(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ピックアップは前記直流出力を検知する検知装置を備え、前記割合は前記直流出力と所望の出力との比較に依存している、請求項12に記載の誘導電力伝送ピックアップ。
前記整流器は、複数のダイオードを含むダイオード整流器であり、前記ダイオードの少なくとも2つは前記複数のスイッチにより短絡される、請求項17に記載の誘導電力伝送ピックアップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、先行技術の1つもしくは複数の不利益を克服する、または改善する回路および/または方法を提供する、あるいは別法として、少なくとも有益な選択を公に提供することが、本発明の目的である。
【0007】
本発明のさらなる目的は、以下の説明から明らかになろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様によれば、本発明は、共振回路からの交流入力を含む、誘導電力伝送(IPT)ピックアップのための制御方法であると概して言ってもよく、交流入力は、交流電流を交流入力から整流し、直流電流を直流出力に供給するように適合されたダイオードブリッジに電気的に結合され、方法は、
交流電流の正の期間中に交流電流が共振回路に再循環をもたらすために、ダイオードブリッジの第1のダイオードを選択的に短絡することと、
交流電流の負の期間中に交流電流が共振回路に再循環をもたらすために、ダイオードブリッジの第2のダイオードを選択的に短絡することと、を含み、
該第1および第2のダイオードを短絡することは、それによって交流電流の該正および負の期間の所定の割合が、直流電流を直流出力に供給するように整流され、交流電流の該正および負の期間の残りの割合は、共振回路に再循環される、交流電流と同期される。
【0009】
好ましくは、該所定の割合は、交流電流の正および負の期間のそれぞれの開始時に発生し、該第1または第2のダイオードのそれぞれは、交流電流のそれぞれのゼロ交差に続いて交流電流を導電し、正および負の期間の残りの割合は、適時に該それぞれの第1または第2のダイオードを短絡することによって、再循環される。ダイオードが最初に導電される作動のこの方式は、本文書においてはモードIと呼ばれる。
【0010】
別法として、該所定の割合は、交流電流の正および負の期間のそれぞれの終了時に生じ、該第1または第2のダイオードは、交流電流を最初に再循環させるために、交流電流のそれぞれのゼロ交差時にそれぞれが短絡し、次いでそれぞれの第1または第2のダイオードは、正または負の期間の所定の割合に対して、交流電流を導電させるために短絡されない。ダイオードが最初に短絡される作動のこの方式は、本文書においてはモードIIと呼ばれる。
【0011】
好ましくは、該正および負の期間の所定の割合は、所望の直流出力に比例し、方法は、直流出力を検知し、該所望の直流出力を獲得するために、それに応じて該所定の割合を調節するステップをさらに含む。
【0012】
好ましくは、方法は、該所定の割合をピックアップのスイッチを入れる際に、必要とされる割合まで低速で増加させるステップをさらに含む。
【0013】
好ましくは、方法は、該所定の割合をピックアップのスイッチを切る際に、ゼロまで低速で減少させるステップをさらに含む。
【0014】
好ましくは、該短絡することは、該第1および第2のダイオードのそれぞれと並列して提供される、第1および第2のスイッチを選択的に閉じることによって、選択的に制御される。
【0015】
好ましくは、該第1および第2のスイッチは、該第1または第2のダイオードをそれぞれ導電する際に開く。
【0016】
好ましくは、共振回路は、直並列同調LCL(インダクタ・コンデンサ・インダクタ)ピックアップ回路を含む。
【0017】
第2の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による方法を実行するように適合された、IPTピックアップ制御装置であると概して言ってもよい。
【0018】
第3の態様によれば、本発明は、
交流電流を共振回路から受け取るための入力と、
直流電流を負荷に供給するための出力と、
入力と出力を電気的に結合する制御回路であって、制御回路はダイオードブリッジ、短絡するスイッチ、および該ダイオードブリッジの第1および第2のダイオードを交流電流と同期して短絡するために、該スイッチを選択的に作動するための制御手段を含む、制御回路と、を含む、誘導電力伝送(IPT)ピックアップ制御装置であると概して言ってもよい。
【0019】
好ましくは、該制御手段は、該短絡するスイッチを使用して、該第1および第2のダイオードを選択的に短絡するように適合され、それによって交流電流の正および負の期間の所定の割合のそれぞれは、ダイオードブリッジによって整流され、出力に供給され、交流電流の正および負の期間の残りの割合のそれぞれは、共振回路に再循環される。
【0020】
好ましくは、該短絡するスイッチは、2つのスイッチを備え、該2つのスイッチのそれぞれは、該第1および第2のダイオードのそれぞれに並列に提供され、該第1および第2のダイオードは通常の陽極を有する。
【0021】
別法として、該短絡するスイッチは、通常の陰極を有する2つのスイッチを備えてもよく、それぞれは、第1および第2のダイオードのそれぞれに並列に提供される。
【0022】
好ましくは、スイッチは、MOSFETトランジスタを備え、該第1および第2のダイオードは、該MOSFETトランジスタのボディダイオードを備える。
【0023】
好ましくは、該制御手段は、出力を検知し、所望の出力を獲得するために該所定の割合を調節するように、フィードバックループを形成する検知手段をさらに含む。
【0024】
好ましくは、該制御手段は、交流電流のゼロ交差に関して、第1および第2のダイオードの短絡を同期するために、ゼロ交差検出器をさらに含む。
【0025】
第4の態様によれば、本発明は、本発明の第1の態様による方法を実行するように適合され、かつ/または本発明の第2または第3の態様によるIPTピックアップ制御装置を備える、IPTピックアップであると概して言ってもよい。
【0026】
好ましくは、該共振回路は、直並列同調LCL(インダクタ・コンデンサ・インダクタ)共振回路を備える。
【0027】
第5の態様によれば、本発明は、本発明の第2または第3の態様による、少なくとも1つのピックアップ制御装置、および/または本発明の第4の態様による少なくとも1つのIPTピックアップを備える、IPTシステムであると概して言ってもよい。
【0028】
本発明のさらなる態様は、すべてがその新規の態様であるとみなされるべきであり、以下の説明から明らかになろう。
【0029】
次に、本発明の多くの実施形態を、例として図面を参照して説明する。
【発明を実施するための形態】
【0031】
説明全体を通して、同じ参照番号は、異なる実施形態における同じ特徴を指すために使用される。
【0032】
本発明は、整流および電力調節の両方を達成する、直並列同調LCLピックアップに対する制御方法および/または回路を提供する。本発明は、概して本文書では「循環電流制御」を指す。循環電流制御は、スイッチがIPT軌道周波数と同期的にスイッチングするように制御される、従来のSCR制御清流器と同様の方法で作動する。デューティサイクルは、平滑な平均出力電力が達成され、完全なオン状態と完全なオフ状態との間の平滑な電力伝送を提供する、または高速スイッチング(すなわち、スイッチング周波数が、IPT軌道周波数に類似している、またはIPT軌道周波数と同期する)制御トポロジとして挙動することができることを、確保するように制御される。
【0033】
まず
図1に示された先行技術のピックアップを参照すると、特性インピーダンスXが以下によって得られる。
【数1】
【0034】
上式で、C
sseriesは、出力電流能力を増加するために使用される。L
3およびC
3の値は、整流器が最大出力電力に対する連続導電下で作動するように選択され、また、L
2内の電流を最小にするために、整流器の非線形効果によって導入された、追加のインダクタンスに適合するように設計される。LCLネットワークに対する低速スイッチングコントローラは、並列LC回路において、スイッチが閉じられた際に共振は崩れる場合を除き、並列同調回路と類似した手法で作動し、ここではLCLトポロジにおける完全な共振電流は、依然としてC
2、L
3、C
3および整流器を通って循環する。L
1上のLCLネットワークの反射されたインピーダンスZ
rの実部は、以下によって表される。
【数2】
【0035】
V
DCは、
図2に示されたように、回路の調整された直流出力電圧であり、V
OCは、ピックアップコイルの開回路電圧である。
【0036】
方程式2に示されたように、一次軌道に戻る反射されたインピーダンスは、ピックアップによって引き出される電力に対応し、スイッチデューティサイクルDによって直接制御される。Dの値が1(すなわち、
図1においてスイッチSが閉じたままである)から0(すなわち、スイッチSが開いたままである)に、またはその逆に変化する度に、電源から引き出される電力が変化する。しかし実際には、一次軌道電流もまた、過渡的に低減し、同じ軌道上の他のピックアップへの電力伝送に一時的に影響を与えることになる。
【0037】
図2の例によって示されたように、提案された循環する電流制御回路は、好ましくは、ダイオードブリッジ整流器構成内に4つのダイオード(D
1、D
2、D
3、およびD
4)を備え、スイッチS
1またはS
2を閉じることにより、電流をI
L3の正または負の期間中のそれぞれに交流共振回路内で再循環させるように、第1および第2のダイオード(D
1およびD
2)を短絡するそれぞれのスイッチ(S
1およびS
2)を備える。しかし実際には、ダイオードブリッジの短絡されたダイオードは、スイッチS
1およびS
2を形成するMOSFETトランジスタのボディダイオードを備えてもよい。
【0038】
制御回路は、交流電流入力を直流出力に結合する。
図2では、直流出力は、負荷R
DCに連結されて示されている。また制御回路は、示されたように、容器または出力/負荷を横切って平滑にするコンデンサC
DCを備えてもよい。
【0039】
スイッチS
1およびS
2は、L
3(I
L3)内の共振電流の一部を固定するために使用される。V
g1およびV
g2は、S
1およびS
2を駆動し、たとえばゼロ交差検出器を使用して、以下にさらに詳述されるように、I
L3と同期された、パルス幅変調(PWM)ゲート信号である。本明細書に使用される場合、用語「synchronized(同期された)」、「synchrony(同期性)」などは、交流電流入力に関して、スイッチングが生じたときに注意深く制御することを指すことが意図される。交流入力とスイッチングとの間の位相角は、スイッチングが周期毎に丁度そのときに生じるように、たとえば交流電流入力のゼロ交差と必ずしも同時に起こるわけではないが、制御され、必要な場合は、IPTピックアップ制御装置の出力を調節あるいは制御するように、ゼロ交差に関して変えられる。
【0040】
2つの制御スイッチが、整流器の2つの下部ダイオードより、むしろ2つの頂部ダイオードを短絡するために移動されるのであれば、同様の制御出力を達成することが可能であることは、当業者には明白である。この場合、スイッチS
3およびS
4は、D
3およびD
4を短絡するために作動されることが可能であり、また同様の成果を達成するために、制御(本明細書で論じられたような)の2つの可能な方式で作動されることも可能である。この構成において、S
1に対する本明細書に論じられたゲート駆動信号は、S
4を駆動するために使用されるはずである一方で、S
2に対するゲート駆動は、S
3を駆動するために使用されるはずである。回路の他のこのような変形形態および修正形態は、本発明の範囲から逸脱することなく可能である。
【0041】
本発明のピックアップ制御装置回路は、2つの方法で作動されてもよい。作動の第1の方式は、D
3またはD
4がI
L3の正の期間または負の期間のそれぞれの開始時に導電可能になり、次いでS
1またはS
2をオンにして出力電力を調節するためにI
L3の一部を固定するものである。本文書において先に述べたように、この作動方式はモードIと呼ばれる。
【0042】
作動の第2の方式は、I
L3の正の期間または負の期間の開始時にS
1またはS
2を導電したままに保ち、次いでスイッチをオフにしてI
L3の一部が負荷に伝送可能になるものである。本文書において先に述べたように、この作動方式はモードIIと呼ばれる。
【0043】
スイッチS
1およびS
2は、たとえば、マイクロコントローラおよび/または論理回路などの、あらゆる適切な制御手段を使用して制御されてもよい。また制御手段は、(ピックアップ出力電流、電圧および/または電力を検知するための)検知手段、およびピックアップ回路出力の制御および/または調節が可能なフィードバックループを含んでもよい。したがって、様々な異なる制御手段が、本発明の範囲から逸脱することなく使用されてもよい。適切な制御手段の実施は、当業者に可能な範囲内であるとみなされる。
【0044】
モードIの作動は、
図3の波形に示されている。
【0045】
ゲート信号の立上りエッジ、すなわちV
g1およびV
g2のデューティサイクルは、
図3に示されたように、I
L3の負−正および正−負のゼロ交差のそれぞれを参照して、位相遅延θ1(ダイオード流通期間と呼ばれる)で制御される。
【0046】
t
0において、電流I
L3は丁度正に変わる。第1のスイッチS
1が初期設定でオフである状態で、ダイオードD
3は導電を開始する。次いで電流I
L3は、電流I
L3の正の期間の所定の割合に対して、D
3およびS
2のボディダイオードD
2を介して負荷R
DCに伝送される。LCLネットワークの瞬時出力電圧は、+V
DCに等しい。
【0047】
ダイオード流通期間θ
1が到達するt
1において、S
1はオンされ、I
L3は、電流I
L3の正の期間の残りの割合に対して、負荷R
DCに伝送される電力を停止するために、S
1およびS
2のボディダイオードD
2を介して循環する。その代わりに、電流は共振回路に再循環される。
【0048】
t
2=T/2において、I
L3は、D
4がI
L3の負の期間の所定の割合に対して導電し、回路がS
1のボディダイオード、第1のダイオードD
1で閉じられるように、負に変わる。S
1のボディダイオードD
1が導電される一方で、S
1はゼロ電流でオフされることが可能である。V
LCLの瞬時値は−V
DCである。負荷R
DCに伝送される電力は、一定に維持されている位相遅延(ダイオード流通期間)θ
1を提供する第2の(負の)半周期と同一である。
【0049】
t
3において、ゲート信号V
g2はS
2をオンにして、I
L3の負の期間の残りの割合に対して、S
2およびS
1のボディダイオードD
1を通ってI
L3の循環を保持し、電流の共振回路への再循環を保持する。I
L3がS
1のボディダイオードを通って循環するときは、ゲート信号V
g1はT/2〜Tの間はいつでもS
1をオフにすることができる。
【0050】
こうしてスイッチS
1およびS
2がI
L3と同期するように制御された状態で、出力電流(I
D3+I
D4)は、整流裁断(ほぼ)正弦波である。ダイオード流通期間θ
1または同等のスイッチ流通期間θ
2(ここではθ
2=T/2−θ
1)を制御することにより、平均出力電流は直接に平滑に制御される。θ
1は0からπまで変化することができる。
【0051】
モードIIの作動は、
図4に示されている。モードIIはモードIと非常に似た方式で作動するが、異なるスイッチング手順を有する。ゲート信号の立下りエッジ、すなわちV
g1およびV
g2のデューティサイクルは、
図4に示されたように、I
L3を参照してスイッチ流通期間θ
2で制御される。
【0052】
電流I
L3がt
0において正に変わる前に、スイッチS
1のボディダイオードD
1は、負方向に流れるI
L3ですでにオンされている。したがって、I
L3の負の期間中にS
1をオンすることにより、ゼロ電流/ゼロ電圧スイッチングが引き起こされることになる。
【0053】
t
0において、I
L3は正に変わる。S
1がオンされて、I
L3はS
1およびS
2のボディダイオード、第2のダイオードD
2を通って共振回路に再循環される。I
L3の正の期間のこの割合(モードIの作動における正の期間の「残りの割合」と等しい)に対して、負荷R
DCに伝送される電力はない。
【0054】
スイッチ流通期間θ
2が達するt
1において、S
1はオフされ、I
L3は、I
L3の正の期間の所定の割合に対して、電力を負荷に伝送するために、D
3およびS
2のボディダイオードD
2を介して循環する。この割合の間、瞬時LCL出力電圧V
LCLは+V
DCである。t
0〜T/2の間はいつでも、V
g2はS
1のようにゼロ電流/ゼロ電圧スイッチングでS
2をオンすることが可能である。
【0055】
t
2=T/2において、I
L3は、D
3が静かにオフされ、I
L3がS
2およびS
1のボディダイオードを通って共振回路に再循環するように負に変わる。
【0056】
t
3において、ゲート信号V
g2はS
2をオフすることにより、I
L3が、I
L3の負の期間の所定の割合に対してD
4を通って出力を負荷に伝送可能になる。LCL出力電圧V
LCLの瞬時値は−V
DCである。
【0057】
スイッチ流通期間θ
2およびダイオード流通期間θ
1が一定に保持された状態で、半周期毎に出力に伝送される電力は同一である。
【0058】
スイッチS
1およびS
2の両方のスイッチ流通期間θ
2を、I
L3と同期的に制御することにより、出力電力は直接に平滑に制御される。これは、従来の低速スイッチング制御トポロジに比べて、可変相互結合で出力電力を調節するための機能を提供する。また本発明は、デューティサイクルをゼロ電力から全電力まで増減することにより、低速スイッチング適用において、LCLピックアップの完全なオン状態と完全なオフ状態との間の平滑な伝送を可能にし、それにより軌道電流の一過性障害を最小にする。
【0059】
ダイオード流通期間θ
1またはスイッチ流通期間θ
2のいずれかに関して、直流出力電流の説明のための理論的表現の導出は、実際的ではない。その代わりに、多くの解決策が以下に示される。両方の提案された作動モードのための循環電流制御装置は、様々な比率のV
DC/V
OCでシミュレーションされる。異なるV
DC/V
OC比率に対する正規化された出力電流は、モードIの作動に対して
図5に示されている。ここではI
dc_maxは、LCLピックアップの理想的な最大出力電流であり、以下によって得られる。
【数3】
【0060】
図5に示されたSPICEシミュレーション結果は、出力電流とスイッチ流通期間θ
2との関係が、V
DC/V
OCによって影響を及ぼされないことを実証する。これは、LCLネットワークの出力電流源の特性に起因する。LCLネットワークの理想的な出力直流電流は、ゼロスイッチ流通期間をもつ整流正弦波である。高調波が出力電流の中に整流器によって導入され、これにより、出力電流が理想的な正弦波からわずかに歪曲される。したがって、スイッチ流通期間がゼロでは、正規化された最大出力電流は1ではなく、約0.95である。スイッチ流通期間θ
2が0°から180°に制御されると、出力電力は、
図5に示された関係に従って、正確に制御され調節されることが可能である。
【0061】
図5(およびそれに続く図)に示されたシミュレーション結果は、概ね
図2に示されたように、本発明による回路の特定の例に対するものである。異なるLCL設計(すなわち、異なる誘導および容量値)に対して、出力電流および反射されたインピーダンスの特性は違ってくる。
【0062】
モードIIの作動における様々なV
DC/V
OC比率に対する正規化された出力電流のシミュレーション結果は、
図6に示されている。モードIと同様に、スイッチ流通期間θ
2に関して正規化された直流出力電流は、様々なV
DC/V
OC比率についても同じである。しかし、出力直流電流とスイッチ流通期間θ
2との関係は、完全に異なる。0°〜20°で、出力直流電流は、モードIと同様に減少する代わりに、増加するスイッチ流通期間に伴って増加する。0°〜20°で、直流電流は、スイッチ流通期間の増加に伴って降下する。モードIに比較すると、直流電流の減衰は、モードIIの作動に対しては、はるかに遅い。これは、スイッチング行為によって導入された、追加の電流高調波によって引き起こされると考えられる。モードIの作動では、導入された高調波は、負荷に循環する代わりにスイッチおよびL
3を通って循環する。したがって、0°〜20°のスイッチ流通期間に、I
L3内に導入された電流高調波を有する合成出力直流は、スイッチが完全なオフであるときよりはるかに大きく、異なる全体出力電流の挙動は、これらの2つの作動間で観察される。
【0063】
ピックアップスイッチ流通期間θ
2が0°から180°に変化すると、出力電力は制御されるが、LCL交流基本出力電圧の位相もI
L3に対して変えられる。これにより、両方の作動モードに対して、追加Var負荷がLCLネットワーク内に導入される。このVar負荷は、一次軌道上に反射して戻し、電源をわずかに離調させる。様々なV
DC/V
OC比率に対して、正規化された反射された反応インピーダンスのシミュレーション結果は、作動のモードIおよびモードIIのそれぞれに対して
図7および8に示されている。
【0064】
(
図7に示されたように)モードIの作動では、反射されたインピーダンスは、異なるスイッチ流通期間に対して、誘導性負荷と容量性負荷との間を振幅する。スイッチ流通期間θ
1が0°〜135°に維持される場合、一次軌道によって見られる反射された負荷は、軌道誘導をわずかに増加させる誘導性である。このことが発生するのは、V
LCLの位相がI
L3をもたらすからである。V
LCLとI
L3との位相差が増加すると、反射された誘導性負荷は増加し続ける。これにより、スイッチ流通期間θ
2が減少を開始する約90°に達するまで、反射された誘導性負荷が徐々に速度を落としながら増加する。これは、スイッチ流通期間θ
2の増加に伴い、V
LCLの大きさが減少し続けるからである。したがって、V
LCLとI
L3との位相差が増加すると優勢が少なくなる。スイッチ流通期間θ
2が135°〜180°の間を変化する際は、一次への反射されたインピーダンスは容量性であり、軌道誘導をわずかに低減する。これは、L3とC3を組み合わせたインピーダンスは、整流器によって導入される誘導を適合するために、通常Xより少ないからである。軌道に戻される反射されたインピーダンスの量は、V
DC/V
OC比率に比例する。
【0065】
モードIの作動と異なり、モードIIの作動中の反射されたインピーダンスは、
図8に示されたように純粋に容量性である。これは、V
LCLとI
L3との間の位相がモードIと反対の方法(すなわち、ここではモードIIにおいてV
LCLはI
L3を遅延させる)であることに起因する。最大反射された反応インピーダンスは、90°の同じ流通期間で発生し、モード1作動下である際のように、V
DC/V
OC比率に比例する。
【0066】
本発明の一例示的実施形態は、例によって以下に説明される。2.5kW50Vを実装した提案された循環電流のデューティサイクル制御ピックアップが構築され、市販されているWampfler(商標)10kWのIPT電源を使用して試験された。Wampfler(商標)10kWのIPT電源は、またAGV(無人搬送車)アプリケーションに対してLCL共振ネットワークも使用する。しかし、本発明のピックアップには、当業者には理解されるように、あらゆる適切な電源を使用してもよい。
【0067】
この例のピックアップパラメータおよび軌道誘導は、下の表1に一覧にされている。
【表1】
【0068】
格定電力の半分で作動するピックアップのオシロスコープ・キャプチャは、モードIで作動する
図9に示されている。1番上の波形は、L
3(I
L3)内の電流であり、2番目の波形は、LCL交流出力電圧(V
LCL)であるが、3番目の波形は、D
3およびD
4の合計の出力電流(I
D3+I
D4)である。最後の(1番下の)波形は、信号V
g1を駆動するスイッチゲートである。このキャプチャは、ネットワークV
LCLに変化した交流の出力電圧が、I
L3に対してダイオード流通期間θ
1を制御することによって、首尾よく制御されることを示す。
【0069】
図10は、スイッチゲートが駆動する波形のない、
図10(a)が、格定負荷の1/3での作動を示し、
図10(b)が、格定負荷の2/3での作動を示し、
図10(c)が、格定負荷での作動を示す、他の負荷条件で、モードIで作動するピックアップのオシロスコープ・キャプチャを示す。
【0070】
様々な負荷条件下のピックアップの効率測定が、
図11に示されている。
図11からわかるように、例示的ピックアップは、完全な負荷で88%の効果を達成し、半分の負荷で依然として約85%の効果である。この制御装置は、高効率の達成が困難である50Vおよび50Aで作動する。
【0071】
上に論じたように、本発明の循環電流のデューティサイクルの制御方法は、制御されたスイッチ流通期間に依存して、可変反応インピーダンスを反射する。表1に表されたシステムパラメータで、原型システムの最大反射された反応インピーダンスは、
図7および8を使用して計算できる。
【0072】
モードIの作動で、最大反射された誘導性負荷は、
図7に示されたように、80°のスイッチ流通期間で生じる。最大反射された容量性負荷は180°で生じ、これはピックアップが完全にオフである状態に対応する。計算された最大反射された誘導性インピーダンスは、0.0415Ωであり、これは一次軌道誘導が0.33μH増加することに対応する。Wampfler10kWの一次電源軌道は、+/−2μHの耐性で26μHに調整されるので、Wampfler10kWの一次電源軌道は、2μHまで蓄積するために、80度のスイッチ流通期間で同時に作動する6個のピックアップ制御装置が必要となる。この例示的システムは、電源の過負荷を防止するために、いかなる時も5個以上のピックアップを担うように設計されていないので、反射された誘導性負荷はこの設計において問題はないはずである。一方、最大反射された容量性インピーダンスは、−0.0726Ωであり、これは一次軌道誘導が0.577μH低減することに対応する。閾値−2μHを超えるには、完全にオフである制御装置を4個まで有することになるはずである。
【0073】
モードIIの作動で、反射された反応インピーダンスは純粋に容量性であり、最大反射されたインピーダンスは、上に論じたように、80°のスイッチ流通期間で生じる。表1および
図8を使用すると、最大反射された反応は、−0.151Ωであり、これは一次軌道誘導が1.202μH低減することに対応する。2個以上のピックアップを軌道上で同時にスイッチングする場合、電源への離調効果は、閾値2μHを超えることになる。したがって、この状況下で計算する電流デューティサイクル制御は、ピックアップ制御装置が低速スイッチング制御方法で、完全にオフと完全にオンにされる間を移行する方式として使用されることが可能である。連続したスイッチング(すなわちインターリーブ型スイッチング)制御方法で、電源内の反射された反応過負荷を回避するためにモードIIで作動する際に、2個以下のピックアップを同時に同じ軌道上でスイッチングすることが可能である。しかし、LCL共振ネットワークトポロジに適合する電源は、その設計された値より少ないその軌道誘導に対してより良好な耐性を有する一方で、電源の最大電力定格をわずかに含むに過ぎない。したがって、提案された循環電流のデューティサイクル制御装置によって導入される追加のVar負荷は、一次電源をわずかに離調するが、実際にはこのVAR負荷は、通常のシステムパラメータ耐性によって容易に扱われることが可能である。
【0074】
上に論じたように、本発明の方法は、たとえば、適切なゲート電圧をスイッチS
1およびS
2に提供するように適合したマイクロコントローラなどの、演算手段またはデジタルもしくは混合信号演算装置またはプロセッサの一部の形を含んでもよい、制御手段によって通常実施されるはずである。本発明の方法を実施するプログラム・ソフトウェアからの命令に従って、特定の機能を実行するために一旦プログラミングされると、実施には演算装置は、特に本発明の方法に専用の演算装置になる。このために必要な技法は、埋込み式システムの当業者には周知である。
【0075】
本発明の方法を実施するコンピュータプログラムは、ユーザにフロッピーディスク、CD−ROM、またはUSBフラッシュモモリなどの配布媒体上で配布されてもよい。そこから、コンピュータプログラムは、ハードディスク、埋込み式固体メモリ、または同様の中間記憶媒体にコピーされてもよい。プログラムが実行されると、プログラムはそれらの配布媒体またはそれらの中間記憶媒体のいずれかから、演算手段の実行メモリ内にロードされ、演算手段が本発明の方法に従って作用するように構成する。これらの作動のすべては、コンピュータシステムの当業者には周知である。
【0076】
用語「コンピュータ可読媒体」は、コンピュータの配布媒体、中間記憶媒体、実行メモリ、および本発明の方法を実施する演算装置により後で読み取られるために、記憶可能なあらゆる他の媒体または装置を含む。
【0077】
別法として、本発明の方法は、たとえば、複数の個別の電子部品および/または特別用途向け集積回路(ASIC)により、ハードウェア内全体で実行されてもよい。
【0078】
本発明、特に制御手段は、したがって、本発明の方法を実施するように適合されたコンピュータプログラム、このようなコンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読媒体、および/または本発明の上述の方法を実施するように適合されたハードウェアシステムであると言ってもよい。
【0079】
前述から、ピックアップ制御方法、および低速スイッチング直並列同調LCLピックアップトポロジにおいて出力電力の調節が可能なピックアップ制御装置が、提供されることが理解されよう。この調節により、ピックアップと一次軌道との間の相互結合における変動、および軌道電流の一過性障害を最小にするために、ピックアップ出力レベル間の増減における変動のいずれか、または両方を補償することが可能になる。
【0080】
文脈が明確にそうでないと求めない限り、説明全体を通して、用語「comprise(含む)」、「comprising(含む)」などは、排他的または網羅的意味とは反対に包括的な意味、すなわち、「including(含む)がこれに限定されない」という意味に解釈されるべきである。
【0081】
本発明は、例として、またその考えられる実施形態を参照して説明されたが、修正形態または改良形態が、本発明の範囲から逸脱することなく、それになされてもよいことを理解されたい。また、本発明は、本出願の明細書で言及された、または示された複数の部分、要素もしくは特徴の任意またはすべての組合せにおいて、個別にあるいは集合的に、該部分、要素および特徴であると概して言ってもよい。さらに、公知の等価物を有する本発明の特定の構成部品または完全体を参照した場合、このような等価物は個別に説明されたかのように本明細書に組み込まれる。
【0082】
本明細書全体を通して先行技術のあらゆる検討は、決してこのような先行技術が当技術分野における、広く公知の、または共通一般知識の一部の形である証としてみなされるべきではない。