(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両に設けられたドアの施錠制御に係る第1制御信号を受信する第1受信機と、該第1受信機に通信線を介して接続されており、前記通信線を通じて前記第1受信機から送出される前記第1制御信号を取得し、取得した前記第1制御信号に基づいて前記施錠制御を行う車載制御装置とを備える車載制御システムであって、
前記第1制御信号とは暗号化方式又は変調方式が異なる第2制御信号を受信可能であり、前記通信線に接続された第2受信機を更に備え、
該第2受信機は、
前記通信線を通じて前記第1受信機から送出される前記第1制御信号を取得する取得部と、
該取得部が前記第1制御信号を取得してから設定時間が経過するまでの間に、前記第2制御信号を受信したか否かを判断する判断部と、
前記設定時間が経過した後に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、又は前記第1制御信号を取得することなく前記第2制御信号を受信した場合、受信した第2制御信号を前記通信線へ送出する信号送出部と、
前記設定時間が経過するまでの間に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、前記通信線への前記第2制御信号の送出を禁止する禁止部と
を備える車載制御システム。
車両に設けられたドアの施錠制御に係る第1制御信号を受信する車載受信機と、該車載受信機に通信線を介して接続され、該車載受信機から取得した前記第1制御信号に基づいて前記施錠制御を行う車載制御装置とを備えたネットワークに接続される受信機であって、
前記第1制御信号とは暗号化方式又は変調方式が異なる第2制御信号を受信する受信部と、
前記通信線を通じて前記車載受信機から送出される前記第1制御信号を取得する取得部と、
該取得部が前記第1制御信号を取得してから設定時間が経過するまでの間に、前記第2制御信号を受信したか否かを判断する判断部と、
前記設定時間が経過した後に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、又は前記第1制御信号を取得することなく前記第2制御信号を受信した場合、受信した第2制御信号を前記通信線へ送出する信号送出部と、
前記設定時間が経過するまでの間に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、前記通信線への前記第2制御信号の送出を禁止する禁止部と
を備える受信機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したキーレスエントリシステム又はスマートエントリシステムを搭載した車両に対して、エンジンスタートシステムをオプションで後付けした場合、すなわちエンジンスタートシステムで採用される特定小電力周波数帯の信号を受信可能な受信機を後付けで接続した場合、以下の問題点が生じる。
【0008】
携帯機は、エンジンスタートシステムを利用してエンジンを始動させる前に、セキュリティ確保の為、車両ドアを施錠するための制御信号を車載機へ送信する。このとき、キーレスエントリシステム又はスマートエントリシステムで用いられるRF帯の周波数を有する制御信号と、エンジンスタートシステムで用いられる特定小電力周波数帯の周波数を有する制御信号とが同時的に携帯機から送信される。
【0009】
車両に搭載されているキーレスエントリシステム又はスマートエントリシステム用の受信機は、携帯機から送信されるRF帯の制御信号を受信した場合、例えばCANバス(CAN : Controller Area Network)を通じて、ドアロック制御信号を送出する。このドアロック制御信号を取得したボディECU(Electronic Control Unit)が車両ドアを施錠する制御を行う。
【0010】
同様に、後付けされたエンジンスタート用の受信機は、携帯機から送信される特定小電力周波数帯の制御信号を受信した場合、CANバスを通じてドアロック制御信号を送出する。このドアロック制御信号を取得したボディECUは車両ドアを施錠する制御を行う。
【0011】
ここで、RF帯の制御信号と特定小電力周波数帯の制御信号とでは、異なった暗号化が施されており、更に異なった変調方式が採用されているため、それぞれの受信機が略同時にそれぞれの制御信号を受信したとしても、復号処理及び変調処理に時間差が生じる。その結果、RF帯の制御信号に基づくドアロック制御信号がCANバス上に送出された後に、特定小電力周波数帯の制御信号に基づくドアロック制御信号がキャンバス上に送出されることになる。
【0012】
以上の構成により、キーレスエントリシステム又はスマートエントリシステムを搭載した車両に対して、上述したエンジンスタートシステムをオプションで後付けした車載制御システムでは、CANバス上に連続的に2回のドアロック制御信号が送出されることになるので、ドアロックモータが2回連続して駆動され、ユーザに違和感を与えることがあり、しかもドアロックモータの発熱、損傷等の虞があるという問題点を有している。
【0013】
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ドアロックモータが2回連続して駆動されることを防止することができる車載制御システム、受信機及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一態様に係る車載制御システムは、車両に設けられたドアの施錠制御に係る第1制御信号を受信する第1受信機と、該第1受信機に通信線を介して接続されており、前記通信線を通じて前記第1受信機から送出される前記第1制御信号を取得し、取得した前記第1制御信号に基づいて前記施錠制御を行う車載制御装置とを備える車載制御システムであって、前記第1制御信号とは暗号化方式又は変調方式が異なる第2制御信号を受信可能であり、前記通信線に接続された第2受信機を更に備え、該第2受信機は、前記通信線を通じて前記第1受信機から送出される前記第1制御信号を取得する取得部と、該取得部が前記第1制御信号を取得してから設定時間が経過するまでの間に、前記第2制御信号を受信したか否かを判断する判断部と、前記設定時間が経過した後に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、又は前記第1制御信号を取得することなく前記第2制御信号を受信した場合、受信した第2制御信号を前記通信線へ送出する信号送出部と、前記設定時間が経過するまでの間に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、前記通信線への前記第2制御信号の送出を禁止する禁止部とを備える。
【0015】
本発明の一態様に係る受信機は、車両に設けられたドアの施錠制御に係る第1制御信号を受信する車載受信機と、該車載受信機に通信線を介して接続され、該車載受信機から取得した前記第1制御信号に基づいて前記施錠制御を行う車載制御装置とを備えたネットワークに接続される受信機であって、前記第1制御信号とは暗号化方式又は変調方式が異なる第2制御信号を受信する受信部と、前記通信線を通じて前記車載受信機から送出される前記第1制御信号を取得する取得部と、該取得部が前記第1制御信号を取得してから設定時間が経過するまでの間に、前記第2制御信号を受信したか否かを判断する判断部と、前記設定時間が経過した後に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、又は前記第1制御信号を取得することなく前記第2制御信号を受信した場合、受信した第2制御信号を前記通信線へ送出する信号送出部と、前記設定時間が経過するまでの間に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、前記通信線への前記第2制御信号の送出を禁止する禁止部とを備える。
【0016】
本発明の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、車両のドアの施錠制御に係る第1制御信号を取得してから設定時間が経過するまでの間に、前記第1制御信号とは暗号化方式又は変調方式が異なる第2制御信号を取得したか否かを判断し、前記設定時間が経過した後に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、又は前記第1制御信号を取得することなく前記第2制御信号を受信した場合、受信した第2制御信号を送出し、前記設定時間が経過するまでの間に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、前記第2制御信号の送出を禁止する処理を実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本願によれば、ドアロックモータが2回連続して駆動されることを防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施態様を列記して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0020】
本願の一態様に係る車載制御システムは、車両に設けられたドアの施錠制御に係る第1制御信号を受信する第1受信機と、該第1受信機に通信線を介して接続されており、前記通信線を通じて前記第1受信機から送出される前記第1制御信号を取得し、取得した前記第1制御信号に基づいて前記施錠制御を行う車載制御装置とを備える車載制御システムであって、前記第1制御信号とは暗号化方式又は変調方式が異なる第2制御信号を受信可能であり、前記通信線に接続された第2受信機を更に備え、該第2受信機は、前記通信線を通じて前記第1受信機から送出される前記第1制御信号を取得する取得部と、該取得部が前記第1制御信号を取得してから設定時間が経過するまでの間に、前記第2制御信号を受信したか否かを判断する判断部と、前記設定時間が経過した後に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、又は前記第1制御信号を取得することなく前記第2制御信号を受信した場合、受信した第2制御信号を前記通信線へ送出する信号送出部と、前記設定時間が経過するまでの間に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、前記通信線への前記第2制御信号の送出を禁止する禁止部とを備える。
【0021】
上記一態様にあっては、車両ドアの施錠制御に係る制御信号が通信線上に連続的に2回送出されることが禁止され、ドアロックモータが2回連続して駆動されることに伴うユーザに違和感をなくし、しかもドアロックモータの発熱、損傷等を回避することができる。
【0022】
本願の一態様に係る車載制御システムは、前記第2受信機は、前記車両のエンジンを遠隔から始動させるための始動信号を受信する受信機である。
【0023】
上記一態様にあっては、車両ドアの施錠制御に係る車載制御システムに対して、車両のエンジンを遠隔から始動させるための受信機を後付けで導入した場合、第1受信機及び第2受信機の双方で車両ドアの施錠に係る制御信号を受信した場合であっても、車両ドアの施錠制御に係る制御信号が通信線上に連続的に2回送出されることが禁止される。
【0024】
本願の一態様に係る車載制御システムは、前記第2制御信号は、特定小電力周波数帯の信号であり、前記第1制御信号は、前記特定小電力周波数帯より周波数が低い周波数帯の信号である。
【0025】
上記一態様にあっては、第1受信機へ送信する信号の到達距離と比較して、第2受信機へ送信する信号の到達距離を長くすることができる。
【0026】
本願の一態様に係る車載制御システムは、前記通信線は、CAN(Controller Area Network)バスである。
【0027】
上記一態様にあっては、第2受信機は、第1受信機が送出する第1制御信号を通信線を通じて取得することができる。
【0028】
本願の一態様に係る受信機は、車両に設けられたドアの施錠制御に係る第1制御信号を受信する車載受信機と、該車載受信機に通信線を介して接続され、該車載受信機から取得した前記第1制御信号に基づいて前記施錠制御を行う車載制御装置とを備えたネットワークに接続される受信機であって、前記第1制御信号とは暗号化方式又は変調方式が異なる第2制御信号を受信する受信部と、前記通信線を通じて前記車載受信機から送出される前記第1制御信号を取得する取得部と、該取得部が前記第1制御信号を取得してから設定時間が経過するまでの間に、前記第2制御信号を受信したか否かを判断する判断部と、前記設定時間が経過した後に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、又は前記第1制御信号を取得することなく前記第2制御信号を受信した場合、受信した第2制御信号を前記通信線へ送出する信号送出部と、前記設定時間が経過するまでの間に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、前記通信線への前記第2制御信号の送出を禁止する禁止部とを備える。
【0029】
上記一態様にあっては、車両ドアの施錠制御に係る制御信号が通信線上に連続的に2回送出されることが禁止され、ドアロックモータが2回連続して駆動されることに伴うユーザに違和感をなくし、しかもドアロックモータの発熱、損傷等を回避することができる。
【0030】
本願の一態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、車両のドアの施錠制御に係る第1制御信号を取得してから設定時間が経過するまでの間に、前記第1制御信号とは暗号化方式又は変調方式が異なる第2制御信号を取得したか否かを判断し、前記設定時間が経過した後に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、又は前記第1制御信号を取得することなく前記第2制御信号を受信した場合、受信した第2制御信号を送出し、前記設定時間が経過するまでの間に前記第2制御信号を受信したと判断した場合、前記第2制御信号の送出を禁止する処理を実行させる。
【0031】
上記一態様にあっては、車両ドアの施錠制御に係る制御信号が通信線上に連続的に2回送出されることが禁止され、ドアロックモータが2回連続して駆動されることに伴うユーザに違和感をなくし、しかもドアロックモータの発熱、損傷等を回避することができる。
【0032】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。
図1は本実施の形態に係る車載制御システムの概略構成を説明する模式図である。本実施の形態に係る車載制御システムは、車両100が備えるドアを施錠又は解錠するためのドアロックシステムと、車両100に後付けされ、エンジン141の始動を制御するためのエンジンスタートシステムとを備える。車載制御システムは、車両100内にCANバス101を介して接続されるドアロック受信機110、エンジンスタート用受信機120、ボディECU130及びエンジンECU140等を備え、更にユーザによって携帯される携帯機200を備える。
【0033】
ドアロック受信機110は、RF受信アンテナ110aを備えており、携帯機200から送信される車両ドアの施錠又は解錠に係る制御信号を受信する受信機である。この制御信号は、例えばRF帯(例えば300MHz帯)の周波数を有する信号である。ドアロック受信機110は、RF受信アンテナ110aを通じて制御信号を受信した場合、ドアロック制御信号をCANバス101へ送出する。なお、ドアロック受信機110がRF受信アンテナ110aを通じて受信する信号と、ドアロック受信機110がCANバス101へ送出する信号とは、全く同一である必要はなく、同じ制御情報を含んだ信号であればよい。例えば、ドアロック受信機110は、RF受信アンテナ110aを通じて受信した信号の信号形式を変更してCANバス101へ送出してもよく、一部の情報を追加した信号をCANバス101へ送出してもよい。
【0034】
本実施の形態では、ドアロック受信機110を備える構成としたが、ドアロック受信機110の代わりに、携帯機200と双方向の無線通信を行う無線通信装置を搭載する構成であってもよい。この場合、無線通信装置は、携帯機200からRF帯の信号を受信するRF受信アンテナと、携帯機200へLF帯(LF : Low Frequency)の信号を送信する1又は複数のLF送信アンテナとを備えていてもよい。
【0035】
エンジンスタート用受信機120は、特定小電力通信アンテナ120aを備えており、携帯機200から送信されるエンジン始動用の始動信号、及び車両ドアの施錠又は解錠に係る制御信号を受信する受信機である。これらの始動信号及び制御信号は、例えば特定小電力周波数帯(例えば920MHz帯)の周波数を有する信号である。エンジンスタート用受信機120は、特定小電力通信アンテナ120aを通じて始動信号を受信した場合、エンジン始動制御信号をCANバス101へ送出する。また、エンジンスタート用受信機120は、特定小電力通信アンテナ120aを通じて制御信号を受信した場合、ドアロック制御信号をCANバス101へ送出する。なお、エンジンスタート用受信機120が特定小電力通信アンテナ120aを通じて受信する信号と、エンジンスタート用受信機120がCANバス101へ送出する信号とは、全く同一である必要はなく、同じ制御情報を含んだ信号であればよい。例えば、エンジンスタート用受信機120は、特定小電力通信アンテナ120aを通じて受信した信号の信号形式を変更してCANバス101へ送出してもよく、一部の情報を追加した信号をCANバス101へ送出してもよい。
【0036】
ボディECU130は、CANバス101に接続されており、ドアロック受信機110及びエンジンスタート用受信機120からCANバス101へ送出されたドアロック制御信号を取得する。ボディECU130は、取得したドアロック制御信号に基づき、ドアロック機構が備えるドアロックモータ131を駆動することにより、車両ドアを施錠又は解錠させる制御を行う。
【0037】
エンジンECU140は、CANバス101に接続されており、エンジンスタート用受信機120からCANバス101へ送出されたエンジン始動制御信号を取得する。エンジンECU140は、取得したエンジン始動制御信号に基づき、エンジン141を始動させる制御を行う。
【0038】
携帯機200は、車両100のエンジン141を始動させるため操作を受付けるエンジン始動ボタン201を備えており、当該エンジン始動ボタン201がユーザにより操作された場合に、エンジン141を始動させる始動信号を送信するように構成されている。本実施の形態では、携帯機200にてエンジン始動ボタン201が操作された場合、セキュリティ確保の為に、それぞれRF帯及び特定小電力周波数帯の周波数を有し、車両100のドアを施錠するための2つの制御信号を同時的に送信し、その後に、エンジン始動用の始動信号を送信するように構成されている。
【0039】
なお、本実施の形態では、携帯機200がエンジン始動ボタン201を備える構成としたが、車両ドアの施錠及び解錠に係るユーザの操作を受付けるために、ロックボタン及びアンロックボタンを更に備える構成であってもよい。
【0040】
また、携帯機200は、エンジン始動を制御する専用の送信機である必要はなく、ユーザが携帯するスマートフォン等の端末装置が本実施の形態に係る携帯機200の機能を備える構成であってもよい。
【0041】
図2はエンジンスタート用受信機120の内部構成を説明するブロック図である。エンジンスタート用受信機120は、制御部121、記憶部122、特定小電力通信部123、CAN通信部124などを備える。
【0042】
制御部121は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)などを備える。制御部121内のCPUは、ROM又は記憶部122に格納された各種プログラムを実行することにより、エンジンスタート用受信機120が備える上記ハードウェアの動作を制御し、機器全体を本願の車載制御システムにおける第2受信機として機能させる。なお、制御部121は、計測開始指示を与えてから計測終了指示を与えるまでの経過時間を計測するタイマ、数をカウントするカウンタ等の機能を備えていてもよい。
【0043】
記憶部122は、例えば、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read Only Memory)などの不揮発性メモリにより構成されており、エンジンスタート用受信機120が受信した制御信号(第2制御信号)の送出の可否を判断する処理を実行させるためのコンピュータプログラム、ボディECU130及びエンジンECU140を識別する識別情報等を記憶する。ここで、ボディECU130及びエンジンECU140の識別情報とは、例えば、ボディECU130及びエンジンECU140を搭載する車両100のID(Identifier)番号、通信相手となる携帯機200のID番号、及び暗号処理に用いる鍵情報等である。
【0044】
特定小電力通信部123は、特定小電力通信アンテナ120aに接続されている。特定小電力通信部123は、特定小電力通信アンテナ120aを通じて特定小電力周波数帯の信号を受信する受信回路、受信回路が受信した信号を復調する復調回路、復調して得られる信号を復号する復号回路等を備える。
【0045】
本実施の形態では、特定小電力通信部123は、特定小電力周波数帯の信号として車両ドアを施錠するための制御信号を受信することができ、当該制御信号を受信した場合、復調処理及び復号処理を行うことにより、ボディECU130へ送信すべきドアロック制御信号を生成する。特定小電力通信部123は、生成したドアロック制御信号を制御部121へ出力する。制御部121は、特定小電力通信部123から入力されたドアロック制御信号を後述する条件下でCANバス101へ送出する。
【0046】
また、特定小電力通信部123は、特定小電力周波数帯の信号としてエンジン141の始動を指示する始動信号を受信することができ、当該始動信号を受信した場合、復調処理及び復号処理を行うことにより、エンジンECU140へ送信すべきエンジン始動信号を生成する。特定小電力通信部123は、生成したエンジン始動信号を制御部121へ出力する。制御部121は、特定小電力通信部123から入力されたエンジン始動信号をCANバス101へ送出する。
【0047】
通信部124は、例えばCAN通信インタフェースを備えており、CANバス101を介して、ドアロック受信機110、ボディECU130及びエンジンECU140に接続されている。通信部124は、CANプロトコルに従ってドアロック受信機110、ボディECU130及びエンジンECU140との間で各種信号の授受を行う。
【0048】
以下、本実施の形態に係る車載制御システムの動作について説明する。
図3はエンジンスタート用受信機120が制御信号を受信した場合における第1の動作例を説明する図である。上述したように、携帯機200のエンジン始動ボタン201が操作された場合、携帯機200は、セキュリティ確保の為に、それぞれRF帯及び特定小電力周波数帯の周波数を有し、車両100のドアを施錠するための2つの制御信号を同時的に送信する。
図3に示す第1の動作例は、携帯機200が、車両100の近傍(300MHz帯の信号の受信可能エリア)から制御信号を送信したときの動作を示している。
【0049】
エンジンスタート用受信機120にて特定小電力周波数帯の制御信号を受信した場合、特定小電力通信部123は、当該制御信号の復調処理及び復号処理を行い受信動作を完了させる。エンジンスタート用受信機120が制御信号を受信してから受信動作が完了するまでの時間がT1であったとする。
【0050】
同様に、ドアロック受信機110にてRF帯の制御信号を受信した場合、ドアロック受信機110は、当該制御信号の復調処理及び復号処理を行い受信動作を完了させる。ドアロック受信機110が制御信号を受信してから受信動作が完了するまでの時間がT2(T2<T1)であったとする。
【0051】
ドアロック受信機110は、RF帯の制御信号の受信動作が完了した後、ボディECU130が受信すべきドアロック制御信号をCANバス101へ送出する。
【0052】
ボディECU130は、CANバス101を通じてドアロック制御信号を取得した場合、ドアロック駆動を開始させる。具体的には、ボディECU130は、ドアロックモータ131に対して所定時間(例えば0.5〜0.6秒)だけ駆動電流を出力することにより、ドアロックモータ131を作動させ、車両ドアを施錠する制御を実行する。
【0053】
一方、エンジンスタート用受信機120は、自機が受信した制御信号に基づいて、ボディECU130が受信すべきドアロック制御信号をCANバス101へ送出することが可能であるが、このタイミングでドアロック制御信号を送出した場合、ドアロックモータ131を連続的に2回作動させることになるので、ドアロック制御信号の送出を禁止する。具体的には、エンジンスタート用受信機120は、ドアロック受信機110からCANバス101に送出されるドアロック制御信号を取得した場合、取得してから設定時間T0の間、自機からドアロック制御信号の送出を禁止する。なお、設定時間T0は、例えばT1+α(ここで、αはCAN通信の処理速度を考慮した時間)に設定することができる。
【0054】
図4はエンジンスタート用受信機120が制御信号を受信した場合における第2の動作例を説明する図である。上述したように、携帯機200のエンジン始動ボタン201が操作された場合、携帯機200は、セキュリティ確保の為に、それぞれRF帯及び特定小電力周波数帯の周波数を有し、車両100のドアを施錠するための2つの制御信号を同時的に送信する。
図4に示す第2の動作例は、携帯機200が、車両100の遠隔(300MHz帯の信号の受信不能エリア)から制御信号を送信したときの動作を示している。
【0055】
エンジンスタート用受信機120にて特定小電力周波数帯の制御信号を受信した場合、特定小電力通信部123は、当該制御信号の復調処理及び復号処理を行い受信動作を完了させる。エンジンスタート用受信機120が制御信号を受信してから受信動作が完了するまでの時間がT1であったとする。
【0056】
一方、ドアロック受信機110は、車両100の遠隔から送信された制御信号を受信することができないため、CANバス101上にドアロック制御信号を送出することができない。
【0057】
この場合、エンジンスタート用受信機120は、特定小電力周波数帯の制御信号の受信動作が完了した後、ボディECU130が受信すべきドアロック制御信号をCANバス101へ送出する。
【0058】
ボディECU130は、CANバス101を通じてドアロック制御信号を取得した場合、ドアロック駆動を開始させる。具体的には、ボディECU130は、ドアロックモータ131に対して所定時間(例えば0.5〜0.6秒)だけ駆動電流を出力することにより、ドアロックモータ131を作動させ、車両ドアを施錠する制御を実行する。
【0059】
図5はエンジンスタート用受信機120が実行する処理の手順を説明するフローチャートである。エンジンスタート用受信機120の制御部121は、ドアロック受信機110がCANバス101に送出するドアロック制御信号をCAN通信部124を通じて取得したか否かを判断する(ステップS101)。
【0060】
ドアロック制御信号を取得していないと判断した場合(S101:NO)、制御部121は、携帯機200から送信される特定小電力周波数帯の制御信号を特定小電力通信部123にて受信したか否かを判断する(ステップS102)。特定小電力周波数帯の制御信号を受信していないと判断した場合(S102:NO)、制御部121は、処理をステップS101へ戻す。
【0061】
特定小電力周波数帯の制御信号を受信したと判断した場合(S102:YES)、制御部121は、制御信号の受信動作完了後、ボディECU130が受信すべきドアロック制御信号をCAN通信部124よりCANバス101へ送出する(ステップS103)。これにより、ドアロック受信機110がRF帯の制御信号を受信できない状況下、すなわち車両100の遠隔より制御信号が送信された場合であっても、エンジンスタート用受信機120から車両ドアの施錠制御を実行することができる。
【0062】
一方、ドアロック制御信号を取得したと判断した場合(S101:YES)、制御部121は、内蔵のタイマを用いて計時を開始する(ステップS104)。
【0063】
次いで、制御部121は、計時を開始してから設定時間(T1+α)が経過したか否かを判断する(ステップS105)。エンジンスタート用受信機120が制御信号を受信することなく設定時間が経過したと判断した場合(S105:YES)、制御部121は、処理をステップS101へ戻す。
【0064】
設定時間が経過していないと判断した場合(S105:NO)、制御部121は、携帯機200から送信される特定小電力周波数帯の制御信号を特定小電力通信部123にて受信したか否かを判断する(ステップS106)。特定小電力周波数帯の制御信号を受信していないと判断した場合(S106:NO)、制御部121は、処理をステップS105へ戻す。
【0065】
特定小電力周波数帯の制御信号を受信したと判断した場合(S106:YES)、制御部121は、エンジンスタート用受信機120が受信した制御信号に基づくドアロック制御信号をCANバス101上に送出することを禁止する(ステップS107)。
【0066】
以上のように、本実施の形態では、CANバス101上に連続的に2回のドアロック制御信号が送出されることが禁止され、ドアロックモータが2回連続して駆動されることに伴うユーザに違和感をなくし、しかもドアロックモータの発熱、損傷等を回避することができる。
【0067】
また、本実施の形態では、ドアロック受信機110及びボディECU130のソフトウェアを書き換えることなく、後付けで接続されるエンジンスタート用受信機120のソフトウェアのみを書き換えることにより対応することができる。
【0068】
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。