(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546873
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】ドラム式洗濯乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 39/12 20060101AFI20190705BHJP
D06F 39/08 20060101ALI20190705BHJP
D06F 39/10 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
D06F39/12 B
D06F39/08 321
D06F39/10 E
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-79944(P2016-79944)
(22)【出願日】2016年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-189323(P2017-189323A)
(43)【公開日】2017年10月19日
【審査請求日】2018年3月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】飛田 達成
(72)【発明者】
【氏名】小谷 直己
(72)【発明者】
【氏名】高橋 幸太郎
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 大亮
(72)【発明者】
【氏名】山口 龍之介
(72)【発明者】
【氏名】友部 克史
【審査官】
遠藤 邦喜
(56)【参考文献】
【文献】
特開2015−062606(JP,A)
【文献】
特開2010−029439(JP,A)
【文献】
特開2015−226677(JP,A)
【文献】
特開2015−066059(JP,A)
【文献】
特開2015−033531(JP,A)
【文献】
特開2007−195859(JP,A)
【文献】
特開2015−119887(JP,A)
【文献】
特開2010−207313(JP,A)
【文献】
特開2010−035667(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 39/12
D06F 39/08
D06F 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面の筺体を構成するパネルがアッパーパネルとアンダーパネルの上下2段に分割されていて、いずれのパネルも金属製であり、
前記アンダーパネルの奥には、
洗濯槽の水を循環させる循環ポンプと、
当該循環ポンプの近傍に配置され、前記循環させる水の糸屑を除去する糸屑除去フィルタとが設けられ、
前記アンダーパネルの開口部に入口が設けられ、奥側が前記糸屑除去フィルタに接続される接続路と、
前記糸屑除去フィルタを収納し前記循環ポンプに直接接続されているポンプケーシングと、
前記接続路の奥側と前記ポンプケーシングとの間に挟まれる防振パッキンと、
前記アンダーパネルの入口の縁に設けられ前記接続路の入口の縁部分と係り合って前記接続路の小孔と係り合って当該接続路を支持する係合部材と、
前記接続路を前記アンダーパネルに前記筺体の内部側からネジ留めするネジとを備え、
前記接続路は、樹脂製で前記アンダーパネルとは別部材であることを特徴とするドラム式洗濯乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドラム式洗濯乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2013−85779号公報(特許文献1)がある。この公報には、「衣類が収容されるドラム3と、このドラム3を回転駆動するモータ4と、送風ユニット28と乾燥ダクト29と、前記回転ドラムを支持する筐体1を有し、乾燥運転時に前記回転ドラム内の衣類に温風を吹き付けるドラム式洗濯乾燥機において、前記筐体の内側に、前記回転ドラム、前記モータ、前記送風ファン、前記送風ダクトを覆う、ガス透過度の低い樹脂フィルムでできたシート36を設け、前記シートの上下方向寸法は少なくとも筐体高さの上半分以上とする。」と記載されている(要約参照)。
【0003】
また、背景技術として、米国特許出願公開第2011/234073号明細書(特許文献2)がある。この公報には、「パネルの内外表面の少なくとも一面に、多角形の成形加工を備える部材からなる家庭用器具に供するパネル」に関する技術が記載されている。
【0004】
さらに、特開2010−94261号公報(特許文献3)がある。この公報には、「回転ドラム2を、開口する正面側から底部となる背面側に向けて回転軸20が水平方向から下向き傾斜となるよう水槽3内に設置し、洗濯物を回転ドラム2に収容しモータ6で駆動することで洗濯工程、すすぎ工程、脱水工程が行え、開閉蓋5は、洗濯機筐体4の前面4aを形成するボディーパネル41から後部側に傾斜して、前面4aから凹陥した凹陥部42の後部側に傾斜した底部に開口する出し入れ口12を閉じ、ボディーパネル41は、凹陥部42の前面4aへの開口側を有した枠状のボディーパネル41aと、凹陥部42の出し入れ口12を有した底部側をなす環状のボディーパネル41bとを一体化して形成し、凹陥部42は、環状のカバーパネル44で外装し、上記の目的を達成する。」と記載されている(要約参照)。
【0005】
従来、ドラム式洗濯乾燥機の外装(筺体)部分は、数点の金属部品、及び樹脂部品にて構成されており、特に前面部分は大きく分けて2部品により構成される場合と、1部品にて構成される場合とがある。
前者はメンテナンス性を考え、大きく分けて上下2部品にて構成されることが多く、後者は意匠性や生産性を考え1部品で構成されることが多い。前記2部品構成の場合は樹脂2部品、及び樹脂と金属部品の組み合わせとして構成されているものが知られており、前記1部品の場合は樹脂、金属両方の場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013−85779号公報
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/234073号明細書
【特許文献2】特開2010−94261号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記のとおり、従来のドラム式洗濯乾燥機の前面パネルは、2部品に分かれる場合には、この2部品とも樹脂製であるか、一方が樹脂製で他方が金属製であった。
しかし、前面パネルに樹脂を用いると、ドラム式洗濯乾燥機の輸送中等に熱等により樹脂製の前面パネルがクリープして滑り落ちてきて、2枚のパネルの間の間隔が空いてしまうという不具合がある。
そこで、本発明は、輸送中等に2枚の前面パネルの間隔が空いてしまうことがないドラム式洗濯乾燥機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発
明は、前面の筺体を構成するパネルがアッパーパネルとアンダーパネルの上下2段に分割されていて、いずれのパネルも金属製であ
り、前記アンダーパネルの奥には、洗濯槽の水を循環させる循環ポンプと、当該循環ポンプの近傍に配置され、前記循環させる水の糸屑を除去する糸屑除去フィルタとが設けられ、前記アンダーパネルの開口部に入口が設けられ、奥側が前記糸屑除去フィルタに接続される接続路と、前記糸屑除去フィルタを収納し前記循環ポンプに直接接続されているポンプケーシングと、前記接続路の奥側と前記ポンプケーシングとの間に挟まれる防振パッキンと、前記アンダーパネルの入口の縁に設けられ前記接続路の入口の縁部分と係り合って前記接続路の小孔と係り合って当該接続路を支持する係合部材と、前記接続路を前記アンダーパネルに前記筺体の内部側からネジ留めするネジとを備え、前記接続路は、樹脂製で前記アンダーパネルとは別部材であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、輸送中等に2枚の前面パネルの間隔が空いてしまうことがないドラム式洗濯乾燥機を提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施例であるドラム式洗濯乾燥機の外観の斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施例であるドラム式洗濯乾燥機のアンダーパネルを外した状態のドラム式洗濯乾燥機の下部の拡大斜視図である。
【
図3】
図3は、本発明の一実施例であるドラム式洗濯乾燥機の下部の拡大縦断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の一実施例であるドラム式洗濯乾燥機のアンダーパネルとフィルタ開閉部接続ピースとの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、本発明の一実施例であるドラム式洗濯乾燥機のアンダーパネルとフィルタ開閉部接続ピースとの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明の一実施例であるドラム式洗濯乾燥機のアンダーパネルにフィルタ開閉部接続ピースを取り付けた状態をアンダーパネルの裏側からみた正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態のドラム式洗濯乾燥機の外観の斜視図である。ドラム式洗濯乾燥機1の前面の中央部分やや上側には外ドア2が設けられており、図示はしていないが、その奥には内ドア、さらにその奥にはドラムが設けられている。筺体前面の前面パネル3は、外ドア2が設けられた上側のアッパーパネル4と、アッパーパネル4より小さい下側のアンダーパネル5とから構成されている。
【0012】
ここで、日本のドラム式洗濯乾燥機1は、排水溝が床に設けられていることから、排水溝への配線工事のときに前面パネル3を外すことが必要である。そのため、前面パネル3をアッパーパネル4とアンダーパネル5の2分割にして、排水溝への配線工事のときにはアンダーパネル5を外すようにして配管し易くしている。
そして、従来は、アッパーパネル4とアンダーパネル5は、2部品とも樹脂製であるか、一方が樹脂製で他方が金属製であった。
しかし、前面パネル3に樹脂を用いると、ドラム式洗濯乾燥機1の輸送中等に熱等により樹脂製の前面パネル3がクリープして滑り落ちてきて、2枚のパネルの間の間隔が空いてしまうという不具合がある。
【0013】
そこで、本実施形態では、アッパーパネル4とアンダーパネル5との何れも金属製(鋼鈑)で構成している。これにより、アッパーパネル4とアンダーパネル5の熱等による変形を無視できる。そのため、前面パネル3がクリープして滑り落ちてきて、アッパーパネル4とアンダーパネル5とのの間隔が空いてしまうという不具合を防止することができる。
図2は、アンダーパネル5を外した状態のドラム式洗濯乾燥機1の下部の拡大斜視図である。
図3は、このドラム式洗濯乾燥機1の下部の拡大縦断面図である。
【0014】
ドラム式洗濯乾燥機1では、ドラム内の水の水位が低いため、ドラム式洗濯乾燥機1の下部に設けられた循環ポンプ11で水を揚げて、シャワーで洗濯物に提供するという水の循環を行っている。この循環ポンプ11は糸屑等のゴミが入り込んでしまうと停止ししてしまうので、このゴミを除去するための糸屑フィルタ12が設けられている。この糸屑フィルタ12は着脱可能であり、内部のゴミを除去できる。糸屑フィルタ12は取り出しやすくするために、ゴミの取り出し側を上側として、長手方向が斜めに傾いている(
図3)。符号13は、糸屑フィルタ12などを納めるポンプケーシングである。
【0015】
アンダーパネル5には、糸屑フィルタカバー14が設けられている(
図1、
図3)。糸屑フィルタカバー14を取り外すと、開口部15が現れる(
図3)。
図3に示すように、フィルタ開閉部接続ピース(接続路)16は、アンダーパネル5の開口部15に、その入口37が設けられ、奥側38が糸屑フィルタ12に接続されている。糸屑フィルタ12を外すときは、ユーザは糸屑フィルタカバー14を開き、フィルタ開閉部接続ピース16の奥に手を入れて糸屑フィルタ12を取り外すことができる。
【0016】
ポンプケーシング13には、循環ポンプ11が直接接続されているので、微振動を生じる。そこで、ポンプケーシング13のドラム式洗濯乾燥機1への取り付けには、直接ネジ21でネジ留めするのではなく、ケーシング支持パッキン22を介装させてネジ留めしている。また、フィルタ開閉部接続ピース16と、糸屑フィルタ12の上側先端部分のポンプケーシング13とは対峙していて、その両者の間には、パネル防振パッキン23が介装されている。これらのパッキンにより、循環ポンプ11の振動が糸屑フィルタ12、アンダーパネル5、及びドラム式洗濯乾燥機1のベース部分に伝わりにくくしている。
ここで、水が垂れたりするのを防止するため、フィルタ開閉部接続ピース16の奥側38は、ポンプケーシング13に対してケーシング支持パッキン22を介装させるように適切な程度に僅かな隙間で沿うようにすることが求められる。
【0017】
そして、仮にアンダーパネル5を樹脂製としてフィルタ開閉部接続ピース16も当該アンダーパネル5と一体成形する場合であれば、フィルタ開閉部接続ピース16は比較的自由な形状で成形することができるので、フィルタ開閉部接続ピース16の奥側を、ポンプケーシング13に対して僅かな隙間で沿うようにすることも容易である。
しかしながら、本実施形態のようにポンプケーシング13が金属製である場合、絞り加工により1枚の板金からアンダーパネル5及びフィルタ開閉部接続ピース16を一体成形するのは、
図3に示すフィルタ開閉部接続ピース16に明らかなように、相当な深絞りになり、大変困難である。
【0018】
そこで、本実施形態では、前記のとおり、アンダーパネル5は金属製とする一方、フィルタ開閉部接続ピース16はアンダーパネル5とは別部品として樹脂製としている。よって、ポンプケーシング13とフィルタ開閉部接続ピース16との間に的確な間隔をあけられるようにして、その両者の間にパネル防振パッキン23を介装させることができる。
【0019】
図4は、アンダーパネル5とフィルタ開閉部接続ピース16との分解斜視図である。アンダーパネル5を塗装する方法には2つの方法がある。1つは、鋼鈑をアンダーパネル5の形状に加工した後、アンダーパネル5を全面塗装をする方法である。もう一つは、鋼板の状態で全面塗装し、その後、塗装後の鋼板をアンダーパネル5の形状に加工する方法である。製造コストが安価であるため、本実施形態では、後者の方法を使用している。
【0020】
そのため、フィルタ開閉部接続ピース16の入口37(
図3)が取り付けられるアンダーパネル5の丸孔31は、全面塗装後の鋼板の抜き加工で形成するので、縁部分は未塗装である。そこで、アンダーパネル5の開口部15は周方向に張り出した縁32が設けられていて、この丸孔31の未塗装部分を覆い、錆の発生を防止している。
【0021】
図5は、アンダーパネル5とフィルタ開閉部接続ピース16との分解斜視図である。このアンダーパネル5の開口部である丸孔31の縁には、フィルタ開閉部接続ピース16の入口の縁32部分と係り合ってフィルタ開閉部接続ピース16を支持する鉤状の係合部材33が設けられている。これに対応して、フィルタ開閉部接続ピース16には、係合部材33と係り合う小孔34が形成されており、小孔34に係合部材33を差し込んでフィルタ開閉部接続ピース16をその周方向に回転させることで、係合部材33と小孔34とが係り合って、フィルタ開閉部接続ピース16はアンダーパネル5に支持される。
この状態で、フィルタ開閉部接続ピース16をアンダーパネル5にドラム式洗濯乾燥機1の筺体の内部側からネジ35でネジ留めすることにより、アンダーパネル5にフィルタ開閉部接続ピース16を固定することができる。
【0022】
図6は、アンダーパネル5にフィルタ開閉部接続ピース16を取り付けた状態をアンダーパネル5の裏側からみた正面図である。
これによって、アンダーパネル5にフィルタ開閉部接続ピース16を固定しているネジ35を外部から見えなくすることができる。
【0023】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0024】
1 ドラム式洗濯乾燥機
3 前面パネル(パネル)
4 アッパーパネル
5 アンダーパネル
11 循環ポンプ
12 糸屑除去フィルタ
16 フィルタ開閉部接続ピース(接続路)
23 パネル防振パッキン(防振パッキン)
31 丸孔(開口部)
33 係合部材
35 ネジ
37 入口