(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、原子炉建屋Tの外観斜視図である。
原子炉建屋Tは、原子力関連施設である。
原子炉建屋Tは、外壁の躯体t1に開口部t2が複数、例えば4〜5つ形成されている。開口部t2はブローアウトパネル(BOP)t3が外れたときに生じる開口部である。
【0011】
原子炉の正常運転時、開口部t2は外側からブローアウトパネルt3で覆われており、原子炉建屋Tの内部と外界とが遮断されている。
開口部t2は、外側から開口部t2より大きなブローアウトパネルt3がクリップ(図示せず)等で躯体t1に仮固定されている。
【0012】
図2は、躯体t1の開口部t2に本発明の実施形態に係る閉止装置ユニット1を複数設け、正面閉止板2を閉じた状態の斜視模式図である。
図3は、躯体t1の開口部t2に本発明の実施形態に係る閉止装置ユニット1を複数設け、正面閉止板2を開いた状態の斜視模式図である。
図2、
図3では、躯体t1の上部と下部を省略して示している。なお、
図2以下の図において、原子炉建屋Tの外部側を後、原子炉建屋Tの内部側を前、向かって右を右、向かって左を左とする。
【0013】
図2、
図3には、実施形態に係る閉止装置ユニット1を原子炉建屋Tの躯体t1に形成された開口部t2に複数(
図2では8つ)設けた場合を示す。躯体t1に取り付けられた閉止装置ユニット1は互いに溶接、コーキング材やボルト等で固定されている。
原子炉建屋Tの躯体t1の開口部t2において、右側面側及び/又は左側面側に隣接する閉止装置ユニット1がない場合、閉止装置ユニット1の右側面及び/又は左側面が躯体t1に固定されている。例えば、
図2に示す閉止装置ユニット1A、1B、1C、1Dである。
【0014】
閉止装置ユニット1には、
図2、
図3に示すように、開閉動作する正面閉止板2が設けられている。正面閉止板2は、原子炉が正常運転時には、
図3に示すように、開いている。
なお、閉止装置ユニット1は、ブローアウトパネルt3の設置場所から所定の間隙を設けて、原子炉建屋Tより内側において、正面フレーム3aが原子炉建屋Tの内側を向けて配設されている。
【0015】
原子炉に異常事象が発生し原子炉建屋Tの内部が高圧になるとブローアウトパネルt3が外方に外される。これにより、原子炉建屋Tの内部の圧力が大気圧と同じになる。その後、
図2に示すように、閉止装置ユニット1の正面閉止板2が閉じられ開口部t2が閉塞される。そして、原子炉建屋Tの内部と外界とが遮断される。そのため、ブローアウトパネルt3が外れた場合に原子炉建屋Tの内部の物質が原子炉建屋Tの外部に漏出することが抑制される。
【0016】
図4は、実施形態の閉止装置ユニット1の正面閉止板2を閉じた状態の斜視模式図である。
図5は、実施形態の閉止装置ユニット1の正面閉止板2を開いた状態の斜視模式図である。
【0017】
<立体フレーム構造体3>
閉止装置ユニット1の立体フレーム構造体3は、正面フレーム3aと、側面フレーム 3b、3c、3d、3e(
図6、
図7参照)とを有している。
【0018】
正面閉止板2は、所定の厚みを有しており、
図4、
図5に示すように、開閉動作される。
正面フレーム3aは、所定の面積を有する開口3a1が形成された矩形枠状の部材である。正面フレーム3aにより躯体t1の開口部t2を開閉できる。
【0019】
側面フレーム3b、3c、3d、3eは、正面フレーム3aの各4頂点近傍から奥行き方向を向けて延びて正面フレーム3aに接合される4つの方形状または長形の部材である。
側面フレーム3b、3c、3d、3eは、立体フレーム構造体3の頂面と底面と右側面と左側面とを構成するように形成されている。
【0020】
立体フレーム構造体3の頂面には、頂面の全部を閉止する頂面閉止パネル4tが備えられている。頂面閉止パネル4tにより、立体フレーム構造体3の頂面を閉塞できる。
立体フレーム構造体3の底面には、底面の全部を閉止する底面閉止パネル4bが備えられている。底面閉止パネル4bにより、立体フレーム構造体3の底面を閉塞できる。
【0021】
上述の立体フレーム構造体3により、閉止装置ユニット1の構造体が形成される。
【0022】
<第一の開閉支持機構5と第二の開閉支持機構6>
図6は、正面閉止板2を閉じた状態で、頂面閉止パネル4tを外して正面フレーム3aを一部切り欠いて閉止装置ユニット1の左側を見た斜視模式図である。
【0023】
図7は、
図4の正面閉止板2を右側で切断した
図4のI方向矢視断面図である。
【0024】
図8は、正面閉止板2を閉じた状態で、頂面閉止パネル4tを外して閉止装置ユニット1の左前部を見た上面図である。
【0025】
図9は、正面閉止板2を開いた状態で、頂面閉止パネル4tを外して正面フレーム3aを一部切り欠いて閉止装置ユニット1の左側を見た斜視模式図である。
【0026】
図10は、正面フレーム3aの開口3a1の箇所の右側で切断した
図5のII方向矢視図である。
図11は、正面閉止板2を開いた状態で、頂面閉止パネル4tを外して閉止装置ユニット1の左前部を見た上面図である。
【0027】
図7、
図10に示すように、閉止装置ユニット1の一方の側方の上部には、第一の開閉支持機構5が設けられている。閉止装置ユニット1の一方の側方の下部には、第二の開閉支持機構6が設けられている。
【0028】
図8に示すように、第一の開閉支持機構5は、第一の平板5aと、第二の平板5bと、回転軸5cとを有している。
第一の平板5aは回転軸5cに回転自在に支持されている。第一の平板5aは、正面フレーム3aに固定されている。
【0029】
第二の平板5bは、正面閉止板2と回転軸5cとに固定されている。
これにより、回転軸5cを駆動することで第二の平板5bを駆動し、正面閉止板2を回転軸5c周りに駆動できる。
【0030】
図6、
図9に示すように、第二の開閉支持機構6は、第一の平板6aと、第二の平板6bと、回転軸6cとを有している。
第一の平板6aは、回転軸6cに回転自在に支持されている。第二の平板6bは回転軸6cと正面閉止板2とに固定されている。これにより、回転軸6cを駆動することで第二の平板6bを駆動し、正面閉止板2を回転軸5c周りに駆動できる。
【0031】
第一の開閉支持機構5の回転軸5cと第二の開閉支持機構6の回転軸6cは、それぞれ第一の開閉用回転駆動装置7および第二の開閉用回転駆動装置8(
図2参照)に直接又は駆動力伝達機構を介して接続されている。
第一の開閉支持機構5の回転軸5cは、第一の開閉用回転駆動装置7の動作に同期して開閉駆動される。第二の開閉支持機構6の回転軸6cは、第二の開閉用回転駆動装置8の動作に同期して開閉駆動される。
【0032】
第一の開閉用回転駆動装置7は、モータ7aと第1ギア7bと第2ギア7cとを有している。
第1ギア7bはモータ7aの軸に固定されている。第2ギア7cは回転軸5cに固定されている。第1ギア7bと第2ギア7cとは噛み合っている。
【0033】
同様に、
図2に示すように、第二の開閉用回転駆動装置8は、モータ8aと第1ギア8bと第2ギア8cとを有している。
第1ギア8bはモータ8aの軸に固定されている。第2ギア8cは回転軸6cに固定されている。第1ギア8bと第2ギア8cとは噛み合っている。
【0034】
上記構成により、第一の開閉用回転駆動装置7と第二の開閉用回転駆動装置8が駆動されることで、第一の開閉支持機構5の回転軸5cと第二の開閉支持機構6の回転軸6cがそれぞれ回転する。すると、回転軸5cに固定される第二の平板5bと回転軸6cに固定される第二の平板6bが回転し、第二の平板5b、6bに固定される正面閉止板2が閉動作(
図4参照)(正面閉止動作)と開動作(
図5参照)とを行うことができる。
【0035】
<第1の検出器9aと第2の検出器9b>
図6に示すように、正面閉止板2の右上部には、位置検出突起2tが上方に突出して設けられている。
【0036】
図10に示すように、正面フレーム3aの上後部には、第1の検出器9aが設けられている。第1の検出器9aは、正面閉止板2の正面閉止状態を検出して正面閉止信号を出力する。第1の検出器9aは、
図7に示すように、正面閉止板2が正面フレーム3aに閉止した際に、正面閉止板2の右上部の位置検出突起2tが当接する。これにより、第1の検出器9aは、正面閉止板2が正面フレーム3aに閉止したことを検出する。そのため、第1の検出器9aにより、正面閉止板2の正面閉止状態を検出できる。
【0037】
また、
図6に示すように、側面フレーム3cには、第2の検出器9bが設けられている。第2の検出器9bは正面閉止板2の側面保持状態を検出して側面保持信号を出力する。第2の検出器9bは、
図10に示すように、正面閉止板2が側面フレーム3c、3e側に開き側面保持状態(正面開放状態)になることで、正面閉止板2の右上部の位置検出突起2tが当接する。これにより、第2の検出器9bは、正面閉止板2が側面フレーム3c、3eまで開放されたことを検出する。そのため、第2の検出器9bにより、正面閉止板2が側面保持状態(正面開放状態)にあることを検出できる。
【0038】
<閉止装置ユニット1のシール構造>
図12は、
図8の拡大断面図である。
図12に示すように、正面閉止板2の表面2aには突起s1が、
図6に示すように、正面閉止板2の端縁に沿って正面閉止板2の外形よりひと回り小さい形状に形成されている。
【0039】
一方、正面フレーム3aの裏面3a1の側には、正面閉止板2が正面フレーム3aに対して閉塞した際に正面閉止板2の突起s1が当たってシールするためのゴム製の帯状シール材s2(
図12参照)が正面閉止板2の突起s1と対向する形状をもって帯状に設けられている。つまり、正面閉止板2の正面閉止状態において、正面閉止板2と正面フレーム3aとの気密性を高めるように、正面フレーム3aの正面閉止板2との当接部3a3(
図12参照)を周回する所定幅の帯状シール材s2が正面フレーム3aの裏面3a1に貼付されている。
なお、シール材にはコーキング材のように塗布するシールド部材を含む。
【0040】
この構成により、正面閉止板2が正面フレーム3aに対して閉塞した際に、
図12に示すように、正面閉止板2の表面2aの突起s1が正面フレーム3aの裏面3a1のゴム製の帯状シール材s2に当接する。帯状シール材s2に突起s1が当接することで、帯状シール材s2が変形する。これにより、正面閉止板2の表面2aと正面フレーム3aの裏面3a1との間がシールされる。
【0041】
<正面閉止板2の保持機構10>
前方から見た
図4、
図9に示すように、正面閉止板2の表面2aの上部および下部には、それぞれ正面閉止板2を開状態および閉状態に保持する保持機構10が設けられている。保持機構10が正面閉止板2の表面2aに設けられることで、保持機構10のメンテナンスが容易である。
【0042】
保持機構10は、保持部材駆動装置10aと保持部材10bとを備えている。
保持部材駆動装置10aは、図示しないモータと回転−直線変換機構とを有している。回転−直線変換機構は、モータの回転運動を直線運動に変換する機構である。例えば、歯車と可動ラック等である。
【0043】
保持部材10bはピン状または棒状の部材である。保持部材10bは、保持部材駆動装置10aの直線運動に変換された部材に固定される。例えば、歯車と可動ラックの場合は、保持部材10bは可動ラックに固定される。
【0044】
保持部材10bは、正面閉止板2が正面フレーム3aに対して閉塞した場合(正面閉止状態)(
図4参照)と、正面閉止板2が開放した場合(側面保持状態)(正面フレーム3aに対して開放した場合)(
図9参照)とに、保持部材駆動装置10aによって、外方に突出される。つまり、保持部材駆動装置10aは、正面閉止板2が正面閉止状態および側面保持状態のときに保持部材駆動装置10aに接続された保持部材10bを駆動する。つまり、第一の検出器9aが正面閉止信号を出力しているとき、又は、第二の検出器9bが前記側面保持信号を出力しているとき、保持機構10を動作させる
図5に示すように、正面フレーム3aは正面閉止板2が正面閉止状態において保持部材10bを収容する第一の収容孔11aを有する収容部材11を備えている。第一の収容孔11aが形成されることで、保持機構10の保持部材10bにより、正面閉止板2を正面閉止状態(
図4参照)に保持できる。
【0045】
図9に示すように、側面フレーム3c、3eは、正面閉止板2が側面保持状態において保持部材10bを収容する第二の収容孔12aを有する収容部材12を備えている。第二の収容孔12aが形成されることで、保持機構10の保持部材10bにより、正面閉止板2を側面保持状態(正面開放状態)(
図5参照)に保持できる。
【0046】
<第一・第二の開閉支持機構5、6のバリエーション>
次に、前述の第一・第二の開閉支持機構5、6の構成のバリエーションについて説明する。
【0047】
図6に示す第二の開閉支持機構6の構成は第一の開閉支持機構5の構成と同様であるから、第一の開閉支持機構5の構成について説明し第二の開閉支持機構6の構成の説明は省略する。
【0048】
図13Aは、実施例1の第一の開閉支持機構5Aにおける正面閉止板2の正面閉止状態の上面図である。
図13Bは、実施例1の正面閉止板2の側面保持状態(正面開放状態)の上面図である。
実施例1の第一の開閉支持機構5Aは、
図13Aに示すように、正面閉止板2の正面閉止状態では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a1と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b1とが成す角度は0度である。
【0049】
そして、
図13Bに示すように、正面閉止板2の側面保持状態(正面閉止板2の開放状態)では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a1と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b1とが成す角度は90度である。
【0050】
図14Aは、実施例2の第一の開閉支持機構5Bにおける正面閉止板2の正面閉止状態の上面図である。
図14Bは、実施例2の正面閉止板2の側面保持状態(正面開放状態)の上面図である。
実施例2の第一の開閉支持機構5Bは、
図14Aに示すように、正面閉止板2の正面閉止状態では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a2と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b2とが成す角度は90度である。
【0051】
そして、
図14Bに示すように、正面閉止板2の側面保持状態(正面閉止板2の開放状態)では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a2と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b2とが成す角度は0度である。
【0052】
図15Aは、実施例3の第一の開閉支持機構5Cにおける正面閉止板2の正面閉止状態の上面図である。
図15Bは、実施例3の正面閉止板2の側面保持状態(正面開放状態)の上面図である。
実施例3の第一の開閉支持機構5Cは、
図15Aに示すように、正面閉止板2の正面閉止状態では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a3と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b3とが成す角度は180度である。
【0053】
そして、
図15Bに示すように、正面閉止板2の側面保持状態(正面閉止板2の開放状態)では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a3と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b3とが成す角度は90度である。
【0054】
図16Aは、実施例4の第一の開閉支持機構5Dにおける正面閉止板2の正面閉止状態の上面図である。
図16Bは、実施例4の正面閉止板2の側面保持状態(正面開開放状態)の上面図である。
実施例4の第一の開閉支持機構5Dは、
図16Aに示すように、正面閉止板2の正面閉止状態では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a4と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b4とが成す角度は90度である。
【0055】
そして、
図16Bに示すように、正面閉止板2の側面保持状態(正面閉止板2の開放状態)では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a4と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b4とが成す角度は180度である。
【0056】
図17Aは、実施例5の第一の開閉支持機構5Eにおける正面閉止板2の正面閉止状態の上面図である。
図17Bは、実施例5の正面閉止板2の側面保持状態(正面開放状態)の上面図である。
実施例5の第一の開閉支持機構5Eは、
図17Aに示すように、正面閉止板2の正面閉止状態では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a5と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b5とが成す角度は90度である。
【0057】
そして、
図17Bに示すように、正面閉止板2の側面保持状態(正面閉止板2の開放状態)では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a5と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b5とが成す角度は180度である。
【0058】
図18Aは、実施例6の第一の開閉支持機構5Fにおける正面閉止板2の正面閉止状態の上面図である。
図18Bは、実施例6の正面閉止板2の側面保持状態(正面開放状態)の上面図である。
実施例6の第一の開閉支持機構5Fは、
図18Aに示すように、正面閉止板2の正面閉止状態では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a6と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b6とが成す角度は180度である。
【0059】
そして、
図18Bに示すように、正面閉止板2の側面保持状態(正面閉止板2の開放状態)では、正面フレーム3aに固定される第一の平板5a6と、正面閉止板2に固定される第二の平板5b6とが成す角度は90度である。
【0060】
上述のことから、第一の平板5a、6aと第二の平板5b、6bとが、開度0度と開度90度の組合せ、または、開度90度と開度180度の組合せ、の何れかにより、正面閉止板2の正面閉止状態と側面保持状態(正面開放状態)を構成できる。
【0061】
<閉止装置ユニット1の躯体t1への取付構成>
次に、閉止装置ユニット1の躯体t1への取付構成について説明する。
【0062】
図19Aは、実施例7の閉止装置ユニット1と躯体t1との接合部の拡大上面図である。
図19Bは、実施例7の
図19AのIII−III断面図である。
【0063】
図19Aに示すように、正面フレーム3aおよび側面フレーム3cと躯体t2との間には、シール材13が施されている。
【0064】
図19A、
図19Bに示すように、閉止装置ユニット1と躯体t1との取り合い部14は、正面フレーム3aの側縁と側面フレーム3b、3c、3d、3eの各側部となっている。
上述のように、閉止装置ユニット1と躯体t1との隙間が狭いときは、正面フレーム3aや側面フレーム3b1、3b2、3c、3d、3eと躯体t1との隙間にシール材13等を施すことで、閉止装置ユニット1の側面を閉止する。
【0065】
図20Aは、実施例8の閉止装置ユニット1と躯体t1との接合部の拡大上面図である。
図20Bは、実施例8の
図20のIV−IV断面図である。
【0066】
図20Aに示すように、閉止装置ユニット1と躯体t1との隙間が広いときは、正面フレーム3aの側部および側面フレーム3cの側部に鉄板等のパネル15が設けられる。
閉止装置ユニット1と躯体t1との隙間が広いとき、まず、閉止装置ユニット1の側面をパネル15で閉止する。その後、
図20A、
図20Bに示すように、パネル15と躯体t1との取り合い部16をシール材13等で閉止する。
【0067】
<躯体t1の開口部t2への閉止装置ユニット1の設置>
図2、
図3に示すように、上述の閉止装置ユニット1を、原子炉建屋Tの内側開口部に設置する場合には、以下のようにする。
【0068】
図1に示す躯体t1の開口部t2の面積と形状に応じて、
図2に示すように、閉止装置ユニット1を水平方向および/または垂直方向に隣接する他の閉止装置ユニット1との隣接部において空隙が生じないように、複数個連結する。そして、全ての閉止装置ユニット1を2次元格子状に配設する。なお、閉止装置ユニット1の正面閉止板2が同一の平面を形成するように2次元格子状に配設することが望ましい。
【0069】
以上により、開口部t2の面積や形状に応じて閉止装置ユニット1を配置できる。
閉止装置ユニット1を格子状に配設するときに、正面閉止板2を閉じた際の閉止面積(正面閉止板2の面積から正面閉止板2と正面フレーム3aとの当接部2o(
図8、
図12参照)を引いた面積)と正面パネル2の個数との積が、躯体t1の開口部t2(
図2参照)の面積の所定範囲を閉止するように、閉止装置ユニット1の正面閉止板2の面積と連結個数を算出する。
【0070】
閉止装置ユニット1を2次元格子状に配設する際、右側面側におよび/または左側面側に隣接する閉止装置ユニット1がない場合、閉止装置ユニット1の右側面及び/または左側面を、建造物を構成する躯体t1に固定して配設する。
【0071】
設置された閉止装置ユニット1は、
図2、
図3に示すように、その制御部であるコントローラ(図示せず)と電気的に接続されている。作業員は、コントローラの操作スイッチ(図示せず)を操作することで、閉止装置ユニット1の正面閉止板2の開閉動作を行うことができる。
【0072】
<原子炉建屋Tにおける躯体t1の開口部t2に取り付けた閉止装置ユニット1の動作>
図3に示すように、原子炉建屋Tの開口部t2に閉止装置ユニット1を取り付け、ブローアウトパネルt3が外れてから閉止装置ユニット1が可動するまでの一連の流れについて説明する。
【0073】
事故等によって原子炉建屋Tの内部の圧力が上昇し、ある値を超過すると、ブローアウトパネルt3が自動的に開放される。これにより、原子炉建屋Tの内部の圧力が大気圧と同じになる。
一方、何らかの要因により、ブローアウトパネルt3が自動的に開放されなかった場合は、手動による強制的な開放が行われる。ブローアウトパネルt3の開放の成否確認は、作業員の目視による確認や、原子炉建屋Tの内部に設置した圧力センサ(図示せず)で検出される圧力変化の測定により行われる。ブローアウトパネルt3の開放後、事故の収束等により、開口部t2の閉止が必要と判断されれば、作業員は、閉止装置ユニット1の閉操作をコントローラの操作スイッチで行い、正面閉止板2を閉止する。
【0074】
すなわち、ブローアウトパネルt3が外れたときに、全ての第一及び第二の開閉支持機構5、6を動作させ、全ての正面閉止板2が正面閉止状態となる。これにより、開口部t2の所定の範囲が閉止される。所定の範囲とは、開口部t2の面積のうち単数または複数の正面フレーム3aが予め開口部t2の面積のある範囲を閉塞するので、開口部t2の面積から単数または複数の正面フレーム3aの面積を引いた面積という意味である。正面閉止状態において、正面閉止板2の面積から、正面閉止板2の正面フレーム3aとの当接部2o(
図8、
図12参照)を除く面積の合計である閉止面積が、開口部t2の開口面積の所定の範囲を占めている。よって、正面閉止板2の開閉により、開口部t2の所定の範囲の面積が開閉される。
【0075】
上記構成によれば、原子炉建屋Tの開口部t2でブローアウトパネルt3が外れた際に、閉止装置ユニット1の正面閉止板2を閉じて躯体t1の開口部t2を閉塞し、原子炉建屋Tの内部と外界とを分離できる。そのため、原子炉建屋Tの内部の物質が外界に漏洩することを抑制できる。
【0076】
<その他の実施形態>>
1.前記実施形態では、保持機構10は、原子炉建屋Tの外部面に設けた場合を説明したが、正面閉止板2の原子炉建屋Tの内部面に設けてもよい。保持機構10が内部に設けられれば、保持機構10の耐候性が向上する。或いは、保持機構10は、正面閉止板2の厚み内部に設けてもよい。保持機構10を正面閉止板2の内部に設ければ、保持機構10が外界と隔絶され動作環境が良好となり、故障が抑制できる。
【0077】
2.前記実施形態では、
図12に示すように、正面閉止板2の表面2aに突起s1を設け、正面フレーム3aの裏面3a1の側にゴム製の帯状シール材s2を設けた場合を示したが、
図21に示すように、正面閉止板2の表面2aにゴム製の帯状シール材s2を設け、正面フレーム3aの裏面3a1の側に突起s1を設けてもよい。
図21は、変形例1の
図8の拡大上面図である。
【0078】
3.前記実施形態では、開閉用回転駆動装置を第一の開閉用回転駆動装置7と第二の開閉用回転駆動装置8とで構成したが、一つの開閉用回転駆動装置で第一の開閉支持機構5の第二の平板5bと、第二の開閉支持機構6の第二の平板6bを開閉駆動する構成としてもよい。
【0079】
4.前記実施形態では、第一の開閉用回転駆動装置7で第一の開閉支持機構5の回転軸5cを駆動し、第二の開閉用回転駆動装置8で第二の開閉支持機構6の回転軸6cを駆動する例を説明したが、これに代えて以下のように構成してもよい。
【0080】
図22は、変形例2の第一の開閉用回転駆動装置7Aと第一の開閉支持機構5Aの斜視図である。
図22に示すように、第一の開閉支持機構5Aの第一の平板5a1と第二の平板5b1とを回転軸5c1に回転自在に構成する。
第一の開閉用回転駆動装置7Aは、モータ7a1の軸にギア7b1が固定され、ギア7b1とギア7c1とが噛み合っている。ギア7c1には駆動軸5c2が固定されている。
【0081】
そして、第一の開閉用回転駆動装置7Aの駆動軸5c2に第二の平板5b1を固定する。この構成により、第一の開閉用回転駆動装置7Aで第二の平板5b1を直接駆動する構成としてもよい。第二の開閉支持機構6も上述と同様に構成できる。
【0082】
5.前記実施形態では、正面閉止板2に保持機構10を設け、正面フレーム3aに第一の収容孔11aを設け、側面フレーム3c、3eに第二の収容孔12aを設ける場合を例示したが、これに代えて、正面閉止板2に収容孔を設け、正面フレーム3aと側面フレーム3c、3eにそれぞれ保持機構を設ける構成としてもよい。
【0083】
6.前記実施形態、実施例等は、本発明を分かり易く説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換することが可能である。
【0084】
7.また、本発明は、特許請求の範囲に記載した範囲内で様々な変形形態、具体的形態が可能であり、説明した実施形態に限定されない。
【解決手段】本発明の閉止装置は、建造物Tの開口部t2を閉止し、開放された所定の面積をもつ矩形枠状の正面フレーム3aと、正面フレーム3aに接合された方形状の側面フレーム3b、3c、3d、3eとを備える立体フレーム構造体3と、1本の回転軸5c、6cと、これを中心に開閉可能な第一の平板5a、6aと第二の平板5b、6bとを有し、第一の平板5a、6aが固定された第一及び第二の開閉支持機構5、6と、第二の平板5b、6bに固定され、一側面フレームに当接した側面保持状態、又は、正面の開放面の全部を閉止する正面閉止状態、の何れかの状態が選択される正面閉止板2と、側面及び正面閉止状態において、正面閉止板2が回動しないように保持する保持機構10とを含んで構成される。