特許第6546988号(P6546988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6546988防腐キャップのためのストリップパッケージ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6546988
(24)【登録日】2019年6月28日
(45)【発行日】2019年7月17日
(54)【発明の名称】防腐キャップのためのストリップパッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/28 20060101AFI20190705BHJP
   A61M 1/36 20060101ALI20190705BHJP
   A61L 2/18 20060101ALI20190705BHJP
   B65D 75/42 20060101ALI20190705BHJP
   A61L 101/06 20060101ALN20190705BHJP
   A61L 101/08 20060101ALN20190705BHJP
   A61L 101/20 20060101ALN20190705BHJP
   A61L 101/22 20060101ALN20190705BHJP
   A61L 101/34 20060101ALN20190705BHJP
   A61L 101/36 20060101ALN20190705BHJP
   A61L 101/40 20060101ALN20190705BHJP
   A61L 101/44 20060101ALN20190705BHJP
   A61L 101/48 20060101ALN20190705BHJP
【FI】
   B65D81/28 C
   A61M1/36 141
   A61L2/18
   B65D75/42
   A61L101:06
   A61L101:08
   A61L101:20
   A61L101:22
   A61L101:34
   A61L101:36
   A61L101:40
   A61L101:44
   A61L101:48
【請求項の数】17
【全頁数】40
(21)【出願番号】特願2017-510460(P2017-510460)
(86)(22)【出願日】2015年5月4日
(65)【公表番号】特表2017-515766(P2017-515766A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】US2015029019
(87)【国際公開番号】WO2015168677
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2018年5月7日
(31)【優先権主張番号】61/987,981
(32)【優先日】2014年5月2日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514112695
【氏名又は名称】エクセルシオール・メディカル・コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】EXCELSIOR MEDICAL CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・イー・ガードナー
【審査官】 宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0216359(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0109073(US,A1)
【文献】 特開平09−216661(JP,A)
【文献】 特開2002−234567(JP,A)
【文献】 実開昭57−131462(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00−79/02
A61L 2/18
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つのキャップアセンブリであって、前記少なくとも2つのキャップアセンブリの各々が、キャップホルダおよび前記キャップホルダ内に位置決めされた防腐キャップを備え、前記防腐キャップが、チャンバを画定する側壁および前記チャンバ内の防腐物質を備える、キャップアセンブリと、
前記少なくとも2つのキャップアセンブリ上に延在するストリップであって、前記キャップホルダに係合された第1のシール、および前記防腐キャップに係合された第2のシールを備えるストリップと、
を備えるストリップパッケージ。
【請求項2】
前記少なくとも2つのキャップアセンブリの各々が、前記ストリップから個別に取り外し可能である、請求項1に記載のストリップパッケージ。
【請求項3】
前記ストリップと前記キャップホルダとの間に前記第1のシールがあり、前記ストリップと前記防腐キャップとの間に前記第2のシールがある、請求項1または2に記載のストリップパッケージ。
【請求項4】
前記ストリップが穴を備える、請求項1から3のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項5】
未封止部分が前記第1のシールと前記第2のシールとの間にある、請求項1から4のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項6】
前記防腐キャップが、キャップ開口端に近接するキャップフランジをさらに備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項7】
前記キャップホルダが、ホルダフランジを備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項8】
前記防腐物質が、液体を含み、前記液体が、キャップチャンバ内に位置決めされた吸収材料内に放出可能に保持されている、請求項1から7のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項9】
前記防腐キャップが、キャップ外面上で周方向に間隔をあけて並ぶ複数のキャップリブをさらに備え、前記複数のキャップリブが、前記側壁から径方向外向きに、且つ前記側壁に沿って軸方向に延在する、請求項1から8のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項10】
前記キャップホルダが、ホルダ内面上で周方向に間隔をあけて並ぶ複数のホルダリブをさらに備え、前記複数のホルダリブが、前記複数のキャップリブに係合するように構成されている、請求項9に記載のストリップパッケージ。
【請求項11】
前記ストリップが、使用者が前記ストリップパッケージから前記少なくとも2つのキャップアセンブリを切り離すことを可能にするように構成された1つ又は複数のミシン目を備える、請求項1から10のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項12】
前記防腐キャップが、キャップ内面上に一組のねじ山をさらに備える、請求項1から11のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項13】
前記ストリップが、箔を含む、請求項1から12のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項14】
前記キャップアセンブリを取り外すことのできる剥離力が、2重量ポンド未満である、請求項1から13のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項15】
前記防腐物質が、前記防腐キャップの前記側壁の少なくとも一部の上のコーティングを含む、請求項1から14のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項16】
前記第1のシールおよび前記第2のシールのうちの少なくとも一方が、熱接合を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【請求項17】
前記第1のシールおよび前記第2のシールのうちの少なくとも一方が、接着ボンドを含む、請求項1から15のいずれか一項に記載のストリップパッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれている、2014年5月2日に出願した米国仮出願第61/987,981号の優先権を主張するものである。
【0002】
本発明は、キャップ(cap)と哺乳類の身体へのアクセス部位(access site)との間の封止力を高めるためのねじ山カバー(thread cover)を有する防腐キャップ(antiseptic cap)に関する。より具体的には、本発明は、留置する中心静脈カテーテルのアクセス部位に取り付けるための、キャップとアクセス部位との間の封止力を高めるためのねじ山カバーを有する防腐キャップに関する。
【背景技術】
【0003】
カテーテルは、様々な医療処置を必要とする患者を治療するために幅広く使用されている。カテーテルは、短期間の使用のための急性用のもしくは一時的なものであってもよく、または長期間の治療のための慢性用のものであってもよい。カテーテルは通常、患者の血管系へのアクセスを提供するために、末梢静脈部位から中心静脈(大静脈など)に挿入される。カテーテルは、患者にとって多くの利点を提供し、たとえば、慢性カテーテルは、大量の流体、栄養分および薬物の投与、ならびに採血を間欠的に行うために、穿刺または血管挿管を繰り返すことなく、容易なアクセスを提供する。流体を注入するためのカテーテルの使用については、例は、化学療法で使用される薬剤、電解質または流体の注入を含む。化学療法では、カテーテルは、毎日から毎週にわたって間欠的に薬剤を注入するために使用される。別の例は、過栄養治療でのカテーテルの使用を含み、カテーテルは、通常、大量の流体の注入に使用される。
【0004】
血液透析については、カテーテルは、通常、透析治療のために血液を吸引し、治療後に血液をすぐに循環に戻すために、普通は週に3回使用される。血液透析患者用の血管アクセスの好ましい態様は、上肢または下肢の動静脈(AV)瘻、もしくは動静脈「ブリッジ」グラフト(arteriovenous "bridge" graft)(典型的にはPTFEを利用)の使用を伴うが、これらのアクセスデバイスの使用は必ずしも可能ではなく、または望ましくない。血管アクセスのこれらの態様のうちのいずれかが、たとえばAV「シャント」の作成にとって適当な血管が不足していること、または確立されたAVシャントが最適に機能しないことに起因して利用できない場合、典型的には、大口径の静脈ラインカテーテルが血液透析用に必要となる。血液透析用に使用されるカテーテルは、通常、血液透析処置中に必要とされる血液を吸引し、すぐに戻すための、比較的大きい直径の2つの管腔(通常は1つのカテーテルとして成形される)を含む。そのようなカテーテルの一方の管腔は血液の吸引および除去のために使用され、他方の管腔は血液を患者の血流に戻すために使用される。
【0005】
カテーテルの接続、たとえば、透析装置のチュービング、静脈ラインチュービング、注入ポート、およびカテーテルの端を封止してカテーテルの無菌状態を保護し、流体損失および/または粒子汚染を防止するために使用されるカテーテルキャップへの、カテーテルの接続は、ほとんどの場合、医療業界の標準化されたルアーテーパ式フィッティングを利用して行われる。これらのフィッティングは、オスカップリングまたはメスカップリングであってもよく、標準化された寸法のテーパ付き端を含む。カップリングは、噛合部品のプレス嵌めによって行われる。ルアーフィッティングの圧入の完全性を確実にするために、ねじ付きロック嵌めまたは他のタイプの固定機構がよく利用される。
【0006】
カテーテル、特に慢性静脈カテーテルは、それらの使用に問題がある。1つのそのような問題は、そのようなカテーテルが血栓によって閉塞される可能性があるということである。たとえば、カテーテルが本質的に機能しておらず、「中心」静脈(すなわち、上大静脈、下大静脈、腸骨など)の内部に留置されている透析治療の合間などの、使用の合間における血管でのカテーテルの凝固を防止するために、カテーテルの管腔は、しばしば、よく使用される抗凝固剤ヘパリンの濃縮液のロック溶液で充填されている(カテーテル管腔1本当たり最大10,000ユニットのヘパリン)。
【0007】
本明細書で使用されるように、「ロック溶液」または「ロッキング溶液」という用語は、カテーテルの管腔に注射されるかまたは他の態様で注入される溶液であって、典型的には追加の治療、すなわち流体の注入または取り出しのためにその特定の管腔に再度アクセスすることが望まれるか必要とされるまで、ロック溶液の実質的な部分が全身血液循環にではなく管腔に留まることができるように意図されている溶液を指す。それに加えて、血管カテーテルの開存率を改良する目的で、代替的なロック溶液の開発に関心が寄せられてきた。たとえば、低級アルコールを含有するロッキング溶液が開発中であり、低級アルコールは、エタノール、プロパノール、およびブタノールを含む。オプションで、抗菌添加剤およびまたは抗凝固添加剤が、低級アルコールを含有するロッキング溶液に添加されもよい。好ましくは、ロック溶液は、約1時間から3もしくは4日またはそれ以上続く所望の長さの期間にわたって管腔に留まってもよい。
【0008】
上述の理由により、薬物、栄養物、および同様のものをカテーテルに注入する際、および使用の合間にカテーテルを「ロックする」際には、血栓形成または凝固のリスク、過度の抗凝固のリスク、および感染のリスクを含む、留置カテーテルに関連するリスクを最小限に抑えるために、著しい注意が払われなければならない。シリンジは、典型的には、所与の使用の後で留置カテーテルに(カテーテル製造業者によって決定された)必要量のカテーテルロック溶液を投与するために使用される。フラッシュ手順も、カテーテルへの血液逆流を防止するために注意を払うことを必要とする。IV療法における逆流とは、フラッシュ手順の後でカテーテルに引き戻される流体を説明するために一般に使用される用語である。気掛かりなのは、逆流流体が、カテーテルを閉塞させ得る血液または溶液を含有するということである。逆流が発生しないことを確実にするために、フラッシュ手順は、1)フラッシュ溶液送達の最後に、使用者が、静脈ラインをクランプしながら、シリンジプランジャへの圧力を維持すること、または2)フラッシュ溶液の最後の0.5mlを送達しながら、静脈ポートからシリンジを切り離すかまたは静脈ラインをクランプすることという2つの手法を提案している。いずれの手法も、流体および血液の逆流を防止するために、カテーテル内の流体への陽圧を維持する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の問題に鑑みて、カテーテルロッキング手順および患者のケア全体の安全性および有効性を改良するために、カテーテルロック手法、装置および手順における進歩が、引続き必要である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示により、キャップアセンブリのためのパッケージが実現される。パッケージは、キャップホルダに係合された外側シールと、外側シールと実質的に同心となるように配置された内側シールとを備える。内側シールはキャップホルダ内に位置決めされた防腐キャップに係合されている。
【0011】
一実施形態によれば、ストリップパッケージは、少なくとも2つのキャップアセンブリを備える。アセンブリの各々は、キャップホルダと、キャップホルダ内に位置決めされた防腐キャップとを備える。防腐キャップは、チャンバを画定する側壁と、チャンバ内に入る防腐物質とを備える。ストリップは、少なくとも2つのキャップアセンブリ上に延在する。ストリップは、滅菌カバーを有する。ストリップは、キャップホルダに係合された第1のシールと、防腐キャップに係合された第2のシールとを備える。別の実施形態において、ストリップは、キャップホルダに係合された単一のシールを備える。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】中心静脈カテーテルへのアクセス点にシリンジ先端部を接続する前の、防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの斜視図である。
図2】中心静脈カテーテルへのアクセス点にシリンジ先端部が接続された、防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの斜視図である。
図3】中心静脈カテーテルへのアクセス点に防腐キャップを接続する前の、防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの斜視図である。
図4】中心静脈カテーテルへのアクセス点に防腐キャップを接続した後の、防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの斜視図である。
図5】防腐キャップ搭載プランジャの斜視図組立図である。
図6】部分的に組み立てられた状態の防腐キャップ搭載プランジャの斜視図である。
図7】頂部シールを備える図6の防腐キャップ搭載プランジャの斜視図である。
図8】シリンジバレルの管腔に装着された図7の防腐キャップ搭載プランジャの斜視図である。
図9】防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの破断側面図である。
図10】防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの一実施形態の図9の詳細分解図である。
図11】防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの別の実施形態の図9の詳細分解図である。
図12】防腐キャップ搭載プランジャアセンブリのグリップの一実施形態を示す図である。
図13】防腐キャップ搭載プランジャアセンブリのグリップの一実施形態を示す図である。
図14】防腐キャップ搭載プランジャアセンブリのグリップの一実施形態を示す図である。
図15】シリンジバレルに関してプランジャアセンブリの回転を阻止するためのバレルロックを備える一実施形態の防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの図である。
図16】シリンジバレルに関してプランジャアセンブリの回転を阻止するためのバレルロックを備える一実施形態の防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの図である。
図17】シリンジバレルに関してプランジャアセンブリの回転を阻止するためのバレルロックを備える一実施形態の防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの図である。
図18】シリンジバレルに関してプランジャアセンブリの回転を阻止するためのバレルロックの別の実施形態を示す図である。
図19】シリンジバレルに関してプランジャアセンブリの回転を阻止するためのバレルロックを備える別の実施形態の防腐キャップ搭載プランジャおよび逆流防止シリンジバレルアセンブリの図である。
図20】シリンジバレルに関してプランジャアセンブリの回転を阻止するためのバレルロックを備える別の実施形態の防腐キャップ搭載プランジャおよび逆流防止シリンジバレルアセンブリの図である。
図21】シリンジバレルに関してプランジャアセンブリの回転を阻止するためのバレルロックを備える別の実施形態の防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの斜視図である。
図22a】スポンジのない防腐キャップの斜視図である。
図22b】スポンジを有する防腐キャップの斜視図である。
図23】可変グリップ特徴部を有する防腐キャップの異なる実施形態の図である。
図24】可変グリップ特徴部を有する防腐キャップの異なる実施形態の図である。
図25】弁とドッキングする前の図22bの防腐キャップの斜視図である。
図26】弁とドッキングしている図22bの防腐キャップの斜視図である。
図27図26に示されている防腐キャップおよび弁アセンブリの破断側面図である。
図28】防腐キャップの異なる実施形態の破断側面図である。
図29】防腐キャップの異なる実施形態の破断側面図である。
図30】防腐キャップの異なる実施形態の破断側面図である。
図31a】中心に配設された作動ポストが弁上に装着され、弁は停止位置にある、防腐キャップの破断側面図である。
図31b】中心に配設された作動ポストが弁上に装着され、弁は起動位置にある、防腐キャップの破断側面図である。
図32】成形スポンジを有する防腐キャップの異なる実施形態を示す破断側面図である。
図33】成形スポンジを有する防腐キャップの異なる実施形態を示す破断側面図である。
図34】弁にドッキングされた成形スポンジを有する防腐キャップの別の実施形態を示す破断側面図である。
図35】成形スポンジを防腐キャップに取り付けるステップを示す破断側面図である。
図36】防腐剤(antiseptic)化合物をキャップ内に位置決めされた成形スポンジに送達するステップを示す破断側面図である。
図37】防腐キャップが防腐剤コーディングを有する弁にドッキングする防腐キャップを示す破断側面図である。
図38】ブリスタパッケージ内の防腐キャップの斜視図である。
図39】ねじ山カバーを有する防腐キャップの側断面図である。
図40】ねじ山カバーを有する防腐キャップの側断面図である。
図41】ねじ山カバーを有する防腐キャップの側断面図である。
図42a】Cardinal SMART SITEアクセス部位に接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの斜視正面図である。
図42b】Cardinal SMART SITEアクセス部位に接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの斜視背面図である。
図43a】Cardinal SMART SITEアクセス部位に接続されたねじ山カバーのない防腐キャップの斜視正面図である。
図43b】Cardinal SMART SITEアクセス部位に接続されたねじ山カバーのない防腐キャップの斜視背面図である。
図44a】Hospira (ICU) C1000クレーブアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの斜視正面図である。
図44b】Hospira (ICU) C1000クレーブアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの斜視背面図である。
図45a】Hospira (ICU) C1000クレーブアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有しない防腐キャップの斜視正面図である。
図45b】Hospira (ICU) C1000クレーブアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有しない防腐キャップの斜視背面図である。
図46a】B. Braun ULTRASITEアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの斜視正面図である。
図46b】B. Braun ULTRASITEアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの斜視背面図である。
図47a】B. Braun ULTRASITEアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有しない防腐キャップの斜視正面図である。
図47b】B. Braun ULTRASITEアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有しない防腐キャップの斜視背面図である。
図48a】Rymed INVISION PLUSアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの斜視正面図である。
図48b】Rymed INVISION PLUSアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの斜視背面図である。
図49a】Rymed INVISION PLUSアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有しない防腐キャップの斜視正面図である。
図49b】Rymed INVISION PLUSアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有しない防腐キャップの斜視背面図である。
図50】Cardinal SMARTSITE PLUSアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの側断面図である。
図51図50に示されているねじ山カバーと比較したときのCardinal SMARTSITE PLUSアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーおよび縮小された直径を有するねじ山カバーを有する防腐キャップの側断面図である。
図52】代替的外形を有するねじ山カバーを有するHospira (ICU) C1000クレーブアクセスデバイスに接続されたねじ山カバーを有する防腐キャップの側断面図である。
図53】防腐キャップおよびカップホルダ搭載プランジャおよびシリンジバレルシステムの組立図である。
図54】プランジャおよびシリンジバレルシステムに隣接するカップホルダ防腐キャップアセンブリの組立図である。
図55】防腐キャップおよびカップホルダ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリの側面断面図である。
図56a】ドッキングに備えて蓋ストックが剥がされた防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリに隣接する、医療アクセスデバイスの斜視図である。
図56b】防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリにドッキングされた医療アクセスデバイスの斜視図である。
図56c】プランジャおよびシリンジバレルアセンブリに隣接する防腐キャップにドッキングされた医療アクセスデバイスの斜視図である。
図57】シリンジプランジャの開いた空のチャンバに隣接するカップホルダおよび防腐キャップアセンブリの拡大図である。
図58】シリンジプランジャのチャンバ内に位置決めされたカップホルダおよび防腐キャップアセンブリの拡大図である。
図59】シリンジプランジャおよびバレルアセンブリに隣接する防腐キャップアセンブリの代替的実施形態の斜視図である。
図60】シリンジプランジャおよびバレルアセンブリにドッキングされた防腐キャップアセンブリの代替的実施形態の斜視図である。
図61】アセンブリの内部を見せるために外壁が透明になっている、シリンジプランジャおよびバレルアセンブリにドッキングされた防腐キャップアセンブリの代替的実施形態の斜視図である。
図62】防腐キャップホルダアセンブリ用のストリップパッケージの上面図である。
図63図62の直線A-Aに沿って切り取られた断面図である。
図64】ストリップパッケージの側面図である。
図65図63の位置「B」で切り取られた拡大部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は実施形態を多くの異なる形態で受け入れる余地があるものの、本開示が本発明の原理の例示として考えられるべきであり、例示されている特定の実施形態に本発明を限定するよう意図されてはいないという理解の下に、その特定の実施形態が図面に示され、本明細書において詳細に説明される。
【0014】
図1および図2は、防腐キャップ搭載プランジャ(またはピストン)アセンブリ12と、シリンジバレル14とを有する、防腐キャップ搭載プランジャおよびシリンジバレルアセンブリ10を示している。バレル14は、チャンバ18を画定する側壁16を有し、バレルは近位端20と遠位端22とを有する。近位端20は、チャンバ18への開口部23と、壁16から径方向外向きに延在するフランジ24とを有する。フランジ24は上面26と下面28とを有し、アセンブリ10の使用者のための把持面を備える。バレル14の遠位端22は、端壁30と、そこから遠位に延在し、それを通る通路34を有し、チャンバ18と流体的に連通している細長い先端部32とを有する。本発明の好ましい一形態では、遠位端壁30は、一般的に円錐形状であり、当技術分野においてよく知られているように、先端部32を同心円状に包囲し、その内面に一組のねじ山37を有するロッキングルアーカラー35を有していてもよい。ルアーカラー35は、バレル14に針またはカニューレを取り付けること、および当技術分野でよく知られている弁、注射部位、および他の医療アクセスデバイスなどの他のデバイス上にある噛合ねじ山にアセンブリ10をドッキングすることを可能にする。図1は、チュービング41の管腔へのアクセスを制御する弁39を有するアクセス部位38の近くにあるシリンジアセンブリを示している。
【0015】
本発明の好ましい一形態において、シリンジアセンブリ10のチャンバ18は、留置された中心静脈カテーテルで使用するためのロッキング溶液またはフラッシュ溶液で充填される。カテーテルでロッキング溶液またはフラッシュ溶液を使用する方式は、当技術分野でよく知られている。好適なロッキング溶液またはフラッシュ溶液について以下に述べる。フラッシュ溶液またはロッキング溶液は、カテーテルを洗浄し、消毒するためにカテーテルの流体アクセス部位に注入され、カテーテルから引き出すことが可能であるか、またはカテーテルの端部に留まり、病原菌および汚染物質の侵入に対する障壁として機能し得る。
【0016】
防腐キャッププランジャアセンブリ12は、細長いシャフト40と、近位端42と、遠位端44とを有する。細長いシャフト40は、本発明の好ましい一形態において、断面形状が一般的に十字型である。ストッパまたはピストン50がプランジャ40の遠位端44に接続されている。ピストン50は、シリンジバレルのチャンバ18内に挿入されたときにピストン50の外周面がシリンジバレルの内面54と流体密封係合するように、寸法決めされている。ピストンアセンブリ14は、近位に動かされたときに(または引き抜かれると)流体をチャンバ内に引き込むことができ、遠位に動かされたときに(またはシリンジチャンバ内に挿入されたときに)流体をチャンバから追い出すことができる。図1は、シリンジチャンバ内に部分的に挿入されたピストンアセンブリ12を示し、図2は、流体をチュービング41に送達するためにシリンジチャンバ内に完全に挿入されたピストンアセンブリを示している。
【0017】
ハウジング60が、プランジャアセンブリ12の近位端42にあり、キャップなどの任意の好適な構造または材料によって、または箔材料68によって封止され得る開放端66を有するチャンバ64を画定する壁62を有している。オプションの環状フランジ70が、壁62から径方向外向きに延在しており、封止構造が取り付けられ得る表面を備える。
【0018】
図5は、ハウジング60のチャンバ64の近くにあるキャップアセンブリ80を示し、図6は、チャンバ64内に位置決めされたキャップアセンブリ80を示している。本発明の好ましい一形態において、キャップアセンブリ80は、スポンジなどの吸収材料86を含有するチャンバ84を画定する壁83を有するキャップ82を有する。スポンジ86は、本発明の好ましい一形態において、防腐剤、抗凝固剤、または抗菌剤などの薬剤(「防腐剤液」)で濡らされるか、またはこれに浸されており、以下に述べるロッキング溶液およびフラッシング溶液、または以下に述べる防腐液から選択され得る。キャップ82は、アクセス部位38上の一組のねじ山と噛合する一組のねじ山88を有する内面87を有する。
【0019】
図7および図8は、接着剤、または伝導もしくは誘導熱封止手法などの任意の好適な方法によってフランジ70に取り付けられ得る箔材料または蓋ストック材料68で封止されたキャップアセンブリ80を示している。図7は、防腐キャップピストンアセンブリ12を示し、図8は、防腐キャップ搭載ピストンおよびシリンジバレルアセンブリ10を画定するためにシリンジバレル14のチャンバ内に挿入された防腐キャップ搭載ピストンアセンブリ12を示している。
【0020】
図3および図4は、アクセスデバイス38とのドッキングによってキャップアセンブリ80を利用するための1つの可能な方法を示している。図3は、フランジ70から剥がされた蓋ストック68を示し、図4は、弁39への防腐キャップアセンブリ80のドッキングを示している。防腐キャップアセンブリ80のねじ山88とアクセス部位38のねじ山とを係合させるために、シリンジバレルは時計回りまたは反時計回りに回転させる。係合後、シリンジバレル14はアクセス部位38から離れるように動かされ、防腐キャップアセンブリ80はハウジング60から外向きに摺動し、アクセス部位38にドッキングされたままになる。防腐キャップアセンブリ80は、数分から数時間のうちの任意の好適な期間の間、アクセス部位38の弁39にドッキングされたままであってもよい。防腐キャップアセンブリ80が弁39にドッキングされると、チュービングまたはカテーテル41は、病原菌および汚染物質のカテーテル内への侵入を阻止するために封止され、アクセス部位38の一部が、スポンジ86の防腐材料にさらされる。
【0021】
防腐キャップのねじ山88がアクセス部位38のねじ山と完全に係合できるまで、シリンジバレルの回転中に、防腐キャップアセンブリ80がハウジングに関して回転しないこと、および/またはオプションで、プランジャアセンブリ12がシリンジバレル14に関して回転しないことが望ましい。本発明は、プランジャアセンブリ12に関する防腐キャップアセンブリ80の回転を防止するための、アセンブリ10に関連付けられている機構、およびより好ましくは、防腐キャップ80とプランジャアセンブリ12との間の相対回転運動を防止するための、プランジャアセンブリまたは防腐キャップ80上の機構を実現する。本発明のさらにより好ましい一形態において、プランジャアセンブリ12に関する防腐キャップ80の相対回転を防止するための機構は、組み立てられたときに協働可能に互いに係合して相対回転を防止する、双方の部品上の噛合部を有する。また、この目的を達成するために、別個の機構、デバイス、または部材が、これら2つの部品をともにロックすることに使用され得ることも企図される。
【0022】
アセンブリ10の使用者が、防腐キャップおよびプランジャアセンブリ12によってアセンブリ10を把持する場合、ピストンアセンブリ12とシリンジバレル14との間の連動構造は必ずしも必要ではない。したがって、図5図9図11は、防腐キャップアセンブリ80およびハウジング60がともに回転し、一方の部品が他方の部品とは異なる方向または速度で回転しないようにハウジング60の内部に防腐キャップアセンブリ80をロックするための例示的な構造を示している。さらに、図15図18は、防腐キャッププランジャアセンブリ12をシリンジバレル14と連動させるための例示的な構造を示している。
【0023】
本発明の好ましい一形態において、ハウジング60は、防腐キャップ80の外面83と締まり嵌めを形成する特徴部または構造を有する。さらにより好ましくは、ハウジング60の側壁62の内面63は、防腐キャップアセンブリ80の一部と締まり嵌めを形成するための特徴部または構造を有する。本発明の別の好ましい形態において、防腐キャップアセンブリ80は、ハウジング60と締まり嵌めを形成するための特徴部を有し、さらにより好ましくは、防腐キャップ80の外面83は、ハウジング側壁62の内面63に接触するための特徴部を有する。
【0024】
本発明の別の好ましい形態において、プランジャハウジング60およびキャップアセンブリ80は各々、キャップアセンブリ80およびハウジング60の相対回転を防止するために互いに協働して係合する特徴部または構造を有する。図5は、ハウジング60の内部に位置決めされたときのキャップアセンブリ80の回転を防止するために、キャップアセンブリ80を所定の場所にロックするように防腐キャップ82の壁83と係合させるための、ハウジング側壁62の内面63上の、周方向に間隔をあけて並び、軸方向に延在する複数のリブ100(内側リブ100)を有する、本発明の好ましい一形態を示している。本発明の好ましい一形態において、内側リブ100は、底壁102からハウジング側壁62の中間高さまで延在している。本発明の好ましい一形態において、内側リブ100は、キャップ82の高さとほぼ等しい高さを有する。各組の隣接する内側リブ100の間に、複数の内側スロット108が画定される。内側リブ100は、本発明の好ましい一形態において、内側リブの幅がリブの底106からリブの頂部104へと減少するように、底壁102の近くから内側リブ100の頂部104へと内向きに先細りになる幅を有する。また、内側リブ100の頂部は、ハウジング60への防腐キャップアセンブリ80の挿入時に導入部として作用するように、一般的に弓状の外形を有することが好ましい。本発明の好ましい一形態において、内側リブ100は、ハウジング側壁62の頂部113の手前で終わって、リブの頂部104と頂部113との間に環状間隙111を画定する。また、キャップ82の内面63から径方向内向きに延在しているのは、側壁62の頂部113の近くに位置決めされた戻り止め109である。
【0025】
防腐キャップ82は、キャップ82のキャップ83の外面121に沿って延在する、周方向に間隔をあけて並ぶ、軸方向に延在する複数のリブ120(外側リブ120)を有する。本発明の好ましい一形態において、外側リブ120は、キャップ82の近位端124の環状フランジ123からキャップ82の遠位端126の近くの位置までの間に延在する。外側リブ120は、キャップアセンブリ80およびプランジャアセンブリ12の相対回転を防止するように、ハウジング62の内壁面63の一部と係合するように寸法決めされている。外側リブ同士の間の間隔は、隣接する各対の外側リブ120の間に複数の外側スロット122を画定する。キャップ82がチャンバ64内に位置決めされたときに(図9および図11)、外側リブ120の各々は内側スロット108内に位置決めされ、内側リブ100の各々は外側スロット122内に位置決めされ、これらの部品をともにロックし、キャップがプランジャロッドアセンブリ12と同じ方向に回転することを確実にする。図6および図11は、また、キャップ82がハウジング60内に位置決めされたときに、戻り止め109が環状フランジ123に接触してキャップアセンブリ80をプランジャハウジングチャンバ64内に保持し、キャップアセンブリ80をアクセス部位38にドッキングする前にキャップアセンブリ80がハウジングチャンバ64から意図せず落下することを防止または阻止する。
【0026】
図12図14は、アセンブリ10またはプランジャアセンブリ12の使用を円滑にするための(蓋ストック68が取り外された)ハウジング60上の把持面のいくつかの実施形態を示している。図12は、壁62の外面上の、軸方向に延在し、周方向に間隔をあけて並ぶ隆起部130を示している。隆起部130は、円形、多角形、楕円形、および不規則形状を含む多くの異なる断面形状を有していてよく、本発明の好ましい一形態では、フランジ70からハウジングの底へと延在する。
【0027】
図13は、フランジ70を有せず、ハウジング60の実質的に全高にわたって延在する壁62上の隆起部130を有する、ハウジング60を示している。図14は、壁62の外面が比較的滑らかではあるが、周方向に間隔をあけて並び、軸方向に延在する一連の隆起部130をフランジ70の周縁上に有する、ハウジング60を示している。
【0028】
キャップおよびプランジャアセンブリの回転ロック構成または構造と同様に、オプションのプランジャアセンブリ12およびシリンジバレル14のロッキング特徴部または構造は、プランジャアセンブリ12上にだけ、またはシリンジバレル14上にだけ位置決めされ得るか、またはプランジャアセンブリ12およびシリンジバレル14の両方の上に協働する構造を有していてもよい。また、この目的を達成するために、別個の機構、デバイス、または部材が、これら2つの部品をともにロックすることが可能であることも企図される。
【0029】
図15図18は、シリンジバレル14に関して回転運動しないようにプランジャアセンブリ12をロックするためのオプションの特徴部に対する様々な実施形態を示している。図15図17および図21に示されている一実施形態において、ハウジング側壁62の外面に沿って軸方向に延在するウイング150が、シリンジバレル14の内面上のその近位端20のところに位置決めされた歯152と係合する。より好ましくは、プランジャアセンブリ12は、各ウイングが他のウイングから周方向に間隔をあけて並ぶ複数のウイング150を有する。本発明のさらに好ましい一形態において、プランジャアセンブリは、互いから90度間隔をあけて並ぶ4つのウイング150を有する。また、本発明のより好ましい一形態において、シリンジバレル14は、周方向に間隔をあけて並ぶ複数の歯152を有する。プランジャアセンブリ12がシリンジバレル14内にほぼ完全に挿入されたときに、ウイング150の各々は歯152内に貫入し、シリンジバレル14に関するプランジャアセンブリ12の回転を防止する。
【0030】
図18は、シリンジバレル14に関するプランジャアセンブリ12の回転を防止し、また部品の相対並進運動も防止する、ロッキング特徴部の別の実施形態を示している。この実施形態では、シリンジバレルの内面上のその近位端20のところに位置決めされた環状隆起部160が、プランジャロッドの外面上の環状戻り止め162と係合する。
【0031】
図19および図20は、防腐キャップ搭載プランジャアセンブリ12と、逆流防止シリンジアセンブリ170とを示している。逆流防止シリンジは当技術分野でよく知られており、中心静脈カテーテルのアクセス部位にアクセスしながら逆流を減少させるための方法論は数多くある。この実施形態では、ピストン50がシリンジ遠位端壁30の内面と接触する前に、プランジャアセンブリ12の環状フランジ70がシリンジバレルのフランジ24と当接する。
【0032】
本発明の防腐キャップアセンブリ80は、プランジャまたはシリンジバレルと連結されるか、または組み合わされる必要はないことが企図されている。図22aおよび図22bは、キャップアセンブリの使用者の手で把持するための周方向に間隔をあけて並ぶ3つのリブ120を有する、単体の防腐キャップアセンブリ200を示している。図22aは吸収材料86のないキャップ82を示し、図22bは吸収材料を有するキャップを示している。キャップ200は、上述のキャップアセンブリ80と同じ目的のために使用され得るが、手でも使用される。キャップ200はシリンジプランジャによって運ばれるチャンバ内に嵌まるように寸法決めされる必要がないという点を除き、キャップ200の他のすべての特徴は、本質的に上述のものと同じである。図23および図24は、リブ120の様々な頻度、ならびに様々な形状およびサイズを示している。
【0033】
図25は、アクセス部位38の近くのキャップ200を示し、図26および図27は、アクセス部位38にドッキングされているキャップ200を示している。
【0034】
好適な吸収材料86は、防腐剤液、または他の医療目的を有する液体を保管し、放出することができる医療グレードの材料を含み、スポンジ、破裂性カプセル、および他の材料などの材料、またはこの目的を果たすことができるデバイスを含む。好適なスポンジは、医療目的のための使用に好適な任意のスポンジを含むものとしてよく、天然素材または合成素材であってもよい。スポンジは好適な形状に打ち抜かれ得るか、または所望の形状に成形され得る。スポンジ86は、スポンジ86がキャップ82から意図せず落下することを防止するように、防腐キャップ82に取り付けられることが望ましい。図28は、スポンジ86が、当技術分野でよく知られている超音波溶接もしくは振動溶接または他の手法などの任意の好適な方法によって、環状壁202とキャップ82に取り付けられたディスク204との間に捉えられていることを示している。
【0035】
図29および図30は、図28のキャップアセンブリ200の変形例を示している。この実施形態では、スポンジは、プラスチックシート206がキャップに熱溶接されているキャップ82内に保持されている。本発明の好ましい一形態において、スポンジは接着剤または他の方法によって取り付けられてアセンブリを形成し、次いで、アセンブリはキャップに取り付けられる。
【0036】
図31aおよび図31bは、作動ポスト220を覆って嵌まるように中央に位置決めされている穴を有するスポンジ86によって周方向に包囲された、同軸状に配設され、軸方向に延在する作動ポスト220を有するキャップ200を示している。図31aは、アクセス部位38と最初に係合しているキャップ200を示しており、図31bは、キャップがアクセス部位38にねじ込まれ、作動ポストが弁39を開放し、防腐剤液が弁内に流され得ることを示している。
【0037】
図32図34は、本発明の好ましい一形態において、様々な所望の形状に成形された、様々な形状のスポンジを示している。図34のスポンジは、キャップへのスポンジの取付け、および上に述べたような防腐剤流体、抗凝固流体、または他の好適な流体のスポンジへの充填を円滑にするための中央開口部230を有する。図35は、中央に配設されたエネルギーディレクタ231と、エネルギーディレクタ231とは反対のスポンジの側でスポンジと協働するよう係合された超音波溶接器232とを有するキャップを示している。超音波エネルギーを加えることにより、エネルギーディレクタ231はスポンジを溶かしてキャップに取り付ける。図36は、管腔242と、防腐剤、抗凝固剤、または同様のものの供給源と流体的に連通して、そのような計量された量の流体をスポンジの内部に分注するための分注ヘッド244とを有する、充填デバイス240を示している。
【0038】
図37は、スポンジが作動ポスト220上の防腐コーティングに置き換えられている、防腐キャップ200の代替的実施形態を示している。
【0039】
図38は、ブリスタパックを封止する前のブリスタパック233内に位置決めされた防腐キャップ200を示している。
【0040】
図39は、ねじ山カバー302を有する防腐キャップ300を示している。ねじ山カバー302は、本明細書で説明されている防腐キャップの一部であってもよい。ねじ山カバー302は、手によって加えられる適度な力が加えられると撓むことができる変形可能な材料で作られる。本発明の好ましい一形態において、ねじ山カバー302は、ポリマー含有材料、およびより好ましくは、弾性係数が20,000psi未満であるポリマー材料から作られる。本発明の別の好ましい形態において、ポリマー材料は、エラストマーもしくはプラストマーまたは同様の材料である。ねじ山カバー302は、防腐キャップ300と弁または他のアクセスデバイス38などのデバイスとの接続を強化する。ねじ山カバー302は、防腐キャップ300およびそれがドッキングされるアクセスデバイスまたは弁の噛合ねじ山を通して病原菌、埃、または他の汚染物質が侵入することに対する物理的な障壁を提供する。ねじ山カバー302はまた、防腐キャップ300からの防腐剤流体がねじ山を通して漏れないように保持する働きをする。ねじ山カバーは、オーバモールディングなどの当技術分野でよく知られている手法を用いて、または熱伝導溶接、熱誘導溶接、振動溶接などの溶接技術、伸張、または摩擦嵌めを用いて別個の部品として取り付けることによって、または好適な接着剤を使用することによって、防腐キャップ300の一部にされるものとしてよい。
【0041】
ねじ山カバー302は、大半の市販の弁、コネクタ、およびアクセスデバイスへのユニバーサルフィットを備えることができるか、または、ねじ山カバー302は、特定のアクセスデバイスとドッキングするようにカスタマイズされ得る。
【0042】
図39は、上で説明されているように、防腐キャップ300が、第1の端部306と第2の端部320とを有する環状壁305を有し、第1の端部は第2の端部よりも直径寸法が大きいことを示している。環状壁は、開放端323を有する中央チャンバ322を画定する。本発明の好ましい一形態において、チャンバ322は、図39には図示されていないけれども、上述の図5および図6に示されているような、中に位置決めされたスポンジ86を有する。ねじ山カバー302は、オプションの接着層304によって、環状壁305の第1の端部306に取り付けられているように図示されている。ねじ山カバー302は、第1の脚部308と第2の脚部310とを有する。第1の脚部308は、環状壁305と平行に延在しており、第2の脚部310は、環状壁305から径方向内向きに、第1の脚部308を横断して開放端323の一部を横切る方向に延在し、チャンバ322への、開放端323と比較したときに小さい直径を有する中央開口部312を画定する。第2の脚部310は、丸みを帯びた外面332を有する遠位端330を終端としている。
【0043】
図40は、第1の脚部308および第2の脚部310の両方が接着層304a、304bを通して環状壁305の第1の端部306に取り付けられているねじ山カバー302を有する防腐キャップ300の代替的実施形態を示している。第1の端部306の頂面340は、第1の端部の残りと同じ厚さまたは直径寸法を有するように図示されているが、頂面は、図5に示されているような径方向に延在するフランジ123を有し得ることが企図される。
【0044】
図41は、図39および図40に示されている座繰り336を含まないことによって、これらの図面に示されている防腐キャップとは異なる防腐キャップ300の代替的実施形態を示している。座繰り336は縮小された直径を有するチャンバをもたらし、したがって、座繰りを含まない図41に示されているキャップと比較したときにより狭い外径を有するアクセスデバイスとのより密な嵌合を形成する。これは、キャップとアクセス部位との間の接続を強化するように防腐キャップの幾何学的形状になされ得る修正のほんの一例である。
【0045】
図42a図42bは、Cardinal SMART SITEアクセス部位350に接続されたねじ山カバー302を有する防腐キャップ300の正面図および背面図を示している。図43a図43bは、Cardinal SMART SITEアクセス部位に接続されたねじ山カバー302のない防腐キャップの斜視正面図および斜視背面図である。
【0046】
図44a図44bは、Hospira (ICU) C1000クレーブアクセスデバイス352に接続されたねじ山カバー302を有する防腐キャップ300の斜視正面図および斜視背面図である。図45a図45bは、Hospira (ICU) C1000クレーブアクセスデバイスに接続された、ねじ山カバー302を有しない、防腐キャップの斜視正面図および斜視背面図である。
【0047】
図46a図46bは、B. Braun ULTRASITEアクセスデバイス354に接続されたねじ山カバー302を有する防腐キャップ300の斜視正面図および斜視背面図である。図47a図47bは、B. Braun ULTRASITEアクセスデバイスに接続されたねじ山カバー302を有しない防腐キャップの斜視正面図および斜視背面図である。
【0048】
図48a図48bは、Rymed INVISION PLUSアクセスデバイス356に接続されたねじ山カバー302を有する防腐キャップの斜視正面図および斜視背面図である。図49a図49bは、Rymed INVISION PLUSアクセスデバイスに接続されたねじ山カバー302を有しない防腐キャップの斜視正面図および斜視背面図である。
【0049】
図50図52は、ねじ山カバー302の様々な実施形態を示している。図50図51との違いは、図51では、第2の脚部310が、図50に示されているものよりも、チャンバの開口部を横切ってさらに遠くまで延在している点である。図52は、区分化された第2の脚部310a、310bを有するねじ山カバー302の別の実施形態を示している。この実施形態は、特定のアクセスデバイスに対してより効果的な封止をもたらすために望ましい場合がある。
【0050】
図53は、キャップホルダ402を部品のシステムに組み込んだ、上述のシリンジバレルアセンブリ10の代替的実施形態400の分解図を示している。そのため、代替的なアセンブリおよびシステム400は、防腐キャップおよびキャップホルダ搭載プランジャアセンブリ12'と、シリンジバレル14と、(オプションのねじ山カバー302とともに図示されている)防腐キャップ82と、吸収材料86と、剥離可能な蓋ストック68とを有する。図54は、防腐キャップアセンブリ80がキャップホルダ402のチャンバ406内に位置決めされている、キャップホルダ402を含む防腐キャップホルダアセンブリ404の分解図を示している。この実施形態400は、プランジャアセンブリおよびシリンジバレルとは別に、アセンブリ400の製造、組立、および殺菌を行うことを可能にする。
【0051】
キャップホルダ402は、近位端408および遠位端410と、内壁面412および外壁面414と、チャンバ406内への開口部416と、開口部416の周囲にあり、キャップホルダ402の近位端408から延在する、径方向外向きに延在するフランジ418とを有する。キャップホルダ402はまた、オプションの底壁419を有する。
【0052】
本発明の好ましい一形態において、キャップホルダ402または防腐キャップ82は、防腐キャップアセンブリ80がアクセスデバイス38にしっかりとドッキングされるまで、キャップホルダ402および防腐キャップ82の相対回転を防止する構造、要素、または同様のものを有する。また、本発明の好ましい一形態において、キャップホルダ402またはプランジャアセンブリ12'は、防腐キャップアセンブリ80がアクセスデバイス38にしっかりドッキングされるまで、キャップホルダ402およびプランジャアセンブリ12'の相対回転を防止するための構造、要素、または同様のものを有する。これらの目的のために、プランジャアセンブリ12を伴った防腐キャップアセンブリ80の回転を止めるための上述の回転防止デバイスはどれも好適であろう。また、プランジャアセンブリ12およびシリンジバレル14の相対回転を防止するための図15図21を参照しつつ上で説明されているデバイスが、この実施形態400に組み込まれ得ることも企図される。
【0053】
図53は、図5に関して上で説明されているように、キャップホルダ402の内壁面412に、キャップ82の外側リブ120および外側スロット122と相互作用する内側リブ100および内側スロット108が載ることを示している。これらの構造は、防腐キャップアセンブリ80に関するキャップホルダ402の相対回転を防止または阻止する。本明細書で参照されている「リブ」という用語は、表面から盛り上がった、または外向きに延在する構造である。「スロット」という用語は、表面の下に延在し、または2つのリブの間に画定され、リブよりも下位にある構造を指す。
【0054】
図53は、また、プランジャアセンブリ12'に関するキャップホルダ402またはキャップホルダアセンブリ404の相対回転を防止するための連動構造を示している。外壁面414は、隣接するリブの各対の間にスロット424を画定する、周方向に間隔をあけて並び、軸方向に延在する複数のリブ420を有する。本発明の好ましい一形態において、リブ420は、一般的に底部分426と頂点部分428とを有する三角形形状である。スロット424は、2つの隣接するリブ頂点部分428の間に延在するスロットの底部分430と、隣接するリブの底部分426を分離するスロットの頂点部分432とを有する、逆向きの三角形形状の領域である。プランジャチャンバ64の内壁面63上には、類似の形状のプランジャリブ434およびプランジャスロット436がある。リブ420はプランジャスロット436内に嵌まるように寸法決めされ、スロット424はプランジャリブ434を覆うように嵌まって受けるように寸法決めされている。そのため、キャップホルダ402またはキャップホルダアセンブリ404がプランジャチャンバ64に挿入されると、キャップホルダリブ420はプランジャリブ434と互いに噛合して、プランジャアセンブリ12'に関するキャップホルダ402またはキャップホルダアセンブリ404の相対回転を防止または阻止する。
【0055】
本発明のさらに別の好ましい形態において、キャップホルダ402、キャップホルダアセンブリ404、またはプランジャアセンブリ12'は、キャップホルダ402またはキャップホルダアセンブリ404がプランジャアセンブリ12'内に完全に位置決めされたときに、これらの部品の相対的な軸方向運動を阻止する構造、要素、または同様のものを有する。本発明の好ましい一形態において、キャップホルダ402は環状隆起部440を有しており、環状隆起部440は、キャップホルダの内壁面414上の環状溝442内に嵌まるように寸法決めされ、好ましくはプランジャリブ434の底部分と並んで延在している。キャップホルダの外壁面414から軸方向外向きに延在し、スロット424内に位置決めされている複数の歯450を有する第2のロッキング構造が設けられる。本発明の好ましい一形態において、歯は、リブ434の高さを越えた高さまで軸方向外向きに延在している。歯450は、スロットのうちの1つもしくは複数に、またはスロット424の各々に、または交互のスロットに位置決めされてもよく、または図示されているように、互いから周方向に90°間隔をあけて並んでいてよい。歯450は、好ましくは、スロット424の、底部と頂点との間の中間部分に位置決めされる。歯450は、プランジャリブ434の底部と頂点との間の中間部分でプランジャリブ434を横切って内面412の周りを周方向に延在する区分化された環状溝452内に嵌まるように寸法決めされている。
【0056】
図56a図56b図56cは、使用準備完了位置、ドッキングされた位置、および使用後の位置にあるアセンブリ400をそれぞれ示している。アセンブリ400は、アセンブリ400が使用後の位置にある場合にはキャップホルダ402がプランジャアセンブリ12'内に留まっている点を除き、図3および図4に関して上で説明されているのと本質的に同じ方式で使用される。
【0057】
シリンジバレルおよびプランジャは、その目的に適している任意の材料から加工することができ、ガラスおよびポリマー材料を含む。好適なポリマー材料は、限定はしないが、オレフィン、環状オレフィン、アミド、エステル、およびエーテルなどのモノマーから形成されるホモポリマー、コポリマー、およびターポリマーを含む。ポリマー材料は、複数のポリマー材料の混合物であってもよく、単層構造または多層構造であってもよい。本発明の好ましい一形態において、シリンジバレルおよびプランジャは、ポリプロピレン材料から射出成形される。
【0058】
図59図61は、わかりやすくするため、防腐キャップアセンブリ80および蓋ストック68が取り外されている状態の、防腐キャップ搭載シリンジプランジャおよびバレルアセンブリの第3の実施形態500を示している。第3の実施形態500では、標準プランジャ504に防腐キャップアセンブリ502を取り付ける。防腐キャップ502は、近位端508と遠位端510とを有する第1の一般的に円筒形の外壁506を有する。近位端508は、プランジャ504のボタン512に取り外し可能に、または固定されるように取り付けられる。近位端は、ボタン512の周りに嵌まるように寸法決めされた開口部514を有し、ボタンに取り付けるための部材を有する。本発明の好ましい一実施形態において、取付部材は、内壁面518から延在する、周方向に間隔をあけ、軸方向内向きに向けられた複数のタブ516を含み、タブはボタン512の下面と係合して、防腐キャップアセンブリ502をプランジャ504に取り付ける。
【0059】
防腐キャップ502の遠位端は、第1の円筒形の壁506から径方向内向きに延在する頂部環状フランジ520を有し、一般的に円形の開口部522を画定する。第2の円筒形の壁524が、頂部環状フランジ520から軸方向下向きに延在し、第1の円筒形の壁506の内部に同軸状に配設されている。防腐キャップ502がプランジャボタン512に取り付けられると、第2の円筒形の壁524の底部周縁がプランジャボタン512の頂面と当接し、それにより、逆向きの軸力により、タブ516と第2の円筒形の壁との間でプランジャボタン512を捉える。しかしながら、タブの第1の組から軸方向に間隔をあけて並ぶタブの第2の組が設けられてもよいこと、およびピストンボタン512がタブの2つの組の間に捉えられてもよいことが企図される。また、当技術分野でよく知られている他の取付手段が使用されてもよいこと、および図示されている取付部材は単なる例示であることが企図される。
【0060】
第2の円筒形の壁524は、防腐キャップアセンブリ80がチャンバ内に完全に挿入されたときに部品の相対回転運動を防止し、相対軸方向運動を阻止するために、防腐キャップアセンブリ80と係合することについて上で説明されているようにリブおよびスロットを有する、上記の図5により詳細に示されているようなチャンバを画定する。また、バレルに関するプランジャの相対回転運動を防止または阻止するように、上で説明されているようなプランジャおよびシリンジを適合させることが企図される。
【0061】
ピストン50は、ポリマー材料またはシリコーン材料を含む任意の好適な材料から形成され得る。ストッパは、ストッパがシリンジバレルの遠位端壁の内面と係合するときに逆流が低減されるように、所望のデュロメータを用いて材料から選択されるものとしてよい。
【0062】
図62図65は、単一のカバーに取り付けられている複数の防腐キャップホルダアセンブリ602、またはストリップ604を有するストリップパッケージ600を示している。キャップホルダアセンブリ602の各々は、キャップホルダ602aと、防腐キャップ602bとを備える。防腐キャップ602bは、ねじ山カバー302を備える防腐キャップ300(図39)などの、本明細書で説明されている任意のキャップとすることが可能である。防腐キャップホルダアセンブリ602などの、本明細書で説明されているような任意の数の消毒剤充填デバイスが、不透過性(または透過度が非常に低い)フィルムまたは箔ラミネートの1つの共通のカバーまたはストリップ604に取り付けられ得る。カバーまたはストリップ604は、各消毒キャップ602bのホルダ602aに封止され得るか、または二重シールを備えることが可能であり、一方のシール606はストリップ604とホルダ602aとの間にあり、他方のシールはストリップ604とキャップ602bとの間にあり、たとえば、ねじ山カバーに封止される。シールは、ストリップ604とホルダ602aとの間にあってもよい。二重シールは、消毒剤がキャップ602bから蒸発してしまわないようにする付加的な障壁を形成することができ、それが保管寿命を改善する。各デバイスは、それでも、個別に殺菌状態を保つが、複数のデバイスは、共通ストリップ604の使用を通して便宜のため互いに鎖状につながれる。ストリップパッケージ600は、1つもしくは複数の型抜き穴などの1つもしくは複数の穴、またはIVポールなどの使い勝手のよいハンガー上に製品のストリップ604を掛けるためのハンガー610を備え得る。ストリップ604は、使用者が将来使用するために個別のユニットを破り取り、そのままユニットの個別の殺菌障壁を保持することを可能にする切り込みおよび/またはミシン目を有するものとしてよい。
【0063】
インパルス、誘導、伝導、放射、または他の熱封止手法などの、標準的な熱封止技術を使用することで、ストリップ604は、ホルダ602aおよび/またはキャップ602bに熱接合されることも可能である。代替的に、ストリップ604は、接着ボンドを利用して、またはスナップ嵌めなどの好適な機械的もしくは摩擦接続によって、ホルダ602aおよび/またはキャップ602bに取り付けることも可能である。キャップ602bは、剥離力がハンガー610の強度よりも小さくなるようにストリップ604から剥離可能である。剥離力は、一般的に、剥離を開始するためには2ポンド未満、剥離を継続するためには1ポンド未満の力であり得る。ストリップ604は、箔、プラスチック、ラミネートなどの好適な材料から作ることが可能である。一態様において、ストリップ604は、約1から2ミルの厚さを有する箔材料から作ることが可能である。ストリップ604は、48ゲージPETなどのPET(ポリエチレンテレフタレート)のトップコート、次いで、白色とすることも可能であるPDXなどのポリマーコート、およびRollprint Packaging Products, Inc.によって製造されているAllegro Bなどの剥離可能封止層のボトムコートを持つ厚い箔を有することが可能である。封止層は、剥離可能であってよい接着ボンドを形成することが可能である。キャップ602bは、箔の誘導加熱によってストリップ604に取り付けられることが可能であり、誘導加熱は剥離可能封止層を溶融して箔をキャップ602bに接着する。
【0064】
ホルダ602aは、ホルダ602aから外に延在するホルダ602aのフランジを使って取り扱われるときにキャップ602bの汚染を防止し、使用者がキャップ602bの頂部に接触しないようにする保護手段として働く。
【0065】
好適なロッキング溶液およびフラッシュ溶液は、エタノール、プロパノール、およびブタノールから選択される低級アルコールを含む。ロッキング溶液は、低級アルコール単体、または低級アルコールの混合物であってもよい。
【0066】
好適なロッキング溶液は、抗菌剤およびまたは抗凝固剤を有する低級アルコールを含んでいてもよい。好適なロッキング溶液は、1体積%から99体積%の範囲内の少なくとも1つの低級アルコールと、1体積%から99体積%の範囲内の少なくとも1つの他の抗菌および/または抗凝固化合物とを含有していてもよい。低級アルコールは普通、典型的には1体積%から99体積%、通常は5体積%から95体積%で水溶液中に存在する。少なくとも1つの他の抗菌剤は、タウロリジンおよびトリクロサンからなる群から選択され、少なくとも1つの抗凝固剤は、リボフラビン、クエン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、およびクエン酸からなる群から選択される。
【0067】
本発明の好ましい一形態において、シリンジアセンブリ10は、ロッキング溶液のうちの1つで予め充填され、製造業者によってパッケージングされ、医療従事者に出荷される。カニューレまたは針はバレルの遠位端に取り付けられ、留置中心静脈カテーテルの流体アクセス部位と流体的に連通させる。カテーテルを洗浄またはロックするために、フラッシュ溶液がカテーテルに注入される。その後、キャップアセンブリ80がプランジャ17から取り外され、キャップがカテーテルの流体アクセス部位にドッキングされる。
【0068】
クエン酸塩含有防腐剤液
一形態において、防腐剤はクエン酸塩の溶液であり、本発明の別の形態では、クエン酸塩溶液は高張液である。高張という用語は、本明細書では、患者の血液の浸透圧濃度および密度よりも大きい浸透圧濃度および密度を有する流体を指すために使用される。防腐剤液は、好ましくは、クエン酸塩を、重量パーセントで約1.5%から約50%の濃度範囲で、約300から約6400mOsmの浸透圧で含む。より好ましくは、防腐剤液は、クエン酸塩を約10%から約40%の濃度範囲で、さらにより好ましくは約20%から約30%の濃度範囲で含む。
【0069】
好ましい一実施形態において、防腐剤液は、患者の血液のpHよりも低いpHを有するように調製される。クエン酸塩溶液は、約6.5未満、より好ましくは約4.5から約6.5のpHを有するように調製されてもよい。また、クエン酸塩溶液は、塩化ナトリウムおよびヘパリンナトリウムなどの薬理学的に許容可能な薬剤を含んでいてもよい。クエン酸塩溶液はまた、ゲンタマイシン、バンコマイシン、およびこれらの薬剤の混合物などの様々な他の抗生剤、抗菌剤、および抗凝固剤を含んでいてもよい。追加の抗凝固剤は、たとえば、ヘパリン、ウロキナーゼ、組織プラスミノゲン活性化(tPA)、およびこれらの薬剤の混合物を含む。
【0070】
「薬理学的に許容可能である」とは、健全な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、炎症、およびアレルギー反応なく、人間および下等動物の組織と接触して使用するのに好適なクエン酸塩溶液ならびに含まれる塩および他の添加物を意味する。また、典型的には、感染のリスクを下げるために、組成物を殺菌することが必要である。
【0071】
抗菌剤含有防腐剤液
本発明の抗菌剤含有防腐剤液は、少なくとも1つのアルコールと、少なくとも1つの抗菌剤と、少なくとも1つのキレート剤および/または抗凝固剤とを含有していてもよい。本明細書に開示されているような、当業者によく知られている様々な抗菌物質が、感染を抑制するためにロッキング溶液と組み合わされてもよい。本発明の抗菌ロッキング溶液は、埋め込まれたカテーテルなどの留置装置などの医療デバイスを充填し、またはフラッシングするために使用されてもよい。この発明での使用が企図されている他の医療デバイスは、本明細書において開示されている。
【0072】
本発明の別の好ましい形態において、防腐剤は、アミノグリコシド、ベータラクタム、キノロンまたはフルオロキノロン、マクロライド、スルホンアミド、スルファメトキサゾール、テトラサイクリン、トレプトグラミン、オキサゾリジノン(リネゾリドなど)、クリンダマイシン、リンコマイシン、リファマイシン、グリコペプチド、ポリミキシン、リポペプチド抗生物質、ならびに薬理学的に許容可能なナトリウム塩、薬理学的に許容可能なカルシウム塩、薬理学的に許容可能なカリウム塩、脂質製剤、上記のものの誘導体および/または類似体として分類されたもののような抗菌剤を含んでいてもよい。
【0073】
アミノグリコシドは、30Sリボソームに結合して細菌タンパク質合成を阻害する殺菌性抗生物質である。それらは、典型的には、好気性グラム陰性桿菌およびブドウ球菌に対して活性である。本発明のいくつかの特定の態様において使用され得る例示的なアミノグリコシドは、アミカシン、カナマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン、またはネチルマイシンを含む。
【0074】
好適なベータラクタムは、細菌細胞壁合成を阻害する抗菌剤のクラスから選ばれる。臨床的に有用なベータラクタムの大半は、ペニシリン群(ペナム)またはセファロスポリン(セフェム)群のいずれかに属する。ベータラクタムは、カルバペネム(たとえば、イミペネム)およびモノバクタム(たとえば、アズトレオナム)も含む。クラブラン酸とその誘導体などのベータラクタマーゼの阻害剤も、このカテゴリに含まれる。
【0075】
本発明の溶液で使用され得る抗生物質のペニシリン群の非限定的な例は、アモキシシリン、アンピシリン、ベンザチンペニシリンG、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ピペラシリン、またはチカルシリンなどを含む。セファロスポリンの例は、セフチオフル、セフチオフルナトリウム、セファゾリン、セファクロル、セフチブテン、セフチゾキシム、セフォペラゾン、セフロキシム、セフプロジル、セフタジジム、セフォタキシム、セファドロキシル、セファレキシン、セファマンドール、セフェピム、セフジニル、セフトリアキソン、セフィキシム、セフポドキシムプロキセチル、セファピリン、セフォキシチン、セフォテタンなどを含む。ベータラクタムの他の例はミペネムまたはメロペネムを含み、それらは、好気性および嫌気性双方のほとんどすべてのグラム陽性およびグラム陰性有機体に対する薬効範囲を有する極めて活性の非経口抗生物質であり、それらには、腸球菌、B.フラジリス、および緑膿菌が特に感染しやすい。
【0076】
好適なベータラクタマーゼ阻害剤は、クラブラン酸、スルバクタム、またはタゾバクタムを含む。本発明のいくつかの態様において、抗菌剤溶液は、少なくとも1つのベータラクタムと少なくとも1つのベータラクタマーゼ阻害剤との組合せを含んでいてもよい。
【0077】
マクロライド抗生物質は、リボソームの50Sサブユニットに結合して細菌タンパク質合成を阻害する別のクラスの静菌剤である。これらの薬剤は、腸球菌以外の好気性および嫌気性のグラム陽性菌に対して活性であり、グラム陰性嫌気性菌に対して活性である。例示的なマクロライドは、エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシンを含む。
【0078】
キノロンおよびフルオロキノロンは、典型的には、DNAジャイレースの活性を阻害するそれらの能力によって機能する。例は、ナリジキシン酸、シノキサシン、トロバフロキサシン、オフロキサシン、レボフロキサシン、グレパフロキサシン、トロバフロキサシン、スパルフロキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、モキシフロキサシン、およびガチフロキサシンを含む。
【0079】
スルホンアミドは、ほとんどのグラム陽性生物および多くのグラム陰性生物に対する広い薬効範囲を有する合成静菌性抗生物質である。これらの薬剤は、葉酸代謝サイクルにおいてp-アミノ安息香酸の拮抗阻害剤として作用することにより、細菌の増殖を阻害する。例は、マフェナイド、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾール、およびスルファジアジンを含む。
【0080】
抗生物質のテトラサイクリン群は、研究新薬(IND)であるチゲサイクリン、ミノサイクリン、ドキシサイクリン、またはデメクロサイクリンなどのテトラサイクリン誘導体、およびアンヒドロテトラサイクリン、クロロテトラサイクリン、またはエポキシテトラサイクリンなどの類似体を含む。
【0081】
好適なストレプトグラミンクラスの抗菌剤は、キヌプリスチン、ダルホプリスチン、または2つのストレプトグラミンの組合せを含む。
【0082】
リファマイシンクラスの薬剤は、典型的には、DNA依存性RNAポリメラーゼを阻害してRNA合成の抑制をもたらし、緑膿菌およびマイコバクテリウム種を含むほとんどのグラム陽性およびグラム陰性菌に対する活性の非常に広範な薬効範囲を有する。例示的なリファマイシンは、リファンピシンである。
【0083】
他の抗菌薬は、バンコマイシン、テイコプラニン、およびそれらの誘導体などのグリコペプチドである。さらに他の抗菌薬は、コリスチンによって例示されるポリミキシンである。
【0084】
本明細書において説明されている防腐剤液を調整する際に、プレスチノマイシン(prestinomycin)、クロラムフェニコール、トリメトプリム、フシジン酸、メトロニダゾール、バシトラシン、スペクチノマイシン、ニトロフランチオン、ダプトマイシンまたは他のリポペプチドといった、これらのいくつかの他の抗菌剤に加えて、オリタバンシン、ダルババンシン、ラモプラニン、ケトライドなどが使用され得る。これらのうち、メトロニダゾールは、ランブル鞭毛虫、赤痢アメーバ、および膣トリコモナスなどの原生動物、ならびに偏性嫌気性細菌に対してのみ活性である。スペクチノマイシンは、リボソームの30Sサブユニットに結合し、これにより細菌タンパク質合成を阻害する静菌性抗生物質であり、ニトロフラントインは、大腸菌、クレブシエラ-エンテロバクター種、ブドウ球菌、および腸球菌に対して活性であるため、UTIの治療か予防のために経口使用される。
【0085】
他の実施形態において、抗菌剤は、抗真菌剤である。いくつかの例示的なクラスの抗真菌剤は、クロトリマゾール、ミコナゾール、ケトコナゾール、エコナゾール、ブトコナゾール、オモコナゾール、オキシコナゾール、テルコナゾール、イトラコナゾール、フルコナゾール、ボリコナゾール、ポサコナゾール、ラブコナゾール、またはフルトリマゾールなどのイミダゾールもしくはトリアゾール、アムホテリシンB、リポソームアムホテレシンB、ナタマイシン、ナイスタチン、およびナイスタチン脂質製剤などのポリエン抗真菌剤、カスポファンギン、ミカファンギン、アニデュラファンギン、シロファンギンなどのエキノカンジンを含む細胞壁活性環式リポペプチド抗真菌剤、LY121019、LY303366、テルビナフィンのなどの抗真菌剤のアリルアミン基を含む。
【0086】
抗真菌剤のさらに他の非限定的な例は、ナフチフィン、トルナフタート、メジオシジン、カンジシジン、トリコマイシン、ハマイシン、オーレファンギン(aurefungin)、アスコシン、アイファチン(ayfattin)、アザコルチン、トリコマイシン、レボリン、ヘプタマイシン、カンジマイシン、グリセオフルビン、BF-796、MTCH24、BTG-137586、プラディマイシン(MNS18184)、ベナノマイシン、アムビゾーム、ニッコーマイシンZ、フルシトシン、またはペリマイシンを含む。
【0087】
本発明の別の好ましい形態において、抗菌剤は、抗ウイルス剤である。抗ウイルス剤の非限定的な例は、シドホビル、アマンタジン、リマンタジン、アシクロビル、ガンシクロビル、ペンシクロビル、ファムシクロビル、ホスカメット、リバビリン、またはバラシクロビルを含む。本発明のいくつかの形態において、抗菌剤は、自然免疫ペプチドまたはタンパク質である。いくつかの例示的なクラスの自然免疫ペプチドまたはタンパク質は、トランスフェリン、ラクトフェリン、デフェンシン、ホスホリパーゼ、リゾチーム、カテリシジン、セルプロシジン、殺菌性透過性増加タンパク質、両親媒性アルファヘリカルペプチド、および他の合成抗微生物タンパク質である。
【0088】
本発明の他の実施形態において、抗菌剤は、防腐剤である。いくつかの防腐剤は、当技術分野で知られており、これらは、タウリンアミド誘導体、フェノール、第四級アンモニウム界面活性剤、塩素含有剤、キナルジニウム、ラクトン、染料、チオセミカルバゾン、キノン、カルバマート、尿素、サリチルアミド、カルバニリド、グアナイド、アミジン、イミダゾリン殺生物剤、酢酸、安息香酸、ソルビン酸、プロピオン酸、ホウ酸、デヒドロ酢酸、亜硫酸、バニリン酸、p-ヒドロキシ安息香酸のエステル、イソプロパノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、2-ブロモ-2-ニトロプロパン-l,3-ジオール、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド、次亜塩素酸カルシウム、次亜塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、(様々な溶剤中の)ヨウ素、ポビドン-ヨウ素、ヘキサメチレンテトラミン、ノキシチオリン、l-(3-クロロアリル)-3,5,7-トリアゾ1-アゾニアアダマンタン塩化物、タウロリジン、タウルルタム、N(5-ニトロ-2-フルフリリデン)-l-アミノ-ヒダントイン、5-ニトロ-2-フルアルデヒドセミカルバゾン、3,4,4'-トリクロロカルバニリド、3,4',5-トリブロモサリチルアニリド、3-トリフルオロメチル-4,4'-ジクロロカルバニリド、8-ヒドロキシキノリン、l-シクロプロピル-6-フルオロ-l,4-ジヒドロ-4-オキソ-7-(l-ピペラジニル)-3-キノリンカルボキシル酸、l,4-ジヒドロ-l-エチル-6-フルオロ-4-オキソ-7-(l-ピペラジニル)-3-キノリンカルボキシル酸、過酸化水素、過酢酸、フェノール、ナトリウムオキシクロロセン、パラクロロメタキシレノール、2,4,4'-トリクロロ-2'-ヒドロキシジフェノール、チモール、クロルヘキシジン、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジウム、スルファジアジン銀、または硝酸銀を含む。
【0089】
本発明の別の好ましい形態において、防腐剤液は、塩基性試薬と染料とを含む。塩基性試薬は、グアニジウム化合物、ビグアニド、ビピリジン、フェノキシド防腐剤、酸化アルキル、酸化アリール、チオール、ハロゲン化物、脂肪族アミン、または芳香族アミンであってもよい。いくつかの特定の態様において、塩基性試薬は、グアニジウム化合物である。グアニジウム化合物の非限定的な例は、クロルヘキシジン、アレキシジン、ヘキサミジンを含む。他の特定の実施形態において、塩基性試薬は、ビピリジンである。ビピリジンの一例は、オクテニジンである。さらに他の態様において、塩基性試薬は、フェノキシド防腐剤である。
【0090】
染料は、トリアリールメタン染料、モノアゾ染料、ジアゾ染料、インジゴイド染料、キサンテン染料、アントラキノン染料、キノリン染料、FD&C染料であってよい。トリアリールメタン染料の非限定的な例は、ゲンチアナバイオレット、クリスタルバイオレット、エチルバイオレット、またはブリリアントグリーンを含む。例示的なモノアゾ染料は、FD&C黄色5号またはFD&C黄色6号を含む。FD&C染料の他の非限定的な例は、青色1号または緑色3号を含む。ジアゾ染料の非限定的な一例は、D&C赤色17号である。インジゴイド染料の一例は、FD&C青色2号である。キサンテン染料の一例はFD&C赤色3号、アントラキノン染料の一例はD&C緑色6号、キノリン染料の一例はD&C黄色1号である。
【0091】
本発明の溶液に使用され得る防腐剤の他の例は、クロホクトール、クロロキシレノール、またはトリクロサンなどのフェノキシド防腐剤である。本発明の抗菌剤溶液を調製するために使用され得るさらに他の防腐剤は、ゲンジン、ゲンレノール、ゲンロサン、またはゲンホクトールである。
【0092】
当業者であれば、1つまたは複数の抗菌剤、および/または1つまたは複数の抗真菌剤、および/または1つまたは複数の抗ウイルス剤、および/または1つまたは複数の防腐剤、および/またはこれらの組合せを含む抗菌剤のうちの1つまたは複数を使用できることを理解するであろう。
【0093】
本発明の防腐剤液を調製するのに有用なものとして、多種多様のキレート剤が考えられる。これは、EDTA遊離酸、EDTA 2Na、EDTA 3Na、EDTA 4Na、EDTA 2K、EDTA 2Li、EDTA 2NH4、EDTA 3K、Ba(II)-EDTA、Ca(II)-EDTA、Co(II)-EDTA、Cu(II)-EDTA、Dy(III)-EDTA、Eu(III)-EDTA、Fe(III)-EDTA、In(III)-EDTA、La(III)-EDTA、CyDTA、DHEG、ジエチレントリアミンペンタ酢酸(DTPA)、DTPA-OH、EDDA、EDDP、EDDPO、EDTA-OH、EDTPO、EGTA、HBED、HDTA、HIDA、IDA、メチルEDTA、NTA、NTP、NTPO、O-ビストレン、TTHA、EGTA、DMSA、デフェロキサミン、ジメルカプロール、クエン酸亜鉛、ビスマスとクエン酸塩との組合せ、ペニシラミン、サクシマー、またはエチドロン酸などのキレート剤を含む。バリウム、カルシウム、セリウム、コバルト、銅、鉄、マグネシウム、マンガン、ニッケル、ストロンチウム、または亜鉛を結合する任意のキレート剤が、本発明で使用する上で許容可能であると考えられる。
【0094】
代替的に、本発明の抗菌剤溶液の調製において、ヘパリン、ヒルジン、EGTA、EDTA、ウロキナーゼ、ストレプトキナーゼ、過酸化水素などの少なくとも1つの抗凝固剤を使用してもよい。
【0095】
本発明の防腐剤液の調整に有用なものとして、上に述べられているアルコールに加えて、様々なアルコールが企図され、任意の抗菌活性アルコールを含む。アルコールの非限定的な例は、エタノール、メタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール、ベンジルアルコール、クロロブタノール、フェニルエチルアルコール、および同様のものを含む。
【0096】
当業者であれば、本発明の溶液が、少なくとも1つのアルコールと、少なくとも1つの抗菌剤と、少なくとも1つのキレート剤/抗凝固剤との様々な組合せを含み得ることを理解するであろう。いくつかの特定の実施形態において、本発明の溶液は、少なくとも1つのアルコールと、少なくとも1つのテトラサイクリンと、少なくとも1つのキレート剤/抗凝固剤とを含む。特定の一態様において、そのような抗菌剤溶液は、エタノールと、少なくとも1つのテトラサイクリンと、EDTAまたはヘパリンとを含む。
【0097】
他の特定の態様において、そのような溶液は、エタノールと、ミノサイクリンと、EDTAまたはヘパリンとを含む。この態様の一実施形態において、ミノサイクリンの濃度は0.001mg/mlから100mg/mlである。別の実施形態において、ミノサイクリンの濃度は約3mg/mlである。別の態様では、EDTAの濃度は10〜100mg/mlの範囲内にある。この態様の一実施形態において、EDTAの濃度は、約30mg/mlである。
【0098】
本発明の別の好ましい形態において、防腐剤液は、薬理学的に許容可能なナトリウム塩、薬理学的に許容可能なカルシウム塩、薬理学的に許容可能なカリウム塩、および水性混合物において1ミリリットル当たり約1ミリグラムのポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩を含む。それに加えて、本発明の溶液はまた、薬理学的に許容可能な乳酸塩を含んでいてもよい。
【0099】
塩含有防腐剤液
1つの好ましい防腐剤液は、濃度が約820mgから約900mgの塩化ナトリウムまたは同様のものなどの薬理学的に許容可能なナトリウム塩、濃度が約30.0mgから約36.0mgの塩化カルシウム二水和物または同様のものなどの薬理学的に許容可能なカルシウム塩、濃度が約28.5から約31.5mgの塩化カリウムまたは同様のものなどの薬理学的に許容可能なカリウム塩、およびU.S.P.注射用水100ミリリットルとの水性混合物において1ミリリットル当たり約1ミリグラムのポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩を含む。特定の用途については、本発明の溶液は、また、100ミリリットルの水性混合物中の濃度が約290mgから約330mgの乳酸ナトリウムを含んでいてもよい。
【0100】
光酸化剤溶液
本発明の別の好ましい形態において、防腐剤液は、抗凝固剤と光酸化剤とを含む。いくつかの実施形態において、殺菌効果がある光酸化剤が選択される。本明細書で使用されているように、「光酸化剤」という用語は、光酸化特性を有する化合物(普通は有機染料)を指すことが意図されており、この化合物は、光などの放射エネルギーにさらされると高い酸化可能性を呈する。「光酸化剤」という用語は、また、光が当たると1つまたは複数の電子を放出する組成物も指す。
【0101】
本発明の好ましい一態様において、光酸化剤はメチレンブルーであり、これは抗生物質活性および抗真菌活性を有利に提供し、また防腐剤液を明白に識別可能にする色を提供する。メチレンブルーに加えて、他の光酸化剤は、ローズベンガル、ヒペリシン、メチレンバイオレット、プロフラビン、リバノール、アクリフラビン、トルイドブルー、トリパンブルー、ニュートラルレッド、様々な他の染料、またはその混合物を含んでいてもよい。したがって、本発明の代替的態様において、メチレンブルーの代わりに、1つまたは複数の代替的な光酸化剤、好ましくは着色された光酸化剤が、この発明に従って使用される。
【0102】
増粘液
本発明の別の好ましい形態において、防腐剤液は、増粘剤と混合された低粘性抗菌剤を含む。使用され得る抗菌剤の例は、上で説明されているものに加えて、アルコール、クロルヘキシジン、クロルパクチン、ヨウ素、タウロリン、クエン酸、および可溶性クエン酸塩、特にオプションで水と混合されたクエン酸ナトリウムを含む。
【0103】
好適な増粘剤は、カーボポール、デンプン、メチルセルロース、カルボキシポリメチレン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどを含む。カーボポールは、Noveon Inc.によって販売されている、架橋結合ポリアクリル酸ベースのポリマーである。これは、好ましくは、テトラヒドロキシプロピルエチレンジアミン、トリエタノールアミン、または水酸化ナトリウムなどの基材で、約pH7に中和されている。アルコール、たとえば、エタノールまたはイソプロパノールなどの抗菌剤との適合性を改善するために、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、または結合された有機酸エステル基を有するデンプンなどのデンプンの誘導体も、使用され得る。そのようなエステル基は、たとえば、2から12個の炭素有機酸とデンプンとの反応生成物であってもよい。また、高粘性防腐剤液は、脂肪酸のグリセロールモノエステルまたはジエステル、もしくは1分子当たり1つまたは複数の結合脂肪酸基を有する砂糖などの他の多価アルコールの脂肪酸エステルの脂肪乳剤、または他の水/アルコール分散液の使用によって作製され得る。エーテル結合を有する類似化合物も使用されてもよい。
【0104】
また、クエン酸カルシウムの有無にかかわらず、アルギン酸などの他の材料が使用され得るか、またはホウ砂、ポビドン、ポリエチレングリコールアルギン酸塩、アルギン酸ナトリウム、および/またはトラガカントの有無にかかわらず、ポリビニルアルコールが使用され得る。望ましい場合には、本発明の流体はまた、他の所望の成分に加えて、ヘパリンなどの有効量の抗血栓剤、および水などの希釈剤を含有してもよい。
【0105】
本発明の好ましい一形態において、防腐剤液は、イソプロピルアルコールと中和されたカーボポールとの混合物を、水、ヘパリンなどの抗血栓剤、および同様のものなどの他のオプションの成分が存在する状態で含有する。好ましくは、約0.4〜2重量パーセントのカーボポールが存在する。クエン酸は、イソプロピルアルコールまたはエタノールなどの別の抗菌剤とともに、またはその代わりに、抗菌剤として存在してもよい。
【0106】
別の実施形態において、防腐剤液は、高粘度防腐剤液を形成するために、最大で約30重量パーセントの水と約2.2重量パーセントのヒドロキシプロピルセルロースとをオプションで有する、イソプロピルアルコールのゲルである。
【0107】
本発明のさらに別の好ましい形態において、防腐剤液は、炭水化物および/またはブドウ糖分解生成物を含む。好適な炭水化物は、ブドウ糖および/または果糖の群から選択される。好適な分解生成物は、3-デオキシグルコソン(3-DG)、アセトアルデヒド、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサール、メチルグリオキサール、5-ヒドロキシメチル-2-フルアルデヒド(5-HMF)、2-フルアルデヒド、および3,4-ジデオキシグルコソン-3-エン(3,4-DGE)を含む。
【0108】
防腐剤液のこの実施形態で使用される他の好適な薬剤は、抗凝固特性を有する物質、すなわち、標準および低分子量ヘパリンなどの凝固カスケードの阻害剤、分画ヘパリン、凝固カスケードの合成阻害剤、広範なプロテアーゼ阻害剤としてのフサン、クエン酸塩、EDTA、EGTAなどの錯体物質およびキレート化物質、血液製剤(血小板または血漿)の保存に使用される物質および混合物、CDPA(クエン酸塩、リン酸ナトリウム、デキストロース、アデニン)、合成または天然のトロンビン阻害物質を含む。他の好適な添加剤は、フコシダン、リボフラビン、ビタミンE、アルファトコフェロール、葉酸、およびアミノ酸を含む。さらに、抗炎症性化合物および薬剤、たとえば、コルチゾン、ミコフェノール酸(MPA)およびその誘導体、シロリムス、タクロリムスおよびシクロスポリン、ジクロフェナクなども使用され得る。
【0109】
デフェンシン、(デルマシジン)、および他の物質などの阻害性ペプチドも、防腐剤液中で使用され得る。活性酸素種、NO放出系または一酸化窒素(NO)、およびペルオキシ亜硝酸などのラジカルも、使用され得る。防腐剤液には緩衝組成物も含まれていてもよく、本発明の好ましい一形態では、緩衝液は、酢酸、塩酸、または硫酸によるpHの調節を含む組合せおよび混合物における乳酸塩、重炭酸塩、ピルビン酸塩、ピルビン酸エチル、およびクエン酸を含む。さらに、脂質または脂質物質(同様に水に不溶性のビタミンまたは錯体を溶液へ入れる)、高濃度密度勾配の栄養物、たとえばアミノ酸含有流体、ポリグルコース、イコデキストリン、ペクチン、ヒドロキシエチルデンプン(HES)、アルギン酸塩、ヒアルロン酸などの増粘添加物が添加され得る。
【0110】
タウロリジン防腐剤液およびゲル剤
本発明の防腐剤液は、凝固およびバイオフィルム形成を防止するために、タウロリジンおよび/またはタウルルタムを含むことができ、さもなければ、要素は他の抗微生物剤と結合するおそれがある。本発明の一実施形態は、使用の合間の時間間隔の間、溶液を防腐キャップの内に保持し、こぼれないようにする、チクソトロピー性を有するゲルである。これは、生体適合性の抗微生物剤を単独で、または特定の目的にとって有用となり得る別の活性剤とともに含有する薬剤送達賦形剤として、ヒドロゲルマトリックスを作ることによって達成される。ヒドロゲルマトリックスは生体適合性を有し、血流中で生分解性を有する。マトリックスは、ヒドロゲル(たとえば、ペクチン、ゼラチンなど)、タンパク質(たとえば、コラーゲン、ヘモグロビンなど)、コロイド物質(たとえば、血清アルブミンなど)、乳剤、または他の補助剤であってよい。好ましくは、マトリックスは構造的完全性を有し、チクソトロピー性を有するものとする。チクソトロピー性とは、いくつかのゲルが示す特性である。それは、揺らされるか、攪拌されるか、または高い剪断力を受けたときに流体のようになって流れることができ、次いで力および/運動が止められたときに半固体状態に戻る、固体または半固体の物質によって特徴付けられる特性である。代替的に、ゲルは、高い剪断力が流体に与えられるまで運動または流れに抵抗し、その後容易に流れるコロイド分散液の性質に類似する特性を有するものとしてもよい。
【0111】
さらなる機能的な利点をもたらすために、他の成分がゲルマトリックスに添加され得る。好ましい抗菌剤は、タウロリジンであり、これは、微粒子粉末としてマトリックスに添加されるか、またはリポソーム、マイクロスフェア、またはナノスフェアにカプセル化され得る。滅菌剤、溶解剤(ウロキナーゼなど)、結像エンハンサー、カテーテル表面改質剤、抗生物質、および抗菌化学薬品を含むチクソトロピー性ゲルに、多くの活性剤および薬剤が添加され得ることは理解されるべきである。
【0112】
ヒドロゲルは、ガス、化学薬品、およびタンパク質への高拡散性を有する軟固体状の材料一貫性とともに良好な生体適合性を与える大量の水を含有する、三次元分子ネットワークを含む。好適なヒドロゲルは、血清アルブミン、コラーゲン、またはアルギン酸塩を含む天然ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリ(エチレンオキシド)またはポリ(ヒドロキシエチレン)、および高分子電解質、たとえばポリ(アクリル酸)、ポリ(スチレンスルホン酸)、およびカルボキシメチルセルロース(CMC)を含む。
【0113】
防腐剤液の好ましい一形態は、タウロリジンを水性溶媒中にサリチル酸またはサリチル酸ナトリウムとともに溶かしたものを含む。サリチル酸およびサリチル酸ナトリウムは、抗生物質単独の殺菌作用を高め、かつ表面への微生物の付着を阻害するために、カテーテルにおける抗生物質ロックとともに使用されてきた薬剤である。この後者の属性は、特に重要であるが、それは、バイオフィルム出現および増殖の開始が、根底にある表面に個々の細菌が最初に付着していなければならないことを必要条件とするからである。付着を止めることにより、バイオフィルム形成は阻止される。
【0114】
サリチル酸ナトリウムは、いくつかの抗生物質の活性を高める能力を備える、著しい抗菌作用を持つことを実証されている。この薬剤は、付着、増殖、およびバイオフィルム形成を阻害する。
【0115】
EDTA含有防腐剤液
本発明の1つの好ましい防腐剤液は、抗菌性、抗真菌性、抗ウイルス性、および抗アメーバ性を備え、抗凝固剤としても働き得る。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)(C10H12N2Na4O8)の指定された塩および組成物が、特定された濃度およびpHレベルで使用される。
【0116】
本発明のEDTA配合物は、人間の投与にとって安全であり、生体適合性および非腐食性を有する。それらは、抗凝固性を有していてもよく、したがってカテーテルに関連する様々な感染を防止し、および/または治療するのに有用である。一実施形態において、本発明の防腐剤液は、特性として、抗凝固性、プランクトン様細菌の広範な薬効範囲に対する阻害および/または殺菌作用、菌類病原体の薬効範囲に対する阻害および/または抗真菌作用、固着性細菌の広範な薬効範囲に対する阻害および/または殺菌作用、原虫感染症に対する阻害作用、アカントアメーバ感染に対する阻害作用、患者との接触における、少なくとも控えめな体積での安全性および生体適合性、患者の血流における、少なくとも控えめな体積での安全性および生体適合性、ならびに工業用物体および表面との安全性および適合性、のうちの少なくとも4つ、好ましくは少なくとも5つを有する。防腐剤液は、>8.0のpHなどの生理学的pHよりも高いpH、またはpH>8.5のpH、またはpH>9のpH、またはpH>9.5のpHを有し得る。
【0117】
本発明の別の好ましい形態では、防腐剤液は、EDTAナトリウム塩(または、ナトリウム塩の組合せ)を溶液中に8.5から12.5の範囲内のpHで、別の実施形態では、9.5から11.5のpHで、さらに別の実施形態では、10.5から11.5のpHで含有する。
【0118】
本明細書で使用されるときに、「EDTA塩」という用語は、二ナトリウム塩、三ナトリウム塩、もしくは四ナトリウム塩のような単一の塩、もしくは別のEDTA塩形態を指すか、またはそれはそのような塩の組合せを指すものとしてよい。EDTA塩の組成物は、組成物を配合するために使用されるEDTA塩、および組成物のpHの両方に依存する。EDTAナトリウム塩からなり、(上に特定された)所望のpH領域にある本発明の防腐剤液については、EDTAナトリウム塩は、主に、三ナトリウム塩形態および四ナトリウム塩形態の両方で存在する。
【0119】
一実施形態において、防腐剤液は、少なくともEDTAの三ナトリウム塩と四ナトリウム塩との組合せを含有し、より好ましくは、組成物中に少なくとも10%のEDTAを含有する溶液は、四ナトリウム塩形態で存在する。さらに別の実施形態において、組成物中の少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%のEDTAは、三ナトリウム塩形態で存在する。
【0120】
本発明のEDTA溶液は好ましくは、消毒済みの非発熱性形態で提供され、都合のよい仕方でパッケージングされ得る。組成物は、消毒済みの無菌状態で調製され得るか、または様々な好適な消毒技術のいずれかを使用して、調製および/またはパッケージングの後に消毒され得る。
【0121】
本発明の防腐剤組成物の配合および生産は、一般的に容易である。一実施形態において、本発明の所望の防腐剤液は、純水などの水性溶媒に1つまたは複数のEDTA塩を所望の濃度になるまで溶かし、EDTA塩溶液のpHを所望のpHに調節することによって配合される。次いで、防腐剤液は、高圧蒸気減菌法、UV照射、濾過および/または限外濾過、ならびに他の手段などの従来の手段を使用して殺菌され得る。EDTA溶液に対する好ましい浸透圧範囲は、240〜500mOsM/Kgの範囲、より好ましくは300〜420mOsm/Kgの範囲である。溶液は、好ましくは、USP材料を使用して配合される。
【0122】
二ナトリウムEDTAのように、三ナトリウム塩および四ナトリウム塩以外のEDTAのナトリウム塩を含有する防腐剤液も企図される。たとえば、二ナトリウムEDTA溶液が使用できるが、そのような溶液は、溶液中のpHが、本発明の組成物の所望のpH範囲よりも低く、しかしながら、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、および他の周知のpH調整剤などのpH調整材料を使用して所望の範囲にpHを調節した後、二ナトリウム塩を使用して調製されたEDTA溶液は、本発明の二ナトリウム塩および/または三ナトリウム塩および/または四ナトリウム塩EDTA溶液の好ましい組合せに転換される。したがって、使用に先立って組成物のpHが所望のpH範囲に調節されるならば、本発明のEDTA組成物の調製において、異なる形態および組合せのEDTA塩が使用されてもよい。一実施形態において、水溶液に二ナトリウムEDTAを重量/体積ベースで3%から5%溶かし、>8.5および<12.0の所望のpHをもたらすのに十分な体積および/または濃度の水酸化ナトリウムを添加することによって、主として三ナトリウムEDTAと四ナトリウムEDTAとの混合物からなる防腐剤組成物が形成される。
【0123】
抗菌性酵素含有防腐剤液
「抗菌性酵素」とは、細菌種またはそれの特定の株を致死または損傷させる、任意のタンパク質分解酵素、孔形成酵素、分解酵素、または阻害酵素を指す。細菌の細胞壁を損傷し、細胞壁に関連する、もしくは細菌内にある細胞膜を破壊し、細菌内のタンパク質合成を阻害し、糖骨格を破壊することによって、または当業者によって抗菌性酵素であると考えられているペプチドまたはタンパク質に起因する他の機構によって、結果が達成され得る。酵素は、天然の野生型酵素であるか、従来の手法によって改質されるか、他の分子に結合されるか、組換え発現されるか、または合成的に構築され得る。
【0124】
抗菌性酵素の一例はリソスタフィンである。リソスタフィンは、ブドウ球菌およびそれから形成されるバイオフィルムの処置に有効であるため、重要である。「リソスタフィン」および「リソスタフィン類似体」は、生体内および生体外において、ブドウ球菌の細胞壁ペプチドグリカンにおける架橋結合ポリグリシンブリッジを開裂するタンパク質分解能力を保持する、リソスタフィン(野生型)、あらゆるリソスタフィン突然変異体または変種、あらゆる組換え体、もしくは関連する酵素(類似体)、または(合成かどうかにかかわらず)リソスタフィンのあらゆる合成版または断片を含むとして定義される。酵素は、(生産株内に存在する酵素、もしくはプロセスの任意の段階で導入される酵素または試薬による)タンパク質の翻訳後処理によって、または構造遺伝子の突然変異によって生成され得る。突然変異は、部位欠失突然変異、挿入突然変異、ドメイン削除突然変異、および置換突然変異を含んでいてもよい。
【0125】
リソスタフィンは、合成的に構築されるか、哺乳動物細胞、昆虫、細菌、酵母、爬虫類、または菌類において発現されるか、細胞培養物もしくはマウスなどのより高度の組換え種から組換え発現されるか、または他の方法で形成され得る。これは、合成ペプチドおよび合成ポリペプチドを含む、活性を保持する合成的構築、またはより大きいタンパク質またはペプチドの一部としてブドウ球菌に対するその活性を担うリソスタフィン酵素の部分の組換え発現を含み、ブドウ球菌もしくは他のバイオフィルム形成細菌種に対して有効な1つまたは複数の他の抗菌性酵素の活性部位を含有するキメラタンパク質を含むであろう。
【0126】
抗菌性酵素は、また、本明細書で説明される装置のバイオフィルムが形成されやすい表面上に酵素のバイオフィルム形成阻害コーティングを形成するのに十分な長さの時間にわたって、装置を酵素の溶液に浸すことによって、装置の表面上にコーティングされ得る。最低濃度の酵素でさえ、何らかの保護を与えるであろう。典型的には、約10μg/mlから約100mg/mlの濃度を使用できる。デバイスの表面では、コーティングは、それと酵素との共有結合によって形成されてもよい。
【0127】
防腐コーティング
本明細書で説明されているデバイスは、一部を防腐剤液に浸すなどの好適な手法によって、一部を防腐剤液でスプレーコーティングすることによって、デバイスを加工するために使用されたポリマー材料中に防腐剤液または防腐剤材料を混合することによって、防腐剤コーティングでコーティングされ得ることが企図される。
【0128】
本発明の好ましい一形態において、物品の直接成形用の樹脂に、一定量の生理学的抗菌金属化合物が添加される。生理学的抗菌金属は、銀、金および白金、ならびに銅および亜鉛などの貴金属を含むことを意図されている。本明細書で使用される生理学的抗菌金属化合物は、好ましくは銀およびさらに金の酸化物および塩、たとえば、酢酸銀、安息香酸銀、炭酸銀、クエン酸銀、塩化銀、ヨウ化銀、硝酸銀、酸化銀、スルファジアジン銀、硫酸銀、塩化金、および酸化金を含む。塩化白金酸またはその塩(たとえば、塩化白金酸ナトリウムおよびカルシウム)などの白金化合物も使用され得る。また、銅および亜鉛の化合物、たとえば、銀について上で指示されているものなどの、銅および亜鉛の酸化物および塩が使用されてもよい。単一の生理学的抗菌金属化合物、または生理学的抗菌金属化合物の組合せも使用され得る。
【0129】
本発明で使用される好ましい生理学的抗菌金属化合物は、酢酸銀、酸化銀、硫酸銀、塩化金、および酸化銀と塩化金との組合せである。銀化合物の粒子は、細菌増殖を防止して致死する阻害帯を形成するために十分に抽出できる。
【0130】
本発明の別の好ましい形態において、本明細書のデバイスは、トリクロサンおよび銀化合物、またはトリクロサンおよびクロルヘキシジンを浸透させる。
【0131】
前述の説明は、本開示の主旨または範囲を限定することを意図されていないことが理解されるであろう。本明細書で説明されている開示の態様は、単なる例であり、当業者であれば、本開示の主旨および範囲から逸脱することなく多くの変形および変更を加え得ることも理解されるであろう。上で説明されているものを含む、そのような変形および変更はすべて、本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
【符号の説明】
【0132】
10 シリンジバレルアセンブリ
12 防腐キャップ搭載プランジャ(またはピストン)アセンブリ
12' キャップホルダ搭載プランジャアセンブリ
14 シリンジバレル
16 側壁
18 チャンバ
20 近位端
22 遠位端
23 開口部
24 フランジ
26 上面
28 下面
30 端壁
32 細長い先端部
34 通路
35 ロッキングルアーカラー
37 ねじ山
38 アクセス部位
39 弁
40 細長いシャフト
41 チュービング
42 近位端
44 遠位端
50 ピストン
54 内面
60 ハウジング
62 壁
63 内面
64 チャンバ
66 開放端
68 箔材料
80 キャップアセンブリ
82 キャップ
83 壁
84 チャンバ
86 吸収材料
87 内面
88 ねじ山
100 内側リブ
102 底壁
104 頂部
106 底
108 内側スロット
109 戻り止め
111 環状間隙
113 頂部
120 外側リブ
122 外側スロット
123 環状フランジ
124 近位端
126 遠位端
130 隆起部
150 ウイング
152 歯
160 環状隆起部
162 環状戻り止め
170 逆流防止シリンジアセンブリ
200 防腐キャップアセンブリ
202 環状壁
204 ディスク
206 プラスチックシート
220 作動ポスト
230 中央開口部
231 エネルギーディレクタ
232 超音波溶接器
240 充填デバイス
242 管腔
244 分注ヘッド
300 防腐キャップ
302 ねじ山カバー
304 接着層
304a、304b 接着層
305 環状壁
306 第1の端部
308 第1の脚部
310 第2の脚部
312 中央開口部
320 第2の端部
323 開放端
330 遠位端
332 外面
336 座繰り
340 頂面
350 Cardinal SMART SITEアクセス部位
352 Hospira (ICU) C1000クレーブアクセスデバイス
400 代替的実施形態
402 キャップホルダ
404 防腐キャップホルダアセンブリ
406 チャンバ
408 近位端
410 遠位端
412 内壁面
414 外壁面
416 開口部
418 フランジ
419 底壁
420 リブ
424 スロット
426 底部分
428 頂点部分
430 スロット底部分
432 頂点部分
434 プランジャリブ
436 プランジャスロット
440 環状隆起部
442 環状溝
450 歯
500 第3の実施形態
502 防腐キャップアセンブリ
504 標準プランジャ
506 外壁(第1の円筒形の壁)
508 近位端
510 遠位端
512 ボタン
514 開口部
516 タブ
518 内壁面
520 頂部環状フランジ
522 開口部
524 第2の円筒形の壁
600 ストリップパッケージ
602 防腐キャップホルダアセンブリ
602a キャップホルダ
602b 防腐キャップ
604 ストリップ
606 シール
610 ハンガー
図1
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図31a
図31b
図32
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図35
図36
図37
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図40
図41
図42a
図42b
図43a
図43b
図44a
図44b
図45a
図45b
図46a
図46b
図47a
図47b
図48a
図48b
図49a
図49b
図50
図51
図52
図53
図54
図55
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