クラッシュしたゼリーの小片が残り、均一感が損なわれた。実験例3〜6のゼリーはクラッシュ後も均一感とまとまりがあり、飲み込みやすかった。
実験例3のクラッシュする前のゼリーのなかに、モヤ状のものが発生した。ペクチンとカルシウムの反応が速すぎ、細かいゲルの集まりが生じたものと推察されるが、実験例4のようにメタリン酸Naを添加すると、モヤの発生はなくなった。
【実施例2】
【0030】
<中性系での実験>
酸を加えない中性系での検討を、実施例1<酸性系での実験>と同様に成分を調整したゼリー飲料を用いて評価した。
結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】
以上の実験結果から、中性系では硬さや付着性が増加する傾向がみられるが、咀嚼・嚥下困難者用ゼリーとして使用可能であることが判明した。
【実施例3】
【0033】
<糖、コラーゲンペプチドの影響>
高齢者にはエネルギーやたんぱく質強化のニーズがあるため、これらを添加した時のゼリーの性状への影響を見るため、実験例4をベースに実施例1<酸性系での実験>と同様に成分を調整したゼリーを用いて評価した。コラーゲンペプチドは豚由来の分子量5000のものを用いた。
結果を表3に示す。
【0034】
【表3】
【0035】
以上の実験結果から、糖類は60%程度まで添加可能であり、コラーゲンの場合には8%程度まで添加可能である。
【実施例4】
【0036】
<湯温の影響>
溶解する湯の温度の影響を見るため、実施例1<酸性系での実験>と同様に成分を調整し、湯の温度を40℃、50℃、60℃、80℃にして溶解させ、冷却して製造したゼリーを用いて評価した。使用したペクチンは、エステル化度31であった。
結果を表4に示す。
【0037】
【表4】
【0038】
以上の実験結果から、本発明のゼリープレミックスを溶解する湯の温度は40℃以上であることが望ましいことがわかる。
【実施例5】
【0039】
<プレミックスのケーキング>
実験例4の配合のプレミックスを、吸湿性のないアルミ入りフィルムに密封し、37℃1か月保存すると、酸と糖の粉末同士のケーキングが生じた。
これを防止する目的で、デキストリン(DE8〜9.5)を加え、同様に保存試験を行った。
37℃1か月保存後、20メッシュの篩にかけ、篩上に残る粒子の比率を求めた。
結果を表5に示す。
【0040】
【表5】
【0041】
以上の実験結果から、デキストリン(DE8〜9.5)を8%以上配合することで、プレミックスのケーキングを防ぐことができることが判明した。