特許第6547546号(P6547546)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6547546
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】音楽再生装置
(51)【国際特許分類】
   H04S 1/00 20060101AFI20190711BHJP
   H03H 19/00 20060101ALI20190711BHJP
【FI】
   H04S1/00 700
   H03H19/00
【請求項の数】6
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-187565(P2015-187565)
(22)【出願日】2015年9月25日
(65)【公開番号】特開2017-63327(P2017-63327A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2018年5月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】710014351
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】川口 剛
(72)【発明者】
【氏名】淺尾 勁
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 尚徳
(72)【発明者】
【氏名】中西 芳徳
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2006/106690(WO,A1)
【文献】 特開平09−271100(JP,A)
【文献】 実開平05−060099(JP,U)
【文献】 特開2001−203581(JP,A)
【文献】 特開2009−094678(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03H 19/00
H04S 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右2チャンネルのデジタル音声信号を、左右2チャンネルのポジティブ及びネガティブのアナログ音声信号に変換し、差動出力するD/Aコンバーターと、
左チャンネルのポジティブのアナログ音声信号を増幅する第1増幅器と、
左チャンネルのネガティブのアナログ音声信号を増幅する第2増幅器と、
右チャンネルのポジティブのアナログ音声信号を増幅する第3増幅器と、
右チャンネルのネガティブのアナログ音声信号を増幅する第4増幅器と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、前記第2増幅器の出力、及び、前記第4増幅器の出力をグラウンドとするアクティブコントロールグラウンドモードの場合、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする音楽再生装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力をミュートすることにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力のボリュームをゼロとすることにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項4】
前記D/Aコンバーターは、カレントセグメントD/Aコンバーターを有し、
前記制御部は、前記カレントセグメントD/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ電流出力の経路をオープンとすることにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項5】
前記D/Aコンバーターは、カレントセグメントD/Aコンバーターを有し、
前記制御部は、前記カレントセグメントD/Aコンバーターにおいて、定電流源の電流をオン又はオフしているスイッチのうち、左右2チャンネルのネガティブ側のスイッチをオフすることにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項6】
前記D/Aコンバーターは、スイッチトキャパシタフィルタを有し、
NORゲートから構成される変換回路をさらに備え、
前記NORゲートの一方の入力端子に、ネガティブのデジタル音声信号が入力され、
前記NORゲートの他方の入力端子に、前記制御部からの制御信号が入力され、
前記NORゲートの出力端子は、前記スイッチトキャパシタフィルタに接続され、
前記制御部は、
バランスモードの場合、前記制御信号として、ローレベルの信号を出力し、
アクティブコントロールグラウンドモードの場合、前記制御信号として、ハイレベルの信号を出力することにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号を出力する音楽再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドホンに音声信号を出力する音楽再生装置において、ヘッドホン出力には、アンバランス、バランスと呼ばれる方式がある(例えば、特許文献1参照。)。アンバランス方式には、直径3.5mmの3極端子が用いられており、「ホット」、「コールド」の2種類で音声信号を伝送する。一方、バランス方式には、直径2.5mmの4極端子が用いられており、「グラウンド」、「ホット」、「コールド」の3種類で信号を伝送する。「コールド」は、「ホット」の逆相である。外来ノイズが発生した場合、「ホット」、「コールド」双方に同じ位相のノイズが乗る。「コールド」の位相を反転し、「ホット」の信号とミックス(混合)することで、外来ノイズは打ち消しあい、音声信号の振幅は、倍になる。このため、バランス方式は、ノイズに強く、音質が良い。
【0003】
バランス出力を有する音楽再生装置において、BTL増幅回路のネガティブ(反転)出力をグラウンド(=基準電位)にすることで、一般的なグラウンド接地のアンバランス出力とは、異なる音質効果が得られる。ここでは、この方式をアクティブコントロールグラウンド(以下、「ACG」という。)と呼ぶ。
【0004】
図9は、出願人による特願2015−171946に記載の音楽再生装置(デジタルオーディオプレーヤー)が備えるDAC(D/Aコンバーター)、増幅器等を示す図である。以下、バランスモードについて説明する。ポジティブ側(非反転信号用)のDAC107には、I2S形式のLR(左右)2チャンネルのデジタルオーディオデータ(デジタル音声信号)が入力される。DAC107は、LR2チャンネルのデジタルオーディオデータを、LR2チャンネルのアナログオーディオデータ(アナログ音声信号)に変換する。ポジティブ側(非反転信号用)の増幅器118、119は、DAC107がD/A変換したLR2チャンネルのアナログオーディオデータを増幅する。増幅器118は、Lチャンネルのアナログオーディオデータを増幅する。増幅器119は、Rチャンネルのアナログオーディオデータを増幅する。
【0005】
ネガティブ側(反転信号用)のDAC108には、I2S形式のLR2チャンネルのデジタルオーディオデータが入力される。DAC108は、LR2チャンネルのデジタルオーディオデータを、LR2チャンネルのアナログオーディオデータにD/A変換する。ネガティブ側(反転信号用)の増幅器120、121には、DAC108がD/A変換したLR2チャンネルのアナログオーディオデータを反転したLR2チャンネルの反転アナログオーディオデータが入力される。増幅器120、121は、LR2チャンネルの反転アナログオーディオデータを増幅する。増幅器120は、Lチャンネルの反転アナログオーディオデータを増幅する。増幅器121は、Rチャンネルの反転アナログオーディオデータを増幅する。
【0006】
ACGモードでは、図10に示すように、CPU102は、I2Cにより、DAC108をミュートする。従って、DAC108は、増幅器120、121にゼロデータを出力する。このため、増幅回路120、121の出力は、グラウンド(=基準電位)となる。なお、CPU102からDSP106、DSP106からDAC107、108には、通常の2チャンネルのデジタルオーディオデータ(I2S形式)が入力される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2013−005291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
DACにおいては、入力されたLR2チャンネルのデジタルオーディオデータを、LR2チャンネルのポジティブ及びネガティブのアナログオーディオデータに変換し、差動出力するものもある。
【0009】
本発明の目的は、入力されたLR2チャンネルのデジタルオーディオデータを、LR2チャンネルのポジティブ及びネガティブのアナログオーディオデータに変換し、差動出力するD/Aコンバーター(DAC)を用いて、増幅器のネガティブ出力をグラウンドとするアクティブコントロールグラウンドを実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の発明の音楽再生装置は、左右2チャンネルのデジタル音声信号を、左右2チャンネルのポジティブ及びネガティブのアナログ音声信号に変換し、差動出力するD/Aコンバーターと、左チャンネルのポジティブのアナログ音声信号を増幅する第1増幅器と、左チャンネルのネガティブのアナログ音声信号を増幅する第2増幅器と、右チャンネルのポジティブのアナログ音声信号を増幅する第3増幅器と、右チャンネルのネガティブのアナログ音声信号を増幅する第4増幅器と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記第2増幅器の出力、及び、前記第4増幅器の出力をグラウンドとするアクティブコントロールグラウンドモードの場合、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする。
【0011】
本発明では、制御部は、第2増幅器、及び、第4増幅器の出力をグラウンドとするアクティブコントロールグラウンドモードの場合、D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御する。このため、第2増幅器、及び、第4増幅器の出力は、グラウンドとなる。このように、本発明によれば、左右2チャンネルのデジタル音声信号を、左右2チャンネルのポジティブ及びネガティブのアナログ音声信号に変換し、差動出力するD/Aコンバーターを用いて、アクティブコントロールグラウンドを実現することができる。
【0012】
第2の発明の音楽再生装置は、第1の発明の音楽再生装置において、前記制御部は、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力をミュートすることにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする。
【0013】
本発明では、制御部は、D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力をミュートする。これにより、D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。
【0014】
第3の発明の音楽再生装置は、第1の発明の音楽再生装置において、前記制御部は、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力のボリュームをゼロとすることにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする。
【0015】
本発明では、制御部は、D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力をボリュームゼロとする。これにより、D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。
【0016】
第4の発明の音楽再生装置は、第1の発明の音楽再生装置において、前記D/Aコンバーターは、カレントセグメントD/Aコンバーターを有し、前記制御部は、前記カレントセグメントD/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ電流出力の経路をオープンとすることにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする。
【0017】
本発明では、制御部は、カレントセグメントD/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ電流出力の経路をオープンとする。これにより、D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。
【0018】
第5の発明の音楽再生装置は、第1の発明の音楽再生装置において、前記D/Aコンバーターは、カレントセグメントD/Aコンバーターを有し、前記制御部は、前記カレントセグメントD/Aコンバーターにおいて、定電流源の電流をオン又はオフしているスイッチのうち、左右2チャンネルのネガティブ側のスイッチをオフすることにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする。
【0019】
本発明では、制御部は、カレントセグメントD/Aコンバーターにおいて、定電流源の電流をオン又はオフしているスイッチのうち、左右2チャンネルのネガティブ側のスイッチをオフする。これにより、D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。
【0020】
第6の発明の音楽再生装置は、第1の発明の音楽再生装置において、前記D/Aコンバーターは、スイッチトキャパシタフィルタを有し、NORゲートから構成される変換回路をさらに備え、前記NORゲートの一方の入力端子に、ネガティブのデジタル音声信号が入力され、前記NORゲートの他方の入力端子に、前記制御部からの制御信号が入力され、前記NORゲートの出力端子は、前記スイッチトキャパシタフィルタに接続され、前記制御部は、バランスモードの場合、前記制御信号として、ローレベルの信号を出力し、アクティブコントロールグラウンドモードの場合、前記制御信号として、ハイレベルの信号を出力することにより、前記D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御することを特徴とする。
【0021】
本発明では、制御部は、アクティブコントロールグラウンドモードの場合、制御信号として、ハイレベルの信号を出力する。これにより、D/Aコンバーターの左右2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、入力された左右2チャンネルのデジタル音声信号を、左右2チャンネルのポジティブ及びネガティブのアナログオーディオデータに変換し、差動出力するD/Aコンバーター(DAC)を用いて、増幅器のネガティブ出力をグラウンドとするアクティブコントロールグラウンドを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るデジタルオーディオプレーヤーの構成を示すブロック図である。
図2】DAC、増幅回路等を示す図である。
図3】DAC、増幅回路等を示す図である。
図4】DAC、増幅回路等を示す図である。
図5】DACの構成を示す図である。
図6】DACの構成を示す図である。
図7】他の例のDACの構成を示す図である。
図8】他の例のDACの構成を示す図である。
図9】従来のデジタルオーディオプレーヤーが備えるDAC、増幅器等を示す図である。
図10】従来のデジタルオーディオプレーヤーが備えるDAC、増幅器等を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るデジタルオーディオプレーヤー(以下、「DAP」という。)の構成を示すブロック図である。DAP1(音楽再生装置)は、ヘッドホン201、202にアナログオーディオデータ(アナログ音声信号)を出力する。ヘッドホン201、202は、アナログオーディオデータに基づいて、音声を外部に出力する。ヘッドホン201は、バランス用のヘッドホンであり、バランス出力端子に接続される。ヘッドホン202は、アンバランス用のヘッドホンであり、アンバランス出力端子に接続される。DAP1は、バランス出力とアンバランス出力とを有する。
【0025】
図1に示すように、DAP1は、CPU2、記憶部3、表示部4、操作部5、DSP6、DAC7、増幅器8〜11、無線モジュール12、USBインターフェース(以下、「USB I/F」という。)13を備える。
【0026】
CPU(Central Processing Unit)2(制御部)は、制御プログラム、OSプログラム、アプリケーションプログラムに従って、DAP1を構成する各部を制御する。記憶部3は、CPU2の主メモリとして機能するRAM(Random Access Memory)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、OSプログラム、アプリケーションプログラム等のプログラム、デジタルオーディオデータ等の各種データを記憶するフラッシュメモリから構成されている。なお、記憶部3は、例示する構成に限られず、HDD(Hard Disk Drive)等を含んでいてもよい。
【0027】
表示部4は、種々の画像(静止画像、動画像を含む)を表示するものであり、液晶パネルにより構成されている。操作部5は、各種設定を行うための操作キー、及び、表示部4と連動したタッチパネルを備えている。ユーザーは、操作部5を介して、各種の文字入力、設定などを行うことが可能である。
【0028】
DSP(Digital Signal Processor)6は、デジタルオーディオデータに、イコライザー処理等の信号処理を行う。DAC7は、デジタルオーディオデータをアナログオーディオデータにD/A変換する。増幅器8〜11は、DAC7がD/A変換したアナログオーディオデータを増幅し、ヘッドホン201又はヘッドホン202に出力する。DAC7、増幅器8〜11の詳細については、後述する。無線モジュール12は、Bluetooth(登録商標)規格、Wi−Fi規格に従った無線通信を行うためのものである。USB I/F13は、USB規格に従った通信を行うためのものである。
【0029】
図2は、DAC7、増幅回路8〜11等を示す図である。以下、バランスモードについて説明する。図2に示すように、DAC7(D/Aコンバーター)には、I2S形式のLR(左右)2チャンネルのデジタルオーディオデータ(デジタル音声信号)が入力される。DAC7は、LR2チャンネルのデジタル信号を、LR2チャンネルのポジティブ及びネガティブのアナログオーディオデータに変換し、差動出力する。増幅器8(第1増幅器)は、Lチャンネルのポジティブのアナログオーディオデータを増幅する。増幅器9(第2増幅器)は、Lチャンネルのネガティブのアナログオーディオデータを増幅する。増幅器10(第3増幅器)は、Rチャンネルのポジティブのアナログオーディオデータを増幅する。増幅器11(第4増幅器)は、Rチャンネルのネガティブのアナログオーディオデータを増幅する。
【0030】
CPU2は、ACGモードの場合、DAC7のLR2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力(=オフ)となるように制御する。具体的には、CPU2は、図3に示すように、DAC7のLR2チャンネルのネガティブ出力をミュートする。これにより、DAC7のLR2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。又は、CPU2は、図4に示すように、DAC7のLR2チャンネルのネガティブ出力のボリュームをゼロとする。これにより、DAC7のLR2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。
【0031】
図5は、DAC7の構成を示す図である。DAC7は、オーディオデータ入力I/F14、オーバーデジタルサンプリングフィルタ15、DAC変調器16、カレントセグメントDAC17、18を有する。オーディオデータ入力I/F14に、デジタルオーディオデータが入力される。オーディオデータ入力I/F14は、デジタルオーディオデータがPCMデータである場合、デジタルオーディオデータを、オーバーサンプリングデジタルフィルタ15に出力する。オーバーサンプリングデジタルフィルタ15は、デジタルオーディオデータをオーバーサンプリング(×8)する。
【0032】
DAC変調器16は、オーバーサンプリングデジタルフィルタ15から出力されるデジタルオーディオデータにデルタ・シグマ変調、DWA等を行う。カレントセグメントDAC17、18は、DAC変調器16から出力されるデジタルオーディオデータを、アナログオーディオデータにD/A変換する。ACGモードの場合、CPU2は、カレントセグメントDAC17、18のLR2チャンネルのネガティブ電流出力の経路をオープンとする。これにより、DAC17、18のLR2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。DAC17、18から出力されたアナログオーディオデータは、I/V変換回路19により、I/V変換される。
【0033】
図6は、カレントセグメントDAC17(18)の構成を示す図である。カレントセグメントDAC17とカレントセグメントDAC18とは、同じ構成である。カレントセグメントDAC17、18において、セグメントスイッチは、定電流源の電流をオン又はオフしている。CPU2は、ACGモードの場合、LR2チャンネルのネガティブ側のセグメントスイッチをオフする。これにより、DAC17、18のLR2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となる。
【0034】
以上説明したように、本実施形態では、CPU2は、増幅器9、及び、増幅器11の出力をグラウンドとするACGモードの場合、DAC7のLR2チャンネルのネガティブ出力がゼロ信号出力となるように制御する。このため、増幅器9、及び、増幅器11の出力は、グラウンドとなる。このように、本発明によれば、LR2チャンネルのデジタルオーディオデータを、LR2チャンネルのポジティブ及びネガティブのアナログオーディオデータに変換し、差動出力するDAC7を用いて、ACGを実現することができる。
【0035】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0036】
図7は、他の例のDAC7の構成を示す図である。DAC7は、オーディオデータ入力I/F20、オーバーサンプリングデジタルフィルタ21、デルタ・シグマ変調器22、SCF(スイッチトキャパシタフィルタ、Switched Capacitor Filter)23、24を有する。オーディオデータ入力I/F20に、デジタルオーディオデータが入力される。オーディオデータ入力I/F20は、デジタルオーディオデータがPCMデータである場合、デジタルオーディオデータを、オーバーサンプリングデジタルフィルタ21に出力する。オーバーサンプリングデジタルフィルタ21は、デジタルオーディオデータをオーバーサンプリング(×8)する。
【0037】
デルタ・シグマ変調器22は、オーバーサンプリングデジタルフィルタ21から出力されるデジタルオーディオデータにデルタ・シグマ変調を行う。SCF23、24は、デルタ・シグマ変調器22から出力されるデジタルオーディオデータを、アナログオーディオデータにD/A変換する。ここで、DAP1は、さらにNORゲート(不図示)から構成される変換回路を備える。変換回路は、デルタ・シグマ変調器22からSCF23、24に入力されるネガティブ側のデジタルオーディオデータを生成する。NORゲートの一方の入力端子には、デルタ・シグマ変調器22から出力されるデジタルオーディオデータが入力される。NORゲートの他方の入力端子には、CPU2からの制御信号が入力される。NORゲートの出力端子は、SCF23、24に接続されている。NORゲートは、両信号の論理演算を行ってSCF23、24に出力する。
【0038】
バランスモードの場合、CPU2は、制御信号として、NORゲートにローレベルの信号を入力する。この場合、SCF23、24は、ネガティブのアナログオーディオデータを出力する。ACGモードの場合、CPU2は、制御信号として、NORゲートにハイレベルの信号を入力する。この場合、SCF23、24は、ゼロ信号を出力する。
【0039】
図8は、他の例のDAC7の構成を示す図である。図8に示すDAC7は、図5に示すDAC7と比較して、I/V変換回路19を含む構成が異なる。
【0040】
上述の実施形態においては、音楽再生装置として、DAPを例示した。これに限らず、スマートフォン、タブレットPC、USB DAC等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、音声信号を出力する音楽再生装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0042】
1 DAP(音楽再生装置)
2 CPU(制御部)
7 DAC(D/Aコンバーター)
8 増幅器(第1増幅器)
9 増幅器(第2増幅器)
10 増幅器(第3増幅器)
11 増幅器(第4増幅器)
17、18 カレントセグメントDAC(カレントセグメントD/Aコンバーター)
20、21 SCF(スイッチトキャパシタフィルタ)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10