(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
互いに隣り合う前記突出部の間隔は、前記回転部材において前記軸線方向の中央部の側よりも、前記中央部を挟んだ両端部側の方が狭い、請求項1〜5の何れか1項に記載の粉体搬送部材。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態に係る粉体搬送部材、粉体収容容器及び画像形成装置の一例について
図1〜
図9に従って説明する。なお、図中に示す矢印Y方向は、鉛直方向であって装置上下方向を示し、矢印X方向は、水平方向であって装置幅方向を示し、矢印Z方向は、水平方向であって装置奥行を示す。
【0020】
(全体構成)
画像形成装置10は、
図9に示されるように、第一筐体12と、第二筐体14と、画像形成部16と、媒体搬送部50と、後処理部60と、制御部68と、を含んで構成されている。なお、制御部68は、画像形成装置10を構成する各部(画像形成部16を構成する各部等)の制御を行うようになっている。
【0021】
また、第一筐体12と第二筐体14とは、装置幅方向に並んで配置され、連結機構44により連結されている。
【0022】
〔画像形成部16〕
画像形成部16は、第一筐体12の内部に配置され、
図8に示されるように、トナー画像を形成するトナー画像形成部20と、トナー画像形成部20で形成された画像を記録媒体としてのシート部材P(
図9参照)に転写する転写装置30と、シート部材Pに転写されたトナー画像をシート部材Pに定着する定着装置40と、を含んで構成されている。なお、画像形成部16は、電子写真方式によりシート部材Pに画像を形成するようになっている。
【0023】
[トナー画像形成部20]
トナー画像形成部20は、像保持体である感光体ドラム21と、帯電器22と、露光装置23と、現像装置24と、を含んで構成されている。トナー画像形成部20は、色ごとにトナー画像を形成するように複数備えられている。本実施形態では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の計4色のトナー画像形成部20が設けられている。また、各色のトナー画像形成部20は、同様の構造とされ、転写装置30に備えられたる転写ベルト31の周回方向において、上流側から、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の順で各色のトナー画像形成部20の感光体ドラム21が転写ベルト31と接するように、トナー画像形成部20が配置されている。そして、各色のトナー画像形成部20は、装置幅方向に並んで配置されている。なお、Y、M、C、Kを区別して説明する必要が無い場合は、Y,M,C,Kを省略して記載することがある。
【0024】
感光体ドラム21は、円筒状に形成され、駆動手段(図示省略)によって自軸周りに回転駆動されるようになっている。感光体ドラム21の外周面には、一例として負の帯電極性を呈する感光層が形成されている。なお、感光体ドラム21の外周面にオーバーコート層を形成してもよい。
【0025】
帯電器22は、感光体ドラム21の外周面(感光層)に接触して、回転する感光体ドラム21に従動しながら回転し、感光体ドラム21の外周面を負極性に帯電させるようになっている。
【0026】
露光装置23は、感光体ドラム21の外周面に静電潜像を形成するようになっている。具体的には、制御部68を構成する画像信号処理部から受け取った画像データに応じて、変調した露光光Lを帯電器22により帯電された感光体ドラム21の外周面に照射するようになっている。そして、露光光Lの照射により、感光体ドラム21の外周面には静電潜像が形成されるようになっている。
【0027】
本実施形態では、露光装置23は、光源(図示省略)から照射された光ビームをポリゴンミラーやFθレンズを含む光走査手段(光学系)で走査しつつ感光体ドラム21の外周面を露光する構成となっている。
【0028】
現像装置24は、トナーT(粉体の一例)及びキャリアを含む現像剤で感光体ドラム21の外周面に形成された静電潜像をトナー画像として現像することで、感光体ドラム21の外周面にトナー画像を形成するようになっている。現像装置24には、トナーTを現像装置24へ補充するための粉体収容容器39(トナーカートリッジ)が搬送路(図示省略)を介してつながっている。各色の粉体収容容器39は、露光装置23に対して上方で、装置幅方向に並んで配置されており、個別に第一筐体12に対して着脱可能(交換可能)とされている。なお、粉体収容容器39については、詳細を後述する。
【0029】
転写装置30は、各色の感光体ドラム21のトナー画像が転写される無端状の転写ベルト31を備え、転写ベルト31は、複数のロール32に巻き掛けられて姿勢が決められている。本実施形態では、転写ベルト31は、正面側から見て装置幅方向に長い逆鈍角三角形状の姿勢とされている。
【0030】
複数のロール32のうちロール32Dは、モーター(図示省略)の動力により転写ベルト31を矢印A方向に周回させる駆動ロールとして機能する。また、複数のロール32のうちロール32Tは、転写ベルト31に張力を付与する張力付与ロールとして機能する。複数のロール32のうちロール32Bは、後述する二次転写ロール34の対向ロールとして機能する。
【0031】
さらに、転写ベルト31を挟んで各色の感光体ドラム21の反対側には、感光体ドラム21の外周面に形成されるトナー画像を転写ベルト31に転写する一次転写ロール33が夫々配置されている。
【0032】
さらに、転写ベルト31の鈍角を成す下端側の頂部には、転写ベルト31に転写されたトナー画像をシート部材Pに転写する二次転写ロール34が接触しており、転写ベルト31と二次転写ロール34とで転写ニップNTが形成されている。
【0033】
定着装置40は、転写装置30においてトナー画像が転写されたシート部材Pに、トナー画像を定着させるようになっている。本実施形態では、定着装置40は、定着ニップNFにおいてトナー画像を加熱しつつ加圧することで、トナー画像をシート部材Pに定着するようになっている。
【0034】
〔媒体搬送部50〕
媒体搬送部50は、
図9に示されるように、画像形成部16にシート部材Pを供給する媒体供給部52と、画像が形成されたシート部材Pを排出する媒体排出部54と、を含んで構成されている。さらに、媒体搬送部50は、シート部材Pの両面に画像を形成させる際に用いられる媒体戻し部58と、転写装置30から定着装置40までシート部材Pを搬送する中間搬送部59と、を含んで構成されている。
【0035】
媒体供給部52は、画像形成部16の転写ニップNTに対し、転写タイミングに合わせてシート部材Pを1枚ずつ供給するようになっている。これに対して、媒体排出部54は、定着装置40にてトナー画像が定着されたシート部材Pを装置外に排出するようになっている。さらに、媒体戻し部58は、一方の面にトナー画像が定着されたシート部材Pの他方の面に画像を形成する際に、シート部材Pを表裏反転して画像形成部16(媒体供給部52)に戻すようになっている。
【0036】
〔後処理部60〕
後処理部60は、
図9に示されるように、第二筐体14の内部に配置され、画像が形成されたシート部材Pを冷却する媒体冷却部62と、シート部材Pの湾曲を矯正する矯正装置64と、画像を検査する画像検査部66と、を含んで構成されている。
【0037】
そして、後処理部60を構成する各部は、媒体搬送部50の媒体排出部54中に配置され、媒体冷却部62、矯正装置64及び画像検査部66は、シート部材Pの排出方向の上流側からこの順で配置されている。
【0038】
(画像形成動作)
次に、画像形成装置10によるシート部材Pへの画像形成工程、及び後処理工程の概要について説明する。
【0039】
画像形成指令を受けた制御部68は、トナー画像形成部20、転写装置30及び定着装置40を作動させる。これにより、感光体ドラム21及び現像装置24に備えられたる現像ロール(符号省略)が回転され、転写ベルト31が周回される。さらに、加圧ロール42が回転される共に、定着ベルト(符号省略)が周回される。そして、これらの動作に同期して、制御部68は、媒体搬送部50等を作動させる。
【0040】
これにより、各色の感光体ドラム21は、回転しながら帯電器22によって帯電される。また、制御部68は、画像信号処理部で画像処理が施された画像データを、各色の露光装置23に送る。各色の露光装置23は、画像データに応じて各色の露光光Lを出射して、帯電した各色の感光体ドラム21に露光する。そして、各色の感光体ドラム21の外周面に静電潜像が形成される。各色の感光体ドラム21に形成された静電潜像は、現像装置24から供給される現像剤によってトナー画像として現像される。これにより、各色の感光体ドラム21には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のうち、対応する色のトナー画像が形成される。
【0041】
さらに、各色の感光体ドラム21に形成された各色のトナー画像は、各色の一次転写ロール33によって周回する転写ベルト31に順次転写される。これにより、転写ベルト31には、4色分のトナー画像が重畳されたトナー画像が形成される。このトナー画像は、転写ベルト31の周回によって転写ニップNTに搬送される。この転写ニップNTには、このトナー画像の搬送にタイミングを合わせるように、媒体供給部52によりシート部材Pが供給される。この転写ニップNTにおいて転写バイアス電圧が印加されることで、転写ベルト31からトナー画像がシート部材Pに転写される。
【0042】
トナー画像が転写されたシート部材Pは、中間搬送部59によって転写装置30の転写ニップNTから定着装置40の定着ニップNFに向けて、負圧吸引されながら搬送される。定着装置40は、定着ニップNFを通過するシート部材Pに熱及び加圧力(定着エネルギー)を付与する。これにより、シート部材Pに転写されたトナー画像がシート部材Pに定着される。
【0043】
定着装置40から排出されたシート部材Pは、媒体排出部54によって装置外の排出媒体受け部に向けて搬送されつつ、後処理部60により処理が施される。定着装置40により加熱されたシート部材Pは、まず媒体冷却部62において冷却される。次に、シート部材Pは、矯正装置64によって湾曲が矯正される。さらに、シート部材Pに定着されたトナー画像は、画像検査部66によって、トナー濃度欠陥、画像欠陥、画像位置欠陥等の有無や程度が検出される。そして、シート部材Pは、媒体排出部54によって第二筐体14の外部に排出される。
【0044】
一方、シート部材Pの画像が形成されていない非画像面(裏面)に画像を形成させる場合(両面印刷の場合)には、制御部68は、画像検査部66を通過したシート部材Pの搬送経路を、媒体排出部54から媒体戻し部58に切り替える。これによりシート部材Pは、表裏反転されて媒体供給部52に送り込まれる。このシート部材Pの裏面には、前述した工程と同様の工程で画像が形成(定着)され、媒体排出部54によって第二筐体14の外部に排出される。
【0045】
(要部構成)
次に、本実施形態の粉体収容容器39について説明する。
【0046】
粉体収容容器39は、第一筐体12に対して着脱可能とされている。そして、粉体収容容器39は、
図4及び
図5に示されるように、容器本体80と、容器本体80内に配置される粉体搬送部材88と、を備えている。
【0047】
〔容器本体80〕
容器本体80は、
図1、
図4に示されるように、装置奥行方向に延びる円筒状とされる円筒部82と、円筒部82の装置奥行方向の手前側(以下単に「トナー搬送方向上流側」と記載することがある)を閉止する閉止部84とを有している。そして、容器本体80の内部は、トナーT(粉体の一例)が収容される装置奥行方向に延びた円柱状の空間である収容部80Aとされている。
【0048】
さらに、円筒部82における装置奥行方向の奥側(以下単に「トナー搬送方向下流側」と記載することがある)には、収容部80Aに収容されたトナーTを、現像装置24と連結される搬送路(図示省略)に排出する排出口82Aが形成されている。排出口82Aは、下方にトナーTを排出するように配置され、トナーTの排出方向から見て矩形状とされている。
【0049】
また、排出口82Aには、排出口82Aを開放又は閉止する開閉蓋86が取り付けられている。粉体収容容器39が第一筐体12から離脱している場合には、図示せぬ付勢部材の付勢力で、開閉蓋86が、排出口82Aを閉止する閉止位置に配置されるようになっている。一方、粉体収容容器39を第一筐体12に装着すると、開閉蓋86が、図示せぬ突起に押圧されて排出口82Aを開放する開放位置へ移動するようになっている。
【0050】
また、閉止部84は円盤状とされ、閉止部84の中央側には、凹状の凹部84Aが形成されている。この凹部84Aに、粉体搬送部材88を構成する回転軸90の軸部90Bが図示せぬ軸受を介して支持されるようになっている。
【0051】
〔粉体搬送部材88〕
粉体搬送部材88は、粉体収容容器39を構成する容器本体80内に配置される回転軸90と、回転軸90の外周から容器本体80の内周に向けて延びるフィルム状の接触部材の一例としての搬送部材100と、回転軸90の外周から容器本体80の内周に向けて突出する突出部の一例としての撹拌部110と、を備えている。
【0052】
<回転軸90>
回転軸90は、
図1及び
図4に示されるように、装置奥行方向に延びる断面矩形状の矩形部90Aと、矩形部90Aのトナー搬送方向上流側に基端が固定され装置奥行方向に延びる円柱状の軸部90Bと、矩形部90Aのトナー搬送方向下流側に基端が固定され装置奥行方向に延びる円柱状の軸部90Cとを有している。そして、軸部90Bが閉止部84の凹部84Aに図示せぬ軸受を介して支持され、軸部90Cが後述する閉止部材112の貫通孔112Aを貫通することで、回転軸90は、装置奥行方向に延びる軸線周りに回転可能に支持されている。なお、本実施形態の回転軸90は、本発明の回転部材の一例である。
【0053】
<搬送部材100>
搬送部材100は、可撓性を有する樹脂フィルム(例えばPETフィルム)によって構成されている。この樹脂フィルムの厚みは、一例として100〔μm〕とされている。搬送部材100は、
図1及び
図4に示されるように、回転軸90の矩形部90Aを構成する側面92Aに図示せぬ固定手段により基端(一端)が取り付けられている。また、搬送部材100は、回転軸90が容器本体80に取り付けられていない展開された状態で、装置奥行方向に延びるほぼ矩形状とされている。そして、基端が回転軸90に取り付けられた搬送部材100が収容部80A内に配置された状態では、搬送部材100の先端(他端)が収容部80Aを構成する内壁82Bと接触し、搬送部材100が装置奥行方向から見て湾曲状に撓むようになっている(
図5、
図7(A)、
図7(B)及び
図7(C)参照)。
【0054】
搬送部材100には、
図1に示されるように、先端から回転軸90に向けて回転軸90の回転方向(
図5及び
図6の矢印R方向)に対して斜めに延びる切込みの一例としてのスリット102が、回転軸90の軸線方向(ここでは装置奥行方向と同じ方向)に間隔(本実施形態では一定間隔)をあけて複数形成されている。具体的には、スリット102は、搬送部材100を展開した状態で、始端102Aが終端102Bに対してトナー搬送方向下流側に位置するように回転軸90の回転方向に対して傾斜している。なお、以下では、搬送部材100の隣り合うスリット102間に形成される部位を羽根部104と称する。この羽根部104は、装置奥行方向に並んで複数形成されている。
【0055】
また、スリット102は、互いに隣り合う同士が回転軸90の回転方向に対して一部がオーバーラップ(重なる)するように搬送部材100に形成されている。具体的には、隣り合うスリット102同士が回転軸90の軸線方向に対して半分未満の範囲で回転軸90の回転方向に対してオーバーラップしている。
【0056】
<撹拌部110>
回転軸90には、矩形部90Aの側面92Aの反対側に位置する側面92Bから回転軸90の径方向(以下単に「径方向」と記載することがある)に突出する棒状の撹拌部110が回転軸90の軸線方向に間隔をあけて複数設けられている。これらの撹拌部110はすべて、先端部110Aとスリット102の始端102Aとの回転軸90の軸線方向の位置がずれている。すなわち、すべての撹拌部110は、先端部110Aとスリット102の始端102Aとの回転軸90の軸線方向の位置がずれるように回転軸90に形成されている。具体的には、
図1に示されるように、回転軸90の回転方向に沿って撹拌部110の先端部110Aを通る直線SL上に、スリット102の始端102Aが配置されないように、撹拌部110が回転軸90に配置されている。
特に、本実施形態では、撹拌部110の先端部110Aとスリット102の延在方向の中央部とが回転軸90の軸線方向において同じ位置となるように撹拌部110が配置されている。なお、ここでいうスリット102の延在方向の中央部とは、スリット102の延在方向の中心からスリット102の長さXLの15%までの範囲をいう。また、スリット102の延在方向とは、始端102Aから終端102Bに向かう方向を言う。
【0057】
また、撹拌部110は、回転軸90の回転方向側の端面110Bが回転軸90の回転方向に対して傾斜している。具体的には、撹拌部110は、延在方向と直交する方向の断面で見た場合に端面110Bが上記のように傾斜することで、回転軸90の回転方向側の端部が尖った形状となっている。なお、回転軸90が回転すると、撹拌部110も回転し、収容部80Aに収容されたトナーTが撹拌部110によって撹拌される(
図3及び
図6参照)。
【0058】
また、撹拌部110は、
図1に示されるように、回転軸90の軸線方向の中央部側よりも両端部側で配置間隔が狭くされている。このような配置間隔で撹拌部110を配置することで、粉体収容容器39内の片側(端部側)にトナーTが偏っていても、撹拌部110によって効率よくトナーTが撹拌される。このため、粉体収容容器39内の端部側にトナーTが偏った場合でも、粉体搬送部材88を回転させられる。
【0059】
以下、粉体搬送部材88の羽根部104によってトナーTが搬送される構成について説明する。
【0060】
羽根部104の先端(搬送部材100の先端100Aの一部)104Aは、
図7(A)、
図7(B)及び
図7(C)に示されるように、収容部80Aを構成する内壁82Bに接しており、装置奥行方向から見て湾曲状に撓むようになっている。
【0061】
ここで、
図7(A)は、
図2における羽根部104の7A−7A線断面図を示し、
図7(B)は、
図2における羽根部104の7B−7B線断面図を示し、
図7(C)は、
図2における羽根部104の7C−7C線断面図を示している。つまり、7A−7A線断面図、7B−7B線断面図、7C−7C線断面図の順番は、羽根部104の基端に対して、各断面の羽根部104が回転軸90の回転方向と反対方向(以下、適宜逆回転方向と称する。)に離れている順番とされている。なお、ここでいう羽根部104の基端とは、搬送部材100の隣り合うスリット102の終端102B同士を結び直線上の部位を指す。
【0062】
これにより、各断面における羽根部104のばね定数(剛性)が変化する。装置奥行方向において、基端に対して最も離れている
図7(A)に示される羽根部104の部分は、基端に対して二番目に離れている
図7(B)に示される羽根部104の部分に比して、湾曲度合が大きくなる。さらに、装置奥行方向において、基端に対して二番目に離れている
図7(B)に示される羽根部104の部分は、基端に対して三番目に離れている
図7(C)に示される羽根部104の部分に比して、湾曲度合が大きくなる。
【0063】
このように、装置奥行方向において、羽根部104の各断面の湾曲度合が変わることで、羽根部104の先端104Aと内壁82Bとの接点Sが、内壁82Bの周方向において変化する。このため、各部の接点Sから構成される接線Uは、
図7(D)に示されるように、装置奥行方向に対してトナー搬送方向下流側が広がるように傾斜する(トナーTがトナー搬送方向下流側に搬送されるように傾斜する)。これにより、収容部80Aに収容されるトナーTが、回転する羽根部104によって容器本体80のトナー搬送方向下流側に形成された排出口82Aに向けて搬送されるようになっている(
図2参照)。
【0064】
〔その他〕
粉体収容容器39は、
図4、
図5に示されるように、容器本体80の円筒部82をトナー搬送方向下流側から閉止する閉止部材112を備えている。閉止部材112は、図示せぬ固定手段によって円筒部82のトナー搬送方向下流側の部分に固定されるようになっている。さらに、閉止部材112には、回転軸90の軸部90Cが貫通する貫通孔112Aが形成されている。
【0065】
また、粉体収容容器39は、貫通孔112Aから外部に露出した部分の軸部90Cに固定されるギア114を備えている。粉体収容容器39が第一筐体12に装着された状態では、ギア114と第一筐体12内に備えられたギア(図示省略)とが噛合い、ギア114を介して図示せぬ駆動源から回転力が回転軸90に伝達されるようになっている。
【0066】
(作用)
次に、本実施形態の粉体搬送部材88及び粉体収容容器39の作用について、収容部80Aに収容されたトナーTを排出口82Aに向けて搬送する動作によって説明する。
【0067】
粉体収容容器39の収容部80Aに収容されたトナーTを、排出口82Aに向けて搬送する場合には、ギア114を介して粉体搬送部材88の回転軸90に回転力が伝達される。回転軸90が回転することで、複数の撹拌部110も回転する。これにより、収容部80Aに収容されるトナーTが撹拌される。
【0068】
また、回転軸90が回転することで、搬送部材100も回転する。搬送部材100が回転することで、
図7(A)、
図7(B)及び
図7(C)に示されるように、搬送部材100に形成された羽根部104が湾曲状に撓む。そして、羽根部104の先端104Aと内壁82Bとの接線が装置奥行方向に対してトナー搬送方向下流側が広がるように傾斜する。これにより、トナーTが、
図2に示されるように、トナー搬送方向下流側に形成された排出口82Aに向けて搬送される。
【0069】
一方、収容部80Aにおいてトナー搬送方向上流側に収容されている(堆積している)トナーTについては、搬送部材100に形成された羽根部104によって、排出口82Aに向けて搬送される。
【0070】
また、粉体収容容器39内のトナーTが凝集している場合には、搬送部材100が凝集したトナーTからの反力によって過剰に撓んで羽根部104の先端近傍が撹拌部110と干渉することがある。ここで、例えば、撹拌部の先端部とスリットの始端との軸線方向の位置が一致している場合には、撹拌部が羽根部を支持した状態で回転する、言い換えると、羽根部が突出部によって左右に逃げられないように支持されるため、羽根部の面とトナーTとが相対してしまい、粉体搬送部材の回転時のトルクが上昇する可能性がある。一方、本実施形態の粉体搬送部材88では、撹拌部110の先端部110Aとスリット102の始端102Aとの回転軸90の軸線方向の位置をずらしているので、羽根部104は撹拌部110に対し左右に逃げるように撓み、凝集されたトナーTを避けられる。これにより、粉体搬送部材88を回転駆動させるためのトルクの上昇が抑制され、例えば、回転軸90がトルクによってねじれることが抑制される。なお、凝集されたトナーTは、羽根部104が避けた後で撹拌部110によって切り崩されて撹拌される。
【0071】
(まとめ)
以上説明したように、粉体搬送部材88では、回転時に搬送部材100の羽根部104が撹拌部110
に対し左右に逃げられる構成のため、例えば、回転時に搬送部材100の羽根部104が撹拌部110によって拘束される構成と比べて、トナーTが凝集していても回転時のトルク上昇が抑制される。
特に、撹拌部110の先端部110Aとスリット102の延在方向の中央部とを回転軸90の軸線方向で同じ位置にしていることから、例えば、先端部110Aとスリット102の上記中央部とが回転軸90の軸線方向で異なる位置とされる構成と比べて、トナーTが凝集していても粉体搬送部材88の回転時のトルク上昇がさらに抑制される。
【0072】
また、粉体搬送部材88では、撹拌部110の回転方向側の端面110Bを回転方向に対して傾斜させていることから、例えば、撹拌部110の回転方向側の端面を回転方向に対して直交させる構成と比べて、撹拌部110による粉体撹拌時のトルク上昇が抑制される。
【0073】
また、粉体搬送部材88は、トナーTが凝集していてもトルク上昇がし難く、トルク上昇による回転軸90のねじれが生じにくい。このため、粉体搬送部材88が内部に配置される粉体収容容器39では、粉体搬送部材88の回転時のトルク上昇が抑制されつつ、収容されたトナーTが搬送される。
【0074】
そして、画像形成装置10では、静電潜像を現像する際に、粉体搬送部材88の回転時のトルク上昇が抑制されつつ、粉体収容容器39内のトナーTが現像装置24に補給される。
【0075】
なお、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明は係る実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の実施形態をとることが可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、上記実施形態では、粉体収容容器39の収容部80AにトナーTが収容される構成について説明したが、キャリア等がトナーTと共に収容されていてもよい。また、キャリアやトナーに限らず、円柱状の収容部に収容された粉体を搬送したい場合に、本発明を適用することが可能である。
【0076】
前述の実施形態では、互いに隣り合うスリット102同士が回転軸90の回転方向に対して一部がオーバーラップするようにスリット102が搬送部材100に形成されているが、本発明はこの構成に限定されない。
図10に示される変形の粉体搬送部材120のように、互いに隣り合うスリット102同士が回転軸90の回転方向に対してオーバーラップしないようにスリット102が搬送部材100に形成されていてもよい。この場合にも撹拌部110の先端部110Aとスリット102の始端102Aとの軸線方向の位置がずれるように撹拌部110を回転軸90に配置することで、前述の実施形態と同様の作用効果が得られる。
【0077】
(試験例)
次に、本発明の効果を説明するために実施例の粉体搬送部材を用いた粉体収容容器と、比較例の粉体搬送部材を用いた粉体収容容器を使用して以下の試験1、2を行った。試験に用いた実施例の搬送部材は、本発明の一実施形態の粉体搬送部材88と同じ構成の粉体搬送部材であり、比較例の搬送部材は、撹拌部の先端部と搬送部のスリットの始端とが回転軸の軸線方向で同じ位置とされた構成の粉体搬送部材である。
【0078】
試験1では、トナーを470g(含むキャリア100g)収容した実施例及び比較例の各粉体収容容器に上下のタッピング(振動)を100回加え、その後、熱履歴48℃、湿度85%の環境下で72時間保管し、その後、画像形成装置に取り付けて連続使用したときの粉体搬送部材のトルクについて測定した。さらに、実施例及び比較例の各粉体収容容器に加えるタッピング回数を100回ずつ増やしながら粉体搬送部材のトルクについてさらに測定した。これらの測定結果については、
図11に示した。
【0079】
試験2では、トナーを470g(含むキャリア100g)収容した実施例及び比較例の各粉体収容容器に上下のタッピング(振動)を200回加え、その後、熱履歴48℃、湿度85%の環境下で72時間保管し、その後、画像形成装置に取り付けて連続使用し、粉体収容容器からのトナーの排出量(言い換えると、現像器への供給量)と、粉体収容容器の使用終了後のトナーの残量について測定した。また、実施例及び比較例の各粉体収容容器に上記のようにタッピングを加えず、環境負荷も与えずに、画像形成装置に取り付けて連続使用した場合のトナーの排出量及びトナーの残量についても測定した。これらの測定結果については、表1に示した。
【0081】
図11に示されるように、実施例の粉体搬送部材のトルクは、比較例に比較して30%低減し、トルク目標達成可能なタッピング回数では350回から500回に増加している。これは、実施例の粉体搬送部材では、撹拌部の先端部と搬送部のスリットの始端とを回転軸の軸線方向でずらしたことにより、撹拌部にかかる荷重を低減する効果が得られたと推定する。
【0082】
さらに、表1に示されるように、比較例では、タッピングと熱履歴によるトナーの凝集を撹拌部で崩せず、トナー排出量の極端な低下や残量増加が見受けられるが、実施例ではトナー排出量とトナー残量がともに若干の変化のみと安定した結果を得られた。実施例において、トナー排出量とトナー残量の安定性が改善した理由としては、搬送部と撹拌部の干渉(接触)する部分の搬送部のダメージ及び回転軸のねじれの有無に差がみられ、比較例では搬送部が曲がり、回転軸にねじれが若干あったが、実施例でほとんど変化がなかった。この結果から比較例はタッピング後のトルク上昇による搬送部材のダメージ及び回転軸のねじれにより搬送性能が低下し、トナー排出量低下やトナー残量増加があったが、実施例ではトルク上昇が抑制されるので、トナー排出量低下やトナー残量増加が改善されたと推定する。