(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することで、前記第1ハウジングに収容する複数の第1フェルールと、前記第2ハウジングに収容する複数の第2フェルールとを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタであって、
前記第1ハウジングは、前記複数の第1フェルールをそれぞれ収容する複数の第1内部ハウジングと、前記複数の第1内部ハウジングに対する係止が解除可能な第1外部ハウジングとを有し、
前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合が段階的に行われ、
それぞれの前記嵌合の際に、
嵌合した前記第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止を解除する
ことを特徴とする光コネクタ。
第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することで、前記第1ハウジングに収容する複数の第1フェルールと、前記第2ハウジングに収容する複数の第2フェルールとを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタであって、
前記第1ハウジングは、前記複数の第1フェルールをそれぞれ収容する複数の第1内部ハウジングと、前記複数の第1内部ハウジングに対する係止が可能な第1外部ハウジングとを有し、
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させた後、抜去する際に、
前記複数の第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止が段階的に行われる
ことを特徴とする光コネクタ。
第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することで、前記第1ハウジングに収容する複数の第1フェルールと、前記第2ハウジングに収容する複数の第2フェルールとを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタの接続方法であって、
前記複数の第1フェルールをそれぞれ収容する複数の第1内部ハウジングと、前記複数の第1内部ハウジングに対する係止が解除可能な第1外部ハウジングとを有する前記第1ハウジングを準備すること、
前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合を段階的に行うこと、
それぞれの前記嵌合の際に、嵌合した前記第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止を解除すること
を特徴とする光コネクタの接続方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
後述する明細書及び図面の記載から、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することで、前記第1ハウジングに収容する複数の第1フェルールと、前記第2ハウジングに収容する複数の第2フェルールとを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタであって、前記第1ハウジングは、前記複数の第1フェルールをそれぞれ収容する複数の第1内部ハウジングと、前記複数の第1内部ハウジングに対する係止が解除可能な第1外部ハウジングとを有し、前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合が段階的に行われ、それぞれの前記嵌合の際に、嵌合した前記第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止を解除することを特徴とする光コネクタが明らかとなる。このような光コネクタによれば、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0013】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合する際に、前記複数の第1内部ハウジングの内、一の前記第1内部ハウジングが前記第2ハウジングに嵌合した後に、他の前記第1内部ハウジングの前記第1フェルールと、前記第2ハウジングの対応する前記第2フェルールとが突き合わされ始めることが望ましい。これにより、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0014】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合する際に、前記複数の第1内部ハウジングの内、一の前記第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止が解除された後に、他の前記第1内部ハウジングの前記第1フェルールと、前記第2ハウジングの対応する前記第2フェルールとが突き合わされ始めることが望ましい。これにより、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0015】
前記第1内部ハウジングは、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合する方向に垂直な方向に少なくとも3つ配列されており、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合する際に、(1)前記第1ハウジングにおいて中央に位置する前記第1内部ハウジング、(2)中央に位置する前記第1内部ハウジングとは別の前記第1内部ハウジング、(3)前記垂直な方向において、中央に位置する前記第1内部ハウジングに対して前記別の第1内部ハウジングとは反対側に位置する前記第1内部ハウジング、の順に、前記第1外部ハウジングとの間の係止が解除されることが望ましい。これにより、第1コネクタと第2コネクタとを接続する際の第1コネクタの傾きを抑制することができる。
【0016】
前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させた後、抜去する際に、前記複数の第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止が段階的に行われることが望ましい。これにより、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0017】
第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することで、前記第1ハウジングに収容する複数の第1フェルールと、前記第2ハウジングに収容する複数の第2フェルールとを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタであって、前記第1ハウジングは、前記複数の第1フェルールをそれぞれ収容する複数の第1内部ハウジングと、前記複数の第1内部ハウジングに対する係止が可能な第1外部ハウジングとを有し、前記第1ハウジングと前記第2ハウジングとを嵌合させた後、抜去する際に、前記複数の第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止が段階的に行われることを特徴とする光コネクタが明らかとなる。このような光コネクタによれば、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0018】
第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合することで、前記第1ハウジングに収容する複数の第1フェルールと、前記第2ハウジングに収容する複数の第2フェルールとを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタの接続方法であって、前記複数の第1フェルールをそれぞれ収容する複数の第1内部ハウジングと、前記複数の第1内部ハウジングに対する係止が解除可能な第1外部ハウジングとを有する前記第1ハウジングを準備すること、
前記複数の第1内部ハウジングと前記第2ハウジングとの嵌合を段階的に行うこと、
それぞれの前記嵌合の際に、嵌合した前記第1内部ハウジングと、前記第1外部ハウジングとの間の係止を解除することを特徴とする光コネクタの接続方法が明らかとなる。このような光コネクタの接続方法によれば、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0019】
===本実施形態===
<光コネクタ1の全体構成>
図1は、本実施形態の光コネクタ1の全体斜視図である。
図2は、本実施形態の光コネクタ1の正面図、A−A線における断面図及びB−B線における断面図である。なお、
図1及び
図2では、光コネクタ1を接続する前の状態(光コネクタ1が抜去された状態)を示している。
【0020】
以下の説明では、図に示すように各方向を定義する。すなわち、光コネクタ1の着脱方向を「前後方向」とし、光プラグ10及び光レセプタクル60それぞれにおいて接続の相手側を「前」とし、逆側を「後」とする。また、フェルール(プラグ側フェルール31又はレセプタクル側フェルール64)の幅方向を「左右方向」とする。なお、プラグ側フェルール31においては、一対のフェルールピン36が並ぶ方向が「左右方向」でもある。また、フェルール(プラグ側フェルール31又はレセプタクル側フェルール64)の厚さ方向を「上下方向」とする。なお、上下方向は、「前後方向」及び「左右方向」と直交する方向でもある。
【0021】
光コネクタ1は、多心光ファイバを接続するためのコネクタである。
図2に示すように、本実施形態の光コネクタ1は、16心タイプのフェルール(プラグ側フェルール31又はレセプタクル側フェルール64)が上下方向に3個、左右方向に5個配列されている。したがって、本実施形態の光コネクタでは、合計240心の光ファイバを接続することができる。但し、フェルールが保持する光ファイバの心数や、光コネクタ1が有するフェルールの数はこれに限られない。
【0022】
光コネクタ1は、光プラグ10(以下、「第1コネクタ」と呼ぶことがある)と、光レセプタクル60(以下、「第2コネクタ」と呼ぶことがある)とを有する。
【0023】
<光プラグ10の構成>
光プラグ10は、光コネクタ1の接続の際に、可動側となるコネクタである。本実施形態では、作業者は光プラグ10を手に持ち、受け側となる光レセプタクル60に対して差し込むことにより光コネクタ1を接続する。また、作業者は、光プラグ10を光レセプタクル60から抜き出すことにより光コネクタ1を抜去する。
【0024】
光プラグ10は、プラグ側外部ハウジング11(以下、「第1外部ハウジング」と呼ぶことがある)と、複数のプラグ側内部コネクタ12(以下、「第1内部コネクタ」と呼ぶことがある)と、接続保持部13と、カバー部14と、ケーブル筒部15とを有する(
図1及び
図2参照)。
【0025】
プラグ側外部ハウジング11は、複数のプラグ側内部コネクタ12を一括して収容する部材である。プラグ側外部ハウジング11は、前後方向に延在する筒状の部材であり、内部に複数(ここでは5個)のプラグ側内部コネクタ12を一括して収容する。
図1及び
図2に示すように、プラグ側外部ハウジング11の左右の側部には、一対の接続保持部13が設けられている。また、プラグ側外部ハウジング11の後側には、カバー部14が設けられている。
図1及び
図2に示すように、プラグ側外部ハウジング11には収容するプラグ側内部コネクタ12の数に対応する複数の窓部22が設けられ、これらの窓部22から、プラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部ハウジング30)の一部(例えば係合部40)が露出している。この他のプラグ側外部ハウジング11の詳細な構成については、後述する。
【0026】
プラグ側内部コネクタ12は、光プラグ10が有する複数のフェルール(後述するプラグ側フェルール31)のうち、少なくとも1以上のフェルールを含むユニットである。
図1及び
図2に示すように、本実施形態の光プラグ10では、プラグ側外部ハウジング11内において、左右方向に5個のプラグ側内部コネクタ12が配列されている。但し、プラグ側内部コネクタ12の個数や配列の方向はこれに限られない。
【0027】
以下の説明では、5個のプラグ側内部コネクタ12それぞれには、符号に添え字「A」〜「E」を付けている。また、各プラグ側内部コネクタ12の部材・部位にも、それぞれ符号に上記の添え字「A」〜「E」を付けている。また、5個のプラグ側内部コネクタ12に共通の部材・部位を指すときには、添え字を付けないことがある。例えば、プラグ側内部ハウジング30A〜プラグ側内部ハウジング30Eのことを指して単に「プラグ側内部ハウジング30」と呼ぶことがある。
【0028】
図1及び
図2に示すように、本実施形態では、複数のプラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11内において左右方向に配列されているだけでなく、プラグ側外部ハウジング11内において、前後方向の位置が前側からプラグ側内部コネクタ12A〜プラグ側内部コネクタ12Eとなるように配置されている。これにより、プラグ側外部ハウジング11内の中央に位置するプラグ側内部コネクタ12から左右両端に位置するプラグ側内部コネクタ12の順に、レセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合する(後述)。
【0029】
プラグ側内部コネクタ12は、プラグ側内部ハウジング30(以下、「第1内部ハウジング」と呼ぶことがある)と、プラグ側フェルール31(以下、「第1フェルール」と呼ぶことがある)と、プラグ側スプリング32(以下、「第1スプリング」と呼ぶことがある)とを有する(
図2参照)。
【0030】
プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側フェルール31及びプラグ側スプリング32を収容する部材である。プラグ側内部ハウジング30は、前後方向に延在する筒状の部材であり、内部に複数(ここでは3個)のプラグ側フェルール31を収容する。
図1及び
図2に示すように、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11に収容されている。この他のプラグ側内部ハウジング30の詳細な構成については、後述する。なお、複数のプラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とを合わせてプラグ側ハウジング(以下、「第1ハウジング」と呼ぶことがある)と呼ぶことがある。
【0031】
プラグ側フェルール31は、光プラグ10側の光ファイバ2の端部を保持する部材である。プラグ側フェルール31は、例えば、MT形光コネクタ(JIS C 5981で規定される光コネクタ、MT:Mechanically Transferable)のフェルールである。
図2に示すように、本実施形態の光プラグ10では、プラグ側内部ハウジング30内において、上下方向に3個のプラグ側フェルール31が配列されている。但し、プラグ側フェルール31の個数や配列の方向はこれに限られない。
【0032】
プラグ側フェルール31の前側端面は、光コネクタ1を接続する際のフェルール接続端面となっている。また、プラグ側フェルール31は、後側にフェルール鍔部35が形成されている。フェルール鍔部35は、プラグ側フェルール31本体の外周面から外側に突出しているフランジ部分である。フェルール鍔部35は、プラグ側内部ハウジング30の内部に形成された前抜防止突起42と接することによって、プラグ側スプリング32により前方へ押圧されているプラグ側フェルール31の前抜けが防止されている。
【0033】
プラグ側スプリング32は、プラグ側フェルール31とプラグ側内部ハウジング30との位置関係を復元させるための弾性部材である。プラグ側スプリング32は、フェルール鍔部35の後方に設けられたピンクランプ33と、プラグ側内部ハウジング30に固定されたスプリング受け部(不図示)との間で圧縮可能な状態で配置されている(
図2参照)。具体的には、プラグ側スプリング32の前端部はピンクランプ33に保持されており、プラグ側スプリング32の後端部はスプリング受け部(不図示)に保持されている。光コネクタ1の接続時にプラグ側フェルール31の前側端面にレセプタクル側フェルール64の前側端面が突き当たり、プラグ側フェルール31がプラグ側内部ハウジング30に対して後側に移動すると、ピンクランプ33を介してプラグ側スプリング32が圧縮変形する。圧縮変形したプラグ側スプリング32の弾性力によって、ピンクランプ33を介してプラグ側フェルール31が前方に付勢されることになる。また、プラグ側スプリング32の弾性力に抗してプラグ側フェルール31を後方に押し込み可能になっている。
【0034】
接続保持部13は、光コネクタ1の接続状態を保持する部材である。接続保持部13は、光プラグ10のハウジング(プラグ側外部ハウジング11及びプラグ側内部ハウジング30)と光レセプタクル60のハウジング(レセプタクル側ハウジング61)との嵌合状態を保持することで、光コネクタ1の接続状態を保持する。接続保持部13は、プラグ側外部ハウジング11の左右に取り付けられている。
図1又は
図2に示すように、接続保持部13のプラグ側外部ハウジング11への取付け箇所より前側の部分は、一対のラッチ部18が設けられている。また、接続保持部13のプラグ側外部ハウジング11への取付け箇所より後側の部分は、一対のラッチ部18を接続するように設けられた操作レバー16となっている。本実施形態では、光コネクタ1の接続の際、作業者が操作レバー16を下方に押圧することで、接続保持部13のプラグ側外部ハウジング11への取付け箇所に設けられた操作回転軸17を軸として、接続保持部13が回転し、一対のラッチ部18が持ち上がる。そして、光コネクタ1の接続の後、操作レバー16の下方への押圧をやめることで、一対のラッチ部18を光レセプタクル60のラッチ用突起67(後述)に引っ掛けることができる。これにより、光プラグ10のハウジング(プラグ側外部ハウジング11及びプラグ側内部ハウジング30)と光レセプタクル60のハウジング(レセプタクル側ハウジング61)との嵌合状態を保持することで、光コネクタ1の接続状態を保持することができる。また、光コネクタ1の接続状態を保持することで、例えば光プラグ10に接続されたケーブル筒部15に引っ張り力が加わることによる光コネクタ1の不意な抜去を抑制することができる。
【0035】
カバー部14及びケーブル筒部15は、光プラグ10の光ファイバ2を収容する部材である。カバー部14は、光コネクタ1を着脱する際に、作業者が手に持つ部位でもある。カバー部14は、プラグ側外部ハウジング11の後側に取り付けられている。また、ケーブル筒部15は、カバー部14の後側に取り付けられている。
図1に示すように、ケーブル筒部15は蛇腹形状に形成されているが、ケーブル筒部15の形状はこれに限られない。
【0036】
<光レセプタクル60の構成>
光レセプタクル60は、光コネクタ1の接続の際に、受け側となるコネクタである。本実施形態では、光レセプタクル60に対して光プラグ10が差し込まれることにより光コネクタ1を接続する。また、光レセプタクル60から光プラグ10が抜き出されることにより光コネクタ1を抜去する。
【0037】
光レセプタクル60は、レセプタクル側外部ハウジング62と、複数のレセプタクル側内部ハウジング63と、複数のレセプタクル側フェルール64(以下、「第2フェルール」と呼ぶことがある)と、複数のレセプタクル側スプリング65(以下、「第2スプリング」と呼ぶことがある)と、パネル取付部66と、ラッチ用突起67とを有する。
【0038】
レセプタクル側外部ハウジング62は、レセプタクル側内部ハウジング63を収容する部材である。レセプタクル側外部ハウジング62は、前後方向に延在する筒状の部材であり、内部には左右方向に複数(ここでは5個)のレセプタクル側内部ハウジング63を収容する。
図2に示すように、レセプタクル側外部ハウジング62の左右の側部にはパネル取付部66が取り付けられている。
【0039】
レセプタクル側内部ハウジング63は、複数のレセプタクル側フェルール64及び複数のレセプタクル側スプリング65を収容する部材である。レセプタクル側内部ハウジング63は、前後方向に延在する筒状の部材であり、内部には上下方向に複数(ここでは3個)のレセプタクル側フェルール64及び複数(ここでは3個)のレセプタクル側スプリング65を収容する。なお、レセプタクル側内部ハウジング63は、レセプタクル側外部ハウジング62と一体的に形成されても良い。また、複数のレセプタクル側内部ハウジング63とレセプタクル側外部ハウジング62とを合わせてレセプタクル側ハウジング61(以下、「第2ハウジング」と呼ぶことがある)と呼ぶことがある。この他のレセプタクル側外部ハウジング62及びレセプタクル側内部ハウジング63の詳細な構成については、後述する。
【0040】
レセプタクル側フェルール64は、光レセプタクル60側の光ファイバ3の端部を保持する部材である。レセプタクル側スプリング65は、レセプタクル側フェルール64とレセプタクル側内部ハウジング63との位置関係を復元させるための弾性部材である。なお、レセプタクル側フェルール64及びレセプタクル側スプリング65は、プラグ側フェルール31及びプラグ側スプリング32と同様の構成なので、説明を省略する。なお、以下の説明では、レセプタクル側内部ハウジング63と、レセプタクル側フェルール64とを合わせてレセプタクル側サブコネクタ(以下、「第2サブコネクタ」と呼ぶことがある)と呼ぶことがある。レセプタクル側サブコネクタは、レセプタクル側スプリング65をさらに備えても良い。本実施形態の光レセプタクル60は、複数(3個)のレセプタクル側フェルール64をそれぞれ備える複数(5個)のレセプタクル側サブコネクタを有している。
【0041】
パネル取付部66は、光レセプタクル60をフロントパネル6に固定するための部材である。レセプタクル側外部ハウジング62がパネル取付部66によりフロントパネル6に取り付けられることにより、光レセプタクル60はフロントパネル6に固定されることになる。ラッチ用突起67は、光プラグ10の接続保持部13に設けられた一対のラッチ部18が引っ掛かる場所である。ラッチ用突起67は、レセプタクル側外部ハウジング62の左右に設けられている。
【0042】
<光コネクタ1の接続手順>
前述のプラグ側内部コネクタ12は、レセプタクル側ハウジング61に対して嵌合することで、光プラグ10のプラグ側フェルール31と、光レセプタクル60のレセプタクル側フェルール64とが突き合わせ接続される。前述したように、本実施形態では、プラグ側外部ハウジング11内の中央に位置するプラグ側内部コネクタ12から左右両端に位置するプラグ側内部コネクタ12の順に、レセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合する。そして、光プラグ10の全てのプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部コネクタ12A〜プラグ側内部コネクタ12E)がレセプタクル側ハウジング61に対して嵌合することで、光コネクタ1が接続されることになる。
【0043】
図3(
図3A〜
図3C)及び
図4(
図4A〜
図4C)は、光コネクタ1の接続手順のうち、プラグ側内部コネクタ12Aがレセプタクル側ハウジング61に嵌合する手順を示す。プラグ側内部コネクタ12Aのレセプタクル側ハウジング61への嵌合においては、まず、プラグ側内部ハウジング30(プラグ側内部コネクタ12)の係合部40が、レセプタクル側内部ハウジング63(レセプタクル側ハウジング61)の被係合部71に係合した状態である「ハウジング係合状態」となる(
図3C参照)。次に、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41がプラグ側外部ハウジング11の被係止部23に係止された状態が解除され、プラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11に対してフローティングが可能になった状態である「フローティング状態」となる。なお、本実施形態では、フローティング状態は、後述するように、プラグ側内部ハウジング30の係合部40の係合片43が、再びレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態になり、プラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とが所定の位置関係になった状態である(
図4C参照)。フローティング状態となったプラグ側内部コネクタ12はプラグ側外部ハウジング11に対して後退することが可能となるので、光プラグ10の全てのプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部コネクタ12A〜プラグ側内部コネクタ12E)がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合することができる(後述)。以下の説明では、ハウジング係合状態となることを、プラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して「第1嵌合する」と呼ぶことがある。また、フローティング状態となることを、プラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して「第2嵌合する」と呼ぶことがある。さらに、第1嵌合又は第2嵌合、第1嵌合及び第2嵌合を合わせて単に「嵌合」又は「接続」と呼ぶことがある。
【0044】
・ハウジング係合状態
図3A〜
図3Cは、本実施形態の光コネクタ1の接続において、ハウジング係合状態に至るまでの様子を示す断面図である。なお、
図3A〜
図3Bのそれぞれの左側には、光プラグ10の光レセプタクル60に対する位置と光プラグ10が受ける応力との関係を示している。
【0045】
図3Aは、プラグ側フェルール31の端面とレセプタクル側フェルール64の端面とが突き当たる前の状態を示している。
図3Aに示すように、プラグ側フェルール31の一対のフェルールピン36が、レセプタクル側フェルール64のフェルール穴(不図示)に挿入されている。また、レセプタクル側内部ハウジング63に設けられた係合凸部72がプラグ側外部ハウジング11に設けられた凸部21に乗り上げるようにして被係合部71が上部に弾性変形している(凸部21については、
図2参照)。これにより、さらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させる際に、光レセプタクル60の被係合部71が、光プラグ10の係合部40の係合片43を乗り越えることができる。
【0046】
図3Bは、プラグ側フェルール31の端面とレセプタクル側フェルール64の端面とが突き当たった状態を示している。前述したように、プラグ側フェルール31は、プラグ側スプリング32により前方へ押圧されている。また、レセプタクル側フェルール64も、レセプタクル側スプリング65により前方へ押圧されている。このため、作業者は、光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、圧縮変形したプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力を受けることになる。つまり、作業者は、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力に抗して光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させる必要がある。したがって、
図3Bの左側図に示すように、この後、光プラグ10の移動に伴い、光プラグ10の受ける応力は増加していくことになる。
【0047】
図3Cは、プラグ側内部ハウジング30の係合部40の係合片43が、レセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態を示している。すなわち、プラグ側内部コネクタ12とレセプタクル側ハウジング61とのハウジング係合状態を示している。この係合により、プラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64との端面同士の突き当たり面(機械的基準面)が固定される。係合部40の係合片43が被係合部71の係合孔73に係合した状態では、プラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64の端面同士が突き合わされた状態で、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63とが所定の位置関係になっており、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65が所定量で圧縮変形している。このため、係合部40の係合片43が被係合部71の係合孔73に係合した状態では、プラグ側フェルール31及びレセプタクル側フェルール64は、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65によって、所定の押圧力で突き合わせられた状態に固定される。つまり、
図3Cの段階では、プラグ側内部ハウジング30の係合部40と、レセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71との係合箇所において、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力が付与されることになる。このため、
図3Cの左側図に示すように、光プラグ10の受ける応力は大幅に減少する。
【0048】
図3Cの段階では、プラグ側内部ハウジング30に設けられた弾性係止部41の係止片44は、プラグ側外部ハウジング11の被係止部23によって係止されており、プラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とが係止状態(互いに移動できない状態)となっている。
【0049】
・フローティング状態
図4A〜
図4Cは、本実施形態の光コネクタ1の接続において、ハウジング係合状態からフローティング状態に至るまでの様子を示す断面図である。なお、
図4A〜
図4Bのそれぞれの左側には、光プラグ10の光レセプタクル60に対する位置と光プラグ10が受ける応力との関係を示している。
【0050】
図4Aは、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の被押付突起45にレセプタクル側外部ハウジング62の押付部70が当接した状態を示している。前述の
図3Cの段階から、作業者がさらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、ハウジング係合状態が一時的に解除された状態となる。すなわち、プラグ側内部ハウジング30の係合部40の係合片43が、レセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態から離れて、再び圧縮変形したプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力を受ける状態となる。さらに、
図4Aに示す状態では、ハウジング係合状態となる直前と比べて、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65がさらに圧縮変形している。したがって、
図4Aの左側図に示すように、光プラグ10の受ける応力はハウジング係合状態となる直前よりも増加することになる。なお、この段階では、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70は、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の被押付突起45に当接しているが、押付部70は弾性係止部41をプラグ側フェルール31側に弾性変形させておらず、係止解除状態にはなっていない。このため、この段階では、プラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との位置関係は固定されたままである。
【0051】
図4Bは、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の係止片44がプラグ側外部ハウジング11の被係止部23から係止解除する直前の状態を示している。この段階では、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65が最も圧縮変形している状態となる。したがって、
図4Bの左側図に示すように、光プラグ10の受ける応力は最も大きくなる。また、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70がプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41をプラグ側フェルール31側(
図4Bの下側)に弾性変形した状態となっている。なお、
図4Bの段階から、作業者がさらに光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70がプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41をプラグ側フェルール31側(
図4Bの下側)にさらに弾性変形させ、これにより、プラグ側外部ハウジング11の被係止部23によるプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の係止が外れ、係止解除状態になる。これにより、プラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との係止状態が解除され、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動可能になる。
【0052】
図4Cは、プラグ側内部ハウジング30の係合部40の係合片43が、再びレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態を示している。
図4Bに示すように係止解除状態になると、プラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動可能になるため、
図4Cに示すように、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力によってプラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動し、プラグ側内部ハウジング30の係合部40の係合片43が、再びレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態になる。この結果、プラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とが再び所定の位置関係になり、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65が再び所定量で圧縮変形した状態になるため、プラグ側フェルール31及びレセプタクル側フェルール64が、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65によって、再び所定の押圧力で突き合わせられた状態になる(フローティング状態)。フローティング状態では、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63とが所定の位置関係(プラグ側フェルール31及びレセプタクル側フェルール64がプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65によって、所定の押圧力で突き合わせられた状態)を保ったまま、プラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部ハウジング30)がプラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動可能となるので、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力は光プラグ10に対してかからないことになる。このため、
図4Cの左側図に示すように、光プラグ10の受ける応力は再び大幅に減少する。
【0053】
なお、前述したように、作業者は、光コネクタ1の接続作業においては、光プラグ10を光レセプタクル60に移動して行う。このとき、作業者は、ハウジング係合状態及びフローティング状態を意識せずに、光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動するだけで接続作業を完了することができる。
【0054】
図5は、本実施形態の光コネクタ1において、複数のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合する際の、光プラグ10の光レセプタクル60に対する位置と光プラグ10が受ける応力との関係を示す図である。
【0055】
前述したように、光コネクタ1の接続のために、作業者が光プラグ10を光レセプタクル60に対して移動させると、光プラグ10が受ける応力は、ハウジング係合状態の直前までプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力により増加し、ハウジング係合状態になった段階で減少する。また、作業者がハウジング係合状態から光プラグ10を光レセプタクル60に対してさらに移動させると、ハウジング係合状態の直前において光プラグ10が受ける応力からさらに増加していき、フローティング状態の直前で最大となる。
【0056】
仮に、本実施形態の複数(5個)のプラグ側内部コネクタ12がプラグ側外部ハウジング11内において、全て前後方向に同じ位置に配置されていた場合、複数(5個)のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して同時に嵌合することになる。そうすると、フローティング状態の直前で最大となる光プラグ10が受ける応力も、複数(5個)のプラグ側内部コネクタ12の分だけ増大してしまうことになる。このような多心の光コネクタ1を着脱するためには冶具等が必要になってしまい、着脱作業の作業性の低下が問題となっていた。また、このような多心の光コネクタ1をパネル等に高密度に実装させる場合、光コネクタ1を着脱するために冶具を設置する場所を確保することが困難となる恐れがあった。
【0057】
本実施形態の光コネクタ1では、
図2及び
図5に示すように、光プラグ10の複数のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するように設けられている。すなわち、プラグ側外部ハウジング11内において、複数のプラグ側内部コネクタ12の前後方向の位置が前側から段階的に配置されている。そうすると、
図3A〜
図4Cで示した光プラグ10の受ける応力は、
図5の下部に示すように、複数のプラグ側内部コネクタ12毎に段階的に付与されることになる。これにより、光プラグ10の受ける応力が抑制され、多心の光コネクタを容易に接続することができる。
【0058】
また、本実施形態の光コネクタ1では、プラグ側外部ハウジング11内で左右方向に配列された複数のプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部コネクタ12A〜プラグ側内部コネクタ12E)のうち、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aが最初にフローティング状態となる。このように、複数のプラグ側内部コネクタ12のうち中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aが最初にレセプタクル側ハウジング61に嵌合する。言い換えれば、複数のプラグ側内部コネクタ12の内、一部のプラグ側内部コネクタ12(例えばプラグ側内部コネクタ12A)が先行して、対応するレセプタクル側ハウジング61に接続されると共に、一部のプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部コネクタ12A)がプラグ側外部ハウジング11に対してフローティング状態となる。これにより、光プラグ10を光レセプタクル60に接続する際の光プラグ10の傾きを抑制することができる。
【0059】
また、本実施形態の光コネクタ1では、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aがフローティング状態となった後、プラグ側内部コネクタ12Aの右隣のプラグ側内部コネクタ12Bがフローティング状態となる。そして、プラグ側内部コネクタ12Bがフローティング状態となった後は、左右方向において、プラグ側内部コネクタ12Aに対してプラグ側内部コネクタ12Bとは反対側に位置するプラグ側内部コネクタ12Cがフローティング状態となる。なお、プラグ側内部コネクタ12Cは、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aの左隣に位置する。このように、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aがレセプタクル側ハウジング61に嵌合した後、中央に位置するプラグ側内部コネクタ12Aの両隣に位置するプラグ側内部コネクタ12(プラグ側内部コネクタ12B及びプラグ側内部コネクタ12C)がレセプタクル側ハウジング61に嵌合する。これにより、光プラグ10を光レセプタクル60に接続する際の光プラグ10の傾きを抑制することができる。
【0060】
図5の下部に示すように、本実施形態では、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてフローティング状態となった段階(A2)の直後に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始めることになる。これにより、光プラグ10の受ける応力が抑制され、多心の光コネクタを容易に接続することができる。
【0061】
<別の実施形態>
図6A〜
図6Cは、別の実施形態の光コネクタ1において、複数のプラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合する際の、光プラグ10の光レセプタクル60に対する位置と光プラグ10が受ける応力との関係を示す図である。
【0062】
図6Aに示すように、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてフローティング状態となった段階(A2)より後に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始めることになる。
図5に示した例と比べて、
図6Aに示した例では、フローティング状態となった段階(A2)と他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始める段階との間が空いている。これによっても、光プラグ10の受ける応力が抑制され、多心の光コネクタを容易に接続することができる。
【0063】
図6Bに示すように、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてハウジング係合状態となった段階(A1)より後に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始める。
図5に示した例と比べて、
図6Bに示した例では、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてフローティング状態となった段階(A2)より前に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始めることになる。しかし、フェルール同士(プラグ側フェルール31及びレセプタクル側フェルール64)の突き合わせの初期の段階であれば、スプリング(プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65)の弾性力も比較的小さいので、光プラグ10の受ける応力が抑制され、多心の光コネクタを容易に接続することができる。
【0064】
図6Cに示すように、光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる際に、一のプラグ側内部コネクタ12Aにおいてハウジング係合状態となった段階(A1)より前に、他のプラグ側内部コネクタ12Bのプラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始める。この場合においても、光プラグ10が受ける応力が最大となるフローティング状態(A2〜E2)が段階的となっているので、光プラグ10の受ける応力が抑制され、多心の光コネクタを容易に接続することができる。
【0065】
<光コネクタ1の抜去手順>
図7A及び
図7Bは、本実施形態の光コネクタ1の抜去の様子を示す断面図である。光コネクタ1の抜去の前、すなわち光プラグ10を光レセプタクル60から引き抜く前は、プラグ側外部ハウジング11の被係止部23によるプラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41の係止が外れ、係止解除状態となっている。このため、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動可能になっている。
【0066】
図7Aに示す段階では、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70が、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41をプラグ側フェルール31側(
図7Aの下側)に弾性変形させた状態から外れる。つまり、プラグ側外部ハウジング11の被係止部23により、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41は再び係止される。プラグ側外部ハウジング11と、プラグ側内部ハウジング30とは再び係止状態となり、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側外部ハウジング11に対して後側(光レセプタクル60とは反対側)に移動することが規制される。
図7Aに示す段階では、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63とは所定の位置関係になっており、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65が所定量で圧縮変形しているため、光プラグ10の受ける応力は、プラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65の弾性力の影響は受けない。しかし、レセプタクル側外部ハウジング62の押付部70によって、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41をプラグ側フェルール31側(
図7Aの下側)に弾性変形させた状態から外し、プラグ側外部ハウジング11の被係止部23により、プラグ側内部ハウジング30の弾性係止部41は再び係止するための応力がかかる。
【0067】
図7Bに示す段階では、プラグ側内部ハウジング30の係合部40の係合片43がレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態から外れ、所定の位置関係に保持されていたプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63が離間し、プラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64との端面同士の突き当たり面(機械的基準面)の固定が解除される。このとき、所定量で変形していたプラグ側スプリング32及びレセプタクル側スプリング65は、プラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63との離間に伴って、徐々に元の長さに戻る。
図7Bに示す段階でも、光プラグ10には、プラグ側内部ハウジング30の係合部40の係合片43がレセプタクル側内部ハウジング63の被係合部71の係合孔73に係合した状態から外すための応力がかかる。
【0068】
本実施形態の光コネクタ1では、抜去時についても同様に、左右両端に位置するプラグ側内部コネクタ12からプラグ側外部ハウジング11内の中央に位置するプラグ側内部コネクタ12の順に、レセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合が解除されるように設けられるので、前述の光プラグ10の受ける応力が抑制され、多心の光コネクタを容易に抜去することができる。
【0069】
===変形例===
<第1変形例の光コネクタ1>
図8Aは、第1変形例の光コネクタ1の正面図である。前述の実施形態の光コネクタ1では、光プラグ10のプラグ側外部ハウジング11内の中央に位置するプラグ側内部コネクタ12から左右両端に位置するプラグ側内部コネクタ12の順に、レセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するように設けられていた。すなわち、プラグ側外部ハウジング11内において、前後方向の位置が前側からプラグ側内部コネクタ12A〜プラグ側内部コネクタ12Eとなるように配置されていた(
図2参照)。しかし、レセプタクル側ハウジング61に対して嵌合するプラグ側内部コネクタ12の順序はこれに限られない。
図8Aに示すように、プラグ側外部ハウジング11内の左右両端に位置するプラグ側内部コネクタ12から中央に位置するプラグ側内部コネクタ12の順に、レセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するように設けられてもよい。すなわち、プラグ側外部ハウジング11内において、前後方向の位置が前側からプラグ側内部コネクタ12E〜プラグ側内部コネクタ12Aとなるように配置されてもよい。
【0070】
前述したように、プラグ側外部ハウジング11内の中央に位置するプラグ側内部コネクタ12から左右両端に位置するプラグ側内部コネクタ12の順に、レセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するように設けられることで、光プラグ10を光レセプタクル60に接続する際の光プラグ10の傾きを抑制することができた。しかし、このような光プラグ10の傾きが小さい場合では、左右両端に位置するプラグ側内部コネクタ12から中央に位置するプラグ側内部コネクタ12の順に、レセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するように設けられてもよい。このような第1変形例の光コネクタ1によっても、プラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合する。このため、光コネクタ1の接続の際に光プラグ10が受ける応力を抑制することができるので、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0071】
<第2変形例の光コネクタ1>
図8Bは、第2変形例の光コネクタ1の正面図である。前述の実施形態の光コネクタ1では、プラグ側内部コネクタ12がレセプタクル側ハウジング61に対して段階的に嵌合するように設けられていた。しかし、段階的に嵌合する内部コネクタが光レセプタクル60の側に設けられてもよい。
図8Bに示すように、レセプタクル側外部ハウジング62内の中央に位置するレセプタクル側内部コネクタ80から左右両端に位置するレセプタクル側内部コネクタ80の順に、プラグ側ハウジング(プラグ側内部ハウジング30及びプラグ側外部ハウジング11)に対して段階的に嵌合するように設けられてもよい。すなわち、レセプタクル側外部ハウジング62内において、前後方向の位置が前側からレセプタクル側内部コネクタ80A〜レセプタクル側内部コネクタ80Eとなるように配置されてもよい。このような第2変形例の光コネクタ1によっても、レセプタクル側内部コネクタ80がプラグ側ハウジングに対して段階的に嵌合する。このため、光コネクタ1の接続の際に光プラグ10が受ける応力を抑制することができるので、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0072】
===小括===
上記実施形態の光コネクタ1は、
図2に示すように、プラグ側ハウジング(第1ハウジング)とレセプタクル側ハウジング61(第2ハウジング)とを嵌合することで、プラグ側ハウジングに収容する複数のプラグ側フェルール31(第1フェルール)と、レセプタクル側ハウジング61に収容する複数のレセプタクル側フェルール64(第2フェルール)とを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタである。そして、上記実施形態では、プラグ側ハウジングは、複数のプラグ側フェルール31をそれぞれ収容する複数のプラグ側内部ハウジング30(第1内部ハウジング)と、複数のプラグ側内部ハウジング30に対する係止が解除可能なプラグ側外部ハウジング11(第1外部ハウジング)とを有し、複数のプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側ハウジング61との嵌合が段階的に行われ、それぞれの嵌合の際に、嵌合したプラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との間の係止を解除する。これにより、上記実施形態では、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0073】
上記実施形態の光コネクタ1は、
図2に示すように、光プラグ10(第1コネクタ)と光レセプタクル60(第2コネクタ)とを有する光コネクタである。そして、上記実施形態では、光プラグ10は、プラグ側フェルール31(第1フェルール)を後退可能に収容する複数のプラグ側内部ハウジング30(第1内部ハウジング)と、複数のプラグ側内部ハウジング30を収容するプラグ側外部ハウジング11(第1外部ハウジング)とを有し、光レセプタクル60は、複数のレセプタクル側フェルール64(第2フェルール)を後退可能に収容するレセプタクル側内部ハウジング63を有し、光プラグ10と光レセプタクル60との相対位置を近接させて光プラグ10と光レセプタクル60とを接続させる時に、プラグ側内部ハウジング30とプラグ側外部ハウジング11とが係止された係止状態から、プラグ側フェルール31とレセプタクル側フェルール64とが突き合わされてプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側内部ハウジング63とが係合したハウジング係合状態を維持しつつ、係止状態が解除されてプラグ側内部ハウジング30がプラグ側外部ハウジング11に対して移動可能なフローティング状態に切り替わり、複数のプラグ側内部ハウジング30のうちの一のプラグ側内部ハウジング30の係止状態からフローティング状態に切り替わる相対位置と、他のプラグ側内部ハウジング30の係止状態からフローティング状態に切り替わる相対位置とが異なる。これにより、上記実施形態では、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0074】
また、上記実施形態の光コネクタ1では、
図5〜
図6Bに示すように、プラグ側ハウジングとレセプタクル側ハウジング61とを嵌合する際に、複数のプラグ側内部ハウジング30の内、一のプラグ側内部ハウジング30がレセプタクル側ハウジング61に嵌合した後に、他のプラグ側内部ハウジング30のプラグ側フェルール31と、レセプタクル側ハウジング61の対応するレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始める。これにより、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0075】
また、上記実施形態の光コネクタ1では、
図5〜
図6Aに示すように、プラグ側ハウジングとレセプタクル側ハウジング61とを嵌合する際に、複数のプラグ側内部ハウジング30の内、一のプラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との間の係止が解除された後に、他のプラグ側内部ハウジング30のプラグ側フェルール31と、レセプタクル側ハウジング61の対応するレセプタクル側フェルール64とが突き合わされ始める。これにより、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0076】
また、上記実施形態の光コネクタ1では、
図5に示すように、プラグ側内部ハウジング30は、プラグ側ハウジングとレセプタクル側ハウジング61とを嵌合する方向に垂直な方向に少なくとも3つ配列されており、プラグ側ハウジングとレセプタクル側ハウジング61とを嵌合する際に、(1)プラグ側ハウジングにおいて中央に位置するプラグ側内部ハウジング30、(2)中央に位置するプラグ側内部ハウジング30とは別のプラグ側内部ハウジング30、(3)垂直な方向において、中央に位置するプラグ側内部ハウジング30に対して別のプラグ側内部ハウジング30とは反対側に位置するプラグ側内部ハウジング30、の順に、プラグ側外部ハウジング11との間の係止が解除される。これにより、光プラグ10を光レセプタクル60に接続する際の光プラグ10の傾きを抑制することができる。
【0077】
また、上記実施形態の光コネクタ1では、プラグ側ハウジングとレセプタクル側ハウジング61とを嵌合させた後、抜去する際に、複数のプラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との間の係止が段階的に行われる。これにより、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0078】
上記実施形態の光コネクタ1は、プラグ側ハウジング(第1ハウジング)とレセプタクル側ハウジング61(第2ハウジング)とを嵌合することで、プラグ側ハウジングに収容する複数のプラグ側フェルール31(第1フェルール)と、レセプタクル側ハウジング61に収容する複数のレセプタクル側フェルール64(第2フェルール)とを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタである。そして、上記実施形態では、プラグ側ハウジングは、複数のプラグ側フェルール31をそれぞれ収容する複数のプラグ側内部ハウジング30(第1内部ハウジング)と、複数のプラグ側内部ハウジング30に対する係止が可能なプラグ側外部ハウジング11(第1外部ハウジング)とを有し、プラグ側ハウジングとレセプタクル側ハウジング61とを嵌合させた後、抜去する際に、複数のプラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との間の係止が段階的に行われる。これにより、上記実施形態では、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0079】
上記実施形態の光コネクタ1の接続方法は、プラグ側ハウジング(第1ハウジング)とレセプタクル側ハウジング61(第2ハウジング)とを嵌合することで、プラグ側ハウジングに収容する複数のプラグ側フェルール31(第1フェルール)と、レセプタクル側ハウジング61に収容する複数のレセプタクル側フェルール64(第2フェルール)とを、それぞれ突き合わせ接続する光コネクタの接続方法である。そして、上記実施形態では、複数のプラグ側フェルール31をそれぞれ収容する複数のプラグ側内部ハウジング30(第1内部ハウジング)と、複数のプラグ側内部ハウジング30に対する係止が解除可能なプラグ側外部ハウジング11(第1外部ハウジング)とを有するプラグ側ハウジングを準備すること、
複数のプラグ側内部ハウジング30とレセプタクル側ハウジング61との嵌合を段階的に行うこと、
それぞれの嵌合の際に、嵌合したプラグ側内部ハウジング30と、プラグ側外部ハウジング11との間の係止を解除する。これにより、上記実施形態では、多心の光コネクタを容易に着脱することができる。
【0080】
===その他===
前述の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更・改良され得ると共に、本発明には、その等価物が含まれることは言うまでもない。