(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
着色硬化性樹脂組成物中の多官能重合性化合物(B)に対する化合物(C)の質量比〔(C)/(B)〕が0.05以上0.90以下である、請求項1に記載の着色硬化性樹脂組成物。
多官能重合性化合物(B)が、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜3のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤、並びに、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物から選ばれる少なくとも1種のフッ素化合物(F)を更に含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の着色硬化性樹脂組成物。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、下記式(1)で表される化合物(1)(以下、単に「化合物(1)」ともいう)と、エチレン性不飽和結合を2個以上有する多官能重合性化合物(B)(以下、単に「(B)成分」ともいう)と、脂環構造若しくは複素環構造、及び2個以上のカルボキシ基を有する化合物(C)(以下、単に「(C)成分」ともいう)と、分散剤(D)(以下、単に「(D)成分」ともいう)と、有機溶媒(E)(以下、単に「(E)成分」ともいう)と、を含有する。
【0011】
本発明によれば、電気絶縁性及び遮光性に優れ、更に耐溶剤性に優れたブラックマトリクスを製造することのできる着色硬化性樹脂組成物が得られる。このような効果が得られる理由は定かではないが、以下のように考えられる。
黒色色材として、化合物(1)を選択することで、優れた電気絶縁性、及び遮光性を得ることができる。一方で、当該黒色色材を用いることで耐溶剤性に劣る傾向にあるが、特定の(B)成分と、特定の(C)成分を組み合わせて用いることで、上記の電気絶縁性及び遮光性を保持しつつ、高い耐溶剤性を得ることができる。(C)成分の化合物は、カルボキシ基を2個以上有するため、系中の微量の水分により生じた(C)成分のカルボキシラートアニオンが化合物(1)のラクタム部位と相互作用し、化合物(1)の表面近傍に(C)成分が偏在する。これにより、(C)成分自体が、(B)成分との相互作用を伴って、良好な硬化特性が得られ、耐溶剤性に優れると推定される。但し、これらは推定であって、本発明はこれらのメカニズムに限定されない。
【0012】
[化合物(1)]
本発明の組成物は、黒色色材として、電気絶縁性、及び遮光性の観点から、式(1)で表される化合物(1)を含有する。
【0014】
上記式(1)中、Xは二重結合を示し、それぞれの二重結合の立体は各々独立にE体又はZ体であり、R
1は、各々独立に、水素原子(−H)、メチル基(−CH
3)、ニトロ基(−NO
2基)、メトキシ基(−OCH
3)、臭素原子(−Br)、塩素原子(−Cl)、フッ素原子(−F)、カルボキシ基(−COOH)、又はスルホン酸基(−SO
3H)を示し、R
2は、各々独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示し、R
3は、各々独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。化合物(1)の製造容易性の観点から、R
1はジヒドロインドロン環の6位に結合することが好ましく、R
3はジヒドロインドロン環の4位に結合することが好ましい。同様の観点から、R
1は、好ましくは水素原子であり、R
3は、好ましくは水素原子である。R
2は、化合物(C)との相互作用の観点から、好ましくは水素原子である。上記の化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記式(1)の化合物は、例えば、国際公開公報WO2000/24736,国際公開公報WO2010/081624に記載された方法により製造することができる。
本発明の組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲で、上記化合物(1)以外の黒色色材を含んでもよい。他の黒色色材としては、カーボンブラック、チタンブラック等が挙げられる。
本明細書において、化合物(1)、及び他の黒色色材を総称して、単に「黒色色材(A)」ともいう。
黒色色材(A)中、化合物(1)の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上であり、100質量%以下であり、更に好ましくは100質量%である。
黒色色材と有機溶媒との親和性を高め、分散性及び保存安定性を高めるという観点から、黒色色材としては、化合物(1)を樹脂や高分子により予め表面処理を施したもの、化合物(1)の一部を誘導体化したもの等を用いることもできる。
【0015】
[多官能重合性化合物(B)]
多官能重合性化合物は、エチレン性不飽和結合を2個以上有する。
エチレン性不飽和結合を有する部位としては、(メタ)アクリレート基、ビニル基等が挙げられる。
多官能重合性化合物としては、多官能(メタ)アクリレート系化合物が好ましく用いられる。
多官能重合性化合物中に含まれるエチレン性不飽和結合の数は、耐溶剤性の観点から、好ましくは3個以上、より好ましくは4個以上、更に好ましくは5個以上であり、好ましくは8個以下、より好ましくは7個以下、更に好ましくは6個以下である。
【0016】
この多官能(メタ)アクリレート系化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、ポリイソシアネートとヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとの反応物(ウレタン(メタ)アクリレート)、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ジメチレンエーテルビス(メタ)アクリルアミド、多価アルコールとN−メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能(メタ)アクリレート系化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、好ましくは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及びジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(以下、「DPHA」ともいう)から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはDPHAである。
本明細書において「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。また、「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタアクリルアミドから選ばれる少なくとも1種を意味する。
【0017】
[化合物(C)]
化合物(C)は、脂環構造若しくは複素環構造、及び2個以上のカルボキシ基を有する化合物である。
化合物(C)が有する脂環構造若しくは複素環構造は、耐溶剤性の観点から、好ましくは五員環又は六員環であり、より好ましくは六員環である。
化合物(C)は、耐溶剤性の観点から、カルボキシ基を2個以上有する。カルボキシ基を2個以上有するため、(B)成分との相互作用が強められ、着色硬化性樹脂組成物より得られる硬化膜からの、溶剤(例えば、NMP)による化合物(1)の溶出を抑制することができる。
化合物(C)が有するカルボキシ基の数は、耐溶剤性及び遮光性の観点から、2個以上であり、好ましくは6個以下、より好ましくは4個以下、更に好ましくは3個以下であり、より更に好ましくは3個である。
【0018】
化合物(C)は、耐溶剤性の観点から、好ましくは1分子中に窒素原子を1個以上有する化合物であり、より好ましくはラクタム構造、アミノ基、及びアミド基から選ばれる少なくとも1種を有する化合物であって、ラクタム構造、アミノ基、又はアミド基の窒素原子に結合するカルボキシアルキル基を有する化合物である。
カルボキシアルキル基を構成するアルカンジイル基の炭素数は、耐溶剤性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは8以下、より好ましくは6以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下であり、より更に好ましくは2である。
【0019】
化合物(C)は、耐溶剤性の観点から、好ましくは複素環構造を有する。
本発明における複素環とは、環を構成する原子の中に、炭素原子以外のヘテロ原子が1個以上含まれるものを意味する。前記複素環は、飽和環であっても不飽和環であってもよく、単環であっても縮合環であってもよい。前記複素環は、耐溶剤性の観点から、好ましくは非芳香環である。
1つの複素環に含まれる前記ヘテロ原子の数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上であり、好ましくは6以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは4以下、より更に好ましくは3以下であり、より更に好ましくは3である。
ヘテロ原子は、好ましくは酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる1種以上であり、より好ましくは酸素原子、窒素原子から選ばれる1種以上であり、更に好ましくは窒素原子である。
ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環としては、アジリジン環、アゼチジン環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、イミダゾリジン環、イソシアヌル環等の飽和環、1H−アジリン環、2H−アジリン環、アゾール環、ピロリン環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、ピラゾリジン環、ピラゾリン環、トリアジン環、ピロール環、イミダゾール環、イミダゾリン環、イミダゾリジン環、ピラゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、トリアゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、キノリン環、インドール環、イソインドール環、1H−インダゾール環、ベンゾイミダソール環、インドリン環、イソインドリン環、カルバゾール環等の不飽和環が挙げられる。
化合物(C)は、耐溶剤性の観点から、好ましくはピペラジン環、イミダゾリジン環、及びイソシアヌル環から選ばれる1種以上有し、より好ましくはイミダゾリジン環及びイソシアヌル環から選ばれる1種以上有し、更に好ましくはイソシアヌル環を有する。
【0020】
化合物(C)は、耐溶剤性の観点から、好ましくはトランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸一水和物、イソシアヌル酸ビス(2−カルボキシエチル)、及びイソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)から選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはイソシアヌル酸ビス(2−カルボキシエチル)及びイソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)から選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくはイソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)である。
【0021】
[分散剤(D)]
本発明で用いられる分散剤としては、例えば、主鎖又は側鎖としてポリ(メタ)アクリレート、ポリラクトン、ポリアルキレンオキサイド等を有する、ポリウレタン系分散剤、ポリアミド系分散剤、ポリイミド系分散剤、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(無水)マレイン酸等のポリカルボン酸系分散剤、ポリアミン系分散剤、及びこれらに4級アンモニウム塩等が導入された分散剤が挙げられる。これらの分散剤は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
【0022】
市販の分散剤としては、ポリウレタン系分散剤として、ビックケミー・ジャパン社製「Disperbyk」シリーズの「161」、「166」、「167」、日本ルーブリゾール社製「ソルスパース」シリーズの「55000」、「76500」等;ポリカルボン酸系分散剤として、ビックケミー・ジャパン社製「Disperbyk」シリーズの「106」、「110」、「111」、日本ルーブリゾール社製「ソルスパース」シリーズの「36000」、「41000」、BASF・ジャパン社製「EFKA−5060」等;ポリアミン系分散剤として、ビックケミー・ジャパン社製「Disperbyk」シリーズの「116」、「130」、日本ルーブリゾール社製「ソルスパース」シリーズの「24000」、「32000」、「33000」、「J200」、BASF・ジャパン社製「EFKA−4046」、味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB」シリーズの「821」、「822」、「824」、「881」等、が挙げられる。これらの中でも、分散性の観点から、好ましくはポリアミン系分散剤、より好ましくは「EFKA−4046」及び「ソルスパースJ200」、更に好ましくは「ソルスパースJ200」である。
【0023】
[有機溶媒(E)]
有機溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の一価アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコール等の多価アルコール;エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル等の他、酢酸エチル、シリコーンオイル、油脂等及び下記式(2)で表される化合物等が挙げられる。
【0024】
【化3】
〔式中、R
4及びR
5は、それぞれ独立して、水素が炭素数1〜3のアルコキシ基と置換していてもよい、炭素数1〜4の炭化水素基を示し、R
6は水素原子又はメチル基を示し、nは0〜3の整数を示す。〕
【0025】
式(2)において、R
4及びR
5の炭素数1〜4の炭化水素基としては、好ましくはアルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、3−メトキシブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基及びエチル基がより好ましい。
nは1又は2が好ましい。
有機溶媒としては、色材の分散性と、分散剤の溶解性又は分散性の観点から、好ましくはエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」ともいう)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる少なくとも1種、より好ましくはPGMEAである。
上記の有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
[フッ素化合物(F)]
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、耐溶剤性をより高める観点から、フッ素化合物を含有することが好ましい。着色硬化性樹脂組成物を用いて塗膜を形成し、乾燥、硬化する過程において、フッ素化合物は、BM表面にブリードアウトし、BMに対する溶剤の浸入を低減することで、化合物(1)の溶出をさらに抑制すると考えられる。
【0027】
フッ素化合物としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤、フッ素系オリゴマー、並びに、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物等から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤としては、市販品として、住友スリーエム株式会社製「フロリナート FC」シリーズの「430」、「431」、DIC株式会社製「メガファック」シリーズの「F142D」、「F171」、「F172」、「F173」、「F177」、「F183」、「F554」、「R30」、三菱マテリアル電子化成株式会社製「エフトップ EF」シリーズの「301」、「303」、「351」、「352」、AGCセイミケミカル株式会社製「サーフロン」シリーズの「S−381」、「S−382」、「SC−101」、「SC−105」、株式会社ダイキンファインケミカル研究所製「E5844」等が挙げられる。
フッ素系オリゴマーとしては、市販品として、AGCセイミケミカル株式会社製「サーフロン」シリーズの「S−611」、「S−651」などが挙げられる。
フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物としては、DIC株式会社製「メガファック」シリーズの「RS−72−K」、「RS−75」、「RS−76−E」等が挙げられる。
塗膜への溶剤浸入を低減するには、溶剤に対するフッ素化合物の溶解度が低い方が好ましく、活性剤よりも高分子量であるため、フッ素系オリゴマー、反応性基によって(B)成分と同時に硬化できるため、フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物が好ましい。
フッ素系オリゴマーの中では、「サーフロン」シリーズの「S−611」、「S−651」が好ましい。フルオロカーボン鎖及びエチレン性不飽和結合を有する化合物の中では、「メガファック」シリーズの「RS−72−K」、「RS−75」、「RS−76−E」が好ましい。
本発明に用いられるフッ素化合物は、1種であっても、2種以上の混合物であってもよい。
【0028】
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、例えば、アルカリ可溶樹脂、光重合開始剤、光開始助剤等を含有していてもよい。
アルカリ可溶性樹脂は、フォトリソグラフィー法によりカラーフィルタを製造する際に、未露光部を現像液に溶解させるために用いられる。アルカリ可溶性樹脂としては、ネガ型レジストに一般的に用いられるものを用いることができ、アルカリ水溶液に可溶性を有するもの、すなわち、0.05質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に20℃で1質量%以上溶解するものであればよく、特に限定されない。
本発明で用いられるアルカリ可溶性樹脂としては、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体が好ましく用いられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、ベンジル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートが好ましい。すなわち、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体としては、ベンジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体、及びメチル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体がより好ましい。
アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合割合(モル比)は、90/10〜50/50であることが好ましく、80/20〜70/30であることがより好ましい。アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は5,000〜50,000が好ましい。
本明細書において「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる少なくとも1種を意味する。
【0029】
光重合開始剤としては、公知の重合開始剤を用いることができ、例えば、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、ヨードニウム,(4−メチルフェニル)[4−(2−メチルプロピル)フェニル]−ヘキサフルオロフォスフェート、2−[2−オキソ−2−フェニルアセトキシエトキシ]エチルエステルと2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチルエステルとの混合物、フェニルグリコレート、ベンゾフェノン等が好ましい。市販の光重合開始剤としては、例えば、IRGACURE 369、907、651、2959、184、250、754;DAROCUR MBF、BP、1173(BASFジャパン社製)等が好ましい。これらの光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0030】
この光重合開始剤に、光開始助剤を組み合わせてもよい。
光開始助剤としては、例えば、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン等が挙げられる。これらの光開始助剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0031】
着色硬化性樹脂組成物中の固形分量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは13質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
着色硬化性樹脂組成物中の化合物(1)の含有量は、良好な遮光性を得る観点から、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、良好な耐溶剤性を得る観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
化合物(1)の含有量は、良好な遮光性を得る観点から、着色硬化性樹脂組成物中の固形分量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、良好な耐溶剤性を得る観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
【0032】
着色硬化性樹脂組成物中の黒色色材(A)の含有量は、良好な遮光性を得る観点から、好ましくは4質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは8質量%以上であり、良好な耐溶剤性を得る観点から、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
黒色色材(A)の含有量は、良好な遮光性を得る観点から、着色硬化性樹脂組成物中の固形分量に対して、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは40質量%以上であり、良好な耐溶剤性を得る観点から、好ましくは80質量%以下、より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下である。
【0033】
着色硬化性樹脂組成物中の多官能重合性化合物(B)の含有量は、良好な膜硬度を得る観点から、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
多官能重合性化合物(B)の含有量は、良好な膜硬度を得る観点から、着色硬化性樹脂組成物中の固形分量に対して、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは15質量%以下である。
【0034】
着色硬化性樹脂組成物中の化合物(C)の含有量は、耐溶剤性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上、より更に好ましくは0.4質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下、より更に好ましくは0.8質量%以下、より更に好ましくは0.6質量%以下である。
化合物(C)の含有量は、耐溶剤性の観点から、着色硬化性樹脂組成物中の固形分量に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上、より更に好ましくは2.5質量%以上、より更に好ましくは3質量%以上であり、好ましくは30質量%以下、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、より更に好ましくは8質量%以下であり、より更に好ましくは4質量%以下である。
着色硬化性樹脂組成物中の多官能重合性化合物(B)に対する化合物(C)の質量比〔(C)/(B)〕は、耐溶剤性の観点から、好ましくは0.05以上、より好ましくは0.08以上、更に好ましくは0.12以上、より更に好ましくは0.22以上であり、好ましくは0.90以下、より好ましくは0.60以下、更に好ましくは0.40以下、より更に好ましくは0.30以下である。
【0035】
着色硬化性樹脂組成物中の分散剤(D)の含有量は、良好な遮光性、耐溶剤性の観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
分散剤(D)の含有量は、良好な遮光性、耐溶剤性の観点から、着色硬化性樹脂組成物中の固形分量に対して、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、同様の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
【0036】
着色硬化性樹脂組成物中の有機溶媒(E)の含有量は、良好な遮光性の観点から、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは75質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは85質量%以下である。
【0037】
フッ素系化合物(F)の含有量は、良好な絶縁性及び耐溶剤性の観点から、着色硬化性樹脂組成物中の固形分量に対して、好ましくは0.2質量%以上、より好ましくは0.6質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
【0038】
アルカリ可溶性樹脂の含有量は、良好な現像性と膜硬度を得る観点から、着色硬化性樹脂組成物中の固形分量に対して、好ましくは5.0質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
着色硬化性樹脂組成物中の光重合開始剤の含有量は、良好な膜硬度を得る観点から、着色硬化性樹脂組成物中の(B)成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上であり、好ましくは70質量部以下、より好ましくは60質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
着色硬化性樹脂組成物中の光重合開始助剤の含有量は、良好な膜硬度を得る観点から、着色硬化性樹脂組成物中の(B)成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上、更に好ましくは5質量部以上であり、好ましくは30質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下である。上記の範囲とすることにより、十分な耐熱性、耐薬品性を得ることができ、また塗膜形成能を向上させ、硬化不良を抑制することができる。
【0039】
[製造方法]
本発明の着色硬化性樹脂組成物の製造方法は、下記工程を有することが好ましい。
工程1:化合物(1)、化合物(C)、分散剤(D)及び有機溶媒(E)を混合し分散して、分散体を得る工程
工程2:上記分散体と、多官能重合性化合物(B)と、を混合する工程
【0040】
上記工程1の分散で用いる混合分散機は、公知の種々の分散機を用いることができる。例えば、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、高圧ホモジナイザー等の高圧式分散機、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせて使用することもできる。
これらの中では、黒色色材を有機溶媒中に均一に混合させる観点から、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機が好ましい。市販のメディア式分散機としては、寿工業株式会社製「ウルトラ・アペックス・ミル」、浅田鉄工株式会社製「ピコミル」等が挙げられる。
メディア式分散機を用いる場合に、分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの直径としては、黒色色材中の凝集粒子を解砕する観点から、好ましくは0.003mm以上、より好ましくは0.01mm以上であり、好ましくは0.5mm以下、より好ましくは0.4mm以下である。
分散時間は、化合物(1)を十分に微細化する観点から、0.3時間以上が好ましく、1時間以上がより好ましく、顔料分散体の製造効率の観点から、50時間以下が好ましく、10時間以下がより好ましい。
【0041】
工程2の混合方法は、特に制限はないが、例えば、ローラー式攪拌機により攪拌することで得られる。攪拌時間は、5分以上が好ましく、15分以上がより好ましく、製造効率の観点から、10時間以下が好ましく、1時間以下がより好ましい。
【0042】
[カラーフィルタ]
本発明の着色硬化性樹脂組成物は、カラーフィルタの製造のために使用される。
本発明の着色硬化性樹脂組成物を用いて形成されるブラックマトリクスを具備するカラーフィルタの製造方法は、本発明の着色硬化性樹脂組成物を基板上に塗布、乾燥、光硬化、現像を行い、塗膜を得る工程(a)と、前記工程(a)で得た塗膜を200〜300℃に加熱して硬化膜よりなるブラックマトリクスを形成する工程(b)と、前記硬化膜上に樹脂の有機溶剤溶液を塗工して樹脂膜を形成する工程(c)を有することが好ましい。
【0043】
上記工程(a)の塗布後には、有機溶媒を乾燥させ、塗膜の平滑性や生産性の観点から加熱、或いは減圧することが好ましい。
上記光硬化は、例えば、塗膜に紫外線を照射して、着色硬化性樹脂組成物中の多官能モノマーが架橋反応し、塗膜を硬化させる。光硬化は続く現像でガラス基板上にパターンを残すために行い、現像で除去する部分には紫外線を防ぐフォトマスクを載せて硬化させないことが好ましい。
上記現像は、例えば、光硬化後の硬化塗膜をアルカリ水溶液中に浸漬し、更に水でリンスして未硬化部分を除去する。
工程(b)は、ポストベイク工程であり、本工程を行うことにより、硬度に優れた硬化膜を形成することができる。
工程(c)の樹脂は例えばポリイミドである。工程(c)の有機溶剤は、例えばNMPである。
【実施例】
【0044】
塗膜基板の作成、光学濃度(以下、「OD」ともいう)の測定と耐溶剤性の評価、表面抵抗率の測定と電気絶縁性の評価、重量平均分子量及び固形分の測定は以下の方法により行った。
【0045】
(1)塗膜基板の作成
ガラス基板上に着色硬化性樹脂組成物をスピンコーターで塗布し、水平台にて5分間静置し、120℃のホットプレート上で10分間乾燥した。更に、230℃のクリーンオーブン内で20分間処理し、片面に塗膜を有する基板(「塗膜基板」ともいう)を得た。
【0046】
(2)ODの測定(遮光性評価)と耐溶剤性の評価
卓上式透過濃度計(X−Rite社製「モデル361T」、測定波長550nm)により、塗膜基板のOD(処理前OD)を測定した。処理前ODが大きいほど、遮光性が良好である。
次いで、塗膜基板の塗膜上に、マイクロシリンジを用いて50μLのNMP液滴を形成した。5分間静置したのち、空気を吹き付けて液滴を除去し、前記液滴を形成した部分のOD(処理後OD)を測定した。下記式によりOD差を求めた。OD差が0に近いほど、耐溶剤性が良好である。
OD差=処理後OD−処理前OD
【0047】
(3)表面抵抗率の測定と電気絶縁性の評価
塗膜基板を25℃、45%RHの環境で6時間静置したのち、絶縁抵抗器(横河・ヒューレット・パッカード社製「4329A」)に接続した抵抗値測定用チャンバー(川口電気株式会社製「Model P−601」、測定電圧:100V)にて、表面抵抗率Ps(Ω/□)を測定し、電気絶縁性を評価した。表面抵抗率の値が大きいほど、電気絶縁性が良好である。
【0048】
(4)重量平均分子量の測定
試料をN,N−ジメチルホルムアミドで希釈し、試料の固形分濃度0.3質量%の溶液を調製し、その0.1mLを、測定溶液として用いた。N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及び臭化リチウムをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう)〔装置:東ソー株式会社製「HLC−8120GPC」、カラム:東ソー株式会社製「TSK−GEL、α−M」×2本、流速:1mL/min〕により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定した。
【0049】
(5)固形分の測定
シャーレにガラス棒と乾燥無水硫酸ナトリウム10gを入れ、そこに試料2gを量り採り、ガラス棒で混合し、105℃の減圧乾燥機(圧力8kPa)で2時間乾燥した。乾燥後の質量を量り、次式より得られた値を試料の固形分とした。
固形分(質量%)=[〔乾燥後の質量−(シャーレ+ガラス棒+無水硫酸ナトリウムの質量)〕/試料の質量]×100
【0050】
合成例1 化合物(1)の合成
撹拌装置、温度計、窒素吹き込み管、ディーンスターク管、ジムロート管を装着した5Lの四つ口フラスコに、2,5−ジヒドロキシベンゼン−1,4−二酢酸(和光純薬工業株式会社製)115g、イサチン(東京化成工業株式会社製)150g、p−トルエンスルホン酸一水和物35g、トルエン3750gの混合液を110℃に加熱し、脱水しながら7時間攪拌し、更に10時間加熱した。この混合液を室温まで冷却し、黒色の懸濁液を濾紙No.2(アドヴァンテック東洋株式会社製)で濾過した。この濾過残分をメタノール5Lで洗浄し、60℃/104Paで乾燥し、236gの下記式(a)の黒色物質を得た。
この黒色物質をジメチルホルムアミドに溶解し、液体クロマトグラフィー質量分析法によるESI/MS測定を行い分子量448.07であることを確認した。
【0051】
【化4】
【0052】
製造例1(黒色色材分散体1の調製)
合成例1で得た化合物(1) 10.0g、イソシアヌル酸ビス(2−カルボキシルエチル)0.5g、日本ルーブリゾール社製「ソルスパ−スJ−200」2.0g、PGMEA 37.5g、及びφ0.3mmのジルコニアビーズ(ニッカトー製「YTZボール」)100gを250mLポリ容器に入れ、ペイントシェーカーにて3時間撹拌した後、濾過にてジルコニアビーズを除去し、黒色色材分散体1を得た。
【0053】
製造例2〜11、比較製造例1〜12(黒色色材分散体2〜11及び51〜62の調製)
表1に記載の配合に代えた以外は、製造例1と同様の方法により、黒色色材分散体2〜11及び51〜62を得た。なお、調製に用いた化合物は、下記の通りである。
【0054】
A−1:合成例1
A−2:カーボンブラック;コロンビヤンカーボン社製「Raven1060」
A−3:アニリンブラック;戸田工業株式会社製「No.2 superblack」
C−1:イソシアヌル酸ビス(2−カルボキシエチル)
C−2:イソシアヌル酸トリス(2−カルボキシエチル)
C−3:トランス−1,2−ジアミノシクロヘキサン−N,N,N’,N’−四酢酸一水和物
C−4:アジピン酸
C−5:1,2,3−プロパントリカルボン酸
C−6:トリメリット酸
C−7:安息香酸
C−8:テレフタル酸
C−9:フタル酸
C−10:イソフタル酸
C−11:エチレンジアミン四酢酸
【0055】
【表1】
【0056】
合成例2〔アルカリ可溶性樹脂(メタクリル酸ベンジルとメタクリル酸との共重合体)の合成〕
攪拌機、還流冷却器、窒素導入管及び温度計を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸(以下、「MAA」ともいう)3.6g、メタクリル酸ベンジル(以下、「BzMA」ともいう)36.4g、3−メルカプトプロピオン酸0.56g、及びPGMEA 40gを仕込み、攪拌しながら窒素置換を行った。
フラスコ内を攪拌しながら78℃まで昇温し、MAA 14.4g、BzMA 145.6g、3−メルカプトプロピオン酸2.2g、PGMEA 160g、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製「V−65」(以下、「V−65」ともいう)) 2.0gを混合した溶液を、3時間かけて滴下し、滴下終了後、V−65 2.0gとPGMEA 10.0gとの混合溶液を加えた。78℃で1時間撹拌し、V−65 1.0gとPGMEA
10.0gと混合溶液を加えた。更に78℃で1時間撹拌し、PGMEA 100gを加え、冷却し、BzMAとMAAとの共重合体(以下、「共重合体1」ともいう)のPGMEA溶液を得た。固形分は40.0質量%、重量平均分子量は10900であった。
【0057】
調製例1(クリアレジスト液の調製)
合成例2で得られた固形分40.0質量%の共重合体1の溶液 211.0g、DPHA 33.2g、及びPGMEA 256.6gを均一に混合し、クリアレジスト液を得た。
【0058】
実施例1(着色硬化性樹脂組成物1の調製)
製造例1で得られた顔料分散体1 5.0gと、調製例1で得られたクリアレジスト液3.2gと、PGMEA 1.8gとをサンプル瓶に入れ、密栓した後、ローラー式攪拌機で20分間均一に混合し、表2に示す組成の着色硬化性樹脂組成物1を得た。得られた着色硬化性樹脂組成物を用いて、上記の方法に従って塗膜基板を作成し、各種評価を行なった。結果を表2に示す。
【0059】
実施例2〜11、比較例1〜12(着色硬化性樹脂組成物2〜11及び51〜62の調製)
表2の記載に従って配合を代えた以外は、実施例1と同様の方法により、着色硬化性樹脂組成物2〜11及び51〜62を得た。なお、調製に用いた化合物は、下記の通りである。得られた着色硬化性樹脂組成物を用いて、上記の方法に従って塗膜基板を作成し、各種評価を行なった。結果を表2に示す。
【0060】
フッ素系化合物(F)
F−1:AGCセイミケミカル社製「サーフロン S−651」(ポリエチレングリコール鎖含有ノニオン性フッ素系界面活性剤)
F−2:DIC社製「メガファック RS−72−K」(ポリエチレングリコール
鎖及び重合性基を含有するノニオン性フッ素系オリゴマーの30質量%PGMEA溶液)
【0061】
【表2】
【0062】
表2から、実施例の着色硬化性樹脂組成物は、比較例のものに比べ、電気絶縁性、遮光性及び耐溶剤性に優れていることがわかる。
一方、本発明に係る化合物(C)を含有しない比較例1及び4では、耐溶剤性が劣り、本発明に係る化合物(1)を含有しない比較例2及び3では、遮光性又は電気絶縁性のいずれかが劣ることがわかる。