(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記フランジ(35)の下面(47)上で測定される前記フランジ表面積(FSA)は、前記把持面(6)上で測定される把持面表面積(GFSA)の45パーセントと55パーセントの間である請求項1から15のいずれかに記載の締結要素(1)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本開示の第1の目的は、設置し易く、締結された要素を堅持し、所望された場合にのみであるが除去を容易にするファスナを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に従って、締結要素が提供される。締結要素は、把持面と背面とを有する把持部を含み、把持面は、少なくとも一列の把持要素と、背面に対向して配置されておりかつ締結要素を保持具に固定するように構成されている固定部とを含み、固定部は背面に平行なかつ保持具の部分で除去可能に挿入されるように構成されているフランジを含む。フランジは、把持面上で測定される把持面表面積の10パーセントと90パーセントの間である、フランジの下面上で測定されるフランジ表面積を示す。
【0010】
本発明の実施形態による締結要素を設けることにより、締結要素の多数の配向がもたらされる。したがって、例えば、締結要素を傾斜させてフランジの第1の縁部を保持具内に挿入し、次いでフランジの第2の縁部が保持具内に挿入されるようにフランジ部を水平にすることにより、保持具に沿ったいずれの点においても保持具内に締結要素を容易に挿入することが可能である可能性がある。さらに、保持具の配向を問わず、締結要素は、締結される表面と適正に結合するように所望の配向で保持具内に挿入されてもよく、それにより各個々の位置のための特注の締結要素を製造する必要をなくす。
【0011】
背面をフランジと接続する支持体が設けられていてもよい。したがって、保持具内への容易な挿入をさらに可能にするために、所望の間隔がフランジと把持部との間に設けられていてもよい。
【0012】
フランジ部は、把持部により含まれる辺の2倍の数の辺を含んでもよい。そのような特徴が、所定の保持具横断面に関して締結要素の多数の配向を可能にする可能性がある。
【0013】
フランジの少なくとも2つの縁部が、把持部の少なくとも2つの縁部と同一平面上にあってもよい。
【0014】
フランジは、五角形、六角形、七角形、および八角形のうちの1つから選択される多角形の形状であってもよい。
【0015】
把持部とフランジとは異なる形状を有してもよく、例えば、把持部は矩形であってもよく、フランジは八角形であってもよい。
【0016】
支持体は、所望に応じて、円筒形、矩形、または任意の多角形であってもよい。
【0017】
また、フランジ形状は、例えば、円形または長円形であってもよい。
【0018】
いくつかの実施形態によれば、把持部およびフランジの少なくとも一方は非対称であってもよい。
【0019】
少なくとも一列の把持要素は把持面に接合され得る。例えば、把持要素を含むシートと接着剤層とが把持面上に押し付けられてもよい。これは、設置時に、組立工が所望の把持要素構成を把持面に貼付することを可能にする可能性がある。把持要素シートは、単一の配向または交互の配向であってもよい。
【0020】
フランジは、保持具3内で締まり嵌めを生じさせるように構成されている少なくとも1つの隆起部39を含んでもよい。隆起部39は、フランジが保持具内に挿入される配向を問わず、保持具3と相互作用するように構成されてもよい。
【0021】
把持要素は、フック、ループ、およびこれらの組合せのうちの1つから選択されてもよい。フックは、把持面全体に亘って単一の配向を有してもよく、またはフックは、把持面全体に亘って交互の配向を有してもよい。
【0022】
フランジの各辺の長さは等しくてもよい。例えば、八角形フランジが8つの等しい辺を有してもよい。
【0023】
フランジの下面上で測定されるフランジ表面積は、把持面上で測定される把持面表面積の25パーセントと75パーセントの間、詳細には45パーセントと55パーセントの間であってもよい。
【0024】
上記要素の様々な組合せが、明確に矛盾する場合を除いて行われてもよいことが、当業者には分かるであろう。
【0025】
本開示のさらなる目的および利点が、後続する説明において部分的に記載され、説明から部分的に明らかになり、または本開示の実践により分かる可能性がある。本開示の目的および利点は、添付の特許請求の範囲に詳細に指示されている要素および組合せにより実現され、達成される。
【0026】
当然のことながら、前述の全体的な説明および以下の詳細な説明はどちらも例示的、説明的なものに過ぎず、特許請求されている通り、本開示に関して限定するものではない。
【0027】
本明細書に組み込まれており、本明細書の一部を成す添付図面は、説明と共に、本開示の1つの(いくつかの)実施形態を例示し、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ここで、例が添付図面に示されている本開示の本例示的実施形態を詳細に参照する。可能な限り、同一のまたは同様の部分を指すのに、図面を通じて同一参照番号が使用される。
【0030】
図1は、本開示の実施形態に係る保持具内に設置されている締結要素1の例示的斜視図である。例えばおもりが把持要素20および/または20’に付けられた場合、ファスナ1は、ファスナ1が保持具内に除去可能に挿入されかつ荷重下でそこに留まるように保持具3内に挿入されるように構成されてもよい。
【0031】
ファスナ1は、種々の材料、例えば熱可塑性プラスチック、複合材料、および/または他の適切な材料を使用して、成形、例えば射出成形されてもよい。本開示の実施形態によれば、熱可塑性材料はポリプロピレンまたはポリウレタンを含んでもよい。例えば、ポリプロピレンでは、22g/10mnの溶融状態での流動性指数および130,000psiから150,000psiまでの屈曲モジュールを有する、50%のホモポリマーと50%のコポリマーから成る不飽和ポリエステルの混合物が選択され得る。他の可能性のある材料には、7の溶融状態での流動性指数および175,000psiの屈曲モジュールを有する、Atofinaのポリプロピレン、PPC5660、35から100までの溶融状態での流動性指数値および190,000psiから250,000psiまでの屈曲モジュールを有する、BP Amocoのポリプロピレン・コポリマー(Acclear8949およびAcctufインパクト・コポリマー3934X);ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、高密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、ポリカーボネートが含まれる。溶融状態での指数は1と100の間であり、屈曲モジュールは、30,000と1,140,000の間、好ましくは100,000と1,000,000の間、より好ましくは300,000と1,000,000の間である。
【0032】
適する可能性があるプロピレン系樹脂以外の樹脂には、インパクト・ポリスチレン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、ナイロン、高密度ポリエチレン、鎖状低密度ポリエチレン、ポリカーボネート、およびオレフィン系熱可塑性樹脂が含まれる。また、非常に高い屈曲モジュールを有する、ガラス長繊維により強化されているポリプロピレンが与えられることが可能である(StaMaxにより販売されている、856,000psiの屈曲モジュールを有する樹脂30YM240/10010および1,140,000psiの屈曲モジュールを有する樹脂40YM240/10010)。この場合、ガラス長繊維は、(長繊維が中に侵入するには小さ過ぎ、狭過ぎる)空洞内に移動せず、可撓性フックを備えた非常に剛性の平板が得られる。
【0033】
いくつかの実施形態によれば、結果として得られるデバイスが単一構造であるすなわちファスナ1の全要素が一体的に形成されているように、ファスナ1は単一ステップのプロセスを用いて射出成形される。そのような形成は望ましい強度および製造し易さを生み出し、かつ基層への層状部(例えば、把持部層)の組立ての必要をなくす。デバイスは可視の射出ゲートを含んでもよい。あるいは、ファスナ1の部分が、単一ステップのプロセスを用いて射出成形されてもよく、例えば、把持要素は接着剤、または他の適切な接合(例えば、溶融および再凝固)によりファスナ1に接合されてもよい。
【0034】
図2Aは、
図1の締結要素の斜視底面図であり、
図2B〜
図2Dは、ファスナ1の様々な立面図を示している。ファスナ1は、とりわけ、把持部5と、支持体10と、固定部15とを示す。いくつかの実施形態によるファスナ1の厚さTは、約2ミリメートルと30ミリメートル、4ミリメートルと10ミリメートル、またはさらには5ミリメートルと8ミリメートルの間であってもよい。特に、厚さTは、把持要素20および/または20’に関連する高さHを含まず、この厚さはT’である。換言すれば、H=T’−Tである。
【0035】
把持部5が把持面6と背面7とを示す。把持部5は任意の適切な幾何学的形状であってもよく、例えば、把持部5は、矩形または他の多角形形状、円形形状等を示してもよい。いくつかの実施形態によれば、
図4に示されている通り、把持部は多角形かつ非対称の形状を有してもよい。あるいは、所望に応じて、対称形状が実施されてもよい。
【0036】
把持部5は、把持部5の把持面6上で測定される把持面表面積GFSAを示してもよい。詳細には把持部5の形状に応じて、把持面6の表面積を計算する様々な方法が利用されてもよいこと(例えば、コンピュータを使用する測定および計算)、および表面積を計算するそのような方法が当技術分野において周知であることが、当業者には分かるであろう。例えば、
図2Bに示されている把持面6の把持面表面積GFSAは、式1に示されているように計算されてもよい。
GFSA=L・W (1)
【0037】
いくつかの実施形態によれば、矩形把持部5が実施された場合、矩形の辺の長さLと幅Wとの間の比が約1.5と2.0の間であってもよい。この比は例示的なものであり、限定することは意図されていない。
【0038】
把持面6と背面7とは、互いに平行であり、実質的に同一の形状(例えば、矩形)および大きさである。例えば、把持面6が矩形である場合、背面7もまた、把持面6と同一の寸法を有する矩形であってもよい。
【0039】
把持部5には、高さHで把持部5から(例えば、把持面6から)延出している複数の把持要素20および/または20’が設けられていてもよい。いくつかの実施形態によれば、把持要素20および/または20’の遠位部が把持面6および背面7から所定の距離で離間されているように、把持要素20および/または20’は、把持部5から垂直に離れて列で延出していてもよい。重要なことには、把持要素20および/または20’が、所望の締結を達成するために望ましい任意の方向に延出していてもよいこと、ならびに複数の把持要素20および/または20’全体が同一方向に延出する必要がないことが、当業者には分かるであろう。さらに、高さHは把持要素20および/または20’の中で様々であっても、実質的に均一であってもよい。
【0040】
把持要素20および/または20’はフックおよび/またはループを含んでもよく、フックおよび/またはループの特性が、把持要素20および/または20’が別の所望の表面、例えば把持要素20および/または20’と相互作用してそのような締結を達成するように設計されている複数のループまたはフックを含む表面、との締結を達成することを可能にする。把持要素20および/または20’は行列で配置されていてもよい。いくつかの実施形態によれば、第2の表面との締結を容易にするために、例えば3Aに示されている通り、把持要素20および/または20’は、列内にこれらの頭部の交互の配向を有してかつ把持面6の実質的に全体に亘って配置されていてもよい。あるいは、
図3Bに示されている通り、把持要素20および/または20’は、把持面6の表面全体に亘って単一の配向を有して配置されていてもよい。
【0041】
本明細書に用いられている、把持要素20および/または20’に関連する用語「頭部」は、フックの作用部が配置されている把持要素20および/または20’の遠位部(すなわち、湾曲したフック留め用表面)を指す。
【0042】
把持要素20および/または20’は、把持面6に関連するかなりの領域を覆っていてもよい。例えば、把持面表面積GFSAの少なくとも50パーセント、60パーセント、70パーセント、80パーセント、およびさらには90パーセントの覆いが、把持要素20および/または20’により達成されていてもよい。本開示の範囲から逸脱することなく、把持要素20および/または20’に関する任意の所望の覆い量が実施されてもよいことが、当業者には分かるであろう。
【0043】
把持要素20および/または20’がフックとして実施された場合、フック20は異なる配向/バイアスを有してもよい。換言すれば、単一のフックが、フック留めがこれにより達成され得る単一の方向を有することが、当業者には分かる。したがって、
図3Bに示されている通り、列19内に単一の配向を有するフック20の列19を配置することが可能になる。本開示のいくつかの実施形態によれば、単一の配向を有する列は、把持面6上に排他的に配置されていてもよく、したがって、保持具3との設置位置に基づいて、ファスナ1に複数の配向をもたらす。
【0044】
あるいは、いくつかの実施形態によれば、フック20の配向は、
図1、
図3A、および
図4に示されている通り、交互の配向を示すために、フック20および20’の列19の全体に亘って交互にされていてもよい。したがって、そのような配置は保持具3内のファスナ1に関する異なる配向の数の減少をもたらすが、締結される材料の可撓性がより大きい(例えば、締結用ループがフック上に捕捉される可能性がより大きい)。
【0045】
固定部15は、ファスナ1が保持具3内にもしくは締結される部品の他の適切な部分内に、または部品が締結される表面に、固定されることを可能にするように構成されてもよい。したがって、固定部15は、フランジ35を形成するために、把持部5の背面7に平行に延在していてもよい。フランジ35は、例えば成形プロセスに起因し材料使用量を低減するように構成されている一連の空隙57、すなわち材料のないところを有する下面47(
図2B参照)を示してもよい。あるいは、フランジ35は、所望に応じて、中実である下面47(
図2E参照)を示してもよい。
【0046】
フランジ35は、保持具3の部分で除去可能に挿入されるように構成されてもよい。したがって、フランジ35は、フランジ35の下面47上で測定されるフランジ表面積を示してもよく、これは、把持面6上で測定される把持面表面積GFSAの10パーセントと90パーセントの間、より良好には20パーセントと70パーセントの間、さらにより良好には30パーセントと65パーセントの間である。さらなる実施形態によれば、フランジ表面積FSAは、好ましくは、把持面表面積GFSAの45パーセントと55パーセントの間であってもよい。
【0047】
本開示の目的のためにフランジ表面積FSAを測定する場合、フランジ35にある空隙57は表面積から減算されず、フランジ35のフランジ表面積FSAの一部として扱われるべきである。したがって、例として、
図2Bと
図2Eの両方に示されている八角形フランジ35のフランジ表面積は、式2を用いて計算されてもよい。
FSA=2(1+√2)a
2 (2)
【0048】
フランジ35は、フランジ35のフランジ厚さTFがフランジ35の最大幅の5パーセントと15パーセントの間であるように構成されてもよい。例えば、20mmの外周直径(circum diameter)を有する八角形フランジでは、フランジ35の厚さTFは約1.4mmであってもよい。
【0049】
フランジ35は、把持部5の形状とは異なる形状を有してもよい。例えば、フランジ35が八角形である場合、把持部5は矩形であってもよい。そのような構成は、設置中にファスナ1の複数の配向を可能にする。
【0050】
さらに、フランジ35は、把持部5により含まれる辺の2倍の数の辺を含んでもよい。例えば、把持部5が矩形形状(すなわち4辺の多角形)である場合、フランジ35は八角形形状(すなわち8辺の多角形)を有してもよい。同様に、把持部5が3角形(すなわち3辺の多角形)である場合、フランジ35は六角形形状(すなわち6辺の多角形)を有してもよい。そのようなパターンが、所望に応じて継続されてもよい、かつ/または変更されてもよいことが、当業者には分かるであろう。
【0051】
フランジ35の少なくとも2つの縁部が把持部5の少なくとも2つの縁部と同一平面上にあってもよい。例えば、
図2Bに示されている通り、八角形に成形されたフランジ35は、矩形把持部5の2つの対向側面と同一平面上にある対向側面を有してもよい。これは、保持具3内でのファスナ1の設置および保持を容易にする可能性がある。
【0052】
フランジ35は任意の所望の形状であってもよく、詳細には、多角形または円形形状であってもよい。フランジ35が多角形である場合、形状が、五角形、六角形、七角形、八角形等のうちの1つから選択されてもよい。この形状リストが網羅的なものでないこと、および他の形状が本開示の範囲内に入ることが意図されていることが、当業者には分かるであろう。そのような多角形が実施された場合、(例えば、
図2Bに示されている通り)多角形の各辺の長さは実質的に等しい可能性がある。当然、また、所定の実施によって、そのような辺の長さは等しくない可能性があることが、当業者には分かるであろう。
【0053】
フランジ35に関して円形形状が実施された場合、そのような形状は、円形、長円、半球、三日月形等から選択されてもよい。
【0054】
フランジ35は少なくとも1つの面取り部36を含んでもよい。面取り部36は、例えば、保持具3内へのフランジ35の挿入を容易にするように構成されてもよい。したがって、面取り部36は、例えば、フランジ35の最上部および/または底部上に配置されていてもよい。したがって、フランジ35は、少なくとも1つの面取り部が把持部5の背面7に平行な方向に延在するように、面取りされていてもよい。
【0055】
面取り部36は、1度と60度の間、例えば20度と45度の間、に及んで、背面7に対して垂直な平面と共に角度を形成していてもよい。固定部15が保持具3内に設置される際、フランジ35上に配置されている面取り部36は、固定部15の先導部上に存在し得る。
【0056】
フランジ35は、同様に、他の面取り構成を含んでもよい。そのような面取り部は、例えば固定部35がチャネル・タイプのまたは他の限られた高さの保持具3内に設置される場合に望ましい可能性があり、保持具3内でのフランジ35のさらなる締まり嵌めを可能にしてもよい。
【0057】
特に、フランジ35は、保持具内で締まり嵌めを生じさせるように構成されている1つまたは複数の隆起部39(
図2C参照)を含んでもよい。隆起部39は、ファスナ1上の特定の位置に付加的材料として形成されていてもよく、種々の形状および大きさを示してもよい。例えば、隆起部39は、ファスナ1と一体的に形成されていてもよく、さらに弓形のまたは部分的に球形の形状であってもよい。
【0058】
図2Cは、本開示の実施形態による、1つまたは複数の隆起部39の配置を強調している例示的図である。1つまたは複数の隆起部39は、ファスナ1の様々な位置に、例えば固定部15の底面を含む平面からかつ本体9のエンベロープ表面を越えて延在して(例えば、桟14から延在して)、形成されていてもよい。いくつかの実施形態によれば、隆起部39は、固定部15の底面を含む平面の幾何学的中心に配置されていてもよい。さらに、またはあるいは、隆起部39は溝部17内に配置されていてもよく、背面7に垂直にまたは平行に延在していてもよい。
【0059】
1つまたは複数の隆起部39に関する位置の任意の組合せが、本開示の範囲から逸脱することなく、実施されてもよいことが重要である。
【0060】
隆起部39に関して弓形のまたは部分的に球形の形状が実施された場合、隆起部39は、ファスナ1の厚さTの2倍と3倍の間の曲率半径を示してもよい。例えば、突出部が、10mmと30mmの間、14mmと18mmの間、例えば16mm、に及ぶ曲率半径を有してもよい。例えば背面7上でかつ固定部15の上面上で、対向する隆起部39が実施された場合、設置された位置間で所望のレベルの干渉をもたらし続けながらファスナ1の設置を容易にするために、この曲率半径は変更されてもよいことが、当業者には分かるであろう。
【0061】
さらに、隆起部39を実施することにより、結果として生じる干渉はこれの設置された状況においてファスナ1のガタ音および移動を低減するか、または除去する可能性がある。
【0062】
固定部15は、背面7から延在しておりフランジ35を把持部5と接続する支持体10を含んでもよい。重要なことには、支持体10と、固定部15と、把持部5とは本明細書において別個の部分として言及されているが、ファスナ1が一体的に形成されている場合、この言及は単に分かり易くするためだけのものであること、およびそのような部分が明確に別個であることを意図されていないことが、当業者には分かるであろう。
【0063】
支持体10は、把持部5と固定部15とを離間する目的で、任意の適切な厚さかつ任意の所望の高さであってもよい。例えば、支持体10の高さが、ファスナ1の全厚Tの20パーセントと70パーセントの間、より良好には35パーセントと60パーセントの間、好ましくは40パーセントと50パーセントの間を示していてもよい。
【0064】
支持体10は、把持部5の把持部幅Wおよびフランジ35のフランジ幅FWより小さい支持部幅SPWを示してもよい。所望される締結構成および把持部5に関連する形状に応じることが当業者には分かるであろう。
【0065】
図3Aおよび
図3Bは、固定部15と、支持体10と、把持部5とが射出成形により形成されている場合のファスナ1を示すが、把持要素20およびまたは20’を備えていない。これら3つの部分の製造に続いて、把持要素20および/または20’を有する層(例えば、シート)、および例えば接着剤層8(例えば、熱可塑性材料、熱溶融接着剤等)が、把持部5の把持面6と接触させられて、完成されたファスナ1をもたらしてもよい。あるいは、接着剤層8が、最初に把持面6に貼り付けられてもよく、把持要素20および/または20’層がこの接着剤に付けられてもよい。いくつかの実施形態によれば、接着剤8は、次いで、例えば加熱養生により、硬化されてもよい。
【0066】
接着剤層8は、貼付に基づき所望の強度および硬化特性を示す任意の適切な接着剤であってもよい。
【0067】
重要なことには、
図3Aはまた、フック20の単一の配向を有するように本明細書に示され、記載されており、一方、
図3Bはまた、フック20および20’の交互の配向を有するように本明細書に記載されている。しかし、これは、これらの特徴が組み合わせて用いられなければならないことを示すことを目的としていない。接着剤層8は、把持要素20および/または20’を把持面5に付けるための、本明細書に記載されている構成のいずれかにおいて使用されてもよい。さらに、また、把持要素20および20’の単一の配向ならびに交互の配向は、接着剤層8を使用せずに用いられてもよく、例えばファスナ1との射出成形により一体的に形成されていてもよい。
【0068】
図4は、非対称形状を有しかつ多角形を形成している別の例示的締結要素1である。
図4によれば、把持要素20および20’の交互の配向が存在するが、特定の設置に応じて、また、把持要素20および/または20’の単一の配向を備えた非対称ファスナ1が実施されてもよい。
【0069】
図5は、円筒形支持体10と円形(例えば、円筒形)フランジ35とが示されている、さらに別の例示的締結要素1である。把持要素20および/または20’は
図5に示されていないが、把持要素20および/または20’の単一の配向および交互の配向が実施されてもよいことが、当業者には分かるであろう。
【0070】
さらに、
図5のファスナ1は任意の所望の形状の把持部を有してもよい。非対称形状(例えば、五角形)は、円筒形フランジおよび支持体がファスナ1のためのかなりの数の設置位置を可能にするため、そのような構成において役に立つ可能性がある。
【0071】
本開示を読むと、締結を達成するためにファスナ1が任意の数の設計において実施され得ることが、当業者には分かるであろう。例えば、修理または他の状況が命令する場合に容易な除去を可能にすると同時に、自動車用天井材、ドア張り、および他の要素がしっかりと固定され得る。
【0072】
さらに、いくつかの実施形態によれば、ファスナ1は、保持具3に対して、100未満の配向、詳細には25未満の配向、この場合10または10未満の配向を有する。
【0073】
本明細書において、本開示が特定の実施形態を参照して記載されたが、当然のことながら、これらの実施形態は、本開示の原理および用途に関して例示的に過ぎないことが理解されるべきである。
【0074】
特許請求の範囲を含む記載を通じて、用語「comprising a(〜を含む)」は、特に指定のない限り、「comprising at least one(少なくとも1つを含む)」と同義であると理解されるべきである。さらに、特許請求の範囲を含む記載に記載されている任意の範囲は、特に指定のない限り、この末端値(end value)を含むと理解されるべきである。記載されている要素に関する具体的な値は、当業者に既知の許容される製造公差または産業公差の範囲内にあると理解されるべきであり、用語「substantially(実質的に/ほぼ)」および/または「approximately(約)」および/または「generally(概ね)」の任意の使用は、本明細書に特に明記されていない限り、そのような許容される公差の範囲内に入ることを意味すると理解されるべきである。
【0075】
任意の国内基準、国際基準、または他の基準の団体が言及される場合(例えば、ISO等)、そのような言及は、本明細書の優先日現在で国内基準団体または国際基準団体により定められている基準を指すことが意図されている。そのような基準のいかなるその後の実質的な変更も、本開示ならびに/または本特許請求の範囲の範囲および/もしくは定義を変更しないものとする。
【0076】
明細書および例は例示的に過ぎないと見なされるべきであることが意図されており、本開示の真の範囲は以下の特許請求の範囲により指示されている。