(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
口部に、膨出部と、該膨出部の上端に連続するねじ部と、該ねじ部の上端から缶軸方向上方に向けて漸次縮径する縮径部と、該縮径部の上端で開口端部を半径方向外側に折り返した状態に形成されたカール部とを有するボトル缶と、該ボトル缶に被着され、前記ねじ部に沿ってキャップねじ部が形成されたキャップと、を有するキャップ付きボトルであって、前記カール部は、缶軸方向に沿う縦断面において、前記縮径部の上端で屈曲する内周側屈曲部と、該内周側屈曲部より上方で半径方向外方に折り返され缶軸方向上方に向けて凸となる天頂折り返し部と、該天頂折り返し部の外周側円弧部より缶軸方向下方に向けて延びる外周筒部と、前記外周筒部の下端で屈曲する外周凹状屈曲部と、該外周凹状屈曲部の外周端から半径方向外方に向けて凸となるように湾曲する外向き湾曲部とを有しており、
前記外周凹状屈曲部は、前記外向き湾曲部より半径方向内方に凹状に屈曲しており、
前記キャップ内に設けられた密封材が前記天頂折り返し部の前記外周側円弧部から前記外周筒部の外周面に密接させられているとともに、前記キャップのスカート部の周方向に形成された複数のベントホールが前記密封材より缶軸方向下方で、前記ねじ部より缶軸方向上方に位置していることを特徴とするキャップ付きボトル。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1〜
図58は、口部の外周部にねじ部を有するボトル缶の第1実施形態を示している。
このボトル缶10は、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板金属からなり、
図1に示すように、有底円筒状の胴部11と、胴部11の上端で半径方向内方に屈曲するように縮径された肩部12と、肩部12から缶軸方向の上方に向けて漸次縮径するテーパ筒部13と、テーパ筒部13の上端に連続する口部14とにより形成されている。また、口部14は、テーパ筒部13の上端に形成された膨出部15と、膨出部15の上端に連続するねじ部16と、ねじ部16の上端から上方に向かうにしたがって漸次縮径する縮径部17と、縮径部17の上端で開口端部を半径方向外側に折り返した状態に形成されたカール部18とを有している。そして、この口部14に、
図2(a)に示すようにキャップ材3が被せられ、キャップ材3の天面部31内面のライナ40がカール部18に圧接され、ねじ部16に沿ってキャップ材3の円筒状のスカート部33がねじ加工され、そのスカート部33の下端部が膨出部15に係止されることにより、キャップ30が成形され、口部14が密封される(
図2(b)参照)。以下の説明においては、
図1に示す向きで上下方向を定めるものとする。
【0014】
カール部18は、その缶軸方向下方位置に形成されている縮径部17に連続して形成されており、
図2及び
図3(b)に示すように、缶軸方向に沿う縦断面において、縮径部17の上端で斜め内側に向けて凸となるように屈曲する内周側下向き屈曲部21と、該内周側下向き屈曲部21の上端から缶軸方向に延びる円筒状の内周筒部22と、該内周筒部22の上端で半径方向外方に折り返され缶軸方向上方に向けて凸となる天頂折り返し部23と、該天頂折り返し部23の折り返し端から缶軸方向下方に延びる円筒状の外周筒部24と、該外周筒部24の下端で半径方向外方に凹となるように屈曲する外周凹状屈曲部25と、該外周凹状屈曲部25の外周端から半径方向外方に向けて凸となるように湾曲する外向き湾曲部26とを備えている。この外向き湾曲部26は、縦断面が半円形に形成され、外周凹状屈曲部25から半円弧状の外周側上向き屈曲部26a、外周側下向き屈曲部26bと連続して形成される。また、図示例では、天頂折り返し部23も、内周側円弧部23aと外周側円弧部23bとで曲率が異なり、内周側円弧部23aが外周側円弧部23bよりも大きい曲率半径に形成されている。
【0015】
このカール部18の外周面の直径は、天頂折り返し部23の外周端から円筒状の外周筒部24までと、その下方の外向き湾曲部26とで異なることから、カール部18の上部が下部より小さい外径に形成されている。この場合、内周筒部22はカール部18のほぼ全体に形成されているため、カール部18の半径方向に沿う厚さは、下部よりも上部が小さく形成される。このため、カール部18の缶軸方向の途中位置で外周凹状屈曲部25による段部が形成された形態となっている。この実施形態では、段部(外周凹状屈曲部25)はカール部18の外周部に形成される。
【0016】
このような形状のボトル缶10において、各部の寸法については必ずしも限定されるものではないが、例えば、元板厚が0.300mm以上0.380mm以下のアルミニウム合金板により、胴部11の厚さ(ウォール厚)が0.110mm以上0.125mm以下、ねじ部16からカール部18までの厚さが0.210mm以上0.230mm以下、カール部18の外径(円筒状の外周筒部24の外径)Dが32.0mm以上35.0mm以下で、
図3(b)に示す半径方向に沿う厚み(内周筒部22の内周面から外周筒部24の外周面までの距離)W1が1.5mm以上3.0mm以下、缶軸方向の高さ(天頂折り返し部23の上面から外周側下向き屈曲部26bの下端までの距離)Hが1.8mm以上3.0mm以下に形成される。また、天頂折り返し部23の外周側円弧部23bの外面における曲率半径Rが0.4mm以上1.2mm以下に形成される。
また、外周筒部24の外周面の缶軸方向長さ(天頂折り返し部23の上面から外周凹屈曲部25までの長さ)Lは、後述するライナが密着するシール部分の長さとして0.7mm以上確保するために、1.0mm以上であることが好ましい。好ましくは、1.5mm以上2.0mm以下がよい。
【0017】
一方、キャップ30は、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板金属からなり、ボトル缶10の口部14に装着される前の形状のキャップ材3では、
図1及び
図2(a)に示すように、円板状の天面部31と、天面部31の外周縁から垂直下方に延びるスカート部33と、天面部31の内面に設けられたライナ40とを有している。また、スカート部33には、その上部の天面部31に近い位置に、開栓時に手に摩擦力を付与するナール凹部34と、開封時に内圧を開放するためのベントホール35とが周方向に複数ずつ形成され、ベントホール35の上側片35aが半径方向内方に押し込まれた状態に形成されることで、この上側片35aと天面部31との間にライナ40が配置され、抜け止めされる。
スカート部33の下端部には、周方向に断続的にスリット36が形成されており、このスリット36を介してスカート部33が筒上部33aと筒下部33bとに分けられるとともに、スリット36の間に形成される複数のブリッジ37によって、筒上部33aと筒下部33bとが連結した形状とされる。
【0018】
ライナ40は、全体が合成樹脂で円盤状に形成され、キャップ材3に対して回転自由に設置される。具体的には、ライナ40は、エラストマー樹脂等で形成されてシール機能を有する密封層41と、その密封層41よりも高い硬度を有し、ポリプロピレン等で形成されてキャップ材3の天面部31と摺動可能な摺動層42との積層構造とされる。密封層41は、摺動層42よりも外径が小さく、外周部には厚肉のシール部43が環状に形成される。シール部43はボトル缶10のカール部18に密着する部分である。
【0019】
ボトル缶10を製造するには、まず、アルミニウム板材を打ち抜いて絞り加工することにより、
図4(a)に示すように比較的大径で浅いカップ1を成形した後、このカップ1に再度の絞り加工及びしごき加工(DI加工)を加えて、
図4(b)に示すように所定高さの筒体2を成形し、その上端をトリミングにより切り揃える。このDI加工により、筒体2の底部は最終のボトル缶10としての底部10aの形状に成形される。
【0020】
次いで、
図6及び
図7に示すボトル缶製造装置50により、ボトル缶10を製造する。このボトル缶製造装置50について次に説明する。なお、このボトル缶製造装置50は、前述のようにして形成した筒体2を最終形状のボトル缶10に加工するためのものであり、加工の進捗に応じて缶の形状が変化していくが、以下では、筒体2からボトル缶10に至るまでの間で缶の形状を特に限定しない場合は、中間成形体4として説明する。
【0021】
このボトル缶製造装置50は、複数の中間成形体4を、その缶軸方向を水平に配置して保持するワーク保持部51と、これら中間成形体4に各種成形加工を施す複数の成形ツール52を保持するツール保持部53と、両保持部51,53を駆動する駆動部54とを備えている。中間成形体4を保持するワーク保持部51のワーク保持側と、成形ツール52を保持するツール保持部53のツール保持側とが対向して配置されている。
【0022】
ワーク保持部51は、支持軸55に支持された円盤56におけるツール保持部53と対向する表面に、中間成形体4を保持する複数の保持装置57が周方向に沿う環状に配列された構成とされている。この円盤56が駆動部54によって支持軸55を中心として間欠的に回転されることにより、供給部58から供給側スターホイール59を介して供給された中間成形体4の底部が保持装置57に1個ずつ保持されて円盤56の周方向に搬送される。中間成形体4は、円盤56による搬送中にツール保持部53の各成形ツール52によって成形された後、成形後のボトル缶10として排出側スターホイール60を介して排出部61に順次排出される。
【0023】
ツール保持部53は、支持軸62に支持された円盤63におけるワーク保持部51と対向する表面に、複数の各種成形ツール52が周方向に沿う環状に配列され、駆動部54によって円盤63が支持軸62の軸方向に進退する構成とされている。支持軸62は支持軸55の内部に同軸上に設けられる。
【0024】
このツール保持部53には、中間成形体4の開口部を縮径(ネックイン加工)するための複数のネッキング型、及びねじ部を形成するためのねじ成形ツール、カール部18を形成するためのカール部成形ツール等の、各加工段階に応じた加工を行うための成形ツール52が複数備えられている。これらの成形ツール52は、工程順に円盤63上に周方向に並んで環状に配置されている。
【0025】
支持軸55の軸線を回転中心とするワーク保持部51(円盤56)の間欠的な回転停止位置は、開口部をツール保持部53側に向けた各中間成形体4の缶軸が各成形ツール52の中心軸にそれぞれ一致するように設定される。そして、駆動部54による円盤56の間欠的回転によって、各中間成形体4は次工程用の各成形ツール52に対向する位置に回転移動されて、次の段階の加工が施される。
【0026】
すなわち、ツール保持部53が前進してワーク保持部51とツール保持部53とが互いに接近したときに、各成形ツール52が各工程に応じた加工を中間成形体4に施し、両保持部51,53が互いに離間した状態のときに各中間成形体4に次工程の成形ツール52が対向するようにワーク保持部51が回転移動される。このように、両保持部51,53が接近して加工を行い、離間及び回転するという動作が繰り返されることにより、中間成形体4に肩部12、テーパ筒部13、口部14が順次形成されてボトル缶10が形成される。
【0027】
この場合、まず、
図4(c)に示すように、上端部にストレートの円筒部5を有する中間成形体4が形成される。
そして、
図5(a)に示すように、テーパ筒部13の上端より若干上方位置から円筒部5を再度拡径した後に、その拡径部分の下端部を除き、上方部分を再度縮径するなどにより、ねじ加工する前の筒状部6を形成する。次いで、この筒状部6にねじ加工を施して、
図5(b)に示すようにねじ部16を形成する。このねじ部16が形成された状態では、ねじ部16の上に、上方に向かうにしたがって漸次縮径する縮径部17、及び、その上に連なり缶軸方向に沿うストレートの開口筒部8が形成されている。そして、その開口筒部8を半径方向外方に折り返してカール部18を形成する(
図5(c))。
【0028】
このカール部18の成形をさらに詳細に説明すると、予備カール部成形工程と上部押しつぶし工程とにより行われる。先ず、予備カール部成形工程では、
図5(b)に示す状態から
図3(a)に示すように、開口筒部8の上端部をUターンさせながら巻き回して、上部折り返し部28とその外周端に連続する外周壁部29、外周壁部29の下端に連続する外周下向き屈曲部26bとからなる予備カール部19を形成する。この予備カール部19は、成形ツール52として
図5(b)に二点鎖線で示す拡開用金型52Aと折り返し用金型52Bとが用いられる。これら拡開用金型52A及び折り返し用金型52Bは、それぞれロール状に形成され、矢印で示すように回転自在であるとともに、開口筒部8の周方向に沿って旋回自在に支持されており、旋回しながら開口筒部8を缶底方向に向けて押圧することにより、拡開用金型52Aによって開口筒部8を外方に開いた後、折り返し用金型52Bによって折り返す。
【0029】
図3(a)は、このようにして成形された予備カール部19を示しており、缶軸方向の先端部が上方に凸となる円弧面に形成され、その下方に開口筒部8の残りの部分(内周壁部22)と上部折り返し部28から延びる外周壁部29とがほぼ平行に配置され、外周下向き屈曲部26bの下端が縮径部17に向けられている。
次に、上部押しつぶし工程では、成形ツール52として、
図3(a)に二点鎖線で示すように、上部折り返し部28により形成される開口部内に挿入される内側ロール52Cと、予備カール部19の半径方向外方に配置した外側ロール52Dとを用いて予備カール部19の上部を加工する。この場合、内側ロール52Cは、その缶軸方向の高さは予備カール部19の高さよりも大きく、これにより、予備カール部19の全体を内周側から支持する。これに対して、外側ロール52Dの下端は、予備カール部19の缶軸方向の途中位置に配置される。そして、両ロール52C,52Dを相互に接近させることにより、予備カール部19の内周部を内側ロール52Cにより支持しながら、外周部の上部を半径方向外方から外側ロール52Dにより板厚方向に押しつぶしながら両ロール52C,52Dの間に挟持することにより、
図6(b)に示すように、予備カール部19の下部はそのままにして、上部の半径方向厚さを小さくする。これにより、外側ロール52Dで押圧された部分には、外周側円弧部23b、外周筒部24、外周凹状屈曲部25、外周側上向き屈曲部26aが形成され、その下方に、外周側下向き屈曲部26bが残される。
【0030】
このボトル缶10の口部14にキャップ材3を被着してキャッピング加工を施すためには、例えば、
図8に示すようなキャッピングヘッド70を複数備えるキャッピング装置が用いられる。そして、このキャッピングヘッド70によって、ボトル缶10に対するキャップ材3の被着が行われる。
このキャッピングヘッド70は、キャップ押さえ61を備えたプレッシャーブロック62と、ROロール(ロールオンロール)としての第1ロール63と、PPロール(ピルファープルーフロール)としての第2ロール64とを備えている。プレッシャーブロック62は下端部が筒状に形成されており、その内側に配置されるキャップ押さえ61との間で缶軸方向に相対移動可能であり、キャップ押さえ61との間にばね65が設けられている。また、第1ロール63及び第2ロール64はプレッシャーブロック62の周囲を旋回可能かつ缶軸方向に移動可能に支持されている。
【0031】
そして、ボトル缶10の口部14にキャップ材3を被せた状態でキャップ押さえ61がキャップ材3のキャップ材3の天面部31を押さえ、その状態でプレッシャーブロック62が天面部31の外周部に絞り成形を施すことにより絞り部31aを形成する。また、第1ロール63によりキャップ材3にキャップねじ部38を成形するとともに、第2ロール64により筒下部33bを膨出部15に巻き込んで固定する構成とされる。
このようにキャッピングされることで、キャップ30内のライナ40が、ボトル缶10の口部14に押し付けられ、内部を密封する。
【0032】
以上のように構成したボトル缶10において、カール部18における天頂折り返し部23が缶軸方向の上方に向けて凸となっているので、キャッピングにより、キャップ30のライナ40に天頂折り返し部23が食い込んで密着する。また、プレッシャーブロック62によりキャップ材3の天面部31の周縁部が絞り加工されることにより、ライナ40が天頂折り返し部23の外周側円弧部23bから外周筒部24の外周面に密接させられる。
したがって、天頂折り返し部23から外周筒部24にかけてライナ40に堅固に密着し、その密封性を向上させることができる。
【0033】
この場合、天頂折り返し部23の外周側円弧部23bの曲率半径Rが0.4mm以上1.2mm以下に形成されているので、ライナ40への食い込み量が適切になり、ライナ40に局所的に薄肉部ができてライナ切れの虞が生じるなどの欠陥の発生を防止することができる。
前述したように、特許文献1記載のボトル缶のカール部ではシール切れのおそれがある。この特許文献1ではカール部のサイドでシールする構造としているため、そのサイド面から天頂の間の屈曲部でシール部が薄肉になり、シール切れが生じ易い。これに対して、本実施形態のボトル缶10のカール部18では、天頂折り返し部23が真上に向けられているため、キャップ30のライナ40のシール部43も厚肉に形成しておくことが可能であり、天頂折り返し部23の食い込みによるライナ切れが生じにくくなる。
【0034】
そして、このように、天頂折り返し部23によるライナ40への食い込み、及び外周筒部24によるサイドシールにより、これら天頂折り返し部23から外周筒部24までの間でライナ40の密封層41のシール部43が強固に密着されているので、陽圧状態(炭酸ガス入り飲料、窒素ガス封入飲料等)の内容物の圧力が上昇して、キャップ30の天面部31がライナ40とともに缶軸方向上方へ膨出する方向に変形したとしても、天頂折り返し部23から半径方向外方側のライナ40の持ち上がりが規制され、その密着状態が維持される。このため、密封性を良好に維持することができる。
このようなシール構造において、外周筒部24の外周面にライナ40が密着するシール部分の長さは0.7mm以上であることが好ましい。このため、外周筒部24の外周面の長さLは、1.0mm以上であるとよい。好ましくは、1.5mm以上2.0mm以下がよい。長すぎると、無駄な材料を使用することになり、また、キャップ材3の高さが一定の場合、所定のねじ巻き数やねじピッチが得られなくなるおそれがある。
【0035】
(第2実施形態)
前述の実施形態では、カール部18は、予備カール部19の上部の外周部を半径方向内方に押しつぶして形成したが、
図9及び
図10に示すように、予備カール部19の内周部も半径方向外方に押しつぶすことにより、さらに上部を薄肉にしたカール部81を形成してもよい。
この実施形態のカール部81は、縮径部17の上端の内周側下向き屈曲部21に連続して内周側上向き屈曲部82が形成されることにより、これら内周側下向き屈曲部21と内周側上向き屈曲部82とにより半径方向内方に向けて凸となるように湾曲する内向き湾曲部83が形成され、該内向き湾曲部83の上端から缶軸方向上方に向けて屈曲する内周凹状屈曲部84と、該内周凹状屈曲部84の上端からほぼ円筒状の内周筒部85とが連続して形成され、その内周筒部85の上端に天頂折り返し部86が形成されている。この天頂折り返し部86に、第1実施形態と同様に、外周筒部24、外周凹状屈曲部25、外向き湾曲部26が連続して形成される。
つまり、このカール部81は、その下部に対して、上部の内周部及び外周部の両方が半径方向に押しつぶされている。このため、天頂折り返し部86は、内周側円弧部86aと外周側円弧部86bとがほぼ同じ曲率半径Rに形成され、厚み(内周筒部85の内周面から外周筒部24の外周面までの距離)W2も小さく形成されている。曲率半径Rは0.4mm以上1.2mm以下の曲率半径に形成されている。この実施形態では、カール部81の半径方向に沿う厚さを缶軸方向の途中位置から下方部分に比べて上方部分を小さくする段部は、外周側と内周側との両方に設けられており、外周部側の外周凹状屈曲部25と、内周部側の内周凹状屈曲部85とにより形成される。
キャップ30のシール部43は、天頂折り返し部86から外周筒部24にかけて密着するが、第1実施形態と比べて、天頂折り返し部86の内周側円弧部86aも曲率半径が小さいので、天頂折り返し部86がより強固に食い込んで密着する。
【0036】
(
参考例)
さらに、前述した第1実施形態及び第2実施形態のカール部の形状の場合、マキシキャップ(登録商標)等の金属製キャップ(例えば、実開昭58−161843号公報、国際公開第2007/122971号公報等に開示の金属製キャップ)を巻き締めることも可能である。
このキャップ材100は、
図11から
図13に示すように、アルミニウム又はアルミニウム合金の薄板金属からなり、円板状の天面部101と、天面部101の外周縁から垂直下方に延びるスカート部103と、スカート部103の下縁の一部を面方向に延長するように突出するタブ104と、天面部101の内面からスカート部103の上端部内面にかけて形成されたシール材105とを有しており、天面部101及びスカート部103の外側表面に、スカート部103の下縁におけるタブ104の両側縁からスカート部103、天面部101にわたって一対のスコア106が形成されている。タブ104は、開封時につまむことにより操作されるリング部107と、リング部107とスカート部103との間を連結する連結部38とから形成され、連結部108が所定の幅でスカート部103の下縁に直交する方向に延びている。リング部107は合成樹脂によって形成される場合もある。
【0037】
これらスコア106は、
図12及び
図13に示す例では、タブ104の連結部108とスカート部103との接続位置の両側縁からスカート部103を経由してスカート部103と天面部101との間の屈曲部を乗り越えた後、天面部101においては、その外周に沿うように円弧状に形成され、タブ104とは反対側で再度接近してスカート部103に至る形状に形成されている。スコア106は、このような形状のものの他にも、天面部101においては、天面部101とスカート部103との間の屈曲部を乗り越えた後、中心角90°以内の範囲で円弧状に連なるが天面部101の途中までしか形成されず、スカート部103にタブ104の連結部108との接続位置とは別に、複数のスリット又はスコアを形成したものもある。
【0038】
シール材105は、例えば合成樹脂によってキャップ材100の内面で成形されたものであり、天面部101の内面を覆うように形成されている。また、シール材105の外周部には厚肉のシール部106が環状に形成されており、このシール部106が、ボトル缶90のカール部81に被せられたときにカール部81に接触する。合成樹脂製のシール材以外にも、コンパウンドを塗布したものもある。
【0039】
一方、このボトル缶90にキャップ材100を巻締める装置は、
図11(b)に鎖線で示したように、ボトル缶90のカール部81に被せたキャップ材100の天面部101を上方から押圧するプレッシャーブロック95と、周方向に沿って並べられた複数の爪96と、これら爪96の先端部を半径方向内方に向けて押圧付勢する弾性部材(図示略)とを備えている。爪96は、その先端部の径方向の相互間隔をカール部81の最大径よりも大きく広げることができるが、最も縮小した状態では、カール部81の最大径よりも小さく形成される。
そして、ボトル缶90のカール部81にキャップ材100を被せた後、プレッシャーブロック95によって天面部101を上方から缶軸方向に押圧してシール材105を圧縮した状態で、爪96をスカート部103の高さ方向の途中位置からスカート部103を半径方向内方に矢印で示すように押圧しながら下降させることにより、カール部81の下部の外周面、つまり外向き湾曲部26の外周面に倣わせるようにキャップ材100のスカート部103を変形させつつ、スカート部103の下端部を外向き湾曲部26の外周側下向き屈曲部26bに引っ掛けるように巻締める。
【0040】
この巻締め状態において、キャップ102のシール材105は、
図11(b)に示すように、カール部81の天頂折り返し部86、外周筒部24、外向き湾曲部26に密接する。
また、巻締め時に爪96がキャップ102のスカート部103を押圧しながら下降することから、スカート部103には引っ張り力が作用し、天頂折り返し部86から外向き湾曲部26にかけてシール部106が堅固に密着する。
【0041】
一方、キャップ102を開封する際は、タブ104を起こして、そのままスカート部103のスコア106を破断し、タブ104を引き上げながら天面部101のスコア106を破断する。この天面部101のスコア106を破断すると、このスコア106が天面部101の外周に沿う円弧状に形成されていることから、両スコア106の間の天面部101の中央部が持ち上げられ、その左右の円弧状部がカール部81上に残された状態となる。次いで、そのままタブ104を引き上げれば、両円弧状部がカール部81から離脱して、キャップ102全体がカール部81から外される。
【0042】
(
参考例)
また、この金属製キャップ102が巻締められるカール部としては、第1実施形態のものとは逆に、
図4及び
図15に示すように、予備カール部19の外周面は、変形させずに、上部の内周部のみを半径方向に押しつぶして変形させたカール部110も適用することができる。
このカール部110は、内周部のみに段部が形成されており、縮径部17の上端の内周側下向き屈曲部21に、内周側上向き屈曲部82、内周凹状屈曲部(段部)84、内周筒部85が連続して形成され、その内周筒部85の上端に天頂折り返し部111が形成され、天頂折り返し部111の下端に外周壁部29が形成され、外周壁部29の下端に外周側下向き屈曲部26bが形成される。
また、天頂折り返し部111は、内周側円弧部111aよりも外周側円弧部111bが大きい曲率半径に形成されている。
そして、このカール部110にキャップ材100を被せて、
図12(b)に鎖線で示す巻締め装置によって巻締めると、キャップ材100のスカート部103が外周側下向き屈曲部26bに倣って巻き込まれ、シール部106が天頂折り返し部111から外周壁部29、外周側下向き屈曲部26bに圧接させられ、
図14に示す状態となる。