(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6547237
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】はんだ付け装置及びはんだ付け装置にパッキンを固定する方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/34 20060101AFI20190711BHJP
B23K 1/008 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
H05K3/34 507H
B23K1/008 Z
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2019-32343(P2019-32343)
(22)【出願日】2019年2月26日
【審査請求日】2019年2月26日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000199197
【氏名又は名称】千住金属工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140109
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 新次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100120112
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】檜山 勉
【審査官】
小林 大介
(56)【参考文献】
【文献】
実開平5−073496(JP,U)
【文献】
特開平6−085450(JP,A)
【文献】
特開2001−015905(JP,A)
【文献】
特開2015−230103(JP,A)
【文献】
実開平2−080209(JP,U)
【文献】
特開2016−089881(JP,A)
【文献】
実開昭60−145612(JP,U)
【文献】
特開2011−079055(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/34
B23K 1/008
F16B 19/10
F27D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉体と、
当該炉体の少なくとも一部に設けられ、前記炉体をシールするパッキンと、
前記パッキンを前記炉体に着脱可能に固定するプッシュリベットと、を有する、はんだ付け装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたはんだ付け装置において、
前記パッキンは、第1シール部と、前記第1シール部に結合された固定部と、前記固定部に形成された貫通孔と、を有し、
前記プッシュリベットは、前記貫通孔に挿入される、はんだ付け装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたはんだ付け装置において、
前記パッキンは、前記固定部に結合された第2シール部をさらに有し、
前記固定部は、前記第1シール部と前記第2シール部との間に位置する、はんだ付け装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたはんだ付け装置において、
前記第1シール部と前記第2シール部は、略同一の厚さを有する、はんだ付け装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載されたはんだ付け装置において、
前記固定部は、前記第1シール部よりも薄い、はんだ付け装置。
【請求項6】
請求項5に記載されたはんだ付け装置において、
前記パッキンと前記プッシュリベットの間にて、前記固定部に接した状態で前記プッシュリベットによって固定される押え板を有する、はんだ付け装置。
【請求項7】
はんだ付け装置にパッキンを固定する方法であって、
前記はんだ付け装置の炉体に前記パッキンを配置する工程と、
前記パッキンを前記炉体にプッシュリベットを用いて着脱可能に固定する工程と、を有する、方法。
【請求項8】
請求項7に記載された方法において、
前記固定する工程は、前記パッキンの第1シール部に結合された固定部に形成された貫通孔に前記プッシュリベットを挿入する工程を含む、方法。
【請求項9】
請求項8に記載された方法において、
前記固定する工程は、前記パッキンの前記第1シール部と第2シール部の間に位置する前記固定部の前記貫通孔に前記プッシュリベットを挿入する工程を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉内空気が漏れるのをパッキンによりシールして防止するはんだ付け装置及びはんだ付け装置にパッキンを固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線基板に電子部品をはんだ付けする装置として、例えばリフロー装置が知られている。リフロー装置では、メンテナンスの容易化を図るために、下部炉体の上部に上部炉体ハウジングを分離可能に重ね合わせた構造が採用されており、各炉体の重ね合わせ部分は、炉内空気が外部に漏出しないようにパッキンでシールされている。炉内空気が外部に漏出しないようにすることで、炉内での加熱効率を維持することができる。またはんだ付け性を向上させることを目的に炉内をN
2雰囲気の状態とするN
2リフロー装置も用いられているが、炉内空気が外部に漏出しないようにすることで、N
2リフロー装置において、炉内をN
2雰囲気状態に保つことができる。このようなパッキンを有するリフロー装置として、例えば特許文献1に記載の装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−15905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
リフロー装置では、予めはんだペーストが印刷された基板が、リフロー装置のリフロー炉内に搬送され、加熱される。炉内空気が漏れるのを防止するパッキンは、炉内空気が加熱されることに伴い劣化する。加えて、基板が加熱される際、はんだペーストに含まれるフラックスが気化して、フラックスヒュームがリフロー炉内に浮遊する。このフラックスヒュームがパッキンに付着するとパッキンを腐食させる。このように、熱による劣化やフラックスヒュームの付着によって腐食したパッキンは交換する必要がある。特許文献1ではパッキンの劣化の少ないハウジングを上下に分割したリフロー炉を提供しているが、劣化の少ないと記載されている通り、パッキンの劣化自体を完全に防ぐことは不可能である。
【0005】
また、リフロー装置以外のはんだ付け装置として、例えば、噴流はんだ槽を備えた噴流はんだ付け装置などが挙げられる。この噴流はんだ付け装置においては、予めフラックスが塗布された基板が、噴流はんだ槽へ搬送される過程で加熱されるとともに、噴流はんだ層で噴流する溶融はんだではんだ付けがなされる。基板加熱工程や噴流はんだ槽でのはんだ付け工程において、フラックスが気化してフラックスヒュームが発生する。従って、リフロー装置と同様に、噴流はんだ付け装置においても、炉内空気やフラックスヒュームが装置外に漏れるのを防止するパッキンが設けられている。このようにはんだ付け装置には、主に、炉内空気が装置外に漏れるのを防止するシール用のパッキンが設けられているのが一般的であり、熱により劣化したパッキンは定期的に交換する必要がある。
【0006】
従来のはんだ付け装置の炉体においては、パッキンを固定するため、ボンド又はネジが使用されていた。しかしながら、ネジを使用する場合、はんだ付け装置の構造上、作業者がネジ締め作業をするスペースが狭いことがあり、ネジを締める作業がし難く、パッキンの取り付け時及び交換時に手間がかかるという問題があった。
【0007】
これに対して、ボンドを使用する場合、パッキンをボンドで炉体に取り付けてから、ボンドが乾燥するまでに例えば1日要するので、パッキンが固定されるのに時間がかかる。このため、ボンドでの取り付けは、パッキンの取り付け効率が悪いという問題があった。
【0008】
そして、前述の通り、炉体に取り付けられるパッキンには、加熱による劣化や、パッキン表面へのフラックスヒュームの付着による腐食が生じ、定期的な交換が必要になる。しかしながら、ボンド又はネジを使用して取り付けられたパッキンを取り外す作業には時間を要し、メンテナンス性が悪いという問題もあった。
【0009】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、パッキンを容易に着脱可能なはんだ付け装置及びパッキンを固定する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1態様によれば、はんだ付け装置が提供される。このはんだ付け装置は、炉体と、当該炉体の少なくとも一部に設けられ、前記炉体をシールするパッキンと、前記パッキンを前記炉体に着脱可能に固定するプッシュリベットと、を有する。
【0011】
第1態様によれば、パッキンがプッシュリベットにより固定される。プッシュリベットは、作業者によって容易に取り付けることができ、且つ容易に取り外すことができるので、パッキンを容易に着脱することができる。
【0012】
第2態様によれば、第1態様のはんだ付け装置において、前記パッキンは、第1シール部と、前記第1シール部に結合された固定部と、前記固定部に形成された貫通孔と、を有し、前記プッシュリベットは、前記貫通孔に挿入される。
【0013】
第3態様によれば、第2態様のはんだ付け装置において、前記パッキンは、前記固定部に結合された第2シール部をさらに有し、前記固定部は、前記第1シール部と前記第2シール部との間に位置する。
【0014】
第3態様によれば、パッキンが第1シール部に加えて第2シール部を有するので、いずれか一方のシール部が劣化しても他方のシール部により、炉体のシールを維持することができる。また、固定部が第1シール部と第2シール部との間に位置するので、第1シール部と第2シール部を炉体に対して比較的均等に固定することができる。
【0015】
第4態様によれば、第3態様のはんだ付け装置において、前記第1シール部と前記第2シール部は、略同一の厚さを有する。
【0016】
第4態様によれば、炉体をパッキンが封止するときに、第1シール部と第2シール部とに比較的均等に圧力が加わる。よって、第1シール部と第2シール部との劣化の程度をより均等にすることができる。
【0017】
第5態様によれば、第2態様から第4態様のいずれかのはんだ付け装置において、前記固定部は、前記第1シール部よりも薄い。
【0018】
第5態様によれば、プッシュリベットは第1シール部よりも薄い固定部に配置されるので、パッキンが炉体を封止するときに、プッシュリベットが物理的に封止の邪魔にならないように配置させることができる。
【0019】
第6態様によれば、第5態様のはんだ付け装置において、前記パッキンと前記プッシュリベットの間にて、前記固定部に接した状態で前記プッシュリベットによって固定される押え板を有する。
【0020】
第6態様によれば、パッキンにおいてプッシュリベット挿入付近にしかかかっていない圧力を、押え板を通して、パッキン全体に伝えることで、より強固にパッキンを炉体に固定することができ、結果、パッキンが炉体から剥がれることを抑制することができる。
【0021】
第7態様によれば、はんだ付け装置にパッキンを固定する方法が提供される。この方法は、前記はんだ付け装置の炉体に前記パッキンを配置する工程と、前記パッキンを前記炉体にプッシュリベットを用いて着脱可能に固定する工程と、を有する。
【0022】
第7態様によれば、パッキンがプッシュリベットにより固定される。プッシュリベットは、作業者によって容易に取り付けることができ、且つ容易に取り外すことができるので、パッキンを容易に着脱することができる。
【0023】
第8態様によれば、第7態様の方法において、前記固定する工程は、前記パッキンの第1シール部に結合された固定部に形成された貫通孔に前記プッシュリベットを挿入する工程を含む。
【0024】
第9態様によれば、第8態様の方法において、前記固定する工程は、前記パッキンの前記第1シール部と第2シール部の間に位置する前記固定部の前記貫通孔に前記プッシュリベットを挿入する工程を含む。
【0025】
第9態様によれば、パッキンが第1シール部に加えて第2シール部を有するので、いずれか一方のシール部が劣化しても他方のシール部により、炉体のシールを維持することができる。また、固定部が第1シール部と第2シール部との間に位置するので、第1シール部と第2シール部を炉体に対して比較的均等に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本実施形態に係るリフロー装置の概略上面図である。
【
図2】本実施形態に係るリフロー装置の概略側面図である。
【
図5A】プッシュリベットを用いてパッキンを取り付ける手順を示す図である。
【
図5B】プッシュリベットを用いてパッキンを取り付ける手順を示す図である。
【
図5C】プッシュリベットを用いてパッキンを取り付ける手順を示す図である。
【
図6】押え板を使用したプッシュリベット及びパッキンの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。なお、以下で説明する実施形態では、本発明のはんだ付け装置の一例としてリフロー装置が説明されるが、これに限らず、パッキンが使用される前述のようなはんだ付け装置であれば本発明に含まれ得る。
【0028】
図1は、本実施形態に係るリフロー装置の概略上面図である。
図2は、本実施形態に係るリフロー装置の概略側面図である。
図1及び
図2に示すようにリフロー装置100は、炉体110と、搬入口120と、搬出口130と、を有する。搬入口120は、はんだペーストが塗布された図示しない基板を炉体110内に搬入するための入り口である。搬出口130は、加熱された図示しない基板を炉体110から搬出するための出口である。本実施形態のリフロー装置100には、搬入口120及び搬出口130がそれぞれ1つずつ設けられているが、これに限らず、基板処理数を向上させるために、例えば二つ以上の搬入口120が設けられ、それに対応する数の搬出口130が設けられてもよい。
【0029】
リフロー装置100は、搬入口120から投入された基板を搬出口130に搬送するための図示しない搬送コンベアを有する。炉体110は、搬入口120から搬入された基板を、上下から加熱し、加熱後に冷却する構成を内部に有する。具体的には例えば、炉体110は、その内部に、インライン状に配置された複数の加熱ゾーンと、少なくとも一つの冷却ゾーンを有する。搬入口120から搬入された基板は、所定速度で搬出口130に向かって搬送される。基板は、加熱ゾーンの予備加熱部において予備加熱され、その後加熱ゾーンの本加熱部で所定の温度に加熱される。この過程において基板上のはんだペーストが溶融し、このはんだペーストの溶融時にフラックスヒュームが発生する。冷却ゾーンでは、基板が急速に冷却され、はんだが凝固する。
【0030】
図2に示すように、炉体110は、上部炉体110Aと、下部炉体110Bとを有する。上部炉体110A及び下部炉体110Bは、例えばヒンジ式に互いに連結されており、内部のメンテナンス等のために、上部炉体110Aが下部炉体110Bに対して片側開閉可能に構成される。本実施形態では、上部炉体110Aと下部炉体110Bの重ね合わせ面から炉内空気が漏れるのを防止するために、
図1に示すように、上部炉体110A及び下部炉体110Bの少なくともいずれかにパッキン10が設けられる。パッキン10は、任意の封止材料で形成することができ、例えばシリコンスポンジからなる。本実施形態では、具体的には、搬入口120と搬出口130とを結ぶ方向(基板の搬送方向)に沿って、下部炉体110Bの開口部の両端にパッキン10が設けられる。これにより、上部炉体110A及び下部炉体110Bが閉じた状態において、炉内空気が漏れるのを防止することができるので、基板の加熱過程において、炉体110の内部で生じたフラックスヒュームも炉体110の外部に流出することを抑制することができる。なお、パッキン10は、上部炉体110Aに設けられてもよい。
【0031】
上述したように、炉体110に使用されるパッキン10は、従来、ボンド又はネジにより炉体110に固定されていた。具体的には、本実施形態のように、上部炉体110Aが下部炉体110Bに対して片側開閉する炉体110に対してパッキン10をネジで固定する場合には、ヒンジに近い側のパッキン10をネジ止めする作業スペースが狭く、作業が困難であった。他方、パッキン10をボンドで接着する場合には、パッキン10をボンドで炉体110に接着してからボンドが乾燥するまでに長い時間(例えば1日)を要するので、パッキン10の交換作業等を迅速に行うことができなかった。
【0032】
そこで本実施形態に係るリフロー装置100では、パッキン10の固定をプッシュリベットで行う。
図3は、本実施形態に係るパッキン10の上面図である。
図4は、本実施形態に係るパッキン10を長手方向から見た側面図である。
図3及び
図4に示すように、本実施形態のパッキン10は、第1シール部12と、第2シール部14と、固定部16と、を有する。
図4に示すように、第1シール部12と第2シール部14は、それぞれ、上部炉体110Aと接触する第1シール面12a及び第2シール面14bを有する。
図4に示すように、本実施形態では、第1シール面12a及び第2シール面14bの断面は、半円形状をなしている。これに限らず、第1シール面12a及び第2シール面14bの断面は、凸状の任意の形状を有し得る。
【0033】
第1シール部12と第2シール部14の厚さ及び形状をそれぞれ異ならせてもよいが、
図4に示すように、本実施形態においては、第1シール部12及び第2シール部14は、略同一の厚さ及び略同一の形状を有する。これにより、炉体110を閉じたときに、第1シール部12と第2シール部14とにおよそ均等の圧力が加わり、その結果、第1シール部12と第2シール部14の劣化の程度をより均等にすることができる。
【0034】
固定部16は、第1シール部12と第2シール部14とに結合される板状部分である。言い換えれば、固定部16は、第1シール部12と第2シール部14とを一体に結合する機能を奏する。固定部16は、第1シール部12と第2シール部14との間に位置し、第1シール部12及び第2シール部14と同一の方向に延在する。
図3に示すように、固定部16は、複数の貫通孔16aを有する。後述するように、プッシュリベットが貫通孔16aに挿入されることで、パッキン10を炉体110に着脱可能に固定することができる。
【0035】
また、
図4に示すように、固定部16は、第1シール部12及び第2シール部14よりも薄い。これにより、固定部16に配置されたプッシュリベットが炉体110の封止時に第1シール部12と第2シール部14よりも高く突き出る状態になることを防止でき、物理的に炉体110の封止に影響を及ぼすことがないように構成されている。
【0036】
次に、
図3及び
図4に示すパッキン10を炉体110に取り付ける手順について説明する。
図5Aから
図5Cは、プッシュリベットを用いてパッキン10を取り付ける手順を示す図である。
図5Aから
図5Cにおいては、炉体110の一部が描かれており、炉体110の対応箇所にはプッシュリベットを挿入する孔110Cが設けられる。
図5Aに示すようにプッシュリベット20は、ピン21と、リベット本体25と、を有する。ピン21は、ヘッド部22と、軸部23とを有する。軸部23は、ピン21の先端に向けてその径が徐々に拡大するようにテーパ状部分を有する。リベット本体25は、フランジ部26と、フランジ部26から延びる脚部27と、を有する。フランジ部26は、ピン21を挿入可能な孔を有し、脚部27は、ピン21が挿入可能なように略円筒状に形成される。脚部27には、ピン21の先端側の端部に切欠部27aを有する。
【0037】
パッキン10を炉体110に取り付けるには、まず、パッキン10を炉体110に配置し、
図5Aに示すように、パッキン10の貫通孔16a及び炉体110の孔110Cにプッシュリベット20を挿入する。
図5Aに示す状態では、パッキン10は未だ炉体110に固定されていない。
【0038】
続いて、
図5Bに示すように、例えば作業者が、ピン21のヘッド部22をリベット本体25に対して押し込む。このとき、ピン21の軸部23によってリベット本体25の脚部27が拡径し、炉体110の孔110Cの内周面に対してリベット本体25の脚部27が押し付けられる。これにより、プッシュリベット20が炉体110に対して固定される。パッキン10は、リベット本体25のフランジ部26によって炉体110に押さえつけられる。これにより、パッキン10がプッシュリベット20によって炉体110に固定される。
【0039】
パッキン10を炉体110から取り外すときには、
図5Cに示すように、プッシュリベット20のピン21をさらに先端に向けて押し込む。その結果、リベット本体25の内側にピン21の比較的細い径の部分が位置することにより、リベット本体25の脚部27の径が縮小される(ストレート状態になる)。この状態で、プッシュリベット20をパッキン10の貫通孔16a及び炉体110の孔110Cから引き抜くことで、パッキン10の固定が解除される。
【0040】
以上で説明したように、本実施形態におけるリフロー装置100では、プッシュリベット20によってパッキン10が炉体110に着脱可能に固定される。プッシュリベット20は、作業者によって容易に着脱することができるので、パッキン10を炉体110に対して容易に着脱することができる。また、本実施形態では、プッシュリベット20をパッキン10の貫通孔16aに挿入することで、フランジ部26をパッキン10と直接接触させて、パッキン10を炉体110に固定することができる。さらに、この固定された状態からプッシュリベット20のピン21をさらに先端に向けて押し込み、プッシュリベット20をパッキン10の貫通孔16a及び炉体110の孔110Cから引き抜くことで、パッキン10の固定が解除される。これにより、従来のネジやボンドによる固定方法に比べて、パッキン10の取り付け作業性及びパッキン10の交換におけるメンテナンス性を向上させることができる。
【0041】
パッキン10は、第1シール部12と第2シール部14のいずれか一方のみを有していればよいが、本実施形態では、パッキン10は、第1シール部12と第2シール部14とを有するので、いずれか一方のシール部が劣化しても他方のシール部により炉体110のシールを維持することができる。例えば、第1シール部12が搬入口120と搬出口130に近い側となるようにパッキン10が炉体110に固定されている場合、炉内空気は直接第1シール部12に触れるので、第1シール部12の劣化が進行し、シール性を失ってしまうことがある。また、上部炉体110Aの開閉時の衝撃で物理的に第1シール部12が破損し、シール性を失ってしまうことがある。このように第1シール部12のシール性が失われてしまった場合でも、第2シール部14によって、シール性を保つことができる為、シール部が1つしかないパッキンと比べて、炉内空気が漏れるのを抑制することができる。また、固定部16が第1シール部12と第2シール部14との間に位置するので、第1シール部12と第2シール部14とを比較的均等に固定することができる。
【0042】
図6は、押え板を使用したプッシュリベット及びパッキンの断面図である。
図6に示す例では、説明の便宜上パッキン10は下部炉体110Bに取り付けられているが、上部炉体110Aに取り付けられていてもよい。本発明において必須の構成ではないが、
図6に示すように、本実施形態ではプッシュリベット20とパッキン10の間に、固定部16に接した状態でプッシュリベット20によって固定される押え板30が存在する。押え板30は、第1シール部12と第2シール部14との間に位置する固定部16部分を覆う、長手方向に延びる長尺状の板であり、その短手方向の略中央部に各貫通孔16aと同様の間隔で複数の貫通孔36aを有する。押え板30は、固定部16上に、各貫通孔16aと各貫通孔36aが重なる状態で載置され、プッシュリベット20を各貫通孔36aに差し込むことで、プッシュリベット20が貫通孔36aを貫通した後、貫通孔16aも更に貫通する。そして、ピン21のヘッド部22をリベット本体25に対して押し込むことで、押え板30はプッシュリベット20によって、固定部16に接した状態で固定される。このように押え板30を設けることで、パッキン10において、貫通孔16a周辺部分にしか作用していないプッシュリベット20によりかかる圧力を、押え板30を通して、固定部16全体に伝えることができ、より強固にパッキン10を炉体110(下部炉体110B又は上部炉体110A)に固定することができる。
【0043】
ところで、
図6に示す例において、第1シール部12や第2シール部14に密着している上部炉体110A(
図6に図示せず)にフラックスヒュームが入り込み、付着してしまうと、リフロー装置100が停止した際にフラックスヒュームが冷えて固化し、第1シール部12や第2シール部14と、パッキン10が取り付けられていない上部炉体110Aとを接着してしまうことがある。この場合、上部炉体110Aを開けた際に、接着されている箇所よりパッキン10が下部炉体110Bから剥がれてしまう虞がある。しかし、
図6に示すように押え板30を設け、より強固にパッキン10を下部炉体110Bに固定することで、前記第1シール部12と第2シール部14と、上部炉体110Aとの接着現象が起こってしまった場合でも、パッキン10が下部炉体110Bから剥がれることを抑制することができる。本実施形態において押え板30は、固定部16全体を覆う1枚の板であるが、本発明は本実施形態に限られず、例えば、押え板30は、複数に分かれた状態で、不連続に固定部16上に載置されても良いし、複数枚を上に重ねた状態にしても良い。押え板30の材質は特に限定されないが、変形の少ない金属や樹脂が好ましい。
【0044】
またリフロー装置100について、上部炉体110Aが下部炉体110Bに対して片側開閉可能な構成にて説明したが、本発明は前記構成に限定されるものではない。例えば、国際公開第2018/225437号に開示されているような、上部炉体110Aが昇降手段によって、上下開閉するようなはんだ付け装置においても、本発明の構成を使用できる。更に本発明は、搬送コンベアについても2つ以上の搬送コンベアを有するはんだ付け装置にも使用できる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【符号の説明】
【0046】
10…パッキン
12…第1シール部
14…第2シール部
16…固定部
16a…貫通孔
20…プッシュリベット
100…リフロー装置
110…炉体
【要約】 (修正有)
【課題】パッキンを容易に着脱可能なはんだ付け装置及びパッキンを固定する方法を提供する。
【解決手段】はんだ付け装置は、炉体110と、当該炉体110の少なくとも一部に設けられ、炉体110をシールするパッキン10と、パッキン10を炉体に着脱可能に固定するプッシュリベット20と、を有する。はんだ付け装置にパッキン10を固定する方法ははんだ付け装置の炉体110にパッキン10を配置する工程と、パッキン10を炉体110にプッシュリベット20を用いて着脱可能に固定する工程と、を有する。
【選択図】
図5A