【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、入力手段と、入力手段から入力されたデータ及び予め記憶保持された処方データを複数記憶する記憶手段と、複数の処方データから少なくともいずれかを選択する処方選択制御手段と、処方を出力する出力手段と、を備えた運動精神機能評価システムであって、
前記入力手段は、
FIM評価表の各観察項目における評価点数のデータと、MOSES評価表の各観察項目における評価点数のデータと、HDS−R評価表の各質問項目における評価点数のデータと、が入力可能であり、
前記記憶手段は、
互いに異なる処方が割り当てられている処方データを予め複数記憶保持しており、
前記処方選択制御手段は、
入力手段により入力されたFIM評価表に関するデータに基づき、各観察項目の評価点数のうち、予め定められた複数の観察項目の評価点数を所定のFIM用能力点数に各々換算し、該換算したFIM用能力点数の平均値を算出し、算出したFIM用能力点数平均値に基づいてFIM用高低評価(A)において少なくとも高・低の2種のうちいずれかを選択し、
かつ、入力手段により入力されたMOSES評価表に関するデータに基づき、各観察項目の評価点数のうち、予め定められた複数の観察項目の評価点数を所定のMOSES用能力点数に各々換算し、該換算したMOSES用能力点数の平均値を算出し、算出したMOSES用能力点数平均値に基づいてMOSES用高低評価(B)において少なくとも高・低の2種のうちいずれかを選択し、
かつ、入力手段により入力されたHDS−R評価表に関するデータに基づき、各質問項目の総点数を所定のHDS−R用能力点数に換算し、換算したHDS−R用能力点数に基づいてHDS−R用高低評価(C)において少なくとも高・低の2種のうちいずれかを選択する高低評価選択制御内容と、
高低評価選択制御内容で選択した各高低評価(A,B,C)の組み合わせに基づいて、高低評価(A,B,C)の組み合わせに対して予め関連付けされている前記処方データを選択する処方データ選択制御内容と、
を具備し、
前記出力手段は、
前記処方データ選択制御内容で選択した処方データに対応する処方を出力する
ことを特徴とする運動精神機能評価システムである。
【0011】
かかる構成にあっては、例えば音声入力機能を具備する端末等で構成される入力手段を用いて、1)FIM評価表の各観察項目における評価点数、2)MOSES評価表の各観察項目における評価点数、及び、3)HDS−R評価表の各質問項目における評価点数を入力する。そうすると、各評価点数が前記記憶装置に記憶される。そして、前記処方選択制御手段が、入力された評価点数を、所定の能力点数に換算する。すなわち、FIM評価表の所定の観察項目の評価点数が所定の規準に従ってFIM用能力点数に換算され、その平均値が算出される。また、MOSES評価表の所定の観察項目の評価点数が所定の規準に従ってMOSES用能力点数に換算され、その平均値が算出される。さらに、HDS−R評価表の総点数が、所定の規準に従ってHDS−R用能力点数に換算される。そしてさらに、各能力点数について、予め定められた規準に従って高低評価が選択される。具体的には、高評価又は低評価が選択される。そうすると、1)FIM評価表、2)MOSES評価表、及び3)HDS−R評価表において、それぞれ「高」又は「低」の評価が割り当てられ、これらの高低評価(A,B,C)の組み合わせパターンが定まる。本発明は、このようにして定まった高低評価の組み合わせパターンに基づいて、あらかじめ準備されている複数の処方データを所定の規準に従って選択し、選択した処方データに対応する処方を出力手段で出力する。かかる構成とすることにより、例えば在宅復帰に必要な観察事項や質問事項を上記3つの評価法からあらかじめ抽出し、抽出した観察事項や質問事項の評価点数について重みを考慮しながら能力点数を割り当て、そして、各評価法の能力点数に基づく高低評価に沿って、入所者に適切な処方を提供することが可能となる。
【0012】
また、前記処方選択制御手段は、
前記高低評価選択制御内容において、入力手段により入力されたHDS−R評価表に関するデータに基づき、各質問項目の総点数を所定のHDS−R用能力点数に換算し、換算したHDS−R用能力点数に基づいてHDS−R用高低評価(C)において少なくとも高・低の2種のうちいずれかを選択するというHDS−Rに関する一連の制御を無効とし、
高低評価選択制御内容で選択した各高低評価(A,B)の組み合わせに基づいて、高低評価(A,B)の組み合わせに対して予め関連付けされている前記処方データを選択する処方データ選択制御内容を具備している構成としてもよい。
【0013】
ここで、HDS−Rは、特殊な条件を満たす状況によっては適応がふさわしくない場合もあり、HDS−R評価表を用いず、FIM評価表およびMOSES評価表のみを用いて処方データを選択することで、適切な処方を提供できる運動精神機能評価システムとすることができる。
【0014】
また、前記処方選択制御手段の高低評価選択制御内容にあって、
前記FIM用能力点数は、序列化された複数の数値段階に設定されており、かつFIM評価表で定められている評価点数が大きいほど、同じ数値もしくは大きな数値の能力点数となるように、各評価点数がFIM用能力点数に割り当てられており、
前記MOSES用能力点数は、序列化された複数の数値段階に設定されており、かつMOSES評価表で定められている評価点数が小さいほど、同じ数値もしくは大きな数値の能力点数となるように、各評価点数がMOSES用能力点数に割り当てられており、
前記HDS−R用能力点数は、序列化された複数の数値段階に設定されており、かつHDS−R評価表で定められている総点数が大きいほど、同じ数値もしくは大きな数値の能力点数となるように、総点数がHDS−R用能力点数に割り当てられており、
しかも、前記FIM用能力点数と、前記MOSES用能力点数と、前記HDS−R用能力点数とは、互いに同じ数の数値段階とされていることが望ましい。
【0015】
ここで、FIM評価表にあっては、点数が高得点であるほど自立としての評価に近いと判断される。一方、MOSES評価表にあっては、点数が高得点であるほど全介助としての評価に近いと判断される。したがって、上述の構成とすることにより、各評価法の評価点数の順位の相違について、整合性を確保して高低評価を選択することが可能となる。
【0016】
また、前記処方選択制御手段にあって、
前記FIM用能力点数平均値が所定の値以上である場合に、FIM用高低評価(A)については高の評価を選択し、
前記MOSES用能力点数平均値が所定の値以上である場合に、MOSES用高低評価(B)については高の評価を選択し、
前記HDS−R用能力点数が所定の値以上である場合に、HDS−R用高低評価(C)については高の評価を選択する
構成が望ましい。
【0017】
かかる構成とすることにより、各評価表の高低評価を、例えば在宅復帰可能な能力レベルに合わせて選択することが可能となる。
【0018】
また、前記複数の処方データのなかに、スポーツ映像を対象者に視聴させる内容を含む処方に対応する処方データが含まれていることが望ましい。
【0019】
かかる構成とすることにより、高齢者が容易かつ効果的に行えるスポーツ鑑賞を通じて、いわゆる日常生活動作(ADL)を拡大させることができる。
【0020】
特に、上記の運動精神機能評価システムを用いたスポーツ映像方法が提案される。すなわち、
FIM評価表の各観察項目における評価点数のデータと、MOSES評価表の各観察項目における評価点数のデータと、HDS−R評価表の各質問項目における評価点数のデータと、を入力するステップと、
入力されたFIM評価表に関するデータに基づき、各観察項目の評価点数のうち、予め定められた複数の観察項目の評価点数を所定のFIM用能力点数に各々換算し、該換算したFIM用能力点数の平均値を算出し、算出したFIM用能力点数平均値に基づいてFIM用高低評価(A)において少なくとも高・低の2種のうちいずれかを選択するステップと、
入力されたMOSES評価表に関するデータに基づき、各観察項目の評価点数のうち、予め定められた複数の観察項目の評価点数を所定のMOSES用能力点数に各々換算し、該換算したMOSES用能力点数の平均値を算出し、算出したMOSES用能力点数平均値に基づいてMOSES用高低評価(B)において少なくとも高・低の2種のうちいずれかを選択するステップと、
入力されたHDS−R評価表に関するデータに基づき、各質問項目の総点数を所定のHDS−R用能力点数に換算し、換算したHDS−R用能力点数に基づいてHDS−R用高低評価(C)において少なくとも高・低の2種のうちいずれかを選択するステップと、
選択した各高低評価(A,B,C)の組み合わせに基づいて、高低評価(A,B,C)の組み合わせに対して予め関連付けされている前記処方データを選択するステップと、
処方データのなかに含まれている、スポーツ映像を対象者に視聴させる内容の処方に基づいてスポーツ映像を視聴させるステップと、
を含む
ことを特徴とするスポーツ映像方法である。
【0021】
かかる構成とすることにより、スポーツ映像を見せることによって例えば要介護高齢者の運動・精神機能を維持又は向上させることができる。