特許第6547560号(P6547560)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6547560
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】制御端末装置および機器制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20190711BHJP
   G10L 19/00 20130101ALI20190711BHJP
【FI】
   H04R3/00 310
   G10L19/00 312
【請求項の数】8
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-194506(P2015-194506)
(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公開番号】特開2017-69821(P2017-69821A)
(43)【公開日】2017年4月6日
【審査請求日】2018年7月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123940
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 辰一
(72)【発明者】
【氏名】須山 明彦
(72)【発明者】
【氏名】虫壁 和也
(72)【発明者】
【氏名】塚田 啓介
【審査官】 大石 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−42286(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2014/0310597(US,A1)
【文献】 特開2015−100085(JP,A)
【文献】 特開2012−49836(JP,A)
【文献】 特開2006−164234(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00
G10L 19/00
H04L 12/28
H04N 21/00
H04R 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数の機器を選択する操作がされるとともに、前記機器のグループ設定操作がされる選択部と、
前記グループ設定操作に応じて複数の機器をグループ化する制御部と、
を備えた制御端末装置であって、
前記制御部は、
機器が選択されていない状態で前記グループ設定操作がされた場合、該グループにおけるマスタ機器、および、該マスタ機器に同期するクライアント機器の選択を受け付けて、これら選択された機器をグループ化し、
1つの機器が先に選択されている状態で前記グループ設定操作がされた場合、前記先に選択されている機器を前記マスタ機器として、該マスタ機器に同期する前記クライアント機器の選択を受け付け、これら選択された機器をグループ化する
制御端末装置。
【請求項2】
前記機器は、コンテンツ再生機器であって、
制御部は、
前記マスタ機器に対して、所定のコンテンツの再生を指示し、
前記クライアント機器に対して、前記マスタ機器が再生するコンテンツを受信して同期再生するよう指示する
請求項1に記載の制御端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記1つの機器が先に選択されている状態で前記グループ設定操作がされた場合であって、該先に選択されている機器がコンテンツの再生中である場合、前記クライアント機器の選択受け付け中も、前記コンテンツの再生を継続させる
請求項2に記載の制御端末装置。
【請求項4】
表示部を更に備え、
前記制御部は、
前記機器がコンテンツを再生しているときは、前記表示部に該コンテンツを再生中である旨の再生中画面を表示し、
前記1つの機器が先に選択されている状態で前記グループ設定操作がされた場合であって、該先に選択されている機器がコンテンツの再生中である場合、
前記クライアント機器の選択受け付け中は、該クライアント機器を受け付け中である旨の画面を表示し、
グループ化の処理が終了すると、前記再生中画面を再表示する
請求項3に記載の制御端末装置。
【請求項5】
1または複数の機器を選択する操作がされるとともに、前記機器のグループ設定操作がされる選択部を備えた制御端末装置のコンピュータを、
機器が選択されていない状態で前記グループ設定操作がされた場合、該グループにおけるマスタ機器、および、該マスタ機器に同期するクライアント機器の選択を受け付けて、これら選択された機器をグループ化する第1手段、および、
1つの機器が先に選択されている状態で前記グループ設定操作がされた場合、前記先に選択されている機器を前記マスタ機器として、該マスタ機器に同期する前記クライアント機器の選択を受け付け、これら選択された機器をグループ化する第2手段、
として機能させる機器制御プログラム。
【請求項6】
前記コンピュータを、
コンテンツ再生機器である前記マスタ機器に対して、所定のコンテンツの再生を指示する第3手段、および、
コンテンツ再生機器である前記クライアント機器に対して、前記マスタ機器が再生するコンテンツを受信して同期再生するよう指示する第4手段、
として更に機能させる請求項5に記載の機器制御プログラム。
【請求項7】
前記第2手段において、前記先に選択されている機器がコンテンツの再生中である場合、前記クライアント機器の選択受け付け中も、前記コンテンツの再生を継続させる
請求項6に記載の機器制御プログラム。
【請求項8】
表示部を更に備えた前記制御端末装置の前記コンピュータを、
前記機器がコンテンツを再生しているときは、前記表示部に該コンテンツを再生中である旨の再生中画面を表示する第5手段として更に機能させ、
前記第2手段において、前記先に選択されている機器がコンテンツの再生中である場合、前記クライアント機器の選択受け付け中は、該クライアント受け付け中の画面を表示し、グループ化の処理が終了すると前記再生中画面を再表示する
請求項7に記載の機器制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、2台以上の機器をグループ化し、該グループで同期した動作をさせる制御端末装置および機器制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年のオーディオシステムでは、リビングルームや寝室などの各部屋(エリア)に配置された複数のオーディオ機器(再生デバイス)がネットワーク(特に無線ネットワーク)に接続され、携帯端末装置によって各オーディオ機器のコンテンツ再生などが制御されるシステムがある(たとえば、特許文献1参照)。ユーザは、携帯端末装置を操作することで、選択した1のオーディオ機器にコンテンツ再生などを実行させることができる。また、ユーザは、携帯端末装置を操作することで、複数のオーディオ機器を指定(選択)してグループ設定を行うこともできる。そして、グループに所属するオーディオ機器に同一コンテンツの同期再生を実行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−251594号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のオーディオシステムのグループ設定では、同期再生するコンテンツの供給元のマスタ機器、および、マスタ機器からコンテンツを受信するクライアント機器の選択を行う必要があるため、ユーザの操作が面倒となるおそれがあった。
【0005】
そこで本発明の目的は、2台以上の機器をグループ化し、該グループで同期した動作をさせる制御端末装置において、グループの設定をより簡易にできるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の制御端末装置は、1または複数の機器を選択する操作がされるとともに、機器のグループ設定操作がされる選択部と、グループ設定操作に応じて複数の機器をグループ化する制御部と、を備えている。制御部は、機器が選択されていない状態でグループ設定操作がされた場合、該グループにおけるマスタ機器および該マスタ機器に同期するクライアント機器の選択を受け付けて、これら選択された機器をグループ化する。また、制御部は、1つの機器が先に選択されている状態でグループ設定操作がされた場合、先に選択されている機器をマスタ機器として、該マスタ機器に同期するクライアント機器の選択を受け付け、これら選択された機器をグループ化する。
【0007】
本発明の機器制御プログラムは、1または複数の機器を選択する操作がされるとともに、機器のグループ設定操作がされる選択部を備えた制御端末装置のコンピュータを、第1、第2手段として機能させる。第1手段では、機器が選択されていない状態でグループ設定操作がされた場合、コンピュータは、該グループにおけるマスタ機器および該マスタ機器に同期するクライアント機器の選択を受け付けて、これら選択された機器をグループ化する。第2手段では、1つの機器が先に選択されている状態でグループ設定操作がされた場合、コンピュータは、先に選択されている機器をマスタ機器として、該マスタ機器に同期するクライアント機器の選択を受け付け、これら選択された機器をグループ化する。
として機能させる機器制御プログラム。
【0008】
上記の発明において、機器がコンテンツ再生機器の場合、マスタ機器に対して所定のコンテンツの再生を指示し、クライアント機器に対してマスタ機器が再生するコンテンツを受信して同期再生するよう指示してもよい。また、グループ設定時に選択されている機器がコンテンツの再生中である場合、クライアント機器の選択受け付け中もコンテンツの再生を継続させればよい。
【0009】
さらに、機器がコンテンツを再生しているときは、表示部にコンテンツを再生中である旨の再生中画面を表示してもよく、この場合、グループ設定時に選択されている機器がコンテンツの再生中である場合、クライアント機器の選択受付中はクライアント機器を受付中である旨の画面を表示し、グループ化の処理が終了すると再生中画面を再表示すればよい。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、同期した動作をさせる機器のグループの設定をより簡易にすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明が適用されるオーディオシステムの構成図
図2】この発明が適用され、コントローラとして機能する携帯電話機のブロック図
図3】この発明が適用されるオーディオ機器のブロック図
図4】ホスト機器およびコントローラに設定されるシステム管理テーブルの例を示す図
図5】コントローラに設定されるオーディオ制御テーブルの例を示す図
図6】コントローラに設定されるルームテーブルの例を示す図
図7】コントローラとオーディオ機器の通信手順を示す図
図8】コントローラとオーディオ機器の通信手順を示す図
図9】コントローラとオーディオ機器の通信手順を示す図
図10】コントローラとオーディオ機器の通信手順を示す図
図11A】携帯電話機のコントロール画面(初期メニュー画面)の一例を示す図
図11B】携帯電話機のコントロール画面(ルーム選択画面)の一例を示す図
図11C】携帯電話機のコントロール画面(ソース選択画面)の一例を示す図
図11D】携帯電話機のコントロール画面(再生画面)の一例を示す図
図12A】携帯電話機のコントロール画面(マスタルーム選択画面)の一例を示す図
図12B】携帯電話機のコントロール画面(クライアントルーム選択画面)の一例を示す図
図13A】携帯電話機のコントロール画面(ルーム選択画面)の一例を示す図
図13B】携帯電話機のコントロール画面(ソース選択画面)の一例を示す図
図13C】携帯電話機のコントロール画面(再生画面)の一例を示す図
図14】携帯電話機のコントロール画面(クライアントルーム選択画面)の一例を示す図
図15】携帯電話機のコントロール画面(クライアントルーム選択画面)の一例を示す図
図16】コントローラ(制御部)の制御処理を示すフローチャート
図17】コントローラ(制御部)の第1のグループ設定処理を示すフローチャート
図18】コントローラ(制御部)の第2のグループ設定およびグループ変更設定処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明が適用されるオーディオシステムの構成を示す図である。オーディオシステム10は、有線LAN2およびアクセスポイント(外部アクセスポイント)3を含むネットワーク9で接続された複数のオーディオ機器4(4−1〜4−6)、および、コントローラ1として機能する多機能携帯電話機(携帯端末装置)1を有している。各オーディオ機器4は、ネットワーク9を介して相互にオーディオ信号の送受信を行う。コントローラ1は、ネットワーク9を介してオーディオ機器4に対してコマンドメッセージを送信する。
【0013】
オーディオシステム10を構成する各オーディオ機器4(以下、コンポーネント機器とも言う)は、有線LAN機能および2つの無線LAN機能を有している。オーディオ機器4は、2つの無線LAN機能の一方を用いてアクセスポイントを起動することができる。オーディオ機器4によって起動されたアクセスポイントは内部アクセスポイント4Aと呼ばれる。内部アクセスポイント4Aには、下位のオーディオ機器4が接続される。内部アクセスポイント4Aは、通常は(後述のイニシャル接続時以外は)ステルスモードで動作しており、他の機器にその存在を知られにくいようになっている。もう一方の無線LAN機能は、無線LANの子機として機能し、上位のオーディオ機器4の内部アクセスポイント4A、または、外部アクセスポイント3に接続される。
【0014】
有線LAN2にはアクセスポイント(外部アクセスポイント)3が接続されている。オーディオ機器4−1は有線LAN2にケーブルで接続されている。オーディオ機器4−2,4−3は、上位のオーディオ機器4−1の内部アクセスポイント4A−1に無線LANで接続されている。オーディオ機器4−4は、上位のオーディオ機器4−2の内部アクセスポイント4A−2に無線LANで接続されている。また、オーディオ機器4−5は、上位のオーディオ機器4−3の内部アクセスポイント4A−3に無線LANで接続されている。オーディオ機器4−6は、外部アクセスポイント3に接続されている。
【0015】
この実施形態において、ネットワーク9は、有線LAN2、および、外部アクセスポイント3、内部アクセスポイント4Aを含む無線LANで構成される。有線LAN2は、たとえばEthernet(登録商標:IEEE802.3)が用いられればよく、無線LANは、Wi−Fi(IEEE802.11g)が用いられればよい。また、ネットワーク9には、有線LAN2からゲートウェイ(不図示)およびインターネット5経由で配信サーバ6が接続されている。配信サーバ6は、オーディオ機器4に楽曲データを配信する。
【0016】
各オーディオ機器4は、有線LAN2に対する接続の形態に応じてルート機器、ノード機器、リーフ機器、および、ブランチ機器と呼ばれる。ルート機器は、有線LAN2に直接(ケーブルで)接続されている最上位の機器であり、図1においてオーディオ機器4−1がルート機器である。ルート機器は、オーディオシステム10の構築時に最初に登録されたオーディオ機器であり、オーディオシステム10の基点となる。ルート機器は、下位のオーディオ機器4をネットワークに接続してオーディオシステム10に参加させるための内部アクセスポイント4Aを起動する。ルート機器以下に接続されているオーディオ機器4(ノード機器、リーフ機器)で再生される音楽情報は全てここを経由して送信されることになる。
【0017】
ノード機器は、無線LANによってルート機器(ルート機器の内部アクセスポイント4A)に接続されている中位の機器であり、図1においてオーディオ機器4−2,4−3がノード機器である。ノード機器は、下位のオーディオ機器4をネットワークに接続してオーディオシステム10に参加させるための内部アクセスポイント4Aを起動する。ノード機器以下に接続されているオーディオ機器4(リーフ機器)で再生される音楽情報はここを経由して送信されることになる。
【0018】
リーフ機器は、無線LANによってノード機器(ノード機器の内部アクセスポイント4A)に接続されている下位の機器であり、図1においてオーディオ機器4−4,4−5がリーフ機器である。なお、リーフ機器は、内部アクセスポイント4Aを起動しないが、起動するようにしてもよい。
【0019】
ブランチ機器は、ルート機器を頂点とするツリーとは別に外部アクセスポイント3に無線LANで接続され有線LAN2を経由してオーディオシステム10内の他のオーディオ機器4と通信するオーディオ機器4であり、図1においては、オーディオ機器4−6がブランチ機器である。なお、ブランチ機器は、内部アクセスポイント4Aを起動しないが、起動するようにしてもよい。
【0020】
このオーディオシステムでは、高品質のオーディオ信号の伝送のため、ルート機器には2台までのノード機器の接続が許可される。また、各ノード機器には2台までのリーフ機器の接続が許可される。また、内部アクセスポイント4Aを用いた接続の階層は、ルート機器−ノード機器−リーフ機器の3階層までとする。したがって、ルート機器を頂点とする無線LANのツリーにより、ルート機器を含めて7台までのオーディオ機器を接続することができる。図1に示したツリーには、5台のオーディオ機器4(4−1〜4−5)が接続されている。また、ブランチ機器の台数に制限はないが、コントローラ1の制御対象としては、オーディオシステム10全体でオーディオ機器4の台数が10台までに制限される。ただし本発明において、ツリーの階層の数、各オーディオ機器4に接続可能な下位の機器の台数などの最大数は、この実施形態に限定されない。
【0021】
また、各オーディオ機器4−1〜4−6は、図1に示すように、同一の建物内におけるリビングルーム、ダイニングルーム、ベッドルーム、キッチン、ルームA、ルームBの各ルーム(エリア)に配置されている。
【0022】
オーディオシステム10の各オーディオ機器4−1〜4−6は、それぞれ別々のコンテンツを独立して再生可能であるが、オーディオシステム10では、複数のオーディオ機器をグループ化することができ、グループされた複数のオーディオ機器では、同一のコンテンツが同期再生される。コンテンツは、例えば、楽曲である。楽曲は、各オーディオ機器4−1〜4−6が有するCD、ハードディスクなどに記憶されている楽曲データであり、楽曲データのファイル形式は、例えば、MP3、WAV、SoundVQ(登録商標)、WMA(登録商標)、AACなどである。
【0023】
携帯電話機1は、オーディオシステム制御プログラム70(図2参照)が起動されることによりオーディオシステムコントローラ(以下、コントローラ)1として機能する。携帯電話機1(コントローラ1)は、オーディオシステム10に所属する各オーディオ機器4とネットワーク9を介して通信する。コントローラ1は、この通信により、オーディオシステム10の各オーディオ機器4−1〜4−6で再生するオーディオソース(たとえば、どのオーディオ機器4でどの楽曲を再生するか、どの楽曲をどのオーディオ機器4に配信するかなど)やその音量などを統括制御する。また、各オーディオ機器4は、ネットワーク9を介して他のオーディオ機器4と通信し、相互にオーディオ信号を送受信する。
【0024】
また、コントローラ1は、上述した同期再生を行うグループの設定の操作入力を受け付ける。グループは、ルーム(エリア)単位で設定可能である。そして、コントローラ1は、グループに所属するルームに配置されたオーディオ機器4に同期再生を行わせることができる。
【0025】
次に、図2のブロック図を参照して、携帯電話機1の構成を説明する。携帯電話機1は、いわゆるスマートフォンと言われる多機能電話機である。携帯電話機1は、携帯通信網である3G/4G通信機能、無線LAN(Wi−Fi)通信機能、および、Bluetooth(登録商標)通信機能を有している。携帯電話機1は、アプリケーションプログラムであるオーディオシステム制御プログラム70を起動することにより、コントローラ1として機能し、ネットワーク3経由でオーディオシステムのオーディオ機器4と通信し、ユーザの操作に応じたコマンドメッセージをオーディオ機器4に送信してオーディオシステムを制御する。
【0026】
携帯電話機1は、バス26上に、制御部20、操作部30、メディアインタフェース31、Wi−Fi通信回路32、3G/4G通信回路33、および、Bluetooth(登録商標)通信部34を有している。制御部20は、CPU21、ROM(フラッシュメモリ)22、RAM23、画像プロセッサ24および音声プロセッサ25を含んでいる。画像プロセッサ24には、ビデオRAM(VRAM)40が接続され、VRAM40には表示部41が接続されている。表示部41は液晶のディスプレイを含んでいる。ディスプレイには、待ち受け画面や電話番号などが表示される。また、コントローラ1として機能する場合は、オーディオ機器4を制御するための画面が表示される。音声プロセッサ25には、D/Aコンバータを含むアンプ42が接続され、アンプ42にはスピーカ16が接続されている。
【0027】
画像プロセッサ24は、待ち受け画面や電話番号等などの種々の映像を生成するGPU(Graphics Processing Unit,グラフィックス・プロセッシング・ユニット)を備えている。画像プロセッサ24は、オーディオシステム制御プログラム70が起動された場合には、CPU21の指示に従ってオーディオコントローラの画像を生成し、これをVRAM40上に展開する。VRAM40上に展開された画像は表示部41に表示される。
【0028】
音声プロセッサ25は、通話音声をエンコード/デコードするDSP(Digital Signal Processor:デジタル・シグナル・プロセッサ)を有している。音声プロセッサ25は、デコード/生成した音声をアンプ42に出力する。アンプ42は、この音声信号を増幅してスピーカ16に出力する。
【0029】
無線LAN通信回路32は、ルータ2との間でIEEE802.11gなどの規格で無線通信を行い、アクセスポイント3,7を介してオーディオ機器4と通信する。3G/4G通信回路33は、携帯電話通信網を介して、音声通話およびデータ通信を行う。Bluetooth通信部34は、他のBluetooth対応機器と通信し、例えばオーディオ信号の送受信等を行う。
【0030】
操作部30は、表示部41上に形成されたタッチパネル310(図11等参照)を含み、タッチパネル310上のタッチ操作、フリック操作を検出する。オーディオシステム制御プログラム70が起動されると、表示部41には、セットアップボタン、スキャンボタンなどの複数の操作子が表示される。操作部30は、タッチパネル310でユーザのタッチ操作およびその座標を検出し、どの操作子が操作されたかを判断する。
【0031】
メディアインタフェース31にはメモリカード15が接続される。メモリカード15は、たとえばマイクロSDカードである。オーディオシステム制御プログラム70は、メモリカード15またはROM22に保存される。この実施形態では、図2に示したように、オーディオシステム制御プログラム70はメモリカード15に保存されるものとする。なお、オーディオシステム制御プログラム70は、3G/4Gまたは無線LANのデータ通信によってダウンロードされてもよく、ROM22またはメモリカード15に予め記憶されていてもよい。また、メモリカード15には、オーディオシステムの構成を記憶する記憶エリア71が設定される。
【0032】
ROM22には、この携帯電話機1の通話やアプリケーションプログラムを実行するための基本プログラムが記憶されている。また、ROM22はフラッシュメモリであり、基本プログラムのほか、ダウンロードされたアプリケーションプログラムなどを記憶することも可能である。RAM23には、CPU20がオーディオシステム制御プログラム70を実行する際に使用されるワークエリアが設定される。
【0033】
次に図3を参照してオーディオ機器4の構成について説明する。オーディオ機器4は、制御部50、オーディオ処理部51および操作部59を有するとともに、2つの無線LAN通信部(RFモジュール)56、57および有線LAN通信部58を有している。操作部59はボリューム操作子(不図示)の他、コネクトボタン59Aを有している。制御部50は、CPUおよびメモリを含み、オーディオシステムプログラムを記憶している。制御部50は、オーディオシステムプログラムにより、オーディオ処理部51および無線LAN通信部56、57、有線LAN通信部58の動作を制御する。これにより、オーディオ機器4は、コンテンツを再生する再生デバイス、同期再生を制御するマスタとなる同期再生コントローラとして機能する。また、制御部50は、コネクトボタン59Aが押下されたとき、このオーディオ機器4をネットワーク9に接続するための動作であるイニシャル接続動作を実行する。イニシャル接続動作の詳細は後述する。
【0034】
無線LAN通信部56は、IEEE802.11gなどの無線LAN規格で外部アクセスポイント3または上位オーディオ機器4の内部アクセスポイント4Aと無線通信を行う。また、もう一つの無線LAN通信部57は、アクセスポイント(内部アクセスポイント4A)として起動され、他のオーディオ機器(たとえばオーディオ機器4−2,4−3など)を有線LAN2に中継する。また、無線LAN通信部57は、このオーディオ機器4のイニシャル接続時にもイニシャル接続用の仮アクセスポイントとして起動され、コントローラ1(携帯電話機1)と通信する。イニシャル接続時の動作は後述する。なお、2つの無線LAN通信部56、57は、1つのハードウェアを時分割で動作させて実現してもよい。有線LAN通信部58は、ケーブルコネクタを有し、IEEE802.3などの通信規格で有線LAN2−アクセスポイント3を介した通信を行う。アクセスポイント3には、コントローラ(携帯電話機)1が接続されており、制御部50は、ネットワーク9を経由してコントローラ1と通信し、動作状態を送信したり、コマンドメッセージを受信したりする。
【0035】
内部アクセスポイント4AのSSIDおよびパスワードは、無線LAN通信部57のMACアドレスから割り出し可能な文字列にされている。たとえば、MACアドレスをオクテット表現したものをSSIDとし、下3オクテット(機種ID+シリアル番号)をパスワードとするなどである。これにより、新たにオーディオシステムに参加するオーディオ機器は、SSIDに基づいて、すなわち、MACアドレスのベンダーIDおよび機種IDに基づいて、内部アクセスポイント4Aを発見することができ、且つ、自らパスワードを生成してその内部アクセスポイント4Aに接続することができる。これにより、内部アクセスポイント4Aに接続する場合の、ユーザによるSSID、パスワードの入力を省略することができる。なお、内部アクセスポイント4AのSSID、パスワードの生成方式は上記のものに限定されない。
【0036】
オーディオ処理部51は、チューナ52、オーディオ回路53、パワーアンプ54を有している。チューナ52は、FM放送またはインターネットからオーディオ信号を受信してオーディオ回路53に入力する。オーディオ回路53は、入力されたオーディオ信号に対してイコライズ、音量調整などの処理を行ったのち、この処理されたオーディオ信号をパワーアンプ54に出力する。パワーアンプ54は入力されたオーディオ信号を増幅し、外部接続されているスピーカ55に出力する。スピーカ55は、入力されたオーディオ信号を音響として放音する。
【0037】
なお、オーディオ機器4−1〜4−6は、それぞれ異なる機器であってよいが、通信機能およびオーディオ信号処理機能の基本的な構成は図3に示したものである。
【0038】
図4図5は、オーディオシステム10を管理するテーブルの一例を示す図である。図4は、ネットワーク9における各オーディオ機器4の接続形態を管理するシステム管理テーブルである。また、図5は、オーディオシステム10における各オーディオ機器4の動作を管理するオーディオ制御テーブルである。システム管理テーブルは、主としてルート機器4−1によってネットワーク接続の管理に用いられる。また、オーディオ制御テーブルは、主としてコントローラ1によって、オーディオソースの再生制御に用いられる。
【0039】
システム管理テーブルは、オーディオシステム10を構成する各オーディオ機器4(コンポーネント機器)の接続形態を記憶したものであり、オーディオシステム10の構築時にコントローラ1が作成する。また、オーディオシステム10へ新たなオーディオ機器4が追加されたとき、コントローラ1がこのオーディオ機器4を追加する更新を行う。作成または追加更新されたシステム管理テーブルは、コントローラ1からルート機器4−1に送信される。その後、システム管理テーブルは、オーディオシステム10の動作中に、いずれかのコンポーネント機器の切断または再接続が発生するごとに、ルート機器4−1よって更新される。また、ルート機器4−1は、定期的にシステム管理テーブルの内容の全部または一部をシステム情報として各コンポーネント機器およびコントローラ1に送信する。これにより、各コンポーネント機器およびコントローラ1は常に最新のシステム情報を保持することができる。以上のシステム情報の送信の詳細動作については後述する。
【0040】
システム管理テーブルは、このオーディオシステム10を識別するためのシステムIDで識別される。各コンポーネント機器は、各機器の機器IDに対応づけて、上位側(子機側)/下位側(内部アクセスポイント側)のMACアドレス(すなわち無線LAN通信部56/57のMACアドレス)、上位側/下位側のIPアドレス(すなわち無線LAN通信部56/57のIPアドレス)、ルート機器4−1からの接続段数(HOP数)、内部アクセスポイントの起動の有無、内部アクセスポイント4Aに接続している下位機器の数(Child数)などの情報を記憶している。
【0041】
なお、各コンポーネント機器は、個別のIPアドレスを有しているが、このオーディオシステム10は、マルチキャストグループとしてマルチキャストアドレスが設定されている。このマルチキャストアドレス宛に上記のシステム情報のIPパケットを送信することにより、オーディオシステム10の全コンポーネント機器にこのシステム情報パケットを受信させることができる。なお、システム情報パケットを各コンポーネント機器のIPアドレス宛にユニキャストで送信してもよいが、マルチキャストで送信することによりットワーク9の負荷を小さくすることができる。
【0042】
図5のオーディオ制御テーブルは、各機器の機器IDに対応づけて、各コンポーネント機器の上位側IPアドレス(無線LAN通信部56のIPアドレス)、機種、設置場所、グループ、サービス、ボリューム値および表示名称などの各種設定情報が記憶される。オーディオ制御テーブルの各欄とシステム管理テーブルの各欄とは機器IDで対応づけられる。コントローラ1は、このオーディオ制御テーブルの内容に基づいてコントロール画面(図11〜15参照)を作成し、ユーザによる各コンポーネント機器の制御を受け付ける。
【0043】
設置場所は、オーディオ機器が設置されているルーム(エリア)を特定する情報である。図5では名称が表示されているが、設置場所には、たとえば、設置されているルームのルームIDが登録されている。設置場所(ルームID)の情報は、たとえば、ルームへの設置時に各オーディオ機器に設定されている。ルームIDは、図6に示すルームテーブルの各情報と対応づけられている。図6は、ルームテーブルの一例を示す図である。ルームテーブルは、オーディオ機器4を配置するルームに関する情報が登録されている。具体的には、ルームIDに対応付けて、ルーム名称、背景画像が登録されている。ルーム名称は、リビングルーム(Living Room)などのルームの名称データである。背景画像は、携帯電話機1でのコントロール画面で表示されるルーム選択ボタン(エリア選択画像)などの背景画像として用いられる画像である。たとえば、画像データのファイル名が登録されている。なお、ルーム名称および背景画像は、コントローラ1を操作してユーザが任意に設定可能である。
【0044】
グループは、オーディオ機器(ルーム)が所属するグループの情報であり、上述したコンテンツの同期再生を行うグル―プを示す。なお、この実施形態では、1つのグループのみが設定される。また、1グループに所属するオーディオ機器は、同期再生マスタと、同期再生クライアントのいずれかに設定される。
【0045】
同期再生マスタは、グループ全体へのオーディオソースの供給および同期再生の制御を担当するとともに、また自身も同期再生の1機器として機能する。同期再生クライアントは、同期再生マスタの指示にしたがってコンテンツを再生する。例えば、同図に示す「1A」は、同期再生マスタとしてグループに所属するオーディオ再生機器(ルーム)を示す。また、「1B」は、同期再生スレーブとしてグループに所属するオーディオ再生機器(ルーム)を示す。「1A」,「1B」以外は、グループに所属していないオーディオ再生機器を示す。グループは、上述したようにコントローラ1を操作してルーム(エリア)単位で設定することができる。詳細は後述する。
【0046】
サービスは、FM放送、CD(CDプレーヤ)等の各機器が再生可能なコンテンツのソース情報を示す。
【0047】
オーディオシステム10を構築する場合、最初にルート機器4−1を設定してオーディオシステム10を構築する。その後、このオーディオシステム10にルート機器4−1以外のオーディオ機器4を追加してゆく。ユーザは、以下の手順で作業する。ルート機器となるオーディオ機器4−1を有線LAN2にケーブルに接続する。携帯電話機1上でコントローラ1をセットアップモードで起動する。オーディオ機器4−1のコネクトボタン59Aを押下する。ユーザが以上の作業を行えば、コントローラ1とルート機器4−1は、相互に通信し、自動でオーディオシステム10を構築する。その後、オーディオシステム10に新たなオーディオ機器4を追加する場合、ユーザは、コントローラ1をセットアップモードで起動し、追加するオーディオ機器4の電源をオンして(無線LAN通信部56,57を起動して)、コネクトボタン59Aを押下すれば、そのオーディオ機器4は、コントローラ1およびルート機器4−1と通信し、上述のSSIDからパスワードを自動生成することで、自動でオーディオシステム10に追加される。
【0048】
図7図10を参照して、オーディオシステム10の構築時、および、オーディオシステム10へのオーディオ機器4の追加時におけるコントローラ1とオーディオ機器4との通信手順について説明する。
【0049】
図7は、新規にオーディオシステム10を構築する場合のコントローラ1とルート機器となるオーディオ機器4−1との通信手順を示す図である。携帯電話機1は、オーディオシステム制御プログラム70が起動されて、コントローラ1として機能している。ユーザの操作によってコントローラ1がセットアップモードになると(S31)、表示部41にオーディオ機器4のコネクトボタン59Aを押下することを促す案内画面が表示される。この画面の案内に従いユーザはオーディオ機器4−1のコネクトボタン59Aを押下する(S41)。次に、コントローラ1は、有線LAN2に接続された新規のオーディオ機器を検索する(S32)。この検索はポーリングなど返信を要求するメッセージを送信することで行われる。オーディオ機器4−1は、この検索に対して応答する(S42)。これにより、コントローラ1とオーディオ機器4−1は、有線LAN2,アクセスポイント3を介して相互通信を開始する。
【0050】
オーディオ機器4−1は、自分自身の機器情報(無線LAN通信部のMACアドレスやIPアドレスなど)をコントローラ1に送信する(S43)。コントローラ1は、このオーディオ機器4−1をルート機器とする新規のオーディオシステム10を構築する。オーディオシステム10にシステムIDを割り当て(S34)、図4図5に示すシステム管理テーブルおよびオーディオ制御テーブルを作成して、現在通信しているオーディオ機器4をルート機器とするオーディオシステム10を構築する(S35)。オーディオシステム10が構築されると、システム管理テーブルをルート機器となったオーディオ機器4−1に送信し(S36)、セットアップモードを終了する(S37)。オーディオ機器4−1はこのシステム管理テーブルを受信して(S44)、保存する(S45)。これにより、オーディオ機器4−1を基幹の構成要素(コンポーネント)であるルート機器とするオーディオシステム10が構築される。以後は、コントローラ1によって、再生楽曲やその音量などを制御されるようになる。オーディオ機器4は、ステルスモードでアクセスポイントを起動する(S46)。
【0051】
図8は、構築済みのオーディオシステム10に、新たなオーディオ機器が追加される場合の通信手順を示す図である。コンポーネント機器は、既にオーディオシステム10の構成要素となっているオーディオ機器4であり、ここでは、内部アクセスポイント4Aを起動しているルート機器またはノード機器である。新規機器は、これから新たに追加されるオーディオ機器4である。
【0052】
コントローラ1として機能している携帯電話機1が、ユーザの操作によってセットアップモードになる(S51)と、表示部41にオーディオ機器4(新規機器)のコネクトボタン59Aを押下することを促す案内画面が表示される。この画面の案内に従いユーザは新規機器のコネクトボタン59Aを押下する(S71)。コントローラは、既に登録されているオーディオ機器4であるコンポーネント機器に、内部アクセスポイント4Aのステルスモードを解除するよう指示する(S52)。これによりコンポーネント機器は、内部アクセスポイント4Aのステルスモードを解除し、自己の存在を知らせるビーコンフレームを送信して新規機器のパッシブスキャンを可能にする(S61)。次に、コントローラ1は、新規機器の検索を開始する(S53)。
【0053】
新規機器は、ユーザによってコネクトボタン59Aが押下されると(S71)、イニシャル接続モードになり、接続可能なアクセスポイントを検索(パッシブスキャン)する(S72)。この検索で、新規機器は、接続可能なアクセスポインとして、コンポーネント機器の内部アクセスポイント4Aを発見する。上述したように、内部アクセスポイント4Aは、新規機器から見てオーディオシステム10の機器であることを識別可能なSSIDを有しており、かつ、そのSSID(またはMACアドレス)からパスワードを生成して接続可能である。新規機器は、発見した内部アクセスポイント4Aのなかから最寄りの(最も接続しやすい)ものを選択し、このSSIDおよび生成したパスワードを用いて、選択した内部アクセスポイント4Aに仮接続する(S73)。この接続は、システム情報を取得するための仮接続であり、オーディオシステム10に参加するための本接続ではない。そして、接続した内部アクセスポイント4A(コンポーネント機器)からオーディオシステム10の現時点でのシステム情報を取得する(S62、S74)。システム情報は、システム管理テーブルの全部または一部の内容からなる情報であり、定期的にルート機器4−1が更新して他のコンポーネント機器に配信される。新規機器は、取得したシステム情報に基づいて、オーディオシステム10に参加するために最適のアクセスポイントを選択する(S75)。この選択は、各アクセスポイントの電波強度、ルート機器4−1からの接続段数、そのアクセスポイントに接続されているコンポーネント機器の数などに基づいて行われ、通信条件がよさそうなアクセスポイントが選択される。
【0054】
図8の例(S100が実行されない例)では、仮接続した内部アクセスポイント4Aが本接続においても最適であると判断し、接続先を変更しない場合の流れを示している。たとえば、ルート機器4−1の内部アクセスポイント4A−1に接続されている場合等がこれに相当する。本接続で仮接続の内部アクセスポイント4Aから接続先を変更する場合には、図8に示すS100の区間で図9または図10の手順が実行される。本接続が完了すると(図8の場合には仮接続を本接続としたのち)、新規機器は、コントローラ1からの新規機器検索メッセージ(S53)を受信し、これに対して応答する(S76)。これで新規機器は、コントローラ1と通信可能になる。これにより、新規機器は、コントローラ1によって再生する楽曲やその音量などが制御されるようになり、オーディオシステム10の構成要素(コンポーネント)となる。
【0055】
新規機器は、自分自身の機器情報(無線LAN通信部のMACアドレスやIPアドレス、設置場所など)をコントローラ1に送信する(S77)。コントローラ1は、この機器情報を受信し(S54)、システム管理テーブルおよびオーディオ制御テーブルにこの新規オーディオ機器4を登録してこれらを更新する(S55)。コントローラ1は、更新したシステム管理テーブルをルート機器4−1に送信して(S56)、セットアップモードを終了する(S57)。ルート機器4−1は、システム管理テーブルの全部または一部の内容からなるシステム情報を、接続確認メッセージとして、定期的に他のコンポーネント機器に配信する。セットアップモード終了の通知はコントローラ1から全てのオーディオ機器4に送信されるが、コントローラ1がルート機器4−1に対して行い、ルート機器4−1がオーディオシステム10の他のオーディオ機器4に転送するようにしてもよい。
【0056】
ルート機器4−1からシステム情報を受信した新規機器は、このシステム情報を保存する(S78)。こののち新規機器は、ステルスモードで内部アクセスポイント4Aを起動する(S79)。また、ルート機器4−1からシステム情報を受信したコンポーネント機器は、この情報で内部に記憶しているシステム情報を更新する(S63)。そして、内部アクセスポイント4Aをステルスモードに戻す(S64)。以上の処理により、構築済みのオーディオシステム10に新たな機器を追加することができる。なお、コンポーネント機器、新規機器ともに、ステルスモードで内部アクセスポイント4Aを立てるのは、ルート機器、ノード機器のみであり、リーフ機器、ブランチ機器ではS64、S79の処理は行われない。
【0057】
図9は、新規機器が、S75で仮接続の内部アクセスポイント4Aを切断して、ツリー内の他の内部アクセスポイント4Aに接続し直す場合の通信手順を示す図である。図8のS75で本接続の接続先として他の内部アクセスポイント4Aが選択されると、現在仮接続している内部アクセスポイント4Aを切断し(S81)、選択された内部アクセスポイント4Aにシステム情報のアドレス情報を用いて本接続する(S82)。こののち、図8のS76に進む。
【0058】
図10は、新規機器が、S75で仮接続の内部アクセスポイント4Aを切断して、外部アクセスポイント3にブランチ機器として接続し直す場合の通信手順を示す図である。図8のS75で本接続の接続先として外部アクセスポイント3が選択されると、現在仮接続している内部アクセスポイント4Aを切断し(S91)、イニシャル接続時のみの仮アクセスポイントをスタンドアローンで起動する(S92)。すなわち、有線LAN2には接続されず新規機器に接続されるのみの内部アクセスポイント4Aを起動する。コントローラ1は、このイニシャル接続仮アクセスポイントのSSIDおよびパスワードを予め記憶している。すなわち、このSSIDおよびパスワードは、オーディオシステム制御プログラム70に予めデータとして書き込まれている。したがって、コントローラ1は、S53で開始した新規機器検索の中でこの仮アクセスポイントを発見し、外部アクセスポイント3との接続を一旦解除して、新規機器が起動した仮アクセスポイントに接続する(S83)。コントローラ1は、携帯電話機1のシステムプログラムから外部アクセスポイント3のSSID、パスワードを取得することができない可能性が高いため、ここでは、ユーザに外部アクセスポイント3のSSIDおよびパスワードの入力を求める(S84)。SSIDの入力は、そのとき見えている接続先(SSID)の一覧をディスプレイに表示し、ユーザに外部アクセスポイント3のSSIDを選択させる方式でよい。パスワード(通常は外部アクセスポイント3の本体に表記されている)は、ユーザに入力させる。
【0059】
そして、この入力された接続情報を仮アクセスポイントを起動している新規機器に送信する(S85)。新規機器がこの接続情報を受信する(S93)。コントローラ1は、新規機器に外部アクセスポイント3の接続情報(SSID,パスワード)を送信したのち、仮アクセスポイントとの接続を解消する(S86)。新規機器は、外部アクセスポイント3の接続情報をコントローラ1から受信すると、仮アクセスポイントを停止する(S94)。コントローラ1は、一旦接続を解除した外部アクセスポイント3に再度接続する(S87)。新規機器も取得した接続情報を用いて外部アクセスポイント3に接続する(S95)。こののち図8の手順にもどって、コントローラ1は新規機器検索を行い(S53)、新規機器はこれに応答する(S76)。なお、仮接続したコンポーネント機器から取得したシステム情報に外部アクセスポイント3の接続情報が含まれている場合は、S101で示した処理(S83−S87、S92−94)を省略して図9と同じように外部アクセスポイントに接続し直せばよい。
【0060】
次に、図11図15に記載のオーディオシステム10におけるコントローラ1(携帯電話機1)のコントロール画面(表示部41の表示内容)を参照して、コントローラ1を用いたオーディオ機器4の制御手順(再生手順およびグループ設定手順)について説明する。図11(A)〜図11(D)は、再生制御時のコントロール画面の一例を示す図である。図12(A)および図12(B)は、第1の手順によるグループ設定時のコントロール画面の一例を示す図である。図13(A)〜図13(C)は、グループ設定後の再生制御時のコントロール画面の一例を示す図である。図14は、第2の手順によるグループ設定時のコントロール画面の一例を示す図である。図15は、グループ変更設定時のコントロール画面の一例を示す図である。
【0061】
コントローラ1が起動されると、表示部41にコントロール画面が表示される。最初に、図11(A)の初期メニュー画面が表示される。ユーザが、セットアップボタン91をタップすると、タッチパネル410がこの操作を検出して上述したセットアップモードが開始される。また、ユーザが、同様にシステム接続ボタン92をタップすると、オーディオシステム10のオーディオ機器4との通信が開始される。なお、この実施形態では、ルーム(エリア)単位で制御が行われる。
【0062】
まず、オーディオ機器4にオーディオソースを再生させる再生手順について説明する。オーディオ機器4との通信が開始されると、コントローラ1(携帯電話機1)のコントロール画面(表示部41)に、図11(B)に示すようなルーム選択画面(一覧画面)が表示される。ルーム選択画面には、オーディオ機器4が設置されているルームを選択するルーム選択ボタンが表示される。ルーム選択ボタンは、上述した背景画像上に部屋の名前が表示された画像を有している。図11(B)の例では、3つのルーム選択ボタン93〜95が表示されている。ルーム選択ボタン93は、リビングルームを選択するボタンであり、このボタンによりオーディオ機器4−1が選択される。ルーム選択ボタン94は、ダイニングルームを選択するボタンであり、このボタンによりオーディオ機器4−2が選択される。ルーム選択ボタン95は、ベッドルームを選択するボタンであり、このボタンによりオーディオ機器4−3が選択される。ユーザがルーム選択ボタン93〜95のいずれかを操作(タップ)すると、そのルームのオーディオ機器4が選択される。なお、図11(B)の例では、コントロール画面に表示されているルーム選択ボタンは、93〜95の3つであるが、その他のルームボタンもコントロール画面をタッチ操作によりスクロールさせることで表示可能である。
【0063】
ユーザによりルーム選択ボタンのいずれかが選択(タップ)されると、コントローラ1は、選択されたルームのソース選択画面を表示する。ソース選択画面では、選択されたルームに設置されたオーディオ機器4の再生可能(サービス可能)なソースを示すアイコンボタン(ソース選択画像)が表示される。図11(C)は、ルーム選択ボタン94のタップによりダイニングルームが選択された場合のソース選択画面を示している。このソース選択画面では、ダイニングルームに設置されているオーディオ機器4−3の再生可能なソースを示すアイコンボタン97〜99が表示されている。
【0064】
アイコンボタン97は、CDを選択するボタンである。アイコンボタン98は、配信サーバ5によるネット配信を選択するボタンである。アイコンボタン99は、FM(ラジオ)を選択するボタンである。ユーザがアイコンボタンのうちの1つを選択することで、選択されたソースが再生される。
【0065】
たとえば、図11(C)において、アイコンボタン97が選択されると、コントローラ1は、オーディオ機器4-3に対してCDの再生をスタートする旨のコマンドメッセージを送信し、図11(D)に示すようなCDの再生画面(Now Playing画面)を表示する。この画面には、PLAY/PAUSEボタンやボリュームスライダなどの操作部が表示されており、ユーザはこれら操作部を操作することでCDの楽曲(楽曲データ)の再生/停止・音量調節などを実行することができる。なお、図11は、グループ設定されていない状態のコントロール画面の一例である。
【0066】
主にこれ以降のチェックとなりましょうか。
次に、複数のルーム(オーディオ機器4)で同じソースを同期して再生するグループの設定手順について説明する。グループ設定手順では、グループのマスタ(マスタ機器)となるオーディオ機器と、クライアント(クライアント機器)となるオーディオ機器とが選択される。グループ設定手順には、第1のグループ設定手順および第2のグループ設定手順の2つの手順がある。まず、第1のグループ設定手順について、図12を用いて説明する。
【0067】
第1のグループ設定手順は、図11(B)の画面において、リンク(Link)ボタン130を選択することで開始される。リンクボタン130が選択されると、図12(A)に示すマスタルーム選択画面が表示される。マスタルーム選択画面では、グループで同期再生されるオーディオ信号(オーディオソース)の供給元となるマスタを選択するためのマスタルーム選択ボタン121〜123が表示される。この画面で、たとえば、マスタルーム選択ボタン121が操作されると、リビングルームがマスタルーム(マスタエリア)として選択され、オーディオ機器4−1が同期再生のマスタとなる。なお、図12(A)では、理解の容易のために、マスタルーム選択ボタンとして3つのボタン121〜123のみ表示しているが、マスタとして選択可能なルームのボタンが全て表示されればよい。
【0068】
マスタルームが選択されると、画面表示は図12(B)に示すクライアントルーム選択画面に移行する。クライアントルーム選択画面では、グループのクライアントを選択するためのクライアントルーム選択ボタン125,126が表示される。クライアントルーム選択ボタン125または126がタップされると、タップされたボタン内のチェックボックスにチェックマークが表示され、選択された状態となる。図12(B)では、クライアントルーム選択ボタン125,126の両方がタップされた状態を示している。この場合、クライアントルーム選択ボタン125,126の両方のチェックボックスにチェックマークが表示され、ダイニングルームおよびベッドルームがクライアントルーム(クライアントエリア)となり、オーディオ機器4−2,4−3がクライアントとなる。
【0069】
以上の手順ののち、ユーザによって決定(OK)ボタン126が操作されることで、グループの設定が完了する。そして、このグループの情報が、図5に示すオーディオ制御テーブルに登録される。図5に示すオーディオ制御テーブルでは、上述した例のように、マスタルームがリビングルーム(マスタ:オーディオ機器4−1)であり、クライアントルームがダイニングルームおよびベッドルーム(クライアント:オーディオ機器4−2,4−3)であるグループの情報(1A、1B)が登録されている。グループが設定されると、グループに所属するオーディオ機器4では、同期して同じオーディオ信号(オーディオソース)が再生される。オーディオソースはマスタのオーディオ機器(マスタ機器)で再生され、そのオーディオ信号がマスタ機器からクライアントのオーディオ機器(クライアント機器)へ配信される。したがって、グループで再生されオーディオソースは、マスタ機器が再生可能なものに限定される。
【0070】
グループ設定操作の完了後、図12(B)に示すクライアントルーム選択画面からルーム選択画面に表示が戻る。図13(A)は、グループ設定が存在する場合のルーム選択画面の例を示している。グループが設定されると、ルーム選択画面にもグループ設定が反映される。すなわち、図13(A)の例では図5のグループ設定が反映され、マスタルームであるリビングルームのルーム選択ボタン93′に、クライアントルームのルーム名称(Bed Room, Dining Room)が加えられ、また背景画像にぼかしが加えられている。また、クライアントルームであるダイニングルームおよびベッドルームのルーム選択ボタン94,95は、グレイアウトして操作不可になっている。なお、クライアントのルーム選択ボタン94,95は表示をせず(マスターのルーム選択ボタン93’のみ表示)、操作不可とするようにしてもよい。
【0071】
そして、図13(A)に示すルーム選択画面でリビングルームのルーム選択ボタン93′が選択された場合、図13(B)に示すようにマスタ機器であるオーディオ機器4−1のソース選択画面が表示される。図13(B)のソース選択画面でソースが選択されたのち、図13(C)に示すような再生画面が表示され、リビングルーム、ダイニングテーブルおよびベッドルームのオーディオ機器4−1〜4−3での同期再生が実行される。なお、同期再生の制御は、特開2015−100085号公報に記載されているような技術を適用すればよい。
【0072】
次に、第2のグループ設定手順について、図11および図14を用いて説明する。第2のグループ設定手順は、図11(D)の画面においてリンク(Link)ボタン131をタップすることで開始される。図11(D)は、グループ化されていないルーム(オーディオ機器4)でオーディオソースを再生しているとき表示される再生画面(Now Playing画面)を示している。このNow Playing画面でリンクボタン131がタップされると、このルームをマスタルームとする第2のグループ設定手順(第2の手順)に進む。
【0073】
図11(D)に示すダイニングルームの再生画面でリンクボタン131がタップされると、図14に示すダイニングルームをマスタルームとするクライアントルーム選択画面が表示される。ユーザは、この画面で、図12(B)の第1のグループ設定手順と同様にクライアントルーム選択ボタンを操作してクライアントルームを選択し、決定(OK)ボタン126を選択することで、図11(D)のNow Playing画面が表示されているルームをマスタルームとするグループの設定が完了する。
【0074】
図14におけるグループ設定が完了するとそれまで単独のルームの再生であったものが設定されたグループの再生に移行する。すなわち、単独のルーム(例えばダイニングルーム)で再生されていたオーディオソースが、クライアントルームを含むグループで再生されるようになる。そしてコントローラ1の表示も(たとえば図13(C)に示すような)グループの再生画面に移行する。
【0075】
このように第2のグループ設定手順では、単独のルームでオーディオソースを再生しているときに、そのオーディオソースの再生を継続しながら、直接グループ設定画面に移行し、再生中のルームをメインルームとするグループ設定を行うことができる。グループ設定が完了すると、単独のルームで再生中であったオーディオソースが複数の部屋(グループ)での再生に(再生を継続しながら)移行する。
【0076】
また、本実施形態では、既にグループが設定されているルーム(マスタルーム)の再生画面(たとえば図13(C))において、リンクボタン131が選択された場合、再生画面に対応するルームが所属するグループのクライアントルーム選択画面が表示され、クライアントルームの変更設定(再設定・選択)を行うことができる。
【0077】
たとえば、マスタルームがリビングルームであり、クライアントルームがダイニングルームおよびベッドルームである図13(C)に示すリビングルームの再生画面でリンクボタン131が選択された場合、図15に示すようなクライアントルーム選択画面が表示される。図15に示すクライアントルーム選択画面では、現在のグループの設定内容が表示される。すなわち、クライアントルームとしてダイニングルームおよびベッドルームに対応するチェックボックスにチェックアイコンが表示されている状態で表示される。ユーザは、必要に応じてクライアントルーム選択ボタン125,126をタッチ操作してチェックアイコンの表示を取り消したり(選択解除)、新たに別のクライアントルーム選択ボタンをタッチ操作してクライアントルームを追加することが可能である。そして、決定(OK)ボタン126を選択することで、グループに所属するルーム(オーディオ機器4)が確定(変更設定完了)する。その後、図13(C)に示すリビングルームの再生画面に戻る。なお、このグループの設定変更の手順も、コンテンツの再生中に実行可能である。
【0078】
次に、図16を参照してオーディオシステム10におけるコントローラ1(制御部20)の処理動作について説明する。ユーザによってシステム接続ボタン92が押されると(S150)、この処理が開始される。なお、一部の処理については図示を省略する。
【0079】
まず、システム管理テーブル、オーディオ制御テーブル、ルームテーブルなどに基づいて、図11(B)などに示すようなルーム選択画面を表示部41に表示させる(S151)。そして、ルーム選択画面上でいずれかのボタンが操作されるまで待機する(S152)。いずれかのボタンが操作されると(S152でYES)、操作されたボタンに応じた処理を行う(S153)。リンクボタン130が操作された場合、第1のグループ設定処理(図17参照)を行う。また、ルーム選択ボタンのいずれかが操作された場合、この操作によって選択されたルームがクライアントルームであるかを判断する(S154)。この判断は、オーディオ制御テーブルのグループの情報を参照して行われる。クライアントルームである場合(S154でYES)、S151の処理に戻る。なお、クライアントのルーム選択ボタンを表示をせずに操作不可とした場合には、ステップS154の処理は不要である。
【0080】
また、選択されたルームがクライアントルームでない場合(ステップS154でNO)、図11(C)などに示すような、選択されたルームのソース選択画面を表示部41に表示させる(S155)。具体的には、選択されたルーム選択ボタンに対応するオーディオ機器のオーディオ制御テーブルのサービスの情報、ルームテーブルなどに基づいてソース選択画面を表示させる。そして、いすれかのソースのアイコンボタンが操作されるまで待機する(S156)。アイコンボタンが操作されると(S156でYES)、この操作によって選択されたソースに対応する再生画面(例えば図11(D))を表示する(S157)。
【0081】
そして、再生画面上でいずれかのボタンが操作されるまで待機する(S158)。いずれかのボタンが操作されると(S158でYES)、操作されたボタンに応じた処理を行う(S159)。再生/停止ボタンが操作された場合、その画面のルームに対応するオーディオ機器4に選択中のソースに対する再生処理のコマンドメッセージを送信し(S160)、S157の処理に戻る。また、リンクボタン131が選択された場合、第2のグループ設定およびグループ変更設定処理(図18参照)を行う。
【0082】
次に、図17を参照してこのオーディオシステム10におけるコントローラ1の第1のグループ設定処理について説明する。図17は、コントローラ1(制御部20)の第1グループ設定処理を示すフローチャートである。ユーザによってルーム選択画面中のリンクボタン130が操作されると(S170)、この処理が開始される。
【0083】
まず、図12(A)に示すようなマスタルーム選択画面を表示部41に表示させ(S171)、マスタルームが選択されるまで待機する(S172)。マスタルームが選択されると(S172でYES)、図12(B)などに示すように、選択されたマスタルームに対応するクライアントルーム選択画面を表示部41に表示させる(S173)。このとき、クライアントルーム選択画面には、チェックボックスにチェックマークが表示されていない初期状態のクライアントルーム選択画面が表示される。
【0084】
そして、クライアントルームが選択される(S174でYES)毎にクライアントルーム選択画面の表示を更新する(S175)。すなわち、選択されたルームのチェックボックスにチェックアイコンを追加するように画面を更新する。また、選択されたルームのチェックボックスにチェックアイコンがある場合にはチェックアイコンを削除するように画面を更新する。そして、OKボタンが押されて選択が確定するまでS174,S175の処理を繰り返し実行する(S176)。選択が確定すると(S176でYES)、選択結果に基づいてオーディオ制御テーブルを更新する(S177)。
【0085】
その後、更新したオーディオ制御テーブルを通信可能な全オーディオ機器4−1〜4−6に送信する(S178)。これにより、各オーディオ機器4−1〜4−6は、グループに所属しているのか、同期再生のマスタとなるのかなどの情報を取得して同期再生を行うことができる。その後、図16に示すS151の処理に移行してルーム選択画面が表示される。その際、図13(A)に示すように、S177で更新されたグループの情報がルーム選択画面に反映される。
【0086】
次に、図18を参照してこのオーディオシステム10におけるコントローラ1の第2のグループ設定およびグループ変更設定処理について説明する。図18は、コントローラ1(制御部20)の第2グループ設定およびグループ変更設定処理を示すフローチャートである。ユーザによって再生画面中のリンクボタン131が操作されると(S200)、この処理が開始される。
【0087】
まず、再生画面に対応するルームが既にグループに所属しているかを判断する(S201)。具体的には、オーディオ制御テーブルのグループの情報に基づいて判断する。グループに所属していない場合(S201でNO)、第2のグループ設定であると判断して、第1のグループ設定で表示したマスタルーム選択画面の処理を省略し、図14に示すような、再生画面に対応するルームをマスタルームとしたクライアントルーム選択画面を表示部41に表示させる(S202)。このとき、クライアントルーム選択画面には、チェックボックスにチェックマークが表示されていない初期状態のクライアントルーム選択画面が表示される。そして、上述したS174〜S178の処理と同様の処理をS203〜S207で行う。
【0088】
この第2グループ設定によって、再生画面に対応するルームをマスタルームとするグループが設定される。
【0089】
一方、既にグループに所属している場合(S201でYES)、グループ変更設定であると判断して、図15などに示すようなクライアントルーム選択画面を表示部41に表示させる(S202)。このとき、クライアントルーム選択画面には、現在のグループの設定内容が表示される。すなわち、グループに所属するエリア/ルームに対応するチェックボックスにはチェックマークが表示される。その後、上述したS203〜S207の処理を行う。
【0090】
この変更設定によって、再生画面に対応するルームをマスタルームとするグループに所属するクライアントルームの設定が変更される。また、S207の処理を実行後、図16に示すS157の処理に移行して、マスタルームの再生画面が表示される。
【0091】
以上のように、第2のグループ設定処理では、第1のグループ設定処理よりも簡易な手順でグループ設定を行うことができる。また、既に再生コンテンツが決定している状態なので、グループで共有するコンテンツを間違ったり、グループ設定の後の処理としてコンテンツを決定・選択する必要が無い。
【0092】
なお、上述の実施形態では、再生画面から第2のグループ設定手順に移行することができるが、ルーム選択画面でルーム(エリア)選択された状態であれば、どの段階からでも第2のグループ設定手順に移行可能にしてもよい。たとえば、ソース選択画面においてリンクボタン131を設けて第2のグループ設定手順に移行することができるようにしてもよい。
【0093】
また、上述の実施例ではグループ設定が反映されたルーム選択画面(図13(A))において、クライアントのルーム選択ボタン94,95は、グレイアウトして操作不可としたが、そもそも表示をせず(マスターのルーム選択ボタン93’のみ表示)、操作不可とするようにしてもよい。
【0094】
また、上述の実施形態では、1ルームに1台のオーディオ機器が設置されているが、1ルームに複数台のオーディオ機器が設置されていてもよい。この場合、マスタルームに複数台のオーディオ機器が設置されていれば、たとえば、ホップ数に応じて複数台のうちから1台のオーディオ機器を同期再生のマスタとして設定すればよい。
【0095】
また、上述の実施形態では、オーディオ機器のネットワーク接続時にシステム管理テーブル、オーディオ制御テーブルなどが自動生成されているが、特にこれに限定されるものではない。ユーザが必要な情報を直接にコントローラ1などに入力してもよい。
【0096】
さらに、上述の実施形態では、同期再生のマスタとして機能するオーディオ機器のみを用いた構成について説明したが、同期再生マスタとして機能するオーディオ機器が少なくとも1台がオーディオシステムに含まれていれば、同機能を備えていないオーディオ機器が含まれていてもよい。
【0097】
また、上述の実施形態では、ルーム選択画面などが表示されてルーム(エリア)単位で再生を実行するオーディオ機器の選択やグループ設定が行われているが、オーディオ機器単位で行うようにしてもよい。この場合、ルーム選択画面などルーム名称の表示をオーディオ機器の名称で表示させるようにすればよい。
【0098】
なお、この発明のオーディオ機器は、映像再生機能を持つオーディオ・ビジュアル(AV)機器などのコンテンツ再生機器であってもよく、これらが混在するシステムを含む。また、コンテンツ再生機器に以外にも、所定の動作を行う機器であってもよい。また、この実施形態においては、制御端末装置を、オーディオシステム制御プログラム70(アプリケーションプログラム)がインストールされた携帯電話機1で実現しているが、それ以外の構成であってもよい。たとえば、タブレットにオーディオシステム制御プログラム70をインストールしたものであってもよく、専用の端末装置であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
1 携帯電話機(コントローラ)
2 有線LAN
3 アクセスポイント(外部アクセスポイント)
4(4−1〜4−6) オーディオ機器(コンポーネント機器)
4A(4A−1〜4A−3) 内部アクセスポイント
10 オーディオシステム
20 制御部
30 操作部
41 表示部
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