特許第6546907号(P6546907)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6546907機器用統合データ収集及び報告インタフェース
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546907
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】機器用統合データ収集及び報告インタフェース
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/14 20060101AFI20190705BHJP
   G06F 3/048 20130101ALI20190705BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   G06F3/14 320A
   G06F3/048
   H04M1/00 R
【請求項の数】33
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2016-503242(P2016-503242)
(86)(22)【出願日】2014年3月15日
(65)【公表番号】特表2016-517093(P2016-517093A)
(43)【公表日】2016年6月9日
(86)【国際出願番号】US2014029879
(87)【国際公開番号】WO2014145163
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月9日
(31)【優先権主張番号】61/801,380
(32)【優先日】2013年3月15日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/876,719
(32)【優先日】2013年9月11日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509233459
【氏名又は名称】フルークコーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Fluke Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ニーリー・ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ホンシンジャー・ブラディ
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス・タイラー・ベネット
(72)【発明者】
【氏名】ファーランテ・ジョセフ・ヴィー
【審査官】 星野 裕
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/020110(WO,A2)
【文献】 特開平06−308917(JP,A)
【文献】 特開2008−102449(JP,A)
【文献】 特表2003−501120(JP,A)
【文献】 特開2005−316633(JP,A)
【文献】 特開2006−155555(JP,A)
【文献】 特開2012−089057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/14
G06F 3/048
H04M 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被試験装置(DUT)の測定値と、類似の機器から得た測定値とを比較するコンピュータ実現方法であって、
モバイル計算装置によって、第1機器場所に配置された上記DUTの機器識別子を決定することと、
上記モバイル計算装置によって、上記機器識別子に関連した機器プロファイル情報を回収することと、
上記モバイル計算装置のインタフェースを介して、上記DUTの上記第1機器場所と異なる1つ以上の第2機器場所での上記DUTに類似の機器の測定値を含む上記機器プロファイル情報と共に、上記DUTの測定値を提示することと、
上記DUTの第1画像及び上記DUTに類似した機器の第2画像を並べて又は重ねて見せることにより、上記第1画像と上記第2画像との比較を行うことと
を備えた方法。
【請求項2】
上記インタフェースは、上記DUTの現在の状態を説明する状態バーを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記機器プロファイル情報は、上記DUTの現在の画像を識別する又は上記現在の画像と比較するため、上記DUTに類似の機器の1つ以上の以前の画像を含む請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
上記インタフェースは、時間経過に伴って収集した測定データの少なくとも1つのグラフを含む請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項5】
上記機器プロファイル情報は、1つ以上の基準文書を含む請求項1から4のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項6】
上記DUTと類似の機器の測定値は、上記DUTと類似の上記機器の過去の測定値である請求項1から5のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項7】
上記機器プロファイル情報は、上記DUTの過去の測定値を含む請求項1から6のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項8】
設備内に配置された機器の地図を用いて、上記DUTの上記機器識別子を決定する請求項1から7のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項9】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、上記地図をユーザに表示することと、上記地図上に表示された機器の選択を受信することとを含む請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、位置決めシステムを用いてユーザの位置を検出することと、上記地図を用いて、上記ユーザの位置近くに設置された機器を決定することとを含む請求項8に記載の方法。
【請求項11】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、階層リストからの建物領域又は部屋形式の選択を受信することを含む請求項1から7のうちのいずれか1つに記載の方法。
【請求項12】
被測定装置(DUT)の測定値と、類似の機器から得た測定値とを比較できるように構成されたモバイル計算装置であって、該装置が、
プロセッサと、
少なくとも1つのインタフェースを含み、
DUT用の機器識別子を決定し、
上記機器識別子に関連する機器プロファイル情報を回収し、
上記DUTの第1機器場所と異なる1つ以上の第2機器場所での上記DUTに類似の機器の測定値を含む上記機器プロファイル情報と共に、上記DUTの測定値をインタフェースを介して提示し、
上記DUTの第1画像及び上記DUTに類似した機器の第2画像を並べて又は重ねて見せることにより、上記第1画像と上記第2画像との比較することによって、
上記プロセッサが、上記第1機器場所に配置された上記DUTの測定値と上記DUTに類似の機器から得た測定値を比較できるように構成されたモバイル計算装置。
【請求項13】
上記インタフェースは、上記DUTの現在の状態を説明する状態バーを含む請求項12に記載の装置。
【請求項14】
上記機器プロファイル情報は、上記DUTの現在の画像を識別するか又は上記現在の画像と比較するため、上記DUTに類似の機器の1つ以上の以前の画像を含む請求項12又は13に記載の装置。
【請求項15】
上記インタフェースは、時間経過に伴って収集した測定データの少なくとも1つのグラフを含む請求項12から14のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項16】
上記機器プロファイル情報は、1つ以上の基準文書を含む請求項12から15のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項17】
上記DUTと類似の機器の測定値は、上記DUTと類似の上記機器の過去の測定値である請求項12から16のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項18】
上記機器プロファイル情報は、上記DUTの過去の測定値を含む請求項12から17のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項19】
設備内に配置された機器の地図を用いて、上記DUTの上記機器識別子を決定する請求項12から18のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項20】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、上記地図をユーザに表示することと、上記地図上に表示された機器の選択を受信することとを含む請求項19に記載の装置。
【請求項21】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、位置決めシステムを用いてユーザの位置を検出することと、上記地図を用いて、上記ユーザの位置近くに設置された機器を決定することとを含む請求項19に記載の装置。
【請求項22】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、階層リストからの建物領域又は部屋形式の選択を受信することを含む請求項12から18のうちのいずれか1つに記載の装置。
【請求項23】
そこに蓄積されたコンピュータ実行可能なインストラクションを有し、モバイル計算装置の1つ以上のプロセッサの実行に応答して、
第1機器場所に配置された被測定装置(DUT)用の機器識別子を決定し、
上記機器識別子に関連する機器プロファイル情報を回収し、
上記DUTの第1画像及び上記DUTに類似した機器の第2画像を並べて又は重ねて見せることで、上記第1画像と上記第2画像との比較を行うことによって、上記DUTの測定値と上記DUTの上記第1機器場所と異なる1つ以上の第2機器場所での、上記DUTに類似の機器の測定値を比較する上記機器プロファイル情報と共に、上記DUTの測定値を、インタフェースを介して、提示することによって、
上記DUTの測定値と、類似の機器から得た測定値との比較を上記モバイル計算装置にさせるコンピュータ読み取り可能な非一時的媒体。
【請求項24】
上記インタフェースは、上記DUTの現在の状態を説明する状態バーを含む請求項23に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項25】
上記機器プロファイル情報は、上記DUTの現在の画像を識別する又は上記現在の画像と比較するため、上記DUTに類似の機器の1つ以上の以前の画像を含む請求項23又は24に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項26】
上記インタフェースは、時間経過に伴って収集した測定データの少なくとも1つのグラフを含む請求項23から25のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項27】
上記機器プロファイル情報は、1つ以上の基準文書を含む請求項23から26のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項28】
上記DUTと類似の機器の測定値は、上記DUTと類似の上記機器の過去の測定値である請求項23から27のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項29】
上記機器プロファイル情報は、上記DUTの過去の測定値を含む請求項23から28のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項30】
設備内に配置された機器の地図を用いて、上記DUTの上記機器識別子を決定する請求項23から29のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項31】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、上記地図をユーザに表示することと、上記地図上に表示された機器の選択を受信することとを含む請求項30に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項32】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、位置決めシステムを用いてユーザの位置を検出することと、上記地図を用いて、上記ユーザの位置近くに設置された機器を決定することとを含む請求項30に記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【請求項33】
上記DUTの上記機器識別子を決定することは、階層リストからの建物領域又は部屋形式の選択を受信することを含む請求項23から29のうちのいずれか1つに記載のコンピュータ読み取り可能な媒体。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2013年3月15日出願の仮出願第61/801,380号及び2013年9月11日出願の仮出願第61/876,719号の利益を主張し、この結果、ここでの参照により、これらの開示を組込む。
【背景】
【0002】
広範な工業、商業及び住居の設定において、機器の種々の特性を測定するために、デジタル・マルチメータ(DMM)装置、熱感知赤外線カメラ、振動メータなどの如き測定ツールを用いている。例えば、製造設備、建物及び工場において、機器が動作状態にあるのを確実にすることは重要である。機器の予期せぬ故障で製造が中断するとコストがかかる。かかる設備では、典型的には、測定ツールの使用を含めた機器の日常的な監視及び保守のための手順を制定している。
【0003】
例えば、ハンドヘルド測定ツールを用いる技能者には、機器の性能を定期的に測定して、機器の機能的な「健康」を査定すること、又は故障があるかを判断することが課されている。かかる測定を行うために、技能者は、機器の現場に行き、測定ツールからのデータを手動で記録し、報告書を作成するために中央ロケーションに戻る。残念なことに、技能者は、所望のデータを得るために、機器の現場に多数回戻る必要があるかもしれない。さらに、機器から得た測定データの分析には、技能者が測定データをコンピュータに手動で入力する必要がしばしばある。
【0004】
いくつかの事例において、機器保守処理には、異なる場所での多数の測定ツールからの測定データの読みを得ることが含まれるが、時々は、同時又は非常に近い時点で複数の測定値を得ることも含まれる。さらに、時間に伴なって測定値を蓄積するか又は処理する機能が制限されているか、又はその機能がない測定ツールを用いる時でさえ、異なる場所で得た測定データに複雑な計算を迅速に実行することが望まれるかもしれない。望まれているものは、測定ツールを用いて測定値を収集することについて案内及び調整ができ、測定データを効率的に収集及び処理できるシステム及び方法である。
【概要】
【0005】
以下の概要は、詳細な記述にて更に記載することを簡略化した形式で、概念を選択して紹介する。この概要は、主張する要旨の重要な特徴を確認することを意図するものでもなく、主張する要旨の範囲を決定するための助けとして用いることを意図するものでもない。
【0006】
いくつかの実施例において、被試験装置(DUT)の測定値と、同じ又は同様な機器が得た測定値とを比較するためのコンピュータによる実現方法を提供する。モバイル計算装置(mobile computing device)は、DUT用の機器識別子を決定する。モバイル計算装置は、機器識別子に関連する機器プロファイル情報を回収し、この機器プロファイル情報と共にDUTの測定値を示すインタフェースを提示する。
【0007】
いくつかの実施例において、モバイル計算装置を提供する。このモバイル計算装置は、被測定装置(DUT)の機器識別子を決定し、この機器識別子に関連した機器プロファイル情報を回収し、この機器プロファイルと共にDUTの測定値を提示するインタフェースを提示することによって、DUTの測定値と同じ又は同様な機器が得た測定値とを比較するするように構成されている。
【0008】
いくつかの実施例において、コンピュータが読み取り可能な非一時的媒体を提供する。このコンピュータ読み取り可能な媒体は、そこに蓄積されたコンピュータ実行可能なインストラクションを有する。これは、モバイル計算装置の1つ以上のプロセッサによる実行に応答して、被試験装置(DUT)用の機器識別子を決定し、機器識別子に関連した機器プロファイル情報を回収し、機器プロファイル情報と共にDUTの測定値を提示するインタフェースを提示することによって、モバイル計算装置にDUTの測定値と、同じ又は類似の機器から得た測定値とを比較させる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明の上述の概念及び多くの付随利点は、添付図と連動した以下の詳細記述を参照して、より良く理解することによって、一層容易に明らかになろう。
【0010】
図1図1は、本開示の種々の概念によるシステムの高レベルにおける例示の実施例を示す系統図である。
図2図2は、本開示の種々の概念による例示的なモバイル計算装置を示すブロック図である。
図3図3は、本開示の種々の概念による測定装置の例示的な実施例を示すブロック図である。
図4図4は、本開示の種々の概念による測定処理サーバーの典型的な実施例を示すブロック図である。
図5図5は、本開示の種々の概念によりモバイル計算装置を用いて試験測定値を収集し注釈付けする方法の例示的な実施例を示す流れ図である。
図6図6は、本開示の種々の概念により統合データ収集及び報告インタフェースを発生する機器の多数のユニット用に測定データを処理する例示的な方法を示す流れ図である。
【詳細な説明】
【0011】
種々の実施例において、ここでは、機器の測定を実行するハンドヘルド測定ツール及び他のセンサの如き測定装置から得たデータを捕捉し、蓄積し、分析し、報告するシステム及び方法を開示する。かかるシステム及び方法は、特に、測定データが同時又はほぼ同時の異なる形式の多数の測定値に由来する場合、測定装置から収集された測定データの使用における速度、精度及び容易さを改善するのには部分的に有益である。
【0012】
以下の記述から良く理解できるように、用語「測定データ」は、測定装置が発生し、被試験装置の測定された特性を直接的に又は間接的に関連又は反映するデータを指す。種々の実施例において、測定装置は、電気的及び/又は機械的特性の如き多くの形式の特性を測定できる。測定装置が測定できる特性は、例えば、電流、電圧、抵抗、容量、インダクタンス、振動、湿度、圧力、光、時間、温度、音、材料組成などに限定されないがこれらを含む。
【0013】
図1は、本開示の種々の概念によるシステムの高レベルにおける例示の実施例を示す系統図である。図示の実施例において、システム100は、モバイル計算装置104を含んでいる。モバイル計算装置104は、図示の被試験装置(DUT)92の如き測定すべき機器に関して位置決めされた少なくとも1つの測定装置108と相互作用をするように構成されている。
【0014】
いくつかの実施例において、モバイル計算装置104は、携帯電話、携帯データ、ブルートゥース、Wi−Fi、及び/又は他の形式の無線接続性を提供するスマートフォンの如き汎用モバイル計算装置でもよい。これは、更にプログラムされて、ここで記述するような機能を提供する。モバイル計算装置104で実行されるアプリケーション(又は「アプリ」)は、ここで記述するように、データの収集、蓄積、分析及び通信用の処理を提供してもよい。ユーザ・インタフェース106がモバイル計算装置104によって提示される。これによって、更に以下に記述するように、ユーザは、計算装置104が収集して分析したデータの観察、収集、処理、蓄積及び伝送を制御できる。
【0015】
種々の実施例において、測定装置108は、例えば、DUT92の特性を測定でき、これらに基づいた測定データを提供できるDMM、Wi−Fiネットワーク・テスタ、振動テスタ、赤外線又は熱画像カメラなどの測定ツールでもよい。一般的に、測定装置108は、ハンドヘルド又はポータブルでもよく、また、任意の形式の試験又は感知装置でもよいし、又は単一の測定若しくは複数の測定形式の組合せを実行できる多目的装置でもよい。測定装置108は、機器の特性を測定できる単一目的又は多目的のセンサを含んでもよい。
【0016】
種々の実施例において、測定装置108及びモバイル計算装置104の間のデータ通信は、無線又は有線でよく、また、任意の形式の標準又は所有権のある通信プロトコルを使用してもよい。有線通信の現在の標準プロトコルには、例えば、USB、ファイヤーワイヤー、イーサネットなどが含まれ、また、無線データ通信は、ZigBee、ブルートゥース、Wi−Fi、携帯データ伝送プロトコルなどを用いて実行してもよい。通信は、測定装置108及びモバイル計算装置104の間での直接通信でもよいし、通信経路を提供する1つ以上の仲介ネットワーク装置によってネットワークで行ってもよい。いくつかの実施例において、モバイル計算装置104が実行すると、ここでは記述する処理の少なくともいくつかは、測定処理サーバー102が実行できる。かかる実施例において、測定装置108は、無線又は有線の通信経路を介して測定処理サーバー102と直接通信するように構成可能であり、図示のネットワーク90に限定されないが、これを含む任意形式の標準又は所有権のある通信プロトコルを用いてもよい。
【0017】
多数の測定装置108を用いて機器の異なる特性を測定する環境において、モバイル計算装置104は、測定データを受信すると共に、分析し、表示し、更に、機器及び/又はモバイル計算装置104から遠隔の1つ以上の場所に測定データを通信する測定装置108を選択できるように構成されている。
【0018】
少なくとも1つの実現において、ユーザは、モバイル計算装置104と、1つ以上のDUT92に対して位置決めされた1つ以上の測定装置108との間で、通信リンクを確立できる。各通信リンクが確立するので、各測定装置108が発生した測定データは、モバイル計算装置104に自動的に通信される。測定データが測定装置108からもはや受信されなくなると、例えば、測定装置108がモバイル計算装置104のレンジから外れると、モバイル計算装置104は、通信リンクを中断するか、解放する。詳細に後述するように、モバイル計算装置104は、測定装置108及び/又は機器の測定すべき試験点(又は複数の点)と関連して、測定装置108から以前に受信した測定データを蓄積できるが、通信リンクの中断又は解放によって、モバイル計算装置104は、測定装置108からのライブのデータ測定値をもはや表示しないし、測定装置108との動作中の通信リンクを示すこともない。
【0019】
ユーザが特定の測定装置108から測定データを受信することをもはや望まないとき、ユーザにより、モバイル計算装置104が測定装置108との通信リンクを切断又は開放できる。その後、測定装置108は、低電力動作モードに戻り、上述のように、測定装置108は、存在する検出信号と周期的に通信を行える。望むならば、測定装置108に存在するデータ・ストアに測定データをローカルに蓄積し、後で、測定装置108との新たな通信リンクが確立した際にモバイル計算装置104が読み出せるように測定装置108を構成されてもよい。
【0020】
いくつかの無線環境において、モバイル計算装置104は、測定装置108から測定データを受信するために、測定装置108と対になってもよい。対になることは、測定装置108及びモバイル計算装置104との間のかかる通信にセキュリティ層を追加する。ここで、測定装置108と通信リンクを確立する際に、典型的にかかる通信に参加を承認された人又は装置のみをアクセス可能とする追加データを用いてもよい。
【0021】
測定データを受信すると、モバイル計算装置104は、ユーザ・インタフェース106を介してユーザに測定データを表示できる。いくつかの実施例において、表示された測定データは、測定装置108から受信した瞬時の測定値を示す。測定データの蓄積を望むならば、ユーザは、ユーザ・インタフェース106の「捕捉」又は「記録」ボタンを押すなどして、測定データの収集を開始できる。例えば、少なくとも1つの実現において、ユーザ・インタフェース106の「捕捉」ボタンを押すと、モバイル計算装置104は、その時点で得た単一の組の測定データをセーブする。一方、「記録」ボタンを押すことによって、ユーザは、複数組の測定データの記録を開始でき、モバイル計算装置104が測定装置108から受信した時系列の測定データをセーブする。望むならば、かかる記録は、モバイル計算装置104の表示器上にデータ・グラフ又は画像ビデオとしてユーザに示される。
【0022】
いくつかの実施例において、モバイル計算装置104が得たデータは、測定装置108(DUT92に対立する)に関する状態又は安全の情報を更に含んでもよい。例えば、測定装置108の状態が測定装置108での警告光の表示を正しいとすると、この状態に関する情報がモバイル計算装置104に伝送され、対応するアイコンがモバイル計算装置104に表示されて、測定装置108の状態を示す。警告光の表示を正しいとする状態のいくつかの制限なしの例には、低バッテリ状態、範囲外の指示、案内指示などが含まれる。これは、モバイル計算装置104が多数の測定装置108に接続されているユーザにとって非常に助かる。かかるアイコン表示は、正しい測定データが得られていることを確実にする注意を1つ以上の測定装置108が必要とするときをユーザが認識するのに助けとなる。
【0023】
いくつかの実施例において、上述のように通信プロトコルを介する以外の技術を用いて、測定装置108及びモバイル計算装置104の間でデータを搬送できる。制限されない例として、いくつかの実施例において、メモリ・カードの如き物理的媒体を介して測定装置108及びモバイル計算装置104の間でデータを交換してもよく、このメモリ・カードは、測定装置108及びモバイル計算装置104のメモリ・スロットの間で移動される。他の制限されない例として、いくつかの実施例において、測定装置108は、人間が読み取り可能なフォーマットで(アナログ表示によるアナログ機器メータによって、LCDよって、又はデジタル値を示す他の指示器によって)データを表示してもよく、モバイル計算装置104は、測定装置108の画像を捕捉し処理して測定データを得てもよい。さらに制限されない例で、いくつかの実施例において、測定装置108はデータを表示してもよく、ユーザは、ユーザ・インタフェース106を介してモバイル計算装置104にデータを手動で入力してもよい。
【0024】
いくつかの実施例において、モバイル計算装置104は、測定装置108からの測定データを得て、処理して、蓄積する能力があるシステム100内の装置である。他の実施例においては、モバイル計算装置104は、更に又は代わりに、1つ以上の現地の又は遠隔の場所に配置されてもよい1つ以上の測定処理サーバー102に測定データを通信してもよい。かかる通信は、有線又は無線のネットワークの如きネットワーク90を介して実行してもよく、また、ローカル・リンク、ワイド・エリア・リンク、又はインターネットの如きグローバル・データ通信リンクにより実行してもよい。いくつかの実施例において、かかる通信は、ドック、物理的通信ケーブル、無線通信技術又はネットワークによって、モバイル計算装置104を他の計算装置(デスクトップ計算装置、ラップトップ計算装置、タブレット計算装置など)と同期させることによって実行してもよく、そして、他の計算装置は、測定処理サーバー102として作用してもよい。いくつかの実施例において、測定場所にて無線信号が強くないために携帯データ・ネットワークへのアクセスがないときなどのように、ネットワーク90にアクセスできない場合、モバイル計算装置104は、測定データを現地で得て、処理して、蓄積してもよい。次に、モバイル計算装置104は、ネットワーク90に再接続されるか、又はそうでなければ他の計算装置と通信可能に結合されるかして、上述のように、測定データを1つ以上の測定処理サーバー102に伝送してもよい。
【0025】
図2は、本開示の種々の概念に応じた例示のモバイル計算装置104を示すブロック図である。図示の如く、モバイル計算装置104は、他の要素に混じって、プロセッサ211、少なくとも1つの通信インタフェース224、少なくとも1つのデータ蓄積装置217、及び少なくとも1つの入力/出力(I/O)インタフェース222を含んでもよい。ここで用いる如く、用語プロセッサは、集積回路、さもなければコンピュータに限定されるものではなく、マイクロコントローラ、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、プログラマブル・ロジック・コントローラ、用途限定集積回路、他のプログラマブル回路、これらの組合せなどを広く指す。プロセッサ211は、一般に、装置が通信インタフェース224、蓄積装置217及び/又は入力/出力インタフェース222を用いてデータを受信し、蓄積し、分析し、通信を行うようにインストラクションの実行を支援するモバイル計算装置104の計算センターとして機能する。
【0026】
通信インタフェース224は、他のモバイル計算装置、遠隔の場所でのコンピュータ・システム、測定装置108などの如き外部装置と通信をするように構成された1つ以上のコンポーネントを含んでもよい。すべてのかかる通信は、有線又は無線でもよい。いくつかの実施例において、モバイル計算装置104は、測定データを異なる形式に処理し、この処理した測定データをかかる外部装置に通信してもよい。いくつかの実施例において、モバイル計算装置104は、測定データを体系化し、蓄積装置217内に蓄積する。蓄積された測定データは、後で回収され、分析され、通信されてもよい。
【0027】
蓄積装置217は、プロセッサ211の如き1つ以上の装置要素とアクセス可能で、コンピュータが実行可能なインストラクション及びデータを蓄積するのに適する任意の現在利用可能な又は将来開発される媒体の如き任意形式のコンピュータ読み取り可能な蓄積媒体を備えてもよい。コンピュータが読み取り可能な蓄積媒体は、取り外し可能でも取り外し不可でもよいし、また、揮発性でも不揮発性でもよい。コンピュータが読み取り可能な蓄積媒体の例には、ハード・ドライブや、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュ形式のメモリなどが含まれてもよい。
【0028】
入力/出力インタフェース222は、ダイアル、スイッチ又はボタンの如き1つ以上の入力装置と、表示器又はプリンタの如き1つ以上の出力装置とを含んでもよい。一般に、入力/出力インタフェース222によって、ユーザ又は外部システムは、モバイル計算装置104が実行するプログラムと相互作用ができる。少なくとも1つの実施例において、入力/出力インタフェース222により、ユーザは、測定装置108からのデータを受信し、測定データを分析、蓄積、及び/又は外部装置との通信をできるようにモバイル計算装置104を制御又は構成できる。測定装置の構成と、これらが測定する機器の特性とに関する情報は、蓄積装置217に蓄積されてもよく、測定装置108と相互作用するときにプロセッサ212が用いられてもよい。
【0029】
出力装置として、表示器は、液晶表示器(LCD)、光放射ダイオード(LED)装置、有機光放射ダイオード(OLED)装置などに限定されないがこれらを含んでもよい。表示器は、ここに開示された実施例では白黒表示器として動作するが、カラー画像を表示できてもよい。表示器は、いくつかの実施例においては、表示器に入力装置の概念を組込んだタッチ・スクリーンを含んでもよい。タッチ・スクリーンは、現在知られている又は将来開発される任意形式のタッチ・スクリーンでよい。例えば、タッチ・スクリーンは、容量性、赤外線、抵抗性又は表面弾性波(SAW)装置でもよい。入力装置が受信した入力に応答して、モバイル計算装置104は、機器の特性の測定値に関係したデータを受信し、分析し、蓄積し、通信してもよい。いくつかの測定アプリケーションにおいて、タッチ・スクリーンは、工業設定にて用いるのに適してもよく、例えば、ここでは、タッチ・スクリーンは、手袋をした手によって入力を受信するように構成されている。
【0030】
タッチ・スクリーン又は他の表示器に加えて、モバイル計算装置104の入力/出力インタフェース222は、入力をモバイル計算装置104に通信する1つ以上の入力装置を更に含んでもよい。上述の如く、かかる入力装置は、ボタン、スイッチ、トリガ・スイッチ、選択器、回転スイッチ、又は当業者に知られている他の入力装置を例として含んでもよい。少なくとも1つの実施例において、測定装置は、ユーザ入力に応答して、又は1つ以上の入力装置を介して計算装置104に提供される入力のユーザ選択に応答して、測定を実行するように構成されてもよい。
【0031】
図示のように、プロセッサ211は、1つ以上のエンジンを設けるように構成されてもよい。ここで用いる如き用語「エンジン」は、ハードウェアに埋め込まれたロジック、又はソフトウェア・インストラクションを指す。これらは、C、C++、コボル、JAVA(商標)、PHP、Perl、HTML、CSS、JavaScript、VBScript、ASPX、オブジェクティブC、Ruby、C#の如きMicrosoft.NET(商標)言語などで記述できる。エンジンは、実行可能なプログラムにコンパイルされてもよいし、インタープリタ型プログラマブル言語で記載されてもよい。ソフトウェア・エンジン又はアプリケーションは、他のエンジンから又はそれら自体から呼び出すことができる。一般に、ここに記載されたエンジンは、他のエンジン又はアプリケーションと組合わされたロジック・モジュールを指すか、又はサブ・エンジンに分割できる。エンジンは、任意形式のコンピュータ読み取り可能な媒体、又は蓄積装置217の如きコンピュータ蓄積装置に蓄積できるし、1つ以上の汎用プロセッサ(プロセッサ211の如きもの)が蓄積し実行できる。いくつかの実施例において、ここで述べたエンジンは、モバイル計算装置104にインストールされた1つ以上のアプリケーション又は「アプリ」に一体化されてもよい。蓄積装置217の如きコンピュータ読み取り可能な媒体に蓄積されたコンピュータ実行可能なインストラクションによる実行に応答して、プロセッサ211が図示のエンジンを提供してもよい。
【0032】
図示の如く、プロセッサ211が提供するエンジンは、ユーザ・インタフェース・エンジン212、測定収集エンジン214及び測定処理エンジン216を含んでもよい。測定収集エンジン214は、通信インタフェース224を介して、1つ以上の測定装置108と相互作用するように構成されている。測定収集エンジン214は、測定データを得るように測定装置108を命令してもよく、測定装置108からの測定データを受信してもよい。測定収集エンジン214は、また、受信した測定データを測定データ・ストア220に蓄積してもよい。さらに、測定収集エンジン214は、測定装置108からの警告状態情報を受信してもよく、また、ユーザ・インタフェース・エンジン212が対応するアイコン及び/又は注意を示すようにしてもよい。測定処理エンジン216は、測定データ・ストア220に蓄積された測定値の処理を実行してもよく、又は、測定データ・ストア220への蓄積の前に、測定収集エンジン214が得た測定値を処理してもよい。例えば、測定処理エンジン216は、測定値を他の関連測定値と共にグループ分けしてもよく、メタデータを受信測定値に割り当ててもよく、及び/又は、ここのどこかで述べるように、測定値に対する他の処理を実行してもよい。後述するように、メタデータは、類似のグループ識別情報により注釈された他のデータに蓄積測定データを結合するグループ識別情報を含む。
【0033】
ユーザ・インタフェース・エンジン212は、モバイル計算装置104の入力/出力インタフェース222を介してユーザに表示を行うユーザ・インタフェースを設けるように構成される。ユーザ・インタフェース・エンジン212が設けるユーザ・インタフェースにより、ユーザは、種々の測定装置108と通信をできるように測定収集エンジン214を構成でき、また、ユーザは、ユーザ入力毎に測定値を捕捉するように測定装置108を構成できる。ユーザ・インタフェース・エンジン212が設けたユーザ・インタフェースにより、ユーザは、所定測定値又は時系列の測定値を蓄積するように測定収集装置214を命令でき、ユーザは、現在得た測定値を観察でき、また、ユーザは、以前に収集及び蓄積した測定値を検索及び/又は比較することができる。
【0034】
いくつかの実施例において、ユーザ・インタフェース・エンジン212が提供するインタフェースは、測定値の収集を助けるためにユーザに案内を提供してもよい。例えば、いくつかの実施例において、ユーザ・インタフェース・エンジン212は、得るべき1組の測定値を示すためにタスク・リストをユーザに示すように構成されてもよい。いくつかの実施例において、ユーザ・インタフェース・エンジン212は、測定値を得るべき場所にユーザを案内するために地図をユーザに示し、測定値を得る機器を識別するためにユーザを援助し、及び/又は、機器のモニタすべき試験点を探すためにユーザを援助するように構成されてもよい。
【0035】
図示の如く、蓄積装置237は、作業命令データ・ストア217、設備データ・ストア218、測定データ・ストア220及び機器データ・ストア221を含んでもよい。測定データ・ストア220は、モバイル計算装置104が受信した測定値を蓄積するように構成されてもよく、また、これら測定値に関連するメタデータを蓄積するように構成されてもよい。設備データ・ストア218は、間取図、機器場所、据え付けた機器の識別子、機器の試験点などに関する情報を蓄積するように構成されてもよい。機器データ・ストア221は、システム100を用いてモニタした(又は、将来モニタしようとする)機器に関する情報を蓄積するように構成されてもよい。例えば、いくつかの実施例において、機器データ・ストア221は、場所情報、モデル情報、作成情報、機器識別子、写真及び試験点の如き機器のユニットに関連する情報を蓄積してもよい。作業命令データ・ストア215は、完了すべき一連の測定をユーザに案内するのを助ける作業命令情報を蓄積するように構成されてもよい。いくつかの実施例において、作業命令データ・ストア215は、また、作業命令内のどのタスクが完了したかや、どのタスクがまだ実行されていないかを示す所定の作業命令に沿った進行情報を蓄積するように構成されてもよい。
【0036】
当業者に理解される如く、ここで記述する如き「データ・ストア」は、任意適切な装置、又はコンピュータ読み取り可能な媒体上でのデータ構造であり、計算装置がアクセスするためデータを蓄積するよう構成されている。データ・ストアの一例は、蓄積装置217の如き蓄積媒体上に系統化された方法にて蓄積されたデータである。データ・ストアの他の例(更に後述する測定処理サーバー102が提供するデータ・ストアに一層関係する)は、1つ以上の計算装置上で実行し、高速パケット・スイッチ・ネットワークを介してアクセス可能な高信頼性高速リレーショナル・データベース管理システム(DBMS)である。データ・ストアの更なる他の例は、アマゾン・ドット・コム・インクが提供するアマゾンS3、グーグル・インクが提供するグーグル・クラウド・ストレージ、分散ハッシュ・テーブル(DHT)などの如き非リレーショナル・ネットワーク・ベース・ストレージ・システムである。しかし、問い合わせに応答して蓄積データを迅速且つ信頼性を持って提供できる任意の他の適切なストレージ技術及び/又は装置を用いてデータ・ストアを提供してもよい。また、計算装置は、ネットワークを介する代わりにローカルにアクセス可能でもよいし、いくつかの他の形式の適切なネットワークを介してアクセス可能でもよいし、クラウド・ベースのサービスでもよい。例えば、図2のデータ・ストアは、モバイル計算装置104の蓄積装置217上に存在するとして示してあるが、いくつかの実施例では、データ・ストアは、モバイル計算装置104上に存在しないで、代わりに、モバイル計算装置104が遠隔でアクセス可能であってもよい。本発明の要旨を逸脱することなく、ここで述べる分離したデータ・ストアは、単一のデータ・ストアに結合してもよいし、及び/又はここで述べる単一のデータ・ストアは、多数のデータ・ストリームに分離してもよいことが当業者に認識できよう。
【0037】
図3は、本開示の種々の概念による測定装置の例示的な実施例を示すブロック図である。図示の如く、測定装置108は、1つ以上のセンサ330を含み、オプションとして、マシーン・インタフェース324、人間が読み取り可能なインタフェース326及び測定データ・ストア328を含む。
【0038】
センサ330は、測定装置108に関連した装置であり、被試験装置の特性に関する情報を収集し、この情報を利用可能な形式に変換する。例えば、電圧センサは、被試験装置に適用された2つの試験リードの間の電圧を感知でき、測定装置108の他のコンポーネントが利用するために、検知された電圧を示す値を出力できる。同様に、温度センサは、被試験装置の一部の温度を検出でき、その温度を示す値を出力できる。いくつかの実施例において、センサ330は、測定装置108の残りのコンポーネントと一緒に単一のケースにまとめてもよい。いくつかの実施例において、1つ以上のセンサ330は、測定装置108の他のコンポーネントを納めるケースの外部に配置されてもよく、また、任意の適切な技術を用いて測定装置108と通信してもよい。
【0039】
いくつかの実施例において、測定装置108は、被測定機器上に又は近傍の試験点に配置された1つ以上のセンサ330を含んでもよい。かかるセンサ330は、機器又はその機器の近傍の構造に一時的に付けてもよい。代わりに又は追加的に、必要に応じて、ユーザが機器のある試験点から別の試験点に再配置できる試験装置にセンサ330を組込んでもよい。
【0040】
いくつかの実施例において、測定装置108は、ハンドヘルド測定ツールでもよい。ハンドヘルド測定ツールは、一般的に、機器の特性の測定中に、ユーザの手に保持されるように構成されている。しかし、ハンドヘルド測定ツールは、ユーザの手に常に保持される必要はなく、例えば、支持体にツールを付けるか若しくはつり下げるか、又は、被試験機器の試験点の近傍にツールを配置するかして、ユーザの手から離れてユーザが位置決めするようにしてもよいことが明らかであろう。いくつかの実施例において、測定装置108は、ハンドヘルド測定ツール以外の装置である。例えば、測定装置108は、例えば、手に保持されている間に必然的に使用することを意図しないポータブル測定ツールであってもよい。被測定機器に永久的ではなく接続されている間、かかるポータブル・ツールは、所望に応じて数日から数週間にかけて機器の特性を測定するのに有用である。
【0041】
いくつかの例において、測定装置108は、時間経過にわたって機器の特性の測定を記録してもよく、測定値を測定データ・ストア328に蓄積してもよい。後で、モバイル計算装置104は、測定データ・ストア328に蓄積された測定値を得てもよい。マシーン・インタフェース324が利用可能ならば、このマシーン・インタフェース324を介して、又は、人間が読み取り可能なインタフェース326が利用可能で、蓄積された測定値へのアクセスを提供するならば、人間が読み取り可能なインタフェース326を介して、モバイル計算装置104は、蓄積された測定値を得ることができる。
【0042】
いくつかの実施例において、測定データ・ストア328を省略してもよい。かかる実施例において、センサ330が測定値を得たならば、モバイル計算装置104は、マシーン・インタフェース324を介して、又は人間が読み取り可能なインタフェース326を介して、センサ330からの測定値を収集できる。モバイル計算装置104は、次に、測定データ・ストア220に測定値を蓄積することにより蓄積機能を提供するので、測定装置108がそれ自体に測定データ・ストア328を含んでいないときであっても、履歴的な測定値を収集し、分析し、提示することができる。望むならば、モバイル計算装置104は、測定データ・ストア328を含んでいない測定装置108からでさえ時間経過に伴って受信した測定データを示す1つ以上のグラフを表示してもよい。
【0043】
マシーン・インタフェース324は、上述したように、無線通信インタフェース又は有線通信インタフェースの如く任意の適切なマシーン読み取り可能なインタフェースでもよい。いくつかの実施例において、測定値が測定データ・ストア328に蓄積されていても又はいなくてもセンサ330が測定値を得るので、マシーン・インタフェース324を用いて、実時間又はほぼ実時間でセンサ330から測定値を得てもよい。いくつかの実施例において、測定装置108は、人間が読み取り可能なインタフェース326を含んでもよい。人間が読み取り可能なインタフェース326は、センサ330が得た値を実時間又はほぼ実時間でユーザに表示してもよいし、測定データ・ストア328に以前に蓄積された測定値へのアクセスを提供してもよい。人間がアクセス可能なインタフェース326は、ビデオ表示器、LCD表示器、アナログ表示器、指示器ライト、又は任意の他の適切な表示器を含んでもよい。いくつかの実施例においてマシーン・インタフェース324及び人間が読み取り可能なインタフェース326を介して異なる情報が得られる期間中、いくつかの実施例において、これら2つのインタフェースを介して同様な情報を得てもよい。
【0044】
図4は、本開示の種々の概念による測定処理サーバー102の例示的な実施例を示すブロック図である。図示の如く、測定処理サーバー102は、設備データ・ストア404、測定データ・ストア406、機器データ・ストア408及び作業命令データ・ストア409を提供するように構成されてもよい。設備データ・ストア404、測定データ・ストア406及び作業命令データ・ストア409は、図2を参照して夫々上述した設備データ・ストア218、測定データ・ストア220及び作業命令データ・ストア215が蓄積したのと同様な情報を蓄積するように構成されてもよい。しかし、いくつかの実施例において、測定処理サーバー102に存在するデータ・ストアは、1つより多いモバイル計算装置104によって収集されたデータ、又は、モバイル計算装置104への分配用に多数の測定計算装置により提供されたデータを受信し蓄積してもよい。これは、異なる場所及び異なる時点で類似の機器で行われた測定値の比較、タスク・リストの集中分散などに限定されないが、これらを含む多くの目的にとって有用である。
【0045】
機器データ・ストア408は、特定の製造、モデルなどの機器に関する情報を蓄積するように構成されてもよい。例えば、機器の所定部分に対して、機器データ・ストア408は、保守ガイドライン、ユーザ・マニュアル、標準規格、通常動作パラメータ、試験説明書などを蓄積してもよい。この情報をモバイル計算装置104に提供して、測定の実行を援助してもよい。設備データ・ストア404は、設備にて機器の特定の設置に用いる独自の識別子を含んでもよく、機器データ・ストア408に蓄積された情報を参照して機器の更なる説明を提供してもよい。
【0046】
測定処理サーバー102に存在するコンポーネントの実例は単なる例であり、いくつかの実施例において、測定処理サーバー102のコンポーネントは、代わりに、モバイル計算装置104に配置してもよいし、又は、測定処理サーバー102及びモバイル計算装置104の間で分離させてもよいことが当業者には認識できよう。
【0047】
図5は、本開示の種々の概念により、モバイル計算装置104を用いて試験測定値を収集し、注釈を付ける方法500の例示的な実施例を示す流れ図である。開始ブロックから、方法500は、継続端子(「端子A」)に進み、端子Aからブロック502に進む。ここでは、モバイル計算装置104が技能者を測定場所に案内する。一般的に、測定場所は、被試験装置の特性を測定するように構成された測定装置108とモバイル計算装置104が通信できる場所である。いくつかの実施例において、測定場所は、被試験装置に空間的に近くてもよいので、ハンドヘルド又は他のポータブルの測定装置108は、被試験装置と接触して配置してもよいし、又は、そうでなければ、被測定装置から測定データを得てもよい。いくつかの実施例において、測定場所は、ネットワークに極めて近くてもよく、これを介して、モバイル計算装置104は、異なる場所の被試験装置の特性を測定するように構成された測定装置108と通信ができる。いくつかの実施例において、モバイル計算装置104は、地図、間取図又は移動指示を技能者に提示して、技能者を測定場所に案内してもよい。いくつかの実施例において、技能者が被試験装置の場所を知っていると仮定してもよく、モバイル試験装置104は、被試験装置の作業リスト及び指示を提示して、技能者を測定場所に案内してもよい。
【0048】
次に、ブロック504にて、図1に示したように、被試験装置(DUT)92に対して、1つ以上の測定装置108を位置決めする。例えば、測定装置108のセンサをDUT92と物理的又は電気的に接触状態で配置し、振動、電圧、抵抗などの如き特性を検出する。他の例として、クランプ・メータ、赤外線カメラなどの如くDUT92と物理的な接触なしに特性を感知できる測定装置108のセンサを配置して、DUT92の特性を感知してもよい。いくつかの実施例において、モバイル計算装置104を用いて測定値を収集する間でもDUT92をモニタするために測定装置の位置をそのままにする如く、いくつかの実施例において、ブロック502及び504にて記述した動作は、順序を入れ替えてもよいことが当業者に認識できよう。
【0049】
ブロック506にて、モバイル計算装置104は、1つ以上の選択された測定装置108との通信リンクを確立する。通信リンクは、通信プロトコルによる、又は上述の技術、若しくはそうでなければ当業者に既知の他の技術によるデータの伝送を含む。いくつかの場合、モバイル計算装置104が検出でき、存在を示す信号を測定装置108が周期的に通信するモードにて、測定装置108が最初に動作してもよい。測定装置108上のボタンを押すなどの入力を開始するのにユーザを必要とするか、又は、そうでなければ、測定装置108によりかかる存在検出信号の通信を開始する。いずれにしても、1つ以上の測定装置108の存在を検出すると、モバイル計算装置104は、ユーザ・インタフェース106を介してユーザに測定装置108の利用可能性を表示してもよい。
【0050】
特定の測定装置108が、又はモバイル計算装置104にリンクすべき装置が測定データを通信するように、ユーザがモバイル計算装置104を指示してもよい。例えば、少なくとも1つの実現において、ユーザは、利用可能な測定装置108に関連するモバイル計算装置104の特定ボタンを押してもよい。他の例として、ユーザは、モバイル計算装置104のタッチ・スクリーン上に示されるユーザ・インタフェース106での特定のテキスト又はアイコンに接触して、モバイル計算装置104を測定装置108にリンクさせたい旨を指示してもよい。かかるユーザ指示に応答して、モバイル計算装置104は、例えば、測定装置108が周期的に送信する存在検出信号に応答することによって、指示された測定装置108との通信リンクを確立する。測定装置108及びモバイル計算装置104は、測定装置108からの測定データの排他的又は非排他的な通信を可能にする構成情報を交換してもよい。さらに他の実施例において、モバイル計算装置104は、検出した全ての測定装置108との通信リンクを自動的に確立してもよい。
【0051】
次に、ブロック508にて、モバイル計算装置104の測定収集エンジン214は、1つ以上の選択された測定装置108からの測定データを受信する。いくつかの実施例において、通信リンクのネットワーク又は無線のプロトコルにより測定データを受信してもよい。いくつかの実施例において、他の手段を介して測定データを受信してもよい。制限されない例として、いくつかの実施例において、モバイル計算装置104及び測定装置108の間で実体的なコンピュータ読出し可能な媒体を交換することによって、測定データをモバイル計算装置104に技能者が手動で入力することによって、モバイル計算装置104のカメラを用いるか及び/又は他の適切な技術をもちいて測定装置108の画像を捕捉することによって、測定データを受信してもよい。測定データは、所定時点でのDUT92の特性を表す単一の値を含んでもよく、又は、ある期間にわたってDUT92の特性を表す時系列の値を表す多数の値を含んでもよい。ブロック510において、測定収集エンジン214は、測定データ・ストア220に1組の受信した測定データを記録する。1組の受信した測定データは、単一のセンサ330からの信号読み取り、単一のセンサ330からの多数の読み取り、又は多数のセンサ330からの1つ以上の読み取りを含んでもよい。
【0052】
次に、方法500は、ブロック512に進み、モバイル計算装置104の測定処理エンジン216は、測定データ・ストア220に記録された1組の測定データに、メタデータによって注釈を付ける。いくつかの実施例において、記録された1組の測定データに用いるメタデータは、いつ、どこで、いかに情報を収集したかを記述する情報を含んでもよい。これは、タイムスタンプ;モバイル計算装置104及び/又は測定装置108のGPS位置(又は、他の位置決め技術を用いて得た位置);DUT92を独自に識別するか又はDUT92の形式又はモデルを識別する機器識別子;測定装置108の識別子;測定装置108の設定の記録;特定の試験点又はDUT92の試験点;測定データの収集を指示した作業命令、タスク・リスト又はジョブ命令;測定データを収集する技能者の固有性;テキストのメモ;音声メモ;画像;ビデオ;画像注釈などに限定されないがこれらを含む。いくつかの実施例において、特定の機器を識別するステッカー、表示タグなどの如き人間が知覚できるデータによってDUT92にラベルを付けてもよい。技能者は、分類されたデータに基づいて機器の固有性をモバイル計算装置104に入力してもよい。他の場合、技能者がモバイル計算装置104を用いてスキャンできるバー・コード、QRコード、又は無線周波数識別(RFID)タグの如きマシーン読出し可能なコードによってDUT92にラベルを付けてもよい。代わりに又は追加で、機器測定を実施する技能者に交付された作業命令に印刷されたバー・コード又はQRコードによって、機器の固有性及び他の情報を提供してもよい。スキャンされたコードに対応する機器の固有性を、特定のデータ・グループに自動的に関係づけられた測定データのメタデータに自動的に蓄積できる。
【0053】
いくつかの実施例において、記録された1組の測定データに注釈を付けるのに用いるメタデータは、グループ識別情報を含んでもよい。グループ識別情報は、記録された1組の測定データを他の記録された1組の測定データと関連させてもよく、この関連性を用いて、互いにグループ化された複数組の測定データを表示するか、又はそうでなければ処理してもよい。いくつかの実施例において、グループ識別情報は、記録された1組の測定データと自動的に関連づけられた1つ以上のグループ識別子を含んでもよい。少なくとも1つの実現において、データが測定された際に反映される時間情報の如く各受信したデータ測定値のメタデータに共通の要素に基づいて、モバイル計算装置104は、測定データをグループに関連づけてもよい。例えば、互いに所定時間内の如く同時に又は互いに近い時間内に、種々の測定装置108から捕捉された測定データを自動的に単一のデータ・グループに分類してもよく、また、データ・グループをDUT92の特定の試験点に又は試験点のグループに関連づけてもよい。測定データを受信する前、最中、又は後で、ユーザが試験点の固有性又は試験点のグループの固有性を与えてもよい。他の実現において、DUT92から、測定装置108から、又はモバイル計算装置104若しくは他の装置から、試験点の固有性又は試験点のグループの固有性を自動的に得てもよい。例えば、測定装置108内のGPS回路は、モバイル計算装置104に伝送される測定データと共に、又はそうでなければ関連して含まれる場所データを提供してもよい。いくつかの場合、場所データは、メモリ内で又は他の蓄積装置内で、1つ以上の試験点に関連づけてもよい。場所データを用いて(例えば、表における参照用のインデックス又はキーワードとして)、測定装置108又はモバイル計算装置104の何れかにて、その場所に関連した特定の試験点を識別してもよい。
【0054】
例えば、ほぼ同じ時点(例えば、互いに数秒又は数分以内)で、同じDUT92から異なる測定装置108により得た多数組の測定データ(カメラ又は熱撮像装置が捕捉した視覚画像、赤外線画像、及び/又は熱画像;DMMが捕捉した電圧、電流又はインピーダンス測定値の如き電気的測定値;ポータブル・センサが捕捉した振動又は圧力の如き機械的パラメータの測定値などの如き)は、単一試験の部分として互いにグループ分けして表示及び/又は分析してもよい。かかるグループ分けは、技能者によって特定されたグループ識別情報に基づいて、又はタイムスタンプ以外の共通メタデータのいくつかの他の部分に基づいてもよい。例えば、位置決めシステムにより決定した夫々の所定距離内で捕捉された測定データは、互いにグループ分けされてもよい。
【0055】
他の例として、同じ形式の機器である異なるDUT92(例えば、同じモデルのモータの2つの異なるユニット)から得た複数組の測定データを互いにグループ化して、多数の分離したユニット間の比較を行ってもよい。モバイル計算装置104は、測定データの音声コメント又はテキスト注釈の如く、又は機器の外観若しくは音の記録の如く、技能者が開始したテキストを受信し、画像又は記録オーディオ若しくはビデオを捕捉し、かかるテキスト、画像又はオーディオ/ビデオ記録を特定グループの測定データに関連させるように構成されてもよい。さらに別の例として、技能者は、測定データを得た時点のDUT92の観察についての注釈を提供してもよい。かかる注釈は、データ測定を行う前、最中又は後に、技能者から受けてもよい。測定データと同様に保持されるメタデータと共に、ユーザが開始したテキスト又はオーディオ/ビデオ記録をセーブすることによって、テキスト又はオーディオ/ビデオ記録が、同様に同じグループ内で測定データと関連づけられてもよい。
【0056】
本開示の特徴は、測定データを得る前、間、又は後のいずれでもグループ識別情報を発生できることである。グループ識別情報が発生される前に測定データが捕捉される場合、このデータを測定又は伝送するときに、時間又は場所の如きパラメータに応じて、測定データが自動的にグループ内で関連づけられる。
【0057】
自動的に発生したグループを技能者に提示して、自動発生した情報を確認するか、又はグループ識別情報を更に供給するように技能者を促す。技能者は、グループに属する情報を入力でき、メタデータに蓄積された情報を保持できる。例えば、技能者は、測定した機器に関する情報を入力し、測定データと共に機器の固有性をグループ内で保持してもよい。いくつかの実施例において、技能者は、測定した機器の固有性を手動で入力する。他の実施例において、モバイル計算装置104は、以前に識別した機器のリストを表示し、測定される機器を技能者が選択できるようにしてもよい。測定される機器が表示リストに含まれていなければ、技能者はモバイル計算装置104でプロンプトを開始して、技能者が新たな機器固有性を作成し、この機器固有性をリストに蓄積できるようにして、その機器を再び測定する際に後で取り出せる。更に他の実施例において、モバイル計算装置104は、場所データ(例えば、GPSの読み取り、又は他の位置決め技術により)を受信するか感知して、その場所データに関連した既知の機器のリストを自動的に提供してもよく、そこから技能者はDUT92に位置する機器記録を選択できる。さらに他の実施例において、モバイル計算装置104は、作業命令を処理している期間中に発生した全ての測定値をグループ分けすることによって、又は作業命令データを用いるか及び/又は任意の他の技術を用いて機器識別子を得ることによって、作業命令データに基づいたグループを自動的に発生してもよい。
【0058】
次に、方法500は、判断ブロック514に進み、ここでは、試験すべき更なる装置が残っているかに関して判断を行う。判断ブロック514での判断結果がイエスならば、方法500は端子Aに進み、ブロック502〜514に関して説明した動作を次の被測定装置に対して繰り返す。そうでなければ、判断ブロック514での判断結果がノーならば、方法500は、終了ブロックに進み、終了する。
【0059】
種々の実施例において、モバイル計算装置104が発生したデータ・グループを、観察、分析及び報告用に種々のフォーマットでユーザに提示してもよい。例えば、データ・グループのテキスト記述、又はデータ・グループ内の測定データの視覚的グラフをユーザに示してもよい。データ・グループが大量の測定データを含んでいる場合、測定データのわずかな部分又は短い記述をユーザに提示して、グループ内のデータ測定値に関する追加の詳細をユーザが選択又は受信できるように促してもよい。所望ならば、ユーザは、データ・グループ内の測定データを2つ以上の小さなデータ・グループに分割してもよい。2つ以上の小さなグループを区別する情報は、これら小さなグループに関連するデータ測定値のメタデータに蓄積される。
【0060】
データをデータ・グループに自動的に関連させることによって、明瞭で直接的で視覚的な方法にて、測定データを容易に組織化しユーザに提示するための改善された処理が提供される。ユーザ及び他の人々にとって、異なるデータ・グループのデータを分析し、被測定機器の状態を分析するのを容易にする方法にて、測定データをパッケージ化し及び/又はフォーマットする。
【0061】
いくつかの実施例において、機器の非常に多くのユニットをモニタ又は測定することを望むか、又は機器の所定ユニットの非常に多くの固有性をモニタ又は測定することを望む大規模な構成にとって、ここで開示されたシステム100は特に有用である。よって、本開示のいくつかの実施例は、被測定機器用の統合データ収集及び報告インタフェースを更に提供する。これら実施例は、1つ以上の場所における機器の測定値を得るために配置された異なる測定機器からのデータを収集し、測定データを1つ以上の関連データ構造に蓄積し、測定データを統合表示器内で報告するための処理を含む。
【0062】
統合表示器の一例は、特定の機器に関連したユーザ・インタフェース・エンジン212によって提示された単一でスクロール可能な「機器ページ」であり、機器に関して捕捉され及び/又は処理された測定データのビューを提供する。単一のページ上の機器の所定ユニット又は形式に関連して収集された異なるデータを蓄積及び表示することによって、ユーザは、履歴データ及び現在の測定データの両方を評価し、これらデータの傾向を観察し、機器の状態を判断し、機器の将来の保守必要性を予測することができる。機器の現場の技能者、又は、機器の統合データ収集及び報告インタフェースにアクセスできる遠隔の場所にいる管理者及び/又は専門家は、かかる分析を実行できる。
【0063】
いくつかの場合において、特に、他の機器の健康状態が既に定まっているならば、特定の機器の測定データを他の場所の類似の機器の測定データと比較することはユーザにとって役立つ。DUT92から得た測定データと類似の機器の他の取付にて示された全体的な傾向との比較を容易にする方法(例えば、並んで、又は画像の中に画像)にて、類似の機器の取付用の機器ページを表示してもよい。
【0064】
図6は、本開示の種々の概念に応じて、機器の多数のユニットの測定データを処理して統合データ収集及び報告インタフェースを発生する例示の方法600を示す流れ図である。開始ブロックから、方法600はブロック602に進む。ここで、測定処理サーバー102の測定データ・ストア406に測定データを伝送し、蓄積する。ブロック602で蓄積された測定データは、機器の1つ以上のユニットから収集された測定値を表す。いくつかの実施例において、図5に示し上述した方法と類似の方法を用いて、測定データを収集してもよいが、他の実施例においては、任意の他の適切な方法を用いて測定データを得てもよい。次に、ブロック604にて、測定処理サーバー102は、測定データ用の注釈を蓄積し、測定データを機器データ・ストア408内の1つ以上の機器記録にリンクする。いくつかの実施例において、測定データを1つ以上の機器記録にリンクした注釈は、機器データ・ストア408内の機器記録を独自に識別する機器識別子でもよいし、測定データと共に蓄積されたメタデータの残りと共に追加してもよい。後述のように、統合データ収集及び報告インタフェースを作成するのに用いる履歴測定データをシステム100に提供するとしてブロック602〜604で上述した動作を当業者が考慮してもよい。
【0065】
システム100がDUT92と比較される機器のいくつかの履歴的測定データを得ると、システム100は、統合データ収集及び報告インタフェースを発生しもよい。よって、方法600は、ブロック606に進み、ここでは、上述のように1つ以上のDUT92からの測定データを収集するように構成された1つ以上の測定装置108にモバイル計算装置104が接続される。次に、ブロック608にて、モバイル計算装置104のユーザ・インタフェース・エンジン212は、DUT92に関連した機器識別子の指示を受信する。DUT92に付けられた名札、表示タグ、ステッカー、ラベルなどの人間が知覚できる形式で機器識別子を提供してもよい。いくつかの実施例において、上述の技術に類似して、手動入力により、DUT92上のテキストのスキャンにより、バー・コード又はQRコードのラベルのスキャンにより、及び/又は任意の他の適切な技術により、機器識別子をモバイル計算装置104に入力してもよい。その一方、他の実施例において、ユーザ・インタフェース・エンジン212が提示する統合データ収集及び報告インタフェースから、DUT92に一致する機器を選択して、技能者が機器識別子を決定してもよい。
【0066】
生産プラント、工場、設備などは、典型的には、異なる場所に所定形式の機器が多数設置されている。異なる機器の取り付けのための統合データ収集及び報告インタフェースは、モバイル装置内に及び遠隔のデータ処理センター内にて構成でき、対応するインタフェースを見るために特定の機器を技能者が迅速に識別し選択できるようにする。種々の実施例において、機器の名称、形式、場所及び状態の如き特性を用いて、機器の異なる取付を区別してもよい。異なる機器の取付に対して統合データ収集及び報告インタフェースは、かかる機器の特性を含んでもよい。これら機器の特性を表示して、機器の所望の取付の識別及び選択をユーザが容易にできるようにしてもよい。
【0067】
例えば、機器の周辺のテキスト記述によって、機器の場所を識別してもよい。代わりに又は更に、周辺に関連する機器の場所を示す図形的描写を提供してもよい。例えば、多数の機器取り付けが行われた工場又は設備の間取を示す地図は、工場又は設備内の特定の機器取付を示すアイコンと共に示されてもよい。これらアイコンは、機器の夫々の場所を示すために、間取図の画像内に位置決めされてもよい。この地図が表示の利用可能な領域よりも大きい場合、地図の描写を一方向又は二方向にスクロール可能として、完全な間取地図に容易にアクセスするようにできる。
【0068】
いくつかの実施例において、地図は、間取図の正式な図であってもよい。他の実施例において、地図は、技能者が作成し、機器の統合データ収集及び報告インタフェースに蓄積された手書きのスケッチでもよい。間取図の画像は、例えば、スケッチの写真又は紙の正式な図でもよく、又は、これは、表示器のスクリーンに上に直接描かれたスケッチでもよい。機器用の統合データ収集及び報告インタフェースに蓄積された画像は、更に特定機器の設備の識別を容易にしてもよい。間取地図又は機器周辺の他の図形画像を描くことは、技能者が特定機器を物理的に見つけるのを援助する。よって、現場で機器を探そうとするとき、特定機器に関するデータを測定するために派遣された技能者を案内してもよい。
【0069】
いくつかの実施例において、地図データは、GPS又は他の位置決め情報を含んでもよい。かかる実施例において、GPSデータを受信又は発生できるモバイル計算装置104は、機器及び地図内の他の周辺に関するモバイル計算装置104の位置を示すために、地図の表示上にアイコンを重ねてもよい。かかる描写は、特定機器に関するデータを測定するために技能者の派遣を更に案内してもよい。
【0070】
技能者は、地図データを更に用いて、技能者が評価しようとしている特定機器を識別してもよい。例えば、少なくとも1つの実施例において、図形地図を技能者に表示して、種々の機器取付を示してもよい。技能者は、表示器上の描かれた場所にタッチ又はクリックして、その場所の特定機器を選択できる。特定機器の選択により、その機器用の機器識別子が選択される。
【0071】
機器の取付を示す地図を図形的に描写する代わりに又はこれに加えて、技能者が評価用の特定機器を識別し選択できるようにする建物領域又は部屋の形式(潜在的に階層で組織化されている)のリストをモバイル計算装置104が表示してもよい。例示の実施例は、異なる機器の場所に関連した地下、床、壁又は屋根の如き建物領域のリストを提供してもよい。例示の実施例は、異なる機器の場所に関連した地下、床、壁又は屋根の如き建物領域のリストを提供してもよい。建物領域の選択により、モバイル計算装置104は、選択された建物領域内の部屋又は場所の一層詳細なリストを更に表示してもよい。建物領域内の部屋又は場所の選択にて、技能者は、次に、選択された部屋又は場所内で機器のリストの提供を受けてもよい。最終的には、技能者は、建物内の関連した場所に基づいて特定機器を識別し選択できるので、使用すべき機器識別子を選択する。
【0072】
他の例示的な実施例は、ボイラ室、機械室、組み立てフロア、研究室、事務室などの如く機器が配置される部屋形式のリストを提供してもよい。部屋形式の選択で、モバイル計算装置104は、選択された部屋形式に一致する部屋の一層詳細なリストを更に表示してもよい。その後、特定部屋の選択で、選択された部屋内の機器リストを技能者に提供してもよい。技能者は、次に、リストから特定機器を識別し選択してもよい。リストから特定機器を選択すると、その機器の機器識別子を用いることができる。いくつかの実施例において、地図情報、機器の場所などを設備データ・ストア404に蓄積して、これらをそこからモバイル計算装置104が得てもよい。
【0073】
機器識別子を得ると、方法600は、ブロック610に進む。ここで、ユーザ・インタフェース・エンジン212は、機器識別子に関連する機器情報の要求を測定処理サーバー102に提示する。ブロック612にて、測定処理サーバー102は、機器識別子に関連する機器記録をモバイル計算装置104に伝送する。
【0074】
ブロック614にて、測定処理サーバー102は、機器記録に関連し蓄積された測定データをモバイル計算装置104に伝送する。モバイル計算装置104が蓄積された測定データ及び/又は機器記録を受信すると、方法600はブロック616に進む。ここで、ユーザ・インタフェース・エンジン212は、機器記録と蓄積された測定データとを用いてDUT92用の統合データ収集及び報告インタフェースを提示する。
【0075】
種々の実施例において、特定機器用の統合データ収集及び報告インタフェースは、機器記録に蓄積された基準文書を提示するように構成されてよく、これは技能者及び他の人々にとって有益である。例えば、機器を操作し、測定を行い、又は測定データを評価している間、技能者又は他の人々がアクセスできる安全マニュアル又は保守ガイドラインを機器記録が保持してもよい。さらに、機器に関連する作業命令及びその後の報告を、後でアクセスするために機器記録に蓄積してもよい。
【0076】
種々の実施例において、また、それ自体又は並べて現在の測定値と共に蓄積測定データを提示するように、特定機器用の統合データ収集及び報告インタフェースを構成してもよい。例えば、インタフェースは、所定DUT92用に、又は同じ機器形式の機器から収集した全ての類似測定値用に、時間経過での測定値の傾向を示すグラフを提示してもよく、また、比較のために現在の測定値を提示してもよい。種々の実施例において、特定機器用のインタフェースは、機器の現在の状態を迅速に示す状態バーの如き特徴を含んでもよい。例えば、緑の状態バーは、良好な保守状態を示してもよい一方、黄色又は赤の状態バーは、機器に更なる注意が必要であることを示してもよい。この状態は、技能者により更新されてもよいし、又は、単一又は複数の現在の測定値と、蓄積された測定値又は機器記録に蓄積された許容値との比較によって自動的に決定してもよい。インタフェースは、測定データを得る前、その間又は後で得た機器の画像を含んでもよい。時間に伴なって得た機器の複数画像を比較して、将来保守が必要となることを示す変化を識別してもよい。望むならば、ツールを設けて、機器の以前に得た画像を、取り込むべき画像と共に、取り込むべき又は提示された画像に並べて重ねると、技能者は2つの画像を整列させることができる。これは、後で画像を比較するのを容易にする。いくつかの実施例において、ツールは、互いに比較するために、並べて表示するか又は互いに重ねて、以前に得た2つの画像を比較する能力を提供してもよい。いくつかの実施例において、ツールは、機器の異なるユニットの画像を並べて又は重ねて比較する能力を提供してもよい。インタフェースは、上述のようにグループに体系化された測定データの収集を含んでもよい。特定機器用の機器ページを観察する技能者は、更なる観察及び分析のために1つ以上のデータ・グループを選択してもよい。
【0077】
観察及び分析のために測定データを提供するとき、統合データ収集及び報告インタフェースは、時間経過にわたって収集した測定データのグラフを自動的に提供してもよい。代わりに又は追加で、特定の時点にて捕捉したデータを、静的な数値として表示してもよい。測定データ・ストア406又は機器データ・ストア408に蓄積された画像データを、インタフェース内の画像として表示してもよい。かかる画像は、他の測定データのグラフ及び/又は静的な数値と共に示してもよく、機器の広い全体のビューを可能とする。当業者には理解できる如く、画像データをここで説明する際、この画像データは、可視的な光画像データ、赤外線画像データ又は任意の他の適切な形式の画像データを含んでもよい。
【0078】
ユーザが統合データ収集及び報告インタフェースとの相互作用を終了すると、方法600は、終了ブロックに進み、終了する。
【0079】
いくつかの実施例において、システム100は、同様に、統合データ収集及び報告インタフェース以外の形式にて報告を自動的に発生するように構成可能である。例えば、いくつかの実施例において、モバイル計算装置104、測定処理サーバー102、又はシステム100に関連するいくつかの他の計算装置は、報告定義を含んでもよい。この報告定義は、調整形式などの如き特定のフォーマットで報告される測定値を含んでもよい。この形式で入力すべき測定値の収集で、システム100は、報告定義で指示されたフォーマットにて報告を自動的に発生してもよいし、また、DUTなどに関連した記録への蓄積のために、管理機構に提出する報告を提供してもよい。
【0080】
上述にてシステム及び方法の実施例を図示して説明したが、本開示の要旨及び範囲を逸脱することなく、種々の変更を行えることが明らかであろう。例えば、モバイル計算装置の実施例は、1つ以上のプログラム・アプリケーションを実行するスマートフォンに関連して説明したが、モバイル計算装置の他の実施例は、機器の特性を追加的に測定できるハンドヘルド測定ツールを含んでもよい。上述の如く、測定装置は、ハンドヘルド測定ツールと共に、被測定機器に関連して配置された多目的又は単一用途のセンサを含んでもよい。ここで記述したように、1つ以上の計算装置に処理を実行させるコンピュータ実行可能なインストラクションは、1つ以上の計算装置にアクセスできるコンピュータ読出し可能な非一時的媒体に蓄積されてもよい。さらに、ここで記述した装置又は処理において同様な結果を生じる構造又はステップの再配列は、本開示の範囲内で考慮されることが理解できよう。よって、本開示の範囲は、開示した要旨の実施例を例示する目的で説明した形式そのものに制約されない。
【0081】
排他的な所有権又は権利を主張する本発明の実施例は、請求項で定まる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6