特許第6546911号(P6546911)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6546911高度に精製したポリ不飽和脂肪酸を生成するクロマトグラフプロセス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546911
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】高度に精製したポリ不飽和脂肪酸を生成するクロマトグラフプロセス
(51)【国際特許分類】
   C07C 51/47 20060101AFI20190705BHJP
   C07C 57/03 20060101ALI20190705BHJP
   C11C 3/04 20060101ALI20190705BHJP
   C10L 1/02 20060101ALI20190705BHJP
   B01D 15/18 20060101ALI20190705BHJP
   B01D 15/42 20060101ALI20190705BHJP
【FI】
   C07C51/47
   C07C57/03
   C11C3/04
   C10L1/02
   B01D15/18
   B01D15/42
【請求項の数】13
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2016-512267(P2016-512267)
(86)(22)【出願日】2014年4月23日
(65)【公表番号】特表2016-523826(P2016-523826A)
(43)【公表日】2016年8月12日
(86)【国際出願番号】EP2014058166
(87)【国際公開番号】WO2014180654
(87)【国際公開日】20141113
【審査請求日】2017年3月16日
(31)【優先権主張番号】13305596.2
(32)【優先日】2013年5月7日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】61/820,459
(32)【優先日】2013年5月7日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】13/897,056
(32)【優先日】2013年5月17日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】14/149,420
(32)【優先日】2014年1月7日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515306840
【氏名又は名称】グループ ノヴァセップ
【氏名又は名称原語表記】GROUPE NOVASEP
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】100136858
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】エリック ヴァレリー
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ アダム
(72)【発明者】
【氏名】ジャン ブレハウト
【審査官】 斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/005046(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/005051(WO,A1)
【文献】 特開昭56−115736(JP,A)
【文献】 特開2000−072713(JP,A)
【文献】 特開2003−322647(JP,A)
【文献】 特表平08−512336(JP,A)
【文献】 YAMAMURA,INDUSTRIAL HIGH-PERFORMANCE LIQUID CHROMATOGRAPHY PURIFICATION OF 以下備考,JOURNAL OF THE AMERICAN OIL CHEMISTS' SOCIETY (JAOCS),ドイツ,SPRINGER,1997年 7月30日,VOL:74, NR:11,PAGE(S):1435 - 1440,DOCOSAHEXAENOIC ACID ETHYL ESTER AND DOCOSAPENTAENOIC ACID ETHYL ESTER FRO MSINGLE-CELL OIL
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
C11C 3/00
B01D 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体を供給混合物から回収するプロセスであり、前記供給混合物は、前記第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体の他に少なくとも第2脂肪酸又は脂肪酸誘導体を含むものとする、該プロセスであって:
・含水有機溶離液を用いる主クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体に富む第1溶離液流及び前記第2脂肪酸又は脂肪酸誘導体に富む第2溶離液流を収集する主クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第2溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸又は脂肪酸誘導体の流を採取するとともに、他方では消耗第2溶離液流を採取する濃縮ステップであって、濃縮は、前記消耗第2溶離液流の水/有機の重量比が前記第2溶離液流の水/有機の重量比よりも低くなるように行う、該濃縮ステップと;
・前記消耗第2溶離液流の少なくとも一部を前記主クロマトグラフ分離ステップに使用するため再循環させるステップと;
を備え、
前記脂肪酸誘導体は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エステル、リン脂質、アミド、ラクトン、又は塩の形態であり、前記水/有機における有機は、有機溶剤成分を指す、プロセス。
【請求項2】
請求項1記載のプロセスにおいて、
・前記第1溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸又は脂肪酸誘導体の流を、他方では消耗第1溶離液流を採取する濃縮ステップと、及び
・前記消耗第1溶離液流の少なくとも一部を前記主クロマトグラフ分離ステップに使用するため再循環させるステップと、
を備え、
前記消耗第1溶離液流の流量は、前記1溶離液流の流量の少なくとも90%となるようにする、プロセス。
【請求項3】
前記消耗第1溶離液流の全部を前記主クロマトグラフ分離ステップに使用するため再循環させる、請求項2に記載のプロセス。
【請求項4】
第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体を供給混合物から回収するプロセスであり、前記供給混合物は、前記第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体及び前記第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体の他に少なくとも第2脂肪酸又は脂肪酸誘導体を含むものとする、該プロセスであって:
・含水有機溶離液を用いる主クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体に富む第1溶離液流及び前記第2脂肪酸又は脂肪酸誘導体に富む第2溶離液流を収集する主クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第2溶離液流を部分的に濃縮して、前記第2脂肪酸又は脂肪酸誘導体を含む前記第2溶離液流の濃縮部分、及び前記溶離液を含むが前記第2脂肪酸又は脂肪酸誘導体が消耗している第2溶離液流の消耗部分を採取する部分濃縮ステップと;
・前記第2溶離液流の消耗部分の少なくとも一部を前記主クロマトグラフ分離ステップに使用するため再循環させるステップと;
を備え、
前記脂肪酸誘導体は、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、エステル、リン脂質、アミド、ラクトン、又は塩の形態であ、プロセス。
【請求項5】
請求項4記載のプロセスにおいて、前記第2溶離液流の消耗部分の水/有機の重量比は、前記第2溶離液流の水/有機の重量比の0.95倍よりも低いものとし、前記水/有機における有機は、有機溶剤成分を指す、プロセス。
【請求項6】
請求項4又は5記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップは、連続クロマトグラフ技術によって実施するか、又は、前記主クロマトグラフ分離ステップは、模擬流動床ユニット又は実流動床ユニットで実施するか、又は、前記主クロマトグラフ分離ステップは、単一カラムクロマトグラフユニットで実施するか、又は、前記主クロマトグラフ分離ステップは、クロマトグラフの非分離部分を再循環させ、また周期的定常状態に達するシステムで実施する、プロセス。
【請求項7】
請求項4〜6のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、
・前記第1溶離液流を濃縮して、濃縮した前記脂肪酸又は脂肪酸誘導体を含む第1溶離液流の濃縮部分、及び前記溶離液を含むが前記脂肪酸又は脂肪酸誘導体が消耗した第1溶離液流の消耗部分を採取する濃縮ステップと;
・前記第1溶離液流の前記消耗部分の少なくとも一部を、前記主クロマトグラフ分離ステップに再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【請求項8】
前記第1溶離液流の前記消耗部分の全部を再循環させる、請求項7に記載のプロセス。
【請求項9】
請求項4〜8のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1溶離液流と分離される際の前記第1溶離液流の前記消耗部分の流量は、前記1溶離液流の流量の少なくとも90%となるようにするか、又は、前記第2溶離液流と分離される際の前記第2溶離液流の前記消耗部分の流量は、前記2溶離液流の流量の少なくとも90%となるようにする、プロセス。
【請求項10】
請求項4〜9のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第2溶離液流の前記消耗部分を再循環させて前記主クロマトグラフ分離ステップで使用する前に、前記第2溶離液流の前記消耗部分に対して新鮮な水を添加する、プロセス。
【請求項11】
請求項1〜10のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体を、前記プロセスの終了時に、組成における脂肪酸又は脂肪酸誘導体の総重量に対する第2脂肪酸又は脂肪酸誘導体を1重量%未満で含む該組成として回収する、プロセス。
【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体は、エイコサペンタエン酸又はエイコサペンタエン酸誘導体であり、前記第2脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、ドコサヘキサエン酸又はドコサヘキサエン酸誘導体である、プロセス。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸又はポリ不飽和脂肪酸誘導体を含む全ての脂肪酸又は脂肪酸誘導体は、エステル化形態である、プロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高純度に精製したポリ不飽和脂肪酸及びその誘導体を生成するクロマトグラフプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
この項では、本発明開示に関連する必ずしも従来技術ではない背景情報を提供する。
【0003】
脂肪酸(FAs:Fatty acids)及び、より具体的には不飽和脂肪酸(PUFAs:polyunsaturated fatty acids)、並びにそれらの誘導体は、細胞膜の成分となり、また多数の生物学的過程、例えば、ホルモン合成に関与する重要な生体化合物であり、ホルモン(例えば、プロスタグランジン)は、血小板凝集、炎症、トリグリセリドレベルの低下、免疫反応、等に役割を果たす。
【0004】
PUFAに基づく益々増大する多数の医薬品が開発され、また商品化されている。幾つかのPUFAは極めて特別な機能を有する。例えば、
・アラキドン酸(arachidonic acid)又はARA(C20 6ω3)は、筋肉成長及び修復に必要であることが知られている。
・ドコサヘキサエン酸(docosahexaenoic acid)又はDHA(C22 6ω3)は、とくに、脳の発達及び神経伝達に重要な役割を果たすことが知られている。
・エイコサペンタエン酸(eicosapentaenoic acid)又はEPA(C20 5ω3)は、トリグリセリドを低下させることが知られている。とくに、幾つかの臨床医の研究によれば、純EPAは、低比重リポ蛋白(LDL、いわゆる「悪玉」)コレステロールを増加させることなくトリグリセリドを減少することを示している。
・ドコサペンタエン酸又はDPA(C22 5ω3)又はDPAは、心臓血管の健康を改善することが知られている。
【0005】
幾つかの他の研究は、EPA及びDHAの混合摂取は、トリグリセリドを低下させるものの、LDLを増加させることを示している。
【0006】
したがって、EPAを含みかつDHA含有量を0.5%未満、好適にはDHA含有量を0.05%未満、より好適にはDHAが検出されないレベルにさえも抑えた組成物を生成する必要がある。同様に、ARAがほとんどないDHAを含む組成物、又はDHAがほとんどないARAを含む組成物を生成することに対して、また、概して他のPUFAs(FAs)をほとんど排除した組成物とともに、高純度に精製したPUFAsを生成して、より制御された効能を有しかつ副作用が少ない高純度精製個別PUFAに基づく新たな医薬品の開発及び商品化ができるようにすることに対して、潜在的な関心がある。
【0007】
EPAは、一般的に魚油、藻類、又は場合によっては酵母から精製する。しかし、魚油及び他のバイオマスは多数の脂肪酸、及びとくに、EPAから分離する必要がある大量のDHAも含む。
【0008】
DHAは魚油から精製することができ、この場合、様々な魚種から抽出される多くのオイル内にDHAよりも一層豊富であるEPAを含めて多数の他の脂肪酸を分離する必要がある。代案として、DHAは、例えば、藻類から生成することができ、この場合、ARAが相当大量に存在し、したがって、ARAから分離する必要がある。逆に、藻類原料からARAを精製するとき、ARAはDHAから分離しなければならない。
【0009】
精製PUFAを生成する方法は当業者によく知られている。これら方法は、トリグリセリドを遊離脂肪酸に変換させる加水分解ステップ、又は脂肪酸をアルキル(好適には、エチル)エステルに変換するトリグリセリドのエステル交換ステップ、漂白ステップ、尿素分別ステップ、分子蒸留ステップ、クロマトグラフステップ、等々のうち1つ又は複数を有する。分子蒸留は長鎖PUFAsを富化するのに広く使用される技術である。しかし、長鎖PUFAsを互いに効率よく分離するのには使用できない。さらに、PUFAsは、酸化及び劣化し易い極めて脆い分子である。加熱したとき、PUFAsは、異性化、酸化、過酸化及びオリゴマー化し易い。
【0010】
クロマトグラフプロセスは、PUFAsを富化するのに効率がよい手段であり、また上述の精製技術のうち1つ又は複数と組み合わせることができる。もっとも広くに記載されるクロマトグラフプロセスは、単一カラムクロマトグラフプロセスであり、例えば、高速液体クロマトグラフ(HPLC:high performance liquid chromatography)プロセス、又は定常循環型クロマトグラフプロセス、並びに模擬流動床(SMB:simulated moving bed)プロセス、VARICOL(登録商標)若しくは実流動床(AMB:actual moving bed)プロセスのような多重カラムクロマトグラフ技術、並びに当業者に既知の他のプロセスがある。PUFAsは一般的に極めて複雑な混合物で生成されるため、高純度に達するまでに2又は3つのクロマトグラフステップが必要となる。これらプロセスの幾つかは、以下の特許文献1〜6に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第5,719,302号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0091947号明細書
【特許文献3】国際公開第2011/080503号パンフレット
【特許文献4】国際公開第2013/005048号パンフレット
【特許文献5】国際公開第2013/005051号パンフレット
【特許文献6】国際公開第2013/005052号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
2つのクロマトグラフステップを同時に行うことができる幾つかのSMB又はAMBプロセスにおいて、特定PUFAを中間純度で含む1つ又は幾つかの流れをSMB又はAMB装置の隣接しないカラムに濃縮せずに再注入させることができる。
【0013】
多くのクロマトグラフプロセスは含水有機溶剤を使用する逆相モードを用いる。一般的にエステル形態である脂肪酸はその極性に基づいて分離し、この場合、当業者にはよく知られているように、極性の少ないものより極性の多い脂肪酸がより早く溶離する。
【0014】
クロマトグラフプロセスの主な欠点の1つは、精製された留分の希薄度が大きくなる点である。SMB、VARICOL、及びAMBのような連続処理は、HPLCのようなバッチ処理よりも好ましく、なぜなら、抽出物(より多く貯留された化合物を含む)及びラフィネート(より少なく貯留された化合物を含む)と称されるより濃縮された流れを生ずるからである。
【0015】
しかし、依然としてクロマトグラフ分離によって生成される精製留分及び不用留分は希薄度が極めて大きいままであり、したがって、種々の収集した流れを濃縮して、経済上及び環境上の双方の理由から、使用した溶離液(主に1つ又は複数の有機溶剤及び水から構成する)を回収し、またそのプロセス内に循環させることができるようにする。
【0016】
したがって、依然として、PUFAsをより高い純度に制限された溶剤消費で精製するための改善されたプロセスに対する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この項では、本発明の要約を提示するもので、本発明の範囲全体、又はその特徴のすべてを網羅的に開示するものではない。とくに、供給混合物からポリ不飽和脂肪酸を回収する種々の実施形態を記載する。本発明プロセスは、随意的に以下に詳述する方法、ステップ、特徴のうち1つより多くのもののうち、任意の1つ又は任意の組合せを有することができる。
【0018】
本発明は、とくに、以下の項に関連する。
【0019】
[項1]第1ポリ不飽和脂肪酸を供給混合物から回収するプロセスであり、前記供給混合物は、前記第1ポリ不飽和脂肪酸の他に少なくとも第2脂肪酸を含むものとする、該プロセスであって:
・含水有機溶離液を用いる主クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第1溶離液流及び前記第2脂肪酸に富む第2溶離液流を収集する主クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第2溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第2溶離液流を採取する濃縮ステップであって、濃縮は、前記消耗第2溶離液流の水対有機比が前記第2溶離液流の水対有機比よりも低くなるように行う、該濃縮ステップと;
・前記消耗第2溶離液流の少なくとも一部を前記主クロマトグラフ分離ステップに使用するため再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0020】
[項2]項1のプロセスにおいて、消耗第2溶離液流全体を再循環させて主クロマトグラフ分離ステップで使用する、プロセス。
【0021】
[項3]項1又は2のプロセスにおいて、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して、好適には少なくとも約2%減少する、又は第2溶離液流の流量に対して少なくとも約5%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約15%減少する、プロセス。
【0022】
[項4]項1〜3のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記消耗第2溶離液流の水対有機比が前記第2溶離液流の水対有機比の約0.95倍以下、好適には約0.9倍以下、又は約0.8倍以下、又は約0.7倍以下、又は約0.6倍以下、又は約0.5倍以下、又は約0.4倍以下、又は約0.3倍以下、又は約0.2倍以下、又は約0.1倍以下に低いものとする、プロセス。
【0023】
[項5]項1〜4のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、
・前記第1溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を、他方では消耗第1溶離液流を採取する濃縮ステップと、及び
・前記消耗第1溶離液流の少なくとも一部、好適には、全部を前記主クロマトグラフ分離ステップに使用するために再循環させるステップと、
を備える、プロセス。
【0024】
[項6]項5記載のプロセスにおいて、前記消耗第1溶離液流の流量は、前記1溶離液流の流量の少なくとも90%、好適には少なくとも95%、最も好適には少なくとも98%となるようにする、プロセス。
【0025】
[項7]項1〜6のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、単一の分離ステップ、すなわち、前記主クロマトグラフ分離ステップを備える、プロセス。
【0026】
[項8]項1〜4のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に単一予備分離ステップを備え、前記単一予備分離ステップは、好適には予備クロマトグラフ分離ステップとし、前記単一予備クロマトグラフ分離ステップ及び前記主クロマトグラフ分離ステップは、同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施する、プロセス。
【0027】
[項9]項1〜6のうちいずれか一項記載のプロセスであって、主クロマトグラフ分離ステップの前に2つの予備分離ステップを備えるプロセスにおいて、好適には、前記2つの予備分離ステップのうち一方を予備クロマトグラフ分離ステップとする、より好適には、双方の予備分離ステップを予備クロマトグラフ分離ステップとし、各予備クロマトグラフ分離ステップ及び主クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施し、また2つの予備クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施する、プロセス。
【0028】
[項10]項8又は9記載のプロセスにおいて、前記消耗第2溶離液流の一部を予備分離ステップで使用するよう再循環させる、プロセス。
【0029】
[項11]項1〜6のうちいずれか一項、又は8〜9のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に単一後続分離ステップを備え、前記単一後続分離ステップは、好適には後続クロマトグラフ分離ステップとし、前記単一後続クロマトグラフ分離ステップ及び前記主クロマトグラフ分離ステップは、同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施する、プロセス。
【0030】
[項12]項1〜6のうちいずれか一項、又は8〜9のうちいずれか一項記載のプロセスであって、主クロマトグラフ分離ステップ後に2つの後続分離ステップを備えるプロセスにおいて、好適には、前記2つの後続分離ステップのうち一方を後続クロマトグラフ分離ステップとする、より好適には、双方の後続分離ステップを後続クロマトグラフ分離ステップとし、各後続クロマトグラフ分離ステップ及び主クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施し、また2つの後続クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施する、プロセス。
【0031】
[項13]項1〜6のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、ほぼ(又は絶対的に)3つ以上の、好適には3つのクロマトグラフ分離ステップを有し、前記クロマトグラフ分離ステップは、異なるクロマトグラフユニットで実施する、又は少なくとも部分的に同一クロマトグラフユニットで実施する、プロセス。
【0032】
[項14]項13記載のプロセスにおいて、ほぼ(又は絶対的に)主クロマトグラフ分離ステップ、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に実施する予備クロマトグラフ分離ステップ、並びに前記主クロマトグラフ分離ステップ後に実施する後続クロマトグラフ分離ステップを有する、プロセス。
【0033】
[項15]項13記載のプロセスにおいて、ほぼ(又は絶対的に)2つの予備クロマトグラフ分離ステップに続いて前記主クロマトグラフ分離ステップを行う、プロセス。
【0034】
[項16]項13記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップに続いてほぼ(又は絶対的に)2つの後続クロマトグラフ分離ステップを行う、プロセス。
【0035】
[項17]項1〜16のうちいずれか一項記載のプロセスであって、供給混合物がさらに少なくとも第3脂肪酸を含むものとする、該プロセスにおいて、
・含水有機溶離液を用いる第2クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第3溶離液流及び前記第3脂肪酸に富む第4溶離液流を収集する第2クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第3溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第3溶離液流を採取する濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第3溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;及び/又は
・前記第4溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第4溶離液流を採取し、濃縮は、前記消耗第4溶離液流の水対有機比が、随意的に前記第4溶離液流の水対有機比よりも小さくなるように行う、濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第4溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0036】
[項18]項17記載のプロセスにおいて、前記第2クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に実施する予備クロマトグラフ分離ステップとする;又は代案として、前記第2クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に実施する後続クロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0037】
[項19]項17又は18記載のプロセスにおいて、同一含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第2クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第2クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記主クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする、プロセス。
【0038】
[項20]項17〜19記載のプロセスであって、供給混合物がさらに少なくとも第4脂肪酸を含むものとする、該プロセスにおいて、
・含水有機溶離液を用いる第3クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第5溶離液流及び前記第4脂肪酸に富む第6溶離液流を収集する第3クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第5溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第5溶離液流を採取する濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第5溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;及び/又は
・前記第6溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第6溶離液流を採取する濃縮ステップであって、前記濃縮は、前記消耗第6溶離液流の水対有機比が、随意的に第4溶離液流の水対有機比よりも低くなるように行う、該濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第6溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0039】
[項21]項20記載のプロセスにおいて、前記第3クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に実施する予備クロマトグラフ分離ステップとする;又は代案として、前記第3クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に実施する後続クロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0040】
[項22]項20又は21記載のプロセスにおいて、
・同一含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記主クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする;及び/又は
・同一含水有機溶離液を、前記第2クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記第2クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする;
プロセス。
【0041】
[項23]項20〜22のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸とし、前記第2脂肪酸はドコサヘキサエン酸又はステアリドン酸、及び前記第3脂肪酸及び前記第4脂肪酸はドコサヘキサエン酸又はステアリドン酸のうちの他方、飽和脂肪酸、及び単不飽和脂肪酸から選択したものとする、プロセス。
【0042】
[項23a]1〜23のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記消耗第2溶離液流を再循環させて前記主クロマトグラフ分離ステップで使用する前に前記消耗第2溶離液流に新鮮な水を添加するステップを備える、プロセス。
【0043】
[項24]第1ポリ不飽和脂肪酸を供給混合物から回収するプロセスであり、前記供給混合物は、前記第1ポリ不飽和脂肪酸の他に少なくとも第2脂肪酸を含むものとする、該プロセスであって:
・含水有機溶離液を用いる主クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第1溶離液流及び前記第2脂肪酸に富む第2溶離液流を収集する主クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第2溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第2溶離液流を採取する濃縮ステップと;
を備え;
前記消耗第2溶離液流の少なくとも一部を前記主クロマトグラフ分離ステップとは異なる他のプロセスステップで使用するため再循環させる、プロセス。
【0044】
前記他のプロセスステップは、前記第1ポリ不飽和脂肪酸を回収するのに効果があるステップとすることができる。代案として、前記他のプロセスステップは、他の目的、例えば、他の化合物の精製又は生成に効果があるステップとすることができる。
【0045】
項24の好適な実施形態によれば、他のプロセスステップで使用する消耗第2溶離液流の少なくとも一部は液体の形態で使用する。濃縮ステップから採取した蒸気相の形態で直接使用しないのが好ましい。消耗第2溶離液流からの熱回収は、項24に記載の一部使用とすることができるが、この使用は熱回収に限定しない。この使用は、消耗第2溶離液流の少なくとも一部を他の流れ又は生成物と混合するステップ、又は消耗第2溶離液流の少なくとも一部を化学修飾する(例えば、それを燃焼させる)ステップを含む。
【0046】
[項25]項24記載のプロセスにおいて、前記消耗第2溶離液流は、前記主クロマトグラフ分離ステップで使用するための前記主クロマトグラフ分離ステップへの再循環を行わない、プロセス。
【0047】
[項26]項24又は25記載のプロセスにおいて、前記消耗第2溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、種を他の種から分離するステップ、好適には種を他の種からクロマトグラフで分離するステップにおける溶離液及び/若しくは燃料として使用するために、並びに/又は溶剤を再生するために、再利用する、プロセス。
【0048】
[項27]項24〜26のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて:
・前記主クロマトグラフ分離ステップの前に、それぞれに対応する含水有機溶離液を用いて実施する1つ又は複数の予備分離ステップと;
・前記消耗第2溶離液流の少なくとも一部を、前記1つ又は複数の予備分離ステップに使用するために、再循環させるステップと、
を備える、プロセス。
【0049】
[項28]項27記載のプロセスにおいて、少なくとも1つの予備分離ステップはクロマトグラフ分離ステップとし、また好適には、全ての予備分離ステップをクロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0050】
[項29]項27又は28のプロセスにおいて、消耗第2溶離液流のほぼ全部を再循環させて、1つ又は複数の予備分離ステップに使用する、プロセス。
【0051】
[項30]項24〜29のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に、少なくとも1つ、好適には単一後続分離ステップを備え、この後続分離ステップは、好適には、後続クロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0052】
[項31]項24〜30のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、消耗第2溶離液流の一部を再循環させて、主クロマトグラフ分離ステップに使用する、プロセス。
【0053】
[項32]項24〜31のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、単一予備分離ステップを備える、プロセス。
【0054】
[項33]項24〜31のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、厳密に2つの予備分離ステップを備える、プロセス。
【0055】
[項34]項28〜33のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び少なくとも1つの予備クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニットで実施する;及び/又は主クロマトグラフ分離ステップ及び少なくとも1つの後続クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニットで実施する;及び/又は全ての予備クロマトグラフ分離ステップ及び全ての随意的後続クロマトグラフ分離ステップ及び主クロマトグラフ分離ステップを異なるクロマトグラフユニットで実施する、プロセス。
【0056】
[項35]項24〜34のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて:
・前記第1溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を、他方では消耗第1溶離液流を採取する濃縮ステップと;
・前記消耗第1溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記プロセスの分離ステップに使用するため、最も好適には主クロマトグラフ分離ステップ及び/又は主クロマトグラフ分離ステップ前の少なくとも1つの予備分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0057】
[項36]項35記載のプロセスにおいて、前記消耗第1溶離液流の流量は、前記1溶離液流の流量の少なくとも95%、好適には少なくとも98%、最も好適には少なくとも99%となるようにする、プロセス。
【0058】
[項37]項24〜36のうちいずれか一項記載のプロセスであって、供給混合物がさらに少なくとも第3脂肪酸を含むものとする、該プロセスにおいて、
・含水有機溶離液を用いる第2クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第3溶離液流及び前記第3脂肪酸に富む第4溶離液流を収集する第2クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第3溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第3溶離液流を採取する濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第3溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記プロセスの分離ステップに使用するために、最も好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;及び/又は
・前記第4溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第4溶離液流を採取する濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第4溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記プロセスの分離ステップに使用するために、最も好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0059】
[項38]項37記載のプロセスにおいて、前記第2クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に実施する予備クロマトグラフ分離ステップとする;又は前記第2クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に実施する後続クロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0060】
[項39]項37又は38記載のプロセスにおいて、同一含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第2クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第2クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記主クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする、プロセス。
【0061】
[項40]項37〜39のうちいずれか一項記載のプロセスであって、供給混合物がさらに少なくとも第4脂肪酸を含むものとする、該プロセスにおいて、
・含水有機溶離液を用いる第3クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第5溶離液流及び前記第4脂肪酸に富む第6溶離液流を収集する第3クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第5溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第5溶離液流を採取する濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第5溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、前記プロセスの分離ステップに使用するために、最も好適には前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;及び/又は
・前記第6溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第6溶離液流を採取する濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第6溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記プロセスの分離ステップに使用するために、最も好適には前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0062】
[項41]項40記載のプロセスにおいて、前記第3クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に実施する予備クロマトグラフ分離ステップとする;又は前記第3クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に実施する後続クロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0063】
[項42]請求項41又は42記載のプロセスにおいて、
・同一含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記主クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする、及び/又は
・同一含水有機溶離液を、前記第2クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記第2クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする、
プロセス。
【0064】
[項43]項40〜42のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸とし、前記第2脂肪酸はドコサヘキサエン酸又はステアリドン酸、及び前記第3脂肪酸及び前記第4脂肪酸はドコサヘキサエン酸又はステアリドン酸のうちの他方、飽和脂肪酸、及び単不飽和脂肪酸から選択したものとする、プロセス。
【0065】
[項44]第1ポリ不飽和脂肪酸を供給混合物から回収するプロセスであり、前記供給混合物は、前記第1ポリ不飽和脂肪酸の他に少なくとも第2脂肪酸を含むものとする、該プロセスであって、順次に:
・含水有機溶離液を用いる主クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第1溶離液流及び前記第2脂肪酸に富む第2溶離液流を収集する主クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第2溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第2溶離液流を採取する濃縮ステップであって、濃縮は、前記消耗第2溶離液流の流量が前記第2溶離液流の流量よりも減少するように行う、該濃縮ステップと;
・前記消耗第2溶離液流の少なくとも一部を前記主クロマトグラフ分離ステップに使用するため再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0066】
[項45]項44のプロセスにおいて、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して、少なくとも約2%減少する、又は少なくとも約5%、又は少なくとも約10%、又は少なくとも約15%減少する、プロセス。
【0067】
[項46]項44又は45のプロセスにおいて、消耗第2溶離液流全体を再循環させて主クロマトグラフ分離ステップで使用する、プロセス。
【0068】
[項47]項44〜46のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記消耗第2溶離液流の水対有機比が前記第2溶離液流の水対有機比の約0.95倍未満、好適には約0.9倍未満、又は約0.8倍未満、又は約0.7倍未満、又は約0.6倍未満、又は約0.5倍未満、又は約0.4倍未満、又は約0.3倍未満、又は約0.2倍未満、又は約0.1倍未満に低いものとする、プロセス。
【0069】
[項48]項44〜47のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、
・前記第1溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を、他方では消耗第1溶離液流を採取する濃縮ステップと、及び
・前記消耗第1溶離液流の少なくとも一部、好適には、全部を前記主クロマトグラフ分離ステップに使用するために再循環させるステップと、
を備える、プロセス。
【0070】
[項49]項48記載のプロセスにおいて、前記消耗第1溶離液流の流量は、前記1溶離液流の流量の少なくとも90%、好適には少なくとも95%、最も好適には少なくとも98%となるようにする、プロセス。
【0071】
[項50]項44〜49のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、単一の分離ステップ、すなわち、前記主クロマトグラフ分離ステップを備える、プロセス。
【0072】
[項51]項44〜49のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に単一予備分離ステップを備え、前記単一予備分離ステップは、好適には予備クロマトグラフ分離ステップとし、前記単一予備クロマトグラフ分離ステップ及び前記主クロマトグラフ分離ステップは、同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施する、プロセス。
【0073】
[項52]項44〜49のうちいずれか一項記載のプロセスであって、主クロマトグラフ分離ステップの前に2つの予備分離ステップを備えるプロセスにおいて、好適には、前記2つの予備分離ステップのうち一方を予備クロマトグラフ分離ステップとする、より好適には、双方の予備分離ステップを予備クロマトグラフ分離ステップとし、各予備クロマトグラフ分離ステップ及び主クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施し、また2つの予備クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施する、プロセス。
【0074】
[項53]項51又は52記載のプロセスにおいて、前記消耗第2溶離液流の一部を予備分離ステップで使用するよう再循環させる、プロセス。
【0075】
[項54]項44〜49のうちいずれか一項、又は51〜53のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に単一後続分離ステップを備え、前記単一後続分離ステップは、好適には後続クロマトグラフ分離ステップとし、前記単一後続クロマトグラフ分離ステップ及び前記主クロマトグラフ分離ステップは、同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施する、プロセス。
【0076】
[項55]項44〜49のうちいずれか一項、又は51〜53のうちいずれか一項記載のプロセスであって、主クロマトグラフ分離ステップ後に2つの後続分離ステップを備えるプロセスにおいて、好適には、前記2つの後続分離ステップのうち一方を後続クロマトグラフ分離ステップとする、より好適には、双方の後続分離ステップを後続クロマトグラフ分離ステップとし、各後続クロマトグラフ分離ステップ及び主クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施し、また2つの後続クロマトグラフ分離ステップを同一クロマトグラフユニット又は異なるクロマトグラフユニットのいずれかで実施する、プロセス。
【0077】
[項56]項44〜49のうちいずれか一項に記載のプロセスにおいて、ほぼ(又は絶対的に)3つ以上の、好適には3つのクロマトグラフ分離ステップを有し、前記クロマトグラフ分離ステップは、異なるクロマトグラフユニットで実施する、又は少なくとも部分的に同一クロマトグラフユニットで実施する、プロセス。
【0078】
[項57]項56記載のプロセスにおいて、ほぼ(又は絶対的に)主クロマトグラフ分離ステップ、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に実施する予備クロマトグラフ分離ステップ、並びに前記主クロマトグラフ分離ステップ後に実施する後続クロマトグラフ分離ステップを有する、プロセス。
【0079】
[項58]項56記載のプロセスにおいて、ほぼ(又は絶対的に)2つの予備クロマトグラフ分離ステップに続いて前記主クロマトグラフ分離ステップを行う、プロセス。
【0080】
[項59]項56記載のプロセスにおいて、前記主クロマトグラフ分離ステップに続いてほぼ(又は絶対的に)2つの後続クロマトグラフ分離ステップを行う、プロセス。
【0081】
[項60]項44〜59のうちいずれか一項記載のプロセスであって、供給混合物がさらに少なくとも第3脂肪酸を含むものとする、該プロセスにおいて、
・含水有機溶離液を用いる第2クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第3溶離液流及び前記第3脂肪酸に富む第4溶離液流を収集する第2クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第3溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第3溶離液流を採取する濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第3溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;及び/又は
・前記第4溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第4溶離液流を採取し、濃縮は、前記消耗第4溶離液流の流量が、随意的に前記第4溶離液流の流量よりも減少するように行う、濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第4溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0082】
[項61]項60記載のプロセスにおいて、前記第2クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に実施する予備クロマトグラフ分離ステップとする;又は代案として、前記第2クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に実施する後続クロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0083】
[項62]項60又は61記載のプロセスにおいて、同一含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第2クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第2クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記主クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする、プロセス。
【0084】
[項63]項60〜62記載のプロセスであって、供給混合物がさらに少なくとも第4脂肪酸を含むものとする、該プロセスにおいて、
・含水有機溶離液を用いる第3クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第5溶離液流及び前記第4脂肪酸に富む第6溶離液流を収集する第3クロマトグラフ分離ステップと;
・前記第5溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第5溶離液流を採取する濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第5溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;及び/又は
・前記第6溶離液流を濃縮して、一方では濃縮脂肪酸流を採取するとともに、他方では消耗第6溶離液流を採取する濃縮ステップであって、前記濃縮は、前記消耗第6溶離液流の流量が、随意的に第4溶離液流の流量よりも減少するように行う、該濃縮ステップと;次に、
・前記消耗第6溶離液流の少なくとも一部、好適には全部を、好適には前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用するために、再循環させるステップと;
を備える、プロセス。
【0085】
[項64]項63記載のプロセスにおいて、前記第3クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの前に実施する予備クロマトグラフ分離ステップとする;又は前記第3クロマトグラフ分離ステップは、前記主クロマトグラフ分離ステップの後に実施する後続クロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0086】
[項65]項63又は64記載のプロセスにおいて、
・同一含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記主クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記主クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする;及び/又は
・同一含水有機溶離液を、前記第2クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;又は異なる含水有機溶離液を、前記第2クロマトグラフ分離ステップ及び第3クロマトグラフ分離ステップに使用する;かつ好適には前記第2クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比は、前記第3クロマトグラフ分離ステップに使用する前記含水有機溶離液の水対有機比とは異なるようにする;
プロセス。
【0087】
[項66]項63〜65のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸とし、前記第2脂肪酸はドコサヘキサエン酸又はステアリドン酸、及び前記第3脂肪酸及び前記第4脂肪酸はドコサヘキサエン酸又はステアリドン酸のうちの他方、飽和脂肪酸、及び単不飽和脂肪酸から選択したものとする、プロセス。
【0088】
[項67]項1〜66のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、各濃縮ステップを、膜濾過装置、蒸発器、精留カラム、蒸留カラム、液−液抽出器、又はこれら装置の組合せで実施する、プロセス。
【0089】
[項68]項1〜67のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸は、前記プロセスの終了時に、組成における脂肪酸の総重量に対する第2脂肪酸の約1重量%未満、好適には約0.5重量%未満、又は約0.1重量%未満、又は約0.05重量%未満、又は約0.03重量%未満、又は約0.01重量%未満で含む該組成として回収する、プロセス。
【0090】
[項69]項1〜68のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸とし、前記第2脂肪酸はドコサヘキサエン酸とする、プロセス。
【0091】
[項70]項1〜68のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はドコサヘキサエン酸とし、前記第2脂肪酸はエイコサペンタエン酸とする、プロセス。
【0092】
[項71]項1〜68のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はエイコサペンタエン酸とし、前記第2脂肪酸はステアリドン酸とする、プロセス。
【0093】
[項72]項1〜68のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はドコサペンタエン酸とし、前記第2脂肪酸はドコサヘキサエン酸とする、プロセス。
【0094】
[項73]項1〜68のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はドコサヘキサエン酸とし、前記第2脂肪酸はドコサペンタエン酸とする、プロセス。
【0095】
[項74]項1〜68のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はアラキドン酸とし、前記第2脂肪酸はドコサヘキサエン酸とする、プロセス。
【0096】
[項75]項1〜68のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記第1ポリ不飽和脂肪酸はドコサヘキサエン酸とし、前記第2脂肪酸はアラキドン酸とする、プロセス。
【0097】
[項76]項1〜75のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記供給混合物は、魚、藻類及び/又は酵母から抽出する、好適には魚から抽出する、プロセス。
【0098】
[項77]項1〜76のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、前記プロセスは連続プロセスとする、プロセス。
【0099】
[項78]項1〜77のうちいずれか一項記載のプロセスにおいて、少なくとも前記主クロマトグラフ分離ステップ、好適には全てのクロマトグラフ分離ステップは、模擬流動床又は実流動床によるクロマトグラフ分離ステップとする、プロセス。
【0100】
[項79]第1ポリ不飽和脂肪酸を供給混合物から回収するプロセスであり、前記供給混合物は、前記第1ポリ不飽和脂肪酸の他に少なくとも第2脂肪酸を含むものとする、該プロセスであって:
・含水有機溶離液を用いる主クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第1溶離液流及び前記第2脂肪酸に富む第2溶離液流を収集する主クロマトグラフ分離ステップを備え;
前記第2溶離液流の少なくとも一部は燃料として再利用する、プロセス。
【0101】
[項80]項79記載のプロセスにおいて、項25〜43、又は項67〜78の何れかの特徴を有する(ただし、項25〜43、又は項67〜78における用語「消耗第2溶離液流」は「第2溶離液流」に置き換えるものとする)、プロセス。
【0102】
使用済み溶離液を燃料として再利用するとき(項79のように)、濃縮ステップは単に随意的なものであることに留意されたい。第2溶離液流の組成に基づいて、第2溶離液流の一部又は全部を直接燃料として使用する(それ以上の濃縮又は処理を何らすることなく)ことが考えられる。
【0103】
したがって、一実施形態によれば、第1ポリ不飽和脂肪酸及び第1ポリ不飽和脂肪酸の他に少なくとも第2脂肪酸を含む供給混合物から第1ポリ不飽和脂肪酸を回収するプロセスを提供する。このプロセスは、含水有機溶離液を用いる主クロマトグラフ分離を行い、これにより前記第1ポリ不飽和脂肪酸に富む第1溶離液流及び前記第2脂肪酸に富む第2溶離液流を収集する主クロマトグラフ分離ステップを備える。さらに、このプロセスは、第2溶離液流の少なくとも一部を、何らの事前濃縮ステップを行うことなく燃料として再利用することができる。
【0104】
本発明は、従来技術の欠点を克服することができる。とくに、本発明は、溶剤消費量を抑えてPUFAsをより高い純度で精製する改善したプロセス(極めて高純度のDHA又は極めて高純度のEPAを精製するプロセス)を提供する。
【0105】
若干の態様において、本発明は、出発PUFA流からクロマトグラフ分離によって分離した望ましくないFAs(及びとくに、望ましくないPUFAs)を含むクロマトグラフ留分の濃縮中(一般的に溶離液の蒸発を含む)、少量ではあるが無視できない量のこのようなFAsが再循環溶離液内に同伴され、これにより再循環溶離液を不純化するという驚くべき発見に基づく。この結果、この結果、望ましくないFAsは、望ましいPUFAを含むクロマトグラフ流を不純化し、これにより潜在的に最終生成物における望ましくないFAs(とくに、望ましくないPUFA)の目標仕様に到達できなくする。
【0106】
FAsは極めて高い沸点を有するので、濃縮段階におけるFAsの蒸気相内への同伴は起こり得ないものであった。本発明の発明者らは、FAs(とくに、PUFA)がとくに、含水有機溶剤の水成分に同伴されることを特定した。
【0107】
若干の態様において、本発明の目的は、溶離液の再循環の際に望ましくないFAsによる望ましいPUFAの不純化を減少又は回避することである。
【0108】
2つの類似する解決法によりこの目的を達成することができ、これら解決法の双方とも、クロマトグラフユニットから収集される少なくとも1つの望ましくないFAを含む流れから回収される溶離液の再循環をどのように取り扱うかに着目ものである。
・第1解決法は、溶離液をクロマトグラフユニットに再循環させる前に、望ましくないFAを含む流れを濃縮する段階を調整し、この調整は、望ましくないFAの収集される溶離液内への同伴を減少又は回避できるように行う。より具体的には、この調整は、再循環される溶離液の水対有機比を濃縮段階で(クロマトグラフユニットから収集される流れの水対有機比に対して)減少するように実施するものである。
・第2解決法は、溶離液を収集するクロマトグラフユニットには溶離液を再循環させない(又はほとんど再循環させない)が、むしろ他の目的のために溶離液を再循環させて使用する、例えば、溶離液を収集したクロマトグラフユニットの上流に位置する他の分離ユニットに再循環させる。第2解決法によれば、何らかの望ましくないFAsが濃縮段階における再循環溶離液に同伴するのを回避する特別なステップをとらず、クロマトグラフユニット内に望ましくないFAが溜まらないように再循環溶離液をプロセスで使用する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
図1】クロマトグラフステップを蒸発及び溶剤再循環手段と組み合わせる実施例を概略的に示す。
図2】強制循環流下膜式蒸発器を使用してクロマトグラフ流を蒸発させる実施例を概略的に示す。
図3】クロマトグラフ流を濃縮する実施例を概略的に示し、この実施例においては、各個の蒸発流を使用して第2クロマトグラフ流を蒸発させ、総エネルギー消費を減少する。
図4】蒸発段階及び除去段階を備えてクロマトグラフ流を蒸発させる実施例を概略的に示す。
図5】蒸留段階を備えてクロマトグラフ流を濃縮する実施例を概略的に示す。
図6】ナノ濾過段階を備えてクロマトグラフ流を濃縮する実施例を概略的に示す。
図7】順次の2つのナノ濾過段階を備えてクロマトグラフ流を濃縮する実施例を概略的に示す。
図8】残留水から濃縮した脂肪酸を分離できる液−液抽出ステップを備えてクロマトグラフ流を濃縮する実施例を概略的に示す。
図9】蒸発段階及びナノ濾過段階を備えてクロマトグラフ流を濃縮する実施例を概略的に示す。
図10】蒸発段階及びナノ濾過段階を備え、総エネルギー消費を削減可能にしてクロマトグラフ流を濃縮する実施例を概略的に示す。
図11】本発明による第1解決法の実施例を概略的に示す。
図12】本発明による第2解決法の実施例を概略的に示す。
図13】本発明による第3解決法の実施例を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0110】
実施形態の詳細な説明
本発明を以下により詳細に説明するが、本発明は、以下の記載に限定するものではない。他に特定しない限り、全ての濃度及び比率は重量単位で表すものとする。
【0111】
用語である第1、第2、第3、等々を本明細書に使用して種々の要素、成分、セクション、又は同様なものを記載するが、これら要素、成分、セクション、又は同様なものは、これら用語によって限定されるべきものではない。これら用語は、要素、成分、セクションから1つの要素、成分、セクション又は同様のものを区別するためにのみ使用する。「第1」、「第2」のような用語及び他の数値に関連する用語を本明細書で使用するときは、文脈として明示しない限り、順序又は順位を意味するものではない。したがって、以下に詳述する第1の要素、成分、セクション又は同様のものは、例示的実施形態の教示から逸脱することなく第2の要素、成分、セクション又は同様のものと称されることがあり得る。
【0112】
精製プロセスの概略
このセクションで提示する説明は、本発明の第1解決法及び第2解決法の双方に適用する。
本発明プロセスは、供給混合物から第1(所望)PUFAを回収する処理である。供給混合物は、さらに、少なくとも第2(不所望)FA(好適には、第2不所望PUFA)、及び好適には、多数の他の(不所望の)FAs、例えば、飽和若しくはモノ不飽和の脂肪酸、及び他のPUFAs、並びに潜在的な他の不純物も含む。
【0113】
供給混合物は、魚、藻類及び/又は酵母から抽出した、好適には、魚から抽出した脂肪酸の混合物とすることができる。供給混合物は、さらに、例えば、魚油、又は藻類オイルのような原材料とすることができる。供給混合物は、さらに、上述の原材料から、例えば、魚油、藻類オイル及び/又は酵母オイルから抽出した生成物とすることができる。「原材料から抽出した生成物」とは、1つ又は複数の処理ステップを加えた原材料を意味する。これら処理ステップとしては、1つ又は複数の分離ステップ又は精製ステップ(精留)及び/又はトリグリセリドを遊離脂肪酸に変換させる加水分解ステップ、及び/又は脂肪酸をアルキル(好適には、エチル)エステルに変換するトリグリセリドのエステル交換ステップ、及び/又は漂白ステップ、及び/又は尿素分別ステップ、及び/又は分子蒸留ステップ、及び/又はクロマトグラフ分離ステップ、等々がある。
【0114】
好適には、供給混合物は、エステル化した又はエステル交換した、例えば、エステル交換した魚油、藻類オイル及び/又は酵母オイルのような生成物とする。
【0115】
したがって、本発明プロセスで得られる又は使用する各脂肪酸(及びとくに、各PUFA)は、脂肪酸誘導体、とくに、モノ−、ジ−、又はトリ−グリセリド、エステル、リン脂質、アミド、ラクトン、又は塩の形態とすることができる。トリグリセリド及びエステルが好ましい。エステルはより好ましい。エステルは、代表的にはアルキルエステル、好適には、C1〜C6アルキルエステル、より好適には、C1〜C4アルキルエステルである。エステルの例としては、メチルエステル、及びエチルエステルがある。エチルエステルが最も好ましい。
【0116】
本発明プロセスは、1つの主クロマトグラフ分離ステップを含む。
【0117】
上述の表現における用語「主」は、単に当該クロマトグラフ分離を、プロセスにおける他の潜在的分離ステップ(この用途における予備分離ステップ、それ以降の後続分離ステップ、すなわち、二次分離ステップ、三次分離ステップ)から形式的に区別するだけのものである。必ずしも、当該クロマトグラフ分離がより重要であること、又は精製プロセスのより大きな部分を占めること、又はプロセスにおける他の潜在的分離ステップよりもより高い処理能力を有することを意味するものではない。
【0118】
本明細書の文脈において、クロマトグラフ分離は、幾つかの種が吸着床に対して異なる相互作用することに起因して液相内で富化される種分離に関与する。
【0119】
クロマトグラフ分離は、連続的、半連続的、又はバッチ的な分離とすることができる。
【0120】
本明細書に記載の各クロマトグラフ分離ステップは、クロマトグラフユニットで行う。主クロマトグラフ分離ステップを行うのに使用するクロマトグラフユニットは、主クロマトグラフユニットと称する。
【0121】
用語「クロマトグラフユニット」は、単一カラムクロマトグラフシステム又は多重カラムクロマトグラフシステムのいずれかを示す。
【0122】
単一カラムクロマトグラフシステムの例としては、HPLC、又はCYCLOJETTM(定常状態再循環とも称される)システムがある。多重カラムクロマトグラフシステムの例としては、SMB,iSMB,AMB,VARICOLTM,MODICONTM,POWERFEEDTM,DCC,MCSGP,又はGSSR(多重カラム勾配クロマトグラフ)システムがある。(本明細書中「TM」は登録商標を示す。)
【0123】
CYCLOJETTMシステムは米国特許第6,063,284号に記載されており、この文献は参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。単一カラム不連続クロマトグラフ分離システムは、分離されて(i)より多く残留する種及び次に(ii)より少なく残留する種を個別にカラム出口で収集し、クロマトグラフの非分離部分は主ポンプにより再循環する。分離すべき混合物は、ほぼ再循環部分における注入ループによって周期的に注入する。注入ループは、好適には、主ポンプとカラムとの間を(又はそれらの中間部分に)接続する。数回のクロマトグラフサイクルの後、プロセスは周期的な定常状態に達し、注入される生成物の量とカラム出口で個別に収集される分離した生成物の量は等しくなる。
【0124】
一実施形態によれば、定常状態再循環を行う単一カラム静止床システムにおけるこのクロマトグラフ分離は循環的であり、また以下のステップを備える。
【0125】
すなわち:
・溶離液ポンプによってカラムを通過するクロマトグラフの循環プロファイル(断面)を確立及び維持するステップ;
・連続的にまた各サイクルで、分離すべき少なくとも2つの成分を含むサンプルを循環プロファイルの内部に注入する注入ステップであって、この注入は、注入位置で注入バルブによって制御される注入ループが行い、これによりループ内のサンプルを循環プロファイルの内部に注入し、注入バルブは、好適には、注入時点からプロファイルのすべてがカラムから溶離されるまで注入状態に留まるようにし、この後好適には、すべてのプロファイルがカラムにあるとき注入ループを装填する装填位置に調整する、該注入ステップと;及び
・この循環プロファイルから少なくとも2つの富化した留分を不連続的にまた周期的に収集するステップと
を備える。
【0126】
この分離は、さらに、以下のステップを備える。すなわち:
・溶離液ポンプを通過するよう、単一サイクル中に(好適には、サイクル溶離液の残りを再循環させる間の留分収集中に)溶離液を移動相としてほぼ連続的にカラム内にポンプ送給するステップ
を備える。
【0127】
この分離は、さらに、以下のステップを備える。すなわち:
・第1留分の収集を開始した後に次の第1留分収集開始を含むイベントまでに生ずるすべてのイベントの時間を参照するステップと;
・第3留分の収集中に溶離液ポンプを停止する停止ステップであって、このような停止はサイクル終了まで持続し、これにより時間に対して再現可能サイクルをもたらすことができる、該停止ステップと
を備える。
【0128】
一実施形態によれば、この維持される循環プロファイルに対する注入中に循環プロファイルの損失は生じない。
【0129】
このシステムの詳細な実施形態は、上述の米国特許第6,063,284号の第5欄第36行〜第10欄第41行に記載されている。
【0130】
2カラムに基づくCYCLOJETTMシステムの変更例は米国特許第5,630,943号に記載されており、この文献は参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0131】
SMBシステムは、互いに直列に接続した吸着剤を含む多数の個別カラムから構成する。溶離液はこれらカラムを第1方向に通過させる。このシステムにおける供給ストック及び溶離液の注入ポイント、並びに分離した成分の収集ポイントは、一連のバルブによって、周期的かつ同時にシフトする。全体的効果は、固体吸着剤の流動床を含む単一カラムの動作を模し、固形吸着剤は溶離液の流れに対向する方向に移動する。したがって、SMBシステムは、普通の静止床システムにおけるような溶離液が通過する固体吸着剤の静止床を含むカラムにより構成するが、SMBシステムにおいては、連続対向流動床を模した動作をする。
【0132】
SMBシステムの最も普通の形式は4ゾーンSMBシステムである。他の形式としては3ゾーンSMB及び2ゾーンSMBがある(例えば、参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする以下の論文に記載されている。すなわち、Two Section Simulated Moving Bed Process, by Kwangnam Lee, in Separation Science and Technology 35(4):519-534, 2000)。
【0133】
iSMBシステムは、欧州特許第0342629号及び米国特許第5,064,539号に記載されており、これら文献は参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。iSMBシステムにおいては、システムが何ら材料入力/出力のない閉ループで動作する1ステップのものである。
【0134】
SMBシステムの他の変更例は、米国特許第5,102,553号及び論文(PowerFeed operation of simulated moving bed unit: changing flow-rates during the switching interval, by Zhang et al. in Journal of Chromatography A, 1006:87-99, 2003)に記載されているような時間変化SMBシステム及びPOWERFEEDTMシステム;米国特許第7,479,228号に記載されているようなMODICON TMシステム;及び米国特許第8,282,831号に記載されているような内部再循環式のSMBシステムがあり、これら文献は参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0135】
AMBシステムはSMBシステムと動作が類似する。しかし、供給混合物及び溶離液の注入ポイント並びに分離した成分収集ポイントをバルブシステムによってシフトするのではなく、その代わりに一連の吸着ユニット(すなわち、カラム)を供給ポイント及び取出しポイントに対して物理的に移動させる。やはり、連続対向流動床を模した動作をする。
【0136】
VARICOL TMクロマトグラフシステムは、米国特許第6,136,198号、同第6,375,839号、及び同第6,712,973号に記載されており、これら文献は、参照によって全体が本明細書に組み入れられるものとする。VARICOL TMシステムは、互いに直列に接続した吸着剤を含む多数の個別カラムから構成する。溶離液はこれらカラムを第1方向に通過させる。SMBシステムとは異なり、システムにおける供給ストック及び溶離液の注入ポイント並びに分離した成分収集ポイントは、一連のバルブによって、周期的ではあるが非同期的にシフトする。全体的効果としては、時間経過とともに長さが可変の分離ゾーンを生じて、最も必要とされるゾーンに対して動的に静止相を割り当て、したがって、より少ないクロマトグラフユニットで同様の分離能力を可能にし、また生産性を向上する。SMBシステムとは異なり、VARICOL TMシステムは、固形吸着剤が溶離液の流れに対向する方向に移動する固体吸着剤の流動床を含む単一カラムを模した動作はせず、したがって、VARICOL TM動作原理は等価のAMBシステムに実装できない。
【0137】
DCCクロマトグラフシステムは、仏国特許第2889077号に記載されており、この文献は参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。DCCシステムは、移動相ポイント及び供給材料注入ポイントを周期的にシフトする逐次処理であり、常に開ループで動作することに特徴がある。このシステムは2つ又はそれ以上のカラムを使用する。
【0138】
本発明プロセスは、上述の主クロマトグラフ分離ステップである単一分離ステップを備えることができる。
【0139】
代案として、本発明プロセスにおいて、2つの(全体として)分離ステップ、すなわち、上述の主クロマトグラフ分離ステップに加えて、他の分離ステップを設けることができる。一実施形態によれば、この他の分離ステップは、上述の主クロマトグラフ分離ステップの前に行うことができ、この場合、これを予備分離ステップと称することができる。他の実施形態において、この他の分離ステップは上述の主クロマトグラフ分離ステップの後に行うことができ、この場合、これを後続分離ステップと称することができる。
【0140】
代案として、本発明プロセスにおいて、3つの(全体として)分離ステップ、すなわち、上述の主クロマトグラフ分離ステップに加えて、他の2つの分離ステップを設けることができる。一実施形態によれば、プロセスは、以下の順次のステップ、すなわち(i) 予備分離ステップ、(ii) 他の予備分離ステップ、及び(iii) 上述の主クロマトグラフ分離ステップを含む。他の実施形態によれば、プロセスは、以下の順次のステップ、すなわち(i) 予備分離ステップ、(ii) 上述の主クロマトグラフ分離ステップ、及び(iii) 後続分離ステップを含む。さらに他の実施形態によれば、プロセスは、以下の順次のステップ、すなわち(i) 上述の主クロマトグラフ分離ステップ、(ii) 後続分離ステップ、及び(iii) さらに他の後続分離ステップを含む。
【0141】
代案として、本発明プロセスにおいて、4つの(全体として)分離ステップ、すなわち、1つの分離ステップは、主クロマトグラフ分離ステップであり、他の分離ステップは、(上述の主クロマトグラフ分離ステップの前の)予備分離ステップ又は(上述の主クロマトグラフ分離ステップの後の)後続分離ステップのいずれかを設けることができる。
【0142】
各分離ステップは分離ユニットで行う。予備分離ステップは、いわゆるそれぞれに対応する予備分離ユニットで行い、また後続分離ステップは、いわゆるそれぞれに対応する後続分離ユニットで行う。
【0143】
各予備分離ステップ及び各後続分離ステップは、(他の分離ステップとは独立して)上述したのと同一タイプのクロマトグラフ分離ステップとすることができ、予備分離ユニット又は後続分離ユニットは、この場合、上述したようなクロマトグラフユニットである。
【0144】
代案として、各予備分離ステップ及び各後続分離ステップは、(他の分離ステップとは独立して)非クロマトグラフ分離ステップ、例えば、分子蒸留ステップとすることができる。
【0145】
一実施形態によれば、プロセスは、2つ(2つのみ)の順次の分離ステップを含み、これら分離ステップは、AMB,SMB又はVARICOL TM分離ステップとすることができる(これら2つのステップのうち一方は上述の主クロマトグラフ分離ステップとする)。
【0146】
他の実施形態によれば、プロセスは、3つ(3つのみ)の順次の分離ステップを含み、これら分離ステップは、AMB,SMB又はVARICOL TM分離ステップとすることができる(これら3つのステップのうち1つは上述の主クロマトグラフ分離ステップとする)。
【0147】
一実施形態によれば、プロセスは、3つ(3つのみ)の順次の分離ステップを含む、すなわち、(予備)VARICOL TM分離ステップ、これに続く上述の主クロマトグラフ分離ステップ(例えば、CYCLOJET TM分離ステップ又はHPLC分離ステップとすることができる)、これに続く(他の)VARICOL TM分離ステップを含む。
【0148】
他の実施形態によれば、プロセスは、3つ(3つのみ)の順次の分離ステップを含む、すなわち、(予備)VARICOL TM分離ステップ、これに続く上述の主クロマトグラフ分離ステップ(例えば、CYCLOJET TM分離ステップ又はHPLC分離ステップとすることができる)、これに続く(他の)CYCLOJET TM分離ステップ又はHPLC分離ステップを含む。
【0149】
プロセスが2つ又はそれ以上の分離ステップを含むとき、これら分離ステップは、異なる分離ユニットを使用して同時に行うか、又は異なる分離ユニットを使用して若しくは同一分離ユニットを使用して順次に行うことができる。さらに、SMB又はAMBシステムで実施するクロマトグラフステップである2つの分離ステップの場合、これらステップを同一のSMB又はAMBシステムで同時に実施することができる。同一装置でのこのような同時実施の例は、国際公開第2011/080503号に記載されており、この文献は参照により全体が本明細書に組み入れられるものとする。
【0150】
したがって、上述の分離ステップを実施するのに使用される幾つかの分離ユニットは同一とすることができる。例えば、主クロマトグラフユニット及び1つの予備分離ユニットを1つの同一ユニットとすることができる、及び/又は主クロマトグラフユニット及び1つの後続分離ユニットを1つの同一ユニットとすることができる、及び/又は1つの予備分離ユニット及び他の予備分離ユニットを1つの同一ユニットとすることができる、及び/又は1つの予備分離ユニット及び1つの後続分離ユニットを1つの同一ユニットとすることができる、及び/又は1つの後続分離ユニット及び他の後続分離ユニットを1つの同一ユニットとすることができる。
【0151】
代案として、すべての分離ユニット(主クロマトグラフユニットを含む)を互いに異なるものとすることができる。
【0152】
各クロマトグラフ分離ステップ(主クロマトグラフ分離ステップを含む)は、逆相で行うことができる。弱極性樹脂、又は例えば、アルキル(とくに、C4,C8,C18,C24,C30)、フェニルのような有機残渣、若しくは当業者によって決定される他の適当な残渣で化学修飾されたシリカを基材とする静止期に基づく吸着剤を使用することができる。
【0153】
主クロマトグラフ分離ステップは含水有機溶離液を使用して実施する。含水有機溶離液は、1種類有機溶剤若しくは数種類の有機溶剤と水との混合物とする。
【0154】
好適には、他のクロマトグラフ分離ステップがプロセスに存在する場合、それぞれに対応する含水有機溶離液を使用して実施する。代案として、他のクロマトグラフ分離ステップは、ほぼ純粋な有機溶剤又は有機溶剤のほぼ純粋な純粋混合物を使用して実施することができる。
【0155】
本発明に使用できる(とくに、含水有機溶離液を形成するための)有機溶剤としては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、及びより好適にはメタノールのようなアルコール;アセトン又はメチルエチルケトンのようなケトン;アセトニトリルのようなニトリル;メチルアセテート又はエチルアセテートのようなエステル;テトラヒドロフランのようなフラン;ジエチルエーテル又はメチルエチルエーテルのようなエーテル;及びこれらのうちの2つ若しくはそれ以上の組合せがある。
【0156】
各含水有機溶離液は水対有機比によって特徴付けされ、この水対有機比は、溶離液における有機溶剤成分に対する水成分の重量比である。
【0157】
各含水有機溶離液の水対有機比は、好適には、0.01:99.99〜30:70の間、より好適には、5:95〜25:75の間で変動し得る。
【0158】
少なくとも2つのクロマトグラフ分離ステップがプロセスに存在するとき、これらクロマトグラフ分離ステップは、同一組成又は異なる組成を有する溶離液を用いて実施することができる。異なる組成、及びとくに、異なる水対有機比を有する溶離液を使用するのが好ましく、なぜなら各分離ステップで溶離液の溶離力を調整でき、ひいては各分離ステップで異なる化合物の分離が得られるからである。さらに、異なるステップで異なる有機溶剤からなる溶離液を使用するのが好ましく、なぜなら各分離ステップで分離すべき所定の種間でのクロマトグラフ選択能を調整でき、ひいては各分離ステップで異なる化合物の分離が得られるからである。
【0159】
特定な実施形態によれば、各溶離液における有機溶剤の重量濃度は、少なくとも2%、又は1%、又は0.5%、又は0.2%、又は0.1%の精度で目標値となるよう制御又は調整する。このことは、とくに、上述の項1〜80で示したすべての実施形態に適用する。このことは、水及び/又は有機溶剤組成を使用することによって、及び/又は溶離液濃度及び本明細書に記載の再循環のパラメータを調整することによって行うことができる。
【0160】
本発明プロセスにより得られる最終生成物は、精製された第1PUFAとともに残留不純物を含む。最終生成物における第1PUFAの量は、例えば、(脂肪酸の総量に対して)約80%より多い若しくは等しい、好適には約90%より多い若しくは等しい、又は約95%より多い若しくは等しい、又は約97%より多い若しくは等しい、又は約98%より多い若しくは等しい、約99%より多い若しくは等しいものとすることができる。
【0161】
とくに、最終生成物は、(脂肪酸の総量に対して)約80%より多い若しくは等しい、又は約95%より多い若しくは等しい、又は約97%より多い若しくは等しい、又は約98%より多い若しくは等しい、約99%より多い若しくは等しい量のEPAを含むものとすることができ;並びに約1%より少ない若しくは等しい、又は約0.1%より少ない若しくは等しい、又は約0.05%より少ない若しくは等しい、又は約0.03%より少ない若しくは等しい、約0.01%より少ない若しくは等しい量のDHAを含むものとすることができる。
【0162】
安定剤、例えばトコフェノール又は同様のものをこの最終生成物に添加することができる。用語「安定剤」は、安定剤化合物の混合物を含むものとする。
【0163】
溶離液の濃度及び再循環
このセクションで提示する説明は、本発明の第1解決法及び第2解決法の双方に適用する。
【0164】
主クロマトグラフユニットの出口で少なくとも2つの流れ、すなわち、第1(所望)PUFAに富む第1溶離液流、及び第2(不所望)FAに富む第2溶離液流を収集する。例えば、第1溶離液流は抽残液(ラフィネート)とし、第2溶離液流は抽出液とする、又はその逆とすることができる。
【0165】
本発明プロセスは、少なくとも1つの濃縮ステップを有し、この濃縮ステップは濃縮ユニットで第2溶離液流に対して行う。この濃縮ステップは、一方では濃縮したFAs流に対して行い、他方では消耗した第2溶離液流に対して行う。用語「消耗した(depleted)」は第2FA(並びに任意な他の脂肪酸)が溶離液からほとんど除去されていることに言及する。さらに、当然のことながら、表現「濃縮したFAs流(stream of concentrated FAs)」は、より高い濃度、特定の第2FAに関しては、濃縮ステップ前の第2溶離液流よりも高い濃度のFAsを含む組成物を示す。この組成物は、他の脂肪酸、及びとくに、他の不所望脂肪酸、並びに幾分の水及び/又は溶剤を含む。
【0166】
消耗した第2溶離液流は、次にプロセスにおいて、以下に詳述するようにして再循環させる。
【0167】
主クロマトグラフ分離ステップ後の濃縮及び再循環段階の一般原理は、図1の全体的線図を参照することによって、よりよく理解できるであろう(同一原理は、このような濃縮及び再循環段階が存在する場合、例えば、予備クロマトグラフ分離ステップ又は後続クロマトグラフ分離ステップのような他のクロマトグラフ分離ステップ後に行われる濃縮及び再循環段階にも適用する)。
【0168】
主クロマトグラフユニット3には入来する溶離液流1及び入来する供給材料流2を供給する。供給材料流2は、主クロマトグラフ分離ステップがプロセスの第1ステップである場合には(初期)供給混合物の流れとすることができ、そうでなく、例えば、分離ステップのような1つ又は複数のプロセスステップを行っている場合には、中間生成物の流れとすることができる。
【0169】
主クロマトグラフユニット3の出口において、第1PUFAに富む第1溶離液流4及び第2FAに富む第2溶離液流5を収集する。
【0170】
第1PUFAに富む第1溶離液流4は第1濃縮ユニット6に供給するとともに、第2FAに富む第2溶離液流5は第2濃縮ユニット7に供給する。
【0171】
各濃縮ユニット6,7において、溶離液は蒸発し、またひいては濃縮される。これにより、溶離液はすべての脂肪酸から分離される。したがって、濃縮FAs流9(とくに、濃縮された形態の第1PUFA)を第1濃縮ユニット6の出口で採取するとともに、他の濃縮FAs流8(とくに、濃縮された形態の第2FA)を第2濃縮ユニット7の出口で採取する。さらに、消耗第1溶離液流11(すなわち、第1PUFA及び他のFAsが消耗している)を第1濃縮ユニット6の出口で回収し、また消耗第2溶離液流10(すなわち、第2FA並びに他のFAsが消耗している)を第2濃縮ユニット7の出口で回収する。
【0172】
随意的に、消耗第1溶離液流11を部分的又は全体的に主クロマトグラフユニット3に、又はプロセスに使用される任意な他の分離ユニットに再循環させることができる。この消耗第1溶離液流に関しては汚染の問題はなく、なぜならその流れが何らかの残留PUFAによって不純化される場合、その不純化は主に第1(所望)PUFAによるものであり、最終生成物(精製された形態の第1PUFA)の純度に悪影響を与えるものではない。
【0173】
消耗第2溶離液流10もはやり部分的又は全体的に再循環させる。しかし、この場合、本発明によれば、特別なステップを行い、何らかの残留第2(不所望)FAが消耗第2溶離液流内に含まれていることに起因して、最終生成物(精製された形態の第1PUFA)の純度に悪影響を与えるのを回避する。この特別なステップを以下に詳細に説明する。
【0174】
任意な濃縮ステップを実施するのに使用する濃縮ユニットは、例えば、強制再循環を伴う流下膜式蒸発器、上昇蒸発器、フラッシュ蒸発器、又は溶離液成分を蒸発させ、装置底部に濃縮した脂肪酸を残留させることができる従来既知の他タイプの蒸発器とすることができる。
【0175】
一実施形態による図2につき説明すると、濃縮ユニットは、強制再循環を伴う多重管式蒸発器11を有し、相分離器13及び凝縮器12に接続する。濃縮すべき溶離液流14を蒸発器11に供給する。加熱流が蒸発器11から流出し、相分離器13に流入する。相分離器13の出口で濃縮FAs流15を回収し、また蒸発した溶離液を収集して凝縮器12に通過させる。溶離液の蒸気を凝縮器12で液状形態に凝縮する。凝縮器12の出口で消耗溶離液流を回収ライン16により収集する。
【0176】
蒸発技術は、エネルギー消費レベルを最適化するよう2つ又はそれ以上の効果、蒸気再圧縮技術を使用する、又は例えば、蒸発したクロマトグラフ流を他のクロマトグラフ流のための加熱流体として使用する、従来既知の手段で実現することができる。
【0177】
実施例として図3を参照する。ここでは、2個の濃縮ユニットを接続し、その一方は第1溶離液流を処理し、他方は第2溶離液流を処理するためのものとする(これら溶離液流は、例えば、先に定義した第1溶離液流及び第2溶離液流と同一のものとする、又はその逆のものとすることができる)。第1濃縮ユニットは、第1相分離器22及び第1凝縮器23に接続した第1蒸発器21を有する。第1溶離液流26を第1蒸発器21に供給する。濃縮脂肪酸流27を第1相分離器22の出口で回収する。蒸気相も第1相分離器22の出口で回収し、第1凝縮器23に通過させる。
【0178】
第2濃縮ユニットは、第1凝縮器23と同一装置である第2蒸発器23を有する。この第2蒸発器23は、第2相分離器24及び第2凝縮器25に接続する。第2溶離液流28を第2蒸発器23に供給する。第2溶離液流28の蒸発は、第1濃縮ユニットからの蒸気相を凝縮することに起因して(少なくとも部分的に)行われる。濃縮脂肪酸流29を第2相分離器24の出口で回収する。蒸気相も第2相分離器24の出口で回収し、また第2凝縮器25に通過させる。
【0179】
1つ又は2つの消耗溶離液流30を第1凝縮器23の出口及び第2凝縮器25の出口でそれぞれ回収する。
【0180】
一実施形態によれば、強制循環を伴う蒸発器は、バッチ型又は連続型の除去カラムに接続し、濃縮脂肪酸流における残留溶離液を除去することができる。例えば、図4につき説明すると、濃縮ユニットは、一方では凝縮器32に、他方では除去カラム33に接続した蒸発器31を有する。溶離液流38を蒸発器31に供給する。蒸発器31で発生した蒸気相を凝縮器32に送り、消耗溶離液流37を凝縮器32の出口で回収する。蒸発器31で発生した液相は除去カラム33に通過させる。ガス流34(例えば、窒素ガス流)も除去カラム33に供給する。濃縮脂肪酸流36並びに残留溶離液蒸気を含むガス流35を除去カラム33のそれぞれに対応する出口で収集する。
【0181】
濃縮ステップは、さらに蒸留ステップを含み、この場合、濃縮ユニットは少なくとも1個の蒸留カラムを有する。例えば図5につき説明すると、濃縮ユニットは、凝縮器42に接続した蒸留カラム41を有する。溶離液流43を蒸留カラムに供給する。蒸発相は、カラムの頂部で回収し、また凝縮器42に通過させる。消耗溶離液流44を凝縮器42の出口で収集する。濃縮脂肪酸流45を蒸留カラム41の底部で収集する。
【0182】
濃縮ステップは、さらに、膜濾過ステップ、例えば、ナノ濾過ステップを含むことができる。例えば、図6につき説明すると、濃縮ユニットはナノ濾過システム51を有する。溶離液流52をナノ濾過システム51に供給する。消耗溶離液流54を浸透流として回収する。濃縮流の一部をナノ濾過システム51に再循環させ、また一部を濃縮脂肪酸流53として回収する。
【0183】
さらに、2つの膜濾過ステップを直列にして使用することができる。例えば、図7につき説明すると、濃縮ユニットは、第1ナノ濾過システム61及び第2ナノ濾過システム62を有することができる。溶離液流63を第1ナノ濾過システム61に供給する。第1ナノ濾過システム61からの濃縮流の一部を第1ナノ濾過システム61に再循環させ、また一部を濃縮脂肪酸流64として回収する。第1ナノ濾過システム61からの浸透流を第2ナノ濾過システム62からの濃縮流と混合させる。この混合した流れの一部を第2ナノ濾過システム62に供給し、また一部を第1ナノ濾過システム61からの濃縮流と混合する。最終的に、消耗溶離液流65を第2ナノ濾過システム62からの浸透流として回収する。
【0184】
さらに、濃縮ユニットに液−液抽出器を設けることができる。例えば、図8につき説明すると、濃縮ユニットは、凝縮器72及び液−液抽出器73に接続した蒸発器71を有することができる。溶離液流74を蒸発器71に供給する。蒸発器71からの蒸気相を凝縮器72に通過させる。消耗溶離液流75を凝縮器72の出口で回収する。蒸発器71からの液相は、部分的に蒸発器71に再循環させ、また部分的に液−液抽出器73に通過させる。濃縮脂肪酸流76を液−液抽出器73の一方の出口で回収し、残留水流77を液−液抽出器73の他方の出口で回収する。代替的実施形態において、蒸発器71は蒸留カラムに置き換えることができる。
【0185】
ナノ濾過のような膜濾過ステップは蒸発ステップと接続することができる。例えば、図9につき説明すると、濃縮ユニットは、凝縮器82及びナノ濾過システム83に接続した蒸発器81を有することができる。溶離液流84をナノ濾過システム83に供給する。濃縮脂肪酸流85をナノ濾過システム83からの濃縮流の一部として回収する。ナノ濾過システム83からの濃縮流の他の一部をナノ濾過システム83に再循環させる。ナノ濾過システム83からの浸透流は蒸発器81に通過させる。蒸発器81からの蒸気相は凝縮器82に通過させる。消耗溶離液流86は凝縮器82の出口で回収する。蒸発器81からの液相における一部を蒸発器81に再循環させ、蒸発器81からの液相における他の一部を、ナノ濾過システム83からの濃縮流と混合させる。
【0186】
他の実施例において、図10につき説明すると、濃縮ユニットは、凝縮器93及びナノ濾過システム92に接続した蒸発器91を有することができる。溶離液流94をナノ濾過システム92に供給する。消耗溶離液流95をナノ濾過システム92からの浸透流として回収する。ナノ濾過システム92からの濃縮流における一部をナノ濾過システム92に再循環させ、またナノ濾過システム92からの濃縮流における他の一部を蒸発器91に通過させることにより一層濃縮する。蒸発器91からの蒸気相は凝縮器93に通過させる。他の消耗溶離液流97は凝縮器93の出口で回収する。蒸発器91からの液相における一部を蒸発器91に再循環させ、また他の一部を収集して濃縮脂肪酸流96を形成する。
【0187】
溶離液再循環の変更例
本発明によれば、第1(所望)PUFAに富む第1溶離液流及び第2(不所望)FAに富む第2溶離液流を主クロマトグラフ分離ステップで採取する。本発明によれば、少なくとも第2溶離液流を濃縮し、また再循環させる。
【0188】
第1溶離液流も濃縮し(図1に示すように)、また再循環させることができる。この第1溶離液流における少なくとも90%、好適には少なくとも99%、より好適には99.9%でさえも、再循環させる(とくに、主クロマトグラフユニットに)ことができ、この再循環は、上述した濃縮技術のうち任意なもの、又は従来既知の任意な他の濃縮技術(PUFAのような脂肪酸の沸点が高いことを鑑みた)を用いて(PUFAのような脂肪酸の沸点が高いことを鑑みて)行う。
【0189】
第2溶離液流の濃縮及び再循環に戻って説明すると、本発明の第1解決法は、消耗第2溶離液流(すなわち、濃縮後)における水対有機比が第2溶離液流(すなわち、濃縮前)における水対有機比よりも小さくなるように行う。
【0190】
このことは、濃縮段階のパラメータを調整することによって達成することができ、これは、なぜなら水が溶離液に存在する有機溶剤の沸点と異なる沸点を有するからである。一般的には、蒸発又は蒸留又は他の濃縮方法は、蒸気相を生成するよう部分的にのみで全体的にではなく行い、この蒸気相は、有機溶剤に富みかつ水(並びに脂肪酸)が消耗しており、また次にこれを収集して消耗第2溶離液流を形成する。
【0191】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約1〜約10%減少する。
【0192】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約10〜約20%減少する。
【0193】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約20〜約30%減少する。
【0194】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約30〜約40%減少する。
【0195】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約40〜約50%減少する。
【0196】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約50〜約60%減少する。
【0197】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約60〜約70%減少する。
【0198】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約70〜約80%減少する。
【0199】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約80〜約90%減少する。
【0200】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約90〜約95%減少する。
【0201】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の水対有機比は、第2溶離液流の水対有機比に対して約95%より多く減少する。
【0202】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流は、
水を約20%より少なく含む若しくは約20%に等しい水を含む、
随意的に水を約10%より少なく含む若しくは約10%に等しい水を含む、
好適には水を約5%より少なく含む若しくは約5%に等しい水を含む、又は
水を約2%より少なく含む若しくは約2%に等しい水を含む、又は
水を約1%より少なく含む若しくは約1%に等しい水を含む、又は
水を約0.5%より少なく含む若しくは約0.5%に等しい水を含む、又は
水を約0.1%より少なく含む若しくは約0.1%に等しい水を含む、又は
水を約0.05%より少なく含む若しくは約0.05%に等しい水を含む、又は
水を約0.005%より少なく含む若しくは約0.005%に等しい水を含む、又は
水を約0.001%より少なく含む若しくは約0.001%に等しい水を含む。
【0203】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して約1〜約5%減少する。
【0204】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して約5〜約10%減少する。
【0205】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して約10〜約20%減少する。
【0206】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して約20〜約30%減少する。
【0207】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して約30〜約40%減少する。
【0208】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して約40〜約50%減少する。
【0209】
一実施形態によれば、消耗第2溶離液流の流量は、第2溶離液流の流量に対して約50%より多く減少する。
【0210】
第2溶離液流によりも水対有機比が減少することに起因して、消耗第2溶離液流は、最小又は低レベルの不所望第2FAを含み、好適には、不所望第2FAを含まない。したがって、この消耗第2溶離液流は、部分的に又は好適には全体的に、主クロマトグラフ分離ステップを実施するための主クロマトグラフユニットに再循環させることができる。
【0211】
(新鮮な)水の補給は、水の消耗を補償するために行うことができる。このような水の添加は、濃縮ステップと主クロマトグラフユニットへの流れの帰還部との間における任意の箇所で行うことができる。とくに、蒸気形態の消耗第2溶離液流を濃縮する前、又は好適には、濃縮した後に行うことができる。
【0212】
水添加は、流れの水対有機比を濃縮ステップ前の元の値に戻す、又は異なる値にすることができる。
【0213】
随意的に、(新鮮な)有機溶剤の補給を行うことができる。
【0214】
消耗第2溶離液流は、再循環させて主クロマトグラフ分離ステップに使用する前に、他の種類の処理を施すことができる。
【0215】
本発明の第2解決法は、消耗第2溶離液流における水対有機比が第2溶離液流における水対有機比に等しいか又は等しくないか係わらず、主クロマトグラフユニットで使用するのに、すべての消耗第2溶離液流を再循環させない。この第2解決法によれば、消耗第2溶離液流の少なくとも一部を再循環させて、他の処理ステップで使用し、例えば溶離液として又は燃料として利用する。
【0216】
したがって、潜在的に含まれる不所望第2FAは、主クロマトグラフ分離ステップの効率を損ねることがないとともに、それでもプラント稼働の全体的コストは大幅に増加しない。
【0217】
このように再循環される消耗第2溶離液流の割合が所定閾値以下に留まり、したがって、主クロマトグラフ分離ステップの終了時に第2FAによる第1PUFAの不純化レベルが所定限界以下に留まる場合、依然として消耗第2溶離液流の一部を再循環させて主クロマトグラフ分離ステップで使用することができる。例えば、消耗第2溶離液流の0〜70%、又は約0〜約60%、又は約0〜約50%、又は約0〜約40%、又は約0〜約30%、又は約0〜約20%、又は約0〜約10%を再循環させて主クロマトグラフ分離ステップで使用することができる。
【0218】
他の実施形態によれば、消耗第2溶離液流は、再循環させて主クロマトグラフ分離ステップで使用しないようにする。最も好適には、消耗第2溶離液流のすべてを再循環させて、他の処理ステップで使用する。
【0219】
消耗第2溶離液流は再循環させ、同一プロセスにおける他のステップで、又は異なるプロセスのステップで、例えば、異なる生成物を生成するステップで使用することができる。異なるプロセスは、同一設備又は異なる設備(この場合、消耗第2溶離液流は保存し、また1つの設備から他の設備に転送する)で実施することができる。
【0220】
例えば、消耗第2溶離液流を使用して、同一設備又は遠隔場所で流れから純有機溶剤を再生することができ、このような純有機溶剤は、部分的又は全体的に主クロマトグラフ分離ステップに供給するよう使用し、これによりプロセスの総コストに大きく影響を与えないようにすることができる。
【0221】
好適な実施形態によれば、本発明プロセスは、消耗第2溶離液流の一部又は全部を主クロマトグラフユニットの上流側の他の分離ユニットに再循環させる(主クロマトグラフ分離ステップの前に行う予備分離ステップを実施する)。
【0222】
使用済み溶離液を燃料として再利用するとき、濃縮ステップは随意的となることに留意されたい。第2溶離液流の組成に基づいて、脂肪酸(又は水)が少ない消耗第2溶離液流を先ず生成することはせずに、その一部又は全部を燃料として直接使用することができる。
【0223】
本発明の第1解決法を実施する一実施形態によれば、図11につき説明すると、プロセスは、主クロマトグラフ分離ステップを備え、この主クロマトグラフ分離ステップにおいて、第1(所望)PUFA及び第2(不所望)FAを含む入来流103を主クロマトグラフユニット101内で溶離液流104を使用して処理する。第1PUFAに富む第1溶離液流105及び第2FAに富む第2溶離液流を、主クロマトグラフユニット101の出口で収集する。
【0224】
第1溶離液流105を第1濃縮ユニット107に通過させ、また第2溶離液流106を第2濃縮ユニット102に通過させる。
【0225】
第1濃縮ユニット107の出口において、第1濃縮脂肪酸流108(濃縮第1PUFA及び可能であれば他の成分を含む)及び消耗第1溶離液流111をそれぞれ収集する。消耗第1溶離液流111は主クロマトグラフユニット101に再循環させる。第1溶離液流104に含まれるほとんどすべての溶離液を消耗第1溶離液流として再循環させることができ、また消耗第1溶離液流111の水対有機比は第1溶離液流104の水対有機比とほぼ同一とすることができ、なぜなら不純化問題はないからである。
【0226】
第2濃縮ユニット102の出口において、第2濃縮脂肪酸流109(濃縮第2FA及び可能であれば他の成分を含む)及び消耗第2溶離液流110をそれぞれ収集する。消耗第2溶離液流110を主クロマトグラフユニット101に再循環させる。消耗第2溶離液流の水対有機比は第2溶離液流106の水対有機比よりも低い。相関的に、第2濃縮脂肪酸流109は第2溶離液流106の水対有機比よりも大きい水対有機比を有する残留溶離液を含む。例えば、第2濃縮脂肪酸流109は残留水を含み、有機溶剤はほとんどない。
【0227】
水12の補給は水における再循環溶離液の消耗を補償するために行う。有機溶剤の補給も同様に行う(図示せず)。
【0228】
プロセスが単一分離ステップを有する場合、入来流103は供給混合物とすることができ、又はプロセスが幾つかの分離ステップを有する場合、図示の主クロマトグラフ分離ステップは最初の1つである。
【0229】
同様に、第1濃縮脂肪酸流108はプロセスの最終生成物とすることができる。あるいは、図11に示すクロマトグラフ分離ステップが後続分離ステップを伴う場合、この第1濃縮脂肪酸流を、その流れに存在する他の成分から第1PUFAを分離するため、次の分離段階に通過させる。
【0230】
図12は、本発明の第2解決法を実現する1つの変更例を示す。図11と類似の参照符号は同一の意味を持つ。この変更例と上述した図11の実施形態との相違点は、消耗第2溶離液流110を主クロマトグラフユニット101に再循環させない点である。その代わりに、この消耗第2溶離液流110を主クロマトグラフユニット101の上流側の他の分離ユニットに再循環させる(図示せず)。この場合、消耗第2溶離液流110の水対有機比は、第2溶離液流106の水対有機比と同一(又は非同一)とすることができ、また第2濃縮脂肪酸流109は溶離液をほとんど含まず、また特に水を全く含まない。
【0231】
この変更例において、消耗第2溶離液流110の主クロマトグラフユニット101への再循環がないことを補償するため、新鮮な有機溶剤113の補給は必要である。水112の補給及び有機溶剤113の補給は、単独の溶離液補給で代替することができる。
【0232】
図13は、本発明の第2解決法を実現する他の変更例を示す。図11と類似の参照符号は同一の意味を持つ。この変更例と上述した図11の実施形態との相違点は、消耗第2溶離液流110を2つの部分に分割した点である。第1部分114は主クロマトグラフユニット101に再循環させるとともに、第2部分115は主クロマトグラフユニット101に再循環させない。その代わりに、この第2部分115を主クロマトグラフユニット101の上流側の他の分離ユニットに再循環させる(図示せず)。この場合、消耗第2溶離液流110の水対有機比は、第2溶離液流106の水対有機比と同一(又は非同一)とすることができ、また第2濃縮脂肪酸流109は溶離液をほとんど含まず、また特に水を全く含まない。
【0233】
この変更例において、消耗第2溶離液流110の主クロマトグラフユニット101への総再循環がないことを補償するため、新鮮な有機溶剤113の補給は必要である。水112の補給及び有機溶剤113の補給は、単独の溶離液補給で代替することができる。
【0234】
消耗第2溶離液流110の水対有機比が第2溶離液流106の水対有機比よりも低い場合、この変更例も本発明の第1解決法の実施形態である。
【0235】
消耗第2溶離液流は、数個の分離ユニット、とくに、数個のクロマトグラフユニットに供給する溶離液プールに再循環させることができることに留意されたい。
【0236】
極めて概論的に言うと、本発明プロセスは、単独の設備、又は2つ若しくはそれ以上の異なる設備で実現できることに留意されたい。本明細書に記載のいかなる流れも溜めておき、1つの設備から他の設備に搬送して、プロセスを全体として実施できるようにすることに留意されたい。例えば、分離ユニットは1つの設備に設けるとともに、濃縮ユニット(例えば、1つ又は複数の蒸留カラムを含む)は他の異なる設備に設けることができる。
【0237】
様々な流れの組成、及びとくに、再循環させる溶離液流、例えば、消耗第2溶離液流の組成は、適切な方法又は装置によってオンライン又はオフラインで分析することができ、また従来既知の手段を用いてバッチ的に又は連続的に再調整することができる。
【0238】
好適な精製計画
第1好適実施形態において、1つ又は複数のクロマトグラフステップを使用して第1PUFA(例えば、EPA)を脂肪酸混合物から精製する。とくに、第2FA(例えば、DHA)の量を、第1PUFAを含む(最終)精製流内で約2%以下、好適には0.5%以下、好適には0.05%以下、好適には0.03%以下、より好適には検出不能レベルにまで減少する。
【0239】
少なくとも1つのクロマトグラフステップは、第1PUFAを第2FAから分離することを目標とし、また好適には、溶離液として水及びメタノールの混合液を使用する。目標留分は第1PUFAを含み、減少した量の第2FAを含む。収集した目標留分は、蒸発技術又は膜技術によって、例えば、ナノ濾過システム、蒸発器、蒸留カラム、又は当業者には既知技術のうち1つ若しくはそれらの組合せを含む他の適当な手段によって濃縮し、最大量の有機溶剤をクロマトグラフプロセスに再循環させる。
【0240】
好適な蒸発手段は、減圧状態下で動作する強制循環流下膜式蒸発器である。このプロセスは、さらに、第2FAを含む少なくとも1つの廃棄留分も生成する。第2流から第2FAを同伴することなく溶離液の最大部分を再循環させるために、蒸発手段を選択し、また蒸発パラメータは、水の大部分が濃縮した第2FAとともに蒸発器の底部に残留するよう設定する。結果として、蒸留した溶剤混合液は、水に比べて有機溶剤が富化され、また溶剤蒸気内の第2FA同伴量は容認可能なレベルまで低下し、これにより蒸留液を同一クロマトグラフユニットに再循環させることができる。
【0241】
好適な手段としては、蒸留カラム、又は蒸留カラムと強制循環流下膜式蒸発器との組合せがある。代案として、膜技術を使用して廃棄流における第2FAを濃縮することができ、また蒸発技術と組み合わせて溶剤混合液の一部をクロマトグラフプロセスに再循環させることができる。
【0242】
第2好適実施形態において、1つ又は複数のクロマトグラフステップを使用して第1PUFA(例えば、EPA)を脂肪酸混合物から精製する。とくに、第2FA(例えば、DHA)の量を、第1PUFAを含む精製流内で約2%以下、好適には0.5%以下、好適には0.05%以下、好適には0.03%以下、より好適には検出不能レベルにまで減少する。
【0243】
少なくとも1つのクロマトグラフステップは、第1PUFAを第2FAから分離することを目標とし、また好適には、溶離液として水及びメタノールの混合液を使用する。目標留分は、第1PUFAを含み、また減少した量の第2FAを含む。目標留分は、後続クロマトグラフステップに直接再注入して、第1PUFAを一層精製する。このプロセスは、さらに、第2FAを含む少なくとも1つの廃棄留分も生成する。
【0244】
第2FAを含む第2流から第2FAを同伴することなく溶離液の最大部分を再循環させるために、蒸発手段を選択し、また蒸発パラメータは、水の大部分が濃縮した第2FAとともに蒸発器の底部に残留するよう設定する。結果として、蒸留した溶剤混合液は、水と比べて有機溶剤が富化され、また溶剤蒸気内の第2FA同伴量は容認可能なレベルまで低下し、これにより蒸留液を同一クロマトグラフユニットに再循環させることができる。
【0245】
好適な手段としては、蒸留カラムと強制循環流下膜式蒸発器との組合せがある。代案として、膜技術を使用して廃棄流における第2FAを濃縮することができ、また蒸発技術と組み合わせて溶剤混合液の一部をクロマトグラフプロセスに再循環させることができる。
【0246】
第3好適実施形態において、1つ又は複数のクロマトグラフステップを使用して第1PUFA(例えば、EPA)を脂肪酸混合物から精製する。とくに、第2FA(例えば、DHA)の量を、第1PUFAを含む精製流内で約2%以下、好適には0.5%以下、好適には0.05%以下、好適には0.03%以下、より好適には検出不能レベルにまで減少する。
【0247】
少なくとも1つのクロマトグラフステップは、第1PUFAを第2FAから分離することを目標とし、また好適には、溶離液として水及びメタノールの混合液を使用する。目標留分は、第1PUFAを含み、また減少した量の第2FAを含む。
【0248】
収集した目標留分は、蒸発技術又は膜技術によって、例えば、ナノ濾過システム、蒸発器、蒸留カラム、又は当業者には既知技術のうち1つ若しくはそれらの組合せを含む他の適当な手段によって濃縮し、最大量の有機溶剤をクロマトグラフプロセスに再循環させる。好適な蒸発手段は、減圧状態下で動作する強制循環流下膜式蒸発器である。
【0249】
このプロセスは、さらに、第2FAを含む少なくとも1つの廃棄留分も生成する。その廃棄留分からの溶剤は、第1PUFAを第2FAから分離することを目標とするそのクロマトグラフステップには再循環させない。
【0250】
第4好適実施形態において、1つ又は複数のクロマトグラフステップを使用して第1PUFA(例えば、EPA)を脂肪酸混合物から精製する。とくに、第2FA(例えば、DHA)の量を、第1PUFAを含む精製流内で約2%以下、好適には0.5%以下、好適には0.05%以下、好適には0.03%以下、より好適には検出不能レベルにまで減少する。
【0251】
少なくとも1つのクロマトグラフステップは、第1PUFAを第2FAから分離することを目標とし、また好適には、溶離液として水及びメタノールの混合液を使用する。目標留分は、第1PUFAを含み、また減少した量の第2FAを含む。目標留分は、濃縮することなく後続クロマトグラフステップに直接再注入して、第1PUFAを一層精製する。このプロセスは、さらに、第2FAを含む少なくとも1つの廃棄留分も生成する。廃棄留分からの溶剤は、第1PUFAを第2FAから分離することを目標とするそのクロマトグラフステップには再循環させない。
【0252】
実施例
以下の実施例は、限定することなく本発明を示す。
[実施例1]
魚油(4g)から採取した脂肪酸エチルエステル混合物を、メタノール(144g)及び水(14.5g)の93/7v/v混合物に溶解し、また次に撹拌反応器内において60℃の温度で蒸発させた。蒸留による、質量がそれぞれ33.1g及び45.1gの2つの留分F1及びF2を60kPa(絶対0.6bar)での蒸発中に収集し、また質量32.9gの1つの留分F3を55kPa(絶対0.55bar)での蒸発中に収集し、また質量18.9gの1つの留分F4を5kPa(絶対0.05bar)での蒸発中に収集した。蒸発した留分の水含有量及び脂肪酸エステル含有量の分析を表1に示す。
【0253】
【表1】
【0254】
表1は、蒸留液内に少量の水(5%W/W以下)に脂肪酸が検出されず、また実質同伴(27ppm)は蒸留液におけるより多い水含有量(20%W/W)で生ずることをしめしている。
【0255】
初期混合物における脂肪酸組成及び留分F4における脂肪酸組成は、GCクロマトグラフによって分析する。この結果を以下の表2に示す。
【表2】
【0256】
表2は、F4内に同伴されたオイルの組成は長鎖脂肪酸に比べて短鎖脂肪酸に富むことを示し、蒸発する水の量が増大するとき熱力学的同伴を生ずることを示している。
【0257】
[実施例2]
この実施例において、約70%EPA及び約10%DHAを含む予精製オメガ3PUFAsの混合物を、VARICOLTMの多重カラムクロマトグラフ装置を用いて採取し、この装置のカラムはC18の20μm逆相シリカを、約90%のアセトン及び10%の水(容積あたりの容積)を含む流動床に62g/lの総密度にして詰め込んだ。この混合物は、図2で説明したような強制循環多重管蒸発器を用いて単一蒸発ステップで連続的に濃縮した。
・希薄PUFA溶液流量:96 l/h
・加熱流体温度:約100℃
・蒸発温度:約75℃
・蒸発圧力:約25kPa(250mbar)
・濃縮流出口流量:6 l/h
【0258】
PUFA混合物を、強制循環多重管蒸発器を有する蒸発装置内に注入した。濃縮したPUFA混合物をライン15から収集するとともに、蒸発した溶剤を凝縮器12内で凝縮し、ライン16から収集した。
【0259】
蒸発器から出た濃縮したPUFA混合物は約0.2%の水及び1%のアセトンを含んでいた。ライン16で回収した蒸発溶剤の混合物は、30〜100ppmの脂肪酸エステルを含んでいた。99%より多い溶剤を回収し、また本発明プロセスにおける同一精製ステップで循環させた。
【0260】
[実施例3a]
この実施例において、約70%EPA及び約10%DHAを含む予精製オメガ3PUFAsの混合物を、VARICOLTMの多重カラムクロマトグラフ装置を用いて精製し、この装置は5個のカラムを装備し、各カラムは、20.2cmの内径及び8.5cm長さを有し、C18の20μm逆相シリカを、約93%のメタノール及び7%の水(容積あたりの容積)を含む流動床に詰め込んだもので、溶離液におけるDHAの残留量は約0.1ppmであった。動作条件は以下のとおりである。
・供給流量:1.5 l/h
・溶離液流量:279 l/h
・抽出液流量:226 l/h
・抽残液流量:54.5 l/h
・動作温度:35℃
【0261】
目標抽残液流は、精製EPAを約92%のGC純度で、また0.03%未満のDHAで含み、総濃度が19g/lであった。この混合物は、図2で説明したような強制循環多重管蒸発器を用いて単一蒸発ステップで連続的に濃縮した。動作条件は以下のとおりであった。
・希薄PUFA溶液流量:54.5 l/h
・加熱流体温度:約100℃
・蒸発温度:約75℃
・蒸発圧力:約25kPa(250mbar)
・濃縮流出口流量:6 l/h
【0262】
蒸発器から出た濃縮したPUFA混合物は約0.04%の水及び0.6%のメタノールを含んでいた。抽残液流から99%より多い溶剤を回収し、また本発明プロセスにおける同一精製ステップで循環させた。
【0263】
精製DHAを約36%のGC純度で、また約1.7g/lの総脂肪酸エステル濃度で含む抽残液流を、図2で説明したのと同様な連続蒸発装置内で部分的に濃縮した。動作条件は以下のとおりであった。
・希薄PUFA溶液流量:226 l/h
・加熱流体温度:約100℃
・蒸発温度:約70℃
・蒸発圧力:約100kPa(1000mbar)
・濃縮流出口流量:40 l/h
【0264】
蒸発器から出た濃縮した混合物は、約40%の水及び60%のメタノールを含んでいた。抽出液流から単に約82%の溶剤を回収し、また本発明プロセスにおける同一精製ステップで循環させた。
【0265】
蒸発器における抽出液及び抽残液双方から収集した蒸留溶離液は、約93.2%のメタノール、約12ppmの脂肪酸エステル、及び0.1ppmのみのDHAを含み、これをクロマトグラフプロセスに再循環させた。
【0266】
[実施例3b]
この実施例において、再循環した溶離液におけるDHAの影響をコンピュータシミュレーションによって評価した。約70%EPA及び約10%DHAを含む予精製オメガ3PUFAsの混合物を、VARICOLTMの多重カラムクロマトグラフ装置を用いて精製し、この装置は5個のカラムを装備し、各カラムは、20.2cmの内径及び8.5cm長さを有し、C18の20μm逆相シリカを、約93%のメタノール及び7%の水(容積あたりの容積)を含む流動床に詰め込んだもので、溶離液におけるDHAは約20ppmであった。動作条件は以下のとおりである。
・供給流量:1.5 l/h
・溶離液流量:279 l/h
・抽出液流量:226 l/h
・抽残液流量:54.5 l/h
・動作温度:35℃
【0267】
目標抽残液流は、精製EPAを約92%のGC純度で、また0.12%未満のDHAで含み、総濃度が19g/lであった。抽出液流及び抽残液流双方の完全濃縮から採取した溶離液流における20ppmのDHAによる影響は、精製EPA流における約0.1%DHAである。
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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図10
図11
図12
図13