(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6547985
(24)【登録日】2019年7月5日
(45)【発行日】2019年7月24日
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1333 20060101AFI20190711BHJP
G02F 1/13357 20060101ALI20190711BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20190711BHJP
【FI】
G02F1/1333
G02F1/13357
F21S2/00 443
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2018-45195(P2018-45195)
(22)【出願日】2018年3月13日
(62)【分割の表示】特願2012-283108(P2012-283108)の分割
【原出願日】2012年12月26日
(65)【公開番号】特開2018-101154(P2018-101154A)
(43)【公開日】2018年6月28日
【審査請求日】2018年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】100075959
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 保
(72)【発明者】
【氏名】大平 栄治
【審査官】
岸 智史
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許出願公開第2012/0172481(US,A1)
【文献】
中国特許出願公開第102332227(CN,A)
【文献】
特開2010−061946(JP,A)
【文献】
特開2014−126685(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1333
G02F 1/13357
F21S 2/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶層を介して一対の透明基板が対向配置されてなる液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの裏面に対向するように配置され、バックライト光を照射するバックライトユニットとを備える液晶表示装置であって、
前記バックライトユニットは、導光板と、前記導光板の側面に対向する光源と、前記導光板の照射面側に配置される光学シートと、前記導光板の少なくとも2辺を連続して取り囲む枠状部とを有し、
前記一対の透明基板の少なくとも一方の基板は、第1の側壁面を有し、
前記枠状部は、第2の側壁面と、前記液晶パネルの裏面と対向する上面と、前記上面に対向する下面とを有し、
前記第1の側壁面と前記第2の側壁面とに対向して、前記第1の側壁面と前記第2の側壁面とに対向する第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有する接着部材と、前記第2面に接着した板状部材とからなる固定部材が配置され、
前記接着部材は、前記第1の側壁面と前記第2の側壁面とに固定され、前記第1の側壁面と前記第2の側壁面とに対向する前記第1面及び前記第2面が平坦な板状で、
前記固定部材は、前記第2側壁面と前記下面とで形成する辺と接しないことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記液晶表示パネルは、表示面側と裏面側とに配置される一対の偏光板を有し、
前記一対の偏光板は、前記接着部材と接していないことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記接着部材を複数個有し、
前記液晶表示パネルの2辺以上の前記側壁面に、前記接着部材が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記液晶表示パネルは、第1の辺と前記第1の辺と交差する第2の辺とを有し、
前記第1の辺の前記側壁面と前記第2の辺の前記側壁面とに、前記接着部材が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶表示パネルは、前記一対の透明基板の少なくとも一方の透明基板の辺縁部に駆動回路が搭載されており、
前記第1の辺は、前記駆動回路が搭載された辺と交差する辺であり、
前記第2の辺は、前記駆動回路が搭載された辺と対向する辺であることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記接着部材は、前記液晶表示パネルの辺の全長に亘って、前記液晶表示パネルの前記側壁面と対向していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記接着部材は、前記液晶表示パネルの辺の一部で、前記液晶表示パネルの前記側壁面と対向していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶表示パネルの少なくとも1つの辺において、複数個の前記接着部材が前記液晶表示パネルの前記側壁面と対向していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係わり、特に、液晶表示パネルとバックライトユニットとを固定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶表示装置は、
図7に示すように、液晶表示パネルLCDの図中下側の辺部には駆動回路DRが搭載されると共に、駆動回路DRよりも辺縁側にはフレキシブル配線基板FPCが接続されている。この液晶表示パネルLCDの裏面には表示領域ARを囲むようにして両面テープTPが配置されており、液晶表示パネルLCDと光源となるバックライトユニットBUとが固定されている。
【0003】
すなわち、
図8(
図7のB−B’線での断面図)及び
図9(
図7のC−C’線での断面図)に示すように、導光板LGや光学シートOSを取り囲むように形成される枠体状のモールド部材MDの上面と第1基板SUB1の裏面とを両面テープTPで粘着することにより、第1基板SUB1の裏面にバックライトユニットBUを固定する構成となっている。また、導光板LGの裏面に配置される反射シートRFはモールド部材MDに達する大きさで形成され、その周縁部が両面テープTPによりモールド部材MDの裏面に固定される構成となっている。このとき、第1基板SUB1表面及び第2基板SUB2の液晶層と接しない側の面には、それぞれ偏光板POL1,POL2が配置されているので、両面テープTPによる液晶表示パネルLCDとモールド部材MDとの接着は偏光板POL1を介した接着となっている。
【0004】
この構成からなる液晶表示装置は、例えば、特許文献1に開示の液晶表示装置がある。該特許文献1に開示される液晶表示装置においても、両面テープにより液晶表示パネルの裏面にバックライトユニットの上面を固定する構成となっている。特に、特許文献1の液晶表示装置では、下偏光板の辺端部とガラス基板の辺端部との間隔が大きく形成され、この領域に両面テープが貼り付けされる構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−163556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
携帯電話等の携帯情報端末では、限られた筐体サイズでの画素数の向上や表示画面の拡大等のさらなる表示性能の向上が要望されている。このために、携帯情報端末に搭載される液晶表示装置においては、画素数の向上と共に表示領域ARの周囲の領域である額縁領域の幅をさらに小さく形成することが切望されている。近年では、額縁領域幅が0.8mmや0.6mmの液晶表装置も要望されている。
【0007】
しかしながら、従来の液晶表示装置では、前述するように、液晶表示パネルの額縁領域と対向するモールド部材MDの前面に貼り付けた両面テープTPにより、バックライトユニットBUを液晶表示パネルLCDの裏面に固定する構成となっている。このため、額縁領域幅がさらに小さくなった場合、
図8,9の断面図から明らかなように、モールド部材MDに液晶表示パネルLCDを固定する両面テープTPの幅も小さくなる。この場合、モールド部材MDと両面テープTPとの接着面積、及び液晶表示パネルLCDと両面テープTPとの接着面積もそれぞれ小さくなってしまう。特に、
図9に示す駆動回路DRが搭載されない辺部においては、その接着面積は非常に小さくなってしまうので、所定の強度で固定することが困難となっている。従って、例えば両面テープTPを用いずに、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとを固定する技術の開発が切望されている。
【0008】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、額縁領域で液晶表示パネルとバックライト装置とを所定の強度で固定することを可能とすると共に、額縁領域幅を小さくすることが可能な液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、液晶層を介して一対の透明基板が対向配置されてなる液晶表示パネルと、前記液晶表示パネルの裏面に対向するように配置され、バックライト光を照射するバックライトユニットとを備える液晶表示装置であって、
前記バックライトユニットは、導光板と、前記導光板の側面に対向する光源と、前記導光板の照射面側に配置される光学シートと、前記導光板の少なくとも2辺を連続して取り囲む枠状部とを有し、
前記一対の透明基板の少なくとも一方の基板は、第1の側壁面を有し、
前記枠状部は、第2の側壁面と、前記液晶パネルの裏面と対向する上面
と、前記上面に対向する下面とを有し、
前記第1の側壁面と前記第2の側壁面とに対向して
、前記第1の側壁面と前記第2の側壁面とに対向する第1面と、前記第1面に対向する第2面とを有する接着部材
と、前記第2面に接着した板状部材とからなる固定部材が配置され、
前記接着部材は、前記第1の側壁面と前記第2の側壁面とに固定され、前記第1の側壁面と前記第2の側壁面とに対向する
前記第1面
及び前記第2面が平坦な板状で、
前記固定部材は、前記第2側壁面と前記下面とで形成する辺と接しないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、額縁領域で液晶表示パネルとバックライト装置とを所定の強度以上で固定できる。よって、液晶表示パネルの額縁領域幅を非常に小さくすることができる。
【0011】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図である。
【
図3】本発明の実施形態1の液晶表示装置における液晶表示パネル端部の断面図である。
【
図4】本発明の実施形態2の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図である。
【
図5】本発明の他の実施形態の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図である。
【
図6】本発明のその他の実施形態の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図である。
【
図7】従来の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。
【0014】
〈実施形態1〉
(全体構成)
図1は本発明の実施形態1の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図であり、以下、
図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明する。
【0015】
図1に示すように、実施形態1の液晶表示装置は、図中に点線で示す表示領域ARを有する周知の液晶表示パネルLCDと、該液晶表示パネルLCDの裏面に配置される周知のバックライトユニットとを備えている。また、必要に応じて、一方の面が側壁面に沿って開口される箱体状の図示しないフレーム部材(下フレーム)がバックライトユニットBUの側に配置される。さらには、表示領域ARに対応した開口面が形成される箱体状の図示しないフレーム部材(上フレーム)が液晶表示パネルLCDの側に配置され、該上フレームと下フレームとが嵌合され、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとを保持する構成としてもよい。
【0016】
液晶表示パネルLCDは、例えば、図示しない周知の薄膜トランジスタ等が形成される第1基板(TFT基板とも称する)と、画素に対応して赤色(R),緑色(G),青色(B)のカラーフィルタ等が形成される第2基板(CF基板とも称する)とが図示しない液晶層を挟持して、対向配置される構成となっている。第1基板の対向面すなわち液晶層と接する側の面には、図中にY1,Y2で示す長手方向に延在する図示しない複数の映像信号線(ドレイン線)と、X1,X2で示す短手方向に延在する複数の走査信号線(ゲート線)とが形成され、該ドレイン線とゲート線とで囲まれる領域が画素領域を形成している。また、ドレイン線とゲート線とが交差する近傍には、ゲート線からの走査信号でON/OFF駆動される薄膜トランジスタが配置され、該薄膜トランジスタのON時にドレイン線からの映像信号が該薄膜トランジスタを介して画素電極に出力される。
【0017】
一方、第2基板の対向面すなわち液晶層と接する側の面には、画素毎にRGBの何れかのカラーフィルタが対応する構成となっており、RGBの画素でカラー表示用の単位画素を構成している。また、第2基板はY1側の辺が第1基板よりも小さく形成されている。この第2基板から露出する第1基板の対向面すなわち液晶層側の面に、外部から画像信号を入力する周知のフレキシブル配線基板FPC、及び映像信号や走査信号等を生成する駆動回路DRが搭載されている。
【0018】
また、第1基板SUB1及び第2基板SUB2の露出側の面すなわち液晶層と接しない側の面には、それぞれ周知の偏光板POL1,POL2が貼り付けされている。該偏光板POL1,POL2は、従来と同様に、その端部が表示領域ARよりも外周側に位置するように形成され、表示領域ARを覆う構成となっている。
【0019】
また、液晶表示パネルLCDの裏面側には、面状のバックライト光を照射するバックライトユニットが配置されている。特に、実施形態1の液晶表示装置では、後に詳述するように、液晶表示パネルLCDのX1側の端辺及びX2側の端辺すなわち長手側の対辺に配置される接続用のプレートBPにより、液晶表示パネルLCDの裏面にバックライトユニットが固定される構成となっている。すなわち、駆動回路DRやフレキシブル配線基板FPCが配置される辺と交差する2つの辺に接続用のプレートBPが配置され、液晶表示パネルLCDの裏面にバックライトユニットが固定される構成となっている。このとき、少なくともプレートBPが配置される辺部では、第1基板SUB1の裏面側に貼り付けされる偏光板POL1の辺端部が、当該第1基板SUB1の辺端部よりも表示領域ARの側に位置し、辺端部から突出しない構成となっている。すなわち、少なくともプレートBPが配置される辺部では、プレートBPと粘着層AD(粘着材)とからなる固定部材と、偏光板POL1の辺端部との間に空隙(ギャップ)が形成され、偏光板POL1と粘着層ADとが接しない構成となっている。
【0020】
(プレートの詳細構成)
以下、
図2に
図1のA−A’線での断面図を示し、実施形態1の液晶表示装置における液晶表示パネルとバックライトユニットとを固定する接続用のプレートBPの構成について、詳細に説明する。
【0021】
図2に示すように、実施形態1の液晶表示装置では、液晶表示パネルLCDの側壁面(周側面,側面)すなわち第1基板SUB1及び第2基板SUB2の側壁面と、バックライトユニットBUの側壁面(周側面,側面)とが、プレート(板状部材)BPと該プレートBPの一方の面に塗布される粘着層ADとからなる固定部材で固定される。すなわち、実施形態1の構成では、液晶表示装置を形成する液晶表示モジュールの構成部材の内で、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとを固定する際に、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとを側壁面で保持すると共に、その保持をプレートBPと粘着層ADとで行う構成となっている。
【0022】
実施形態1のバックライトユニットBUの構成は、従来のバックライトユニットBUと同様に、導光板LGや光学シートOSを取り囲むようにして、枠体状のモールド部材MDが配置されている。また、モールド部材MDの上面(Z2側の面)には、遮光性能を有すると共に、モールド部材MDの側に粘着材が塗布される枠体状の遮光テープBMが貼り付けされ、バックライトユニットBUの端部からバックライト光が漏れることを防止する構成となっている。従って、枠体状の遮光テープBMの内周側は、従来の両面テープTPと同様に、光学シートOSの端部をも覆う構成となっている。なお、遮光テープBMを用いない構成であってもよい。
【0023】
また、導光板LGの裏面側には外形寸法がモールド部材MDと略同等に形成される周知の反射シートRFが配置される。モールド部材MDの裏面(Z1側の面)と反射シートRFとが重なる部分との間には、遮光性能を有する両面テープTPが貼り付けられ、反射シートRFの周縁部をモールド部材MDの裏面に固定すると共に、光漏れを防止する構成となっている。ただし、導光板LGは図示しない光源からの光を面状の光に変換する周知の導光板であり、光学シートOSは周知のプリズムシートや拡散シート等の複数枚の光学シートを重ねて構成され、反射シートRFは周知の反射シートである。
【0024】
この構成からなる実施形態1の固定構造では、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとのそれぞれの側壁面を接着面(図中にAT1,AT2で示す側壁部分)とし、この側壁面に粘着層ADを介してプレートBPを粘着し、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとを固定する構造となっている。すなわち、バックライトユニットBUの最外周に配置されるモールド部材MDと、液晶表示パネルLCDを構成する第1基板SUB1及び第2基板SUB2とのそれぞれの側壁面を接着面とする。この側壁面に粘着層ADによりプレートBPを粘着し、第1基板SUB1及び第2基板SUB2とモールド部材MDとを側壁面側すなわち外周面側より固定する構造となっている。このように、本発明の実施形態1の固定構造では、モールド部材MDの上面(液晶表示パネルLCDの側の面)と液晶表示パネルLCDの裏面との何れもが固定箇所として用いられない構成となっている。
【0025】
従って、本発明の実施形態1の液晶表示装置では、液晶表示パネルLCDの額縁領域が狭くなり、液晶表示パネルLCDとモールド部材MDとを固定する、
図9に示すような両面テープTPを配置する領域が確保できなくなっても、プレートBPによって液晶表示パネルLCDとモールド部材MDとを固定することが可能となる。その結果、従来の固定構造に比較して、実施形態1の固定構造では額縁領域幅を大幅に縮小させることが可能となる。
【0026】
このとき、プレートBPを形成する材料部材は、特に限定されることはなく、例えば、周知のPET及びポリカーボネート等の樹脂部材や、ガラスエポキシ等を含有する材料等の金属を除く材料を用いることが可能である。
【0027】
また、実施形態1の固定構造では、振動等の印加に伴う液晶表示装置の上下動による、液晶表示パネルLCD及びバックライトユニットBUのZ1方向及びZ2方向へのガタツキや位置ずれを抑制するため、プレートBPは、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとにガタツキや位置ずれが生じないよう、所望の剛性を有する材料で形成される。
【0028】
例えば、ガラス基板を用いる第1基板SUB1及び第2基板SUB2は非常に大きなヤング率であるが、バックライトユニットBUのうち、樹脂部材で形成されるモールド部材MDはヤング率が2000Mpa程度である。従って、プレートBPを構成する部材は、モールド部材MDよりも大きいヤング率の材料、例えばヤング率が2000Mpa以上の材料で構成されることが好ましい。
【0029】
図3に本発明の実施形態1の液晶表示装置における液晶表示パネル端部の断面図を示す。尚、
図3は
図2に示す断面図における液晶表示パネル端部の拡大断面図である。
【0030】
図3に示すように、実施形態1の液晶表示装置では、液晶表示パネルLCD及びバックライトユニットBUの側壁面にプレートBP及び粘着層ADが形成されることとなる。このため、液晶表示装置自体の額縁領域幅L2は液晶表示パネルLCDの端部から表示領域ARまでの長さL1と、プレートBPの厚さW1及び粘着層ADの厚さW2とを合計したL2=W1+W2+L1となる。
【0031】
例えば、ヤング率の大きいポリイミド系の樹脂材料でプレートBPを形成した場合、プレートBPは、厚さW1が0.05mm程度であれば、液晶表示パネルLCDとモールド部材MDとを固定するのに十分な剛性を有することが可能となる。尚、粘着層ADの厚さW2は0.05mmで十分な粘着力を得ることが可能である。この時、表示領域ARから液晶表示パネルLCDの端部までの長さL1が0.4mm程度(即ち
図9の両面テープTPが配置できない長さ)だとすると、
図3に示す額縁領域幅L2は、L2=W1+W2+L1=0.05+0.05+0.4=0.5mm程度で形成されることになる。従って、プレートBPを用いることにより厚さW1の分、液晶表示装置の外形が大きくなるが、液晶表示パネルLCDの
図3に示すL1の長さが大幅に低減できるので、液晶表示装置自体の額縁領域幅L2も、
図7から
図9に示す従来の液晶表示装置と比較して、大幅に低減することが可能となる。
【0032】
また、プレートBPの厚さW1が0.05mm以上の例えば、0.1mmや0.15mm程度であっても、額縁領域幅L2が0.6mm程度であり、液晶表示装置の狭額縁化が十分実現できる。
【0033】
以上説明したように、本願発明の実施形態1の液晶表示装置における固定構造では、液晶表示パネルLCDの端面である側壁面に粘着層ADを介して粘着されるプレートBPにより、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとが固定される構成となるので、従来の両面テープTPを配置する領域が必要無くなり、液晶表示装置の大幅な狭額縁化が可能となる。
【0034】
〈実施形態2〉
図4は本発明の実施形態2の液晶表示装置の概略構成を説明するための平面図であり、実施形態1の
図1に対応する図である。ただし、実施形態2の液晶表示装置は、プレートBP(粘着層ADも含む)が配置される辺部を除く他の構成は、実施形態1と同様である。
【0035】
図4に示すように、実施形態2の液晶表示装置においては、図中左側の長辺部と、該長辺部と交差する図中上側の短辺部との2つの辺部に、プレートBP及び粘着層ADが配置される構成となっている。尚、図中上側の該短辺部は、駆動回路DRが搭載される側とは反対側の辺部である。すなわち、実施形態2の液晶表示装置においては、図中左上の角部を共有する2つの辺部に、プレートBP及び粘着層ADが配置される。
【0036】
この実施形態2の液晶表示装置においては、少なくともプレートBPが配置された2箇所の辺部において、液晶表示パネルLCD及びバックライトユニットBUの側壁面が揃った構成となっている。また、この揃った側壁面に実施形態1と同様に、プレートBPにより、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとが固定される構成となるので、実施形態1と同様の効果を得ることができる。
【0037】
また、偏光板POL1,POL2はマザー基板から切り離され分割された後に、液晶表示パネルLCDに、それぞれ貼り付けされることとなる。このため、さらなる挟額縁化の進展により、液晶表示パネルPNLと偏光板POL1,POL2の大きさを略同一とする必要が生じた場合等においては、第2基板SUB2に偏光板(下偏光板)POL1を貼り付けする際の貼り付けばらつきや大きさのばらつき等により、偏光板POL1の端部が第2基板SUB2すなわち液晶表示パネルLCDの端部から突出してしまう場合もある。
【0038】
しかしながら、実施形態2の液晶表示装置では、矩形形状に形成される液晶表示装置の4辺の内で、粘着層ADを介してプレートBPが粘着される対辺にはプレートBPが配置されない構成となる。従って、実施形態2の固定構造では、プレートBPが配置される2つの辺部を基準として偏光板POL1の貼り付けを行うことにより、これらのばらつきに起因する偏光板POL1の突出方向を図中に白抜きの矢印S1,S2で示す方向、すなわちプレートBPが配置されない2つの辺部とすることができる。その結果、第1基板SUB1の端部からの偏光板POL1の突出に起因して、プレートBPの貼り付けに係る不具合を防止できる。
【0039】
同様に、液晶表示パネルLCDの外形寸法とバックライトユニットBUの外形寸法とのばらつきに起因し、全ての辺部において、液晶表示パネルLCDの側壁面とバックライトユニットBUの側壁面とが揃わない場合であっても、この側壁面の揃わない辺部を図中に白抜きの矢印S1,S2で示す方向の辺部、すなわちプレートBPが配置されない2つの辺部の側に集約することが望ましい。その結果、液晶表示パネルLCDの側壁面とバックライトユニットBUとの側壁面とを粘着層ADを介してプレートBPで固定する際の不具合を防止し、安定した液晶表示パネルLCDとモールド部材MDとの固定が実現できる。
【0040】
さらには、液晶表示パネルLCDを形成する第1基板SUB1及び第2基板SUB2は、ガラス基板等の無機材料で形成され、モールド部材MDは有機材料である樹脂部材で形成されることが一般的である。すなわち、プレートBP及び粘着層ADで固定される液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとは異なる膨張係数を有するので、温度変化に伴う長手方向及び短手方向への伸縮量も液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUと異なることとなる。
【0041】
しかしながら、実施形態2の固定構造では、プレートBPが配置されている辺部と対向する辺部の側では、液晶表示パネルLCDとモールド部材MD(即ちバックライトユニットBUの一部)とが固定されない構成となるので、液晶表示パネルLCD及びバックライトユニットBUの温度変化に伴う伸縮を矢印S1,S2で示す方向に集約することができる。その結果、上述の伸縮量の違いに起因するプレートBPの剥がれ等を防止できるという格別の効果を得ることもできる。
【0042】
以上に説明した効果により、実施形態2の液晶表示装置では、本願発明のプレートBPによる液晶表示パネルLCDとモールド部材MDとの固定に係る信頼性をさらに向上できるという格別の効果を得ることができる。
【0043】
なお、実施形態1,2の液晶表示装置においては、2つの辺に粘着層AD及びプレートBPが配置する場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、駆動回路が搭載される辺部を除く3つの辺部、さらには駆動回路が搭載される辺部を含む全ての辺部に粘着層AD及びプレートBPを配置する構成であってもよい。ただし、駆動回路が搭載される辺部は、第1基板のみがバックライトユニットと揃うことができるので、他の辺部よりも粘着層AD及びプレートBPの、
図2に示すZ1,Z2方向の大きさを他の辺部よりも小さく形成する必要がある。
【0044】
また、実施形態1,2の液晶表示装置における固定構造は、座標入力装置(タッチパネル)用の電極等が画素内に形成されるいわゆるインセル型タッチパネルを有する液晶表示パネルや、第2基板と偏光板との間にタッチパネル用の電極等が形成されるいわゆるオンセル型タッチパネルを有する液晶表示パネルを用いる場合にも適用可能である。
【0045】
また、実施形態1,2の液晶表示装置においては、一つの辺部の全長に亘ってプレートBPと粘着層ADとにより、液晶表示パネルLCDとバックライトユニットBUとを固定する場合について説明したが、これに限定されることはない。例えば、
図5に示すように一つの辺部の一部にプレートBPを配置しても良い。また、
図6に示すように一つの辺部に複数のプレートBPを配置しても良い。
【0046】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0047】
LCD……液晶表示パネル、SUB1……第1基板、SUB2……第2基板、
BU……バックライトユニット、DR……駆動回路、FPC……フレキシブル配線基板
POL1,2……偏光板、LG……導光板、OS……光学シート、RF……反射シート
MD……モールド部材、TP……両面テープ、BP……プレート、AD……粘着材
BM……遮光テープ