(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態の乗り物用シートの外観斜視図である。
【
図3A】シート本体が通常位置の状態を説明する図である。
【
図3B】シート本体が通常位置からリクライニング位置へ移動した状態を説明する図である。
【
図5】骨格となるクッションフレームの平面図である。
【
図6】クッションフレームとクッション材の組み付け構造を示す分解斜視図である。
【
図8A】シートフレームが通常位置の状態を説明する図である。
【
図8B】シートフレームが通常位置からリクライニング位置へ移動した状態を説明する図である。
【
図9】
図1の要部拡大図であり、ベルトアシスト装置を示す斜視図である。
【
図12A】乗員が乗車する前の様子を示す図である。
【
図12B】乗員が乗車する前のサイドサポート装置の状態を示す図である。
【
図13A】乗員が乗車している際の様子を示す図である。
【
図13B】乗員が乗車している際のサイドサポート装置の状態を示す図である。
【
図14A】乗員が乗車している際の様子を示す図である。
【
図14B】乗員が乗車している際のサイドサポート装置の状態を示す図である。
【
図15A】乗員が着座している際の様子を示す図である。
【
図15B】乗員が着座している際のサイドサポート装置の状態を示す図である。
【
図16A】乗員が降車している際の様子を示す図である。
【
図16B】乗員が降車している際のサイドサポート装置の状態を示す図である。
【
図17A】乗員が降車している際の様子を示す図である。
【
図17B】乗員が降車している際のサイドサポート装置の状態を示す図である。
【
図18A】乗員が降車した後の様子を示す図である。
【
図18B】乗員が降車した後のサイドサポート装置の状態を示す図である。
【
図19】
図12Bのサイドサポート装置において、ロック装置がサイド部を通常位置でロックした状態を示す図である。
【
図20】
図13Bのサイドサポート装置において、第2ロック解除レバーがロック位置からロック解除位置へ移動した状態を示す図である。
【
図21】
図14Bのサイドサポート装置において、第2ロック解除レバー、第1ロック解除レバーの順にロック解除位置へ移動した状態を示す図である。
【
図22】
図15Bのサイドサポート装置において、第2ロック解除レバーがロック解除位置からロック位置へ戻った状態を示す図である。
【
図23】
図16Bのサイドサポート装置において、第1ロック解除レバー、第2ロック解除レバーの順にロック解除位置へ移動した状態を示す図である。
【
図24】
図17Bのサイドサポート装置において、ロック装置のロックが解除され、サイド部を通常位置から降車補助位置へ移動させた状態を示す図である。
【
図25】
図18Bのサイドサポート装置において第1ロック解除レバー、第2ロック解除レバーの順にロック位置へ戻り、再びロック装置のロックがされた状態を示す図である。
【0023】
以下、本発明の実施形態に係る乗り物用シートについて、
図1〜
図25を参照しながら説明する。
本実施形態は、シートクッションのサイド部の少なくとも一部を通常位置と降車補助位置との間で移動可能に支持するサイドサポート装置を備えた乗り物用シートであって、サイドサポート装置は、シートバックのバックサイド部の手前に置かれたシートベルトのベルト部分よりも前方位置に配置され、サイド部及びバックサイド部のうち少なくとも一方には、サイドサポート装置によってサイド部の位置が切り替わるときに、シートベルトのベルト部分が移動することを規制するベルト移動規制部が設けられていることを特徴とする乗り物用シートの発明に関するものである。
またベルト移動規制部は、複数からなり、シートクッションのサイド部の一部となる固定サイド部と、シートバックのバックサイド部の一部となるサイド突出部と、ベルトアシスト装置の可動部材の一部となる突出部と、から構成されている。
なお、着座シートのシートバックに対して乗員が着座する側がシート前方側となる。
【0024】
本実施形態の乗り物用シートSは、例えば車両の後部座席に相当するリアシートである。
乗り物用シートSは、
図1、
図2に示すように、シートクッション1と、シートバック2と、ヘッドレスト3とを有し、乗員が着座可能なシート本体と、車体フロアに対してシートクッション1を前後移動可能に支持するスライドレール装置30と、シートバック2の後方側にある車体ベースに対してシートバック2を上下移動可能に支持するスライドバー装置40と、を有するシート切り替え装置と、を備えている。
乗り物用シートSは、シート切り替え装置を利用して、シート本体を
図3Aに示す通常位置と
図3Bに示すリクライニング位置との間で切り替えることが可能なシートである。
具体的には、乗り物用シートSでは、
図3Aの通常位置から、スライドレール装置30を動作させることでシートクッション1がシート前方にスライド移動すると共に、シートクッション1とリンク連結されたシートバック2が前方に牽引される。そうすると、シートバック2の上方部分がスライドバー装置40によって支持されながら下方にスライド移動すると共に、シートバック2の下方部分が当該上方部分に対してシート前方に回転移動する。その結果、乗り物用シートSが
図3Bのリクライニング位置に移動する。
【0025】
また乗り物用シートSは、
図1、
図2に示すように、シートバック2のバックサイド部2cにおいて上方部分に取り付けられるベルトアシスト装置50を備えている。
乗り物用シートSは、ベルトアシスト装置50を利用して、
図9に示すように、シートバック2のバックサイド部2cの手前に置かれたシートベルト4の少なくとも一部分を、着座した乗員の手の届き易い位置に移動させることが可能なシートである。
具体的には、乗り物用シートSでは、ベルトアシスト装置50を動作させることによって、シートバック2の前面とシートベルト4との間、及びシートバック2の上端とシートベルト4との間の双方に隙間ができるようにシートベルト4の一部分を後方から押し出すことができる。
【0026】
さらに乗り物用シートSは、
図1、
図2に示すように、シートクッション1のクッションサイド部1cの少なくとも一部分を、乗員が着座可能な通常位置と、乗員の降車動作を補助するための降車補助位置との間で移動可能となるように支持するサイドサポート装置70と、クッションサイド部1cの一部を通常位置でロックするロック装置80と、ロック装置80のロック状態を解除するロック解除装置90と、を備えている。
乗り物用シートSは、サイドサポート装置70を動作させることで、着座している乗員の降車動作を補助することが可能なシートであって、クッションサイド部1cの可動サイド部1caを、
図12に示すようにクッション中央部1dよりも着座面が突出するように設けた通常位置と、
図17に示すようにクッション中央部1dよりも着座面が後退するように設けた降車補助位置との間で移動可能なシートである。
そのため、クッションサイド部1cがサイドサポート装置70によって通常位置で支持されている場合には、着座している乗員のホールド性を向上できる。また、クッションサイド部1cが降車補助位置で支持されている場合には、乗員が車両のドアを開いて降車するときに乗員のクッションサイド部1cを乗り越えるための負担を軽減することができる。
【0027】
シートクッション1は、
図1、
図2に示すように、乗員を下方から支持する着座部であって、骨格となるクッションフレーム10にクッション材1aを載置して、表皮1bで被覆されて構成されている。
シートバック2は、乗員の背中を後方から支持する背もたれ部であって、骨格となるバックフレーム20にクッション材2aを載置して表皮材2bで被覆されて構成されている。
ヘッドレスト3は、乗員の頭を後方から支持する頭部であって、芯材となる不図示のピラーにクッションパッド3aを載置して表皮材3bで被覆されて構成されている。
シートクッション1、シートバック2のシート幅方向の左右側方部分は、着座している乗員をシート幅方向の外側から包み込むように支持するクッションサイド部1c、バックサイド部2cとしてそれぞれ形成されている。
【0028】
クッションサイド部1cは、サイドサポート装置70によって切り替え可能となるように支持される可動サイド部1caと、可動サイド部1caよりも後方位置に配置され、常に通常位置で固定されている固定サイド部1cbと、から構成されている。
可動サイド部1caと固定サイド部1cbの間には、シート幅方向に沿って延びるサイド溝1ccが形成され、また、クッションサイド部1cとクッション中央部1dの間にはシート前後方向に沿って延びるサイド溝1cdが形成されている。
バックサイド部2cは、シート幅方向の外側端部において前方にやや突出したサイド突出部2caを備えている。
なお、固定サイド部1cb及びサイド突出部2caが、シートベルト4のベルト部分の移動を規制するためのベルト移動規制部の一部となる。
【0029】
クッションフレーム10は、骨格となる略矩形状の枠状体からなり、
図4、
図5に示すように、左右側方に配置され、シート前後方向に延びている左右のサイドフレーム11と、各サイドフレーム11よりも前方に配置され、左右方向に延びている前方フレーム12と、各サイドフレーム11後方部分を連結する略U字形状の後方フレーム13と、から主に構成されている。
また、サイドフレーム11、前方フレーム12及び後方フレーム13の底面には、クッションフレーム10とスライドレール装置30とを連結する板状の支持フレーム14が取り付けられており、後方フレーム13の上面には、クッション材1aを取り付けるための取り付けブラケット15が設けられている。
さらに、取り付けブラケット15の左右外側面には、クッションフレーム10とバックフレーム20をリンク連結するためのリンク16が設けられている。
【0030】
支持フレーム14は、略矩形板状のフレームからなり、前方フレーム12より前方に配置され、着座した乗員の腿部を支持する前方支持フレーム部14aと、前方支持フレーム部14aの左右両端部分からそれぞれ後方に延びて、左右のスライドレール装置30a,30bの上面にそれぞれ取り付けられる左右のサイド支持フレーム部14bと、前方支持フレーム部14aの中央部分から後方に延びて、中央スライドレール装置30cの上面に取り付けられる中央支持フレーム部14cと、から主に構成されている。
前方支持フレーム部14aの前端部分には、左右方向に所定の間隔を空けて配置され、クッション材1aを取り付けるための左右の取り付け穴14aaが形成されており、左側のサイド支持フレーム部14bにはサイドサポート装置70が取り付けられている。
【0031】
取り付けブラケット15は、
図6に示すように、クッション材1aの後端部分に形成されて後方側に延びているコ字形状の後方係合突起1aaを係合させるための係合穴15aを備えている。
具体的には、クッション材1aには、後方係合突起1aaと、後方係合突起1aaよりも前方位置に形成されて下方側に延出し、前方支持フレーム部14aの左右の取り付け穴14aaに係合するための左右の前方係合突起1abとが設けられている。
上記構成により、クッションフレーム10にクッション材1aを容易な組み付け作業によって取り付けることができる。
【0032】
リンク16は、バックフレーム20の下端部分を挟持するように上端部分が取り付けられる上方リンク16aと、上方リンク16aの下端部分と取り付けブラケット15とを連結する下方リンク16bと、から主に構成されている。
下方リンク16bは、その上端部分がリンク回転軸16cを介して上方リンク16aに取り付けられ、下端部分が取り付けブラケット15に取り付けられている。
【0033】
バックフレーム20は、シートバック2の骨格となる略矩形状の枠状体からなり、
図4に示すように、バックフレーム20の上半分を構成し、略U字形状のパイプ部材からなる上方フレーム21と、バックフレーム20の下半分を構成し、略逆U字形状のパイプ部材からなる下方フレーム22と、上方フレーム21及び下方フレーム22を連結し、左右幅方向に延びている板状の中央フレーム23と、から主に構成されている。
上方フレーム21は、左右側方に配置され、上下方向に延びている左右のサイドフレーム部21aと、左右のサイドフレーム部21aの上端部分を連結し、ヘッドレスト3を連結するための上部フレーム部21bと、左右のサイドフレーム部21aの上下方向の中央部分を連結し、スライドバー装置40を取り付けるための板状の連結フレーム部21cと、から主に構成されている。
下方フレーム22は、左右のサイドフレーム部22aと、左右のサイドフレーム部22aの下端部分を連結し、リンク16が取り付けられる下部フレーム部22bと、から主に構成されている。
中央フレーム23は、その上方部分が上方フレーム21に接合して一体的に取り付けられ、下方部分が下方フレーム22にバック回転軸24を介して回転可能となるように取り付けられている。
【0034】
上方フレーム21において左側のサイドフレーム部21aの外側面には、ベルトアシスト装置50を取り付けるための取り付けワイヤ25が外側に張り出すように取り付けられている。
詳しく言うと、取り付けワイヤ25には、ベルトアシスト装置50の取り付けプレート51に一体的に設けられた不図示のクリップ部材が取り付けられる。
【0035】
<シート切り替え装置>
次に、シート切り替え装置を構成するスライドレール装置30とスライドバー装置40の具体的な構成について
図3A、B〜
図8A、Bに基づいて説明する。
スライドレール装置30は、
図2、
図3A、B、
図5に示すように、車体フロアに対してシートクッション1を前後移動可能に支持する装置であって、シートクッション1の左右両端部分を支持する左右のスライドレール装置30a,30bと、シートクッション1の中央部分を支持する中央のスライドレール装置30cと、を備えている。
詳しく言うと、左のスライドレール装置30aはクッションフレーム10の前方部分に取り付けられ、右のスライドレール装置30bはクッションフレーム10の中央部分から後方部分にかけて取り付けられ、中央のスライドレール装置30cはクッションフレーム10の後方部分に取り付けられている。
【0036】
スライドレール装置30は、
図3A、Bに示すように、車体フロアに固定され、シート前後方向に延びる左右のロアレール31と、ロアレール31に沿って摺動可能に支持される左右のアッパレール32と、アッパレール32を摺動不能にロックする不図示のロック部材と、ロック部材のロック状態を解除する不図示のロック解除部材と、ロック解除されたアッパレール32を前後方向に駆動動作させるための
図5に示す駆動モータ33と、から主に構成されている。
なお、スライドレール装置30は、制御装置としての不図示のECU(電子制御回路)と、駆動モータ33に駆動電力を供給する駆動回路と、駆動モータ33と駆動回路を介して接続されている車体電源と、をさらに備えている。
【0037】
ロアレール31は、長尺な中空体からなり、シート幅方向に間隔を空けて左右に配置されており、シート前後方向に沿って断面略凸形状の収容空間が形成され、シート前後方向に沿って上面に開口部分が形成されている。
アッパレール32は、ロアレール31の収容空間内に挿入された状態でロアレール31に沿ってスライド移動する長尺体からなり、その上方部分が支持フレーム14を介してクッションフレーム10に連結されている。
【0038】
スライドバー装置40は、
図7、
図8A、Bに示すように、シートバック2の後方側にある車体ベースに対してシートバック2を上下移動可能に支持する装置であって、車体ベースに設けられた格納凹部に格納されて配置されている。
スライドバー装置40は、車体ベースに対して取り付けブラケット41を介して固定され、左右幅方向に間隔を空けて上下方向に延びている左右のスライドバー42と、バックフレーム20の上方フレーム21後面に取り付けブラケット43を介して固定され、スライドバー42に挿入された状態で上下移動可能に支持されるスライドシリンダー44と、から主に構成されている。
【0039】
上記構成において、乗り物用シートSでは、
図8Aの通常位置から、スライドレール装置30を利用してロアレール31に対してアッパレール32をシート前方に移動させることで、クッションフレーム10が前方にスライド移動し、クッションフレーム10とリンク16で連結されたバックフレーム20が前方に牽引される。
そうすると、バックフレーム20では、スライドバー装置40を利用してスライドバー42に対してスライドシリンダー44を下方に移動させることで、上方フレーム21が下方にスライド移動し、下方フレーム22が上方フレーム21に対してシート前方に回転移動する。
その結果、乗り物用シートSが
図8Bのリクライニング位置に移動する。
【0040】
<ベルトアシスト装置>
次に、ベルトアシスト装置50の具体的な構成について
図9、
図10に基づき説明する。
ベルトアシスト装置50は、
図9に示すように、シートベルト4の少なくとも一部分を前方及び上方に押し出すことが可能なアシスト装置である。
ベルトアシスト装置50は、
図4に示すバックフレーム20の外側面に設けられた取り付けワイヤ25を介して取り付けられ、上下に長尺な取り付けプレート51と、取り付けプレート51の上端に形成された収納開口部51aに嵌め込まれる凹形状の収納プレート52と、収納プレート52の前面に取り付けられる凹形状の支持プレート53と、支持プレート53の収容内部に回動軸54を介して取り付けられる可動部材55と、可動部材55を
図9に示す突出位置側に付勢する補助バネ56と、から主に構成されている。
【0041】
ベルトアシスト装置50は、可動部材55を、シートバック2の収納プレート52内部に収納させる収納位置と、シートバック2よりも前方に突出させ、シートベルト4の一部分を押し出す突出位置との間で回動させる装置である。
ベルトアシスト装置50は、可動部材55が
図1に示す収納位置にいるときにシートバック2の外表面からほぼ張り出すことなく一体的に収納されており、可動部材55が
図9に示す突出位置にいるときにシートバック2の外表面から一部張り出して、シートベルト4の一部分を前方及び上方に押し出すように構成されている。
【0042】
可動部材55は、シート幅方向の外側端部において前方に突出する突出部55aを備えており、突出部55aがシートベルト4のベルト部分の移動を規制するためのベルト移動規制部の一部となる。
【0043】
なお、ベルトアシスト装置50は、収納プレート52の後面に格納されている不図示の駆動モータと、駆動モータと可動部材55とを接続し、可動部材55を回転させるために駆動モータの動作に対応して昇降動作する不図示の駆動シャフトと、備えている。
また、ベルトアシスト装置50は、制御装置としての不図示のECUと、駆動モータに駆動電力を供給する駆動回路と、駆動モータと駆動回路を介して接続されている車体電源と、乗員が着座したことを検知する不図示の着座センサと、シートベルト4のタングプレート4aがバックル4bに連結されたことを検知する不図示のバックルセンサとをさらに備えていると望ましい。
そしてECUは、これら各センサから入力される信号に基づいて、駆動モータの動作、すなわち可動部材55の動作を制御すると良い。
例えば、ECUは、着座センサからオン信号を受信しているときにバックルセンサからオン信号を受信していないときには、駆動モータに駆動電力を供給し、可動部材55を突出位置に移動させてシートベルト4を押し出すと良い。
また例えば、着座センサ及びバックルセンサからオン信号を受信しているときには、駆動モータに駆動電力を供給し、可動部材55を突出位置から収納位置に戻すと良い。
【0044】
<サイドサポート装置>
次に、サイドサポート装置70の具体的な構成について
図11〜
図25に基づいて説明する。
サイドサポート装置70は、乗員の降車動作に対応させてクッションサイド部1cを移動可能となるように支持する装置であって、
図12に示すように、クッションサイド部1c及びクッション中央部1dの内部にわたって配置されている。
サイドサポート装置70は、
図11に示すように、クッションサイド部1cを下方から支持するプレート状のサイドプレート71と、サイドプレート71の底面に取り付けられる縦断面コ字形状のサイドブラケット72と、サイドプレート71及びサイドブラケット72を通常位置と降車補助位置の間で回転可能となるように回転軸73を介して支持するサイドベース74と、サイドベース74に中央部分が連結され、サイドベース74から外側に張り出すように延びている取り付けワイヤ76と、から主に構成されている。
なお、取り付けワイヤ76は、クッション材1a内部に設けられた不図示の取り付け孔に挿入されるものであって、クッションサイド部1c内部にサイドサポート装置70を取り付けるための部材である。
【0045】
サイドプレート71は、
図2、
図11に示すように、金属プレートからなり、クッションサイド部1cにおいてシート前後方向の中央部分に配置されている。
サイドプレート71の上面においてシート幅方向の外側部分には、上下方向に貫通した矩形状の貫通穴71aと、貫通穴71aの外縁部分においてシート前後方向の両端部分を下方に屈曲させて形成した一対の側壁部71bとが設けられている。
当該貫通穴71aが形成された部分には、第2ロック解除レバー94が配置されており、第2ロック解除レバー94は、一対の側壁部71bに回動軸95を介して回転可能となるように取り付けられている。
【0046】
サイドブラケット72は、
図11に示すように、シート幅方向に長尺なコ字形状体からなり、サイドプレート71を取り付けるための上壁部72aと、上壁部72aのシート前後方向の両端部分から下方に屈曲して延びている一対の側壁部72bと、から主に構成されている。
一対の側壁部72bは、シート前後方向に沿って延びる回転軸73を介して、コ字形状体からなるサイドベース74の側壁部74bに取り付けられている。
また、後方側の側壁部72bの内側面には、
図11に示すように、ロック装置80と、ロック解除装置90の構成部品とが取り付けられている。
【0047】
サイドベース74は、支持フレーム14上に取り付けられる底壁部74aと、底壁部74aのシート前後方向の両端部分から上方に屈曲して延びている一対の側壁部74bとから主に構成されている。
また、サイドベース74よりもシート後方に所定間隔を空けた位置には、第2サイドベース75が不図示の取り付けワイヤを介してクッションサイド部1c内部に取り付けられている。第2サイドベース75には、シート前後方向に沿って延びる回動軸92を介して第1ロック解除レバー91が回転可能となるように取り付けられている。
【0048】
ロック装置80は、サイドプレート71及びサイドブラケット72を通常位置でロックする装置であって、
図11、
図19に示すように、サイドブラケット72においてシート後方側の側壁部72bの内側面に配置されている。
ロック解除装置90は、ロック装置80のロック状態を解除する装置であって、
図2に示すように、第1ロック解除レバー91と、第2ロック解除レバー94とを備えている。
第1ロック解除レバー91は、回動軸92を中心として
図11に示すロック位置と、ロック位置よりも下方に移動したロック解除位置との間で回転する部材であって、第1伝達ケーブル93によってロック位置に付勢されている。
第2ロック解除レバー94は、回動軸95を中心として
図11に示すロック位置と、ロック位置よりも下方に移動したロック解除位置との間で回転する部材であって、第2伝達ケーブル96によってロック位置に付勢されている。
【0049】
第1ロック解除レバー91は、略L字形状のプレート体からなり、サイドプレート71よりもシート幅方向の内側に位置し、シート前後方向に延びている第1延出部分91aと、サイドプレート71よりもシート後方側に位置し、シート幅方向に延びている第2延出部分91bと、を有している。そして、
図5に示すように、スライドレール装置30と上下に重なる位置を避けて配置されている。なお、サイドプレート71も同様に、スライドレール装置30と上下に重なる位置を避けて配置されている。
第2ロック解除レバー94は、略矩形状のプレート体からなり、第1ロック解除レバー91よりもシート幅方向の外側に配置され、かつ、第1ロック解除レバー91よりもシート前方側に配置されている。
【0050】
第1ロック解除レバー91及び第2ロック解除レバー94は、
図2に示すように、シートクッション1内部に配置され、かつ、シートベルト4のベルト部分(ベルト部分の前端)よりも前方に配置されている。
また第1ロック解除レバー91及び第2ロック解除レバー94は、シート幅方向においてシートベルト4のベルト部分を避けた位置に配置されている。詳しく言うと、第1ロック解除レバー91は、シート幅方向においてシートベルト4のベルト部分よりも内側に配置され、第2ロック解除レバー94は、ベルト部分よりも外側に配置されている。
そのため、これらロック解除レバー91,94と、シートベルト4のベルト部分との干渉を抑制することができる。
なお、ロック装置80及びロック解除装置90の詳細は後述する。
【0051】
<<サイドサポート装置の動作>>
次に、サイドサポート装置70の動作について
図12〜
図18に基づいて説明する。
まず
図12Aに示すように乗員が乗車する前のとき、
図12Bに示すようにサイドサポート装置70がクッションサイド部1cを通常位置で支持した状態となっている。
また、ロック装置80がクッションサイド部1cを通常位置でロックしており、ロック解除装置90の第1ロック解除レバー91及び第2ロック解除レバー94が、それぞれロック位置に付勢された状態となっている。
【0052】
そして、
図13Aに示すように乗員が乗車しようとクッションサイド部1cに腰を下ろしたとき、
図13Bに示すように、第2ロック解除レバー94は所定の着座荷重が加わることでロック位置からロック解除位置へ回転移動する。
ここで、第2ロック解除レバー94のみがロック解除位置へ移動しただけでは、ロック装置80のロック状態は解除されない構成となっている。
【0053】
そして
図14Aに示すように乗員が乗車しようとクッションサイド部1c及びクッション中央部1dに腰を下ろしたとき、
図14Bに示すように、第2ロック解除レバー94がロック解除位置に位置した状態で、第1ロック解除レバー91は所定の着座荷重が加わることでロック位置からロック解除位置へ回転移動する。
ここで、第2ロック解除レバー94、第1ロック解除レバー91の順にロック解除位置へ移動した場合には、ロック装置80のロック状態は解除されない構成となっている。
【0054】
そして
図15Aに示すように乗員が着座している状態のとき、
図15Bに示すように、第2ロック解除レバー94は所定の着座荷重から解放されることでロック解除位置からロック位置へ戻り、また、第1ロック解除レバー91はロック解除位置に位置した状態となる。
このとき、クッションサイド部1cがサイドサポート装置70によって通常位置で支持されているため、着座している乗員のホールド性を確保することができる。
【0055】
そして
図16Aに示すように乗員が体をドア側に寄せて降車しようとしたとき、
図16Bに示すように、第1ロック解除レバー91がロック解除位置に位置した状態で、第2ロック解除レバー94は所定の着座荷重が加わることでロック位置からロック解除位置へ回転移動する。
ここで、第1ロック解除レバー91、第2ロック解除レバー94の順にロック解除位置へ移動したことによって、ロック装置80のロック状態が解除される。
【0056】
そして
図17Aに示すように乗員が体をさらにドア側に寄せて降車しようとしたとき、
図17Bに示すように、クッションサイド部1cに着座荷重がさらに加わることで、クッションサイド部1cがサイドプレート71と共に通常位置から降車補助位置へ回転移動する。
その結果、降車している乗員のクッションサイド部1cを乗り越えるための負担を軽減することができる。
【0057】
最後に
図18Aに示すように乗員が降車を終えると、
図18Bに示すように、第1ロック解除レバー91及び第2ロック解除レバー94が再びロック位置へ戻り、また、ロック装置80がクッションサイド部1cを通常位置でロックした状態に戻る。
上記一連の動作によって、サイドサポート装置70は、着座している乗員のホールド性を安定して確保しながら、乗員の降車動作を補助することが可能となる。また、乗員の乗車動作の際にはクッションサイド部1cをあえて傾倒させない構成になるため、乗員が確実に乗車できるような配慮がなされている。
なお、サイドサポート装置70では、ベルトアシスト装置50が
図9に示すようにシートベルト4の一部分を押し出しているときには、ロック解除装置90がロック状態を解除できないように制御装置によって制御しておくことが望ましい。
具体的には、制御装置がサイドサポート装置70の動作を制御して、クッションサイド部1cの可動サイド部1caを移動させないように、又は可動サイド部1caの移動量を制限しておくことが望ましい。
【0058】
<<ロック装置、ロック解除装置>>
次に、ロック装置80及びロック解除装置90の具体的な構成について
図19〜
図25に基づいて説明する。
ロック装置80は、
図19に示すように、サイドブラケット72の内側面に支持軸82を介して回転可能となるように取り付けられるロックレバー81と、サイドベース74の内側面に固定ボルト84を用いて固定される被ロックレバー83と、から主に構成されている。
ロックレバー81と被ロックレバー83は、互いに対向する位置に配置されている。
【0059】
ロック装置80は、ロックレバー81が被ロックレバー83に係合する
図19に示す係合位置にいるときに、サイドプレート71(サイドブラケット72)を通常位置でロックする。すなわち、クッションサイド部1cを通常位置でロックする。
またロック装置80は、ロックレバー81が被ロックレバー83から離脱する
図23に示す離脱位置にいるときに、サイドプレート71(サイドブラケット72)のロック状態を解除する。すなわち、クッションサイド部1cのロック状態を解除する。
【0060】
ロックレバー81は、シート幅方向に沿って延びる支持軸82を中心として
図19に示す係合位置と、係合位置よりもシート前方に移動した離脱位置との間で回転する部材であって、不図示の付勢バネによって
図19に示す矢印A方向へ付勢されている。すなわち、係合位置側から離脱位置側へ付勢されている。
ロックレバー81には、被ロックレバー83に設けられた係合溝83aに係合する係合突起81aと、シート前後方向において係合突起81aとは反対側に配置され、後述の中継レバー120によって保持される被保持部81bと、シート幅方向の内側に突出し、後述の第1伝達レバー100に設けられた貫通穴110bの内部を移動可能に配置された貫通突起81cと、がそれぞれ形成されている。
ロックレバー81は、通常、中継レバー120によって保持されて、係合突起81aが係合溝83aに係合した係合位置に配置されている。
【0061】
ロック解除装置90は、
図19に示すように、サイドブラケット72の内側面に第1連結軸101を介して回転可能に取り付けられる第1伝達レバー100と、サイドブラケット72の内側面に第2連結軸111を介して回転可能に取り付けられる第2伝達レバー110と、サイドブラケット72と第1伝達レバー100の間に取り付けられ、第1連結軸101を介して回転可能となる中継レバー120と、をさらに備えている。
ロック解除装置90は、第1伝達レバー100及び第2伝達レバー110が
図19に示す基準位置から
図23に示す伝達位置へ移動したときに、中継レバー120を介してロックレバー81を
図19に示す係合位置から
図23に示す離脱位置へ移動させることができる。
【0062】
第1伝達レバー100は、シート幅方向に沿って延びる第1連結軸101を中心として
図19に示す基準位置と、基準位置よりも下方に移動した
図22に示す中間位置と、中間位置よりもさらに下方に移動した
図23に示す伝達位置との間で回転する部材である。
第1伝達レバー100は、不図示の付勢バネによって
図19に示す矢印B方向へ付勢されている。すなわち、伝達位置側から基準位置側へ付勢されている。
第1伝達レバー100には、第1伝達ケーブル93のケーブル取り付け端部93aを取り付けるための取り付け穴110aと、第1連結軸101に対して取り付け穴110aとは反対側にそれぞれ配置され、ロックレバー81の貫通突起81cを貫通させるための貫通穴110bと、中継レバー120に設けられた嵌合突起120aを嵌合させるための嵌合穴と、がそれぞれ形成されている。
【0063】
第1伝達レバー100は、通常、不図示の付勢バネによって矢印B方向へ付勢されて基準位置に配置されている。このとき、貫通穴110bの外縁部分と、ロックレバー81の貫通突起81cとが互いに当接しない位置に配置されている。
そして、第1伝達レバー100は、第1ロック解除レバー91の回転動作に伴って第1伝達ケーブル93によって牽引されることで、基準位置から中間位置へ回転移動する。このとき、貫通穴110bの外縁部分が貫通突起81cに当接することで、第1伝達レバー100が安定して中間位置で停止する。すなわち、貫通突起81cがストッパーとなる。
そして、第1伝達レバー100は、第2伝達レバー110の回転動作に伴って中継レバー120を介して中間位置から伝達位置へさらに移動する。このとき、取り付け穴110aの外縁部分がケーブル取り付け端部93aに当接することで、第1伝達レバー100が安定して伝達位置で停止する。すなわち、ケーブル取り付け端部93aがストッパーとなる。
【0064】
第2伝達レバー110は、シート幅方向に沿って延びる第2連結軸111を中心として
図19に示す基準位置と、基準位置よりも上方に移動した
図23に示す伝達位置との間で回転する部材である。
第2伝達レバー110は、不図示の付勢バネによって
図19に示す矢印C方向へ付勢されている。すなわち、伝達位置側から基準位置側へ付勢されている。
第2伝達レバー110には、シート前後方向に沿って延びる連結ピン113を介して回転可能に取り付けられ、中継レバー120を押圧するための押圧レバー112が設けられている。
また第2伝達レバー110には、第2伝達ケーブル96のケーブル取り付け端部96aを取り付けるための取り付け穴110aと、第2連結軸111に対して取り付け穴110aとは反対側に配置され、押圧レバー112の貫通突起112aを貫通させるための貫通穴110bと、がそれぞれ形成されている。
【0065】
第2伝達レバー110は、通常、不図示の付勢バネによって矢印C方向へ付勢されて基準位置に配置されている。また、押圧レバー112についても、不図示の付勢バネによって矢印D方向へ付勢されて
図19に示す基準位置に配置されている。
このとき、押圧レバー112の貫通突起112aと、貫通穴110bの外縁部分とが互いに当接する位置に配置されている。
そして、第2伝達レバー110は、第2ロック解除レバー94の回転動作に伴って第2伝達ケーブル96によって牽引されることで、基準位置から伝達位置へ回転移動する。また、押圧レバー112についても基準位置から
図23に示す押圧位置へ回転移動する。
このとき、押圧レバー112の押圧部112bが、中継レバー120に設けられた押圧受け部120bを押し動かすことで、中継レバー120が第1ロック解除レバー91と共に回転移動する。
【0066】
中継レバー120は、第1連結軸101を中心として
図19に示す保持位置と、保持位置よりも上方に移動した
図22に示す中間位置と、中間位置よりもさらに上方に移動した
図23に示す離脱位置との間で回転する部材である。
中継レバー120は、第1連結軸101及び嵌合突起120aを介して第1伝達レバー100と連結されており、第1伝達レバー100の付勢方向と同じ矢印B方向へ付勢されている。すなわち、離脱位置側から保持位置側へ付勢されている。
中継レバー120には、嵌合突起120aと、第1連結軸101に対して嵌合突起120aとは反対側に配置される押圧受け部120bと、第1連結軸101に対して嵌合突起120aと同一側に配置され、ロックレバー81の被保持部81bを保持する保持部120cと、がそれぞれ形成されている。
【0067】
中継レバー120は、通常、矢印B方向へ付勢されて保持位置に配置されている。ここで保持位置とは、保持部120cがロックレバー81を係合位置で保持する位置である。
そして、中継レバー120は、第1伝達レバー100の回転動作に伴って保持位置から中間位置へ回転移動する。このとき、保持部120cは、ロックレバー81を係合位置で保持した状態を維持している。
そして、中継レバー120は、第2伝達レバー110(押圧レバー112)の回転動作に伴って中間位置から離脱位置へ回転移動する。ここで離脱位置とは、保持部120cがロックレバー81を係合位置で保持している状態から離脱した位置である。
その結果、ロックレバー81が矢印A方向へ付勢されて係合位置から離脱位置へ移動する。すなわち、ロック装置80のロック状態が解除される。
【0068】
<<ロック装置、ロック解除装置の動作>>
次に、
図12〜
図18、
図19〜
図25に基づいてロック装置80、ロック解除装置90の具体的な動作を説明する。
まずは
図12Aに示すように乗員が乗車する前のとき、
図19に示すように、ロックレバー81が被ロックレバー83に係合した係合位置に配置されている。
また、第1伝達レバー100、第2伝達レバー110(押圧レバー112)が基準位置に配置されており、中継レバー120が保持位置に配置されている。
つまり、
図12Bに示すように、ロック装置80がクッションサイド部1cを通常位置でロックした状態となっている。
【0069】
そして、
図13Aに示すように乗員が乗車しようとクッションサイド部1cに腰を下ろしたとき、
図20に示すように、第2伝達レバー110(押圧レバー112)が、第2ロック解除レバー94によって牽引されて基準位置から伝達位置へ回転移動する。
このときは、押圧レバー112が中継レバー120を押し動かすことがなく空振りする。
その結果、ロックレバー81が係合位置に配置されたままで、ロック装置80のロック状態は解除されない。
【0070】
そして
図14Aに示すように乗員が乗車しようとクッションサイド部1c及びクッション中央部1dに腰を下ろしたとき、
図21に示すように、第2伝達レバー110(押圧レバー112)が伝達位置に位置した状態で、第1伝達レバー100が、第1ロック解除レバー91によって牽引されて基準位置から中間位置へ回転移動する。
また、中継レバー120が、第1伝達レバー100と共に回転することで、保持位置から中間位置へ移動する。
このときは、押圧レバー112と中継レバー120が互いに空振りした状態となっている。
その結果、ロックレバー81が係合位置に配置されたままで、ロック装置80のロック状態は解除されない。
【0071】
そして
図15Aに示すように乗員が着座している状態のとき、
図22に示すように、第2伝達レバー110(押圧レバー112)が、第2ロック解除レバー94の牽引動作から解放されることで、再び伝達位置から基準位置へ戻る。
このとき、押圧レバー112は、第2伝達レバー110に対して連結ピン113を中心として回転することで、中継レバー120を乗り越えるように空振りして基準位置へ戻る。
その結果、ロックレバー81が係合位置に配置されたままで、ロック装置80のロック状態は解除されない。
【0072】
そして
図16Aに示すように乗員が体をドア側に寄せて降車しようとしたとき、
図23に示すように、第1伝達レバー100が中間位置に位置した状態で、第2伝達レバー110(押圧レバー112)が、第2ロック解除レバー94によって牽引されて基準位置から伝達位置へ回転移動する。
また、中継レバー120が、押圧レバー112によって押し動かされることで、中間位置から離脱位置へ回転移動する。
その結果、ロックレバー81が中継レバー120によって係合位置に保持された状態から離脱し、係合位置から離脱位置へ回転移動する。すわなち、ロック装置80のロック状態が解除される。
【0073】
そして
図17Aに示すように乗員が体をさらにドア側に寄せて降車しようとしたとき、
図24に示すように、サイドプレート71(サイドブラケット72)が、乗員の着座荷重が加わることでサイドベース74に対して通常位置から降車補助位置へ回転移動する。
その結果、
図17Aに示すように、クッションサイド部1cが通常位置から降車補助位置へ回転移動する。
【0074】
最後に
図18Aに示すように乗員が降車を終えると、
図25に示すように、第1伝達レバー100、第2伝達レバー110(押圧レバー112)が再び基準位置へ戻り、中継レバー120が保持位置へ戻る。
また、ロックレバー81が被ロックレバー83に係合した係合位置に再び戻る。
上記一連の動作によって、ロック装置80及びロック解除装置90によるロック状態とロック解除状態との切り替えがなされる。
【0075】
<<クッションサイド部とサイドサポート装置の位置関係>>
上記実施形態において、
図2に示すように、クッションサイド部1cとクッション中央部1dの間にあるサイド溝1cdは、シート幅方向においてシートベルト4のベルト部分を避けた位置(ベルトラインよりも内側位置)に配置されている。
そのため、サイドサポート装置70の動作によって可動サイド部1caの位置が切り替わった場合であっても、ベルト部分がサイド溝1cdに入りこむことを抑制し、シートベルトへの影響を抑制できる。
【0076】
上記実施形態において、
図2に示すように、可動サイド部1caと固定サイド部1cbの間にあるサイド溝1ccは、シート幅方向の内側端部が外側端部よりも前方位置にくるように傾斜して配置されている。
そのため、サイド溝1ccのうち、シートベルト4のベルト部分に近い内側端部においてはベルト部分との干渉を抑制でき、また、ベルト部分から遠い外側端部においては可動サイド部1caの面積を確保し、乗員の降車サポートの機能性を確保することができる。
【0077】
上記実施形態において、
図2に示すように、サイドサポート装置70のサイドプレート71の後端と、クッションサイド部1cの可動サイド部1caの後端とが略平行となるように延びている
そのため、安定して乗員の降車サポートが可能となる。
【0078】
上記実施形態において、
図2に示すように、クッションサイド部1cのうち固定サイド部1cbの内部スペース又は下方スペースを利用して、第1ロック解除レバー91の一部が配置されている。
そのため、サイドサポート装置70のコンパクトな配置を実現できる。
【0079】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、クッションサイド部1cは、
図12に示す通常位置と、
図17に示すように、クッション材1aが下方へ後退する降車補助位置との間で移動可能となっているが、降車補助位置について特に限定されることなく変更可能である。
例えば、クッション材1aがシート後方に格納されるように後退しても良いし、クッション材1aが部分的に下方へ後退しても良い。
また例えば、クッションサイド部1cの少なくとも一部がシート幅方向の外側に突出するようにスライド移動しても良い。このように突出させた場合であっても乗員の降車動作を補助することができる。
【0080】
上記実施形態において、クッションサイド部1cは、ロック装置のロック状態が解除された後、乗員の着座荷重に伴って通常位置から降車補助位置へ移動する構成となっているが、特に限定されることなく、自動で通常位置から降車補助位置へ移動するような構造となっていても良い。
【0081】
上記実施形態において、サイドサポート装置70は、乗員の降車動作を補助することが可能な装置として構成されているが、特に限定されることなく、乗員の乗車動作及び降車動作を補助することが可能な装置として構成されても良い。
その場合、乗員の乗車動作のときには、降車動作のときよりもサイドサポート装置70によるクッションサイド部1cの移動量を小さくしておくとより望ましい。
また、乗員の乗車動作のみを補助可能な装置として構成されても良い。
【0082】
上記実施形態において、サイドサポート装置70(ロック解除装置90)は、シート本体のクッションサイド部1cに配置されているが、特に限定されることなく、シート本体においてシート幅方向のサイド側部分に配置されていれば良い。
サイド側部分とは、例えば、クッションサイド部1cのほか、クッション中央部1dのサイド側の部分を含むものである。
【0083】
上記実施形態において、ロック解除装置90は、第1ロック解除レバー91と第2ロック解除レバー94の2つロック解除部材を備えているが、特に限定されることなく、例えば第1ロック解除レバー91だけ備えていても良い。
【0084】
上記実施形態において、ロック解除装置90は、第1ロック解除レバー91、第2ロック解除レバー94の順にロック解除位置へ移動するとロック状態が解除される構成となっているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、第1ロック解除レバー91と第2ロック解除レバー94が同時にロック解除位置へ移動したときにロック解除されても良いし、また、第2ロック解除レバー94、第1ロック解除レバー91の順にロック解除位置へ移動したときにロック解除されても良い。
【0085】
上記実施形態において、
図1に示すように、第1ロック解除レバー91はクッション中央部1dに配置され、第2ロック解除レバー94はクッションサイド部1cに配置されており、それぞれシートクッション1、シートバック2及びヘッドレストの左右中心位置よりも左右外側に配置され、また、乗員が着座したときの着座中心位置よりも左右外側に配置されているが、特に配置限定されることなく変更可能である。
例えば、第1ロック解除レバー91がシートクッション1又はシートバック2の所定位置に配置され、第2ロック解除レバー94が車両ドアの所定位置に配置されていても良い。
また例えば、第1ロック解除レバー91が不図示のシートベルト装置に対して取り付けられ、シートベルトの取り外しに対応して動作するように設けられ、第2ロック解除レバー94が車両ドア用の所定位置に取り付けられ、ドアの開閉動作に対応して動作するように設けられても良い。
【0086】
上記実施形態において、
図2に示すように、クッションサイド部1cの可動サイド部1caと、シートベルト4のベルト部分とを接触させないように固定サイド部1cbが間に設けられているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、固定サイド部1cbの代わりに空きスペースを設けても良いし、また、必ずしも固定式のサイド部である必要はなく、可動サイド部1caよりも移動量が少ないサイド部を代わりに設けても良い。
【0087】
上記実施形態において、
図2に示すように、クッションサイド部1cの可動サイド部1caと、シートベルト4のベルト部分とを常に接触させないように固定サイド部1cbが間に設けられているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、固定サイド部1cbをなくして、通常位置のときには可動サイド部1caと、ベルト部分とを接触可能な配置としておき、降車補助位置へ移動するときには、可動サイド部1caが一度ベルト部分から離れた位置に移動した上で、その後降車補助位置へ移動するように工夫しても良い。
【0088】
上記実施形態において、
図1に示すように、シートベルト4のベルト部分の下端部(固定部)は、クッションサイド部1cとバックサイド部2cの間の境界部分又はその周辺部分に設けられているが、特に限定されることなく変更可能である。
例えば、ベルト部分の下端部(固定部)が、バックサイド部2cの所定位置に形成された貫通穴に入り込むようにして取り付けられていても良い。すなわち、ベルト部分のアンカーポイントがバックサイド部2cの所定位置(例えば、上下方向の中央部分又は下方部分)に設けられていても良い。
【0089】
上記実施形態において、
図11に示すように、サイドサポート装置70は、マニュアルタイプからなるが、特に限定されることなく、無段階の電動タイプであっても良い。
【0090】
上記実施形態では、具体例として自動車に用いられる収納可能な乗り物用シートについて説明したが、これに限定されることなく、電車、バス等の乗り物用シートのほか、飛行機、船等の乗り物用シートとしても利用することができる。
【0091】
本実施形態では、主として本発明に係る乗り物用シートSに関して説明した。
ただし、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例に過ぎず、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。