(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第一操作部の少なくとも一部は、前記ブレーキレバーの基部若しくは、前記ブレーキレバーを軸支するブレーキホルダに設けられている、請求項1または2に記載の電動補助自転車。
前記第一操作部は、前記ブレーキレバーにかけられた手指で押下される間だけON状態となり、押下されないとOFF状態となるモーメンタリスイッチである、請求項1から3のいずれか一項に記載の電動補助自転車。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記構成の場合、押し歩き補助によって押し歩きしている運転者が電動補助自転車を停止させる際には、ハンドルのグリップを握っている手を一旦開き、グリップの前方に設けられたブレーキレバーをグリップとともに握り直す、という二段階の動作が必要となる。この動作は一般の自転車でも通常行われているが、運転者によっては感覚的に好まない場合もある。
【0006】
そこで本発明は、押し歩き補助中に二段階の動作を要さずに車両を停止させることができる電動補助自転車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかる電動補助自転車は、
押し歩きの際に車輪に押し歩き補助トルクを付与可能な電動モータを有する電動補助自転車であって、
ハンドルの右部および左部の少なくともいずれか一方に設けられ、ブレーキレバーにかけられた手指によってON状態とすることが可能な第一操作部と、
前記電動モータに押し歩き補助トルクを出力させる押し歩き指令値を出力するモータ制御部と、
前記第一操作部がON状態のときに前記モータ制御部に前記押し歩き指令値を出力させる押し歩き制御部と、を有する、電動補助自転車。
【0008】
上記構成の電動補助自転車によれば、押し歩き補助トルクが出力される押し歩き状態では、第一操作部をONにするために手指がブレーキレバーにかかっている。このため、押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合には、手を開くことなく、ブレーキレバーにかけている手指でそのままブレーキレバーを握って車両を二段階の動作を要さずに停止させることができる。
なお、押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合に、第一操作部にかけられた手指は離しても離さなくともどちらでもよい。第一操作部にかけられた手指を離せば押し歩き補助トルクの付与が停止されて好ましいが、離さずに電動モータに通電されていてもブレーキ力により車両をしっかり停止状態に保つことができる。
【0009】
本発明にかかる電動補助自転車は、
押し歩きの際に車輪に押し歩き補助トルクを付与可能な電動モータを有する電動補助自転車であって、
ハンドルの右部および左部の少なくとも一方に設けられ、ブレーキレバーにかけられた手指によってON状態とすることが可能な第一操作部と、
前記電動モータに押し歩き補助トルクを出力させる押し歩き指令値を出力するモータ制御部と、
前記第一操作部がON状態のときに前記モータ制御部を前記押し歩き指令値を出力可能な押し歩き可能状態にする押し歩き制御部と、を有する。
【0010】
上記構成の電動補助自転車によれば、押し歩き補助トルクが出力される押し歩き状態では、第一操作部をON状態にするために手指がブレーキレバーにかかっている。このため、押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合には、手を開くことなく、ブレーキレバーにかけている手指でそのままブレーキレバーを握って車両を停止させることができる。
なお、押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合に、第一操作部にかけられた手指は離しても離さなくともどちらでもよい。第一操作部にかけられた手指を離せば押し歩き補助トルクの付与が停止されて好ましいが、離さずに電動モータに通電されていてもブレーキ力により車両をしっかり停止状態に保つことができる。
【0011】
本発明の電動補助自転車において、
前記第一操作部の少なくとも一部は、前記ブレーキレバーの基部若しくは、前記ブレーキレバーを軸支するブレーキホルダに設けられていてもよい。
【0012】
上記構成の電動補助自転車によれば、ブレーキレバーの基部若しくはブレーキレバーを軸支するブレーキホルダは、ブレーキレバーの把持部の車幅方向すぐ内側に位置しブレーキレバーに手指をかけた時に手指の一部例えば人差し指が届く部位である。この部位に第一操作部が設けられているので、押し歩き時に、手を開くことなくブレーキレバーにかけている手指でそのままブレーキレバーを握って車両を停止させることができる。
【0013】
本発明の電動補助自転車において、
前記第一操作部は、前記第一操作部に伸びる運転者の手指を検出している間だけON状態を出力するセンサであってもよい。
【0014】
上記構成の電動補助自転車によれば、押し歩き時に手を開くことなく、ブレーキレバーにかけている手指で、そのままブレーキレバーを握って車両を停止させることができる。そのうえ、センサは機械式のスイッチのようなストローク操作が不要であり、手指を検出位置からずらすことにより、容易に電動モータへの通電を停止させることができる。
【0015】
本発明の電動補助自転車において、
前記第一操作部は、前記ブレーキレバーにかけられた手指で押下される間だけON状態となり、押下されないとOFF状態となるモーメンタリスイッチであってもよい。
【0016】
上記構成の電動補助自転車によれば、押し歩き時に手を開くことなく、ブレーキレバーにかけている手指で、そのままブレーキレバーを握って車両を停止させることができる。そのうえ、第一操作部がモーメンタリスイッチであるため、第一操作部から手指を離すとすぐに電動モータへの通電が停止される。
【0017】
本発明の電動補助自転車において、
ON/OFF操作可能な第二操作部を有し、
前記押し歩き制御部は、前記第一操作部がON状態とされることで前記モータ制御部を前記押し歩き指令値を出力可能な押し歩き可能状態にし、該押し歩き可能状態で前記第二操作部がON状態とされることで前記モータ制御部から前記押し歩き指令値を出力させるものでもよい。
【0018】
上記構成の電動補助自転車によれば、押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合には、第一操作部側の手を開くことなく、ブレーキレバーにかけている手指でそのままブレーキレバーを握って車両を停止させることができる。そのうえ第一操作部がON状態とされて押し歩き可能状態とされた後に、第二操作部がON状態とされることで押し歩き補助が行われる。したがって、第一操作部と第二操作部の二つのアクションをとる間に押し歩きを始めるという心構えができ、押し歩きを確実に行うことができる。
【0019】
本発明の電動補助自転車において、
前記第二操作部は、前記ハンドルの右部および左部のいずれか他方に設けられ、前記第一操作部を操作する手と反対側の手であってブレーキレバーにかけられた手指でON状態とすることが可能であってもよい。
【0020】
上記構成の電動補助自転車によれば、押し歩き時に手を開くことなく、左右のブレーキレバーにかけている両方の手指で、そのまま左右のブレーキレバーを握って前輪および後輪の両方に制動力を作用させて、車両を停止させることができる。そのうえ押し歩きが必ずハンドルの左右を持った状態でなされるので自転車を安定した状態で移動できる。
【0021】
本発明の電動補助自転車において、
前記ハンドルの前記右部および前記左部のうち前記第一操作部と同じ側に設けられ、前記第一操作部側の手指でON/OFF操作可能な第二操作部を有し、
前記押し歩き制御部は、前記第一操作部がON状態とされることで前記モータ制御部を前記押し歩き指令値を出力可能な押し歩き可能状態にし、該押し歩き可能状態で前記第二操作部がON状態とされることで前記モータ制御部から前記押し歩き指令値を出力させてもよい。
【0022】
上記構成の電動補助自転車によれば、第一操作部がON状態とされて押し歩き可能状態とされた後に、第二操作部がON状態とされることで押し歩き補助が行われる。したがって、第一操作部と第二操作部の二つのアクションをとる間に押し歩きを始めるという心構えができ、押し歩きを確実に行うことができる。そのうえ、片方の手の手指で第一操作部と第二操作部を操作できるので、操作が簡単である。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、押し歩き補助中に二段階の動作を要さずに車両を停止させることができる電動補助自転車を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、
図1から
図3を参照しながら説明する。なお、各図中の構成部材の寸法は、実際の構成部材の寸法及び各構成部材の寸法比率等を忠実に表したものとは限らない。
【0026】
以下の説明において、前方、後方、左方及び右方は、ハンドル23を握りつつ電動補助自転車のシート24に着座した運転者から見た前方、後方、左方及び右方を意味する。
【0027】
(第一実施形態)
まず、第一実施形態に係る電動補助自転車について説明する。
<電動補助自転車の全体構成>
図1に示すように、電動補助自転車1は、ペダル33,34と電動モータ60とを有している。この電動補助自転車1は、運転者がペダル33,34を踏み込むことにより生じるペダルトルクと、電動モータ60から出力されるモータトルクとを合計した駆動トルクによって駆動される。電動モータ60のモータトルクが、運転者のペダル33,34の踏み込み動作をアシストする補助トルクとなる。また、この電動補助自転車1は、運転者がハンドル23を把持して押し歩きする際に、後輪22に電動モータ60が押し歩き補助トルクを付与可能である。
【0028】
電動補助自転車1は、前後方向に延びる車体フレーム11を有する。また、電動補助自転車1は、前輪21、後輪22、ハンドル23、シート24及びパワーユニット40を有する。
【0029】
車体フレーム11は、ヘッドパイプ12、ダウンフレーム13、シートフレーム14、一対のチェーンステイ16及び一対のシートステイ17を有する。ヘッドパイプ12は、電動補助自転車1の前部に配置される。ヘッドパイプ12には、後方に延びるダウンフレーム13の前部が接続されている。シートフレーム14は、ダウンフレーム13の後部に接続されている。シートフレーム14は、ダウンフレーム13の後端部から上方且つ斜め後方に向かって延びている。
【0030】
ヘッドパイプ12には、ハンドルステム25が回転自在に挿入されている。ハンドルステム25の上端部には、ハンドル23が固定されている。ハンドルステム25の下端部には、フロントフォーク26が固定されている。フロントフォーク26の下端部には、前輪21が車軸27によって回転可能に支持されている。フロントフォーク26の下端部には、前輪21の回転から車速を検出する前輪車速センサ37が設けられている。
【0031】
円筒状のシートフレーム14の内方には、シートパイプ28が挿入されている。シートパイプ28の上端部には、シート24が設けられている。
【0032】
一対のチェーンステイ16は、後輪22を左右から挟むように設けられている。一対のチェーンステイ16は、ダウンフレーム13の後部から後輪22の回転中心に向かって延びている。一対のシートステイ17は、シートフレーム14の上部から後輪22の回転中心に向かって延びている。チェーンステイ16およびシートステイ17の後端部には、後輪22が回転可能に支持されている。シートステイ17には、荷台となるリヤキャリア38が支持されている。リヤキャリア38は、後輪22の上方に配置されている。
【0033】
シートフレーム14の後方には、パワーユニット40の電動モータ60に電力を供給するバッテリ35が配置されている。バッテリ35は、図示しない充放電可能な充電池及び電池制御部を有する。電池制御部は、充電池の充放電を制御するとともに、その出力電流及び残容量等を監視する。
【0034】
パワーユニット40は、ユニットケース50に、クランク軸41、クランク出力軸(不図示)、駆動スプロケット42、ペダルトルク検出部57、クランク回転検出部58、電動モータ60および補助スプロケット44を組み込み、ユニット化したものである。パワーユニット40は、車体フレーム11にボルトで結合されている。
【0035】
クランク軸41は、シートフレーム14の下方に回転可能に設けられている。クランク軸41はユニットケース50に左右方向に貫通して支持されている。クランク軸41の両端部にはクランクアーム31,32が取り付けられている。クランクアーム31,32の先端には、ペダル33,34が回転可能に取り付けられている。ペダルトルク検出部57は、運転者がペダル33,34を介してクランク軸41に入力したペダルトルクを検出する。クランク回転検出部58は、運転者がペダル33,34を回転させたときのクランク軸41の回転を検出する。
【0036】
駆動スプロケット42は、クランク軸41と同軸円筒状のクランク出力軸(不図示)の右端に図示せぬ一方向クラッチを介して取り付けられている。この駆動スプロケット42はクランク軸41とともに回転する。従動スプロケット45は、後輪22の駆動軸29と同軸に設けられている。従動スプロケット45は、図示せぬ一方向クラッチを介して後輪22に連結される。
【0037】
無端状のチェーン46は、駆動スプロケット42と従動スプロケット45とに掛け渡されている。これにより、運転者がペダル33,34を踏み込むと、駆動スプロケット42が回転する。さらに駆動スプロケット42の回転はチェーン46を介して従動スプロケット45に伝達され、後輪22が駆動される。
【0038】
電動モータ60は、ユニットケース50内であって、クランク軸41の後方に配置されている。電動モータ60の出力軸には補助スプロケット44が設けられている。電動モータ60にはバッテリ35から電力が供給される。電動モータ60に電力を供給すると電動モータ60が回転する。電動モータ60の回転は、補助スプロケット44を介してチェーン46に伝達される。このように、電動モータ60に電力を供給すると、電動モータ60にモータトルクが生じる。このモータトルクはチェーン46を介して後輪22に伝達される。
【0039】
図2に示すように、ハンドル23の右部に右ハンドルバー61が設けられ、ハンドル23の左部に左ハンドルバー62が設けられている。右ハンドルバー61および左ハンドルバー62は略前後方向に延びている。右ハンドルバー61の後端部には、右グリップ部63が設けられている。左ハンドルバー62の後端部には、左グリップ部64が設けられている。運転者は、これらの右グリップ部63および左グリップ部64を把持可能である。
【0040】
右グリップ部63の近傍に、前輪ブレーキレバー65が設けられている。左グリップ部64の近傍に、後輪ブレーキレバー66が設けられている。右手によって右グリップ部63とともに前輪ブレーキレバー65が握られると、前輪21に制動力が付与される。左手によって左グリップ部64とともに後輪ブレーキレバー66が握られると、後輪22に制動力が付与される。
【0041】
電動補助自転車1には、子供が着座可能なチャイルドシート71が装着されている。このチャイルドシート71は、ハンドル23に支持されている。チャイルドシート71は、右ハンドルバー61および左ハンドルバー62の間に配置されている。
【0042】
チャイルドシート71は、例えば、合成樹脂から成形することができる。チャイルドシート71は、上方が開放された凹状に形成されている。チャイルドシート71は、その底面に子供が着座可能な着座部72を有しており、その前部に子供の脚を通す挿通孔73が形成されている。挿通孔73の下方には、挿通孔73から離れた位置に足載せ75が設けられている。また、このチャイルドシート71には、着座した子供を保持するシートベルト74が設けられている。シートベルト74は、バックル74aを備えている。さらに、着座部72の前方かつ上方には、子供が把持可能なバー76が設けられている。
【0043】
図3は、電動補助自転車1の右ハンドルバー61を示す右側面図である。
図3に示すように、ハンドル23には、ON/OFF操作される右操作部67(第一操作部の一例)が設けられている。右操作部67は、右ハンドルバー61の前輪ブレーキレバー65に設けられている。右操作部67は、前輪ブレーキレバー65の基部65aに設けられている。基部65aは右手指がかけられる把持部65bの車幅方向のすぐ内側に位置する。なお、
図3に二点鎖線で示したように、右操作部67は、前輪ブレーキレバー65を軸支するブレーキホルダ69に設けられていてもよい。あるいは、右操作部67は、ハンドル23のうちブレーキホルダ69に隣接する部位に設けられていてもよい。右操作部67は、これら基部65a、ブレーキホルダ69、ブレーキホルダ69に隣接する部位など、いずれも把持部65bにかけられた右手指の一部、例えば人差し指が届く位置に設けられていればよい。
【0044】
この右操作部67は、押下される間だけON状態となり、押下されないとOFF状態となるモーメンタリスイッチである。右操作部67は、前輪ブレーキレバー65にかけられる運転者の手指の一部、例えば人差し指、で押下されてON状態となり、運転者が右操作部67からその手指を離すとOFF状態となる。この右操作部67は、信号線87を介して、モータ制御部95を含む制御装置100に接続されている。
【0045】
このような電動補助自転車1は、制御装置100によって電動モータ60を制御し、後輪22にモータトルクを作用させる。
【0046】
図4は、電動補助自転車1の機能を示すブロック図である。
図4に示すように、制御装置100は、ペダルトルク算出部101、モータ制御部95、押し歩き制御部96、モータ駆動部105、変速段推定部97及びメモリ98を備えている。右操作部67は、押し歩き制御部96に接続されている。
【0047】
<動力の伝達経路>
次に、動力の伝達経路について説明する。
運転者がペダル33,34を踏み込んでクランク軸41を回転させると、そのクランク軸41の回転が一方向クラッチ55を介してチェーン46に伝達される。一方向クラッチ55は、クランク軸41の順回転のみをチェーン46に伝達し、クランク軸41の逆回転はチェーン46に伝達させない。
【0048】
チェーン46の回転は後輪22側の駆動軸29に伝達される。駆動軸29の回転は、変速機構91および一方向クラッチ92を介して後輪22に伝達される。
【0049】
変速機構91は運転者によって操作される変速操作器93に応じて変速段を変更できる機構である。一方向クラッチ92は、駆動軸29の回転速度が後輪22の回転速度よりも速い場合にのみ、駆動軸29の回転を後輪22に伝える。駆動軸29の回転速度が後輪22の回転速度よりも遅い場合には、一方向クラッチ92は駆動軸29の回転を後輪22に伝えない。
【0050】
電動モータ60の回転は、減速機82を介して一方向クラッチ85に伝達される。一方向クラッチ85は、減速機82がチェーン46を順回転させる方向の回転のみをチェーン46に伝達し、減速機82がチェーン46を逆回転させる方向の回転はチェーン46に伝達させない。
【0051】
このように本実施形態に係る電動補助自転車1においては、クランク軸41に入力されるペダルトルクと電動モータ60のモータトルクは、チェーン46で合成される。
【0052】
<信号の経路>
次に、信号の経路を説明する。
運転者がクランク軸41を回転させると、車両に設けられたペダルトルク検出部57が、クランク軸41に入力されたペダルトルクに応じた信号を発生させる。ペダルトルク検出部57は、その信号をペダルトルク算出部101に入力する。
【0053】
ペダルトルク算出部101は、ペダルトルク検出部57からの信号を運転者がペダル33,34に与えたペダルトルクに換算する。ペダルトルク算出部101は、そのペダルトルクの値をモータ制御部95に入力する。
【0054】
クランク回転検出部58は、クランク軸の位相を検出するセンサである。クランク回転検出部58は、クランク軸41の位相に応じた信号を発生させる。クランク回転検出部58は、その信号をモータ制御部95に入力する。
【0055】
前輪車速センサ37は、変速段推定部97に前輪21の回転速度の信号を送信する。変速段推定部97は、前輪21の回転速度から変速段を推定し、その情報をモータ制御部95へ送信する。
【0056】
電動モータ60には、エンコーダからなるモータ回転センサ99が設けられている。このモータ回転センサ99は、電動モータ60の回転数を検知し、変速段推定部97及びモータ駆動部105へ送信する。
【0057】
<走行アシスト>
モータ制御部95は、ペダルトルク算出部101、クランク回転検出部58及び変速段推定部97からの出力や、メモリ98に格納されている情報などから、適切なアシスト力を付与するための指令値を算出し、モータ駆動部105へ送信する。
モータ制御部95は指令値を、例えば、運転者がペダル33,34に与えたクランク回転速度やペダルトルクに基づいて算出したり、メモリ98に格納されたクランク回転速度とペダルトルクとモータトルクなどの関係に基づいて作成されたマップを参照することにより算出する。
【0058】
モータ駆動部105は、モータ制御部95からの指令値に基づいて、その指令値に応じた電力をバッテリ35から電動モータ60に供給する。これにより、電力が供給された電動モータ60が駆動し、所定のモータトルクを発生させる。
このように、モータ制御部95は、走行時の運転者のペダル33,34を漕ぐ動作をアシストするように、電動モータ60にモータトルクを発生させることができる。
【0059】
<押し歩きアシスト>
モータ制御部95は、上記のように走行時の運転者のペダルトルクをアシストするほかに、押し歩き時に運転者の押し歩き動作を補助する押し歩き補助トルクを電動モータ60に出力させることもできる。押し歩き制御部96は、押し歩き時に、押し歩き指令値をモータ制御部95からモータ駆動部105に出力させ、電動モータ60にモータトルクを生じさせることができる。
【0060】
図5は、本実施形態に係る電動補助自転車1において、押し歩き補助を実現する際のフローチャートである。
本実施形態に係る電動補助自転車1では、右操作部67をON/OFF操作することで、押し歩き補助トルクを得ることができる。運転者が右グリップ部63を把持し、前輪ブレーキレバー65にかけた右手指、例えば人差し指、で右操作部67を押下してON状態にする。すると、右操作部67は、押し歩き制御部96へON信号を送信する。
【0061】
図5に示すように、押し歩き制御部96は、右操作部67がON状態であるか否かを判定する(step1)。
右操作部67から押し歩き制御部96へON信号が入力されると(step1:Yes)、押し歩き制御部96はモータ制御部95に押し歩き指令値をモータ駆動部105へ出力するよう指令する(step2)。すると、モータ制御部95からモータ駆動部105へ押し歩き指令値が送信される。なお、モータ制御部95は、例えば、そのときの車速や坂道の程度、車重、操舵トルク等のパラメータに応じて押し歩き指令値を算出することができる。モータ制御部95は、電動補助自転車1が所定の速度、例えば人が歩く速度である6km/h程度、で走行するように、押し歩き指令値を算出してもよい。
なお、右操作部67から押し歩き制御部96へON信号が入力されていない場合は(step1:No)、押し歩き制御部96はモータ制御部95に押し歩き指令値をモータ駆動部105へ出力させない(step3)。
【0062】
モータ駆動部105は、モータ制御部95からの押し歩き指令値に基づいて、その押し歩き指令値に応じた電力をバッテリ35から電動モータ60に供給する。これにより、電動モータ60が駆動され、所定のモータトルクを発生させる。したがって、運転者によって押し歩きされる電動補助自転車1の後輪22に押し歩き補助トルクが付与される。
【0063】
このようにして押し歩き補助トルクが出力された押し歩き状態において、運転者は右操作部67をON状態とするために、右手指を右操作部67に置いている。右操作部67は前輪ブレーキレバー65にかけられた右手指の一部、例えば人差し指、によってON状態とすることができる位置に設けられている。このため、押し歩き状態においては、運転者の右手指が前輪ブレーキレバー65にかかっている。
このため、押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合には、右手を開くことなく、前輪ブレーキレバー65にかけている右手指でそのまま前輪ブレーキレバー65を握ることができるため、車両を一段階の動作で停止させることができる。特許文献1に記載の車両に要求される二段階の動作が不要であり、操作が容易である。
【0064】
なお、押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合、右操作部67にかけられた手指は離しても離さなくてもよい。右操作部67から手指を離せば、押し歩き補助トルクの付与が停止されるので好ましいが、右操作部67から手指を離さず電動モータ60に通電されていても、右手指で握った前輪ブレーキレバー65により前輪21に制動力が付与されているので、しっかりと停止状態を保つことができる。
【0065】
また、右操作部67は、前輪ブレーキレバー65の基部65aに設けられている。この前輪ブレーキレバー65の基部65aは、ブレーキレバー65の手指をかける把持部65bの車幅方向すぐ内側でかつ、把持部65bにかけられた右手指の一部、たとえば人差し指、が届く部位である。この部位に右操作部67が設けられているので、押し歩き時に右手を開くことなく、前輪ブレーキレバー65にかけている右手指で、そのまま前輪ブレーキレバー65を握って車両を一段階の動作で停止させることができる。右操作部67が、前輪ブレーキレバー65を軸支するブレーキホルダ69に設けられていても同様に車両を一段階の動作で停止させることができる。あるいは、右操作部67に代えて左操作部(図示せず)が後輪ブレーキレバー66の基部や後輪ブレーキレバー66を軸支するブレーキホルダに設けられていてもよい。この場合でも、押し歩き時に左手を開くことなく、後輪ブレーキレバー66にかけている左手指でそのまま後輪ブレーキレバー66を握って車両を停止させることができる。
【0066】
また、右操作部67は、押下される間だけON状態となり、押下されないとOFF状態となるモーメンタリスイッチである。このため、押し歩き時に右手を開くことなく、前輪ブレーキレバー65にかけている右手指で、そのまま前輪ブレーキレバー65を握って車両を停止させることができる。そのうえ、右操作部67から右手指を離すとすぐに電動モータ60への通電を停止できる。
【0067】
このように、第一実施形態に係る電動補助自転車1では、押し歩き補助トルクを付与させて容易に押し歩きさせることができるので、特に、チャイルドシート71に子供を乗せた重い状態で押し歩きする際の運転者の労力が軽減されるので好適である。
【0068】
(第一実施形態の変形例)
なお、上述の実施形態では、右操作部67として、モーメンタリスイッチを用いた例を示したが、
図6に示すように、右操作部67として、運転者の手指を検出するセンサを用いてもよい。このようなセンサとしては、例えば、光が遮られるとON状態となる光学センサが用いられる。なお、このセンサとして、赤外線センサや近接センサを用いてもよい。また接触式のセンサでもよいし、非接触式のセンサであってもよい。
【0069】
このセンサからなる右操作部67は、前輪ブレーキレバー65にかけられる運転者の手指の一部、例えば人差し指、が右操作部67に触れたことを検知してON状態となり、運転者が右操作部67からその手指を離すとOFF状態となる。この右操作部67は、前輪ブレーキレバー65に埋め込まれている。右操作部67が運転者の手指で覆われると右操作部67がON状態となり、右操作部67から手指が離れると右操作部67がOFF状態となる。
【0070】
この変形例では、前輪ブレーキレバー65にかけられた右手指の一部が右操作部67にかかると、この運転者の手指を検知して右操作部67がON状態となり、押し歩き制御部96がモータ制御部95に押し歩き指令値を出力させる。また、運転者の右手指が右操作部67から離れると右操作部67がOFF状態となり、押し歩き制御部96はモータ制御部95に押し歩き指令値を出力させない。
【0071】
このように、この変形例では、押し歩き時に右操作部67をONにするために右手指が前輪ブレーキレバー65にかかっている。このため、押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合には、右手を開くことなく、前輪ブレーキレバー65にかけている右手指で、そのまま前輪ブレーキレバー65を握って電動補助自転車1を一段階の動作で停止させることができる。そのうえ、このようなセンサは機械式スイッチのようなストローク操作が不要であり、右手指を検出位置からずらすことにより、容易に電動モータ60への通電を停止させることができる。
【0072】
なお、右操作部67としてのセンサは、
図6に示したように、前輪ブレーキレバー65の基部65aや、前輪ブレーキレバー65を軸支するブレーキホルダ69に設けることができる。あるいは、図示しないが、このようなセンサは、ハンドル23の左部に設けられた後輪ブレーキレバー66の基部や、後輪ブレーキレバー66のブレーキホルダに設けてもよい。
【0073】
(第二実施形態)
なお、上述の例では、押し歩き制御部96は、右操作部67(第一操作部)がON状態のときに、モータ制御部95に押し歩き指令値を出力させる例を説明したが、本発明はこれに限られない。次に、本発明の第二実施形態について説明する。なお、第一実施形態と同一構成部分は同一符号を付して説明を省略する。
【0074】
図7は、本実施形態に係る電動補助自転車1Aの前部の上面図である。
図7に示すように、第二実施形態に係る電動補助自転車1Aでは、第一実施形態で説明したものと同様の右操作部67に加えて、ハンドル23に、ON/OFF操作される左操作部68が設けられている。
左操作部68は、右操作部67と同様の構成を有し、左ハンドルバー62の後輪ブレーキレバー66に設けられている。左操作部68は、後輪ブレーキレバー66の基部66aに設けられている。左操作部68は、後輪ブレーキレバー66にかけられる運転者の手指の一部、例えば人差し指、で押下されてON状態となり、運転者が左操作部68からその手指を離すとOFF状態となる。
【0075】
右操作部67および左操作部68は、押下される間だけON状態となり、押下されないとOFF状態となるモーメンタリスイッチである。右操作部67および左操作部68は、信号線87によって制御装置100に接続されている。電動補助自転車1Aは、右操作部67および左操作部68をON/OFF操作することで、押し歩き補助トルクを得ることができる。
【0076】
次に、
図8および
図9を用いて、押し歩きアシストを実現する際の一連の処理について説明する。
図8は、第二実施形態に係る電動補助自転車1Aのブロック図である。
図9は、第二実施形態に係る電動補助自転車1Aにおいて、押し歩き補助を実現する際のフローチャートである。
図8に示すように、右操作部67および左操作部68はいずれも制御装置100の押し歩き制御部96に接続されている。
【0077】
図9に示すように、押し歩き制御部96は、右操作部67および左操作部68のいずれか一方がON状態であるかを判定する(step11)。
運転者が右グリップ部63および左グリップ部64を把持し、右操作部67または左操作部68のいずれか一方を押下してON状態とすると、押下された右操作部67または左操作部68のいずれか一方(第一操作部の一例)から押し歩き制御部96へON信号が送信される(step11:Yes)。すると、押し歩き制御部96はモータ制御部95を押し歩き指令値を出力可能な状態とする(step12)。
押し歩き制御部96が右操作部67または左操作部68のいずれか一方からON信号を受信していない場合には(step11:No)、押し歩き制御部96はモータ制御部95を押し歩き指令値を出力させない状態とする(step13)。
【0078】
次に、押し歩き制御部96は、押し歩き制御部96がモータ制御部95を押し歩き指令値を出力可能な状態としている場合において、運転者が押下していなかった右操作部67または左操作部68のいずれか他方(第二操作部の一例)がON状態であるか否かを判定する(step14)。
運転者が、運転者が押下していなかった右操作部67または左操作部68のいずれか他方を押下してON状態とすると、該右操作部67または左操作部68のいずれか他方から押し歩き制御部96へON信号が送信される(step14:Yes)。すると、モータ制御部95からモータ駆動部105へ押し歩きトルクを発生させる押し歩き指令値が送信される(step15)。なお、モータ制御部95は、例えば、そのときの車速や坂道の程度、車重、操舵トルク等のパラメータに応じて押し歩き指令値を算出することができる。
また、押し歩き制御部96がモータ制御部95を押し歩き指令値を出力可能な状態としている場合において、運転者が押下していなかった右操作部67または左操作部68のいずれか他方(第二操作部の一例)がON状態とされない場合には(step14:No)、押し歩き制御部96はモータ制御部95からモータ駆動部105へ押し歩き指令値を送信させない(step16)。
【0079】
より具体的には、運転者が始めに右操作部67(第一操作部)をON状態にし、この状態でさらに左操作部68(第二操作部)をON状態にすると、押し歩き制御部96はモータ制御部95にモータ駆動部105へ押し歩き指令値を出力させる。また、運転者が始めに左操作部68(第一操作部)をON状態にし、この状態でさらに右操作部67(第二操作部)をON状態にすると、押し歩き制御部96はモータ制御部95にモータ駆動部105へ押し歩き指令値を出力させる。
【0080】
モータ駆動部105は、モータ制御部95からの押し歩き指令値に基づいて、その押し歩き指令値に応じた電力をバッテリ35から電動モータ60に供給する。これにより、電動モータ60が駆動され、所定のモータトルクを発生させる。したがって、運転者によって押し歩きされる電動補助自転車1Aの後輪22に押し歩き補助トルクが付与される。
【0081】
本実施形態において、押し歩き制御部96は、右操作部67と左操作部68の両方からON信号が入力されている場合にのみ、モータ制御部95にモータ駆動部105へ押し歩き指令値を出力させる。このため、右操作部67と左操作部68のいずれか一方がOFF状態となると、モータ制御部95からモータ駆動部105へ押し歩き指令値が送信されない。
【0082】
このように、第二実施形態に係る電動補助自転車1Aによれば、右操作部67および左操作部68を押下する順番にかかわらず、右操作部67および左操作部68がON状態とされることで押し歩き補助が行われる。したがって、右操作部67および左操作部68の操作の順番にかかわらず、押し歩き補助トルクを出力させることができるので、操作が容易である。
また、右操作部67または左操作部68のいずれか一方がON状態とされて押し歩き可能状態とされた後に、右操作部67または左操作部68のいずれか他方がON状態とされることで押し歩き補助が行われる。このため、運転者は、第一操作部と第二操作部をON状態にするという二つのアクションをとる間に、押し歩きを始めるという心構えができ、押し歩きを確実に行うことができる。
【0083】
またこの第二実施形態においては、押し歩き時に右操作部67および左操作部68の両方をON状態にするために右手指が前輪ブレーキレバー65にかかり、左手指が後輪ブレーキレバー66にかかっている。このため押し歩き補助の際に車両を停止させたい場合、上述した第一実施形態と同様に、手を開くことなく、前輪ブレーキレバー65と後輪ブレーキレバー66にかけている右手指および左手指で、そのまま前輪ブレーキレバー65と後輪ブレーキレバー66の少なくとも一方を握って車両を一段階の動作で停止させることができる上に、右操作部67または左操作部68のいずれか一方から手指を離すことで電動モータ60への通電を容易に停止できる。
【0084】
なお、この第二実施形態においても、右操作部67および左操作部68として、例えば、光学センサ、赤外線センサあるいは近接センサなどの運転者の手指を検出するセンサを用いることが可能である。
また、第二実施形態では、右操作部67は、前輪ブレーキレバー65の基部65aに限らず前輪ブレーキレバー65を軸支するブレーキホルダに設けても良く、また、左操作部68は、後輪ブレーキレバー66の基部に限らず後輪ブレーキレバー66を軸支するブレーキホルダに設けてもよい。また、右操作部67および左操作部68は、前輪ブレーキレバー65や後輪ブレーキレバー66にかけた運転者の手指の一部が届く位置に設けられていればどこでもよい。
【0085】
また、第二実施形態において、一方の操作部はON/OFF操作できるスイッチであって、他方の操作部は出力の大小を変更可能な出力可変入力手段であってもよい。出力可変入力手段として、例えば回転角度により出力を変更できるスロットルや、押しこむストローク量により出力を変更できる押しボタンなどが挙げられる。出力可変入力手段の出力に応じて、押し歩き指令値の大きさを調整できるように構成できる。
例えば第一操作部がON/OFFスイッチであり、第二操作部が出力可変入力手段であった場合には、第一操作部がブレーキレバーにかけられた手指の一部、例えば人差し指、によってON状態とすることが可能な位置に設けられていれば、押し歩き状態において手を開くことなくブレーキレバーにかけている手指で、そのままブレーキレバーを握って車両を停止させることができる。
【0086】
(第二実施形態の第一変形例)
なお、第二実施形態において、二つの操作部67,68の両方がブレーキレバーにかけられた手指の一部によってON状態とすることができる位置に設けられた例を説明したが、いずれか一方の操作部のみがブレーキレバーにかけられた手指の一部によってON状態とすることができる位置に設けられ、他方はそれ以外の箇所に設けられていてもよい。
例えば、第一操作部が前輪ブレーキレバー65の基部65aやブレーキホルダあるいはブレーキホルダに隣接するハンドルバーに設けられ、第二操作部がチャイルドシート71に設けられていてもよい。
あるいは、
図10に示す第二実施形態の第一変形例のように構成してもよい。
図10の(a)は本発明の第二実施形態の第一変形例に係る電動補助自転車における右ハンドルバー61の右側面図であり、
図10の(b)は左ハンドルバー62の左側面図である。
図10の(a)に示すように第一操作部67Bが前輪ブレーキレバー65の基部65aやブレーキホルダあるいはブレーキホルダに隣接するハンドルバーに設けられ、
図10の(b)に示すように第二操作部68Bが左グリップ部64付近であって親指で操作できる位置に設けられていてもよい。この場合、第一操作部67Bは、前輪ブレーキレバー65にかけられた右手指の一部、例えば人差し指、で操作される。
これらの構成の電動補助自転車においても、第一操作部をON状態にしている右手を開くことなく、前輪ブレーキレバー65にかけている手指でそのままブレーキレバー65を握り、電動補助自転車を一段階の動作で停止させることができる。
【0087】
(第二実施形態の第二変形例)
また、第二実施形態において、ハンドル23の右部に設けられた右操作部67とハンドル23の左部に設けられた左操作部68を備えた電動補助自転車を説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、
図11に示すように、2つの操作部がハンドル23の左部と右部のうち同じ側に設けられていてもよい。
図11は、ハンドル23の左部を示す左側面図である。
【0088】
図11に示した第二実施形態の第二変形例では、第一左操作部67Aがブレーキホルダ69に隣接するハンドル23の左部から後輪ブレーキレバー66に向かって突き出すレバースイッチとして設けられ、第二左操作部68Aがブレーキホルダ69に隣接するハンドル23の左部から後輪ブレーキレバー66と反対側に向かって突き出す押しボタンとして設けられている。第一左操作部67Aは、後輪ブレーキレバー66にかけられた手指の一部である人差し指でON/OFF操作可能な位置に設けられ、第二左操作部68Aは、グリップ部64を握った左手の親指でON/OFF操作可能な位置に設けられている。
【0089】
押し歩き制御部96は、第一左操作部67AがON状態とされることで、モータ制御部95を押し歩き指令値を出力可能な押し歩き可能状態にし、該押し歩き可能状態で第二左操作部68AがON状態とされることで、モータ制御部95からモータ駆動部105へ押し歩き指令値が送信される。
このように構成された電動補助自転車であっても、押し歩きの際には、第一左操作部67AをON状態にするために手指が後輪ブレーキレバー66にかかっている。このため、押し歩きの際に車両を停止させたい場合には、手を開くことなく、後輪ブレーキレバー66にかけている手指で、そのまま後輪ブレーキレバー66を握って車両を停止させることができる。
【0090】
なお、上記第一および第二実施形態では、チャイルドシート71が装着された電動補助自転車を例示して説明したが、本発明はチャイルドシート71が装着された電動補助自転車に限定されない。
また、上記第一および第二実施形態では、補助トルクが後輪22に付与される車両を説明したが、補助トルクが前輪21に付与されるように構成されていてもよい。